年末年始の空の予約、国内線はコロナ前の 7 - 8 割まで回復

全日空と日本航空は 17 日、年末年始(25 日 - 来年 1 月 4 日)の予約状況を発表した。 国内の新型コロナウイルスの感染状況が落ち着いていることから、国内線の予約者数はコロナ禍前の 7 - 8 割の水準まで回復した。 ただ、国際線は約 1 割にとどまっている。

国内線は全日空が前年比 12.3% 増の約 108 万 1 千人、日本航空が 64.8% 増の約 97 万 8 千人。 コロナ禍前の前々年と比べると、全日空は 71.0%、日本航空は 84.3% だった。 国際線は全日空が約 3 万 3 千人、日本航空が約 3 万 9 千人で、いずれも前年の約 2 倍となった。 変異株・オミクロン株に絡む入国規制の影響はあるものの、日本経由で第三国に向かう人の需要が増えるなどしたため。 ただ、前々年比ではそれぞれ 10.0%、13.5% となっている。 (磯部征紀、asahi = 12-17-21)


ホテル発、鉄道旅ゆき 全国へ! 続々進行トレインルーム

コロナ禍で旅行や出張などの需要が減り打撃を受けるホテル業界。 最近、鉄道グッズや電車の運転席などを展示する「トレインルーム」を導入するホテルが相次いでいる。 子どもから大人まで幅広く、熱心で根強い鉄道ファンにアピールすることで、需要回復につなげようとの狙いだ。

グループの鉄道会社から資産を活用できるメリットのある、鉄道系ホテル。 京都市下京区の目抜き通りから少し入った路地に構える相模鉄道(横浜市)をグループ企業に持つ「相鉄フレッサイン京都四条烏丸」もそのひとつ。 部屋に入ると「運転席」が目に飛び込んでくる。 車両設計図を元に再現した木製のものだが、ブレーキ弁や速度計は、引退した相模鉄道 7000 系などから取り外した本物だ。 運転席から望むモニターには沿線の風景が流れ、室内で運転士の気分が味わえる。

他にも、客室の扉には現行車両と同じ「ひらくドアにご注意ください」のステッカー。 実際に切符を切る時に使っていたハサミや、同系の引退時に車両先頭に付けていたヘッドマークなど、室内にはファンの心をくすぐる 80 点以上が展示されている。 1 室の料金は 1 泊 1 万 2 千円からで、最大 4 人まで宿泊可能だ。 発案者の自称「元鉄道オタク」の支配人、前田好之さんは「1 年半構想をあたためた肝いりのコンセプトルーム。 外遊びを自粛するコロナ禍で、鉄道を通じて親子がふれあえる部屋をイメージして準備しました。」と話す。

宿泊者の評判は上々で、かつて運転士を目指していたという男性(50 代)は、客室の利用者アンケートに「運転席に座って夢がかなったようだ」と寄せた。 子どもの夏休みに訪れた利用者も「コロナで旅行も帰省もできなかったが、親子の楽しい思い出になった」と書いた。

東急電鉄系の「横浜ベイホテル東急(横浜市)」は 4 月、東急電鉄 8090 系に使用されていたハンドルを操作する、本格的な運転シミュレーターを客室に設置した。 販売開始から徐々に人気が高まり、満室の月が続いた。 当初は 8 月末で販売終了を予定していたが、好評のため来年 3 月末まで販売期間を延長した。

名古屋鉄道系の「名鉄グランドホテル(名古屋市)」も 4 月から、昨年 12 月に閉館した名鉄資料館の貴重な鉄道グッズを客室に展示し始めた。 名古屋駅を行き交う電車を一望できる客室からの眺めも好評で、こちらも年内の週末は予約でいっぱいという。 その他にも、南海電気鉄道系の「フレイザーレジデンス南海大阪(大阪市)」、東武鉄道系の「浅草東武ホテル(東京都台東区)」など数多くのホテルがトレインルームを導入している。

鉄道ファンを集客の頼りにするのは鉄道系ホテルだけではない。 今年の 3 月、京都市下京区に開業した「ザ ロイヤルパークホテル京都梅小路」は、京都鉄道博物館が同ホテルの敷地に隣接することから、鉄道ファンや家族連れにアピールしようと、トレインルームを整備した。 室内には N700 系やドクターイエロー、500 系の新幹線が並ぶ写真や鉄道模型を飾り、電車を運転するテレビゲームも備えた。 宿泊プランには同博物館の入館券も含まれ、ホテルの内外で存分に鉄道を楽しむことができる。 同ホテルの広報担当者は「遠出ができない人にも鉄道旅の代わりとして、日中は博物館、夜はホテルで鉄道を一日中満喫してほしい。」

他にも、電車が行き交う JR 新大阪駅近くに立地する「大阪コロナホテル(大阪市)」では、部屋の窓から手の届きそうな距離に新幹線が走る客室を販売。 その名も「撮れインビュープラン」で、宿泊客は目の前を疾走する東海道新幹線を大迫力でカメラに収めることができる。

