揺らぐツイッターの公共性、買収で一転 複数の市役所アカウント凍結

自治体や公的機関のツイッター公式アカウントが、相次いで凍結されて使えなくなった。 具体的な理由の説明はないが、昨年、イーロン・マスク氏が運営会社を買収して以降、仕様変更や大規模障害が相次いでおり、影響したとみられる。 いずれも数日で解除されたが、災害時の広報手段と位置づけてきた自治体も多く、活用には課題が残る。

「プラットフォームの悪用とスパム(迷惑)を禁止するルールに違反している。」

岩手県花巻市には 17 日、ツイッター側からメールが届き、公式アカウントが凍結された。 すぐに先方に問い合わせたが、解除されたのは 21 日午前 0 時過ぎ。具体的な理由の説明はなかった。 この間も市内では大雨が続き、洪水警報が出たが、使えなかった。 担当者は、「災害時はツイッターを見る市民も多いので、困った」と話す。

記事後半では、凍結の理由と責任について、2 人の専門家の見方をお伝えします。 担当者は「直前に同じ文面の投稿が続き、スパムとみなされたのでは」とみる。 15、16 日に大雨警報が発令され、土砂災害の危険があったため、避難所についての情報を 12 回投稿したためだ。 ただ、同様の投稿は以前もしていたが、凍結されたことはなかったという。

国会図書館のアカウントも

埼玉県草加市のアカウントも 18 日午前 0 時 43 分に凍結され、20 日午前 0 時過ぎに解除された。 凍結前の最後の投稿は、17 日午後 1 時、迷い人に関する内容だった。 氏名や年齢、性別、身長などが含まれており、担当者は「個人情報と判断された恐れがあるが、今までも同様の投稿はしており、原因は分からない」と戸惑う。 大分県佐伯市や静岡県伊東市のアカウントも 18 日から凍結され、21 日午前 0 時過ぎに解除された。 国立国会図書館でも、「レファレンス協同データベース事業」の公式アカウントが 17 日から凍結され、21 日までに解除された。 いずれの担当者も、「思い当たることはない」という。 朝日新聞社の取材に対し、21 日午後 7 時までにツイッター側から回答はなかった。(小早川遥平、田渕紫織)

マスク氏買収で一転

日本では東日本大震災以降、災害情報の発信にツイッターを利用する自治体が増えた。 2012 年には、災害時の緊急情報を発信する公的アカウントの検索機能を追加するなど、ツイッター側もライフラインとしての役割を積極的に推進してきた。 この状況を一変させたのが、昨年 10 月のイーロン・マスク氏によるツイッター運営会社の買収だ。 マスク氏はコスト削減のため、大規模な人員削減に着手。 偽情報対策など安全管理を担う社員の多くが会社を去った。

こうした状況下で今回の事態は起きた。 SEO (検索エンジン最適化)専門家の辻正浩氏は「スパム(迷惑)を行うアカウントを検知するアルゴリズム(計算手順)変更が原因の可能性が高い」とした上で、「人員が適切に充てられていれば防げたはずだ」と、人員削減の弊害を指摘する。

広報手段 ツイッター依存はリスク

辻氏によると、複数の自治体アカウントが同時に凍結されるのは日本では初めてだという。 「災害対応時にトラブルを起こしてしまった責任はあまりに大きい」とツイッターの対応を批判する。 公共インフラとしての機能をツイッターに頼るリスクも露呈した。 災害や事故情報を提供する JX 通信社の米重克洋代表は「自治体は情報発信の手段を防災アプリや複数の SNS に多重化しなければ、住民に伝えきれなくなる」と話す。 海外でも懸念は広がる。 米国立気象局は 4 月、ツイッターによる一方的な投稿ルールの変更によって「従来通りに津波警報が投稿できなくなる」と危機感を表した。 (村井七緒子、asahi = 7-22-23)


岩波書店「世界」のツイッターが凍結 編集部「思い当たる節はない」

岩波書店が発行する月刊誌「世界」の公式ツイッターアカウント(@WEB_SEKAI)が凍結され、SNS 上で話題を呼んでいる。 「世界」編集部によると、凍結を確認したのは 18 日朝。ツイッター社からは「プラットフォームの悪用とスパムを禁止するルールに違反している」というメールが届いたという。 「思い当たる節はない。 ツイッター社のサイトから異議申し立てをしている。」と担当者。 「世界」のアカウントが凍結されたのは初めてという。

7 日発売の 8 月号では「特集 : 安倍政治の決算」と題して安倍晋三元首相の政策思想が残した課題を論じていた。 19 日昼時点で、「世界」 8 月号はアマゾンなどのネット書店で購入できない状況になっている。 担当者は取材に「在庫が切れることはこれまでにもあり、今回も売り切れたのだと思う。 SNS で話題になって注文いただいた方もたくさんいるようなので。」と話した。 ツイッタージャパンの担当者は取材に対し、「凍結等の対応についてはルールに従って判断され、ルールにない恣意的な判断で対応がされることはない」とした上で、「個別の事象についてはお答えしかねる」と回答した。 (asahi = 7-19-23)


