技能実習生、過半数が来日前に借金 平均 54 万円、入管庁が初調査

出入国在留管理庁は 26 日、外国人技能実習生が来日するために支払う費用負担に関する初の実態調査の結果を公表した。 それによると、来日前に出身国で借金をした実習生の割合は 54.7% に上り、平均額は 54 万 7,788 円だった。 技能実習制度をめぐっては、実習生が出身国の送り出し機関などに「手数料」や「保証金」を支払うため多額の借金を負い、それが日本国内での失踪や不法就労につながっていると指摘されている。

調査は入管庁と「外国人技能実習機構」が昨年 12 月 10 日から今年 4 月末にかけて実習制度の運用状況を検査した際に併せて実施。 2,184 人から有効な回答を得た。 来日前に借金をしているかどうか尋ねた質問には 2,107 人が答え、このうち 54.7% に当たる 1,152 人が「はい」、残り 955 人が「いいえ」だった。 借金の平均額を国籍別に見ると、ベトナムが 67 万 4,480 円で最多。 カンボジアの 56 万 6,889 円、中国の 52 万 8,847 円が続いた。

来日前に送り出し機関か仲介業者、またはその両方に対して支払った金額については 1,369 人が答えた。 平均は 54 万 2,311 円。 国籍別の上位三つはベトナム 68 万 8,143 円、中国 59 万 1,777 円、カンボジア 57 万 3,607 円だった。 入管庁はベトナムに関し、「不当に高額な手数料を徴収する送り出し機関などがある」と分析している。 日本にいる外国人技能実習生は昨年末時点で 27 万 6,123 人。 古川禎久法相は制度の見直しを検討する内部の勉強会を設置しており、有識者との意見交換を踏まえた論点整理を月内にも公表する。 入管庁はその後の議論を進めるに当たり、調査結果を活用する考えだ。 (jiji = 7-26-22)


元同僚の男に懲役 10 年の判決 ベトナム人技能実習生殺害 富山地裁

富山市で同居するベトナム人技能実習生を殺害したうえ遺体を遺棄した罪などに問われたベトナム国籍の男に 21 日、富山地裁は懲役 10 年の判決を言い渡しました。 殺人や死体遺棄などの罪で判決を受けたのはベトナム国籍のゴ・コン・ミン被告 (23) です。 判決によりますと、ゴ被告は 2020 年、富山市にある自宅アパートで同居していたベトナム人技能実習生の首などを包丁で刺して殺害したうえ、その遺体をアパートの側溝に遺棄したとされています。

裁判では被告に殺意があったかどうかと、正当防衛の成立するかどうかが争点となっていて、21 日の判決公判で富山地裁の細野高広裁判長は「人体の重要な部分である首を狙って深く突き刺している」として被告の殺意を認めました。 また「直前に被害者は被告に対し、金属製のヘラで数回攻撃していて重いけがをする危険性もあったが、身を守るのに包丁で突き刺す必要はない」と指摘。 被告には「正当防衛」ではなく「過剰防衛」が成立するとして検察側の懲役 18 年の求刑に対し、懲役 10 年の判決を言い渡しました。 被告の弁護人は「控訴については内容を精査したうえで本人と相談して決める」としています。 (チューリップテレビ = 7-22-22)


高度人材、地方に招きやすく 外国人在留資格で優遇へ

政府は地方の企業で就労実績がある高度人材を優遇し永住権などを得やすくする制度改正に乗り出す。 地方が高度な知識や技術を持つ外国人を招きやすくする。 外国人の採用を新規事業の立ち上げや海外進出の契機とし、地場産業の育成につなげる。 「高度人材ポイント制」を 2022 年度中に改める。 年収や学歴、職務経験などの項目を点数に換算し、ポイントの高い外国人材は在留資格で優遇措置を受けられる制度だ。 この項目に「自治体が支援する企業での就労」を加え、点数を上積みしやすくする。

これまで国家戦略特区の制度の下で、広島県や北九州市など一部の自治体で認めてきた。 これを全国に広げる。 念頭に置くのは研究者やエンジニア、経営者などだ。 地方ではデジタル化や脱炭素への対応などで事業転換に迫られている企業も多い。 広島県の場合は半導体開発に携わる企業などが外国の技術者を招いている。 ポイントの合計が 70 点になると「高度専門職」の在留資格が得られ、永住権の取得に必要な日本滞在期間が 10 年から 3 年に短縮される。 80 点になると同じ在留資格でもそれが 1 年で済む。 親や家事使用人の帯同、配偶者の就労も認められる。

今回追加する地方の企業での就労経験は 10 点と換算し、経営者の年収 1,000 万円以上などの条件と同じ扱いとする。 高度専門職の認定件数は 21 年末に 3 万 1,451 件に達した。 新型コロナウイルス禍にもかかわらず拡大し続けている。 国籍別では 20 年末時点で中国人がおよそ 7 割を占め、インド人 (6%) と米国人 (5%) が続く。 足元では新型コロナへの対応で 1 日あたり上限 2 万人の入国制限がある。 コロナ後を見据えて外国人の採用増につなげる基盤を整える。

