ミカン高騰「過去最高レベル」、気軽に食べられず 生産現場で何が 冬の果物の定番「ミカン」の価格が高騰している。 主要産地で生産が落ち込み、今季の卸価格は過去 5 年で最も高く、「過去最高レベル」という。 生産現場で何が起きているのか。 静岡県三ケ日みかん 1 盛り 780 円(税抜き)、和歌山県産みかん 1 袋 480 円(同) - -。 今月中旬、東京都練馬区のスーパーアキダイの店頭に並んだミカンは、例年より 2 割ほど高かった。 秋葉弘道社長は「ほかのフルーツと比べ、割高感が出ている。 本来は庶民的な果物だが、いまはパクパクと気軽に食べられなくなっている」と話す。 農林水産省の食品価格動向調査によると、ミカン 1 キロの販売価格は平均 769 円(昨年 12 月前半)と、前年より 120 円以上高い。 日本園芸農業協同組合連合会によると、1 月上旬の京浜や京阪神など 4 大市場における、ミカン 1 キロの平均卸売価格は 457 円(税込み)と、担当者は「過去最高レベル」と話す。 愛媛の生産者「こんな経験ない」 愛媛県伊予市で 40 年近く温州ミカンを栽培する男性 (64) は「こんなことはこれまで経験がない。 もうミカンではなく、別の果物に切り替えなければいけないのか」と嘆く。 暖冬の影響で、越冬したとみられるカメムシが春先に発生し、多くの実が落下。 夏の酷暑で実が日焼けし、表面が固くなり、本来は秋から冬にかけてオレンジに色づく実は青いままだった。 ミカンは収穫量が増える「表年」と減る「裏年」が交互にあり、今季は裏年で悪条件が重なった。例年なら、1 ケース 20 キロのミカンを 2 千ケース販売するが、今年は 10 分の 1 ほど。 「これからも暑さが続けば産地がもたない」と危機感を強める。 和歌山県海南市でミカンを栽培する北東宏文さん (53) の畑では、収穫が早い早生(わせ)ミカンなどが同様にカメムシや酷暑による日焼けによる被害を受けた。 想定以上の不作で、普通サイズの早生ミカンの予約を 1 カ月ほどでやめたほどだ。 年末に収穫し、1 - 2 カ月ほど貯蔵庫で熟成させ、出荷する「蔵出しミカン」の産地として知られる。 ただ、「(酷暑などの影響で)酸が低く、貯蔵時の腐敗によるロスや味がどうなるか不安」と心配は尽きない。 いまの時期、出荷の中心となっている静岡県も状況は同様だ。 JA 静岡経済連の担当者は「県産の露地ミカンは昨夏に決めた当初の計画より 1 割以上少なくなる見込み」と話す。 (山田暢史、asahi = 1-19-25) 対馬の盗難仏像、24 日返還手続き 元住職が訪韓、5 月にも日本移送 2012 年に長崎県対馬市の観音寺から盗まれ、韓国に持ち込まれた県指定有形文化財「観世音菩薩坐像」をめぐり、寺の元住職が訪韓して、24 日に返還手続きが行われることになった。 対馬市教育委員会などによると、仏像は返還後、これまで所有権を主張していた韓国の浮石(プソク)寺に貸し出す形をとって法要が行われ、5 月ごろに対馬に戻ってくるという。 観音寺の所有権を認めた 23 年の韓国大法院(最高裁)判決を踏まえ、仏像は現在、韓国中部・大田市にある国の施設で保管されている。 来週にも訪韓して、13 年ぶりに対面する元住職の田中節孝さん (78) は「まずは、ご苦労をかけましたと声をかけて、手を合わせたい」という。 浮石寺側が昨年、返還の条件として 100 日間の法要の開催を打診していたが、観音寺側は返還される公的な保証を求めていた。 今回の返還手続きで、正式に観音寺側の所有であることが文書などで確認されるという。 仏像をめぐっては、13 年に韓国の窃盗グループが検挙された。 浮石寺は「14世紀に倭寇に略奪された」と主張。 大法院は 23 年 10 月、倭寇による略奪を認める一方、長期にわたって占有してきた観音寺の所有権を認めた控訴審判決を支持していた。 (西本秀、asahi = 1-17-25) 国、大雪対応で青森県を財政支援へ 石破首相が知事に方針伝える 大雪の被害が拡大している青森県に対し、石破茂首相は 16 日、特別交付税の繰り上げ交付など財政支援する方針を、県側に伝えた。 異例の大雪で、県の除排雪予算が過去最大に膨らんでいた。 青森県の宮下宗一郎知事と同日、官邸で面会した際に伝えた。 県は通常 3 月に交付される特別交付税の繰り上げ交付や、除排雪経費の追加配分などを要望。 石破氏は「可能な限りさせて頂きたい。 繰り上げも検討し、拡大の対応をやらせて頂きたい」と述べた。 県は同日までに、県管理道路の除排雪費として 22 億 6,500 万円の補正予算を専決処分。 今年度の除排雪費は過去最大の計約 84.2 億円まで増えた。 県のまとめ(16 日午前 9 時時点)で、今季の大雪で 7 人が死亡し、109 人が重軽傷。 建物では 10 市町村で住宅35棟に被害(半壊 4 棟、一部損壊 31 棟)が出ている。 