中国での日本風「夏祭り」が驚くほど本格的で、大人気となっている理由

新型コロナウイルスの影響で、日本各地では縁日や盆踊りなどの「夏祭り」がほとんど中止になってしまったが、中国では、"日本風" の夏祭りが大人気となっているという。 露店の綿あめやヨーヨー、金魚すくい、盆踊り大会など、どこから見ても「まるで日本のお祭り」に見えるのだが、一体なぜ、中国でこのような現象が起きているのか?

今年でなんと 8 回目 大人気の「日本的な夏祭り」

「憧れの浴衣を着てお祭りを歩けるなんて、サイコー!」
「今年は日本に遊びに行けなかったけど、日本のお祭り、興奮するわ〜」
「あぁ、早く日本に行って、墨田川の花火大会にも行きたいな!」

8 月下旬、上海市の西部、「虹橋天地購物中心」というショッピングセンターの中庭や通路などで、その名も「夏日祭」という夏祭りが開催された。 私は上海に住む中国人と日本人の両方の SNS を見ていて、偶然このお祭りの存在に気付いたのだが、その後、中国のサイトを見てみると、上記のように夏祭りに参加した人がたくさんコメントを投稿していた。 3 日間行われた夏祭りでは、各種の露店のほか、無料で貸し出される浴衣体験、音楽会、太鼓のパフォーマンス、生け花体験、花魁道中、浴衣クイーンコンテスト、写真展などもあり、盛りだくさん。 入場は無料で、今年でなんと 8 回目を迎えるという。

ほぼ同じ時期、上海の南豊城というショッピングセンターでも 8 月中に 2 回、夏祭りが開催され、私の複数の友人が参加していた。 上海から 2 時間ほどの距離にある杭州の夏祭りにも友人が参加しており、調べてみると、けっこうあちこちで行われているようだ。 それにしても「夏祭り」といえば、日本人にとっては季節の風物詩であり、身近なものだが、中国にはもともとそのような風習はない。 春節のときに大きな公園などで行われる縁日(中国語では廟会〈ミャオホエ〉という)はあり、そこに露店なども出るが、日本の夏祭りとは趣が異なる。

すでに数年前から起きている現象ではあるが、今年の様子を映像や写真などで見てみると、以前の夏祭りよりもさらに「日本化」が加速し、本格的、かつレベルアップしているように見える。 何しろ、売られているものはたこ焼きやかき氷、お面、綿あめなど日本とまったく同じだし、販売している人も浴衣や法被を着ている。 むろん、日本人の目で細部までよく見ると「?」と思う部分もあるが、それでも、日本的なお祭りの雰囲気は満点なのだ。

「日本旅行ブーム」で 日本各地の夏祭りを知った中国人

なぜ、ここ数年、このような夏祭りがさかんに行われるようになったのか? 以前、日本に住んだことがある中国人の友人はこう言う。 「2014 年ごろから始まった日本旅行ブームはよく知られていますが、そこで多くの中国人は日本各地には夏祭りというものがあるのだと知り、すばらしい伝統文化だと思いました。 当然ですが、中国には一切なかったものですから。 中国人は自分たちが持っていないものにとても憧れるんです。」

「日本の観光地での買い物や名所旧跡巡りももちろん楽しいのですが、もっと日本にしかないもの、"季節限定の体験" を追い求めた結果、夏ならば、各地で行われている夏祭りや花火大会などに行きつきました。 それを、自分たちの国でも経験してみたいと思ったのではないでしょうか。 そもそも中国では大きなイベントはありますが、地域の小さなイベントや娯楽は少なかった、ということも関係していると思います。」 奇しくも、中国人の日本旅行がブームになる直前の 2013 年ごろから、上海高島屋などで夏祭りが開催され始めており、それが人気になって、だんだんと他のショッピングセンターにも広まっていった。

