Google マップが劣化!? 代わりになるネット上の地図サービスあれこれ ◆ 「Google マップが劣化」!? 先月下旬、『Google マップ』が劣化したと各所で報告があった。 ゼンリンの地図を使うことをやめて、独自データになったのが原因だと推測された。 新しい『Google マップ』では、私有地や一般利用できない道路が、通過可能な道として表示されていた。 そのことから、スマホの位置情報を利用して、通れる道を推定していると考えられた。 そうした推測を裏付けるように、人の多い都会に比べて、人が少ない地域では地図の精度が大きく落ちていた。 ゼンリンの地図の完成度を思うとともに、自動でもここまでできるのかという驚きもあった。 Google のことだ、今後はユーザーからの報告を受けて、地図の精度を上げていくのだろう。 『Google マップ』として公開されているのは、車のナビに使う目的ではない「無料」の地図だ。 Google 内部で使う地図は、高精度のものを買うという選択肢もある。 そうした目的ではない無料提供する分は、AI により生成させる。 そうした使い分けもできるだろう。 私たちは、当たり前のように無料で『Google マップ』を利用していた。 しかし、Google の利益に関係のない過剰な機能まで、無料である理由はない。 高精度の地図が欲しければ、お金を出して買うという選択肢もあるわけだ。 ◆ IT 技術者にとっての Google マップという存在 ここで少し、IT 技術者にとっての『Google マップ』という存在について触れておきたい。 今でこそ、マウスのドラッグで自由に動かせる Web 上の地図は、当たり前になっている。 しかし、『Google マップ』が世に出てきた時には衝撃的だった。 『Google マップ』は 2005 年 2 月にベータ版としてサービスを開始した。 日本語版は 7 月に提供が開始されている。 この機能は JavaScript で実装されていた。 同年、Jesse James Garrett 氏により「Ajax : A New Approach to Web Applications」という記事が投稿された。 『Google マップ』と「Ajax」という言葉は瞬く間に広がり、JavaScript による Web アプリケーション開発の機運が大きく盛り上がった。 『Google マップ』は、その後の HTML5 による Web アプリケーション時代の先駆けというべき存在で、多くの Web 系技術者たちが強い関心を持ち、参考にした。 また『Google マップ』では公開当初より、外部から地図機能を利用できる API が用意されていた。 そのため様々な Web 技術者が、その API を使ったサービスを提供した。 『Google マップ』公開後数年は、Web サービスを組み合わせるマッシュアップで多く利用された。 『Google マップ』はそうした、IT 技術者向けの先進さだけではない。 2007 年(日本は 2008 年)に登場したストリートビューは、ネットの世界とリアルの世界を地続きにして人々を驚かせた。 その後も Google は、様々な機能を追加していった。 『Google マップ』は、IT 業界でも革新的な存在として、大きな存在感を示し続けた。 ◆ Web 上の地図サービスは Google マップだけではない 先進さとレスポンスの軽さ、そして Google の機能として利用できる手軽さから、『Google マップ』は Web 上の地図サービスの中で圧倒的なシェアを誇ってきた。 しかし、Web 上の地図サービスは『Google マップ』だけではない。 様々な企業や公的機関、そして色々な考えのもとに公開されている地図サービスが存在している。 情報の比較は大切だ。 ニュースを見るときに、複数の発信元の情報を見比べるように、地図についても複数のものを確認できる方がよい。 違う目的で、違う組織が作れば、違う地図になる。 『Google マップ』の利便性には敵わないかもしれないが、いくつかの代替手段を知っておくことは無駄ではないはずだ。 以下、そうしたネットを介した地図サービスを紹介していく。 【OpenStreetMap】 フリーな地図データを作成・配布しているサイト。 地図版の Wikipedia などと呼ばれることもある。 特定の企業に依存するのが嫌な場合は、こうした地図を利用するのも 1 つの手だ。 OpenStreetMap は、2004 年にイギリスのスティーブ・コーストによって立ち上げられた。 