外国人材を求める企業の掘り起こしにも注力する。 日本貿易振興機構(ジェトロ)を中心に 19 年度から地方の中小企業による海外の高度人材の採用活動を支援している。 21 年度はジェトロの活動を通じて 180 人の採用に成功した。 (nikkei = 7-17-22)


ベトナム人技能実習生、安倍元首相の死を悼んで敬愛の言葉で綴った肖像画作成

在日本のベトナム人技能実習生がこのほど、「ベトナム Love Shinzo Abe」という敬愛の言葉の集合体で描いた安倍晋三元首相の肖像画を作成した。 安倍元首相は今月 8 日、奈良県奈良市での演説中に銃撃され急逝していた。 肖像画を描いたのは、自動車整備技能実習生のチャン・ズイ・ドンさん(男性・22 歳、北中部地方ハティン省出身)。

在任中に日越友好関係の促進に尽力した安倍元首相の銃撃事件に大変なショックを受けたドンさんは、急逝した安倍元首相への尊敬と感謝の気持ちを表明するため、肖像画を作成した。 肖像画は A4 用紙に青色のボールペン (0.5mm) で描かれており、完成には 1 日かかった。 安倍元首相の親しみやすい人柄を表現するのが最も難しかったという。

ドンさんは、「安倍元首相は在任中、新型コロナの影響で苦しい環境にあった在日本のベトナム人労働者を支援してくださいました。 急逝後は、多くの在日ベトナム人が安倍元首相の故郷を訪れて、その死を悼んでいます。」と語った。 安倍元首相の肖像画を SNS に投稿すると、多くの人から肖像画の注文が入った。 ドンさんは肖像画作成で得たお金を全額、チャリティに寄付する意向を示した。 (Viet Jo = 7-15-22)


沖永良部島、ギョーザ作りで外国人技能実習生と交流 滞在中の楽しみ提供

沖永良部島に滞在する外国人技能実習生と島民とのギョーザ作りを通した交流会が 6 月 26 日、複合施設「スマッピー(和泊町手々知名)」で行われた。 参加者は和泊町在住の中国人技能実習生の趙さんと鹿児島県日本語サポーター養成講座の参加者合わせて 7 人。(奄美群島南三島経済新聞)

午前中、同町内のスーパーで一緒にギョーザの材料の買い出しを行った。 正午前には同施設のキッチンを利用してギョーザの皮から作る中国のギョーザの作り方を学びながら、手分けして調理に取り組んだ。 ニラと白菜がたっぷり入った具とエビと卵がメインの具と 2 種類の具を趙さんが作り始め、中国から持ってきたという本場の調味料などに参加者も珍しそうに写真を撮る姿が見られた。 小麦粉に塩を混ぜながら水を加えギョーザの皮の生地をこねる工程では「結構力がいる」、皮を丸く伸ばす工程では「思ったより難しい」などの声が聞かれた。

趙さんは日本語を少し話すことができ、参加者と和やかなムードで調理を進めた。 ギョーザの焼き上がりにフライパンのふたを開けた瞬間に歓声も上がり、笑顔で中国のギョーザに舌鼓を打った。 参加者からは「普段休日に外国人技能実習生とこうやって交流を持つ機会はなかなかない。 料理などの文化を通して異文化の交流体験ができてとても楽しい」、「普段料理教室みたいなものには参加しないが他国の食を楽しめる機会がとても気になり参加した。 とてもおいしいし楽しかった。」と振り返る。

趙さんは「普段休日に地元の人と交流することはあまりなく、今回初めて中国のギョーザをみんなに食べてもらえてうれしかった」と笑顔を見せた。 (みんなの経済新聞 = 7-11-22)


水産、酪農 … 「いないと回らない」外国人実習生 深刻化する人手不足

みるみるうちに、まな板の上にタコの切り身の山ができた。 北海道南西部の寿都町にある水産加工場。 中国人の技能実習生 2 人が慣れた手つきで、唐揚げ用に包丁でさばいていった。 40 歳代の女性 2 人は 3 年前、いずれも大学生の子どもを残し来日した。 実習を終え、10 月に帰国する。 息子や娘の学費のために「お金を稼ぎたい」という 2 人はこう話した。 「子どもに会えるのが楽しみ。」

2 人が働く「マルトシ吉野商店」の吉野寿彦社長 (62) は「彼女たちがいなければ仕事はまったく回らない」という。 一時は従業員の半数近い 4 人の実習生がいた。 コロナ禍の昨春に 2 人が帰国。 代わりの実習生は入国できず、人手不足は深刻化した。 岸田政権は今年 3 月、外国人の入国制限を緩和した。 しかし吉野社長は「今の中国は働き手が有利な売り手市場で、実習生を募集しても来てくれない。」 実習生を受け入れ始めた約 10 年前より中国は経済が成長し、人材確保は難しい。

吉野社長が望みをかけるのは、労働者として外国人を受け入れる「特定技能制度」だ。 かつて実習生として働いていた 40 歳代の中国人女性に、特定技能の労働者として再び戻ってきてもらうつもりだという。 全国の技能実習生は約 27 万人で、道内では約 1 万 2 千人(昨年 6 月時点)にのぼる。 人口が減り、雇用の現場では人手が足りない。 道内の主産業の水産加工や農業、建設業は多くの労働者が必要で、実習生抜きでは成り立たない。