ツイッター新 CEO にヤッカリーノ氏、広告に注力 マスク氏発表

米実業家イーロン・マスク氏は 12 日、ツイッター運営会社である X 社の新たな最高経営責任者 (CEO) に、米コムキャスト傘下 NBC ユニバーサル (NBCU) の広告責任者、リンダ・ヤッカリーノ氏が就任すると発表した。 マスク氏は 11 日、ツイッターの新たな CEO を見つけたと表明したが、新 CEO の氏名は明らかにしていなかった。 マスク氏は「ツイッターの新 CEO にヤッカリーノ氏を迎えることをうれしく思う」とツイッターに投稿。 ヤッカリーノ氏は主に事業運営に注力し、自身は製品デザインと新技術に注力するとした。

ヤッカリーノ氏はターナー・エンターテインメントで 15 年間勤務した後、2011 年に NBCU に入社。 広告販売業務をデジタル対応に移行させた手腕が評価されている。 マスク氏が昨年 10 月にツイッターを買収して以来、多くの広告主がツイッターへの広告を停止。 マスク氏は今年初め、ツイッターの広告収入が大幅に減少したと認めた。

マスク氏が新 CEO に広告のベテランを選んだことは、デジタル広告が引き続きツイッターの事業の中核となる可能性があることを示している。 広告業界の重鎮で、マーケティングコンサルタント会社 AIL アドバイザリーのルー・パスカリス CEO は「ヤッカリーノ氏のリーダーシップの下、ツイッターの軌道は直ちに 180 度転換する」との見方を示した。 ヤッカリーノ氏からコメントは得られていない。 (Reuters = 5-13-23)


「マスク氏が犯した最大の過ち」 ツイッター、認証バッジ削除で混乱

米ツイッターが利用者が本人であることを示す「認証バッジ」を削除したことで、混乱が広がっている。 戦闘が続くスーダンでは、偽情報の拡散に使われたことが報道で明らかになった。 起業家イーロン・マスク氏が昨年 10 月に買収後、世界の 2 億人超が使う「公共の広場」は混迷を深めている。

「信頼できる情報源のアカウントが見分けづらくなった。」

米東部ボストンに住むアイザック・ジマーンさん (26) はツイッターの変化をこう話す。 ニュースやスポーツなど関心分野についての専門家の見方を知るため、ツイッターはほぼ毎日見ている。 だが、買収後、有料サービスに入れば「認証済みバッジ」がもらえるようになり、著名人をまねたアカウントの投稿が増えたと感じるという。 「差別的な内容を含め、みんなが言いたいことを認めるのは、便利なプラットフォームとはいえない。」

「一夜にして、なりすましのリスク」

認証バッジはアカウントに付けられる青いチェックマークで、従来はなりすましを防ぐため、著名人や政治家、ジャーナリストらによる申請に基づきツイッターが無料で提供していた。 ツイッター上の「いいね」や「リツイート」などのやりとりの多くは著名人の投稿と関連しているとされ、利用者がアカウントを信頼できることは同社にとって死活問題だったからだ。

だが、ツイッターはマスク氏の買収後、有料サービス「ツイッターブルー(日本はウェブサイト版で 980 円)」に加入した人は誰でも認証バッジを取得できるようにした。 4 月からは有料サービスに入らない利用者のバッジの削除を始めた。 その後、日本も含めた幅広い著名人のアカウントの認証バッジを一斉に削除。 約 8,700 万人のフォロワーを持つトランプ前米大統領のほか、ジャスティン・ビーバー氏(フォロワー約 1.1 億人)ら著名アーティストのアカウントからもバッジが消えた。

「認証バッジの削除はマスク氏がツイッターで犯した最大の過ちだ。 著名な人物や組織が、一夜にしてなりすましのリスクにさらされた。」

SNS に詳しい英コンサルタント、マット・ナバラ氏はそう話す。 専門家の間では、悪意のある政府や組織がお金を払って認証を受け、プロパガンダを流す懸念も出ている。 実際、英国の中東専門ニュースサイト「ミドル・イースト・アイ」によると、スーダンの準軍事組織「即応支援部隊 (RSF)」を名乗る認証バッジがついた偽アカウントが、同組織トップのダガロ司令官が死亡したとアラビア語で投稿。 ツイートは約 100 万回表示されたという。

買収半年で従業員は 2 割に、企業価値は半分以下

米国では、ヒラリー・クリントン元米国務長官や「ハリー・ポッター」の著者 J・K・ローリング氏のほか、ロサンゼルス市警などになりすましたアカウントが報告されたことが報じられた。 米メディアによると、ツイッターはビル・ゲイツ氏ら著名人のアカウントについて、一度削除したバッジを復活させるなど恣意的な対応が続いている。 マスク氏の買収後、ツイッターは大きく変わった。 米メディアのインタビューで、約 7,500 人いた従業員は現在、約 2 割にあたる約 1,500 人にまで減ったことも明らかになった。