ようやく感染者が少なくなり、Go To トラベルの再開も検討され始めた旅行業界だが、世界で変異株「オミクロン株」が流行の兆しを見せるなど、まだまだ先行きは見通せない状況だ。 観光庁と国土交通省によると、2021 年 8 月の国内の延べ宿泊者数はコロナ以前の 19 年同月比 51% 減、鉄道の旅客数量は 31.3% 減と大幅にポイントを下げている。

相鉄フレッサイン京都四条烏丸の前田支配人は「11 月は紅葉需要で一時的に予約数が回復したが、12 月以降どうなるかわからない。 コロナ以前に戻るのはいつになるか全く想像できない。」と打ち明ける。 相鉄グループの広報担当者は「テレワークの影響で通勤などの鉄道利用者は減少し、ホテル利用者も観光需要の低迷により減った。 まずはホテルで鉄道ファンに電車を楽しんでもらい、その次には、実際に鉄道に乗って旅行に出かけるような流れができれば。」と期待している。 (田辺拓也、asahi = 12-11-21)


メルセデスベンツの次世代 EV、航続は 1,000km に … 『ヴィジョン EQXX』発表 2022 年 1 月

|メルセデスベンツ乗用車部門のマルクス・シェーファー COO (最高執行責任者)は、2022 年 1 月 3 日にコンセプトカーの『ヴィジョン EQXX』を初公開すると発表した。 ヴィジョン EQXX は、メルセデスベンツの次世代 EV 開発におけるエキサイティングな次のステップになる。 その目的は、驚異的な効率と航続を備えた次世代 EV を開発することにあるという。

ヴィジョン EQXX では、ドイツ・シュトゥットガルトに拠点を置くメルセデスベンツの部門を超えたエンジニアリングチームが、EV の航続と効率の限界を押し上げることを目指す。 この取り組みは、英国のメルセデスベンツ F1 HPP グループのサポートを受ける。 また、メルセデスベンツは、次世代モーターの「eMotors」の開発に、モータースポーツ技術に匹敵する開発スピードを導入していく。 ヴィジョン EQXX はテクノロジープログラムだが、量産車に早期に搭載されるイノベーションをもたらすことが期待されているという。 なお、マルクス・シェーファー COO は、ヴィジョン EQXX の航続について、およそ 1000km を想定、と明かしている。 (Response = 12-1-21)


「オレンジと紺」最後の旅 近鉄特急 12200 系が完全引退

オレンジと紺の車体で半世紀以上愛された近畿日本鉄道の特急電車「12200 系」が 20 日、ラストランを迎えた。 大阪上本町駅、近鉄名古屋駅から賢島駅(三重県志摩市)までツアー客専用の臨時特急としてそれぞれ往復し、計約 500 人が最後の旅を楽しんだ。

大阪上本町駅では正午前、運転士と車掌に記念の花束が贈られ、駅長の合図で出発した。 ラストランは 8 月 7 日に予定されていたが、コロナ禍の影響で延期されていた。 乗り込んだ大阪府柏原市の会社役員石田保さん (64) は「近鉄と言えばこの色。 思い出のある列車に最後に乗れて、非常に満足。」と話した。

1969 年に登場した 12200 系は、リクライニングシートや洋式トイレを備え、昭和天皇やエリザベス女王も乗車した。 かつては軽食を販売し「新スナックカー」の愛称でも親しまれたが、2021 年 2 月に定期運用から外れていた。 一部の車両は改造して紫色に塗り替え、22 年 4 月、大阪、奈良、京都を結ぶ観光特急「あをによし」として再デビューする。 (鈴木智之、asahi = 11-20-21)


東海道・山陽新幹線、のぞみを子ども無料に 今月 24 日から期間限定

JR 東海と JR 西日本は 19 日、東海道・山陽新幹線の子どもの乗車代金を今月 24 日 - 12 月 19 日の間、無料にすると発表した。 東京 - 博多間の「のぞみ」で、普通車指定席・グリーン車が対象。 子ども 1 人分で最大で 1 万 9,120 円が無料になる。 子どもの料金は通常大人の半額だが、JR東海は「子どもを対象にした全額無料は初めて」としている。

会員制の「エクスプレス予約」と「スマート EX」を使って予約し、交通系 IC カードで乗車することが条件。 大人と子ども(6 歳 - 12 歳未満)のチケットを同時に購入する必要がある。 購入後にクレジットカードに子どもの乗車代金分が返金される。 子どもの人数に制限はないという。 来年 3 月にのぞみが 30 周年を迎えることなどから、キャンペーンとして企画した。 年末の繁忙期は対象期間に入っておらず、同社の担当者は「新型コロナウイルスの感染が落ち着いている状況も踏まえた。 遠方に行く機会が限られていたので、家族で旅行に出かけてもらいたい。」と狙いを説明する。 (小川崇、asahi = 11-19-21)