しかし、多くの実習生は最低賃金(北海道は時給 889 円)で働いている。 技能実習制度は「日本で技術を学び、母国に持ち帰る」のが目的で、転職の自由も家族帯同も認められていない。 一方、2019 年に安倍政権(当時)が始めた特定技能制度は、転職も家族と一定の条件で住むこともできる。 だがコロナ禍の影響もあり、道内で働く特定技能の労働者は約 2,600 人にとどまる。 雇い主にとっては辞められてしまう恐れもある。 吉野社長は「実習生が集まらない以上は仕方がない。 彼女は以前ウチで働いていたから大丈夫だ。」という。

道北部の美深町にある農場で、乳牛を世話するインドネシア人のチャイさん (25) は特定技能の 1 人だ。 16 年に実習生として来日し、山形県酒田市でイカ釣り船に乗っていた。 コロナ禍で帰国できなくなり、農業の特定技能の試験を受けて合格。 今年 2 月からこの農場で働いている。 実習生の時は、一度漁に出ると 1 カ月ほど海の上で過ごした。 「農業の方がまだ楽。 給料もいい。 実習生ではなく、最初から特定技能で働きたかった。」

農場は派遣会社「札幌エージェント(札幌市)」が経営。 特定分野では農業と漁業には派遣が認められており、同社は道内の農場に約 140 人の外国人を派遣している。 外国の若者たちは SNS で仲間と情報を交換し、より高い賃金が得られる職場を求める。 札幌エージェントの土居祐介社長 (36) は「北海道は賃金が安く、寒くて外国人には人気がない」という。 「出稼ぎにきた外国人にとって、報酬の高いところで働きたいのは当たり前だ。 来てほしければ賃金を上げるしかない。」

地域にとって欠かせない働き手となった実習生らだが、投票権を持たず、その声は政治に届きにくい。 在日外国人を支援する NPO 「移住者と連帯する全国ネットワーク(移住連)」の鳥井一平・共同代表理事は「実習生制度は人権侵害や法令違反が絶えず、見直す必要がある」と語る。 移住連が参院選を前に各党に行ったアンケートでは、実習生制度の廃止について、自民、公明、国民民主、維新は「どちらとも言えない」、立憲民主、共産は「賛成」。 「反対」と答えた政党はなかった。 鳥井氏は「特定技能も、人手不足に悩む経済界の要請を受け、その場しのぎでつくられた制度。 労働者として、外国人ときちんと向き合わなくてはいけない。」と指摘する。

入国がさらに緩和された際に、外国人に「日本で働きたい」と来てもらうにはどうすればいいのか。 北海道教育大函館校の孔麗教授は「北海道が『選ばれる』ためには、他の都府県より日本語教育などに力を入れ、地域内での交流を活発にする必要がある。 政府も自治体や民間任せにするのではなく、外国人の人権や生活を保障する共生のための法律をつくるべきだ。」と話す。 (編集委員・堀篭俊材、asahi = 7-1-22)


追い詰められる外国人技能実習生 借金、劣悪な環境、暴行事件も … 制度の理念はどこへ?

「今の会社は親切。 いい環境です。」 にこやかな表情で語るベトナム人の技能実習生男性 (41) から、数年前に味わったという「悪夢のような日々」は想像しがたい。 体を棒でたたかれ、胸を蹴られ骨折 -。 当時の勤務先で 2 年間も続いた暴行。 だが、誰も助けてくれなかった。

借金返済のために耐えていた

1 月、1 本の動画が社会に衝撃を与えた。 岡山市南区の建設会社で、トラックの荷台に立つ男性が頭や体に何度もほうきを打ち付けられている。 薄ら笑う周囲の声。 悲鳴を上げて耐えるこの男性こそが冒頭の技能実習生だ。 暴行事件が明るみに出たことで働く場を提供したいとの申し出が相次ぎ、4 月から実習先を広島市内の建設会社に移した。 とび職として汗を流す。 妻子を残して来日したのは 2019 年 10 月。 「日本ならいい環境でお金をたくさん稼げる」と思っていた。 だが働き始めて 1 カ月で暴行が始まり、期待は打ち砕かれた。

来日前、ベトナムの送り出し機関やブローカーに手数料を支払ったため、約 100 万円の借金があった。 「借金返済のため、ずっと耐えていた。」 監理団体に相談したが、対応してくれないばかりか、暴行はエスカレート。 労働組合「福山ユニオンたんぽぽ(福山市)」に助けを求め、21 年 10 月に保護された。 監理団体は 5 月末に許可を取り消された。 福山ユニオンたんぽぽの武藤貢執行委員長 (72) は岡山の暴行事件について「外国人労働者を巡る問題の氷山の一角だ」と指摘する。

妊娠が分かれば帰国させられる

東広島市の会社の寮で 20 年 11 月、当時技能実習生だったベトナム人女性 (27) が出産したばかりの女児を死なせた事件。 「妊娠が分かれば帰国させられ、借金が返せなくなる。」 女性は今年 5 月に広島地裁で開かれた裁判員裁判の公判で、周囲に妊娠を言い出せないまま出産に至った背景に、多額の借金の存在があったと明かした。

