Suica、乗車券から「鍵」の時代へ JR 東が探る新たな使い道

JR 東日本が IC カード乗車券「Suica (スイカ)」の利用範囲の拡大を進めている。 モバイル Suica を含め、駐輪場やホテルの入退室で「チケット」や「鍵」として使うことなどを想定。 働き方の変化で定期券の利用が落ち込むなか、活用の幅を広げたい考えだ。

横浜市緑区の JR 鴨居駅近くの駐輪場。 入り口の発券機にスイカをかざすと、ゲートのロックが外れ、自転車を押してすっと入れる。通常は駐輪場の発行機で定期券を購入するといった手続きが必要だが、専用サイトでID番号を登録するだけでスイカが入退場に使える。駐輪場を運営する東海技研(横浜市)との実証実験を経て、4 月から本格導入した仕組みだ。 (asahi = 7-22-22)


在来線で時速 160km 運転を実現「681 系」の功績
鉄道の「スピード史」を語る上で外せない名車

2022 年 5 月 22 日に JR 西日本と日本旅行が企画した吹田総合車両所見学ツアーが開催された。 ツアーでは工場内の屋内撮影や解説、検査入場している車両や入換用の事業用車クモヤ 145 形の展示の他、廃車予定の車両が展示された。 この中には 681 系先行試作車クロ 681-1001 もあった。 クロ 681-1001 は今年度中に廃車が予定されているという。 この 681 系先行試作車だが、JR 西日本の特急車両の歴史を語る上で外すことができない存在である。

681 系先行試作車誕生の背景

681 系は北陸本線の特急のスピードアップのため、1992 年 7 月に先行試作車 9 両が製造された。 681 系の開発当時、北陸本線・湖西線では 485 系「雷鳥」、「スーパー雷鳥」を運行。 湖西線内及び北陸トンネル内の最高速度を従来の時速 120km から時速 130km に引き上げて、所要時間の短縮を図っていた。 485 系が時速 130km でブレーキをかけてから完全に停止するまでの制動距離は 600m を超えており、非常ブレーキをかけてから 600m 以内に停止しなければいけないという当時の「600m 条項」に抵触していたが、踏切がない湖西線と北陸トンネル内に限り特認したものであった。

681 系は制動性能を強化して時速 130km の制動距離を 600m 以内とすることで、全区間での時速 130km 運転を可能とし、所要時間のさらなる短縮を図った。 さらに湖西線・北陸トンネル内の最高速度を時速 160km に引き上げることを視野に入れており、主電動機の出力は 245kW を発揮した。 また基礎ブレーキ装置にキャリパブレーキ(車輪ディスクブレーキとブレーキキャリパを使用したブレーキ)を採用したのも、時速 160km 運転を考慮したものだった。

車体は普通鋼を基本として軽量化を図るため高耐候性圧延鋼材を適用。 屋根や台枠にはステンレス鋼を用いた。 先頭部は非貫通の流線型とし、連結器も格納式としてカバーするという徹底ぶりだった。 重心も低くしており、半径 600m までの曲線区間を本則(曲線制限速度) + 時速 15km で通過することができる。 681 系先行試作車による時速 160km 速度向上試験は 1992 年 10 月から実施され、成功を収めた。 しかし、同年 12 月から始まった「雷鳥」での営業運転では最高速度を時速 130km にとどめた。

681 系の量産車は 1995 年に登場。 量産車は七尾線への乗り入れを考慮して 6 両基本編成と 3 両付属編成に分けることとし、連結側の先頭車は貫通形高運転台とした。 合わせて先行試作車の量産化改造を実施して、区分番代を 1000 番代に変更した。 なお、量産化改造当初は 9 両編成のままだったが、2001 年 9 月に中間車に運転台取り付け改造を行い、量産車に合わせた 6 両 + 3 両に改めている。

時速 160km 運転の実現へ

681 系を使用した「スーパー雷鳥(サンダーバード)」は 1995 年 4 月 20 日から運転を開始。 1997 年 3 月 22 日から列車名を「サンダーバード」に改めているが、最高速度は現在に至るまで時速 130km のままである。 一方、1997 年 3 月 22 日の開業へ向けて建設工事が進められていた北越急行ほくほく線は上越線の六日町と信越本線の犀潟をショートカットする立地条件を活かし、越後湯沢で上越新幹線に接続して北陸を結ぶ特急の運行を計画していた。 この特急による時間短縮効果を最大限に発揮させるため、ほくほく線は高規格で建設し、最高時速 160km での運転が計画された。

北越急行は時速 160km 運転に 681 系を使用することとし、1996 年に 681 系 2000 番代を新造。 同年 9 月からほくほく線内で速度向上試験を開始した。 試験の結果単線トンネル進入時に車内の気圧変動が確認され、車体を気密構造にするなどの改良が加えられた。 また、トンネル進入時の圧力で、高運転台先頭車の貫通扉が故障するトラブルも発生したが、これも解決。 同様の改良は JR 西日本から北越急行に乗り入れる編成にも実施された。