ヤマハ、V 型 8 気筒 5.0 リッター水素エンジンを世界初公開
8-1 集合排気管によるハーモニックレーシングサウンド

ヤマハ発動機は 11 月 13 日、ミッドシップ搭載を想定した V 型 8 気筒水素エンジンをスーパー耐久レース最終戦岡山のイベント広場で世界初公開した。 会場に展示されたパネルによると、この V8 エンジンはトヨタ自動車からの委託で 2018 年に製作されたもので、レクサス「RC-F」、「LC500」に搭載されている V 型 8 気筒 5.0 リッターガソリンエンジン「2UR-GSE」から、水素エンジン用に改良が加えられ、最高出力 335kW/6,800rpm、最大トルク 540Nm/3,600rpmを実現するという。

排気方式をアウトバンク排気からインパンク排気に変更したほか、インジェクター、燃料パイプ、シリンダーヘッド、シリンダーヘッドカバー、チェーンカバー、サージタンク(インテークマニホールド)、エキゾーストマニホールドなどの部品も変更されている。 排気がインバンクなので、吸気はアウトバンクへ。 開発の狙いとしては、ミッドシップ搭載を想定した水素エンジンと官能的排気音の実現を目指したもので、水素燃焼特性を活かした低速トルク向上と高レスポンス、8-1 集合排気管によるハーモニックレーシングサウンドをその特徴としている。

同日、同会場では川崎重工業、スバル、トヨタ自動車、マツダ、ヤマハ発動機の 5 社が、カーボンニュートラル実現に向け、内燃機関を活用した燃料の選択肢を広げる挑戦について共同発表しており、水素を活用した取り組みの 1 つとして展示された。 (CarWatch = 11-13-21)


「密室」の凶行どう防ぐ? 電車内にカメラや防護盾、対策急ぐ鉄道各社

走行中の京王線の車内で、乗客が男に刺されるなどして 17 人が重軽傷を負った事件から 7 日で 1 週間。 主な課題として、車内の状況把握と迅速な避難が浮上した。 逃げ場のない「密室」でどう犯罪を防ぎ、乗客の被害を最小化するのか。 国や鉄道会社は対策の拡充を急ぐが、課題は多い。 (小川崇、磯部征紀)

事件では、車内にいた乗客によって非常通報装置と非常用ドアコックの操作が複数箇所でなされていたことが、明らかになった。 事件があった京王八王子発新宿行きの特急電車(10 両編成)は、10 月 31 日午後 7 時 54 分に調布駅を出発。 その 2 分後に 4 号車で通報装置が押された。 車掌が対応したが乗客の応答はなく、運転士に連絡した。

その 1 分後にはさらに三つの車両で通報装置が押されたほか、非常用ドアコックが操作された。 運転士は乗務員室の仕切り扉を乗客からたたかれて異常を感じ、通過予定だった国領駅での緊急停車を判断。 車掌も乗客から「刃物を持った人がいる」と聞き、指令所に連絡した。 指令所の指示で国領駅の係員はホームへ急行。 警察と消防にも通報した。

電車は同 58 分に国領駅に緊急停車。 ドアコックが操作された影響で加速ができず、所定の位置から約 2 メートル手前で停止。 ホームドアと車両ドアの位置がずれたため、乗客の転落の危険性を考慮して車掌はドアを開けなかった。 乗客は窓から車外へ避難し始めた。 その後、別車両のドアコックを乗客が操作してドアを開け、駅係員も一部のホームドアを開けた。 重傷者以外の全ての乗客が車外に避難したのは、緊急停車から約 10 分後の午後 8 時 8 分だった。,/p>

国土交通省は事件後、複数の装置が押された場合は、通話できなくても緊急事態と認識し、他の車両も含め速やかに停車させるなどの緊急対応を基本とするよう求めた。 ただ、ある鉄道会社の担当者は「トンネル内で停車すれば、さらに危険な状態になる恐れもある。 装置が押されてもまず現場を確認しないと対応は難しい。」と明かす。

また、ドアコックの操作などが影響し、車外への脱出に 10 分かかったため、京王電鉄は「検証結果を踏まえ、(ドアコックの)取り扱いを考えたい」と説明するが、JR 東日本は「外に出ると危険で、乗客は(ドアコックを)みだりに扱わずに係員の指示があった場合に使ってほしい。」 東京メトロは「扱い方や使った時の影響を車内放送などで乗客に周知していく必要がある」とするなど、各社の対応は異なる。 事件後に鉄道各社が参加した緊急会議で国交省は、駅で停止位置がずれた場合、車両とホームドアの双方を開けて避難誘導することを基本とするよう指示した。

車内の状況を素早く把握し、犯罪抑止効果も期待される防犯カメラ。 運転台や指令所で映像を即時に確認できる機能もあるが、導入の進度はまちまちだ。 首都圏の主な鉄道の車内防犯カメラ設置率をみると、100% - 5% で推移している。 ただ、運転台や指令所といった別の場所から即時に画像を確認できる機能があるカメラを搭載しているのは、JR 東海の新幹線車両や東急電鉄、西武鉄道などにとどまる。

カメラの設置には費用がかかるほか、遠隔で確認できる機能を持たせるには通信面や技術面で検討すべき課題もある。 JR 東日本も新幹線や在来線の約 1 万車両に防犯カメラを導入済みだが、リアルタイムではなく「記録用」の位置づけだ。 走行時間が長い新幹線では巡回する警備員が小型カメラを着用し、遠隔で確認できるようにしている。 京王電鉄は「リアルタイムの防犯カメラも含めて抜本的な今後の対策は検討している」としている。