県防災危機管理課は「除雪は必ず 2 人以上で行ってほしい。 やむを得ず 1 人で作業する場合は、家族や近所の人に声をかけて」と呼び掛ける。 このほか、農業・畜産関係や学校施設、文化財などにも被害が相次いでいる。 (野田佑介、江湖良二、asahi = 1-16-25) ◇ ◇ ◇ 青森、昨年末からの豪雪で積雪量 3 倍に 県が対策本部、除排雪を強化 青森県内は昨年末から大雪に見舞われ、道路の除排雪の遅れなど日常生活に支障が出ていることから、青森県は 4 日、豪雪対策本部を設置し、県庁で会議を開いた。 本部長の宮下宗一郎知事は「今回の豪雪は災害という認識だ。 県の最優先事項として、市町村と連携して除排雪などの対策に取り組んでいく」と述べた。 県内では 12 月下旬から冬型の気圧配置が強まり、雪が断続的に降っている。 県によると、今月 3 日午後 8 時現在での積雪は青森市で 112 センチ、弘前市で 104 センチ、五所川原市で 100 センチなど、津軽地方を中心に平年の 3 倍を超える量となった。 大雪のため JR 奥羽線や青い森鉄道の一部区間では運休が続いているほか、これまでに延べ約 7,100 戸で停電が発生している。 市道など生活道路を中心に除排雪も間に合わず、雪道での歩行者の転倒や車のスリップなどの事故が相次いでおり、市民生活にも大きな影響が出ている。 県は管轄する国道・県道で除排雪の時間を拡大するほか、道路の除排雪が追いつかない市町村については、比較的雪が少ない地域から応援を出す取り組みを進める。 停電には、市町村に速やかな避難所開設を促していく。 今回の大雪での被害状況は分かっていないが、2022 年 1 月 - 3 月の豪雪では、ビニールハウスや果樹などの農林水産施設に、約 3 億 3 千万円の被害が発生したという。 この春先にかけてハウス倒壊などが拡大していないか注視していく。 宮下知事は例年、屋根の雪下ろし作業などで事故が発生していることなどを踏まえ、「雪の本格的なシーズンはこれから。 県民の皆さんには自身の命と安全の確保を最優先してほしい。」と呼びかけた。 青森地方気象台によると、県内は向こう 1 週間ほどは気圧の谷や寒気の影響で雪が降りやすい日が続くという。 (伊藤唯行、asahi = 1-4-25) 南海トラフ地震との関連、調査終了 気象庁 日向灘震源の地震で 13 日午後 9 時 19 分ごろに発生した日向灘を震源とする最大震度 5 弱の地震で、南海トラフ地震との関連を調べていた気象庁は 13 日午後 11 時 45 分、巨大地震発生の可能性は平時と変わらないとして調査を終了したと発表した。 警戒を呼びかける臨時情報の発表基準には達していなかったという。 気象庁が発表したのは、「南海トラフ地震臨時情報(調査終了)」。 今回の地震は東海から九州の太平洋沖にかけて広がる南海トラフ地震の想定震源域で起き、速報値で M6.8 以上だったため、気象庁は 13 日午後 9 時 55 分に「臨時情報(調査中)」を発表。 専門家らで構成される気象庁の検討会が招集された。 調査の結果、想定震源域で M7 以上の地震が発生した場合に発表する「臨時情報(巨大地震注意)」や、想定震源域のプレート境界で M8 以上が発生した場合に発表する「臨時情報(巨大地震警戒)」の基準には達していなかった。 南海トラフ沿いでは、平時でも今後 30 年以内に M8 から 9 の巨大地震が発生する可能性が 70 -80% とされており、気象庁は切迫性が高く注意が必要だとしている。 (asahi = 1-13-25) ◇ ◇ ◇ 宮崎県北部で震度 5 弱、高知と宮崎に 1 メートルの津波注意報 気象庁 気象庁は 13 日、午後 9 時 19 分ごろ、日向灘(北緯 31.8 度、東経 131.6 度)で震度 5 弱の地震があったと発表した。 震源の深さは約 30 キロ、地震の規模(マグニチュード)は 6.9 と推定される。 この地震で、気象庁は高知県と宮崎県に 1 メートルの津波注意報を出した。 (渡辺洋介、asahi = 1-13-25) 台湾経済部長、台湾企業の支援会社を九州に設置方針 福岡が有力候補 台湾の郭智輝経済部長(大臣)は 10 日の記者会見で、2025 年の目標の一つとして、台湾企業の進出を支援する会社を当局主導で九州に設置する方針を掲げた。 福岡県が有力な候補地だとしている。 郭氏はこれまでも半導体関連企業が集積する台湾の科学園区(サイエンスパーク)をモデルとしたエリアを九州に設置する構想を示してきた。 支援会社は供給網(サプライチェーン)を担う台湾企業などの九州進出を促すことで、構想を後押しするものになる。 会見で郭氏は「(台湾の)科学園区で実施しているサービスを日本でも行う」との考えを語った。 日台が民間機関を通じ、台湾企業の進出に向けた協力協定を結ぶ見通しも明らかにした。 