中国で大規模黄砂、北京などに警報

春の黄砂時期を迎えた中国の首都北京は 22 日、大規模な砂嵐に見舞われ、大気汚染状況を示す空気質指数が過去最悪の 500 を記録した。 非公式な測定値では 2 倍近い数値も出ている。 オレンジ色にかすんだ北京の一部地域では同日朝、視界が 1 キロ未満まで低下した。 当局は気象警報を発令し、屋外での活動を控えるよう呼び掛けた。

中国北・北西部の一部もオレンジ色に染まり、視界数百メートルを切る場所もあった。 気象当局は午前 8 時から 24 時間、一帯に黄砂警報を出した。 主な汚染源は直径 10 マイクロメートル以下の微粒子「PM10」で、吸い込めば呼吸器疾患など健康問題を引き起こす可能性がある。 気象当局は「風や砂から身を守り、ドアや窓を適宜閉める」べきだとし、屋外ではマスクを着用するよう警告した。 (AFP/時事 = 3-22-23)


「中国人の幸福度は世界最高」の調査結果、中国ネット民は懐疑的
「誰が幸せ?」、「水増しされた」

国際世論調査会社イプソスが行った調査で、中国で自分は幸福だと考える人の割合が 32 カ国中最多だったことが注目を集めている。 中国メディアの中新経緯が 20 日付で伝えた。 イプソスは今月 15 日、世界の人々の幸福度に関する調査結果を発表した。 同調査は 2022 年 12 月 22 日から 23 年 1 月 6 日にオンライン調査プラットフォームを通じて、32 カ国の成人 2 万 2,508 人を対象に行われたという。

それによると、幸福度が最も高かったのが中国 (91%) だった。 以下、サウジアラビア (86%)、オランダ (85%)、インド (84%)、ブラジル (85%) が続いた。 米国は 14 位 (76%)、日本は 29 位 (60%)、韓国は 31 位 (57%) で、最下位はハンガリー (50%) だった。 イプソスの分析によると、子どもや配偶者、友人、親戚、同僚などとの関係性や、教育レベル、情報取得ルートの面で満足している人が多い一方、自国の経済や政治、社会状況、自分の財務状況、恋愛、運動などの面で不満を抱いている人が多い結果になったという。

この話題は中国で大きな注目を集めており、中国版ツイッター・微博(ウェイボー)では「中国人の幸福感が世界最高との調査報告」がトレンド上位に。 ただ、ネットユーザーから寄せられたコメントで共感度の高い("いいね" が多い)ものは上から順に「一体誰が幸せなんだよ」、「オランダを 3 位に入れたのは調査の信ぴょう性を高めるためか?」、「ポイントは、32 カ国でしか調査していないということ」など、いずれも結果に懐疑的な声となっている。

このほか、「誰に調査したのか知りたい」、「(中国は)安全感はある。 ただ幸福感というなら水増しされているとしか言えない。」、「私も幸せになりたいよ」といった声がある一方、「そんなにみんな不幸なの? 私は幸せ」、「ネット民はみんな不幸だと言うけど、私はリアルで幸せ」、「中国で生まれて幸せだと思う」といった声も散見された。 (北田、RecordChina = 3-20-23)


中国観光ビザ、きょう再開 短期滞在のビザ免除措置は停止のまま

中国政府はきょうから、観光ビザの発給を 3 年ぶりに再開しました。 ただ、日本人が 15 日以内の短期滞在に限りビザが免除される措置は、停止したままです。 中国政府はゼロコロナ政策の終了後、段階的にビジネスなどのビザの発給を再開してきましたが、きょうから観光ビザの発給も再開しました。 ただ、日本人の多くが旅行や出張などで利用してきた 15 日以内の短期滞在に限りビザが免除される措置については再開が見送られています。 このため、中国への観光が本格的に再開するのはまだ先になる見通しです。 中国政府としてはビザの発給を拡大することで海外との往来を活発にし、経済の活性化につなげたい考えです。 (TBS = 3-15-23)


高齢者、習氏に反旗 特殊部隊が「白髪運動」弾圧 - 中国・武漢デモ

地方政府の財政難と中国人の暮らし

記事コピー (3-2-23 & 3-11-23)


「中国から資金持ち出せず」 著名投資家モビアス氏の発言が拡散

[上海] モビアス・キャピタル・パートナーズの創設者として知られる著名投資家のマーク・モビアス氏はこのほど、FOX ビジネスとのインタビューで、中国の資本規制のために資金を国外に持ち出すことができないと述べ、政府の管理が厳しい経済への投資について「非常に、非常に慎重に」なるよう投資家に注意を促した。

2 日に公表されたインタビュー内容によると、モビアス氏は「私は上海の HSBC に口座を持っている。 お金を引き出すことができない。 政府は国外への資金流出を制限している」と指摘。 「なぜこんなことをするのか説明が得られない。 彼らはあらゆる種類の障壁を設けている。 彼らは『お金を出すことはできない』とは言わない。 しかし、彼らは『どうやってこのお金を稼いだのか、20 年分の記録を全部出せ』と言うのだ。 これはクレイジーだ。」と述べた。 同氏のコメントは週末に中国のソーシャルメディア「微信(ウィーチャット)」で拡散された。