2006 年には、OpenStreetMap Foundation が設立された。 同サイトは、2012 年に Google マップが API を有料化した際に、多くの人が注目した。 【地理院地図(電子国土 Web システム)】 国土交通省、国土地理院による Web 上の地図サービス。 拡大することで、見慣れた国土地理院の地図が切り替わっていく様子を見ることができる。 同サイト登場の背景には、インターネットの普及によりデジタル地図の利用者が急増したこと、GPS の普及により高精度の測位が一般化したことがある。 Google マップの登場より 2 年早い 2003 年に、運用を開始している。 【MapFan】 カーナビで有名なインクリメント P が提供している Web 上の地図サービス。 インクリメント P は、パイオニアの完全子会社で、1994 年に設立された。 同社の主力はカーナビソフトであるが、『PlayStation』や『セガサターン』向けのゲームソフトを開発していた時期もある。 【Mapion】 ONE COMPATH (ワン・コンパス)が提供する地図サービス。 ONE COMPATH は、マピオンと、電子チラシサービスの Shufoo! 事業を統合して、2019 年 4 月 1 日に生まれた会社だ。 株主は凸版印刷である。 1997 年の設立当初は、株式会社サイバーマップ・ジャパンという名前だった。 その後、2009 年に株式会社マピオンへ社名変更をして、凸版印刷の子会社になった。 【いつも NAVI】 ゼンリンの子会社ゼンリンデータコムが運営している Web 上の地図サービス。 他にもゼンリンの地図を利用している地図サービスは多い。 Yahoo! が提供している『Yahoo! 地図』や、マイクロソフトが提供している『Bing マップ』もそうしたものの 1 つだ。 【Mapbox】 Mapbox は、Web 上で使える地図ではない。 主に BtoB で、Web サイトやモバイルアプリケーション向けに、オンラインカスタムマップを提供している会社である。 2010 年設立で、現在急成長している。 Google マップよりも柔軟に地図をカスタマイズでき、そのシェアを奪っているのだ。 Mapbox はゼンリンからデータ提供を受けると、3 月 20 日にブログで発表した。 ゼンリンの視点で言うと、Google から Mapbox に乗り換えたとも言える。 IT 系地図サービスは、Google マップから徐々に新しい世代へと移りつつあるのかもしれない。 この会社の名前は、今後多くの場所で聞くことになりそうだ。 (柳井政和、HarborBusiness = 4-7-19) ◇ ◇ ◇ 「Google マップが劣化した」不満の声が相次ぐ ゼンリンとの契約解除で日本地図データを自社製に変更か 「Google マップから林道、細い路地、バス停が消えた」、「建造物の情報が古くなった」、「道路の形や名称、地形がおかしい」 - - そんな報告が 3 月 21 日夜からネット上で相次いでいる。 実際に日本国内の地図が以前から変わっている他、一部の道路が欠損していたり、建物が道路に重なって表示されたりする場所が多数存在している。 Google マップの見た目が変わってから、地図の右下にあるコピーライト表記にあった ZENRIN の文字が消え、「地図データ 2019 Google」となっている。 これまで採用していた国内大手の地図メーカー・ゼンリンの地図データから、Google が自前で用意した地図データに変更した可能性が高い。 Google は 6 日、Google マップの日本向け地図を一新すると発表。 より分かりやすい徒歩ナビゲーションや乗換案内、地図のダウンロードが可能になるとしていた。 今回の変更はその一環とみられる。 新機能として提供する「オフラインマップ」は、地図を事前にダウンロードしてオフライン環境でも見られるようにするものだが、日本ではこれまで「契約上の制限」として提供していなかった。 ゼンリンは Google マップのサービス開始当初(2005 年)から地図データを Google に提供。 オフラインマップがついに日本で実装されるとの発表から、「両社で契約の折り合いがついたのでは」との見方もあったが、実際はゼンリンとの契約を終了し、Google 製の地図データに切り替えて提供する方向に入ったとみるのが自然だ。 Web サービスの地図を巡っては、12 年に米 Apple が iOS 向けに公開した自社製の地図アプリで「パチンコガンダム駅」といった誤表記が続出し、話題になった。 