九州では、世界最大の半導体製造会社、台湾積体電路製造 (TSMC) が 24 年 12 月、熊本県菊陽町の工場で量産を始めた。 (台北・高田正幸、asahi = 1-11-25) 北九州市の反転攻勢始まる? 60 ぶり人口転入超過で市長が熱弁 60 年ぶりの人口転入超過で「北九州市の反転攻勢が始まる。」 北九州市は 7 日、全国の 20 政令指定市で最も長く転出超過が続いていた状況から「復活」したとして、武内市長が記者会見で資料 15 ページなどを使い、人口推移の状況をアピールした。 市によると、2024 年の転入・転出に伴う社会増減は、492 人の転入超過だった。 前年は 206 人の転出超過で、1964 年以来 60 年ぶりの転入超過となった。 内訳は、外国人の転入超過が 1,802 人、日本人の転出超過が 1,310 人。 日本人の転出超過はなお続いているが、前年の 2,322 人から約 1 千人減っており、市は「日本人で大幅な改善トレンドに転化」とした。 自然減は過去最多の7927人 人口減は止まっていないけれど 日本人の転出超過が減った要因として、市は 20 - 30 代の若者と、14 歳以下の子どもがいる世帯で「(市外への人口流出が)大幅に改善した」としている。 24 年 8 月に市が実施した「行政評価に係る市民アンケート」では、「住み続けたいと思う」市民が過去最高の 84.1% になったといい、今年度の「市Z世代課」設立や、第 2 子以降の保育料無償化もアピールした。 23 年度に IT 企業が 46 社進出するなど、新規雇用が創出できているとしたほか、帝国データバンク調査でスタートアップ企業の出現率が同市小倉北区と小倉南区で 11.0% となり、日本一になったことも挙げた。 武内市長は「市の反転攻勢ののろしが上がった。 にぎわいの拡大、投資の拡大につなげ、さらにこの街の勢いを大きく強くしていく。」と語った。 一方、出生・死亡に伴う自然増減は過去最大の 7,927 人減となっており、市人口の減少は止まっていない。 市人口のピークは 1979 年の約 106 万 8 千人で、2025 年 1 月 1 日時点の推計人口は 90 万 6,941 人となっている。 (小島達也、asahi = 1-8-25) 北薩トンネル、ようやく水抜き工事に着手 内壁崩落から 5 カ月 大量の土砂と湧水(ゆうすい)の流入で通行止めが続く北薩トンネルで、鹿児島県は昨年 12 月 23 日、水抜きのための作業用トンネル(導坑)を掘削する工事に着手した。 内壁が突然崩落してから約 5 カ月。 現場に安全に近づけるようにするための工事がようやく始まった。 水抜き工事の計画は、県が昨年 11 月に専門家の技術検討委員会で示していた。 崩落したのは出水市側の入り口から 1,870 メートルの地点。 その 150 メートルほど手前から枝分かれする形で導坑を 60 メートル掘り進む。 そこからさらに、トンネル本体と並行して約 110 メートルのボーリングを掘削する。湧水をうまく導坑に誘導できれば、地下水位が下がり、崩落地点に安全に近づけるようになると見込む。 工期は 3 月中旬までの予定。 契約金額は約 1.9 億円。 (安田朋起、asahi = 1-6-24) ◇ ◇ ◇ 通行止め "4 カ月" トンネルで何が? 最新映像に "大量の水" 住民困惑 内部が公開された崩落したトンネル。 4 月も通れない状態が続き、住民に影響が広がっています。 今月 5 日にドローンで撮影されたトンネル内の映像。 泥で覆われた地面の先には大量の土砂でできた大きな壁が …。 さらに、天井部分からは水が激しく流れ込んでいます。 崩落したのは鹿児島の「北薩トンネル」。 4,850 メートルの長いトンネルです。 今年 7 月に突然、土砂が流入。 今も通行止めが続いています。 この事態に住民は …。 男性住民(40 代)「子どもを公園などに遊びに連れて行く時、よく使用していました。 さつま町方面に遊びに行く機会が減りました。」 実家に戻る時、このトンネルを使うという男性は …。 鹿児島が実家の男性(40 代)は「空港を結ぶ道路としてはすごく大事な道路。 なんとか早く修繕していただけると、すごく助かる。」 なぜ、約 4 カ月経った今も道路が復旧しないのでしょうか。 今回、撮影された映像で大量の水が流れ込む状況が続いていることが分かりました。 そして、水を抜くトンネルを作る計画が了承されましたが …。 北薩トンネル技術検討委員会 酒匂一成委員長 「どれくらい効果があるか見て決めるので、まずは始めてみないことには分からない。」 (テレ朝 = 11-23-24) 一粒に味を込め 和歌山の梅 「酸っぱい」、「しょっぱい」から進化 和歌山県みなべ町にある県立南部(みなべ)高校。 