モビアス氏は「現在、中国政府は全土の企業で黄金株を保有している。 つまり、彼らは全ての企業を支配しようとしている。 政府が経済においてますます支配志向を強めているのを見るのはあまり良い事とは思わない。」と語った。 (Reuters = 3-6-23)


中国 内モンゴル自治区 炭鉱崩落事故 5 人死亡 48 人不明

中国内陸部・内モンゴル自治区の炭鉱で 22 日起きた崩落事故では、これまでに 5 人が死亡し、依然として 48 人の行方が分かっておらず、懸命の救助活動が続いています。 中国メディアは、旧正月の「春節」の連休中も操業が続いていたと伝えていて、当局は、事故の詳しい原因を調べています。 中国内陸部・内モンゴル自治区の炭鉱で 22 日午後、大規模な崩落が起き、作業員や車両が巻き込まれて、これまでに 5 人が死亡、6 人がけがをしたほか、依然として 48 人の行方が分かっていません。

事故の瞬間をとらえたとみられる映像では、土砂が土煙を上げて炭鉱の斜面を崩れ落ちる様子が確認できます。 現場では、1 回目の崩落のおよそ 5 時間後にも再び大きな崩落が起きたということです。 習近平国家主席は、行方不明者の救出とけが人の治療に全力を尽くすよう指示を出していて、現場にはおよそ 900 人が動員され、夜通しで救助活動が行われています。 中国メディアは、炭鉱の作業員の話として、旧正月の「春節」の連休中も休まずに操業が続いていたと伝えていて、当局は事故の詳しい原因を調べています。 (NHK = 2-23-23)


中国、金利低下で住宅ローン返済ラッシュ 銀行の利ざや圧迫も

[北京] 中国当局は低迷している不動産販売をてこ入れするため、昨年から住宅ローン金利を引き下げている。 しかし今のところ、住宅所有者による既存ローンの早期返済ラッシュを招くだけに終わっており、銀行の利ざやを圧迫する恐れもある。 中国当局は低迷している不動産販売をてこ入れするため、昨年から住宅ローン金利を引き下げている。 しかし今のところ、住宅所有者による既存ローンの早期返済ラッシュを招くだけに終わっており、銀行の利ざやを圧迫する恐れもある。

アナリストの推計では、銀行が貸し出し金利の引き下げに着手した昨年初め以来、既存住宅ローンの 8 分の 1 近い約 7,000 億ドル相当が返済された。 住宅ローンの借り手は、数年前に今より高い金利で借りたローンに負担を感じ、貯蓄を取り崩したり、本来は高額消費や起業を後押しする狙いで導入された低金利ローンを借りたりして、住宅ローンの返済に充てている。 直近の財務諸表によると、住宅ローンは中国 5 大銀行の融資残高の約 30% を占めており、返済ラッシュは利益を脅かしかねない。

住宅ローン金利引き下げ等の支援策にもかかわらず、不動産市場がまだ目立った回復を示していないことも明確になった。 市場は落ち着きこそ見せているが、アナリストによると回復が始まるのは今年後半になりそうだ。 不動産サービス企業のアナリストは、「銀行から見れば、住宅ローンの早期返済は資金が戻ってきて新規住宅ローンの実施に役立つことを意味するが、問題は住宅購入意欲が弱いことだ」と解説した。 当局が住宅ローン金利を高くして不動産投機熱を抑えようとした数年前とは様変わりだ。

シティグループの銀行アナリスト、ジュディ・ジャン氏によると、現在の住宅ローン残高の約半分にあたる 17 兆 7,000 億元(2 兆 6,000 億ドル)程度は、2017 年第 4・四半期から 22 年第 1・四半期の間に、5,26 - 5.72% の比較的高い金利で実行されたものだ。 しかし当局は昨年半ばにかけて住宅ローンの基準金利を引き下げた。 住宅ローンデータ企業の Rong360 によると、昨年 12 月に住宅を初めて購入した人々に適用された金利は平均 4.16% と、1 年前より 137 ベーシスポイント (BP) 低く、2015 年の調査開始以来で最低だった。

銀行は返済処理スピード落とす

シティのジャン氏の推計では、早期返済された住宅ローンは昨年 4 兆 6,800 億元に上った。 中銀のデータを見ると、これに対して昨年末時点の住宅ローン残高は 38 兆 8,000 億元だ。 ジャン氏は、高金利住宅ローンの早期返済ラッシュは今後も続き、最悪の場合、中国の銀行の利益を今年最大で 5% 圧縮するとの見方を示した。 上海の海運会社に勤めるワンさんは、消費促進のための低金利ローンを借りて住宅ローンを返済し、先月は少なくとも 20 万元を節約できたと語る。 「高過ぎる住宅ローン金利を重荷に感じたから決断した」という。

