台風 10 号、鹿児島県の薩摩川内市付近に上陸、九州で警戒 気象庁は 29 日午前 8 時ごろ、台風 10 号が鹿児島県薩摩川内市付近に上陸したと発表しました。 「重大な災害が起こる可能性がある」として、警戒を呼びかけています。 鉄道の計画運休なども相次ぎ発表されています。 (asahi = 8-29-24) ◇ ◇ ◇ 鹿児島県で線状降水帯が発生 災害の危険性 急激に高まる 気象庁は28日午後7時37分、奄美地方を除く鹿児島県で線状降水帯が発生し、非常に激しい雨が同じ場所に降り続いているとして「顕著な大雨に関する情報」を発表しました。 「線状降水帯」は、発達した積乱雲が次々と連なって大雨をもたらす現象で、気象庁は、命に危険が及ぶ土砂災害や洪水が発生する危険性が急激に高まっているとして、厳重に警戒するとともに、安全を確保するよう呼びかけています。 (NHK = 8-28-24) ミュージックサイレンは平和の象徴 全国 3 カ所、老朽化しても愛着 新海誠監督のアニメーション映画「すずめの戸締まり」の舞台の一つとして描かれ、「聖地巡礼」の観光客らが訪れる愛媛県八幡浜市には、1 日 3 回、平和を象徴する音色が流れる。 午後 6 時、九州と結ぶフェリーの発着港がある市中心部に、「夕やけこやけ」のメロディーが響いた。 午前 6 時には、古賀政男作曲の「八幡浜漁港の歌」、正午には「みかんの花咲く丘」のメロディーが港町に響く。 どこか郷愁を誘うメロディーは、定時を知らせるミュージックサイレンだ。 音源は、市民の散歩コースとなっている愛宕山に設置された音響機器で、ヤマハ製。 圧縮した空気を断続的に放出し、サイレンの音を音階にしてメロディーを奏でる仕組み。 大がかりな楽器ともいえ、数キロ先でも聞こえる。 設置されたのは 1993 年 2 月。 背景には、戦争の傷痕があった。 市によると、以前は時報用のサイレンを同じ時刻に流していた。 しかし、市民から「音量が大きい」、「戦時中の空襲警報を思い起こさせる」などと改善の要望があり、耳に優しいメロディーを奏でるミュージックサイレンを導入したという。 アジア太平洋戦争末期、八幡浜にも空襲があり、死傷者が出た。 置当時は、空襲警報で逃げ回った体験のある市民も多かった。 ヤマハによると、同社がミュージックサイレンの製造を手がけたのは戦後まもなく。 前身の日本楽器製造の幹部が工場のサイレンを空襲警報のように感じて開発を指示したのが発端という。 50 年(昭和 25)に生産が始まり、自治体や企業に 200 台近く納品された。 ただ、製造は 98 年、修理点検サービスも 2016 年で終了した。
今も現役なのは 3 台だけで、八幡浜市のほか、同市より先に導入された三重県伊賀市、大分市にある。 近年、八幡浜市のミュージックサイレンは、故障や不調が相次ぐ。 制御盤の故障などで音階が乱れたり異音が流れたりして、中断することもある。 6、7 年前から機器の補修や点検を担うのは、愛媛県松前町の電気設備業、早瀬雄次さん (62) だ。 6 月初旬、修理のために現地を訪れた早瀬さんに同行し、高さ約 4 メートルのコンクリートの台上にある機器の内部を見せてもらった。 回転しながら圧縮空気を開閉式の穴から排出して音を発生させるドラム 12 基が整然と並ぶ。 修理では、ドラムをすべて分解して掃除し、組み直したほか、ドラムに送り込むエアを発生させる 24 カ所のシリンダーを別メーカーのものに新調。 さらにシリンダーを固定する金具を知人の板金業者に特注で作ってもらい、交換した。 「補修しても別の不調が生じ、モグラたたきのよう。 音響設備でもミュージックサイレンはかなり特殊で、調整が難しい。」と早瀬さん。 市には「音が一つ飛んでいる」といった苦情がその後も寄せられているが、早瀬さんは「地元の人の強い愛着が伝わってくる」と言う。 終戦時 5 歳だった八幡浜市内の元公民館長、藤高定実さん (83) は「今も世界で争いが絶えない中、八幡浜の素晴らしい文化を後世に残したい」と話す。 大城一郎市長は「大切に使ってできるだけ長く存続させたいが、どこかで寿命が来る。 メロディーは変えず、防災行政無線で代用することも検討する必要があるかもしれない。」 八幡浜以外でもミュージックサイレンへの地元の思いは強い。 伊賀市は今年 3 月、現役でメロディーを流す旧上野市庁舎屋上の機器を市の有形文化財(歴史資料)に指定した。 担当者は「戦後復興の象徴として、稼働させながら保存していきたい。」 大分市中心部の百貨店トキハ本店では、屋上で 70 年奏でるが、引退の予定はない。 担当者は「老朽化で音階はずれているかもしれないが、メロディーはまだきちんと流れる。 定期的なメンテナンスはしておらず、壊れたらそこまでだが、できるだけ長く続けたい」と語る。 (亀岡龍太、asahi = 8-28-24) 中国禁輸乗り切っても ホタテ業者を悩ませる「高齢者に頼るしか」 東京電力福島第一原発で処理水の放出が始まって 1 年が過ぎた。 