2024 年 12 月中旬、「食と農園科」の 3 年生 4 人が梅木の剪定作業に取り組んでいた。 「梅の実の重みで枝が垂れ下がる。 そこを考えながら剪定してな。」 高校の谷口和久農場長 (57) の指導のもと、生徒たちが高枝切りばさみなどで枝を切っていく。 「食と農園科」では「農業から食卓へ」を学ぶ。 そのうちの 1 人、横畑光洋(こうよう)さん (18) は「梅をきわめるために南部高校を選んだ。 梅の全てを学びたい。」と言う。 梅は江戸時代から、みなべや田辺市で栽培されてきた。 梅干しは庶民の食卓にものぼり、戦中には兵糧食として重宝された。 だが、終戦後、極端に需要が落ち込み、生産量も激減した。 食糧難のために梅の木を伐採し、サツマイモを植えた、という記録もある。 町の稼ぎ頭が消える。 そんな危機を救ったのが「南高梅(うめ)」だった。 1950 年、梅の生産を盛り上げようと、「優良母樹」を選ぶ有識者の委員会が発足、南部高教諭を委員長に調査を進め、「高田梅」を最優秀に選んだ。 「高田梅」は明治期、農家高田貞楠(さだぐす)が見つけ、その後繁殖が進められてきた。 大きくて、肉厚な実が多く実る。 調査に南部高の生徒も携わったことから、「高田」と「南高」にちなみ、南高梅と命名された。 重さ 30 グラムほど。 大粒で肉厚。 今では高級梅干しの代名詞となっているが、単なる「酸っぱい」、「しょっぱい」から進化したのは、調味技術のたまものだった。 梅干し会社の「ウメタ。」 工場では作業員がベルトコンベヤーで運ばれた梅干しの重さを量り、パック詰めをする作業に追われていた。 同社では 1964 年、梅干しに味を付ける技術を開発した。 塩抜きの後、「かつお」、「はちみつ」、「黒糖」などの調味液に漬ける。 低塩のものや甘い梅干しまで、客の様々なニーズに合った梅干しをつくっている。 営業一部の岡崎健志次長 (54) は「一つの会社が技術を囲い込むことなく他社にも公開したのは、業界全体で梅干しの価値を高めてもらおうと考えたから。 町挙げて、という思いの表れです。」 「町挙げて」の中心には、全国で初めてできた「うめ課」がある。 課員 11 人が、農家や農協との調整や販売促進に向けた PR 活動など、梅のすべてに携わっているという。 旧南部川村に 1973 年にできてから半世紀以上。 平喜之課長 (55) は、自ら東京などの大消費地や各地の市場を巡る。 「2024 年産は、ひょうの被害が出て生産量も減った。 それでも、ほかではつくれない梅がみなべにあることを知ってもらいたい。」と話す。 厳しい数字もある。 国内の梅干し購入数量(1 世帯 2 人以上あたり)は、2002 年の 1,053 グラムから 2023 年 626 グラムにまで落ち込んだ。 平課長は「梅の魅力をまだ消費者に伝え切れていない。 新たな取り組みも続ける。」と意気込む。 需要拡大をめざし、梅干しの効能についても研究を進めてきた。 町ではこれまで、糖尿病や胃がんの予防に効果がある、と研究し、特許を取得。 さらに 2024 年には、新型コロナウイルスに対する抗ウイルス作用を示す成分があるとして特許を取得した。 「研究で効能が明らかになるずっと以前から、『梅は体にいい』と言われ続けてきた。 梅の魅力はまだまだあるはずだ。」 長年にわたり特許取得に携わり、「梅干し博士」の異名も持つ大阪河崎リハビリテーション大学の宇都宮洋才教授 (61) はいう。 同町晩稲(おしね)にある南部梅林は、静かに新年を迎えていた。 遠くに海を望む南西向きの山の斜面に、数万本の梅が植えられている。 町全体では 2,120 ヘクタールに 60 万本以上の梅の木があり、「一目百万、香り十里」と称されている。 梅林は 1 月 25 日に開園し、2 月 11 日には梅まつりも開かれる。 その花が夏に実を結び、新たな収穫が始まる。 「和歌山にとって、梅は文化。 もっと梅のことを知りたい。」 南部高校の横畑さんは、春から県農林大学校で引き続き、梅を学ぶ予定だ。 (寺沢尚晃、asahi = 1-5-25) 経済波及効果「10 年で 3.3 兆円」、(宮崎)国富の半導体新工場 県が算出 電子部品大手「ローム」が国富町に整備を進める半導体の新工場について、宮崎県は 24 日、経済波及効果が「(2032 年までの)10 年間で 3 兆 3,559 億円」との調査結果を明らかにした。 新工場は生産子会社「ラピスセミコンダクタ」の宮崎第 2 工場。 24 日に県企業立地推進本部会議が県庁であり、経済波及効果について「生産目標が 100% 達成されることを前提に波及効果を算出したもの」などと説明。 公益財団法人・地方経済総合研究所(熊本市)に県が委託して算出したという。 河野俊嗣知事は「数字が大きすぎてピンとこない」としながら、「関係機関と連携して円滑な稼働をサポートし、人材育成に力を入れていく必要がある」と述べた。 新工場は 11 月末に一部ラインで試作レベルの稼働を始めたという。 今後について県は「世界のパワー半導体の状況を見定めながら量産体制に入る予定」と説明している。 県などによると、新工場の敷地面積は東京ドーム 8 個分にあたる広さ約 40 万平方メートル。 電気自動車や産業機器に使われる SiC パワー半導体を生産する。 昨年 12 月に県庁で立地調印式があり、24 年末の生産開始をめざすとしていた。 (奥正光、asahi = 12-29-24) 寄付 193 億円、ふるさと納税に市職員全力 深夜 2 時の更新ボタンも