地元メディアの報道によると、一部の銀行は返済手続きを複雑化したり、申請処理のスピードを遅くしたりと、早期返済の潮流を止めるべく手を打っている。 当局も早期返済ラッシュに懸念を示しており、先週は銀行幹部らと会って対策を話し合ったと国営メディアが報じた。 それによると、当局は企業・消費者向けローンの乱用について調査と制裁を強化すると表明した。

ただ、当局は住宅購入者を再び怒らせるのは避けようと腐心するだろう。 昨年は重債務を負った不動産開発企業が建設プロジェクトを未完のまま放置し、住宅購入者が抗議する騒動があったからだ。 報道によると、銀行は条件を満たした住宅所有者によるローン早期返済に制限を課すべきではないと当局は指摘し、銀行顧客の正当な利益は守るべきだとの考えを示した。 (Ziyi Tang、Liangping Gao、Ryan Woo、Reuters = 2-20-23)

◇ ◇ ◇

廃虚マンション、広がる中国 不動産「冬の時代」減速の現場を歩いた

不動産大手・中国恒大集団の経営危機が表面化して 1 年以上経つ。 中国では、住宅の開発や販売額が大幅に減った。 国内総生産 (GDP) の約 3 割を占めるとされる不動産業界の不調は、厳しい移動制限を伴うゼロコロナ政策と並び中国経済減速の主因となっている。 建設工事が止まり廃虚のようになったマンションがいま中国各地で広がっている。 市場では不動産に対する信用不安が広がり、マンションを買う人が減っている。 中国国家統計局によると、1 - 10 月の住宅販売額は前年同期比 28.2% 減。 開発も進まず、住宅の開発投資額も同 8.3% のマイナスとなった。 いずれも今年は 1999 年以降で最大の下げ幅となる見通しだ。

不動産大手の経営は改善の兆しを見せていない。 碧桂園は今年上半期の売上高が前年同期比で 3 割、純利益は同 9 割減だった。 同社首脳は「業界は未曽有の厳しい冬の時代に直面し、その影響は我々の想像を超えている」と嘆く。 経営危機にある不動産会社が工事を続けられず、引き渡しの期日を迎えても完成しないまま廃虚のようになったマンションが中国各地で目につく。 その規模は面積にして約 2 億平方メートル。 南部の雲南省昆明市の高層マンションを訪ねると、窓もなく電気も通っていない部屋に住んでいる人がいた。

棟内でモデルルームだけにある水道を使い、ポットでわかして体を洗う。 電気は建設会社が残していった配線を室内に引っ張り、スマートフォンを充電している。 男性は職場が遠い仕事もやめ、稼ぎの少ない屋台の仕事で食いつなぐ。 そこまでして、なぜ住み続けるのか。 男性は「本当なら自分の部屋になるはずだった」からだと話した。 完成しないことへの抗議を示すためでもあった。 だがそんな男性に対し、不動産会社も政府も銀行も、他の購入者も助けの手を差し伸べていない。 (昆明 = 西山明宏、asahi = 12-1-22)


中国で頻発するサブスク被害

最近、中国の大手動画配信サービスが展開した「月額 1 元(約 19.5 円)キャンペーン」が話題となった。 好きな映画やドラマが 1 か月、たったの 1 元で見放題なら誰もが飛びつきたくなる。 だが、話題となったのはその後の展開。 会費 1 元は最初の 1 か月だけで、翌月からは自動的に月額 12 元(約 234 円)の 1 年契約が結ばれる。 途中解約すれば、本来の会費である月額 25元(約 489 円)で利用した期間分を払わなければいけないというのだ。 利用者の多くが、キャンペーンにそんな契約や条件があったとは知らず「だまされた」と感じたのだ。

「長期のサブスクは必要ないから話題のドラマを見終わって解約したところ、すぐに『24 元(約 469 円)課金されました』という通知が来ました。」

こう話すのは、人気ドラマを見るためにこのキャンペーンを利用した人。 会社の側は「これはあくまでもサービスキャンペーンで、通常の月会費 25 元を払えば途中解約できるときちんと表示してある」と回答したが、実際には小さな文字で書かれてあったり、支払い画面をクリックしないと出てこなかったりと、利用者にとって分かりやすく示されているとは言い難かった。 このような、特別キャンペーンやお試し期間でスマホのアプリを使ったら、いつのまにか継続契約されて想定外の課金をされたというトラブルが増えている。

その一番の原因は、サービスの利用や会員になるのは簡単だが、利用の中止や退会するのは分かりにくいアプリの仕組みだ。 自身のアカウントにログインしてみても契約継続の画面はすぐ出てくるが、「契約の自動更新を止める」といった画面はなかなか見つからない。 そのサービスのサイトからではなく、そこが提携している支払代行業者のサイトまでいかないと解約できないこともある。 ネット取引に関する規定に従えば、アプリなどで自動的に契約更新がなされる場合には 5 日前に利用者に通知しなくてはならない。 しかし、実際にはこのルールを守っていない業者も多い。 結局、利用者自身が細心の注意を払って、契約条件などを理解することが必要だ。