買収前はツイッターの収入の約 9 割を広告が占めていたが、買収後、差別的発言などの有害投稿が増加したことで広告が減り、収入が激減。 業績面で厳しい状況が続く。 米メディアによると、ツイッターの昨年 12 月の売り上げは前年比 4 割減となり、ツイッターの企業価値は「買収額の半分以下に減った」という。 ツイッターはメディア対応の部署を解散したとみられる。 広報の部署にメールで質問を送ると、「うんちマーク」の絵文字 1 文字だけが自動応答で返信されるようになった。 ツイッターの上場廃止後、業績開示もなくなり、「公共の広場」の現状が見えづらくなっている。

マスク氏は、決済など幅広い機能がある「スーパーアプリ」を目指す方針を示す。 アプリを「X (エックス)」と呼び、4 月にマスク氏が所有する法人「X 社」とツイッターを統合したことを公表。 さらに、「X.AI」という会社も設立した。 ツイッターの投稿データを AI の訓練に使う可能性が取りざたされている。 マスク氏買収後の混乱を受け、利用者の一部が別の SNS に移る動きが出始めた。

ドイツの非営利企業が運営する「Mastodon (マストドン)」は、ツイッターの元幹部らが利用し始めて注目を集め、月間約 120 万人が利用。 ツイッター創業者のジャック・ドーシー氏は、ツイッターへの投稿をやめ、新興 SNS「Damus (ダムス)」で投稿を続けている。 米テキサス州立大のサミュエル・ウーリー助教は「ツイッターやフェイスブックなど発信を重視する SNS から、よりプライベートで脱中央集権的な SNS への移動が起きつつある」と指摘する。 (サンフランシスコ = 五十嵐大介、asahi = 4-27-23)

マスク氏の主な改革

  • 約 7,500 人いた従業員は当初の約 2 割にあたる約 1,500 人に
  • 凍結されていたトランプ前米大統領らのアカウントを復活
  • 「認証済みバッジ」を、有料サービス「ツイッターブルー」の一部に 著名人らの認証バッジを削除

買収から半年後のツイッター

  • 有料会員向けに、投稿の文字数の上限を 280 字から 4 千字(全角は 2 千字)に引き上げ
  • 企業価値は 200 億ドル(約 2.7 兆円)、マスク氏の買収額(440 億ドル)の半分以下に
  • 1 千の主要広告主のうち、半分以上が広告を停止
  • マスク氏の買収後、LGBTQ など性的少数者への差別的な投稿が 119% 増加

マスク氏、TruthGPT の開発表明「最大限に真実追求する AI」

米起業家イーロン・マスク氏は 17 日放映された米 FOX テレビのインタビューで、独自の人工知能 (AI) 技術「TruthGPT (トゥルース GPT)」を開発する意向を明らかにした。 対話型 AI 「ChatGPT (チャット GPT)」が世界的な注目を集めるなか、対抗姿勢を鮮明にした。 マスク氏はトゥルース(真実) GPT について、「宇宙の性質の理解を目指す、最大限に真実を追求する AI だ」と説明した。

マスク氏は最新の AI について、「誤った飛行機の設計や車の生産よりも危険だ」と指摘。 「極めて優れた文章力を持つ AI ができれば、人々に影響力を持ち、ソーシャルメディアで世論を誘導することもできるようになる」として、食品や医薬品のように当局による規制が必要だと話した。 米西部ネバダ州に提出された文書によると、マスク氏は先月、同州で「X.AI」という会社を登記した。 マスク氏が唯一の取締役となっており、米メディアはマスク氏が AI 開発のために作った新会社だと報じている。

マスク氏はチャット GPT を開発した米オープン AI の共同出資者だったが、2018 年に取締役を退任。 最近は同社への批判を強めている。 インタビューでマスク氏は、オープン AI 設立の当初の狙いについて、多くの AI 研究者を抱えるグーグルに対抗するため、開かれた非営利組織を作りたかったと説明した。 だがその後、オープン AI が米マイクロソフト (MS) と連携を深めるなかで、「利益を追求する閉じた組織になった」と指摘。 マスク氏は「とても遅いスタートだが、弊害よりも利点が多い第三の選択肢を作る」と話した。

一方、オープン AI 側も反論している。 同社のサム・アルトマン最高経営責任者 (CEO) は 14 日のツイートで、マスク氏の AI 新会社の報道について「心配だ」と懸念を示した。 (サンフランシスコ = 五十嵐大介、asahi = 4-18-23)

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マスク氏、新会社「X.AI」設立 ChatGPT 対抗か 米紙報道

米紙ウォールストリート・ジャーナルは 14 日、起業家イーロン・マスク氏が人工知能 (AI) 開発のための新会社を設立したと報じた。 対話型 AI 「ChatGPT (チャット GPT)」を運営する米オープン AI が注目を集めるなか、同社に対抗する狙いがあるという。 米西部ネバダ州に提出された登記情報によると、新会社の名前は「X.AI」で、マスク氏が取締役となっている。 同紙によると、マスク氏はこの数カ月間、新会社立ち上げのために AI 研究者の採用を進めており、最近になってグーグル傘下の AI 開発会社ディープマインドの研究者を採用したという。