記事コピー (4-1-16 〜 12-28-24) 豪雪地に押し寄せる 30 万人観光客 「鬼滅」でも話題の地が来客制限 過剰な混雑や交通トラブルによって温泉街の評価が下がりかねないと、市は 23 日、日帰り客を対象にマイカー規制や来訪客数の制限に乗り出した。 ■ 映える風景目当てに、夕方から増える観光客 人口約 1 万 3 千人、スイカと花笠が特産で国内有数の豪雪地帯である市に、現在は年間 30 万人を超える観光客が押し寄せる。 近年は特に、外国人旅行者の増加が目立つ。 一般社団法人「東北観光推進機構」によると、今年 1 - 4 月の訪日旅行者の実訪問数は約 4 万 8 千人。 昨年同期(1 万 8 千人)の 3 倍近くに増え、東北・新潟域内の訪問スポットでは仙台駅前に次いで、2 位になった。 冬場は多くの観光地が集客に苦労するが、銀山温泉は冬も人気が高い。 ガス灯がともる温泉街に雪が降る幻想的な風景を目当てに、夕方に多くの日帰り客が訪れ、狭い温泉街の通路が混雑する。 一方で深刻なのが交通トラブルだ。 温泉街に続く道は坂道で、そこに降雪がある。 市や温泉組合によると、路上駐車などによって渋滞が発生。 これにより救急車が温泉街にたどりつけず、救急隊員が下りて駆けつけたこともあったという。 このため、市はトラブルの多い冬季に日帰り客の「総量調整」を行う実証実験に踏み切った。 対象は乗用車(レンタカー含む)、貸し切りバス、県外のタクシーで訪れる日帰り客だ。 駐車場で有料シャトルバスに乗り換える「パーク・アンド・ライド」を始めた。 激しい混雑が予想される午後 4 時以降のバスは予約制とし、来訪者数を制限する。 市の実験は来年 1 月 6 日まで。 シャトルバスの予約は 特設サイト から申し込む。 運賃は中学生以上 500 円。 1 月 7 日 - 2 月 28 日は温泉組合が主体となって行う。 (asahi = 12-24-24) 地方創生 2.0 カギは「楽しい地方」 若者・女性に選ばれる地域に 石破茂首相が力を入れる地方創生について、政府は 24 日、今後 10 年間に実施する施策の「基本的な考え方」をまとめた。 来夏に策定する基本構想につなげる。 これまでの施策を振り返り、新たに「楽しい地方」を掲げて若者や女性に選ばれる地域づくりに力点を置いた。 首相が危機感「今度失敗すると大変なことに」 この日、全閣僚が出席した地方創生に関する会議で、首相は「10 年前に『これができないと日本は終わる』と思った。 危機感がさらに強まっている。 今度失敗すると大変なことになる。」と語った。 有識者の議論も踏まえてとりまとめた「基本的な考え方」では、過去 10 年にわたる取り組みを踏まえた反省点を列挙。 若者や女性から見て魅力ある地方という視点の欠如や、人口減少を前提とした対応の不十分さ、各地域の好事例を広げるための国の後押しの不足などを指摘した。 そのうえで今後の取り組みの方向性として、「人口が減少する事態を正面から受け止めた上で、社会を機能させる適応策を講じていく」として、若者や女性に選ばれる「楽しい地方」をつくることに主眼を置くと明記。 文化、芸術などの地域資源をいかした高付加価値型の事業の創出や、新しい技術を活用して地方に人の流れを呼び込むことなどを目指すとした。 政府は今後、企業の地方分散、デジタル技術の活用などを柱に、来年夏に施策の基本構想を策定するとしている。 ただ、「考えられる施策」として今回例示した内容は、女性が出産を機に非正規に転換する「L 字カーブ」の解消、二地域居住の推進による関係人口の拡大など、従来の政策の延長にあるものが目立った。 「特効薬」なし、政権も問われる本気度 石破首相が、地方創生の初代担当相を務めてから 10 年。 「基本的な考え方」には、この間の政府の取り組みにもかかわらず、人口減少や東京一極集中に歯止めがかからないことへの危機感がにじむ。 冒頭では、明治維新後に「強い国」、戦後に「豊かな国」を目指す中で極端な東京一極集中が進んだとの認識を示し、価値観が多様化した現代は「『楽しい』と思える地方を官民が連携して作り出す必要がある」と価値の転換を求めた。 首相周辺によれば、首相がメッセージ性を強めるために事務方の原案に対して追加を指示したという。 地方創生では、移住促進や地方大学振興など様々な観点で議論がなされ、これまでに計 1.3 兆円の交付金が各地の自治体にわたった。 それでも政府は「大きな流れを変えるには至っていない」と総括している。 首相は「地方創生 2.0」と銘打ち、これまでとは違った取り組みを目指すことを強調した。 「特効薬はない」と指摘される地方創生で、展望が開けるような政策をどこまで形にできるか。 政権の本気度も問われる。 (南有紀、asahi = 12-24-24)