「アプリのサブスクを始める時には、決して衝動的にならず、余裕があって集中できる時にすべきです。 そうすればさまざまな『ワナ』が見えてきます。」

SNS に書き込まれた「自動更新のワナにはまらないための心得」に、大量の「いいね」が押されたのもうなずける。 話を動画配信サービスに戻すと、自動更新の「罠」以外にも、最近は多くの会社があの手この手を使って、会費を上げたり追加料金を求めたりしている。 一部では 2020 年から値上げを繰り返し、月会費が 6 割も上がったものもあるという。 ところが、会費が上がっても満足度は必ずしも伴わない。

「会員になれば、広告が入らない」とうたわれながら、有料会員になったところで、無くなったのは作品の前に挿入されていた広告だけ。 視聴中に「会員だけにおすすめ」という画面が開くので、いちいちクリックして閉じなければいけなかったなどという話もある。 有料会員になったにもかかわらず、作品によっては 1 本ごとの追加料金を求められることもある。 もちろん映像作品には著作権があり、鑑賞する側はきちんと金を払わなくてはいけない。 ただ問題は、配信サービスの側が、事前にその仕組みを分かりやすく説明しているか、さらに課金額が妥当かどうかだ。

各サービスが競って金集めをするようになった背景について、ある業界関係者は、有料会員数の伸び悩みがあるという。 中国政法大学の陳忠雲教授は「会員数減少の根本的な原因は、優良なコンテンツを提供できていないからだ」と手厳しい。 「隠れた値上げやだますような課金をしたところで、そのプラットホームの長期的な発展のためにはならず、コンテンツを充実させることこそが王道」と強く指摘する。 1 つのテレビを囲んで、電波にのってきた番組を皆で見ていた時代が、ふと懐かしくもなる。 (東方新報/AFPBB = 2-19-23)


EV 車で帰省して「充電」困難 中国の旧正月で話題に

厳格な新型コロナウイルス対策が緩和された中国で、多くの市民が 3 年ぶりに春節(旧正月、今年は 1 月 22 日)連休中に実家へ帰省した。 その中で、「電気自動車(EV 車)を使った帰省は時間がかかる」ということが話題になった。 南部の広東省深セン市に住む張傑さんは、新しく買った EV 車で西部の江西省にある実家に帰省した。 ただ、以前乗っていたガソリン車では 8 時間しかかからなかったのに、今年は EV 車の充電時間などを含めて 15 時間もかかった。

「高速道路のサービスエリアに充電スタンドはあるが、行列を並ばなければならなかった。 帰り道では計 3 回充電したが、毎回約 2 時間待つことになった。 充電時間も 1 時間はかかった。」

充電の難しさは往復の道路の上だけでなく、故郷に戻ってからも同じだ。 充電スタンドなどが少ないのだ。 「中国北部の北京市・天津市・河北省地域と南部の珠江デルタ地域には多数の充電施設があるが、西部の内陸部には充電施設がまだ比較的少ない」と江西新エネルギー技術専門学校の新エネルギー自動車技術研究所の張翔所長は語る。

中国自動車ディーラー協会新エネルギー車支部の章弘事務局長は「メーカーや事業者は充電設備の普及に意欲的だが、まだまだ稼働率が低く、消費者は充電施設が少なすぎると不満を漏らしている」と話す。 充電設備の普及が進まない理由について、張所長は「高速道路サービスエリアの充電施設の稼働ピークは休日であり、平日の稼働率は高くないため、経営上は損失が発生しやすい状況だ」と指摘している。 (CNS/JCM/AFPBB = 2-15-23)


中国の出入境者、6 日は 67.6 万人 コロナ発生以降最高

【北京】 中国国家移民管理局は 7 日、全国の 6 日の出入境者数が前日比 32.8% 増の 67 万 6 千人に上ったと明らかにした。 新型コロナウイルス感染症発生以降の最多となる。 6 日の出入境者数はコロナ対策が「乙類乙管」に変更される前の 1 日当たり平均の 2.2 倍で、コロナ発生前の 36.6% となった。 うち香港・マカオに隣接する口岸(通関地)は前日比 39.2% 増の 56 万 8 千人となり、全体の 84% を占めた。 中国は 1 月 8 日にコロナ対策を「乙類乙管」に変更し、人的往来の管理措置を最適化した。 2 月 6 日に中国本土と香港・マカオ両特別行政区の間の人的往来を全面再開した。 (中国・新華社 = 2-9-23)

◇ ◇ ◇

中国「春節」の旅行者数、コロナ前の 9 割弱に回復 観光地や飲食店に行列、個人消費に明るさ戻る

2023 年の春節の大型連休(旧暦の正月、連休期間は 1 月 21 - 27 日)は 3 年ぶりに(新型コロナウイルス対策の)行動制限がなくなり、中国各地の景勝地や宿泊施設は大勢の旅行客でにぎわった。 それに伴い、観光業や飲食業のビジネスが力強く回復。 連休期間の個人消費に関するいくつかのデータは、新型コロナの流行前を上回る勢いを示した。