数年前から上海の夏祭りに参加していたという日本人の友人も「以前は上海在住の日本人向けのような感じで、日本人の数が多かったですが、ここ数年は圧倒的に中国人が増えて、すっかり地元のイベントになりました。 今年は新型コロナの影響もあって、参加者のほとんどが中国人。 でも、盆踊りの踊り方とか、ホント、板についていてびっくりしますよ。 一体どこで覚えたんですか? と聞きたくなるくらい(笑)。 おそらく SNS とか動画で情報収集しているのだと思います。」と語る。

杭州で行われた夏祭りに参加した友人にも話を聞いてみた。 杭州ではショッピングセンターではなく、セレクトショップやホテル、レストランなどが集積する文化エリアで 7 月末から 3 日間、「夏夜游園会」という夏祭りが開催された。 約 60 の露店が出て、線香花火などで遊ぶイベントもあった。 杭州市の繁華街から離れているにもかかわらず、若い女性などを中心に大盛況だったという。

日本人が想像する以上に 日本文化が好きだという人が増えている

この杭州の夏祭りに参加した友人は、何度も日本旅行をしているリピーター。 彼によると、「日本に行ったことがある人だけでなく、行ったことがない人でも、アニメやドラマの影響を強く受けていて、日本の夏祭りのことは皆よく知っているんです。 浴衣を着て花火をするのは、まるで自分が日本のドラマの主人公になったような気分になるもの。 特別感があるんです。 異文化体験であり、彼女たちが大好きなコスプレの一つでもありますね。」

そういえば、ここ数年、中国の若い女性の間では漢服ブームが起きており、中国国内の観光地などでは、漢服を着てポーズを決め、写真を撮っている姿をよく見かける。 その中には日本のセーラー服姿や浴衣姿もあるが、彼女たちにとっては、それも一つの「自己表現」の場なのだろう。 その友人によると、浴衣もセーラー服も中国の通販サイトで簡単に購入できるという。 夏祭りの屋台で使う小道具などもすべて通販サイトで購入して取り揃えられるそうだが、綿あめを製造する機械まで購入でき、日本の夏祭りをそっくり再現できてしまうとは驚きだ。

このように、中国、とくに上海や杭州などの大都市では、日本人が想像する以上に日本文化が好きだという人がいつの間にか増えており、そうした人々の嗜好が社会に広がっているように感じる。 「MUJI」や「ニトリ」などの日用品や家具などを愛用する人も増えているし、日本食レストランで寿司を食べることも、いまや日常の一部だ。 若者の間では、依然として日本のアニメは絶大な人気を誇っていて、生活と切っても切り離せなくなっている。 浴衣を着て夏祭りに繰り出す人が増えているのも、そんな豊かになった社会を反映しているのではないかと思う。 (中島恵、Diamond = 8-28-20)


中国で実感、日本の調味料の独自進化は "異常"
神がかってる!? 種類が豊富すぎる日本の調味料

筆者はかれこれ 10 年近く中国で生活していますが、海外で生活していると、日本に住んでいたらまず気が付かなかったであろう日本の意外な特徴に気づくことがあります。 つい最近も、「日本って実は調味料が異常に豊富な国なのではないか?」という新たな事実に気が付きました。 少なくとも中国と比較した限りでは、日本で市販されている調味料の種類はきわめて数が多くバラエティに富んでいます。

特に、料理にかけて使うソースやドレッシングといったテーブル調味料においては、ひょっとしたら世界屈指の水準にあるのではないかと思われるほどです。 そこで今回は、家庭で使われる日本の調味料がいかに豊富であるかについて、中国人の意見も交えながら見ていきたいと思います。

生野菜を食べない中国人

その事実に気が付いたのは、筆者が上海市内のスーパーで何気なくサラダドレッシングの陳列棚を見ていた時です。 商品のほぼすべてが外国メーカー製で、中国メーカー製のドレッシングがないのです。 それもそのはずと言うべきか、そもそも中国では生野菜を食べる習慣がありません。 生野菜サラダを食べ始めたのはほんの最近で、それも沿岸部の大都市における一部の中国人だけです。 つまり需要がないので、サラダドレッシング分野に参入する中国の食品メーカーは存在しなかったというわけです。 同じくマヨネーズも外国メーカー製品が主流となっています。