なお、時速 160km からの制動距離は 720m を要したが、ほくほく線の時速 160km 許容区間には踏切がないことと、本来 1 つの閉塞区間に 1 列車のみ入れるところを時速 160km で運転する列車の場合は 2 閉塞分使って実質的に閉塞期間を延ばすことで特認された。 その結果、2 閉塞が空いていることを示すため、緑灯が 2 つ並ぶ GG 信号が採用されている。

681 系「はくたか」は 1997 年 3 月 22 日から運転を開始した。 当初は最高時速 130km で運転を開始し、翌 1998 年 12 月 8 日から時速 150km に引き上げた。 その後 681 系 2000 番代の全検入場時に車体の問題がないことを確認し、2002 年 3 月 23 日から時速 160km 運転を開始。 681 系先行試作車が誕生してから約 10 年後に悲願の時速 160km 運転を実現させたことになる。

「はくたか」は 2015 年 3 月 14 日の北陸新幹線長野 - 金沢間の開業により廃止され、列車名は新幹線に受け継がれた。 以後 681 系による時速 160km 運転は実施されていない。 また、北越急行の 681 系 2000 番代は 683 系 8000 番代と共に JR 西日本に譲渡され、「しらさぎ」に転用された。

クロ 681-1001 は保存すべき

北陸新幹線金沢開業で、北陸本線の特急車両に余剰が発生し、先行試作車の付属 3 両編成が2015年9月に廃車となった。 6 両基本編成は引き続き運用していたが、2019 年 10 月でクロ 681-1001 を除く 5 両が廃車。 以後クロ 681-1001 は吹田総合車両所内で保管されていた。 クロ 681-1001 の廃車後の処遇は未定だという。 しかし、「はくたか」が時速 160km 運転を実現することができたのも、681 系先行試作車の存在があったからだと言える。 そのような経緯を考えてもクロ 681-1001 はぜひとも保存してもらいたい。

なお吹田総合車両所のツアーは好評につき第 2 弾が 6 月 19 日に、第 3 弾が 7 月 17 日に開催された。 今後第 4 弾・第 5 弾の開催にも期待したい。 (松沼猛、東洋経済 = 7-20-22)


日本の中古車、ロシアから注文殺到 侵攻前の 3 倍、制裁下でなぜ?

日本からロシア極東への中古車販売が、5 月ごろから急増している。 ロシアの業者によると、ロシア国内からの注文が殺到。 約 4 万台が日本で輸送を待っていて、受注を制限することもあるという。 ロシアのウクライナ侵攻後、欧米や日本が厳しい制裁を科す中で、なぜ注文が増えているのか。 6 月末、ロシア極東のウラジオストク港には、日本から運ばれた中古車や新車がぎっしり並んでいた。 韓国からの車も見える。 SUV (スポーツ用多目的車)やミニバンが多く、大型の高級モデルも目立つ。

「日本などからの輸入が一気に増えて港の駐車スペースが足りなくなった。 場所の拡張や、郊外に仮の保管施設をつくることも検討している。」と、施設管理会社のビクトル・ルツク社長 (32) は話す。 港にはほかにも同業者がいるが、どこも状況は同じだという。 物流会社の担当者は「2 隻の貨物船で日本から月 2 千台を輸送している。 輸送能力は足りないが、便数が決まっているうえに、港がいっぱいで、これ以上は増やせない。」とこぼした。

日本で積み込みを待つ車は 4 万台に

ウラジオストクを拠点とする中古車輸入会社カーウィンのドミトリー・ザボーラ社長 (38) は「(ウクライナ侵攻の)作戦が 2 月に始まり、状況が不透明なため、いったんは注文を止めたぐらいなのに」と予想外の事態に戸惑っている。 4 月に輸入を再開すると、しばらくして注文が殺到。 侵攻前は月 60 - 90 台だったのが、6 月は約 300 台と 3 倍以上になった。 仕事の適正量を超えているため、受注を約 200 台に絞ったほどだ。

ザボーラさんによると、日本からロシアへの中古車の輸送量は月 1 万 7 千 - 1 万 8 千台ほど。 注文の急増に、貨物船や保管施設の手配、税関手続きなどが追いつかず、すでに購入されて日本で積み込みを待つ車だけでも、4 万 - 4 万 5 千台に上るという。 侵攻開始後、対ロシア制裁の影響で、日本の輸送会社が横浜や神戸からロシア極東への便を停止した。 さらに 6 月下旬、富山県の伏木港から中古車を積んでウラジオストクに向かっていたロシアの貨物船で火災が発生し、しばらく運航できなくなったことが、状況悪化に拍車をかけた。

日本の中古車への注文が一気に増えた最大の理由が、ロシアの通貨ルーブルの高騰に伴い、以前より安く買えるようになったことだ。 侵攻前は 1 ルーブル = 1.5 円前後だったが、侵攻後は一時、0.9 円を下回った。 しかし、4 月下旬から反転し、一時は 2.5 円前後で推移した。 例えば、日本で 300 万円の中古車を購入する場合、侵攻前は約 200 万ルーブルだったのが、侵攻後は約 333 万ルーブルに上がり、そこから約 120 万ルーブルまで下がったことになる。

現在も 1 ルーブル = 2.3 円前後で推移し、以前よりも高い水準だ。 車の価格が高いほどルーブル高のメリットは大きく、BMW など欧州の高級車も人気だ。 輸入車の価格低下は、ロシアの新車販売が低迷する一因にもなっていると指摘する声もある。

なぜルーブルは高騰している?