中国文化観光省が 1 月 27 日に発表した速報値によれば、春節の連休期間の国内旅行客は延べ 3 億 800 万人。 2022 年より 23% 増加し、(新型コロナ流行前の) 2019 年の 9 割弱まで回復した。 金額ベースでは、連休期間の観光業界の売上高は 3,758 億 4,300 万元(約 7 兆 1,900 億円)と、2022 年より 30% 増加。 2019 年との比較では 7 割強の水準だった。 旅行予約サイト各社が公表したデータによれば、2023 年の春節の予約実績はすでに新型コロナの流行前を上回っている。 例えば携程旅行網(シートリップ)の予約件数は 2022 年の春節の 4 倍に増加し、過去 3 年間の最大件数を記録した。

省をまたぐ長距離旅行が復活

旅行需要の回復に牽引され、中国の消費全体も明るさを取り戻した。 国家税務総局が 1 月 27 日に発表した速報値によれば、増値税(付加価値税)のインボイスの発行状況に基づく消費関連の事業者の売上高は、2023 年の春節は 2022 年より 12.2% 増加。 2019 年との比較でも 12.4% 増加した。

春節の連休中は中国各地の飲食店に(入店待ちの)行列ができ、来店客の支出額も大幅に増加した。 生活関連サービス大手の美団(メイトゥアン)が公表した(レストラン予約サービスの)データによれば、連休 6 日目までの 1 日当たり平均消費額は 2019 年の春節より 66% 増加。 各地のレストランで(来店客が)多人数向けの店内飲食のコースメニューを注文した件数は、2022 年より 53% 増加した。

国内旅行の行き先も大きく変わった。 新型コロナの流行下にあった過去 3 年間は、地元周辺への近距離旅行がほとんどだった。 しかし 2023 年の春節は、省をまたいだ長距離旅行が再び主流に返り咲いた。 例えば携程旅行網のデータでは、春節のホテル予約は(ユーザーの居住地ではない)他省のホテルを予約するケースが全体の 7 割近くを占め、2019 年の春節を上回った。 (孫嫣然、財新/東洋経済 = 2-8-23)

◇ ◇ ◇

中国春節、消費が堅調 日本旅行拡大、「爆買い」再来か

【北京】 厳格な新型コロナ対策「ゼロコロナ」を終わらせた中国で、娯楽消費が堅調だ。 春節(旧正月)連休(1 月 21 - 27 日)中は観光収入や映画興行収入などが大きく回復。  日本への旅行も増えており、日本の観光業界では「爆買い」の再来に期待が高まっている。 中国政府によると、春節中の国内旅行者数は前年同期比約 23% 増の 3 億 800 万人。 国内観光収入は約 30% 増の 3,758 億元(約 7 兆円)で、2019 年の約 7 割。 全国の鉄道や航空機などの公共交通機関は約 2 億 2,600 万人が利用した。 旅行以外でも消費回復の兆しがみられる。 税当局によると、春節中の生活商品の販売収入は前年同期比で 32% 増えた。 (kyodo = 2-1-23)

◇ ◇ ◇

中国「春節」 21 億人が大移動 ゼロコロナ終了で帰省ラッシュ回復へ

中国政府は 6 日、22 日の春節(旧正月)の前後に鉄道や飛行機などを利用する人が、前年比でほぼ倍増ののべ 21 億人に達するとの見通しを発表した。 人々の移動を制限する「ゼロコロナ」政策が終了し、帰省や旅行をしやすくなることが要因だ。 中国国内は感染爆発が続いており、政府は「流行のピークに入った地方もある」として自己防衛を呼びかけている。

春節をはさんだ前後 40 日間の帰省ラッシュは「春運」と呼ばれ、今年は 7 日から 2 月 15 日までが対象となる。 6 日に会見した交通運輸省の幹部らによると、春運期間中の旅客数は前年比 99.5% 増ののべ 20.95 億人と予測。 新型コロナ感染拡大前の 2019 年と比べ、7 割まで客足が戻るとの見立てだ。 約 55% が帰省客としている。 北京などの都市部では感染のピークが過ぎつつある一方、地方では感染拡大が続いており、帰省を見合わせるよう呼びかけた地域もある。

ただし、政府は約 3 年間行動が制約されてきた国民の不満も考慮し、強い呼びかけは控えている模様だ。 交通運輸省の徐成光次官は「帰省して年越しを迎え、親戚や友人を訪ねたいという願いは強いだろう。 基礎疾患のある高齢者や妊婦の外出は極力控え、公共交通機関でマスクの着用を心がけてほしい。」と述べるにとどめた。 (北京 = 冨名腰隆、asahi = 1-6-23)


119 台の「目」が逃した少年の行方 中国全土に疑念呼び起こした死

中国南部の江西省で高校 1 年生の少年 (15) が行方不明になり、約 3 カ月後に遺体が発見された事案が全国的な注目を集めている。 地元公安当局は自殺と判断したが、SNS では他殺説も広がり、当局が中継入りの会見で状況を説明する異例の展開となった。 共産党指導下の発表や報道に対する厳しい規制が、社会の疑念を呼んでかえって騒ぎを大きくしているとも言えそうだ。