中国では黒酢が最もポピュラー

サラダ用調味料に中国製品が少ないことに気が付いた筆者は、それなら他の調味料はどうだろうかと改めていくつかのスーパーを回ってみました。 すると、日本のスーパーでは数多くの種類が売られているケチャップやマヨネーズが、ほんの数種類しか置いてありません。 ウスターソースやパスタソースなどは全く置いていない店も珍しくありませんでした。 もちろん日本人向けに日本食を取り扱うスーパーでは、これらの調味料は取り揃えられています。 けれどもまだ中国では一般的な調味料としては扱われていないようです。

では、中国の家庭では普段どのような調味料を使っているのか。 知り合いの中国人に話を聞いたところ、黒酢が最もポピュラーだとのことでした。 日本における調味料の王様といえば言わずと知れた醤油です。 中国でも醤油は幅広く使われており、スーパーでも多くの種類の商品が並べられています(醤油は東アジアで広く使われている調味料で、その起源についてはさまざまな説があります)。

ただ中国では、醤油の代わりに黒酢を用いる家庭が少なくありません。 実際に、餃子や小籠包は黒酢につけて食べるのが普通です。 筆者の感覚でも、中国では醤油より黒酢を使うことが多いようです。 食卓に並ぶ調味料としては、黒酢がいちばんポピュラーなのではないでしょうか。 このほか中国の食卓に置かれる調味料としては、日本でもおなじみの辣油(ラー油)が代表的です。 しかし黒酢と辣油を除くと、出来上がった料理に使うテーブル調味料は、中国にはほとんどありません。

本家を追い越す日本のマヨネーズ

ただし料理を作る際には、台所でさまざまな調味料が使われます。 豆板醤や XO 醤など中国独自の調味料も少なくありません。 日本と比べて少ないのは、先ほどから述べている通り、出された料理に直接かけて使うテーブル調味料です。 逆に日本は、テーブル調味料が異常に発達した国であるように思えます。 醤油ひとつ取っても甘口、薄口、濃口のみならず、刺身用から卵かけごはん用までと用途が細かく設定され、ラインナップが果てしなく広がっています。

キューピーの「からしマヨネーズ」

また西欧から伝わったケチャップやマヨネーズに関しても、日本メーカーがこれまで様々な料理用途に合わせて新商品を開発してきました。 特に筆者が、神がかっている商品として絶賛したいのが「からしマヨネーズ」です。 日本のマヨネーズは、発祥の地である欧州以上にその可能性を広げていると思います。 ソースにしても、ウスターソース、中濃ソース、とんかつソース、お好み焼きソース … と実に種類が豊富です。

このほか今回記事を書くにあたって初めて気が付いたのですが、中国では、ごはんに使う「ふりかけ」に当たる調味料が存在しません。 先ほどの中国人の知人に、中国にはふりかけがないのか聞いてみると、「おかずの合間に食べる白米にまで、どうして味をつけようとするの?」と逆に聞かれてしまいました。 言われてみると、もっともな指摘です。 日本人は何でもかんでも味付けするのが好きだから、これだけテーブル調味料が発達したのかなとも思いました。

中国で高まるキユーピーの存在感

中国で日本の調味料はどう受け止められているのでしょうか。 いくつか中国メディアの記事を検索したところ、やはり「種類が非常に豊富である」と紹介している記事が見つかりました。 中には「なんにでも醤油をかける文化が調味料の発達を促したのではないか」と分析している記事もありました。

中国人の知人たちにも「日本の調味料を使うことがあるか」、「気に入っている日本の調味料は何か」と尋ねてみました。 すると、柚子胡椒やからしソースなど、やたらマニアックな調味料ばかり挙げてきました。 もうちょっと一般的なものはないのかと問い直したところ、「キユーピーのサラダドレッシングは中国でも認知されてきている」との答えが返ってきました。

前述した通り、中国ではこれまで生野菜を食べる習慣がなかったため、サラダドレッシング市場はほぼ存在しないに等しい状態でした。 しかし近年になって食の西洋化、並びに健康志向の後押しもあって、大都市限定ながら生野菜のサラダを食べる人が徐々に増えてきています。 それに伴い、サラダドレッシングの消費量も増えてきました。