技能実習生の問題に詳しく、弁護側の証人として出廷した広島文教大の岩下康子准教授は「多くの企業は人材確保のために実習生を雇い、最低賃金で働かせている」と指摘。 監理団体は 1 人当たり月 2 万、3 万円の監理費を実習先から受け取っているとし、「利害関係のある監理団体が企業に問題をただすよう進言するのは難しいのが実情だ」とする。

技能を身につけて母国で生かしてもらう技能実習制度が「出稼ぎ」に利用され、人手不足の企業側は「安価な労働力」を求める -。 制度の理念と実態との乖離が際立つ。 厚生労働省によると、中国地方で働く技能実習生は昨年 10 月末時点で 3 万 473 人。 県別では広島 1 万 5,001 人、岡山 8,566 人、山口 3,659 人、島根 1,754 人、鳥取 1,493 人で、広島は全国で 5 番目に多い。

岡山の暴行事件が表面化した 1 月、古川禎久法相は制度の見直しに向けて有識者から意見を聞く勉強会を設置。 日弁連は 4 月、「人権侵害の温床」として制度廃止を求める意見書を岸田文雄首相に送った。 参院選の各党の公約でも、制度の廃止や新制度の創設などが挙がる。 武藤執行委員長は「実習生は借金に縛り付けられ、劣悪な環境でも我慢せざるを得ない。 日本語ができずに孤立したり、失踪したりする人も多い。」と強調。 日本人と外国人が真に共生できる社会を築くため、制度のひずみの改善を急ぐよう訴える。 (中国新聞 = 6-25-22)


栃木・壬生町や受け入れ機関、技能実習生受け入れで覚書

栃木県壬生町は 23 日、農家のベトナム人技能実習生受け入れで、関係団体らと覚書を交わした。 参加した壬生町と下野農業協同組合などは、今後、実習生の紹介や育成に連携して取り組んでいく。 ほかに JA グループ栃木が設立した監理団体のプラスアグリ協同組合、ベトナムの送り出し機関の U インターナショナルヒューマン (UIH) が参加した。

主な受け入れ先は町内のイチゴ農家。 壬生町では家族経営のイチゴ農家が多く、栽培からパック詰めまで行っている。 生産者の高齢化による担い手不足が課題で、町は実習生の受け入れを支援し、イチゴ農家の経営維持につなげたい考えだ。 小菅一弥町長は実習生受け入れにあたり「農業人材を育成して母国に送り出す自覚をもってほしい」と話す。 町は今後、実習生や受け入れ農家に対して生活面や資金面など幅広く相談にのる。 (nikkei = 6-23-22)


低賃金、劣悪な環境 … 働く外国人の SOS に応えたい 神戸で支援団体発足、避難場所も用意

日本で働く在留外国人を法律、福祉、労働などさまざまな視点から横断的に支援する「神戸移民連絡会」が発足した。 働き手として来日する外国人を巡っては劣悪な労働環境、不安定な暮らしなど課題は多様化している。 連絡会には各分野に精通した兵庫県内の専門家や NPO 法人、留学生も参画。 窓口を一本化することで、スムーズな支援につなげたい考え。(井沢泰斗)

神戸大大学院国際協力研究科の斉藤善久准教授 (51) や同科の留学生、在留ベトナム人を支援する NPO 法人「日越交流センター兵庫」の鳥本敏明理事長 (74) らが設立した。 ほかに弁護士や労働基準監督署の元職員らが名を連ねる。 これまでは交流サイト (SNS) などを通じて発せられる在留外国人の SOS に個別に対応してきたが、日本で暮らす外国人の増加とともに課題も多様に。 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う入国制限が順次緩和されていることも踏まえ、民間による組織的な支援が必要と判断した。

在留外国人から職場の労働環境などについて相談があれば、受け入れ企業と交渉。 緊急時には一時的に暮らせる避難場所(シェルター)を用意する。 難民申請者には手続きなどの支援も行う。 出入国在留管理庁によると、途上国への技術伝達を目的にした「技能実習生」は国内に約 27 万 6 千人(昨年末時点)いるが、年間 5 千 - 9 千人が失踪。 背景には賃金の安さや過酷な労働環境、受け入れ側の理解不足などがあるといわれる。 2019 年に創設された特定技能制度でも同様の問題をはらむ。

斉藤准教授は「同胞の甘言に乗せられ借金を背負って来日したり、日本の人材ビジネスに巻き込まれたりする外国人が増えた」と指摘。 「連絡会がセーフティーネットとなり、支援の手からこぼれ落ちた人たちを救っていきたい」と話す。 神戸移民連絡会はフェイスブックで情報を発信している。 (神戸新聞 = 6-18-22)

【在留外国人と特定技能制度】 2021 年末時点の在留外国人は 276 万 635 人。 兵庫県では全国で 7 番目に多い 11 万 1,940 人が暮らす。 特定技能制度は外国人労働者の受け入れ拡大のため、19 年の法改正で導入された。 一定の専門性や技能が必要で介護、建設、農業など特定の職種に限定される。 途上国への技術伝達を目的にした技能実習制度と趣旨は異なるが、現状は特定技能資格者の 8 割が実習生からの移行となっている。