刃物を持った相手を想定し、防御盾の導入も進んでいる。 小田急電鉄は、今年 8 月に小田急線車内で乗客が刺傷された事件を受け、防御盾や防刃(ぼうじん)手袋を全駅に導入した。 防刃手袋は運転台にも配備する。 西武鉄道も防御盾の配備を検討している。 東京メトロでは全乗務員が防犯用品を所持しているという。

今回の事件では、刃物と大量のライター用オイルが持ち込まれていた。 国は 2018 年に起きた東海道新幹線の死傷事件後、梱包(こんぽう)されていない刃物の車内への持ち込みを禁止し、今年 7 月から鉄道会社が利用客の「手荷物検査」をできるようにした。 ただ、手荷物検査の導入は東京五輪・パラリンピックなど大規模な国際イベントなどを念頭においており、乗客の利便性などの理由からハードルは高い。

大会期間中、JR 東は首都圏の新幹線の駅や競技会場の最寄り駅などに探知犬を配置。 簡易的に区切った検査場所で、警察と協力して手荷物を調べたという。 都交通局も同様にボディースキャナーなどを利用して実施したが、いずれも詳しい実績は明らかにしていない。 また、凶器や爆発物などを未然に特定する手段では、空港で用いられている金属探知などの検査があるが、JR 東は「乗客の利用数や検査スペースなどを考えると、利便性を損ねるため鉄道では現実的ではない」としている。 (asahi = 11-7-21)

事件の経過(京王電鉄などへの取材に基づく)
午後7時54分電車が調布駅を出発
同56分最初に通報装置が押される
同57分複数車両で通報装置が押され、ドアコックも操作される
同58分国領駅に緊急停車 ドアは開けず
同59分乗客が窓を開けて避難開始
午後8時車内で刃物を持って喫煙する男を駅員が確認
同4分警察が到着 運転士は車内での放火現場を確認
同8分重傷者以外の全ての乗客が避難したと推定
同9分警察が男を確保


高齢ドライバーの実車試験とサポカー限定免許、来年 5 月 13 日から

高齢ドライバーへの対策として導入される運転技能検査(実車試験)と安全運転サポート車限定免許の申請が、来年 5 月 13 日から始まる。 警察庁が 4 日、方針を明らかにした。 これらの施策は来年施行の改正道路交通法で導入が決まっており、同庁は 5 日から 12 月 4 日まで関連の政令案への意見を募る。 実車試験は、75 歳以上で過去 3 年間に一定の違反歴があれば、免許を更新する際に受ける必要がある。 政令案では対象の違反を、信号無視や速度超過、携帯電話使用など 11 類型とした。 受検期間は免許の有効期間が満了するまでの 6 カ月間で、来年 10 月 12 日以降に 75 歳以上となる人が対象になる。

試験には自動車教習所などのコースを使い、一時停止や信号通過といった課題を想定している。 繰り返し受検できるが、合格するまで免許は更新できない。 警察庁の推計では、免許更新する 75 歳以上は年間約 200 万に上る。 同庁はそのうち実車試験の対象を 7% 程度と見込む。 道交法の政令では検査の手数料の標準額も定めている。 改正案では実車試験は 3,550 円、認知機能検査は現在より 300 円高い 1,050 円とした。

衝突被害を軽減するブレーキなどを備えた「安全運転サポート車」限定の免許の申請も来年 5 月 13 日から始まる。 申請があればその日のうちに交付される。 限定免許にもかかわらず、サポートがない一般の普通車を運転した場合は「免許条件違反」となり、違反点数が 2 点となる。 (田内康介、asahi = 11-4-21)

運転技能検査の対象になる 11 の違反類型

・ 信号無視
・ 逆走、反対車線へのはみ出しなど
・ 追い越し車線を走り続けるなど通行帯違反
・ 速度超過
・ 横断や転回などの禁止違反
・ 踏切の直前で停止しないなど
・ 交差点の右左折で左端や中央に寄らないなど
・ 交差点での安全不確認や他の車両への妨害など
・ 横断歩道を渡る歩行者の妨害など
・ 前方不注意や安全不確認など安全運転義務違反
・ 携帯電話使用など


JR 東日本、2 年連続の赤字に = コロナ禍で通期予想修正

|JR 東日本は 28 日、2022 年 3 月期の連結純損益が 1,660 億円の赤字(前期は 5,779 億円の赤字)になる見通しだと発表した。 従来は 360 億円の黒字を見込んでいたが、一転して 2 年連続の赤字となる。 新型コロナウイルスの感染拡大を受けた緊急事態宣言の延長などで鉄道利用の回復が遅れたことが響いた。 足元では感染者数の急減で利用者も徐々に増加しつつあるが、伊藤敦子常務は「需要の戻りに半年程度のずれが生じている」と説明。 在宅勤務の普及で定期券収入が低迷しているという。 下半期には一定の黒字を確保できそうだが、上半期の損失をカバーできない形だ。 (jiji = 10-28-21)