一連の対ロ制裁で、自動車関連で輸出禁止の対象となるのは、ぜいたく品とみなされる 600 万円超の乗用車や中大型のトラックなど。 日ロ両国の業者によると、今のところ、ロシアから日本への送金も問題なくできているという。 日本からロシア極東への中古車輸出について、日本中古車輸出業協同組合の佐藤博理事長は「制裁の影響は大きくない。 今後もルーブル高が続けば、傾向は変わらないだろう。」とみる。

では、なぜ欧米や日本が制裁を科す中でも、ルーブルは高騰しているのか。 2 月 24 日の侵攻後、厳しい対ロ制裁の導入を受け、多くの外国企業がロシア国内の事業やロシアとの輸出入を停止した。 ロシア経済が世界から孤立して先行きが厳しくなったため、ルーブルは一時、暴落した。 ところが、輸入が激減したのに対し、ロシアの主な外貨収入である石油や天然ガスなどの資源輸出は、資源高の影響もあってそれほどの打撃を受けていない。

輸入代金を支払うためのドルやユーロの購入量が急激に落ち込み、輸出で得た外貨を売ってルーブルを買う量が大幅に上回る事態になり、ルーブルの為替相場を押し上げた。 ただ、世界的な半導体不足の影響などで世界の自動車メーカーの生産は不安定な状態が続いており、中古車の需要が高まっている。 今後、日本などでの中古車の供給不足から、ロシアの輸出が頭打ちになる可能性もある。 (asahi = 7-13-22)


JAL、欧米・東南アジア路線で追加増便 乗継需要増加に対応

日本航空 (JAL) は、8 月以降の国際線の運航計画を更新した。 北米・欧州・東南アジア路線で追加増便を行うなど、乗継需要の増加などに応える。 8 月から、東京/成田発シカゴ線 JL8010 便を週 6 便、東京/成田発ロサンゼルス線 JL8062 便を週 2 便、東京/成田発フランクフルト線を週 5 便、東京/成田発バンコク線を週 3 便に増便する。 また、8 月の東京/羽田発デリー線の週 3 便と東京/成田発デリー線の週 4 便、9 月の東京/成田発コナ線の週 3 便の運航を継続する。 (Traicy = 7-7-22)

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空飛ぶウミガメ、定期便が 2 年 4 カ月ぶり復活 成田 - ホノルル線

「FLYING HONU (フライング・ホヌ = 空飛ぶウミガメ)」の愛称で呼ばれる、全日本空輸 (ANA) の超大型旅客機エアバス A380 型機(520 席)の定期便運航が 1 日夜、2 年 4 カ月ぶりに再開された。 成田 - ホノルル線専用で導入された人気の機体だが、コロナ禍で運休が続いていた。 ハワイの海を心待ちにした旅客 414 人を乗せて飛び立った。

「思い出のハワイに新婚旅行です。 かわいくて幸せなイメージの HONU に乗れてうれしい。」 こう笑顔で話すのは、松山市の田中光弘さん (28) と桜子さん (27)。 ハワイは 3 年前、光弘さんが桜子さんにプロポーズした地。 2 人は昨年 11 月に婚姻届を出したが、感染状況が落ち着くまで新婚旅行を控えていた。 7 泊 8 日の旅程で、結婚式の前撮りも計画する。 「ダイヤモンドヘッドが見えるビーチでの撮影が楽しみです。」

HONU は 2020 年 3 月を最後に定期便の運航を休止。 その後は、21 年 8 月に 2 往復しただけで、遊覧飛行やレストランに活用されていた。 再就航後は 3 機ある機体のうち 2 機を使って、週末の金、土曜に週 2 往復する。 再就航の初便に乗務した古川理機長は「HONU の復活は、日本に日常が戻ってきた象徴のように感じます」と語った。

この日は出発前にセレモニーがあり、ANA グループ社員によるフラダンスなどが披露され、再就航を祝った。 ANA は 1 日、羽田 - ホノルル線を週 4 往復から週 5 往復に増便。 ホノルルではワイキキとアラモアナを結ぶ電気バスも 1 日から運行再開した。 全日本空輸の井上慎一社長は「ハワイは観光旅行のシンボルで全てのバロメーターになる。 観光需要へとつなげたい。」と述べた。

前 報 (10-17-21)