マスク氏は昨年買収した米ツイッター社を、自身が所有する法人「X 社」と統合したことが明らかになっている。マスク氏はこれまで、ツイッターを決済サービスなども含めた幅広い機能を持つ「スーパーアプリ」にする考えを示しており、そのアプリを「X」と呼んでいた。 英紙フィナンシャル・タイムズは 14 日、関係者の話として、マスク氏の新会社は米電気自動車大手テスラなどと別の会社として運営される一方、ツイッターの投稿データを AI の訓練に使ったり、テスラが持つコンピューター資源を使ったりする可能性もあると報じた。

マスク氏は、オープン AI が 2015 年に創設された際、共同出資者として参加。 だが、18 年に同社の取締役を退任し、その後はオープン AI への批判を強めている。 マスク氏は先月、オープン AI の最新の言語モデル「GPT4」より強力な AI の開発を少なくとも半年間は停止するよう呼びかける公開書簡に署名していた。 (サンフランシスコ = 五十嵐大介、asahi = 4-15-23)


ツイッター、投稿表示のアルゴリズムを公開 マスク氏の「公約」実現

米ツイッターは 3 月 31 日、利用者ごとに表示される「おすすめ」投稿の順番を決める人工知能 (AI) のアルゴリズム(計算手順)を公開した。 起業家イーロン・マスク氏が同社の買収時に掲げた、透明性向上のための「公約」を実現した形だ。 「おすすめの投稿が出されるしくみがブラックボックスの状態で、なぜその SNS が信用できるのか。 我々が目指すのは信頼の最大化であり、それは最大の透明性によって得られる。」 マスク氏は同日、ツイッター上の音声対話機能「スペース」でそう話した。

「おすすめ」に流れる投稿順を決めるアルゴリズムは、開発者向けのソースコード共有サイト「ギットハブ」で公開された。 同社はその仕組みをブログで説明。 @ 利用者の関心が高そうな人やテーマの投稿から約 1,500 件を選ぶ、A 利用者が「いいね」やリツイートなどの反応をする確率を AI で予測し、点数をつける、B 同じアカウントの投稿が続かないように調整するなどした上で点数の高い順に流す、という主に三つの段階があるとした。

マスク氏はコードを開示したことで「多くの問題が見つかり、一部にはアルゴリズムを悪用しようとする人も出て、今後数日は混乱もあるだろう」と言及。 それでも、オープンソースの基本ソフト (OS) 「リナックス」の例を挙げ、「コミュニティー全体で問題を見つけ、修正することができる。 最後は最も信頼され、強力なアルゴリズムになる。」と話した。

プラットフォーマーと呼ばれる巨大 IT 企業の影響力の源泉となっているアルゴリズムをめぐっては、表示する投稿の偏りや有害投稿の拡散につながるなどの懸念から、透明性の向上を求める動きが世界で広がっている。 欧州連合 (EU) が昨年合意した「デジタルサービス法案」では、プラットフォーマーに対し、アルゴリズムに関するデータへのアクセスを求める内容が盛り込まれた。 米議会でも、アルゴリズムの透明性を求める法案が提出された。

ただ、アルゴリズム自体を開示することには、セキュリティー面などの問題も指摘されている。 マスク氏が大幅な人員削減をおこなった後、ツイッターでは大規模な障害も相次いでおり、システム面でも懸念が多い。 ツイッターは 31 日、安全性やプライバシーを損ねるコードは開示しないと説明した。 AI の問題に詳しい米数学者キャシー・オニール氏は昨年取材に対し、「我々が知りたいのは、アルゴリズムが誤作動しているかどうかや、その誤作動がどんな悪影響を引き起こすかであり、コードがどう機能しているかを理解することではない」として、アルゴリズム自体の開示に懐疑的な見方を示した。 (サンフランシスコ = 五十嵐大介、asahi = 4-1-23)


次世代 EV、製造コスト半減 メキシコ工場新設も発表 - 米テスラ

【シリコンバレー】 米電気自動車 (EV) 大手テスラは 1 日、投資家向け説明会で、次世代 EV の製造コストを半減させる計画を発表した。 同時に新設を表明したメキシコ工場などで実現する方針だ。 具体的な時期は不明だが、販売価格引き下げにつながれば、業界競争で一段と優位に立つことになりそうだ。 米テキサス州の本社で開かれた説明会では、現行車種や、今年発売を計画するピックアップトラックなどのラインアップも示された。 (jiji = 3-2-23)


テスラ株 70% 下落の衝撃 やはり「ばかげた過大評価」の声は正しかったのか

テスラの株価が下落している。 2022 年 1 月に最高値 402.66 ドルを記録したものの、年間を通じては下降トレンドにあり、第 4 四半期に入ると急激に減少。12 月 27 日(現地時間)の終値は 109.10 ドルと、52 週最安値となった。 最高値と比較すると約 70% の下落であり、「テスラはもうおしまいか?」など、さまざまな臆測が世界中を駆けめぐった。 ちなみに、年が明けてから幾分かもちなおし、2023 年 1 月 23 日(現地時間)の終値は 143.75 ドルとなっている。