有名スキー場、リフト動かせず今冬の営業縮小 盗難被害で苦渋の決断 良質なパウダースノーが人気の万座温泉スキー場(群馬県嬬恋村)は、今冬のリフトの営業本数や滑走コースを縮小する。 9 月に銅線ケーブルや金属類の大規模な盗難に遭い、復旧が間に合わないためだ。 スキー場を運営する西武・プリンスホテルズワールドワイドの万座地区の広報担当者は「営業的な機会損失は未知数だ」と話す。 万座温泉スキー場は標高 1,994 メートルの万座山の山頂付近から望める絶景が見どころ。 1987 年公開で、当時のスキーブームの牽引役とされた映画「私をスキーに連れてって」のロケ地のひとつとしても知られる。 例年多くのスキー客でにぎわい、昨冬は約 6 万人が訪れた。 だが、今冬はリフト 5 本のうち 4 本が運休し、14 の滑走コースも 2 コースに限定する。 リフト券は減額し、中学生以上の 1 日券は 3 千円(昨冬は 5,500 円)とする。 また、そばで営む万座高原ホテルでも宿泊需要の減少を見込み、来年 1 月 5 日 - 3 月 22 日にかけて休業する。 かき入れ時の営業に打撃を与えることになった盗難被害が判明したのは、9 月下旬のことだ。 県警長野原署によると、スキー場の従業員が営業に向けた準備のためゲレンデに行くと、中腹にあるリフト駅舎やレストハウスのケーブル類、リフト整備に使う工具や水道の蛇口などが盗まれていた。 リフト運行に必要な高圧受変電設備や分電盤は壊され、建物の壁も破られて内部ケーブルが盗まれていた。 県警は、同月 24、25 日に現場を確認し、写真撮影や鑑識活動を実施した。 さらに翌 26 日朝、従業員がゲレンデに行くと、新たな盗難被害も判明した。 レストハウス付近の地面が掘り返され、地中からケーブルが盗まれていた。 確認できた被害品の時価総額は、少なくとも 300 万円以上。 県警幹部は「あまりにもひどい被害で、再開できるのだろうかと心配していた」と話す。 被害品は「トラックなどでなければ運べない量」だといい、複数犯でゲレンデ中腹まで車で侵入したのではないか、とみる。 県内では、ほかの営業していないスキー場でも銅線ケーブルの盗難が起きたという。 西武・プリンスホテルズワールドワイドによると、万座温泉スキー場はリフトなどの本数は減るものの、営業期間は例年通り今月 21 日 - 来年 3 月 23 日を予定している。 万座高原ホテルの休業中は、隣接地で営む万座プリンスホテルに宿泊客を集約する。 担当者は「営業縮小になり、オープンを楽しみにしてくださっていたお客さまに本当に申し訳ない限りです」とする一方、「下ばかり見てはいられない。 使えなくなったゲレンデをスキーヤー以外の方にも楽しんでもらえる方法がないかと企画しているところです」と話す。 全国で被害が相次ぐ金属を狙った窃盗事件は、群馬、栃木、茨城など北関東で多発している。 群馬県警によると、特に太陽光発電所での被害が目立つという。 県内の太陽光発電所における今年 1 - 11 月の被害件数は前年同期比 106 件増の 1,111 件だった。 2021 年の年間 115 件、22 年の 133 件から 23 年は 1,108 件と急増していたが、今年はそれを上回っている。 (中沢絢乃、asahi = 12-20-24) 広島・宮島の来島者数が過去最多 1 人 100 円の訪問税導入でも好調 世界遺産・厳島神社がある宮島(広島県廿日市市)の年間来島者数が 15 日、記録が残る 1964 年以降で過去最多となった。 宮島観光協会によると、昨年あった G7 広島サミットや円安で訪日外国人客が増えており、今後もしばらく増加傾向は続くとみている。 日本三景の一つに数えられる宮島の年間来島者数は、2012 年に 400 万人を突破し、2019 年に過去最多の 465 万 7,343 人を記録。 その後、コロナ禍で 200 万人を切ったが、昨年 5 月の広島サミットで知名度が上がり、昨年は 465 万 2,252 人まで回復した。 市によると、今年の外国人観光客は約 60 万人で昨年より 3 割ほど増えた。 宮島観光協会の担当者は「サミット効果が続き、円安の追い風もある。 好条件がそろった。」と言う。 新記録達成のセレモニーが島内であったこの日、東京から夫と来た国田綾乃さん (48) は「厳島神社が目的。 