新型コロナの水際対策が緩和され、成田空港では航空各社で国際線を増便する動きが出ている。 ハワイ路線では、日本航空が成田 - ホノルル線の毎日運航を 6 月に再開し、8 月には臨時便を計画。 成田 - コナ線も週 3 往復で約 2 年ぶりに再開する。 日本航空傘下の格安航空会社 (LCC) ジップエア (ZIPAIR Tokyo) は 7 月 16 日 - 8 月末の期間限定で、成田 - ホノルル線を週 3 往復から毎日運航に増便。 ハワイアン航空も同線を 8 月より、週 4 往復から毎日運航に戻す。

成田 - シンガポール線では、シンガポール航空が 7 月 26 日から増便し、毎日 2 便の運航を再開。 同社傘下の LCC スクートは 8 月 1 日、既存の台北経由便に加え、直行便(毎日運航)を新規開設する。 ジップエアは 7 月 16 日 - 8 月末の期間限定で、週 3 往復から週 5 往復に増便する。 このほかの路線も、運航再開や増便の計画がある。

ただ、成田国際空港会社は国際線旅客数について、19 年度の 3,402 万人に対し、24 年度でも 3 千万人にとどまると見込む。 田村明比古社長は、「日本はビザや搭乗前の陰性証明など厳しい制限を続けており、最大のマーケットである中国はさらに厳しい制限がある」と指摘している。 (青山祥子、asahi = 7-4-22)


自動車 8 社の世界販売、5 月は 16% 減 マイナスは 10 カ月連続

国内自動車大手 8 社が 29 日発表した 5 月の世界販売台数は、前年同月より 16.2% 減の計 175 万 1 千台で、昨年 8 月以降、10 カ月連続の減少となった。 中国・上海のロックダウン(都市封鎖)の影響で中国販売が減少した。 中国からの部品調達が滞り、日本の工場でも操業停止が相次いだ。

世界販売は 7 社で減少した。 最も減少幅が大きかったのがマツダで、41.9% 減。 日本では工場の操業停止が続いたほか、外出制限が実施された中国での販売が 43.8% 減ったことが響いた。 日産自動車やホンダも中国販売の減少が大きく、世界販売を 3 割強減らした。 唯一増加したスズキは、新型コロナ禍でインド販売が急減した前年からの反動増となった。 国内販売も、部品供給の滞りによる生産減の影響が続き、17.9% 減の 23 万 6 千台。 世界生産は 0.2% 減とほぼ横ばいの 162 万 2 千台だった。 (神山純一、asahi = 6-29-22)


羽田 - ソウル金浦の航空路線、2 年ぶり再開へ 韓国「交流の象徴」

韓国政府は 22 日、ソウルの金浦空港と東京の羽田空港を結ぶ航空路線を 29 日から再開すると発表した。 新型コロナウイルスの感染拡大で停止されていた路線の約 2 年 3 カ月ぶりの復活となる。 韓国は 6 月から外国人観光客へのビザの発給も再開している。 首都間の往来の利便性が高まり、交流の拡大につながることが期待されている。 韓国政府によると、当面は日本航空 (JAL) と全日本空輸 (ANA)、韓国の大韓航空とアシアナ航空がそれぞれ週に 2 往復、運航する予定。7月以降は利用状況などに応じて、さらに増便を検討していくという。

東京 - ソウル間の航空路線は現在、成田空港と仁川空港の間で運航されているが、両空港とも都心部から離れている。 2020 年 3 月以降に運休した金浦 - 羽田間はコロナ禍前の主要路線で、再開で観光客やビジネス客の利便性が高まる。 日韓の往来の需要は大きいとみられ、6 月 1 日に観光ビザの発給を再開した東京の韓国大使館領事部の前には、ビザを求める人々が徹夜の列をつくった。

また、金浦 - 羽田線については、5 月に就任した尹錫悦(ユンソンニョル)大統領が、日韓関係の改善の一環として早期の再開の意向を示していた。 韓国政府によると、日韓の当局間で再開に向けた協議を進めた結果、21 日に合意に達したという。 韓国の元喜龍・国土交通相は 22 日、「両国の交流の象徴としての意味が大きい路線で、再開が交流を再び活性化させる誘い水になると期待する」とのコメントを発表した。 (ソウル = 稲田清英、asahi = 6-22-22)


ガソリン価格 171.2 円、2 週連続の上昇 補助金は初の 40 円超に

経済産業省は 15 日、ガソリン 1 リットルあたり 41.4 円の補助金を 16 日から 22 日まで石油元売り会社に出すと発表した。 円安もあって輸入する石油価格が高騰しており、補助額は初めて 40 円を超えた。 政府はガソリン価格を 1 リットル 168 円をめどに抑えるため、35 円を上限に補助金を全額支給し、超えた分は半額を出す。 経産省は来週(20 日時点)のガソリン価格は 1 リットル 215.8 円になると推計。 168 円との差が 47.8 円となるため、35 円を超える分の半額 6.4 円を加味して出す。

日本エネルギー経済研究所石油情報センターによると、13 日時点のガソリンの店頭価格(全国平均)は、1 リットルあたり 171.2 円だった。 9 - 15 日に 38.8 円の補助金を出したが 2 週連続の値上がりとなった。 実質的には 2008 年の過去最高値(185.1 円)を上回る水準が続いている。 補助金の財源は、6 - 9 月分として 1 兆 1,655 億円を確保している。 予算は補助額が 1 リットル 35 円未満の実績をもとにしており、いまのままでは財源が足りなくなる可能性もある。 (宮川純一、asahi = 6-15-22)