2021 年決算におけるテスラの株主資本は 301 億 8,900 万ドルであり、1 株当たりの株主資本は約 10 ドルになる。 テスラの株式が下落したとはいえ、いまだ 100 ドル以上あるテスラの株価を、「ばかげた過大評価」と言い切る専門家もいれば、「テスラの将来性は損なわれていない」と主張するアナリストもおり、現時点におけるテスラの評価が真っ二つに割れている。

フォード・モーターの 12 月 27 日(現地時間)の終値は 11.20 ドルであり、株価に約 10 倍のひらきがある。 ちなみに、フォード・モーターの株価も、2022 年 1 月の最高値 25.87 ドルを境に下降傾向にあり、かつ最高値と比較すると 56% も下落しており、テスラだけが異常に注目されたとも思えなくはない。 なぜ、テスラだけが異常に注目されるのだろうか。

ここで、テスラの販売台数の推移を見てみよう。 2022 年第 2 四半期は、サプライチェーンの問題や上海工場の閉鎖により生産台数が落ち込んでいるものの、総じて順調に生産を拡大している。 しかし、電気自動車 (EV) 戦国時代に突入し先駆者としてのうまみはなくなったと指摘する専門家もいる。 確かにテスラは、少し前まであれば EV の代名詞的な存在だった。

今日では自動車メーカー各社が、競争力のある EV を販売しており、テスラの苦戦は自然な流れともいえる。 また同じセグメントであれば、価格の安い中国の自動車メーカーが台頭してきた点もテスラの置かれている環境を厳しくしている。 加えて、テスラ苦戦の理由として、昨今の電気料金の高騰も挙げられている。 特にヨーロッパでは、電気料金が法外に高くなっており、長期的には EV が普及するのであろうが、現時点ではあまりメリットを感じられていない。 確かに、テスラの強みや将来性が以前より見えにくくなっており、過剰な期待感に対する反動として余計に目立っているのかもしれない。

向かい風になる中国補助金廃止

EV 販売の大きな市場である中国の景気後退や新エネルギー車購入に対する補助金の廃止も、マイナス要因のひとつだ。 もちろん、補助金の廃止の影響はテスラだけに限ったものではない。 中国の EV メーカーである NIO の李斌最高経営責任者 (CEO) も、「2023 年の上期には厳しい状況に直面し、中国での新エネルギー車の需要が損なわれる」と述べている。

中国の景気後退は、既に海外の自動車メーカーの業績を直撃しており、テスラは 2022 年の秋から年末にかけて、モデルによるものの最大 9% の値下げを中国国内で実施していた。 この割引の効果により、11 月に 10 万 291 台の EV の納入につながった。 2022 年秋に中国で値引きを実施したのはテスラだけでない。 BMW、メルセデス・ベンツも値引きを行っていた。 メルセデス EQS は 19%、BMW にいたっては i3 を 30% も割引したという報道も見受けられた。 テスラだけでなく中国や欧米の自動車メーカーにとって、ここしばらくは厳しい状況となる中国市場も、向かい風には違いない。

残ったツイッター社買収の傷跡

テスラに限った話ではないが、EV 販売を取り巻く環境が決してバラ色ではないことは明らかであるが、さらにテスラの置かれている状況を悪化させているのが、テスラのイーロン・マスク CEO によるツイッター買収だ。

イーロン・マスク CEO は、2022 年 10 月下旬に総額 440 億ドルでツイッター社の買収を終えるやいなや、ツイッター社の CEO に就任した。 以降、半数以上の社員の解雇、長時間労働の要求、トランプ前大統領のアカウント復活、自身を取材する記者のアカウント停止、さらにはツイッター社 CEO の辞任表明など、テスラとは関係のない場面で、さまざまな話題を振りまいてきたのは記憶に新しい。

この一連の騒動で、「マスク氏はテスラを見捨てた」、「マスク氏はテスラを ATM (現金自動預払機)と勘違いしている」など批判が相次いだ。 また、イーロン・マスク CEO もツイッター社の買収に関連して、ここ 1 年で 4 回テスラ株を売却しており、依然として筆頭株主には違いないが影響力が薄まるのではないかと見られている。

結局のところ、

・ EV 販売競争の激化
・ エネルギー価格の高騰
・ 先行きが不透明な景気

など不安材料が多いなか、イーロン・マスク CEO はツイッター社買収によりテスラというブランドや期待感を損ねただけではないだろうか。 イーロン・マスク CEO が残した、「テスラの株主が長期的にはツイッターから利益を得られるようにする」というツイートからは、テスラの将来像が全く見えてこない。 (小田坂真理雄、Merkmal = 1-28-23)