今回の新 Google マップは、不適切な道路の形状などが航空写真の画像に影響されている点が多数見受けられることから、「航空写真から道路の存在や形状を機械学習で検出しているのでは」、「過疎地域ではスマートフォンの通過実績を使っているのでは」という指摘もある。 3 月 22 日時点では、以前の地図が見られる抜け道がある。 道路からの風景が見られるストリートビューを開き、左下に表示される地図の拡大表示を行うと、従来の地図が表示される。 Google がこのような状況を把握していないとは考えにくく、どのような対策を取るのかに注目が集まりそうだ。 Google マップは Android 端末の標準地図アプリとして搭載されるなど、ユーザーも多いことから混乱はしばらく続くだろう。 一方、ゼンリンは新たな提携パートナーを見つけたようだ。 20 日(現地時間)、Web サイトやアプリ向けに地図サービスを提供する米 Mapbox は、ゼンリンと提携して日本の地図データを強化したと発表した。 (山口恵祐、ITmedia = 3-22-19) ◇ ◇ ◇ 日本の Google マップが変わります! ナビが苦手な私にいいかも。 日本の Google マップが近日中に新しい地図を公開するそうです。 どんな風にアップデートされるのかというと、ランドマークを目印にするナビとかになるんですって。 Google の説明によると、「次を右折」といった説明ではなく「コンビニで右折」といったように、より具体的な徒歩ナビゲーションになってくれるのだとか。 ストリートビュー画像や交通機関を含む第三者機関から提供される情報、最新の機械学習技術、地域ユーザーからのフィードバックなどを使って開発したそうです。 これ、嬉しいニュースです。 というのも、私は海外で運転中にマップのナビを使っている時は問題がないのに、日本で徒歩の時に使うと必ずと言っていいほど迷ってしまうのです。 原因は GPS の移動スピードの差にあると思います。 徒歩だと、私が実際に歩いて進んでいるにも関わらず GPS のトラッキングが移動しているように見えないので、進んでいる方向が正しいのかどうかわからなくなってしまうんですよね。 不安だから立ち止まって周囲を見回していると、マップ画面がコロコロと方角を変えるので余計に混乱しますし。 なので、ランドマークを使って指示してくれるのは本当にありがたい機能だと思います。 また、数カ月の間に乗り換え案内や DL できるオフラインマップ機能も加わる予定でもあるそうです。 Android では、Google マップを使用中だけモバイルデータ通信をせず Wi-Fi のみの通信に設定できるので、電池もモバイルデータ通信量も節約できるので助かります。 この新しい地図の提供は数週間以内。 早く始まってくれないかな。 (中川真知子、Gizmodo = 3-7-19) 知ってそうで知らない Gmail のステキ機能 21 みんな大好き Gmail。 でも全部使いこなせてる人は少ないもの。 登場 15 年でウェブ版もアプリ版もだいぶ進化してます。 知らないと損する機能を 21 まとめてどうぞ。
「Gmail」が 15 周年、その成功はグーグルが世界を席巻する契機となった Sundar Pichai 氏が最初に Google の就職面接を受けたのは、「Gmail」の提供開始日と同じ、2004 年 4 月 1 日のことだった。 同氏は数年前、筆者にそう話してくれた。 やがて同社の最高経営責任者 (CEO) まで上り詰めた Pichai 氏によると、当時は Gmail のことをエイプリルフールの冗談だと思ったという。 それから 15 年が経過した今、Gmail が冗談でないことはどう見ても明らかだ。 ウェブベースのシステムである Gmail の月間ユーザー数は 15 億人に上る。 参考までに、「Yahoo Mail」の月間ユーザー数は 2 億 2,800 万人だ。 Gmail は少しずつ、「AOL Mail」や「Hotmail」といった当時の人気電子メールサービスを脇へ追いやっていった。 Gmail は今も消費者向けの無料サービスだが、現在では、プレゼンテーションやワープロソフトウェアを含む有料のエンタープライズ製品スイート「G Suite」の大黒柱でもある。 米国時間 4 月 1 日には、15 周年を記念して Gmail の複数の新機能が発表された。 まず、作成した電子メールを後日送信するように設定できる機能だ。 さらに、「Smart Compose (スマート作成)」機能をすべての「Android」スマートフォンで利用できるようにすることも明らかにした。 