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ガソリン 173.5 円、強まる先高感 補助金は上限の 25 円支給へ

円安が加速するなかガソリン価格の先高感が強まっている。 今週(18 日時点、全国平均)のレギュラーガソリンの店頭価格は前週比で 0.5 円値下がりし、1 リットルあたり 173.5 円だった。 補助金の効果もあり 2 週連続で下がったが、足元では円建ての原油価格が上昇しており、ガソリン高騰が長引きそうだ。 日本エネルギー経済研究所石油情報センターが 20 日、価格を発表した。

経済産業省はガソリン価格を172円程度で維持するため、石油元売り各社に補助金を出している。 14 - 20 日に 1 リットルあたり 20.3 円の補助金を出していたが、21 日以降は最大となる 25 円に引き上げる。 経産省は補助金がなければ、ガソリン価格は 25 日時点で 198.2 円になると推計する。 2008 年の過去最高値(185.1 円)を上回る水準だ。 原油は 99% 以上を輸入に頼る。 ウクライナ情勢などを受けて、国際指標となる米国産 WTI 原油の先物価格は、このところ 1 バレル = 100 ドルを超えて推移している。

政府は 5 月以降も補助金の制度を延長する方針だ。 価格維持の目標は 172 円程度から 168 円程度に引き下げ、補助金の上限も増額を検討している。 7 月の参院選も控え、政府は物価対策として補助金を重視している。 税金による価格維持政策を当面続けようとしているが、財源が課題だ。上限の増額で、市場機能をゆがめるといった副作用も大きくなる。 (岩沢志気、asahi = 4-20-22)

前 報 (3-9-22)


リニア中央新幹線「岐阜県駅」工事スタート 地上駅では一番乗り 車庫直結の "3 層構造"

東京 - 名古屋間で建設が進むリニア中央新幹線のうち「岐阜県駅」が、地上駅では初となる本格着工を迎えました。 車両基地が近隣に設置される関係で、特異な駅構造になるといいます。 沿線の各地で建設が進められている、東京 - 名古屋間を結ぶリニア中央新幹線。 その途中駅のひとつである「岐阜県駅(仮称)」において、本日 2022 年 6 月 11 日(土)、起工式が行われました。

中央新幹線は最高速度 500km/hで、先行開業区間である東京 - 名古屋間をわずか 40 分で走破します。 ちなみに東海道新幹線では、同区間の所要時間は最短で約 1 時間半。 大幅な時間短縮となります。 リニア中央新幹線の途中駅は、相模原市の「神奈川県駅(仮称)」、甲府市の「山梨県駅(仮称)」、飯田市の「長野県駅(仮称)」、そして中津川市の「岐阜県駅(仮称)」の 4 つ。 そのうち神奈川県駅のみ地下駅で、残りが高架駅です。 その 3 つの高架駅のうち、今回の岐阜県駅が、最初の着工となりました。 神奈川県駅が着工した 2019 年 11 月から約 2 年半。 いよいよ 2 駅目となる中間駅の工事が本格始動します。

岐阜県駅の位置は、中央本線の美乃坂本駅のすぐ北側です。 市中心部の中津川駅からは名古屋方面へひと駅隣にあります。 岐阜県駅への所要時間は、東京駅から 60 分程度、名古屋駅から 15 分程度とされています。 現在、名古屋から中津川までは特急「しなの」で約 1 時間。 たったひと駅区間でも、やはり大きな時間短縮です。 ホームはほかの駅とも共通の 2 面 4 線の構造。 コンコースはぬくもりを感じられる、木材を使用した内装となる計画です。

岐阜県駅の大きな特徴は、コンコース・ホーム・回送線の 3 層構造になっていること。 設置予定の「中部総合車両基地」への回送線は、駅構内の名古屋寄りで分岐し、ホーム階の「屋根上」を走り、進路を変えていきます。 東京寄りで分岐すれば、車庫から岐阜県駅ホームに直接進入できるのに … という疑問がありますが、それについては理由があり、JR 東海いわく「車両基地と駅の高低差が大きく、勾配を緩くするために回送線を長くとる必要があった」ためだそうです。

なお、市街地などでは、リニア中央新幹線の地上区間は、防音などを目的にドーム状の覆いが設置されます。 岐阜県駅周辺も例外ではないのですが、岐阜県駅の天井を走る回送線には覆いが設置される予定はないとのこと。 開業後の空撮映像では、回送列車がゆっくりと進む姿が丸見えになることでしょう。 (乗りものニュース = 6-11-22)

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リニア新幹線に大きな動き? "同盟会" に静岡県から加盟申し入れ