時速 100 キロ、JR 西が自動点検車両導入へ  これまでは歩いて目視

JR 西日本は 27 日、線路を走りながら電柱や信号機などを点検できる専用車両を、11 月から試験的に導入すると発表した。 これまでは作業員が線路を歩いて目視で点検していたが、業務を効率化して収益改善を図る。 鉄道業界で初めての取り組みといい、2025 年度の本格導入をめざす。

新たに導入する点検用車両は、1 秒に 10 回撮影できるカメラを 55 台備える。 最高時速 100 キロで走りながら、架線も含めて線路周辺の設備を撮影。 その画像を人工知能 (AI) が解析し、サビやひび割れなどの異常がないか判定する。 一度に約 100 種類の設備を点検できるという。 当面は AI が正しく判定できるかを確かめるため、作業員による目視の点検も続ける。

同社はコロナ禍で客が激減して業績が急落。 今後もコロナ前の水準までは利用は戻らないとみて、収益構造の改善を急ぐ。 設備の点検は経営の重荷になっており、今回の取り組みなどで 30 年までに業務量を 1 割削減する方針だ。 長谷川一明社長は 27 日の会見で「構造改革を進め、しっかりと利益をあげられるような会社にする」と話した。 (筒井竜平、asahi = 10-27-21)


米レンタカー大手ハーツ「テスラ EV を 10 万台購入」テスラ株上昇

アメリカのレンタカー大手ハーツは、電気自動車メーカーのテスラから EV を 10 万台購入し、世界の 100 を超える市場で導入すると発表しました。 これを受けてテスラの株価は上昇し、時価総額は初めて 1 兆ドル、日本円で 110 兆円を超えました。 アメリカのレンタカー大手、ハーツ・グローバル・ホールディングスは、25 日、アメリカの電気自動車メーカー、テスラの EV を 10 万台購入すると発表しました。 アメリカメディアは、購入費用は 42 億ドル、日本円でおよそ 4,700 億円にのぼると伝えています。

11 月以降、アメリカ各地の空港などでレンタルできるようにし、その後、再来年末までには世界の 100 を超える市場で導入するということです。 アメリカの世論調査機関、ピュー・リサーチセンターがことし 4 月に行った調査によりますと、次回車を買い替える時に EV を購入するか真剣に検討する可能性があると答えた人はおよそ40%にのぼります。 このため、レンタカーでの利用が広がれば、EV の普及が一気に加速する可能性もあります。

今回の発表を受けてテスラの株価は上昇し、時価総額は初めて 1 兆ドル、日本円で 110 兆円を超えました。 EV をめぐってはトヨタ自動車やホンダなど日本のメーカー各社も開発を進めていて、競争が激しくなっています。 (NHK = 10-26-21)

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米テスラ、供給網混乱でも最高益更新 7 - 9 月の EV 販売 7 割増し

電気自動車 (EV) 世界最大手の米テスラが、着実に販売を伸ばしている。 20 日発表した 2021 年 7 - 9 月期決算は、純利益が 3 四半期連続で過去最高を更新した。 世界的な供給網の混乱で日本の自動車メーカーが軒並み減産を強いられるなか、強さを見せつけた。 「EV の需要は構造的なシフトを続けている。」 テスラは同日の声明で、手応えをにじませた。 7 - 9 月期に販売した EV は約 24 万台で、前年同期から 73% 増えた。 4 - 6 月期の約 20 万台も上回る。 供給網の混乱で「例に見ないほど難しい」状況だったとしながらも、調達や生産部門で対応して乗り切ったという。

この日発表した 7 - 9 月期決算は、売上高は前年同期比 57% 増の 137 億 5,700 万ドル(約 1 兆 5,700 億円)、純利益は同 4.9 倍の 16 億 1,800 万ドル(約 1,800 億円)で、ともに過去最高だった。 販売は、特に世界最大の自動車市場である中国の伸びが大きいようだ。 テスラは地域別のデータを公表していないが、調査会社マークラインズの推計によると、テスラの 7 - 9 月期の中国での販売は約 13 万台と、米国(約 8 万台)を上回る規模となった。

テスラは昨年約 50 万台の EV を生産したが、輸出のハブとなった中国・上海工場での生産を増やし、年換算で 100 万台の生産ペースにのせた。 上海とカリフォルニアの 2 工場に加え、米テキサス州とドイツでも近く工場を稼働させ、さらなる増産につなげる姿勢だ。 ただ、同社は今後の生産について「部品の調達状況にかなり影響される」としているほか、素材価格の高騰など不確定要素は多く、業績に影響が出る可能性もある。

同社は、ドライバーの運転の仕方や注意力などから測った「安全スコア」を、運転支援機能や保険商品に生かす方針を打ち出しており、車体から集めた膨大なデータの活用も進めている。 テスラの運転支援機能については、米当局が調査を進めており、今後リコールなどの対応を迫られる可能性がある。 (サンフランシスコ = 五十嵐大介、asahi = 10-21-21)