少年は同省上饒市の私立高校に通い敷地内にある寮で生活していたが、昨年 10 月 14 日夜に行方不明になった。 地元公安当局は直後から公開による捜索を進め、情報提供を呼びかけた。 しばらく有力な手がかりはなかったが 1 月 28 日になって高校から約 400 メートル離れた食料庫の敷地内で首をつった少年の遺体が発見された。 公安当局は発見された状況から、事件性はなく自殺と認めた。

ところが、これに対し「発表は信じられない」、「隠し事をしているはずだ」といった意見が SNS 上で相次いだ。 なぜか。 高校は山間部にあり、管理の厳しい進学校として知られる。 捜索時点から「教師の体罰が存在する」、「過去に校内で死者が出た」などと事件性を疑う情報が広がっていた。 うわさを打ち消すため、公安当局は 1 月 7 日に調査状況を発表。 「2022 年に校内で女子生徒が転落死したが、事件性はなかった」、「校内には 119 台の監視カメラがあり、校長や教師の行動を確認したが、問題は見られなかった」などと説明した。

だがこうした情報は、「それほど多くのカメラがあるなら、なぜ少年は発見されないのか」といった不信を招く結果となった。 遺体発見後の今月 2 日、公安当局は記者会見を開き、国営中央テレビ (CCTV) が中継した。 公安幹部は「少年は成績の低さに悩んでいた」、「現場からボイスレコーダーが見つかり自殺をほのめかす音声が残されていた」などと、改めて事件性を否定。 そのうえで「デマを流して社会秩序を乱す者は厳しく取り締まる」と引き締めを図った。

中国メディアは党宣伝部の管理下に置かれ、政権批判につながる報道は厳しく制限される。 今回のような事件の規制は政治分野ほど厳しくはないが、大きな騒ぎになれば取材は困難になる。 昨年 1 月、江蘇省の農村で鎖につながれた女性が発見された事件でも、CCTV など中央メディア以外の現場入りは現在も許されていない。 中国メディア記者によると、今回も地元メディアの現場入りや少年の家族への取材はできなくなっているという。 別の中国記者は「事件でないなら取材は問題ないはずだ。 隠そうとするから、かえって疑念を招く。」と不満を述べた。 (北京 = 冨名腰隆、asahi = 2-4-23)


中国「61 年ぶり人口減」 過熱するバラマキ競争 中国の専門家からは「港区を倣うべき」の声も

中国の 2022 年の人口が 61 年ぶりに前年を割った。 今年はインドに抜かれ、人口世界一の座から陥落すると見られている。 人口抑制を長年の政策としてきた中国だが、想定以上のペースで少子化が進み、労働力の減少や活力の低下という新たな難題に直面している。 若者が流出する地方の村から IT 産業が集積する深センまで、出産奨励のため「ばらまき政策」に踏み切る都市も相次ぐ。

出生数が 1,000 万人下回るのは建国以来初

中国国家統計局は 1 月 17 日、2022 年末時点の人口が前年から 85 万人減少したと発表した。 人口減少は 1961 年以来 61 年ぶりとなる。 2022 年の出生数は 956 万人と、前年から 107 万人減少した。 1,000 万人を下回ったのは 1949 年の建国以来で初めてだ。 65 歳以上の人口は 2 億 978 万人で、高齢化率は 14.9% となった。 予想よりも速いペースで高齢化が進み、15 - 65 歳の生産年齢人口は 2013 年の 10 億 1,041 万人をピークに減少に歯止めがかからない。

中国は 1970 年代に一人っ子政策を導入し、2015 年まで産児制限を続けていた。 2016 年に同政策を廃止し、2021 年には第 3 子の出産も容認したが、出生数は低下の一途をたどり、国の一大事になっている。 2023 年から各年 200 万人以上が生まれた中国版「団塊世代(1963 - 1975 年生まれ)」の大量退職が始まり、高齢化と労働力不足も想定以上のスピードで進む可能性が高い。

中国最大の飲料メーカー娃哈哈(ワハハ)集団の宗慶後氏は 1 月に出演したテレビ番組で「若者は早く相手を見つけて結婚し、子どもを産んで国家に貢献せよ」と呼びかけたが、自身の後継者である 41 歳の娘も独身のため総ツッコミを受けた。 少子化の原因は明確だ。 40 年以上続いた一人っ子政策で、出産適齢期の女性の人口が減っていることに加え、教育費の高騰や女性の社会進出で女性が出産をためらうようになった。

さらにコロナ禍で結婚と出産の両方を控える動きが加速した。 中国の婚姻数は 2013 年をピークに減少が続くが、2020 年以降の感染が流行し、行動制限が広がった時期には婚姻数が急減している。 上海市のロックダウン(都市封鎖)で経済が混乱した 2021 年 4 - 6 月の婚姻数は前年同期比 20.1% 減少した。 婚姻届の提出や挙式を延期した人も多い。 北京市在住の 31 歳の女性は 2021 年 9 月に結婚したが、感染拡大による移動制限が理由で披露宴を 2 度延期している。 引っ越しもままならないため、天津市在住の夫とは別居婚のまま。 「親に急かされ続けてどうにか 30 歳前に結婚できたが、披露宴をしないことには妊娠もできない」と話す。

