マスク氏、X 買収を表明 自身の AI 企業に統合、開発競争に注力 起業家イーロン・マスク氏は 28 日、人工知能 (AI) 開発企業 xAI が SNS 運営の X (旧ツイッター)を買収すると発表した。 ともに自身が所有する両社の統合で、X が持つデータや人材を競争が過熱する AI 開発にいかしたい考えがある。 xAI が X の全株式を取得する。 買収額は 450 億ドル(約 6 兆 7,500 億円)で、マスク氏が 2022 年にツイッターを買収した際の 440 億ドルをわずかに上回る。 「xAI と X の未来は密接に結びついている」とし、両社のデータや計算能力、人材などを一体的に経営していくという。 マスク氏は 23 年に xAI を立ち上げ、対話型 AI 「ChatGPT (チャット GPT)」を手がける米オープン AI に対抗。 質問に回答する独自のチャットボット「Grok」を世に出し、AI 開発に必要となるデータセンターの拡張も進めてきた。 X には約 6 億人の利用者がいるとされ、すでにそのデータを AI 開発に活用している。 マスク氏は「xAI の高度な AI 技術と専門知識を X の持つ利用者と組み合わせることで、膨大な可能性を引き出す」として、さらに両社の連携を深め、相乗効果を高める狙いがあるとみられる。 「人類の進歩を加速するプラットフォームをつくることができる」としている。 (サンフランシスコ・奈良部健、asahi = 3-29-25) 司法界で強い権力 X 停止命令のブラジル最高裁に「検閲」危惧する声 偽情報対策を命じるブラジル最高裁と X (旧ツイッター)を所有するイーロン・マスク氏の争いは、ブラジルでの X のサービス停止にまで発展した。 「表現の自由」を盾に偽情報対策を講じないマスク氏への批判は根強いが、ブラジルの司法界で強い権力を持つ最高裁のモラエス判事にも、「検閲だ」と危惧する声が出ている。
モラエス判事は 30 日、X に事業停止を命じた決定でそう指摘し、ブラジルの SNS が「無法地帯」だとマスク氏を批判した。 AP 通信によると、ブラジルで月に一度でも X を利用する人は、人口の 5 分の 1 に当たる約 4 千万人いるとされる。 停止の影響は甚大だ。 ブラジルの最高裁は元々、民主主義を弱体化させるとして、偽情報への監視を強めてきた。 現在のルラ大統領が勝利した 2022 年の大統領選では、対立候補をおとしめるような偽情報が SNS 上にあふれ、裁判所は投稿の削除やアカウントの停止を事業者に頻繁に命令した。 それを主導していたのがモラエス氏だった。 モラエス氏は今年 4 月、偽情報を流すアカウントを X が意図的に放置しているとして、司法妨害の疑いでマスク氏に対する捜査を行うと決定。 その後も X に対してアカウント削除や個人情報の提出を求めたが、マスク氏は「過剰すぎる検閲だ」などと強く反発。 今月中旬にはブラジルの事業所を閉鎖するとしていた。 偽情報対策を行わないマスク氏への批判は世界中で根強い。 マスク氏は 22 年に旧ツイッターを買収後、大幅な人員削減を実施。 旧ツイッターはアカウントのなりすましを防ぐため、著名人やジャーナリストを対象に青い「認証バッジ」を無料で提供していたが、マスク氏は有料会員になれば誰でも認証バッジを取れるように変更した。 偽情報を発信するアカウントの多くには認証バッジがあり、信頼できる発信元が分かりづらくなっている。 裁判所の職権で捜査指揮 逮捕命令や知事の罷免も 一方、今回、X への事業停止命令を出したモラエス氏に対しても、国内では批判が根強い。 最高裁や選挙高等裁判所は、裁判所の職権で捜査を指揮することができる。 23 年 1 月に首都ブラジリアで起きたボルソナーロ前大統領の支持者による大統領府などへの襲撃事件では、裁判所が支持者の逮捕を命じ、選挙で選ばれたブラジリア知事の一時的な解任も命じた。 22 年の大統領選で頻発された投稿の削除やアカウントの停止命令でも、偽投稿か否かの判断が裁判所やモラエス氏に委ねられたため、多くの命令を受けた右派を中心に「恣意(しい)的だ」などと反発が強まっていた。 今年 4 月には、大手紙フォーリャが「モラエス氏が推進する検閲は終わらせるべきだ」と題した社説を掲載。 モラエス氏の決定が秘密裏に行われ、根拠の是非が判断できないとして「検閲は違憲で権威主義的な手段だ」としている。 マスク氏はサービス停止命令を受けた直後の 30 日、自身の X に「表現の自由は民主主義の土台だ。 選挙で選ばれていないブラジルの偽の判事が政治目的でそれを破壊している。」と投稿した。 (軽部理人、asahi = 8-31-24) X、成人向けコンテンツを 18 歳未満は閲覧不可に 見たくない人も X (旧ツイッター)は、成人向けや暴力的なコンテンツについての指針を明確化した。 18 歳未満の利用者らは閲覧できないようにするほか、コンテンツを見たくない人は設定をすることで表示されなくなるという。 こうしたコンテンツは、これまでも動画や画像の表示前に「センシティブ」という警告が表示された。 新たに「成人向け」と表示して警告する。 18 歳未満の利用者やプロフィルに誕生日を入力していない場合、見ることができない。 一部の成人向けコンテンツを許可することについて、X は「利用者が合意に基づいて制作、配布する限り、性的なテーマに関連する内容を制作、配布、消費できるようにすべきだ」とする一方、「子どもや見たくない成人利用者に対してはコンテンツの露出を制限する」としている。 (奈良部健、asahi = 6-4-24) マスク氏、X のブロック機能を削除へ 投稿で表明 利用者から懸念も 起業家のイーロン・マスク氏は18日、「X」(旧ツイッター)上で特定のアカウントによる閲覧などを制限する「ブロック機能」をやめる方針を明らかにした。 この機能は嫌がらせなどから身を守るために使われており、利用者からは懸念の声が上がっている。 マスク氏は X での投稿で、ブロック機能は「意味がない」として、「『機能』としては削除する。 ダイレクトメールを除いて」と表明した。 Xのほかの利用者からの「誰かをブロックやミュートする理由などあるのか。 理由を教えて。」という投稿に返答する形で述べた。 特定のアカウントの投稿を表示しないようにする「ミュート」は引き続き使えるという。 ブロック機能を使うと、ブロックされたアカウントの利用者は、ブロックした側の投稿が見られなくなり、ダイレクトメッセージも送れなくなる。SNS での誹謗中傷を防ぐため、昨年のマスク氏による買収前、旧ツイッターはこうした対策を強化していた。 米アップルの「アップストア」のガイドラインでは、SNS などのアプリについて、「不適切な言動を行うユーザーをブロックする機能」を備える必要があるとしており、ブロック機能を実際に廃止すれば、規約に違反する可能性があるとの指摘も出ている。 (サンフランシスコ = 五十嵐大介、asahi = 8-19-23) マスク氏とザッカーバーグ氏が決闘? イタリア政府も開催を示唆 米起業家のイーロン・マスク氏と米メタのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者 (CEO) との「決闘」がイタリアを騒がせている。 マスク氏は 11 日、X (旧ツイッター)でイタリアのメローニ首相らから開催に合意を得たと明らかにした。 イタリア側もこの「決闘」がなんらかのチャリティーイベントとして開催されることを認めた。 この騒動は 6 月、旧ツイッターに対抗して新たな SNS 「スレッズ」の立ち上げを検討していたザッカーバーグ氏に対して、マスク氏が格闘技の「金網マッチ」で「戦おう」と挑発したことから始まった。 ザッカーバーグ氏も「準備はできている」として、今月 26 日の対戦を提案するなど、億万長者同士の応酬に注目が集まっていた。 当初はジョークかと思われたが、マスク氏は 11 日、両氏の財団の管理のもとで X とメタが決闘をライブ配信するとした上で、「イタリアの首相と文化相と話した。 彼らは壮大な場所での開催に同意した」と X に投稿。 「カメラフレームの中の全てが古代ローマになる」と述べた。 ただ、マスク氏は「右肩に問題があり、軽い手術が必要だ。 回復には数カ月かかるだろう。」とも投稿している。 開催場所はローマ? それとも … この投稿を受けて、イタリアのサンジュリアーノ文化相は同日、マスク氏と話し合ったことを認める声明を発表。 「大規模なチャリティーで、歴史的なイベント」について議論していると明らかにした。 時期は言及しなかったが、開催場所は「ローマではない」とし、数百万ユーロのイベントの収益が小児病院に寄付されると述べた。 一部ではローマの史跡コロッセオでの開催も取りざたされてきたが、サンジュリアーノ氏がローマでの開催を否定したことで、南イタリアの都市遺跡ポンペイでの開催を予想する伊メディアもある。 ザッカーバーグ氏はスレッズへの投稿で、「イーロンが私に挑戦してきた日から、戦う準備はできている」と表明。 一方で、「日時が決まれば知らせる。 それまで、彼の発言はすべて私が合意していないものだと思っておいてほしい。」と述べた。 (宋光祐、asahi = 8-12-23) |