クラシックカーが公道走る 映画に登場したあの名車は EV に変身

往年の名車が集う「クラシックカー・フェスティバル」が 24 日、愛知県長久手市の愛・地球博記念公園で開かれた。 同市にあるトヨタ博物館が主催した。 恒例のパレードでは、集まった車両が市内の公道を走り抜け、自動車ファンらが記念撮影を楽しんでいた。 パレードには、「アミルカー CGS (1928 年)」や「トヨペット クラウン(57 年)」など、102 台が参加。 市内の約 14 キロを走った後、公園内に展示された。

32 回目となった今回は「サステイナブルな愛車文化が今、始まる」と題し、将来的に普及が見込まれる電気自動車 (EV) の 6 台も「特別枠」として車列に加わった。 米映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」でタイムマシンとして登場した名車「デロリアン(81 年)」を EV に改造した車も参加し、会場を盛り上げた。 運営車両として、トヨタ自動車の燃料電池車 (FCV) 「ミライ」、東京五輪のマラソンで先導車として走った EV「LQ」、超小型 EV「C+pod(シーポッド)」も走った。 (三浦惇平、asahi = 10-24-21)


ANA 「空飛ぶウミガメ」 3 号機、成田に到着 1・2 号機との違いは

「FLYING HONU (フライングホヌ、空飛ぶウミガメ)」が愛称の全日本空輸 (ANA) の超大型旅客機エアバス A380 型(2 階建て、520 席)の 3 号機が 16 日、成田空港に到着した。 成田 - ハワイ・ホノルル線用に発注された同型の全 3 機の到着が完了した。 3 機には、ハワイで神聖な生き物とされるウミガメ(現地の言葉で「HONU」)が機体全体に描かれている。 3 号機はハワイの夕焼けをイメージしたオレンジ色。 機首のウミガメの顔は、まつ毛のある目をぱっちり開いている。

1 号機はハワイの空をイメージした青色、2 号機は海をイメージしたエメラルドグリーン色で、機首の顔も少しずつ異なる。 3 号機はフランスのトゥールーズから成田空港に 16 日午後 1 時ごろ、到着した。 1 - 3 号機に描かれたそれぞれのウミガメのキャラクター「ラニ」、「カイ」、「ラー」と、ANA のスタッフが出迎え、歓迎した。 多くの航空ファンが成田空港や周辺で到着を待ち構え、撮影するなどした。 (上沢博之、asahi = 10-17-21)

前 報 (3-30-19)


中国が商用 EV 対日輸出 東風など 1 万台、競合なく

中国の自動車メーカーが商用の電気自動車 (EV) で日本に攻勢をかける。 東風汽車集団系などが物流大手の SBS ホールディングス (HD) に 1 万台の小型トラックの供給を始め、比亜迪 (BYD) は大型 EV バスで 4 割値下げを目指す。 世界的な脱炭素の動きを受け、物流大手は EV シフトに動くが、日本車メーカーの取り組みが遅れており、価格の安い中国車を選んでいる。 出遅れた日本車メーカーは早期に巻き返さないと国内市場を奪われかねない。

中国自動車大手、東風汽車集団のグループ会社である東風小康汽車は、SBSHD に 1 トン積載の EV トラックの供給を始めた。 EV スタートアップのフォロフライ(京都市)が設計し、東風小康が生産。 SBSHD は 2030 年までに別の中国メーカーに発注する 1.5 トン車と合わせて、計 1 万台の EV の供給を受ける計画だ。

1 トン車の価格は補助金なしで 380 万円ほどで同じようなディーゼル車とほぼ同価格。 22 年 1 月から本格的に輸入する。 国の補助金も見込めるため、「現行のトラックに比べてコストは安くなる」と判断した。 今後5年で配送の協力会社に使用を促す分も含め国産ディーゼルトラックから順次切り替える。 航続距離は 300 キロメートルで宅配などに使う。

東証 1 部上場の SBSHD は配送時の温暖化ガス排出を減らそうと EV 導入を模索したが、現状では国産の 1 トン積載型が市場になく、日本車メーカーに生産依頼をした場合は 1,000 万円ほどかかるとみている。 小型トラックは 7 月にトヨタ自動車やいすゞ自動車などが設立した商用 EV 企画会社にスズキやダイハツ工業なども参画すると発表したものの日本勢の出遅れが鮮明だ。 20 年の小型バンの国内市場は 23 万台。 ネット通販の伸びに伴い、宅配需要が増え、中国 EV が広がる可能性がある。 商用車は決められたルートで事業者が使用し、乗用車に比べて、充電インフラの確保や保守メンテナンスが容易で参入しやすい面がある。

SG ホールディングス (HD) 傘下の佐川急便も中国・広西汽車集団から EV 軽自動車、7,200 台の供給を受けることで今春合意。 広西は 22 年から輸出を始める。 SGHD は軽車両のすべてを EV にすることで二酸化炭素 (CO2) を 19 年度比で 1 割削減できるとみている。