ツイッター「表現の自由」に懸念 記者アカウント凍結、批判相次ぐ

米ツイッターが、米主要メディアの著名記者らのアカウントを凍結したことに、批判が続出している。 同社を所有する起業家イーロン・マスク氏は 16 日、アンケート結果を受けて凍結したアカウントを再開させたが、明確な理由を示さず記者を排除した姿勢に、マスク氏が掲げてきた「表現の自由」が揺らいでいる。 アカウントが凍結されたのは、ニューヨーク・タイムズ紙、ワシントン・ポスト紙、CNN などのテクノロジー担当の複数の記者ら。 ツイッターは 14 日、公開情報をもとにマスク氏のプライベートジェットを追跡する大学生らのアカウントを凍結しており、記者らはこの件に関するツイートを投稿していた。

マスク氏は 15 日のツイートで、「私のリアルタイムの位置情報をさらして家族を危険にさらすのは許されない」としたうえで、「彼らは私の位置情報を投稿した、暗殺のコーディネートと同じで、(明らかな)ツイッター規約の違反」だとして、7 日間アカウントを停止する考えを示した。

こうした対応に対し、国連のフレミング報道官は 16 日のツイートで「報道の自由はおもちゃではない。 自由な報道は民主社会の土台で、有害な偽情報との闘いでの重要なツールだ」と批判。 欧州委員会のヨウロバー副委員長も同日、欧州連合 (EU) の新たな「デジタルサービス法」は「報道の自由を尊重するよう義務づけている」として、「(越えてはいけない)レッドラインがある。 そして制裁も、すぐに。」と警告した。

マスク氏は 15 日、凍結したアカウントをいつ復活させるべきかを聞くアンケートをツイッター上で開始。 16 日までに約 370 万人が回答し、「いま」が 58.・7%、「7 日後」が 41.3% となった。 即時のアカウント復活を求める声が上回り、利用者が反旗を翻した形だ。 マスク氏は 16 日、「人々は語った」として、凍結された記者らのアカウントを復活させた マスク氏はツイッターの買収直後、アカウントの扱いなどを話し合う協議会をつくる考えを示したものの、実現していない。 差別的発言などが理由で凍結されたアカウントも復活しており、有害投稿への懸念が広がっている。 (サンフランシスコ = 五十嵐大介、asahi = 12-17-22)


エルトン・ジョンさん、ツイッター「使わない」 マスク氏「戻って」

英国の歌手エルトン・ジョンさんが 9 日、ツイッターの利用をやめると表明した。 自らのツイッターで投稿した。 理由について「最近のツイッターの規約変更により、誤情報がチェックされないまま拡散されることになる」と説明した。 これに対し、ツイッターを買収した米起業家イーロン・マスク氏は、ジョンさんのツイート画像を共有した利用者に、「彼が言及する『誤情報』とは何のことだ」と返信。 その後、ジョンさんの投稿に、「私はあなたの音楽が好きです。 戻ってきてほしい。 特に懸念する誤情報はありますか。」と応じた。

マスク氏の買収後、ツイッターでは、有害投稿が急増するなどの混乱が続く。 差別的発言などを理由に凍結されたアカウントが次々に復活しており、11 月末には、新型コロナウイルスに関する偽情報対策の規約も撤回した。 (加藤あず佐、asahi = 12-10-22)


マスク氏「ツイッターは日本中心」 米報道、従業員は 3 分の 1 に

米ネットメディア「ザ・バージ」は 21 日、米電気自動車大手テスラのイーロン・マスク最高経営責任者 (CEO) が、米ツイッターの社内の会議で「ツイッターは日本が中心だ」と発言したと報じた。 マスク氏はこれまでも、米国外で最大の利用者がいる日本のツイッターの普及度に注目して言及している。 報道によると、マスク氏は 21 日の従業員との会合で、「ツイッターは米国中心に見えるかもしれないが、日本が中心だ」と指摘。 「日本の人口は米国の 3 分の 1 にもかかわらず、日本の 1 日あたり利用者は米国とほぼ同じだ」として、すべての国でめざすべきだと話したという。

独調査会社スタティスタによると、日本のツイッター利用者は約 5,900 万人で、首位の米国(約 7,700 万人)に次ぐ規模となっている。 マスク氏は米国だけでなく、日本やインド、インドネシア、ブラジルなどにもエンジニアを配置して組織を分散させる考えも支持したという。 マスク氏は今月 3 日にも、「ツイッターは日本ですばらしいコンテンツがあり、成人のほぼ半分が使っているが、日本の外ではほとんど見られていない」とツイートしていた。

また、ザ・バージによると、マスク氏は一連の人員削減を終え、エンジニアや営業の採用を進めているとも説明したという。 マスク氏による買収後の大量の人員削減策などにより、約 7,500 人いたツイッターの従業員数は約 2,700 人となり、3 分の 1 近くに減ったとしている。(サンフランシスコ = 五十嵐大介、asahi = 11-23-22)