キユーピーは 1993 年に中国市場に進出しています。 これまでの 30 年近くのマーケティングの努力もあってか、近年は中国人の間で「キユーピー」がマヨネーズ、サラダドレッシングの代表的ブランドとして認知されてきているようです。 上海市内のスーパーでも実際にキユーピーの商品を見かける機会が多く、その商品陳列数も他の欧米ブランドより明らかに多く感じられます。

そうした市況を反映してか、キユーピーの中国地域における 2019 年の売上高は前年比 11% 増、営業利益は同 31% 増(どちらも現地通貨ベース)という成長を遂げています。 日本はテーブル調味料を中心に多くの調味料が独自かつ高度な進化を遂げており、国際的に高い競争力を秘めている可能性があります。 日本食と調味料をセットにして外国で食べてもらう機会を設けることは、大きな商機につながってくるのではないでしょうか。 (花園 祐、JB Press = 8-17-20)


中国から? 日本各地に謎の種届く 農水省「植えないで」

「植物の種子のようなものが入った国際郵便が届いた」との相談が各地の消費生活センターに寄せられている。 中国から送られたとみられ、狙いは不明だ。 農林水産省によると、一部はネギの種とみられ、30 日に「有害な病害虫が付着している可能性がある」として、植えずに相談するよう呼びかけを始めた。 同様の事例は米国でも相次ぎ、米農務省も注意を呼びかけている。

28 日に国際郵便の白い封筒(縦約 16 センチ、横約 12 センチ)が自宅に届いた神奈川県三浦市の男性 (68) によると、中には透明の袋に種子のような物が 100 個ほど入っていた。 「CHINA POST」と書かれた伝票も入っていたが、差し出人の名前はなく、英語で「広東省深セン市」とだけ表記。 中身は英語で「宝石」と記され、宛先欄には男性の住所、名前、携帯電話番号が正しく書かれていた。 請求書などは入っていなかった。

男性は「通販で間違えて頼んだものかもしれないと思って開いた。 庭にまくことも考えたが、『危ないかもしれない』と思い直して三浦市役所に連絡した。」と話す。 国民生活センターによると、「中国から国際郵便で種が届いた」との相談が 28 日以降、各地の消費生活センターに寄せられている。 数は未集計だが東北から九州まで全国に及ぶという。 担当者は「後で代金を請求する『送りつけ商法』の可能性がある」と話すが、意図は不明だ。

農林水産省の各地の植物防疫所にも 29 日ごろから、同様の情報が寄せられている。 同省によると、種子を輸入する際は植物防疫法で検査を受ける必要があり、終えると「植物検査合格証印」が押される。 今回の事例は検査を受けていないものが多いとみられ、同省は 30 日からウェブサイトで、「合格証印のない植物や種子が届いたら植えずに相談を」と呼びかけを始めた。

米ニューヨーク・タイムズなどによると、同様の事例は米国各地でも報告されており、米農務省が 30 日、種子が届いたら通報するよう呼びかけた。 (黒田陸離、土屋香乃子、asahi = 7-31-20)

〈編者注〉 上記記事には触れられていませんが、ゆゆしき問題は、第三者の手に「個人情報が握られている」ことでしょう。 名前、住所のみならず電話番号まで。 あるいは、それ以上の詳細情報すら盗み取られている可能性がある、という現実を重く受け止めるべきでしょう。 おそらく、流失した通販などの顧客情報に基づくものではないかと想像できます。


こんなに優しい警察官 … そりゃあリン・チーリンも日本に嫁ぎたくなるわけだ

台湾の女優リン・チーリンが昨年 6 月に EXILE の AKIRA との結婚を発表してから 1 年以上が経過したが、中国のネット上ではいまだに「リン・チーリンが日本に嫁いだ」ことに関連する文章が出てくる状況だ。 「女神」と称された彼女の国際結婚が中国のファンにいかに大きなインパクトを与えたかがうかがえる。 中国のポータルサイト・百度に 20 日、「それはリン・チーリンも日本人と結婚する訳だ。 日本の警察官は非常に温和だから。」とする文章が掲載された。