BYD は日本で販売する 80 人乗りの大型 EV バス「K8」の価格を 4,000 万円から 26 年をめどに 4 割値下げを目指す。 ディーゼルバスと同程度となり、国の補助金も活用できる。 日本法人、ビーワイディージャパン(横浜市)の花田晋作副社長は「同業との競争に伴う技術革新により、低コストでの投入が可能になる」と説明する。 BYD は日本で小型を含む EV バスを 50 台以上販売済み。 大型 EV バスを 30 年までに累計約 2,000 台販売するとしている。

習近平(シー・ジンピン)指導部は市場規模世界一の「自動車大国」から独自ブランドが世界に浸透する「自動車強国」への転換を目指している。 エンジン車では性能、ブランド力ともに日米欧勢にかなわなかった。 部品点数が少ない EV への転換が始まり、中国第一汽車集団はノルウェーに EV の多目的スポーツ車 (SUV) の輸出を始めている。 (nikkei = 10-11-21)

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EV 開発、軽自動車ならではの壁 環境に優しくても …

軽自動車でも電気自動車 (EV) の開発計画が活発になってきた。 脱炭素の流れで EV のニーズが増えていることに加え、エンジン車よりも構造が簡単で、新規参入しやすいからだ。 宅配便大手の佐川急便は 4 月、ベンチャー企業と組んで軽 EV を開発する計画を表明した。 大手も開発を急いでいる。 佐川急便は EV ベンチャー ASF (東京)と共同開発する宅配専用の軽 EV を来秋にも走らせる。 航続距離は約 200 キロで、近距離配送で使う。 営業車の約 3 割、7,200 台を 2030 年度までに切り替える。 同社グループの CO2 排出量を 1 割減らせるという。

EV の企画開発、製品保証を担う ASF は、工場をもたないファブレスメーカー。 車体の製造は、中国の EV メーカー「柳州五菱汽車」に委託する。 ASF の飯塚裕恭社長は「EV をつくるのはエンジン車ほどは難しくない。 電池メーカーの多い中国でつくることで車両価格を下げられる」と話す。 6 月末には、コスモ石油の関連会社と資本提携した。 カーリースやシェア事業向けに軽 EV を提供するなど、法人向けの販売拡大をめざす。 将来的には個人向けも視野にいれる。

軽自動車は燃費の改善が進んでいたこともあり、軽の EV は三菱自動車の商用車「ミニキャブミーブ」など、ごくわずかだった。 ただ、脱炭素に対する社会的要請もあって自治体や企業のニーズが高まっており大手も開発を急ぐ。 三菱自は日産自動車と新たな軽 EV を共同開発中で 22 年発売の見通し。ホンダも 24 年に発売する予定。 課題は価格だ。 総務省によると、20 年の軽乗用車の平均価格は 153 万円。 小型車や普通車に比べて安さが売りだ。 EV に必要なリチウムイオン電池はまだ高く、強みを失いかねない。 大手メーカー販売店関係者は「環境に優しいことを強調しても、安さが失われれば厳しい」と話す。

ただ、EV 開発は急速に進んでおり、車載電池市場も急拡大している。 富士経済によると世界的な車載電池の価格は、1W 時あたり 18 年が 19.3 円だったものが 22 年には 25% 下がると予測する。 航続距離 150 キロのミニキャブミーブは 16KW 時の電池を積む。 その価格は単純計算では 31 万円が 23 万円ほどに値下がりすることになる。 航続距離の短さをカバーする公共の急速充電施設も政府は 30 年にかけて約 4 倍の 3 万基に増やそうと計画しており、普及に向けた環境も徐々に整いつつある。 (神山純一、asahi = 7-9-21)

前 報 (4-14-21)


川崎重工、先進国向けバイク 2035 年までに電動化 強まる脱炭素

川崎重工業は 6 日、日本や欧米などで販売するバイクの主要機種を、2035 年までに電動化すると発表した。 同社が電動化の目標を掲げるのは初めて。 二輪メーカーでも「脱炭素」への流れが強まりそうだ。 同社が製造するバイクは、いまはすべてガソリン車だ。 今後は電気で走る「電動バイク」や、ガソリンと電気で走る「ハイブリッド車」の開発を進める。 まずは先進国で 25 年までに 10 車種以上を投入する。 現行モデルを電動に移行するのか、新たなブランドを立ち上げるかは未定という。

二輪車メーカー各社は電動化対応を急いでいる。 ヤマハ発動機は 7 月、世界の新車販売に占める電動車の割合を、35 年に 20%、50 年に 90% にする方針を打ち出した。 いまは 1% 未満にとどまっているが、「世界的に環境規制が強化される見込みで、待ったなしの課題だ(広報)」とする。 ホンダは数値目標を示していないが、商用向け二輪車で電動化を進めているほか、24 年には個人向けでも売り出す計画を立てる。 スズキを含めた二輪メーカー 4 社は 3 月、電動バイクの交換式電池について、規格の共通化の方針で合意した。 電池の利便性も高めて電動化を促す。 (村上晃一、神山純一、asahi = 10-6-21)


マツダの国内工場、10 日間の夜間操業停止

マツダは 4 日、本社工場(広島市)と防府工場(山口県防府市)で、今月 11 - 15 日と 18 -22 日の夜 8 時から翌日朝までの夜間操業を停止すると明らかにした。 東南アジアで新型コロナウイルスの感染が拡大している影響で、半導体関連部品の調達に支障が出ているため。 25 日以降の操業については未定という。