中国の禁輸措置で大きな打撃を受けた北海道内のホタテ加工業者はどう過ごしたのか。 販売量は例年並みに戻りつつあるが、「楽観できない」と関係者は口をそろえる。 水揚げされたホタテ貝がうずたかく積まれている。 20 人ほどの工員が、一つひとつ手作業で殻をむき、貝柱を取り出す。 北海道紋別市の港近くにある「丸ウロコ三和水産」のホタテ加工工場では、貝柱を冷凍し、袋詰めして製品に仕上げる。 8 月上旬、貝柱はこの時期が最も大きくなるという。 中国の禁輸が決まった 1 年前、冷凍ホタテの在庫が膨れあがった。 稚貝から育てるホタテ漁は、計画的な水揚げが必要。 工場の稼働をやめられず、自前の倉庫だけでは抱えきれなくなったという。 明るい兆しが見え始めたのは、国内の「応援セール」が盛り上がってからだ。 同時に、米国をはじめとした中国以外の国への輸出先も、水産商社などと開拓した。 国内販売は前年度の 30% 増、中国以外の輸出も 40% ほど伸び、中国向けの減少分を穴埋めできた。 だが、販売単価が落ちたため、売上高は前年の約 10% 減。 新工場の建設を 1 年先送りして、なんとか黒字は確保したという。 「中国向け輸出の復活は当面、期待できない。」 関係者たちは口をそろえる。 そのため、国内で高まった需要の維持が不可欠だ。 国内の月間消費量は最大で前年の 1.6 倍にまで増えた。 「一過性になるのでは」 北海道水産物加工協同組合連合会の斉藤貢・専務理事は「ふるさと納税の好調は続いている。 国内の消費者はついてきてくれている。」と指摘する。 丸ウロコ三和水産の山崎和也社長も「冷凍ホタテはジャンルを問わず使える食材。 手間もかからない。」と需要の定着を期待する。 一方、札幌市の流通業者は「急増した売り上げがすぐ落ちるのを(ほかの商品で)何度も経験してきた」と慎重だ。 開拓した販路を維持できるか、今夏以降が正念場になるという。 国内の金利引き上げをきっかけに円高へと傾いたことも懸念材料だ。 米国などへの輸出が伸びたのは、円安による割安感も一因だった。 「為替は我々がコントロールできない。(流通業者)」 相場頼みの面もある。 そもそも、ホタテ輸出の半数を中国が占めるようになったのは、国内の人手不足が一因だった。 殻がついたままの冷凍ホタテを中国へ売り、中国内の工場で殻をむき、各国へと輸出されていた。 禁輸で中国への輸出ができなくなったため、業者たちは国内での殻むきを増やした。 だが、人手不足はより深刻になっており、加工作業を担う人の確保は年々厳しくなっている。 海外実習生の登用や機械化など模索は続く。 サロマ湖に近い湧別漁港(湧別町)で今春、総工費 40 億円を投じた最新鋭の工場ができた。 手間のかかる殻むきを自動化する機械 4 台を導入。 実質 36 人分の手作業を省くことができ、フル稼働が続く。 だが、生産量は当初計画の 1 日 30 トンを達成できず、25 トン程度にとどまる。 工場全体の作業に必要な 60 人が集まらず、40 人で回しているからだ。 湧別漁協の担当者は嘆く。 「地元の高齢者に頼らざるを得ず、人員確保のめどは立たない。」 (丸石伸一、asahi = 8-24-24) 元日に花が咲いて … 梅が記録的な不作 梅酒や梅干し作りに影響も 梅が記録的な不作に見舞われている。 農林水産省によると、暖冬の影響などで出荷量は例年の 4 - 5 割にとどまり、過去数十年でもっとも少ない水準になる可能性があるという。 梅酒や梅のお菓子の加工業者は梅の確保に追われている。 総出荷量の 6 割を占める全国一の産地、和歌山県。 7 月初旬、みなべ町晩稲の「月向農園」では、収穫や後片付けを終え、ひっそりとしていた。 例年は収穫作業などに追われるが、今年は 1 週間ほど早く終わったという。 梅農家になって 4 代目の月向雅彦さん (62) は 1.5 ヘクタールの農園で、年間約 30 トンを収穫する。 ただ、今年は例年の 4 分の 1 にとどまった。 大型の冷凍庫には、今年と昨年に収穫した梅の実を保存している。 だが、今年いっぱいで使い切ってしまうため、来年の在庫が無くなりそうだ。 たった2週間、でも影響は大きい 月向さんは今年の元日から異変を感じていた。 例年 1 月中旬に梅の花が咲き、2 月に満開を迎えるが、今年は元日には花が咲き始め、1 月 25 日ごろには満開になった。 「たった 2 週間だがこの影響が大きい。 40 年近く梅を収穫しているがこんな不作は初めて。 『こんなんで飯が食えるんか』というぐらいだ。」 JA や自治体などでつくる「日高果樹技術者協議会」が、産地のみなべを含む農園 118 園を対象に調査した結果、着果数は過去 10 年の平均比で 38% にとどまった。 全国でも同様だ。 農水省が全国の産地の状況を聞き取りしたところ、担当者は「最終的な収穫量はまだ分からないが、昨年の 4、5 割程度という回答が多かった」と明かす。 