Smart Compose は、人工知能 (AI) を活用してユーザーが電子メールに次に入力するテキストを予測するもの。 この機能はこれまで、PC と Google の「Pixel」スマートフォンでしか利用できなかった。 同社によると、「iOS」にも「近いうちに」提供されるという。 また、Smart Compose の対応言語に、これまでの英語に加えてスペイン語、フランス語、イタリア語、ポルトガル語の 4 つが追加される。 Gmail の成功がもたらしたものは、単に便利で人気のある製品を開発したという事実だけではなかった。 Gmail は、Google の歩む道を永遠に変えた。 Google が検索以外の分野でも優位に立てる可能性があることを自社に証明した最初のサービスだった。 Google が私たちのオンライン生活のあらゆる側面に関わることを目指すようになったきっかけでもある。 Gmail 提供開始の翌年、同社は「Google マップ」を公開した。 Googleマップは今ではウェブ上で最も人気の高い地図サービスである。 Google は「Android」と「YouTube」(それぞれ、最大のモバイル OS と最大の動画共有サイト)も買収した。 さらに同社は、Microsoft の「Internet Explorer (IE)」が最大のシェアを誇っていたときに「Chrome」ブラウザを開発し、IE を首位の座から引きずり下ろした。 これらすべての Google サービスには、それぞれ 10 億人以上のユーザーがいる。 Android だけを見ても、世界中で出荷されるスマートフォンの 9 割近くに搭載されている。 「Gmail は、Google の別の側面を見せてくれたサービスだった。 もし Gmail が失敗に終わっていたら、同社はほかのさまざまなサービスを、あれほど積極的に試そうとしただろうか。」 TECHnalysis Research のプレジデントである Bob O'Donnell 氏は、そう指摘する。 Google の共同創設者の Larry Page 氏にとって、Gmail は、サービスが提供され始めた時点では、賭けだったという。 Page 氏は 2013 年、Wired に対して、次のように語っている。 「Gmail をリリースしたとき、われわれは検索の会社だった。 電子メール製品を提供することは、われわれにとって大きな変化だった。」 Gmail は、物事を 10 倍のスケールで考えるという、同社の有名な「10X」思考において大きな役割を果たした。 10X 思考とは、段階的な改善ではなく、壮大な革新を目指す哲学のことだ。 Gmail の壮大な革新は何だったのかというと、保存容量である。 同サービスは、当時ほかの電子メールサービスが提供していた保存容量の 100 倍、つまり 1G バイトの保存容量を提供したのだ。 こうした思考は、自動運転車やインターネットに接続するコンタクトレンズ、スマートシティなど、同社の極めて野心的なプロジェクトへの道を切り開いた。 この考え方は、同社がそうしたプロジェクトを世に出せるように「Google X」という研究部門を創設するきっかけにもなった(Google が Alphabet という親会社の下で再編された後、Google X は X というシンプルな名称に変更されている)。 >もちろん、Google がより複雑な企業になるにつれて、同社の抱える問題もより複雑化した。 Google はそのサイズと規模故に、厳しい監視の目にさらされている。 偽情報の拡散を食い止められなかったことや、中国での検閲を支援している可能性に関して、同社は議員や一般の人々から批判を浴びてきた。 Pichai 氏は先週、Donald Trump 大統領と面会し、同社の中国での取り組みや米国における Google の「政治的な公平さ」について話し合った(保守派は、同社には左派寄りの傾向があると非難している)。 Gmail 自体も議論を巻き起こしている。 2018 年、一部のサードパーティーのソフトウェア開発者が Gmail ユーザーの電子メールを読めるようになっていることが報じられ、同サービスのデータプライバシーに関する方針が批判にさらされた。 Google は、そうしたアプリのインストール時の権限画面には、開発者がメールの内容を読むことがあると記載されており、ユーザーの許可を得ていることを強調したが、ユーザーは自分が何に許可を与えようとしているのかをよく理解していなかったことが考えられる。 