リニア中央新幹線沿線の自治体などで構成する建設促進期成同盟会が会合を開き、着工を認めていない静岡県・川勝知事から同盟会への加盟の申し入れがあったことが報告されました。 これはリニア中央新幹線の早期の建設を求める 9 つの沿線都府県などで構成する同盟会が、東京都内で開いたものです。 会合では、会長を務める愛知県の大村知事が、着工を認めていない静岡県の川勝知事から同盟会への加盟を求める申請書を受け取ったことを報告。 大村知事は、静岡県が今回はリニアの整備促進に賛同する立場であるとし、今後、会員の各自治体の意見を踏まえながら、静岡県の加盟について前向きに検討するとしています。 (CBC = 6-4-22)

前 報 (10-19-20)


独自のアプリ導入へ IC カードない JR 四国、チケットレス化に一歩

【香川】 JR 四国は 3 日、スマートフォンでエリア内の乗車券、定期券などを購入し、チケットレスで乗車できる独自のアプリを来春導入する方針を明らかにした。 独自の IC カード乗車券を持たない JR 四国が、ようやくチケットレス化に一歩を踏み出すことになる。 今秋にも独自のアプリを先行稼働させ、割引切符など一部の切符を発売する。 2023 年春には本格稼働させ、指定席関連を除くほぼすべての乗車券、定期券などを購入できるようになるという。 利用客は乗車する際、スマホ画面を見せて駅の改札を通過する。

同社は一部の企画乗車券や特急券をチケットレス発売しているが、自前のアプリがないため、これまでは JR 西日本などのアプリや予約サイトを通じて発売していた。 JR 四国は、IC カード乗車券には多額の投資が必要だとして自前では導入せず、香川県内の主要駅で JR 西日本の「ICOCA」が使える程度。 一方で、利便性向上や発券業務の省力化などを目指して、独自アプリの開発を進めているという。 新たなチケットシステムの導入は、国の経営改善を求める行政指導に基づき今年度に達成を目指す主要施策 13 項目に盛り込まれた。 (福家司、asahi = 6-6-22)

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JR 四国、全線で来春運賃値上げへ コロナ禍の減収で前倒しに

JR 四国の西牧世博(にしまきつぐひろ)社長は 10 日、来春から全路線で運賃を値上げする意向を表明した。 消費税率変更以外での値上げは 1996 年に平均 6.7% 引き上げて以来。 値上げ幅は未定で、特急料金や通勤・通学定期、回数券の値上げも検討するという。 決算発表会見で明らかにした。 JR 四国は減収が続いており、西牧氏はもともと運賃値上げを考えていたとしたうえで、「コロナ禍で前倒しをせざるをえなかった」と述べた。

人口減少に加え、コロナ禍で鉄道の営業環境は厳しくなっており、来年 4 月には JR 西日本が関西の主要路線の一部区間の運賃を値上げするほか、JR 九州も特急料金を値上げする。 (福家司、asahi = 5-10-22)


「水素燃料船」実現近し? 世界初「舶用水素ボイラー」基本設計完了 陸上への応用も

川崎重工業は 2022 年 5 月 31 日(火)、世界初となる舶用水素ボイラーの基本設計を完了したと発表しました。 燃焼温度が高い、燃えやすいといった水素の燃焼特性に配慮した火炉設計をしつつ、LNG (液化天然ガス)燃料の舶用ボイラを踏襲した設計としたことで、従来と変わらない運用が可能とのこと。波の揺動や設置スペースの制限といった船舶特有の条件や運用面などを考慮した設計にするとともに、燃焼バーナーは、水素特有の焼損や逆火を防止する安全思想を取り入れているといいます。

このボイラーはまず、蒸気タービンプラントなどと組み合わせ、二元燃料推進システムとして 2020 年代半ばに実用化を予定している液化水素運搬船に搭載予定で、今後は詳細設計、製作、そして実証を進めていくとしています。 また、この技術は陸上設備のガス焚きボイラーにも応用できるとのこと。 従来の天然ガス焚きボイラから水素混焼または専焼ボイラへ燃料が転換する流れを見据え、国内外の石油・ガス・化学工業を始めとする各種プラント向けに陸用水素ボイラの開発を推進していくそうです。 なお、このボイラーを搭載した液化水素運搬船の推進システムについては、日本海事協会の基本設計承認を取得済です。 (乗りものニュース = 5-31-22)


32 年ぶり新造船が進水式 神戸・高松間ジャンボフェリー「あおい」

【香川】 高松と神戸を結ぶジャンボフェリーの 32 年ぶりとなる新造船「あおい(5,200 トン)」の命名・進水式が 28 日、広島県尾道市の内海造船瀬戸田工場であった。 現在就航中の 2 隻よりひと回り大型で、輸送力と快適性の向上を図る。 10 月中旬ごろの就航を予定している。 進水式では、船主が瀬戸内海の色彩にちなむ船名を発表。 両舷の船名を覆っていた紅白幕が外された。続いて船主の関係者が銀のおのでロープを切断。 船首のくす玉が割れ、紙テープや風船が舞う中を船体が後ろ向きにゆっくりと進み、瀬戸内海に浮かんだ。