外国人技能実習生に「月 106 時間」違法残業疑い 機械部品製造会社を書類送検
複数回指導も改善されず 京都

外国人技能実習生に、法律で定められた上限を超える違法な残業や休日出勤をさせていたとして、京都市の機械部品製造会社と工場長が書類送検されました。 労働基準法違反の疑いで京都下労働基準監督署が書類送検したのは、京都市南区に本社を置く機械部品製造会社と、残業などを指示する立場にあった工場長の男性 (45) です。

労基署によりますと、工場長は去年 2 月から 3 月にかけ、ベトナム人技能実習生 5 人に対し、労基法に基づいて、労使間で残業時間の上限などを取り決めた「36 協定」などに反する、違法な残業や休日出勤をさせた疑いが持たれています。 5 人は、本社に隣接する工場で板金の加工などを担当し、最も長いケースでは月あたり 106 時間の残業などをしていました。 労基署は以前からこの会社に対し、違法な残業をなくすよう複数回指導してきましたが、改善されなかったため、「悪質性が高い」として書類送検しました。 会社側の認否は明らかにしていません。 (ABC = 6-14-22)


実習生 13 人に 1,400 万円賃金未払い疑い 法人と夫婦を書類送検 岐阜労基署

岐阜労働基準監督署は 10 日、中国籍の女性技能実習生計 13 人に対して計約 1,400 万円の賃金を支払っていなかったとして、最低賃金法と労働基準法違反の疑いで、縫製加工業「PRO MODE (岐阜市本荘中ノ町)」と「Anchor (本巣市見延)」の法人と、経営する夫婦をそれぞれ書類送検した。 署によると、「PRO MODE」と男性社長 (53) は、8 人に 2020 年 1 月 - 21 年 10 月まで 10 カ月間の定期賃金など計約 910 万円を支払わなかった疑い。 「Anchor」と女性社長 (54) は、5 人に 20 年 1 月 - 21 年 9 月まで 9 カ月間の定期賃金など計約 500 万円を支払わなかった疑い。

署によると、両社は県最低賃金の約 15 万円を下回る月額 9 万円の基本賃金しか支払っていなかった。 「経営不振で資金繰りが悪化していた」などと説明しているという。 未払い額は最大で約 190 万円を超える実習生もいた。 両社とも現在は従業員がおらず、事実上倒産しているという。 実習生が署に相談して発覚した。 (岐阜新聞 = 6-10-22)


ベトナム人実習生リンさんの無罪求める署名活動

熊本県芦北町の自宅で死産した双子の遺体を放置したとして、死体遺棄罪に問われ、有罪判決を受けたベトナム国籍の技能実習生レー・ティ・トゥイ・リン被告 (23) の支援者らが、最高裁の判断を待つ被告の無罪を訴える街頭アピールや署名集めを続けている。 署名は最高裁に提出するという。 裁判の記録などによると、リン被告は芦北町の農園で実習中の 2020 年 11 月、1 人でいた実習先の寮で双子の男児を死産した。 遺体をタオルにくるんで段ボール箱に入れ、子どもたちへの言葉などを書いた手紙を添えて箱にテープで封をした。

福岡高裁はこれを「死体を隠匿する行為であり、他者が死体を発見することが困難な状況を作り出するもの」と認定、懲役 3 カ月執行猶予 2 年を言い渡した。 無罪を主張する被告側は上告。 4 月 11 日、最高裁に上告趣意書を提出した。 支援者らは 5 月 27 日、熊本市中心部の街頭で署名活動などを行い、外国人技能実習制度の廃止も訴えた。

リン被告は、ベトナムで多額の借金を背負って来日し、妊娠を告げれば強制的に帰国させられると恐れていたという。 監理団体や雇い主には何度も有給休暇を求めたが認められず「怖くてなにも言えなかった」といい、ほかに相談できる相手もいなかったと話しているという。 支援を続ける「コムスタカ―外国人と共に生きる会」代表の中島真一郎さん (67) は「技能実習生は単純な労働力としか見られておらず、その恋愛や結婚、妊娠は想定されていなかった」と指摘。 「リンさんの事件にはこうした技能実習制度のひずみと共に、外国人や孤立出産した女性への差別があらわれている」と述べた。 (吉田啓、asahi = 6-7-22)

前 報 (7-29-21)


ベトナム技能実習生の負担軽減へ 求人情報入手の仕組み作り

日本に技能実習生を最も多く送り出しているベトナムでは、高額な仲介費用を徴収して日本での仕事を紹介する業者が多数存在し、実習生が負担を強いられているとして、日本・ベトナム両国は、仲介業者を通さなくても実習生が日本の求人情報などを入手できる仕組み作りを進めていくことになりました。

日本で働くベトナムの実習生は、去年末時点で 16 万人余りで、全体の 58% を占めますが、外務省などによりますと、来日前に 50 万円から 100 万円程度の費用が必要になるのが一般的で、借金を背負うケースも多いということです。 費用の中には、送り出し機関への手数料や日本語の学習費用だけでなく、ベトナム国内に多数存在する日本の求人情報を紹介する仲介業者への支払いが含まれ、高い場合は 10 万円から 20 万円ほどに上り、実習生の負担を増やす一因になっているということです。