Gmail を率いる Tom Holman 氏はインタビュー(テーマはもちろん Gmail)で、次のように語っている。 「ユーザーの情報の安全性とセキュリティ、完全な可用性を確保するため、Google はありとあらゆる措置を講じている。 ユーザーのデータのセキュリティを守るという当社の約束は絶対であり、われわれはそれを危険にさらそうとするあらゆる人間と戦い続ける。」 その一方で、Gmail は今も進化を続けている。 Google は 2018 年 4 月、同サービスを大幅に刷新し、メッセージが後でポップアップ表示されるように「スヌーズ」する機能や、電子メールメッセージを実際に開くことなく写真や PDF などの添付ファイルを開く機能など、さまざまな新機能を追加した。 先週には、「動的な」電子メールの提供も開始した。 これを利用すれば、受信トレイから直接アンケートに記入したり、ホテルを検索したりすることができる。 それでは、これからの 15 年間はどうなるのだろうか。 Holman氏によると、注力している 1 つの分野が、「Asana」や「Trello」といったほかのコラボレーション製品との連携だという。 電子メールサービスは「Slack」のようなほかのコミュニケーションソフトウェアと競合するため、そのような統合が重要だ、と TECHnalysis Research の O'Donnell 氏は語る。 「数年前、電子メールは消滅すると宣言する人々がいたが、それは起こらなかった。 だが、今後、興味深い進化が起きるだろう。(O'Donnell 氏)」 (Richard Nieva、Cnet = 4-5-19) Google ドライブのパワーユーザーになるための 20 の Tips 10 年以上前に、「Google Docs」が初めて登場したとき、ブラウザ上で動作するソフトウェアというアイデアはまだ新しく、見慣れないものでした。 それから「Google Drive」と名前を変え、さらにパワフルになり、今では何百万人もの人々が、ドキュメント、スプレッドシート、プレゼンテーションツールを無料で利用しています。 すでに Google ドライブを使用している方は多いかもしれませんが、最大限に活用しているとはかぎりません。 このパッケージには、表面をさらっただけではわからない、驚くほど強力な機能が備わっているのです。 以下、なかでも有用な 20 の機能を紹介します。 (lifehacker = 7-16-17)
Google ドライブ グーグルはカメラを進化させ、「キーボード」を滅ぼそうとしている そう遠くない未来、キーボードはスマートフォンから姿を消してしまうのかもしれない。 グーグルをはじめとするいくつかの大企業は、「カメラ」がキーボードの代わりになると考えている。 事実、すでにカメラを使った方がキーボードより手っ取り早くコミュニケーションがとれるケースはいくらでもあるのだから。 ゆっくりと、しかし確実に、キーボードは消えてゆく。 スナップチャットはそのことを初めから理解していた。 この数ヶ月で、グーグルとフェイスブックもそのことを理解したようだ。 5 月中旬に開催された開発者向けカンファレンスで、グーグルを利用する 10 億人以上のユーザーが今後数年でどのようにテクノロジーを利用するかについて、グーグルはその展望を紹介した。 その展望のほとんどに、検索ボックスへのタイピングは含まれていなかった。 ステージ上で、グーグルの幹部は同社の音声認識技術が優れていることの宣伝や、Google Lens の紹介に時間を費やしていた。 Google Lens は新たなコンピューターヴィジョン・テクノロジーで、スマートフォンに内蔵されたカメラを実質的に検索エンジンに変えてしまうものだ。 テクノロジーは、またも転換点に差し掛かっている。 スマートフォンは昔の携帯電話の名残であるキーボードに長い間頼っていたが、マルチタッチ機能が到来した。 初めてスマートフォンのスクリーンに触れた感動に促され、人々はスクリーン上でスワイプし、タイプし、そしてピンチするようになったのだ。 そして今度は AI の進化によって、人々とスマホとの関わりが再び変わり始めている。 写真を撮るのは、テキストを書くこととほとんど同じ効果を発揮する。 いつでも利用できる「Google アシスタント」に気軽に話しかければ、Chrome を開いて検索するのとほぼ同じくらい素早く結果が返ってくる。 CEO のサンダー・ピチャイが説明するように、人がコンピューターとやり取りする方法は、いまよりもますます自然で感情的なものになるとグーグルは結論を下している。 つまり、キーボードはどんどん使われなくなっていくだろう。 