ツイッター、さらに 1,200 人が退職か 安全対策トップも 米報道

米ニューヨーク・タイムズ紙は 18 日、米電気自動車大手テスラのイーロン・マスク最高経営責任者 (CEO) が米ツイッターの従業員に進退の決断を求めた後、1,200 人超が退社したと報じた。 投稿の安全対策のトップらも辞めており、サービスの安全性への懸念が強まっている。 マスク氏は従業員宛てのメールで「長時間猛烈に働く」よう求めたうえ、同意できなければ辞めるよう促したと報じられ、17 日夕方がその期限とされていた。

ツイッターは今月、約 7,500 人いた従業員の約半分にあたる約 3,700 人の人員削減に踏み切った。 さらに約 1,200 人が辞めた場合、当初の約 3 分の 1 の規模となる。 17 日以降、ツイッター上では退社した従業員のものとみられる投稿が多くみられた。 17 日に退職したというあるエンジニアは、75 人いた部署で残ったのは 3 人だとツイートした。 ツイッター上では、「安らかに」という意味の「#RIPTwitter」のハッシュタグがトレンド入りした。

ツイッターの安全対策部門のトップを務め、今月退社したヨエル・ロス氏は 18 日の米紙への寄稿で、マスク氏がツイッターのサービスを「衝動的に変えている」と批判。 一方で、広告主や規制当局などからの圧力もあり、マスク氏といえども「避けられない制約がある」と指摘した。 ロス氏は、アプリ配信サービスを手がける米グーグルや米アップルの存在も強調。 ツイッター上で有害投稿が増えれば、両社のアプリ配信サービスからツイッターのアプリが除外される可能性もあると指摘した。 「アップルやグーグルはツイッターの意思決定を形作る巨大な力を持っている」として、こうした制約がツイッターの投稿管理に影響を与えるとの見方を示した。

ロス氏によると、一部の広告主がツイッターへの出稿を見合わせたことを受け、買収前は「投稿への介入を減らす」と言っていたマスク氏が、差別的な投稿の削除を強化するよう指示。 「私の退社前、ツイッターはマスク氏のもとで以前より安全になっていた」とも説明した。 一方、マスク氏は 18 日のツイートで「ツイッターの新しい規約は、言論の自由であり、拡散の自由ではない」としたうえで、「否定的で差別的な投稿は最大限(画面の表示が)引き下げられる」として安全性を重視する姿勢を示した。

マスク氏はこの日、今月凍結した米著名コメディアンのキャシー・グリフィン氏らのアカウントを復活した一方、トランプ前米大統領のアカウントについては「まだ決断していない」と投稿。 マスク氏はトランプ氏のアカウントを復活させるべきかどうかのアンケートも始め、18 日夜時点で約 600 万の回答があり、約 55% が「はい」、約 45% が「いいえ」と答えた。 (サンフランシスコ = 五十嵐大介、asahi = 11-19-22)


マスク氏の「長時間猛烈に…」に反発 ツイッター数百人退職の意向か

米電気自動車大手テスラのイーロン・マスク最高経営責任者 (CEO) が、米ツイッターの従業員に進退の決断を求めた後、リモートワークを認めるなど態度を軟化させたことが明らかになった。 複数の米メディアが 17 日報じた。 数百人の従業員が退職する意向との報道もあり、投稿の安全対策などにも懸念が出ている。 マスク氏は 16 日の従業員宛てのメールで、「長時間猛烈に働く」よう求めたうえで、同意できなければ辞めるよう促したと報じられていた。 米ワシントン・ポスト紙によると、マスク氏の求めに反対し、数百人の従業員が退職する意向という。

米ニューヨーク・タイムズ紙は 17 日、マスク氏が従業員宛ての別のメールで、従業員が優れた貢献をしていると上司が認めた場合、リモートワークを許可する方針を示したと報じた。 マスク氏は全従業員の約半分にあたる約 3,700 人を人員削減したとされるが、一部の元社員を呼び戻す動きも報じられるなど混乱が広がっている。 一方、米民主党の上院議員 7 人は 17 日、米連邦取引委員会 (FTC) のリナ・カーン委員長宛ての公開書簡で、ツイッターに対する調査を行うよう求めた。 マスク氏が買収後、サービスの「安全性を損ねた」と訴えている。

エリザベス・ウォーレン氏ら 7 人の議員は、ツイッターのアカウントが本人のものだと示す「認証済みバッジ」をマスク氏が有料で提供し始めたことを問題視。 問題が起きると知りながら有料化を始めたことで、著名人や企業のアカウントのなりすましが増え、「利用者が深刻な影響に直面している」と指摘した。 ツイッターはオバマ元米大統領などのアカウントが乗っ取られた後の 2011 年、個人情報の保護を強化することで FTC と合意している。 議員らは、マスク氏らの対応がこの合意に違反する可能性があるとして調査を求めた。 (サンフランシスコ = 五十嵐大介、asahi = 11-18-22)


マスク氏、ツイッター従業員解雇へ 7,500 人の半数との米報道も

米メディアによると、米ツイッターのイーロン・マスク最高経営責任者 (CEO) が経営改善のため、4 日にも従業員の解雇を始めると報じた。 マスク氏は 10 月にツイッターの買収取引を完了。 改革案を矢継ぎ早に打ち出しており、7,500 人の従業員のうち半数の解雇を検討中とも報じられている。 (kyodo = 11-4-22)