梅の価格も 6 月には例年の 3 倍ほどと高騰した。 蜂による受粉できず 原因は暖冬にある。 暖冬で開花時期が早まったことから、めしべが無いなどの「不完全花」が増えた。 また、花粉を媒介する蜂の活動時期とずれ、受粉が十分にできずに着果数が減った影響も大きい。 和歌山県内では 3 月に降ったひょうやカメムシの被害も重なり、実に傷がつくなどして品質も低下しているという。 梅の加工業にも影響が出ている。 「チョーヤ梅酒(大阪府)」は、今年の梅の仕入れが半分程度に激減した。 昨年までにつけ込んだ梅酒で当面しのぎ、梅酒の出荷に影響は出ないというが、同社広報担当者は「仕入れ価格も高い。 暖冬が続いて来年も不作になると不安だ。」 みなべ町の創業190年の梅干し専門店「五代庵」でも自社農園の梅の収穫量が大幅に減りそうだ。 「商品の種類を絞るなどの工夫をしないといけないかもしれない。」 全国のデパートに店舗を展開する人気和菓子舗「叶匠寿庵(大津市)」でも自社農園で 6 月中旬から開かれた「梅狩り」イベントを、約 3 週間から 9 日間に短縮した。 「今年の梅は確保できましたが、来年以降が不安です。」 「梅仕事」も直撃 例年 6 月ごろからは、収穫したばかりの梅で自家製の梅酒や梅干しをつくる「梅仕事」の時期。 その風物詩にも影響は及んだ。 東京都世田谷区の濱直子さん (52) は、実家の庭でとれる梅で梅干しや梅シロップ、梅みそなどを仕込んでいるが、今年は梅の実が十分にできなかった。 インターネット販売で買い足そうとしたが、5 月中旬からどこも「完売」だった。 「子どものころから、梅干しは自家製。 最近、体調が悪かった時も自家製の梅干しに助けられたので、今年は絶対漬けたかった。」と濱さん。 スーパーなどを探してようやく 6 キロ分を集め、友人 3 人と梅干しを仕込んだが、今年は親族へのお裾分けはできなさそうだ。 (asahi = 8-22-24) 川遊びで体調不良、新たに 23 人症状 川の水が原因の感染症の疑いも 熊本県天草市天草町にある「轟の滝」周辺で川遊びをした人が相次いで嘔吐や下痢の症状を訴えた問題で、21 日までに新たに 23 人が同様の症状で医療機関を受診したことが分かった。 保健所が集計している患者数は、69 人になった。 重症者は確認されていない。 川の水が原因の感染症も疑われるとして、保健所が注意を呼びかけている。 県によると、今月 13 日に滝の周辺で遊んだ高校生 7 人全員が 15 - 16 日に嘔吐や下痢の症状を訴えて病院を受診した。 16 日に保護者から通報があった。 21 日までに天草保健所が地域の 5 医療機関に確認したところ、子どもを含む計 69 人が、川で遊んだ後に同様の症状で受診した。 共通の食事はないため食中毒の疑いは薄いとして、採取した川の水や患者の便を調べている。 県は遊泳を控えるよう呼びかける看板を、滝周辺 6 カ所に設置した。 天草市によると、轟の滝は遊泳のほか、岩場からの飛び込みができるスポットとして知られ、地元の中高生らに人気がある。 今週に入り、市民から「滝は立ち入り禁止なのか」などの問い合わせも寄せられているという。 (渡辺淳基、asahi = 8-21-24) 富士山隠す幕を一時撤去、再設置の要否判断へ 山梨県富士河口湖町 富士山と重ねた写真を撮ろうと訪日客が集まるコンビニエンスストア前に設置された幕について、地元の山梨県富士河口湖町はいったん撤去した。 台風 7 号の接近に伴う破損などを避けるためだったが、これを機に観光客らの様子を見て、再設置の要否を判断することにした。 幕は「ローソン河口湖駅前店」前の町道と反対側の歩道の間に 5 月 21 日に設置された。 当初は黒色だったが、人為的に開けたとみられる穴が複数見つかり、7月25日に色を茶に変更した上で丈夫な材質のものに張り替えていた。 町によると、8月15日に撤去したが、19日までの間、目立った混乱はないという。 (棟形祐水、asahi = 8-20-24) 前 報 (6-24-24) 側溝の鉄ふたにイチゴマーク マーキングし、ローコストで盗難防止 道路の側溝のふたの盗難被害を防ごうと、栃木県真岡市がふたにスプレー塗料でイチゴのマークをつける取り組みを始めた。 マークがあれば持ち去って売ろうとしても同市からの盗品だと特定されるため、市は盗みをためらわせて犯罪を抑止する効果があるとしている。 市がマーキングをしているのは、市道の側溝を覆う格子状の鉄製のふたで、重さは1枚約 20 キロ。 背景にあるのは、後を絶たない盗難被害だ。 売却を目的としたとみられる被害は近年各地で後を絶たず、市内でも 2022 年度 25 枚、23 年 度40 枚、今年度は 6 月までの 3 カ月間で 23 枚と右肩上がりで増えている。 