月 5 万円の育児手当を支給する村

国と若者の溝は大きい。 政治家や官僚は「一人っ子政策を廃止すれば出生数は自然に増える」と楽観していたが、そうはならなかった。 少子化が特に深刻な自治体は補助金や休業延長などインセンティブを導入する動きも広がり、いち早く行動した自治体では成果も現れ出している。 中国で最初に出産・育児手当を出したのは広東省の黄竹根村とされている。 同村は 2017 年 3 月、1 人目の出産に一時金 3 万元(約 57 万円)の支給を始めた。 現地報道によるとそれまで年に 20 人未満だった出生数は 2 年半で 100 人に達した。

第 3 子の出産が容認された 2021 年には制度を拡充し、2 歳半まで毎月 3,000 元(約 5 万 7,000 円)、総額 9 万元(約 170 万円)の手当を支給する制度に改めた。 3,000 元は中小都市の新卒社会人の初任給に相当する。 ただ、同手当の財源は海外で成功した村出身事業家の寄付で賄われており、少子化問題がここまでクローズアップされる前は「特殊事例」と片付けられていた。

一方、自治体が財源を確保し、手当を創設した最初の事例は四川省南部に位置する人口 100 万人都市の攀枝花市だ。 こちらは第 3 子の出産が容認された直後の 2021 年 7 月、2 人目以降の子どもが 3 歳になるまで毎月 500 元(約 1 万円)の育児手当を支給すると発表した。 当時は「ミルク代くらいにしかならない」とも揶揄されたが、同市は 2022 年秋に、同 10 月末までに 650 人が補助金の対象になり、648 人が支給を申請したとの結果をまとめた。 導入 1 年で出生数は前年比 1.62% 増加したという。

ほかにも手当の導入によって出生数が増えた自治体は複数報告されている。 ただ、いずれも物価や給料の低い 3 級以下の中小都市であり、「教育費や生活費が高い大都市には当てはめにくい」との声が多かった。 そんな中、北京、上海、広州と並ぶ「1 級都市」である深セン市が、1人目も対象にした出産・育児手当の導入を検討し、反響を呼んでいる。

深セン市は人口減が発表される直前の今月 11 日、出産・育児手当の制度化に向け意見を募るための草稿(意見募集稿)を発表した。 草稿によると、第 1 子の出産時に 2,000 元(約 5 万 7,000 円)の一時金を、3 歳になるまで毎年 1,500 元(約 2 万 9,000 円)の手当を支給する。 一時金と育児手当の額はそれぞれ第 2 子で 5,000 元(約 9 万 5,000 円)、年間 2,000 元(約 3 万 8,000 円)、第 3 子で 1 万元(約 19 万円)、年間 3,000 元と子の数に応じて増える。

深セン市が出産・育児手当を導入すれば一級都市として初となる。 寂れた漁村から改革・開放の波に乗って 1990 年以降急成長し、テクノロジー企業が集積する同市は「中国で最も住民の年齢が若い都市」として知られる。 市民の平均年齢は 33 歳で、60 歳以上の高齢化率は 5% と全国平均を大きく下回る。 若い人が多い分、出生率も全国有数の高さだ。

深セン市が抱く危機感

にもかかわらず深セン市の危機感は強い。 同市の出生数は一人っ子政策廃止後の 2017 年をピークに低下が続き、2021 年にはピーク時の 4 分の 3 に減った。 若者が多い都市だけあって女性の晩婚化、出産意欲の低下というトレンドも他地域より鮮明に現れており、このままだと 2027 年に高齢化社会に突入するとの試算もある。 深セン市が出産・育児手当を導入すれば確かにインパクトが大きいが、検討されている支給額はあまりに心もとない。

第 1 子の育児手当を月額にすると 120 元(約 2,300 円)余りで攀枝花市の 4 分の 1 に満たない。 深セン市民の 1 人あたりの可処分収入が 7 万元(約 130 万円)なのに対し、攀枝花市民は 4 万 4,000 元(約 84 万円)。 深セン市の調査は同市の 0 - 3 歳の育児コストを年間 7 万 5,000 元(約 140 万円)と試算しており、月額 120 元ではミルク代の足しにもならない。 中国メディアや専門家は、小池百合子都知事がぶちあげた月額 5,000 円の育児手当など日本の事例を参考に、さらなる "ばらまき" の必要性を主張する。

「大都市は港区に倣うべき」との声も

出産一時金の上乗せ、第 2 子の保育料無料、医療費助成対象の高校生への拡充(2023 年 4 月から)など手厚い子育て支援を打ち出し、合計特殊出生率を 23 区のトップレベルに引き上げた港区の例を挙げ、「深セン市など大都市は港区に倣うべきだ」との声も聞こえる。 今のところ、現金のばらまきが即効性の高いカンフル剤とみなされており、今後の少子化対策のスタンダードになる可能性が高い。 数年前までは 2 人目の子を産むと罰金を取られていたことを思えば、隔世の感がある。 (浦上早苗、東洋経済 = 1-25-23)