こうした状況を受けて、日本・ベトナム両国は、仲介業者を通さなくても実習生が日本の求人情報などを入手できる仕組み作りを進めていくことになりました。 日本の受け入れ先の企業の業種や賃金、勤務場所に加え、ベトナム国内の送り出し機関ごとの実績などを、スマートフォンで無料で検索できるシステムを想定しています。 両国は、早ければ来年にも試験的な導入を始める予定で、実習生の負担を減らし、日本での技能実習に専念できる環境作りを進めたいとしています。 (NHK = 6-7-22)


ベトナム人実習生への暴行 監理団体の許可取り消し 相談に対応せず

技能実習生のベトナム人男性が実習先の建設会社(岡山市)で 2 年間暴行を受けたとされる問題で、出入国在留管理庁は 31 日、実習先を監督する監理団体「岡山産業技術協同組合(同市)」の許可を取り消したと発表した。 男性から相談を受けながら適切に対応しなかったと判断した。 入管庁は許可を取り消した理由について、▽ 実習先の監査を適切に行わなかった、▽ 監査の終了後、報告書を速やかに提出しなかった、▽ 実習生の相談に適切に応じて必要な措置をとらなかった、と説明している。 具体的な事実関係は明らかにしていないが、関係者によると、男性から相談を受けても十分な聞き取りや対応をしなかったという。

許可の取り消しにより、今後 5 年間は許可を受けられない。 男性を支援してきた労働組合「福山ユニオンたんぽぽ(広島県福山市)」によると、男性は 2019 年秋に来日し、岡山産業技術協同組合を介して建設会社「シックスクリエイト(岡山市)」で実習を始めた。 複数の日本人従業員による暴行はほどなく始まり、ほうきや棒で殴られたり、安全靴で蹴られて肋骨 3 本を折られたりした。 同組合に相談したが暴行はやまず、21 年 10 月にユニオンに保護されたという。 今年 1 月、ユニオンは長い棒で殴られる様子などが記録された動画を公開。 入管庁と厚生労働省は 2 月、シックスクリエイトの実習計画の認定を取り消していた。 (asahi = 5-31-22)

◇ ◇ ◇

ベトナム人実習生「複数の日本人従業員から暴行」 骨折など重傷

岡山市内の建設会社で働いていたベトナム人技能実習生の男性 (41) が、複数の日本人従業員から繰り返し暴行を受け、あばら骨を折るなどの重傷を負っていたことがわかった。 男性は 17 日、岡山市役所で記者会見し、「家族や他の実習生に迷惑をかけたくなくて、我慢してきた。 外国人にもっと思いやりの気持ちがほしかった。」と述べ、会社などに対して謝罪と慰謝料を求めている。

男性を保護する労働組合「福山ユニオンたんぽぽ(広島県福山市)」によると、男性はベトナムに妻と娘 (5) を残し、2019 年 10 月に来日。岡山市の監理団体の仲介で、11 月にとび職の技能実習生として市内の建設会社に就職した。 翌 12 月ごろから、複数の日本人従業員に殴ったり蹴ったりされるようになり、20 年 5 月には足場の解体作業中、90 センチほどのパイプ状の部品を顔に投げ落とされ、歯が折れ、唇を 4 針縫うなどした。 同 11 月には生活指導員の同僚から胸などを蹴られ、あばら骨が折れた。

21 年 6 月、男性は監理団体にけがを撮影した写真をメールで送って被害を訴えたが、「暴力は注意するが、転籍は難しい」と返信があったという。 男性は「『日本語の能力が低いから暴力を受けるのは仕方がない』という言い方をされた」と話している。 その後 1 カ月程度は暴力が収まったが、同 8 月には足場の上段での作業中、ほこりが落ちてきたことに怒った同僚が男性の靴底の裏に針のような部品を刺すなど、再び暴行が始まった。 暴力は日本語がうまく話せない時や作業が滞った時などに多かったという。

同 10 月、フェイスブックで知り合ったベトナム人を通じて同ユニオンに相談し、保護された。 現在はユニオンのシェルターで生活している。 ユニオンによると、1 回目の団体交渉で会社側は「けがをしたことはおおむね認めるが、暴行があったかどうかは詳細を把握していない」とし、監理団体も「知らなかった」と回答したという。 男性はけがで病院を受診する際、会社から「自転車で転倒したことにしておけ」などと言われたと訴えている。 20 年 5 月ごろからはストレスで不眠症になり、監理団体の担当者が通院に同行したこともあったという。

職場には他に 3 人のベトナム人技能実習生が働いていて、日本人従業員からたたかれるなどの暴力を受けていたという。 男性は「日本に来る前は、日本人は優しく、安全で働きやすい国だと思っていたが、暴力を受けとても大変だった」と涙ながらに語った。 「家族のためにもまだ日本で働きたい。 他の良い会社に変わりたい。」と望んでいる。

会社側の代理人弁護士は「示談交渉中のため事実関係を含めてコメントできない。 円満な解決に向けて早急に対応していきたい。」 監理団体の代理人弁護士は「交渉中のため事実関係を含めてコメントできない」としている。 同ユニオンの武藤貢執行委員長 (71) は「全国的にみてもここまでひどい暴力はなく、明らかにいじめだ」と主張。 団体交渉で解決しない場合は警察への被害届の提出や労働基準監督署への申告、訴訟なども視野に入れているという。 (松室花実、mainichi = 1-17-22)