市は、ふたが盗まれると再購入に余計な金を使うことになるだけでなく、再設置までに歩行者や自転車が側溝に転落する事故を引き起こす恐れもある、と指摘している。 被害を防ぐには、ふたを金具で固定する方法が有効だというが、相応の費用がかかる。 そこで、市はローコストで維持管理ができるスプレー塗料でのマーキングに取り組むことにした。 デザインは、市が日本一の生産量を誇るイチゴを活用した。 職員が作った型紙を使ってスプレーすると、ふたに縦 25 センチ、横 18 センチのイチゴマークを付けられる仕組みだ。 市は過去に被害に遭った場所からマーキングを進めている。 市は「売り物にならないと思わせる効果を期待したい」としている。 (津布楽洋一、asahi = 8-18-24) 小学校校舎、新築か改修か 住民投票 児童数激減見通しの青森の町で 四つの小学校の統合を計画している青森県板柳町で、新小学校の校舎を新築するか、既存の小学校を改修するかを問う住民投票が 18 日、投開票される。 2050 年には児童が 3 分の 1 の約 150 人に激減する見通しで、町民の判断が問われる。 町教委は、国立社会保障・人口問題研究所の 2023 年推計をもとに、2050 年の小学生の数は 2020 年の 522 人から 153 人に減り、中学生は 288 人から 83 人に減るとする。 同町内にある小学校 4 校を向こう数年で統合する方向だ。 4 小学校の統合には町民間で大きな異論はない。 溝があるのは、新校舎の場所と整備方法だ。 既存施設の活用を公約して昨年 4 月に初当選した葛西健人町長は、町南部の南小学校を改修する方針。 一方で「新築派」の町議らは、町中心部の板柳中学校の北隣に統合小を新築するよう求める。 「改修派」の葛西町長は、3 月議会に小学校改修費を含む一般会計当初予算案を提出したが、改修費部分は認められなかった。 一方で 9 町内会から新築を求める請願が出て、議会は採択。 その後の 6 月議会で、改修か新築かを問う住民投票条例の制定案を可決し、「真夏の投票」に至った。 投票では「板柳中学校に隣接し、統合小学校を新築」か「板柳南小を統合小学校として、長寿命化改修」を選ぶ。 新築は 2030 年 4 月、改修は 28 年 4 月の開校をめざす。 総事業費は新築で約 54 億円、改修で約 31 億円とされる。 町が 8、11 日に町内で行った公開討論会。 8 日の討論会には町議 12 人のうち 11 人が出席し、新築と改修それぞれの持論を展開した。 改修派の今浩一町議は「防災の拠点や役場庁舎など、これから膨大な予算が必要になる。 子どもたちに大きな負担を残すべきではない」と主張。 新築派の長内良蔵町議は「改修にも巨額の費用が必要。 最新技術を駆使した小学校の新築は、安全性や快適性、機能性からみても高くはない。」と訴えた。 出席した 11 人中、6 人が改修、5 人が新築に賛成した。 住民投票に法的拘束力はないが、町は結果をもとに対応を決める。 7 日現在の投票資格者名簿登録者数は 1 万 0,871 人。 (江湖良二、asahi = 8-18-24) 北東北をカバーする物流拠点として注目 2024 年問題で開業相次ぐ 運転手の労働時間の規制が強化された「2024 年問題」を受け、盛岡市や北上市の周辺が北東北の新たな物流拠点として注目されている。 ここ数年、高まる需要に応えようと、物流施設の開業が相次ぐ。 東北自動車道の盛岡南インターから約 4.7 キロメートルの位置にある「プロロジスパーク盛岡(矢巾町)」は、昨年末に完成した。 「3 階建てで、延べ床面積約 9 万 9 千平方メートル。 1 区画最小 1,500 坪から利用可能で、賃貸型の物流施設では東北地方最大級」とプロロジス社の中山博貴さんは語る。 物流業界は長年、運転手の長時間労働が問題とされてきた。 労働基準法の改正で、今年 4 月から運転手の時間外労働を年 960 時間までにする規制がスタート。 それまで東北 6 県の物流の拠点は仙台だったが、北東北の多くの地域がカバーできなくなった。 「ここから 3 時間以内に南は仙台、北は本州最北部まで到達可能だ。 都市に隣接しているので働く人材も確保しやすい」と中山さんは語る。/p> 建物内は、24 時間体制の防災センターや寒冷地仕様の空調を完備し、温かみのあるデザインで、「ヘラルボニー」のアート作品も展示されている。「ここで働きたいと思えるオフィスビルのような環境にした」と中山さん。 カフェテリアでは、無料 WiFi があり、コンビニも併設されている。 効率化の面でも工夫をした。 各階にトラックが直接乗り付け、荷物の積み下ろしにかかる時間を省けるようにした。 さらなる省力化のため、立体型仕分けロボットの内覧会を開くなどして、多くの企業の関心を呼んでいる。 「ネット通販が広がり、消費者になじみのある商品を取り扱う企業の入居や問い合わせが多い」と中山さん。 すでに日本通運などが入居している。 