フェリーで 10 分で渡れるアクセスの良さも魅力。」と話した。 来島者増加の一方で、オーバーツーリズム(観光公害)が懸念される。 市によると、対岸の JR 宮島口駅周辺では、5 キロ超の交通渋滞が発生した日もあったという。 市は昨年 10 月に入島者 1 人につき 100 円を徴収する「宮島訪問税」を導入。 宮島に渡るフェリー料金に上乗せし、今年度は約 3 億 5 千万円の収入を見込む。 無料シャトルバスを運行し、トイレ増設などを計画している。 市の担当者は「受け入れ環境をさらに良くして、宮島の魅力を向上させたい」と話している。 (山中由睦、asahi = 12-15-24) NHK と民放の中継局共用会社、総務相が認可 25 日に設立へ NHK が申請した地上波の中継局を同局と民放各社が共同で利用する子会社への出資について、電波監理審議会は 13 日、認めることが適当とする答申を出し、総務相が認可した。 NHK は子会社を 25 日に設立し、来年末をめどに事業を本格化させる方針。 出資金は 1 億円。 今後、民放各社から出資を受ける。 社名は「日本ブロードキャストネットワーク」とし、社長には NHK 技術局システムソリューションセンター統括部長の吉見智文氏が就く予定。 中継局の共同利用の背景には、民放各社を取り巻く厳しい経営環境がある。 地域の放送網を維持する上で、人口減少の地域や山間部などに設置している中継局の設備更新の負担が重く、課題になっている。 (宮田裕介、asahi = 12-13-24) 北海道・ニセコ、ウィンターシーズン到来 ゲレンデ客の輸送力を強化 国際的なリゾート、北海道・ニセコのスキー場が今季の営業を始め、海外のスキーヤーらがゲレンデに歓喜の声を響かせていた。 7 日、ニセコアンヌプリ(標高 1,308 メートル)にあるスキー場の一つ、ニセコ東急グラン・ヒラフでは、英語や中国語が飛び交っていた。 わざと板のエッジを立てて雪を飛ばし、当地が誇る雪の感触を楽しむ姿も見られた。 雪不足で開業日を 1 日後ろ倒して今月初めにオープン。 その後は積雪量にあわせ、滑走エリアを徐々に広げている。 この山にある、ほかのスキー場も似た状況だ。 外国人が詰めかけるニセコの観光入り込み客数は、コロナ禍で一時は落ち込んだものの、9 割近くまで回復。 当エリアをなす倶知安町とニセコ町の統計では 2023 年度、計 290 万人。 インバウンドの期待は一層高まる。 そこで生じるのが、ゲレンデのリフトを待つ長蛇の列。 このスキー場では今季、1985 年から使われていた日本最古の 4 人乗りメインリフトを 10 人乗りの新型ゴンドラに新調。 最高速度も 1.5 倍の毎秒 6 メートルで客の輸送力をあげた。 東急不動産グループは 24 - 26 年に計 100 億円を投資し、当ゴンドラを含む輸送力の強化やレストランなど施設の整備を進める計画だ。 (角野 貴之、asahi = 12-8-24) 日本各地の「伝統的酒造り」 ユネスコ無形文化遺産登録勧告に喜び
記事コピー (12-5-24) 新潟の西洋梨「ル・レクチェ」出荷量、平年から半減 斑点病原因か 新潟のブランド西洋梨「ル・レクチェ」の今季の出荷量が平年の半分以下に落ち込んでいる。 褐色斑点病の発生が主な原因とみられ、大きさも小ぶりだという。 JA 全農にいがたは「味は変わらないし、管理や選別を徹底して出荷しているので安心して買って欲しい」と話す。 新潟市南区の果実・花卉(かき)集出荷施設「JA 新潟かがやきフルーツフラワーしろね」には、生産地で箱詰めされたル・レクチェが次々と運び込まれた。 レーンに乗った箱を検査員が開けて、一つひとつ手作業で検品する。 デリケートな果実のため機械には通さず、品質基準を満たしているかどうか目視しているという。 収穫後、30 - 40 日間熟成された果実は酸味が抜けて甘くなり、香水のような独特の香りが生まれる。 11 月 22 日に販売解禁となり、12 月下旬まで出荷が続く。 新潟県内のほか、東京や大阪、名古屋、札幌などの市場を通し、全国の百貨店や専門店に送られる。 JA 全農にいがたでは、毎年平均で約 890 トンのル・レクチェを出荷しているが、今季は半分以下の 430 トンほどになる見込みだという。 褐色斑点病は、地域や程度に差はあるものの県内全域で発生しており、2015 年以来の規模とされる。 見た目が悪くなったり、落葉で実が大きく育たなかったりする影響が出ており、特に大ぶりで外見が整った贈答用が少なくなっているという。 新潟県農産園芸課によると、褐色斑点病は糸状菌が葉や枝、果実に付着し、早い時期の落葉や落果につながる病気。 3 月以降、湿度が高い日が続いたことで菌が増殖し、5 月ごろに強風が吹いて多くの生産地に広がった可能性があるという。 