給付金 140 万円誤支給 中国などの技能実習生に 山梨・南アルプス

山梨県南アルプス市は 27 日、コロナ禍で影響をうけた住民に対する臨時特別給付金について、本来は対象外の 14 人に対して、10 万円ずつ計 140 万円を誤って支給したと発表した。 市によると、14 人は中国とタイから来日した技能実習生。 臨時特別給付金は住民税が非課税の世帯を対象としている。 両国と日本はそれぞれ締結した租税条約に基づき、技能実習生の住民税はそもそも免除されており、給付金の支給対象外だった。 振り込みに際して、給付システムの委託業者と市職員の間で、14 人を給付対象から外す確認を怠っていたという。

別の技能実習生から 17 日、支給時期に関して市に問い合わせがあり、対象外と説明したものの、「同じ条件で受給している人がいるのに自分がもらえないのはおかしい」と指摘を受けて判明した。 市は今後、もし給付金が使われてしまっていたとしても、14 人の勤務先の事業所を通じて返還を求めるという。 再発防止策としてチェックの強化、徹底を図るとしている。 (池田拓哉、asahi = 5-27-22)


「特定技能」の資格を持つ外国人が 4 万人以上増える

「特定技能」制度

記事コピー (5-23-22)


「小野にまた来たい」ベトナム人技能実習生ホンさん、4 年の勤務終え帰国
日本語で同胞のサポートにも奔走

兵庫県小野市内の企業に勤務していたベトナム出身の技能実習生ブイ・ティ・ホンさん (35) が 4 年間の日本滞在を終え、帰国した。 「日本で学びたい」という思いを胸に、2 人の子どもを母国に残して来日。 努力で身に付けた日本語力を生かし、政府による非課税世帯への給付金手続きでは市内の同胞をサポートするなど異国の地で奔走した。(杉山雅崇)

ホンさんは、若いころから日本への憧れが強く「いつか日本語を学ぼう」と思っていた。 5 年ほど前、日本が技能実習生として労働者を募集していることを知った。 「これだ」と応募を決意したホンさんは、夫と義母を説得し、2 人の子どもを預けた。 ベトナムにある日本語教育センターで学び、2018 年 5 月に来日した。 「日本は大都会」とわくわくしていたホンさん。 赴任先の小野市は田園が広がり、家の近くには竹やぶがあった。 「田舎で残念だった」と苦笑する。

市内の電池製造会社で勤務した。 周囲からの差別を感じることはなく、市国際交流協会の助けもあり、余暇を利用して他の外国人との交流や日本文化を学ぶ教室などに参加。 日本人の友人もでき「小野市にまた来たいと思えるようになった」という。 新型コロナウイルスの影響を受ける非課税世帯への 10 万円給付が始まった際には、市役所から同協会を通じ、手続き支援の依頼を受けた。 日本語が堪能ではない市内のベトナム出身者を手助けし、書面への記入を指導した。 同じベトナム人の児童が在籍する市内の小学校で、ベトナムへの理解を深める授業にも講師として参加。 保護者の通訳を買って出た時もあった。 (神戸新聞 = 5-21-22)


店員を羽交い締めにし "強盗" ベトナム人技能実習生の男を逮捕

東京都内のコンビニで現金を奪おうとした疑いで、ベトナム人の男が逮捕された。 ベトナム人の技能実習生、ヴー・フー・ズオン容疑者 (23) は 2022 年 2 月、東京・日野市のコンビニで、男性店員を羽交い締めにして刃物を押し当て、現金を奪い取ろうとした疑いが持たれている。 店員が通報ボタンを押そうとしたところ、何もとらずに逃走していた。 ヴー容疑者は、「借金があり金に困っていた」と容疑を認めている。 (FNN = 5-11-22)


花畑牧場を入管庁が調査 特定技能雇用に厳格要件
外国人「共生」の実相

生キャラメルで知られる花畑牧場(北海道中札内村)が待遇を巡って外国人従業員と対立した後、要求を受け入れ謝罪した。 この過程を出入国在留管理庁が調査している。 ポイントの一つは「望まぬ離職」の有無。 もしあれば、人手不足対策で増えている「特定技能」の外国人の受け入れ要件に抵触する。 企業にとって貴重な人材を雇えなくなるリスクがある。

「全部解決して本当に良かった。」 3 月 19 日、花畑牧場のベトナム人従業員らが記者会見で安堵の声を漏らした。 支援した札幌地域労働組合の三苫文靖書記長によると、労組側が示した和解条件を同社が全面的に認めたという。 同社などによると、特定技能の在留資格で働いていたベトナム人従業員らは 1 月下旬、寮の水道光熱費を会社が一方的に引き上げたなどとして就労を拒否。 従業員側は「ストライキ」と主張したが、同社は職場放棄だとして主導した従業員 4 人に計 200 万円の損害賠償を請求した。