プロロジス社は 6 月、金ケ崎町に「プロロジスパーク北上金ケ崎」も着工した。 北上金ケ崎インターに隣接しており、秋田市へ約 2 時間で到達できるなど、日本海側へのアクセスのよさが強みだ。 大和ハウス工業も北上市や花巻市で大規模な物流施設を相次いで開業させている。 自治体もこの好機を見逃さない。 盛岡市は、盛岡南インター付近に物流業に特化した産業団地を整備中だ。 28 年ごろに工事を完了させる予定。 市では、5 千人の新たな雇用と 580 億円近い経済効果があると試算する。 (岩手・伊藤恵里奈、asahi = 8-17-24) 「踊る阿呆」と「見る阿呆」の笑顔が戻った町 5 年ぶりに演舞場復活 徳島市の阿波踊りは 12 日、屋外での演舞が始まった。 街全体に「踊る阿呆」の姿があふれ、5 年ぶりに復活した繁華街近くの紺屋町演舞場にも多くの「見る阿呆」が詰めかけた。 地元の商店主らは盛り上がりに期待を高めている。 午後 6 時前、紺屋町演舞場の桟敷開きで、演舞場の協賛企業バルの中田一生(かずき)社長 (40) があいさつした。 「今年の阿波踊りは、この紺屋町がどの演舞場よりも一番盛り上がるように、準備を進めて参りました。」 貸し駐車場を経営する同社は、町内に本社を置く。 復活を後押ししたのは、市内の企業経営者らでつくる NPO 法人「阿波まち活性協議会」だ。 地域の商店主や住民らに復活を望むかアンケートを実施するなどして、コロナ禍以降、活気が戻りきらない地域の盛り上げを模索してきた。 紺屋町演舞場はもともと、市中心部に 3 カ所あった有料演舞場のうち、最も規模が小さく、知名度も低かったという。 新町川沿いの公園内に設けられる藍場浜演舞場は、席数が約 4,600 席と最多で、JR 徳島駅から徒歩 5 分とアクセスも良い。 同じく新町川沿いの南内町演舞場(約 2,700 席)は毎晩、阿波おどり振興協会所属の連による迫力満点の「総踊り」があることで知られる。 桟敷席開設にハードル、騒音やごみも課題 一方の紺屋町は徳島駅から約 1 キロ離れており、規模も約 2,200 席。 協議会事務局長の吉田啓司さん (50) は「飲食街に近いものの、特色がないと思われがちだった」と振り返る。 また、これらの有料演舞場の中では唯一、公道上に桟敷席を設けるため、道路の使用許可が必要となるなど、準備のハードルが高い。 地元住民の中には、騒音やごみの問題から、開設に反対する声もあった。 紺屋町が最後に設置されたのはコロナ禍前の 2019 年だった。 20 年の中止を経て、21 年は屋内のみの開催。 屋外演舞場が再開した 22 年以降も、地元との調整がつかないことなどから、開設は見送られてきた。 ただ、協議会が昨春に実施した地元アンケートでは 6 割以上が開設を希望すると答えた。 地元が要望書、地域で盛り上げへ 経済団体や市などでつくる実行委員会が昨年 12 月に発表した事業計画に、紺屋町演舞場が盛り込まれていなかったことを受け、地元町内会は今年 3月の実行委を前に、復活を求める要望書を出した。 町内会の協議では、なお反対する声も出たが、「今年復活しなければ、次はないかもしれない。」との危機感から要望書につながったという。 この日の桟敷開きを見守った商店主の一人は「久しぶりににぎわいが戻ってきた。 自分たちで望んで復活した以上、ごみ問題などの課題にも積極的に取り組んでいきたい」と話した。 演舞場の周辺も盛り上げようと、吉田さんらは近くの大型駐車場に「おどり広場」を開くことにした。 企業連や鳴り物だけのグループ、小さな子どもたちの連など、幅広い人たちに自由に踊ってもらうのが狙いだ。 仮設トイレを置き、キッチンカーも並んだ。 踊り手の休憩所としても使ってもらい、地域一体となって阿波踊りを支え、盛り上げる。 (相江智也、asahi = 8-13-24) 黒トリュフの人工栽培できる? 昨秋は初めて二つ発生、今秋は … 世界三大珍味の一つで、西洋料理の高級食材として知られる「トリュフ」の仲間、黒トリュフの人工栽培に、岐阜県森林研究所(岐阜県美濃市)が成功した。 とはいえ、成功を確認したのは昨秋の二つだけ。 収穫時期となる今秋のさらなる発生に期待をかけるほか、人工栽培方法などの確立をめざしている。 同研究所の敷地内。 建物の裏手に試験地がある。 区画は一つが幅 120 センチ、奥行き 180 センチ。 2 年育成した市販のコナラの根を、黒トリュフをミキサーにかけた液にひたし、条件を変えた四つの区画に植えている。 同研究所が森林総合研究所と共同で「アジアクロセイヨウショウロ」という黒トリュフの種を使って栽培試験を始めたのは 2016 年から。 8 年がたち、当初、高さ約 80 センチだったコナラは今、最大で 8 メートルほどに育った。 樹木が大きくなればその分、根にまわる栄養も増えるという。 マツタケ同様、難しい人工栽培 黒トリュフの収穫は秋ごろという。 担当の水谷和人・主任専門研究員(菌類学)は「今年の秋も、黒トリュフが出てくるかも」と期待する。 同研究所によると、トリュフはブナ科樹木などの根にくっつき、共生しつつ地中で育つキノコ。 世界中に少なくとも 180 種いると推定されているという。 国内にも 20 種以上いるとされるが、マツタケ同様、人工栽培が非常に難しいという。 黒トリュフを育てるにはどうしたらいいのか。 ポイントとなりそうなのが土壌だ。 水谷さんが、国内で黒トリュフが自生している場所を調べると、通常の土壌に比べて少しアルカリ性だった。 そこで、一部の試験区画の土壌に市販の石灰を使ったという。 初めて「その日」が来たのは、試験を始めて 7 年あまりたった 23 年 10 月のことだった。