文章はリン・チーリンの結婚について「日本人に嫁いだのは意外であり、多くのファンが『なぜ日本人男性と』と不満を抱いた」としたうえで、その理由の 1 つかもしれない要因として「日本が優しい社会であり、警察官さえもが温和である」ことを挙げている。

そして、日本の警察官の温和で優しい一面が垣間見えた事例として、昨年に日本のネット上で話題を集めた、警察官が路上のカルガモ親子を誘導する様子を撮影した動画を紹介。 北海道にあるコンビニエンスストアの前で、2 人の警察官が矢印の看板を持って腰をかがめながら、路上を散歩するカルガモ親子を辛抱強く誘導して危険な場所から退避させる様子が収められていたとした。

文章は、この動画を見たネットユーザーからはカルガモ親子のかわいらしさとともに、警察官に対する賞賛や感謝の声も多く寄せられたと伝えている。 リン・チーリンが「日本の警察官は優しい」という理由から日本人と結婚することを選んだ可能性は低いだろう。 ただ、この警察官と同じような優しさを AKIRA が持っているから結婚を決意した、ということはあるかもしれない。 (今関忠馬、SearCina = 7-22-20)


最も敬服に値する日本人だ! 「無数の中国人に感動を与えた日本人がいた」 = 中国報道

中国メディアは、遠山正瑛氏を「最も敬服に値する日本人」として絶賛する記事を掲載した。 遠山正瑛氏は生前に中国の砂漠緑化に尽力した人物だが、中国メディアの百家号は 14 日、遠山氏を「最も敬服に値する日本人」として絶賛する記事を掲載した。 記事は、中国の内モンゴル自治区恩格貝のかつての状態を撮影した写真を掲載し、「当時は緑の木が全く見られない、黄砂が吹き荒れる荒涼とした砂漠地帯だった」と紹介。 かつては植林したとしてもすぐに植物が枯れてしまうため、多くの専門家たちはこの地の手強さの前に尻込みしていたと説明した。

しかし、遠山氏は進んでこの挑戦に立ち向かい、84 歳という高齢をものともせず、恩格貝の炎天下で毎日 10 時間を超える作業を行ったと紹介。 また遠山氏の呼びかけにより、なんと「7,000 人を超えるボランティア」が恩格貝に来て遠山氏と共に植林作業を行ったとした。 たった独りでこの非常に難しい緑化作業に取り組み始め、しかも 7,000 人もの日本人ボランティアの心を動かし、さらに 300 万本もの樹木を植林したことに対して「無数の人が感動を覚えた」と説明。 当時の中国国家主席でさえ、二度も遠山氏に会って励ましと賛同を与えたと紹介した。

遠山氏の功績をたたえて国際連合は「人類への貢献賞」を授与、また内モンゴル自治区政府は「駿馬賞」を授与したとし、遠山正瑛氏はまさに最も敬服に値する日本人であると絶賛した。 (村山健二、SearChina = 7-19-20)

前 報 (12-3-17)


中国不動産大手、千葉市に独自ブランドホテル 日本初

日本進出の中国企業

記事コピー (9-2-19 〜 7-15-20)


日本のトイレにある「謎のボタン」、特に女子トイレのボタンはすごかった = 中国報道

中国メディアは、「日本の女性トイレにあるボタンがすごい」と紹介する記事を掲載した。 使ったことのある中国人女性は誰もが絶賛するそうだ。

日本を訪問したことのある中国人にとって、印象に残ることは多いようだが、そのなかには公衆トイレも含まれる。 実際、日本の公衆トイレの様子を写真に撮ってネット上で紹介している中国人は非常に多い。 中国メディアの騰訊はこのほど、「日本の女性トイレにあるボタンがすごい」と紹介する記事を掲載した。 使ったことのある中国人女性は誰もが絶賛するそうだ。