この日は「瀬戸内海に浮かぶテラスリゾート AoI」とする客室コンセプトも発表。 寄港する小豆島の棚田をイメージしたエントランスや、プレミア席専用、自由席、ペット専用、大型ドライバー専用の 4 エリアの客室、「空のテラス」など四つのテラス、ホワイトイオン泉の浴室などのイメージ図を示した。 個室を大幅に増やし、QR コードによるスマホでの乗船や入退室も可能という。 山神正義社長は「シャシー(荷台)だけの貨物輸送の増加に対応して大型化し、小豆島への観光客の利用増を図るため多彩な客室を用意した。 コロナ対策に力を入れ、環境にもやさしい船になる」と話した。 (福家司、asahi = 5-29-22)


大韓航空、福岡 - 仁川の運航再開 1 年 4 カ月ぶり、当面は週 1 便のみ

大韓航空は 19 日、新型コロナウイルスの影響で運休していた福岡 - 韓国・仁川便の往復運航を 1 年 4 カ月ぶりに再開した。 当面は週 1 便で、ビジネス利用を見込んでいるが、観光目的の往来再開に向けて増便の準備をしているという。 この日は福岡空港から、仁川行きの飛行機に 10 人が乗り込んだ。 大韓航空によると、韓国や乗り継ぎ先のベトナムへの商用や帰省目的とみられる。

1 年ぶりに母親に会うという 60 代の韓国人女性は「行き来がしやすくなってとても喜んでいる」と話した。 大韓航空はコロナ禍以前、福岡から仁川と釜山に毎日計 6 便を運航し、大分や鹿児島でも仁川便が就航していたが、21 年 1 月からすべて運休していた。 同社の李碩雨(イ・ソグ)・日本地域本部長は「規制緩和に期待している。 7 月にも増便を図りたい」と話した。 日本政府は外国人の観光目的の入国を 5 月中に試験的に再開するとしている。 (榎本瑞希、asahi = 5-19-22)


近鉄電車、24 年ぶりの新型一般車両の投入を発表
また蚊帳の外の「名古屋線」が悲嘆のトレンド入り

「近畿日本鉄道(本社 : 大阪市天王寺区)」は 5 月 17 日、2000 年のシリーズ 21 車両以来 24 年ぶりとなる新型一般車両の投入を発表。 4 両 10 編成の計 40 両が、2024 年秋から順次デビューする。 投資額は約 84 億円(設計費など除く)。 利用者の使いやすさと同時に、地球環境に配慮された車両を目指した今回の新型一般車両。 乗客の利用状況に応じたロングシートとクロスシートの切り替え、ベビーカーや大型荷物用スペースの確保、車内空気の除菌と座席の抗菌・抗ウイルス機能など、快適性をより向上させたという。

また、乗客が個別に扉を開閉できるスイッチを設置し、酷暑時や厳冬期の車内保温を図るほか、乗務員らが車内を確認できる防犯カメラの設置やバリアフリーへの対応も推し進めたという。 前面の形は、これまでの車両にはない八角形の近未来的なデザインを採用。 外観は近鉄伝統の赤色をより鮮やかに、車内は花柄の座席や木目調の壁などで明るさとやさしさを表現している。

投入されるのは、奈良線、京都線、橿原線、天理線(以降、ほかの線区にも展開予定)。 この情報に、「名古屋線 … ない」、「名古屋線かわいそうすぎる」、「新車が投入されない中古車センターか」、「名古屋線に来ない事が悲嘆となってトレンドにw」、「名古屋飛ばしですね。 わかります。」、「名古屋線が冷遇されなくなる日はいつ来るのか」という投稿が相次ぎ、「名古屋線」がツイッターでトレンド入りを果たした。 (Lmaga.jp = 5-17-22)


航空、JR は 2 年連続赤字 「ウィズコロナのフェーズ」黒字転換予想

航空大手 2 社、JR 主要 3 社の 2022 年 3 月期決算がまとまった。 新型コロナウイルスの感染拡大で、旅行・出張の自粛や各国の水際対策が続き、いずれも純損益は赤字となった。 23 年 3 月期は黒字転換を見込むが、中核事業での本格的な回復はまだ先で、感染状況によっては業績の悪化が続くリスクもある。

日本航空 (JAL) が 6 日発表した 22 年 3 月期決算は、純損益が 1,775 億円の赤字だった。 赤字は 2 年連続で、赤坂祐二社長は会見で「2 期連続という結果については、極めて重く受け止めている。 大変申し訳ない。」と話した。

4 月 28 日に発表した ANA ホールディングス (HD) も純損益は 1,436 億円の赤字となり、2 年連続の赤字だ。 国際線の利用がコロナ禍前と比べて約 9 割落ち込んだままで、国内線も緊急事態宣言が解除された 21 年 10 - 12 月ですら 5 割ほどの回復にとどまった。

JR 東日本、東海、西日本の 3 社も 22 年 3 月期の純損益は 519 億 - 1,131 億円の赤字だった。 テレワークの広がりや出張の減少で、新幹線・在来線ともに利用が低調だったためだ。 JR 東海の金子慎社長は「ご利用が増えた時期もあったが、年度を通して見れば控える状態が長く続いている」と述べた。