残った菌が翌年の感染源になる危険があるため、県は生産者に対し、落ち葉や枝を果樹園の外に持ち出して処分するよう呼びかけている。 JA 全農にいがた園芸部野菜果実課の石田恭平さんは「今季のル・レクチェは出荷量が少なくても品質や味に変わりはありません。 徹底した管理のもとで追熟され、選別されているので安心して購入して欲しい。」と話している。 (山崎靖、asahi = 12-1-24) コンビニ富士山隠す幕、再設置せず 観光の町に生じた誤解と残る課題 富士山と重ねた写真を撮ろうと訪日外国人客が殺到した山梨県富士河口湖町のコンビニエンスストア前に、撮影を防ぐために町が一時設置した巨大な幕について、渡辺英之町長は 29 日、再設置しない方針を表明した。 渡辺町長はこの日の記者会見で「ごみのポイ捨ても改善し、撮影は順番を守るなど、外国人観光客に暗黙のルールが浸透しているように感じている」と評価。 「(状況が)よほどひどくならなければ、現状で楽しんでいただきたい。 幕の設置は考えていない。」と述べた。 幕は「ローソン河口湖駅前店」から町道を挟んで反対側の歩道と車道の間に 5 月 21 日に設置。 訪日客が大勢集まり、車道にはみ出して撮影する危険行為などで住民から苦情が相次いだためだ。 台風の接近に伴って 8 月 15 日に一時撤去し、そのまま様子を見て再設置するか判断するとしていた。 国内外から寄せられた多くの苦言 撮影を防ぐ幕を再設置しない方針を表明した理由について、町幹部は「国内外から観光客を歓迎する気持ちがないと誤解されてしまった」と明かす。 幕の設置について、町内外から「観光立町の考え方としてなっていない」などと数多くの苦言が寄せられ「再設置を簡単にすることはできない」との結論に達したという。 渡辺町長も会見で「(幕で視界を)遮断して悪いイメージを発信してもいけない。 外国人の方にきれいな富士山を撮っていただきたい」と、歓迎の意思を強調した。 ただ、課題も残る。 コンビニの両側にある二つの横断歩道を使わずに「撮影スポット」の歩道に渡る観光客は少なくない。 富士山が冠雪し、現地は再び混雑しつつあるという。 町はコンビニ側の歩道と車道の間にも、高さ 80 センチの金属製防護柵を約 6 メートルにわたって設け、反対側にある防護柵と合わせて無理な横断を防ぐ考えだ。 また、横断歩道の路面を緑色にして目立たせて、利用を促す方向で調整している。 「コンビニ富士山」は今年の新語・流行語大賞の候補にもなっている。 渡辺町長は全国的な注目を集めたことに触れ、「悪いイメージではなく、これからも発信、アピールして、(観光振興に)うまくつながっていけばいい」と話した。 (豊平森、asahi = 11-30-24) 前 報 (8-20-24) ホーバークラフト 大分で 15 年ぶり航路復活 別府湾遊覧コースも 国内で唯一となるホーバークラフトの旅客航路が、年内にも復活する。 別府湾を通り大分空港(大分県国東市)と大分市を約 30 分で結ぶもので、15 年前に運航終了後、県が空港へのアクセス改善のため再び力を入れてきた。 運航を担うのは、タクシー大手・第一交通産業(北九州市)の子会社「大分第一ホーバードライブ(小田典史社長)」。 航路再開に先駆けて 30 日から週末に 1 日 4 便の別府湾の遊覧周航事業をスタートさせる予定だ。 27 日、報道陣向けに行った体験搭乗のツアーでは、別府湾を 30 分ほどかけて周遊した。 西大分を出発し、定期航路の途中で折り返す往復約 16 キロのコースで運航実績を積み、12 月に大分空港 - 西大分間で定期航路の運航開始をめざす。 九州商船(長崎市)などによると、ホーバーは 1960 年代後半以降、熊本 - 島原や瀬戸内海の宇高ルートなど各地で運航されていたが、橋の建設や代替交通機関の利用拡大で徐々に姿を消した。 大分では 71 年に航路ができ、最盛期の 90 年代には年間 40 万人前後が利用。 しかし、景気の後退で空港利用者の減少に伴い乗客が減り、2009 年に運航が終了していた。 小田社長によると、定期航路と周遊の事業をしているのは、英国のポーツマスとワイト島を結ぶ航路だけという。 県は、特急バスで約 1 時間かかる空港アクセス改善のため設置した検討会で再びホーバーに注目。 機体とターミナル整備の費用を県が、運航は民間の事業者が担う上下分離方式での事業実施を決めた。 ただ、昨年 11 月に始まった訓練では、航走路のガードレールに接触したり護岸に衝突したりするなど事故が 4 回発生。 就航予定が 1 年近くずれこんだ。 定期航路、周遊ともにオンライン決済で大人 2 千円、こども 1 千円。 窓口での現金決済は大人 2,500 円、こども 1,250 円だ。 28 日午前 10 時からインターネットで予約を受け付ける。 2 週間前から予約可能という。 (徳山徹、asahi = 11-27-24) |