石灰を使った区画の地表に、黒い物体が現れているのを見つけた。 近くを探すと、もう一つ。 「そんな簡単に出てくるわけがない」とも思っていた水谷さん。 「見つけて感動はしたんですが、え、まさか、出てくるんだ、と。 油断してました。」 かつて同様に地下で育つマツタケの人工栽培に取り組んだが、「なぜ出ないのかも分からない」くらいに難しかったためだ。 見つけた一つはすぐに採取して、一部をカット。 森林総研に送って分析を依頼した。 その結果、試験で使った黒トリュフと同一だったことが明らかになった。 その後、もう一つも採った。 香りはこちらの方が強かったという。 「収穫時期によって香りに影響するのかもしれない」と話す。 栽培開始から収穫までの期間を短くしたり、収穫量を増やしたり。 水谷さんは「まずは発生することが分かった。 次は、継続して安定的に生えるようにしたい」と話す。 次の発生を待つと同時に、より適切な栽培条件を探る研究も進める。 白トリュフの人工栽培も トリュフの人工栽培が軌道に乗り、お手軽に食卓に上る日が来るのか。 トリュフには、岐阜県で発生した黒だけでなく、白もある。 各地で人工栽培の取り組みが進んでいる。 国産の白トリュフ「ホンセイヨウショウロ」については、森林総研が 22 年秋、茨城県と京都府の試験地で人工栽培に成功した。 翌 23 年秋には、より多くのトリュフが発生したという。 森林総研によると、国内で流通するトリュフはすべて海外からの輸入品。 産地によって価格は異なるものの、欧州産は 1 キロ約 8 万円(20 年度貿易統計)で輸入されているという。 人工栽培が始まるきっかけと言えるのは、11 年に報告された国産のトリュフが 20 タイプ以上あるという論文。 それらの中には、食材としての可能性を秘めたものもあった。 森林総研ではその後、国産トリュフの人工栽培の実現をめざし、試験を始めたという。 森林総研東北支所の山中高史・支所長(森林微生物学)は「トリュフなどの菌根菌は生きた根に共生し、土壌の中で広がっていき、発生する。 土壌の中にはすでにいろいろな菌がいるので、競合する。 その状態で増えないと発生しないという難しさがある」と話す。 トリュフの人工栽培研究は、まだこれからが本番だ。 (木村俊介、asahi = 8-12-24) 南海トラフ変化なし … でも「日向灘での M8 巨大地震に注意」 調査委 宮崎県沖の日向灘で 8 日に起きたマグニチュード (M) 7.0 の地震について、政府の地震調査委員会は 9 日、臨時の会合を開いた。 懸念される南海トラフ巨大地震の震源域には特段の変化はないとしつつ、日向灘周辺で M8 級の巨大地震が起きる可能性があるとして注意を呼びかけた。 静岡県沖から九州沖に延びる南海トラフ沿いでは、大きな地震が繰り返し起きてきた。 日向灘はその想定震源域の南西端にあたる。 地震学者らでつくる地震調査委は、今回の日向灘の地震による影響などについて検討した。 終了後に記者会見した委員長の平田直・東京大名誉教授(地震学)は、南海トラフ地震想定震源域の地下の変化について「現時点ではプレートの動きが変わったようなデータは得られていない」と結果を説明した。 日向灘については、M7.0 - 7.5 程度の地震が平均 20 年に 1 度起きることが知られ、30 年以内に 80% 程度の確率で起きることが懸念されてきたと説明。 「今回は想定された地震が起きたとみられる。 不規則な間隔で地震が繰り返されている地域であり、引き続き注意してほしい。」と話した。 一方で調査委は、日向灘では M8 級の巨大地震が起きたことがあるため、注意が必要だとする見解を公表した。 1662 年に死者約 200 人を出した「外所(とんところ)地震」は、M8 級の巨大地震だった可能性を指摘する研究があるという。 東日本大震災 (M9.0) の 2 日前には三陸沖で M7.3 の地震が起きた。 平田氏は「日向灘でも M8 級は起きうるという認識だ。 発生確率などは評価できないが、大きな地震が起きる可能性があると考えて備えていただきたい。」と呼びかけた。 (川原千夏子、竹野内崇宏、Asahi = 8-10-24) ◇ ◇ ◇ 日向灘地震は「プレート境界型」 南海トラフ全域への影響は限定的か 南海トラフ巨大地震の想定震源域にあたる、日向灘で起きたマグニチュード (M) 7.1 の地震。 東京大の佐竹健治名誉教授は「日向灘では 20 年に 1 度ほど、大きな地震が起きてきた。 1968 年の M7.5 の地震でも津波が発生している」と話す。 南海トラフ地震「注意」、気象庁が臨時情報 今後 1 週間は備えを 日向灘は、静岡県沖から続く南海トラフの延長部にあたる領域だ。 M9 級の巨大地震の想定震源域に含まれるが、四国沖以東に比べると、一回り小さい M7.0 - M7.6 前後の地震を短い間隔で繰り返しており、地下に溜まったひずみが解消されてきた面もあるという。 2 - 3 日は規模の大きな地震に注意を 京都大防災研究所宮崎観測所の山下裕亮助教は「陸のプレートと、沈み込むフィリピン海プレートの間がずれ動いた『プレート境界型』の地震が起きたとみられる」と話す。 2011 年の東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)と同様で、南海トラフでも懸念されているタイプの地震だ。 プレートが普段と逆方向にずれ動いたことで、日向灘沖の海底地盤が変動し、津波が発生したとみられるという。 山下助教は「特に今回の震源域では、30 - 35 年間隔で M7.0 - M7.1 の地震が繰り返されてきた。 今回もその再来だとみられる。 宮崎県沖ではこれから 2 - 3 日、規模の大きな地震が起きやすくなっているため注意が必要だ」と語る。 南海トラフ巨大地震への影響はどうか。 政府の評価検討会が議論を進めているが、山下助教は「スロー地震などの経過をみる必要があるが、すぐに巨大地震が起きやすくなるような影響は与えないのではないか」とみる。 山下助教は「臨時情報について初めて聞く方が多いと思う。 南海トラフ巨大地震がすぐ起こる前触れの情報というわけではなく、普段よりも大きな地震が起きやすくなることをお知らせする情報だ」としたうえで、「臨時情報について知った上で、家具の固定など日ごろの備えを見直すきっかけにしてほしい」と呼びかける。(竹野内崇宏) 日頃の生活続けながら備えを 日向灘で起きた地震について、京都大防災研究所の西村卓也教授(測地学)は「日向灘は地震活動が活発なところ。 プレート境界付近で起きた地震だ。」と指摘。 周辺では過去に 1931 年、61 年、96 年の 30 - 35 年ごとに M7 前後の地震が起きており、同様のメカニズムだと指摘する。 南海トラフ地震との関連性については「日向灘も南海トラフも、同じフィリピン海プレートで断層としてはつながっており、今回はその一部が割れた。 そのずれが周囲にひろがっていくことで巨大地震が起こる可能性はある」と解説する。 一方、「巨大地震注意」が出たことについて、「ただちに地震が来るわけではない。 寝る際に防災バッグを枕元に置いたり、家具が倒れるような場所では寝たりしないよう、日頃の生活を続けながら、地震に対する備えをしっかりしておくことが重要だ」と指摘する。(石倉徹也) 「注意」の情報は妥当 関西大学の林能成教授(地震学・地震防災)は「今回のように地震の揺れが限定的で、広範囲に及ぶ南海トラフの想定域のうち東半分は揺れ自体を感じていない。 そういった場合に注意を促すためにある情報で、妥当な判断だ」と話す。 事前の取り決めでは、領域内で地震の規模を示すマグニチュード (M) 7.0 以上の地震が起きたと評価した場合に「巨大地震注意情報」を出すとしている。 今回の地震は M7.1 であり、林教授は「運用のルール上では巨大地震注意情報を出すのは当然の運用だ」と話す。 ただ、注意情報を出したからといって南海トラフ地震が必ず起こるというものではない。 あくまでも可能性があると知らせる情報で、社会がどのように備えるか問われていると指摘する。 「自治体や企業はどのように対応するかマニュアルを定めていないところもあるだろう。 今回を期に改めて防災への備えを見直してもらいたい。」と注意を促す。 臨時情報の制度は、東日本大震災後の防災の機運が全国的に高まった時に検討された。 林教授は「今後も情報は出るかもしれないが、決してオオカミ少年的に鈍くならず、情報の意味合いを考えるきっかけにしてもらいたい」と話した。 (川原千夏子、asahi = 8-8-24) タワマンやめた、神戸の選択 減る人口「争奪ふさわしくない」 関西屈指の繁華街、神戸・三宮。 そこから神戸港に向かう一角に「最後のタワマン」が間もなく完成する。 27 階建てのタワーマンション 2 棟からは「1 千万ドルの夜景」とされる一部や港が一望できる。 建設した住友不動産によると、上層の 2 億円近い部屋を含めて計 690 戸の売れ行きは好調だが、タワマンの魅力だけが人気の理由ではない。 同社の広報担当者は「神戸市のタワマン規制で希少性が高まっている。 