調達に支障が出ているのは、スポーツ用多目的車 (SUV) 「CX-5」など向けの半導体を搭載した電装品など。 同社は 8 月にも、コロナ禍の影響で中国・上海の空港から半導体関連部品を運ぶ貨物便が運休となったことなどから、両工場での操業を一定期間停止した。 その影響もあり、同月の国内生産は 2 万 8,113 台と、前年同月比で 53.7% 減となった。 (松田史朗、asahi = 10-4-21)

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9 月の新車販売、32% 減 部品調達の停滞響く

9 月に国内で売れた新車は 31 万 8,371 台で、前年同月を 32.2% 下回った。 前年同月割れは 3 カ月連続。 8 月の 2.1% 減から下げ幅が拡大した。 コロナ禍で東南アジアでの部品調達が停滞し、工場の生産停止が相次いでいる影響が深刻さを増してきた。 日本自動車販売協会連合会と全国軽自動車協会連合会(全軽自協)が 1 日、発表した。 特に軽自動車は 35.9% 減の 11 万 2,948 台と落ち込み幅が大きい。 スズキが 39.8% 減、ダイハツ工業が 37.9% 減、ホンダが 42.3% 減だった。

軽以外の登録車は 30.0% 減の 20 万 5,423 台。 9 月の台数としては 1968 年の統計開始以降、過去 2 番目に少ない台数だった。 工場の生産停止の影響で、販売現場では納車にかかる時間の長期化が目立っている。 全軽自協の広報担当は「販売への影響が広がっており、10 月以降の見通しも不透明だ」とみる。 10 月もトヨタ自動車やホンダ、ダイハツなどが減産を表明しており、販売への打撃は長引きそうだ。 (神山純一、asahi = 10-1-21)

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深刻な日本車の減産、約 170 万台に コロナ禍で部品不足が長期化

日本経済を支える自動車産業の減産が深刻になっている。 半導体不足や東南アジアのコロナ禍で、部品の調達が難しくなった。 主な大手メーカーの減産数を集計したところ、8 月末時点は約 93 万台だったが、9 月に入って約 1.8 倍の約 170 万台に増えた。 主なメーカーが 2020 年に生産した合計の約 7% に相当する規模だ。 今年度の年間計画にも影響しており、経済損失は全体で 1 兆円を超えるとの試算もある。

需要は堅調で買いたい人は多いのに …

減産は一時的だとの見方もあったが部品の調達難は続いている。 9 月に入っても工場の稼働停止が相次いで発表された。 自動車への需要は堅調で買いたい人は多いのに、売る新車を十分つくれなくなっている。 トヨタ自動車は 9 - 10 月の生産数を計画から 76 万台減らした。 部品不足による生産停止は一時、国内の全ての工場に及んだ。 生産計画にも影響し、今年度の世界生産数は 930 万台から 900 万台に引き下げた。 ホンダも 8 - 9 月の国内生産が計画の 4 割、10 月上旬は 7 割まで減る見通し。 世界販売数は 15 万台減の 485 万台とする。 スズキは生産数を 35 万台減の 288 万台、スバルは 4 万台減の 99 万台にした。

経済損失、最大で 1.2 兆円の試算も

背景には半導体が年明けから不足していることがある。 半導体製造大手ルネサスエレクトロニクスの工場火災も 3 月にあった。 8 月には正常化したが、デジタル化による需要増もあって世界的に品薄だ。 自動車に使われる半導体は種類が多く、簡単には増産できない事情もある。 さらに夏ごろからベトナムなど東南アジアで新型コロナウイルスの感染者が増え、部品生産が滞った。 なかでも困ったのが「ワイヤハーネス」と呼ばれる電線の束だ。 自動車の神経・血管に例えられるもので生産には手間がかかる。 ほかの工場での代替はすぐにはできず、正常化には時間がかかりそうだ。 減産の規模などは各社で異なるが、年内は混乱が続くとの見方も出ている。

大和総研は現状の減産状況を踏まえ、21 年度に実質国内総生産 z(GDP) が 0.3 兆 - 0.6 兆円減少すると試算する。 自動車産業以外への波及も合わせ、経済損失は最大 1.2 兆円にふくらむという。 (神山純一、福田直之、asahi = 9-24-21)

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マツダ、工場を一時停止 上海便運休で部品調達に支障

マツダは 24 日、本社工場(広島市)と防府工場(山口県防府市)の操業を 23 日夜から 25 日朝まで停止すると発表した。 中国・上海浦東国際空港の職員が新型コロナウイルスに感染した影響で、現地から自動車部品を運ぶ貨物便に運休が出るなどしているため。 25 日朝以降の操業は未定という。 調達に支障が出ているのは、スポーツ用多目的車 (SUV) 「CX-5」など向けの半導体を搭載した電装品の一部。 同社は「販売・サービスや取引先などへの影響を最小限に抑えるよう努めていく」としている。 (松田史朗、asahi = 8-24-21)