現在利用しているテクノロジーを発明した人々に尋ねてみるといい。 カメラが新たなキーボードになると彼らは話すだろう。 このキャッチーなフレーズは、業界で広く行き渡っている信念のようなもので、より視覚的なコミュニケーション形態への進展を表している。 グーグルは人々がテキストよりも写真を交換したがるという事実に賭けて事業を行っている。 カメラを向けるだけで、すべてが検索可能になる グーグルのこの考えは説得力があることが証明されており、実際にフェイスブックとインスタグラムは臆面もなくこの特徴をもつ独自の機能を開発した。 デザインスタジオ Fjord でクリエイティヴテクノロジー部門の責任者を務めるローマン・カランタリは、「カメラはすでにコミュニケーションの形態として広く受け入れられています。 しかし、この次の段階は何になるのでしょうか?」と話している。 フェイスブックやスナップチャットの場合、それはビックリハウスにあるような鏡のエフェクトやバカバカしい拡張現実だったが、これはテキストではどうしても実現できない。 一方、グーグルは明らかにより実用的な手法を Google Lens で採用しており、カメラそのものをキーボードと非常によく似た入力デバイスに変えている。 カメラを木に向ければ、カメラがその種類を教えてくれる。近所に新しくできたレストランの写真を撮れば、カメラがそのレストランのメニューや営業時間の情報を調べてくれるだけでなく、レストランの予約をする手助けさえもしてくれる。 ひょっとすると最も効果的なデモンストレーションは、意外とつまらないものかもしれない。 カメラのレンズをルーターの裏側に貼られたステッカーに向けると、Googleの画像認識技術が ID とパスワードを読み取り、その結果を Android 端末に伝え、自動的にネットワークにつながるようになる、といったものだ。 このような単純さは重要である。 情報を探すのに検索ボックスにタイピングする必要はもはやない。 世界はカメラを向けるだけですぐに理解できるようになるだろう。 こうした未来の展望を受け入れている企業はグーグルだけではない。 アマゾンの Fire Phone は 2014 年から画像を使った検索が可能になっており、本やシリアルの箱にカメラを向けて、Amazon Prime 経由でその商品を即座に配送できるのだ。 そして Pinterest は今年初め、Lens のベータ版を発表した。 Lens によって、ユーザーは現実世界の物体を撮影すれば、Pinterest のプラットフォーム上に関連する物体を表示させることができる。 Pinterest でクリエイティヴリードを務め、Lens の開発を主導したアルバート・ペレッタは「新たなアイデアを発見するためにカメラを使用する方法は、テキストを入力するのと同じくらい早くて簡単です。 われわれはその域まで達しているのです。」と話している。 使えば使うほど画像認識は進化する 翻訳についていえば、話すよりも写真を見せる方がうまくいくことが多い。 ミッドセンチュリーのモダンなマホガニーのレザーシートを探しているとき、どんな見た目なのかを他人と共有できれば、キーボードで正確なキーワードを入力するよりも目当てのものは見つかりやすいだろう。 カーネギーメロン大学で人間とコンピューターのやり取りを研究しているジアード・ラプトは「カメラを使えば、写真やヴィデオを撮影するだけで課題を解決できます。 一方、キーボードを使う場合は、説明をタイピングする必要がある。 正確な説明を考え、適切にタイプしなければいけないんです。」と説明する。 当然、画像認識が機能するには、正確性がなければならない点には注意しておきたい。 テキストを検索ボックスに打ち込むときは削除や訂正、再入力など色々な方法がある。 しかし、カメラの場合、カメラはユーザーがどこを向いているのかを認識し、どのような情報を求めているのかを想定せねばならない。 いい知らせとしては(ぞっとする知らせかもしれないが)、グーグルは撮影された写真や入力されたすべての検索ワード、音声入力で行われた命令のすべてを活用し、ユーザーをさらに理解しようとする。 つまり、時間とともにユーザーへの応答は次第に正確になっていく。 こうした知識を膨大に収集し手中に収めることで、グーグルはテクノロジーに残存する未熟な部分を取り除こうとしているように見えるのだ。 キーボードが絶滅するまでにはまだ少し時間がかかるだろう。 しかし、カメラで写真を撮影するごとに、その絶滅の瞬間へ一歩ずつ近づいているのである。 (Wired = 6-11-17) |