◇ ◇ ◇

中国で 61 年ぶり人口減少  前年比 85 万人減、急速に進む少子高齢化

中国の 2022 年末時点の総人口は 14 億 1,175 万人で、21 年末から 85 万人減ったことが明らかになった。 人口減は 1961 年以来、61 年ぶり。 世界最多の人口を抱える中国だが、少子高齢化が進み、人口減少社会に入ったとみられる。 今年にもインドに逆転されるとの予測も出ている。

中国国家統計局が 17 日、発表した。 22 年の出生数は 956 万人となり、21 年から 1 割減った。 1949 年の建国以来最少を 2 年連続で更新した。 年齢別の人口構造では、65 歳以上は 2 億 978 万人と過去最多となり、人口比は約 15% に上昇した。 21 年には高齢社会の基準となる 14% にすでに到達していた。 こうした少子高齢化の急速な進展が、人口減少につながった。

経済成長に影響する 15 - 64 歳の生産年齢人口については発表しなかった。 中国は原則、定年年齢が男性 60 歳、女性 50 歳(幹部職は 55 歳)とされる。 22 年の 16 - 59 歳の総人口に占める割合は 62% で前年比 0.5 ポイント減った。 中国は建国以来、これまで人口が減ったのは 60 年と 61 年の 2 度だけ。 いずれも毛沢東が鉄鋼や穀物の増産計画を打ち出した「大躍進」政策後、飢饉が発生し、多数の餓死者を出したためだった。

その後は出生数が急速に増加。 中国政府は人口爆発を抑えようと、79 年から夫婦が産める子どもを 1 人に制限する「一人っ子政策」を導入した。 その後、少子高齢化が進むようになると、16 年からは 2 人目、21 年から 3 人目を解禁した。 ただ、出生数の減少は止まっていない。 (asahi = 1-17-23)

◇ ◇ ◇

中国、人口首位陥落に募る危機感 迫る人口減、出生数は建国来最少

世界の総人口が15日、80億人に達した。新興国や途上国の人口が伸びる中で、長らく世界一の人口大国として知られてきた中国は、来年にもインドにその座を明け渡す見通しだ。 かつて生まれる子どもの数を厳しく制限してきた中国政府は、一転して人口が減る事態への危機感を強めている。 「インドが人口で中国を抜いて世界 1 位になったというのは、事実か?」 今年 3 月、中国メディアがこんな記事を出した。 ネット上でインドが人口で中国を抜いたとの臆測が出回ったことがきっかけだった。

記事では、インド政府の公式の数字ではまだ抜かれていないと結論づけた。 「(インドが)平均年齢の若さを優位性に変えるためには、良好な教育や産業、自由などといった要素が必要だ」とする中国人研究者のコメントを引用し、仮に抜かれても脅威ではないとの見方を示した。 臆測や報道が出回るほどの反応を示したのは、中国が人口世界一の座を譲ることへの危機感の裏返しだ。 14 億人を超える世界最大の市場こそが自国の強みであり、その市場で得られるうまみが米中対立などの逆風下でも世界の企業を中国につなぎとめているとの考えがあるからだ。

ただ、中国はまもなく人口減少社会に入る。 政府にとって不都合な言動を規制される中でも、専門家から人口減少の予測は続いている。

出産制限緩和しても産まない

かつて中国は急激な人口増を抑えようとした。 夫婦 1 組の子どもを 1 人に限る「一人っ子政策」を 1979 年に導入。 2 人以上産むと罰金などの処分を受けた。 それでも毎年 2 千万人を超える出生数を記録してきた。 だが、経済発展とともに出生数は徐々に減った。 2016 年には 2 人目、21 年に 3 人目も解禁したが、傾向は変わらず。同年は 1,062 万人と中国建国以来最少の数字となり、人口の増加数も 48 万人にとどまった。

人々が子どもを産まない最大の理由は、子育てにかかる負担が大きすぎるからとされる。 子どものために評判の良い学校の近くで高騰した住宅を買ったり、学歴社会の激しい受験競争を勝ち抜くために子どもの習い事や塾代がかさんだりする。 一人っ子の将来のため、家庭としてあらゆる手段と財産をつぎ込む行動パターンを作り上げた、長年の政策の副作用とも言える。 さらに、保育園の整備が進んでいないことも理由の一つにあげられる。

危機感強める中国共産党

子どもが増えない現状に中国政府は危機感を強めている。 昨年、義務教育の子どもを対象とした学習塾は「家庭の負担を重くしている」として規制し、大都市では庶民の手が届かないほど価格が上昇した不動産では企業の野放図な開発にストップをかけた。 また、若者の間で結婚を急がない生き方が広がる中、中国共産党は「結婚適齢期の若者の恋愛や結婚、家庭観の教育・指導を強化する」とするなど、価値観への介入も示唆する。 だが、人々のマインドは大きく変わっていないのが実情だ。 小学生の子どもがいる内モンゴル自治区の自営業男性は「2人目を産んだら破産するし、仕事も難しくなる。増やすことはない」と話す。 (北京 = 西山明宏、asahi = 11-15-22)


南水北調プロジェクト、8 年間の北京への送水 84 億立方メートル

中国の水行政

記事コピー (8-25-22 〜 12-28-22)