今年 3 月には政府による移動の自粛要請が終わり、入国制限も緩和に向かっている。 ANA HD は 9 月までに、傘下の格安航空会社「ピーチ・アビエーション」を含めた国内線の旅客がコロナ禍前の水準に戻ると予想。 JAL も「ウィズコロナのフェーズに入った(赤坂社長)」とし、国内線は 10 月以降に 95% の水準になると見込む。

JR 3 社もワクチンや治療薬の普及が進むと想定し、23 年 3 月期中に運輸の収入や定期を除く収入がコロナ禍前の 8 - 9 割まで戻ると見込む。 JR 西日本の中西豊取締役は「(過去の)戻り具合の経験からすると、一定程度の波はあるものの、戻ると想定している」と期待を込めた。 ただ、訪日外国人客などがコロナ禍前の水準に戻り、本格的な回復局面を迎えるのは来年春以降とみる向きは強い。 また、新たな変異株が流行するなど、感染状況が悪化すれば再び回復にブレーキがかかる可能性もある。

ANA HD は昨年 4 月末時点で、国内線の利用は今年 3 月末までに従来の水準に戻ると見込んでいたが、実際にはオミクロン株の流行などで下ぶれした。 JR 東日本も、新幹線の利用は 22 年 3 月期中に約 8 割に戻る見通しだったが、届かなかった。 足元では燃油の高騰などのリスクもある。 ANA HD の芝田浩二社長は「高値が続いていくと、(対応を)しっかりと考えていかないといけない」と話した。 (箱谷真司、内藤尚志、松本真弥、asahi = 5-7-22)

航空・JR 主要 5 社は 2 年連続の赤字となった * 22 年 3 月期。 単位は億円。 売上高のかっこ内は前年比の増減率。
純損益のかっこ内は前年実績。 ▼ はマイナス。
売上高純損益23年3月期の純損益予測
日本航空6,827(41.9%)▼1,775(▼2.866)450
ANA HD10,203(40.0%)▼1,436(▼4,046)210
JR 東日本19,789(12.1%)▼949(▼5,779)600
JR 西日本10,311(12.1%)▼1,131(▼2,331)585
JR 東海9,351(13.6%)▼519(▼2,015)1,460

東京駅は昨年の 3 倍、大阪駅は 4 倍 GW の人出、コロナ禍前の水準に

緊急事態宣言など新型コロナウイルスの感染拡大に伴う行動制限が 3 年ぶりにない大型連休となり、全国の主な駅や観光地の 5 月 3 - 5 日の人出は、昨年や一昨年より大幅に増えたことが、携帯電話の位置情報からの推計でわかった。 多くの地点でコロナ禍前の 2019 年の水準に戻っており、第 6 波の収束が見えない中で、国内の移動が増えていることが確認された。

NTT ドコモの携帯電話の位置情報から、東京駅や名古屋駅、大阪駅など全国の主な JR の 8 駅と、観光地として知られる那覇市の国際通りの人出を推計。 3 連休の 3 - 5 日、午前 9 時から午後 5 時の、この 4 年間の人出を比べた。 9 カ所とも人出は 20 年に急落し、その後は増え続けている。 昨年より顕著に増えたのは東京と大阪で、東京駅が昨年の 3 倍、大阪駅は 4.3 倍だった。

それでも、コロナ禍によって行動が制限される前の 19 年と比べ、東京駅はなお 41% 減にとどまる。 高松駅も 32% 減、那覇・国際通りも 24% 減だった。 しかし、札幌、仙台、博多の各駅の減り幅はいずれも 1 割以内まで回復。 特に大阪と名古屋は 19 年を超え、大阪駅で 5% 増、名古屋駅は 14% 増となった。

新型コロナの患者は、20 年 1 月に初めて国内で確認された。 この年の大型連休は全国で緊急事態宣言が出ており、都道府県をまたいだ不要不急の移動を自粛するよう求められた。 昨年も東京と関西の 3 府県に緊急事態宣言が出ており、宮城と愛知、沖縄などが「まん延防止等重点措置」の対象になっていた。 一方、今年は最大で 36 都道府県に広がった重点措置が、3 月 21 日で全面解除されていた。 (小宮山亮磨、asahi = 5-6-22)

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制限なしの大型連休、U ターンラッシュ 20 キロ超の渋滞が複数発生

3 年ぶりに新型コロナ対応の行動制限がない大型連休は 5 日、終盤を迎え、各地の高速道路や公共交通機関は行楽地やふるさとから戻る人たちの U ターンラッシュで混雑した。 日本道路交通情報センターによると、同日午後 6 時現在、東名高速や中央道、関越道の上りで 20 キロ超の渋滞が複数発生した。 JR 各社によると、東海道新幹線では午後 3 時半ごろ名古屋駅発の上りで自由席の乗車率が 120% となったほか、東北、上越、北陸新幹線の上りも 100% 超となる便があった。 (狩野浩平、asahi = 5-5-22)