マスク氏、ツイッター買収完了 CEO など解雇 = 関係者

複数の関係者によると、米実業家イーロン・マスク氏は 27 日、米ツイッターの買収を完了した。 買収額は 440 億ドル。 マスク氏は、ツイッターのスパムアカウント数について誤解を招く情報を提供したとして、ツイッターの上層部を直ちに解雇。 パラグ・アグラワル最高経営責任者 (CEO)、ネッド・シーガル最高財務責任者 (CFO)、法務・ポリシー担当責任者のビジャヤ・ガッデ氏を解任した。

関係筋によると、買収完了時にツイッターのサンフランシスコ本社にいたアグラワル、シーガルの両氏は、関係者に付き添われて外に出た。 ツイッター、マスク氏、解任された幹部のコメントは取れていない。 マスク氏はツイッターについて、スパムボットの「打倒」、ユーザーにコンテンツを届けるアルゴリズムの公開、憎悪や分断の連鎖の防止、検閲の制限といった野心的な目標を掲げているが、目標達成に向けた具体策や誰がツイッターを経営するのかを明らかにしていない。 人員を削減する計画も示しており、従業員の間には不安が広がっている。

27 日にはツイッターを買収するのは金儲けのためではなく「私が愛する人類を助ける」ためだと表明。 ツイッターは送金、買い物、配車などあらゆるサービスを提供する「スーパーアプリ」の土台になるとの考えも示唆している。 ただ、ツイッターは「ヘビーツイーター」と呼ぶ最も活発な利用者のつなぎ止めに苦戦を強いられている。 ヘビーツイーターは月間アクティブユーザー全体の 10% に満たないものの、ツイート総数の 9 割を占め、ツイッターが世界全体で得る収入の半分を生み出す大事な存在だ。

27 日のニューヨーク市場のツイッター株終値は 0.3% 高の 53.86 ドル。 マスク氏の提示価格である 54.20 ドルをわずかに下回った。 ツイッター株は 28 日にニューヨーク証券取引所から上場廃止となる。 (Reuters = 10-28-22)


ツイッター買収を撤回 イーロン・マスク氏が表明

ツイッターの買収で合意していた電気自動車大手・テスラのイーロン・マスク CEO (最高経営責任者)が、買収計画の撤回を表明した。 マスク氏は 2022 年 4 月、ツイッターを 440 億ドルで買収することで合意したが、アメリカの証券取引委員会が 8 日に開示した資料によると、マスク氏は、ツイッターに対し、「買収計画を撤回する」と伝えたという。

偽アカウントの割合をめぐり、マスク氏は、ツイッターが主張する全体の 5% 未満よりも多いと問題視していたが、その後も情報を十分に開示されず、「複数の重大な契約違反があった」として、買収を撤回したとしている。 これに対し、ツイッター側は「売買契約を執行するために法的措置をとる」と、訴訟で対抗する考えを明らかにしている。 (FNN = 7-9-22)


ツイッター、マスク氏による買収受け入れに合意 買収総額 5.6 兆円

米電気自動車大手テスラのイーロン・マスク最高経営責任者 (CEO) による米ツイッターへの買収提案について、同社は 25 日、マスク氏の買収案を受け入れることで合意したと発表した。 買収総額は 440 億ドル(約 5.6 兆円)となる見込み。 「世界一の富豪」が、利用者 2 億人超の SNS を所有することになる。 ツイッターによると、マスク氏は 1 株 54.20 ドルで、同社の株主から現金で買い取る。 買収は株主や当局の承認などを得たうえで年内の完了をめざし、完了した時点で同社は上場廃止となる。 買収案はツイッターの取締役会で全会一致で承認された。

ツイッターのブレット・テイラー取締役会会長は声明で「提案は相当な現金の上乗せを提供するもので、ツイッター株主に最良の道筋となる」と言及。 マスク氏は「表現の自由は機能的な民主主義の基盤であり、ツイッターは人類の未来にとって重要なことを議論するデジタル空間の広場だ」としたうえで、「新しい機能で製品を改善し、ツイッターを今までになく良いものにしたい」とコメントした。

マスク氏は今月 14 日、ツイッターの全株式を 1 株 54.20 ドルで買い取る買収提案を同社側に通知。 ツイッター側は 15 日、マスク氏による買収を難しくする買収防衛策を導入していた。 マスク氏は先週、買収のための 465 億ドル(約 6 兆円)の資金調達にめどをつけたと明らかにしたうえで、他の株主から株式を直接買い取る「株式公開買い付け」も検討していると表明。 その後、ツイッター側とマスク氏の協議が急速に進展し、数日で合意に達した。 米誌フォーブスの世界の長者番付では、マスク氏の総資産は 2,682 億ドル(約 34 兆円)で世界一の富豪とされる。 (サンフランシスコ = 五十嵐大介、asahi = 4-26-22)