時とともに価値が上がる可能性も高い。」と話す。 着工は 2019 年。 翌年、神戸市は繁華街が広がる JR 三ノ宮駅南側の一帯 22.6 ヘクタールで住宅新設を禁じ、周辺の市街地 292 ヘクタールで容積率400% 以上の住宅建設を規制。 市中心部ではタワマンが事実上新築できなくなった。 同じ時期、大阪・梅田では大阪駅北側の再開発に合わせて複数のタワマン新設が進み、職住近接を望む高収入世帯を引き寄せようとしていた。 なぜ神戸市は「街の繁栄の象徴」とも言えるタワマンを規制するのか。 久元喜造市長は「自治体間で人口を奪い合うタワマンは人口減少時代にふさわしくない。 大阪がどんどん建てるから神戸も、という発想には立たない」と他都市と一線を画す。 「神戸市が再び人口増に転換する可能性はほぼない。」 そう公言する久元市長は「人口が減るのが分かっていながら住宅を建て続けることは、将来の廃棄物を造ることに等しい。 タワマンはその典型。」と語る。 神戸市がタワマン規制の理由の一つに挙げるのは、将来のリスクだ。 タワマンが老朽化すれば修繕費はかさむ。 居住者は多種多様で合意形成は難しく、修繕費の備えも不十分にならざるを得ない。 いずれ価値が下落して居住者が減れば、解体費用をまかなえずに廃虚と化し、まちの中心部に残る - -。 そんな未来を思い浮かべる。 一方で、神戸市は政令指定市の中で、人口減にいち早く直面してきた。 11 年をピークに減少に転じると、指定市では後発の福岡、川崎両市に相次いで抜かれ、昨年 10 月には 150 万人を切った。 人口減少の波は、40 年に今より 2 割減る現役世代(15 - 64 歳)の争奪戦を伴って都市部を襲う。 そんな「8 がけ社会」に向けて、都市はどんな先手を打つべきか。 神戸は目の前の競争と未来の生き残りを迫られる、ジレンマの渦中にある。 (小川聡仁、asahi = 8-5-24)
夏の北アルプス、景観楽しむ大勢の観光客 新穂高ロープウェイが再開 ![]() アルプスの観光名所「新穂高ロープウェイ(岐阜県高山市)」が 1 日、国内唯一の 2 階建てゴンドラの支索(ロープ)交換を終え、約 3 カ月ぶりに全線で運行を再開した。 朝から大勢の観光客や登山者が乗り込み、夏山の景観を楽しんだ。 1970 年に開業。 新穂高温泉駅(標高 1,117 メートル)と西穂高口駅(同 2,156 メートル)を二つのロープウェイで結ぶ。 山上へ向かう第 2 ロープウェイは 2 階建てゴンドラを導入して四半世紀が過ぎ、2 基あるゴンドラの支索 4 本を交換する工事を昨年春から断続的に進めていた。 この日、第 2 ロープウェイのしらかば平駅(同 1,308 メートル)では午前 8 時 15 分の始発から長い列ができ、改札口で記念品が配られた。 最上部の西穂高口駅に到着した和歌山市の男性 (60) は「何度来てもいいね」と十数年ぶりに槍・穂高連峰の眺望を楽しんだ。 新穂高ロープウェイを運行する奥飛観光開発(高山市)は親会社の名古屋鉄道(名古屋市)とともに、「世界水準の山岳リゾートを目指す」として、西穂高口駅周辺の整備を進めている。 「頂の森」と名付け、2022 年秋に槍ケ岳を正面に望む展望デッキなどを設置。 原生林の自然を楽しむ散策路やイベントステージなどを 9 - 10 月に順次開く予定だ。 西穂高口駅舎(4 階建て)も、屋上展望台の新装など 26 年春の完成を目指して改装に入っている。 奥飛観光開発の川瀬裕之社長は取材に対し、運行再開と施設整備について「北アルプスの景観を様々な角度から楽しみ、大自然を満喫していただきたい」と話した。 (荻野好弘、asahi = 8-2-24) 熊本のプラチナ鉱床から新鉱物「不知火鉱」発見 東大 熊本県美里町で新種の鉱物を見つけたと、東京大学物性研究所などのグループが発表した。 国内では珍しい、白金(プラチナ)を主成分とする鉱床から見いだされ、「不知火鉱」と名付けられた。 不知火鉱は銅、ロジウム、硫黄を主成分とする鉱物で、これまで人工的につくられたことはあったが、天然で見つかったのは初めてだという。 発見地は美里町を流れる川で、2019 年にグループが日本で唯一の白金を主成分とした砂白金の鉱床を発見していた。 不知火鉱は、白金を主成分とする鉱石に抱きかかえられるような形で見つかったという。 東大物性研の浜根大輔技術専門職員によると、1 ミリにも満たない粒を一つ一つより分けながら電子顕微鏡で観察し、数千粒に 10 粒ほどの新鉱物を探し当てた。 浜根さんは新鉱物の発見について「珍しい鉱床で、珍しい反応が起きたことを示している。 どんな反応があったのかなど、つくられ方などを明らかにしていきたい。」と話した。 不知火鉱は今年3月、国際鉱物学連合の委員会で新鉱物として認められ、7月、日本鉱物科学系の 英文誌 に掲載された。 (杉浦奈実、asahi = 7-31-24) |