タレントでもある田中義剛社長の発言の一部を切り取って発信し、社会的評価を低下させたなどとして従業員 3 人を名誉毀損容疑などで刑事告訴もした。 しかし会社側は 3 月 17 日に態度を改め、労組側に和解協議を申し入れた。 翌 18 日には、▽ 従業員側に謝罪、▽ 損害賠償請求と刑事告訴の取り下げ、▽ 解決金の支払い - - といった内容で合意した。 「外国人労働者の受け入れ実績も浅く、対応や体制に至らない点があった。 その後の対応にも不適切と思える部分があり、誤解や心配を招く結果になってしまった。」 同社はホームページで謝罪した。

入管庁関係者によると、この件を同庁は調査中。 今も数十人の特定技能外国人を雇用しているとみられる同社が、受け入れ要件に抵触していないかどうかも調査内容に含まれる。 特定技能は生産性向上や人材確保に努めても、なお労働力不足が見込まれる飲食料品製造や農業、介護、建設など 14 分野に限って導入された。 技能実習生の期間を終えた人が在留資格を変更し、働き続けるケースが多い。

その際、受け入れ企業には「1 年以内に、同種の業務に従事していた労働者を離職させていない」という独自の要件を省令で定めた。 従業員を辞めさせ、低賃金の外国人労働者を雇うような事態を防ぐためだ。 日本人であれ外国人であれ、不本意な退職に至った従業員がいれば企業は受け入れ資格を失う。 契約満了時でも更新を望む従業員に対し「重大な理由」などがないのに拒絶すれば、特定技能人材を雇えなくなる。

花畑牧場は 2 月末の発表で、新型コロナウイルスの影響などを挙げ、135 人いたベトナム人従業員のうち 41 人の契約を更新しないことになったと説明。 このうち自主退職希望者は 17 人で、残り 24 人の契約終了は「当社の生産ラインの合理化に伴うもの」、「勤務態度や勤務姿勢についての査定に基づき決定した」とした。 コロナ禍で雇用維持が困難な場合などの人員整理は認められており、入管庁が最終的にどう判断するかは現時点では見えない。 専門家からは「入管庁が『望まぬ離職』と判断する可能性はゼロではない(外国人雇用に詳しい杉田昌平弁護士)」との見方も出ている。

杉田弁護士は「度重なる無断欠勤を原因とする場合など、労働法で認められる解雇でも特定技能では受け入れ停止になりかねない」と指摘。 多数の特定技能人材を雇用する企業では大きな影響が出かねない規定だが、「リスクを理解していない企業も多い」という。 特定技能として働く外国人は、2 月末時点で 5 万 7 千人と 1 年前の 2.8 倍。 国内で若年層が減り続ける中で、労働力不足を補う貴重な人材となる。 受け入れられなくなって事業停止を招かぬよう、規定などの周知が欠かせない。 (覧具雄人、nikkei = 4-19-22)

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花畑牧場がベトナム人従業員と和解 問題認め賠償請求も取り下げ

生キャラメルやチーズの製造販売で知られる「花畑牧場(本社・北海道中札内村、田中義剛社長)」で、ベトナム人従業員が待遇改善を求めてストライキを行い会社と対立していた問題で、和解が成立したことが 19 日わかった。 会社側が問題を認めて謝罪し、ストを主導したとしてベトナム人従業員に起こした損害賠償請求や、名誉毀損容疑で北海道警に出した刑事告訴を取り下げるという。

ベトナム人従業員を支援する札幌地域労組によると、和解は 18 日に成立。 同日、札幌市内で田中社長と労組関係者が話し合い、田中社長は一連の会社側の対応が不適切だったと認め、「申し訳ありませんでした」と謝罪したという。 謝罪文も会社サイトに 1 週間掲載するという。 花畑牧場では 1 月 26 日、ベトナム人従業員約 40 人が待遇悪化に抗議し、十勝第 2 工場(中札内村)でストを行った。

寮で暮らす従業員の水道光熱費は従来月 7 千円だったが、昨年 10 月以降、十分な説明がないまま値上げされ、今年 1 月には約 2 倍になったという。 スト後、会社側は光熱費を従来水準に戻すとした一方、ストを主導したとみなしたベトナム従業員 3 人に対し、1 人あたり 50 万円の損害賠償を請求した。 会社側はさらに、スト直前に田中社長と従業員らが話し合った際の音声ファイルが意図的に編集され、ネット上で報道されたなどとして、3 人を名誉毀損などの容疑で道警に刑事告訴もしていた。

一方、会社側がベトナム人従業員との雇用契約期間を巡り、ベトナム人と交わした契約書類とは異なる内容が記された書類を、出入国在留管理庁に提出していたことも明らかになっていた。 会社側がストを主導したとした従業員 3 人は、3 月中旬で契約期間満了として契約更改されていなかった。 しかし会社側は今回の和解に伴い、入管当局に提出していた書類の契約期間通り、今年 9 - 10 月までの給与も解決金として支払う意向を示したという。

花畑牧場は 1992 年設立。 タレントの田中氏が社長を務め、道内に 4 カ所の工場(中札内村、音更町、夕張市)を構える。 特定技能や特定活動の在留資格を持つベトナム人従業員の受け入れを 1 年半前から始め、現在、135 人が働いている。 (中沢滋人、asahi = 3-19-22)