日本のトイレのどこが中国人に感銘を与えているのだろうか。 記事は、日本では昔から公衆トイレを「無料」で使用することができ、しかも「トイレットペーパーがある」と紹介。 最近でこそ中国の公衆トイレも無料になってきたが、少し前まで公衆トイレは有料で住み込みの清掃員がいて、備え付けのトイレットペーパーは存在せず、有料で買う必要があったことを考えると、日本との差は大きかったと言えるだろう。

記事はさらに、日本のトイレには「謎のボタン」がたくさんあるとも紹介。 好奇心から使ってみたことのある人は皆称賛しているという。 日本では温水洗浄便座の普及率が非常に高く、公衆トイレも多く使用されているが、普段使い慣れていない外国人にとっては「謎」に感じるのだろう。 いうまでもなく主な機能はおしり洗浄だが、女性トイレにはほかにも「音符の絵の付いたボタン」があり、これには意表を突かれると紹介している。 てっきり音楽が流れるものと思って押すと流水の音がするからだ。 使ってみると女性にとって非常に便利な機能で、「日本人は考えることがとても周到だと言わざるを得ない。」と舌を巻いている。

記事の筆者は、日本人の細かさに感心するとともに、「さすが厠の神を信じる人たちだ」と日本人の信心深さとトイレへのこだわりを紹介しているが、確かに日本人にとってトイレは特別な場所である。 コロナが収束してまた海外からの旅行者を受け入れるようになれば、日本のトイレ文化をさらに多くの外国人旅行者に体験してもらえるだろう。 (村山健二、SearChina = 7-10-20)


日本から生中継 中国ライブコマース、コロナ避け続々

ネットの生中継で商品を売る中国流の「ライブコマース」が日本でも胎動している。 日本の撮影現場からライブ配信を通じ、化粧品や日用品などを中国の消費者に直接売り込む仕組みだ。 新型コロナウイルスの流行で訪日中国人客が激減し、従来の商流が止まった。 そこでコロナ禍の中国で火が付いた新たな販売手法に商機を見いだそうとしている。

原宿から生中継

「皆さん、出発しまーす。」 6 月のある日の午後、東京・渋谷のマンションの一室から、2 人の中国人女性が自撮り棒を持って歩き出した。 スマートフォンで撮った映像を中国の動画投稿アプリ「快手(クアイショウ)」で生中継している。 「このカフェはなかなか予約が取れないよね。」 2 人はこんな会話をしながら、流行の発信地である東京・原宿の表参道や竹下通りを 1 時間ほど散策した。 マンションに戻ると部屋の仮設スタジオで約 2 時間、虫よけや保湿剤を売り込んだ。

中国にいる視聴者は好みの商品があれば、快手の画面上にあるカートのアイコンを押せばいい。 その商品を扱う越境 EC (電子商取引)のサイトに飛び、すぐに購入できる。 日本での観光と買い物を、バーチャルで同時に実現させた。 日本情報専門のネットメディアを運営する速報醤(上海市)が 5 月に始めた試みだ。 速報醤は従来、訪日中国人に商品・サービスを売り込みたい日本企業のマーケティングを請け負ってきたが、コロナ禍で訪日客は来られなくなった。

そこで「中国の最新の販売手法を代替策として用意したい(速報醤の賀詞 CEO = 最高経営責任者)」と考え、日本に住む 20 歳代の中国人女性 7 人を組織。 ライブコマースをほぼ毎日行い、提携先のクロスシー(東京・台東)と越境 EC の新たな仕組みを築き始めた。 コロナ禍で人の行き来が制限されたことで中国からの訪日客数は激減し、日本政府観光局 (JNTO) によると 5 月は 30 人にまで落ち込んだ。 一方で中国で日本メーカーの商品は根強い人気を誇り、日本から中国への越境 EC は 2020 年に約 2 兆円に達するとの予想もある。

このギャップを埋める手段として浮上したのが、ライブコマースだった。 ライブコマースは中国で 2 年ほど前から広がったが、今春のコロナ危機下で「巣ごもり消費」の一部として定着した。

日本人が出演、安心感も

「夏ですね! 本日は暑さ対策グッズの特集です。」 日中間の越境 EC を手がけるインアゴーラ(東京・港)は 4 月、赤坂の本社でライブコマースの発信を始めた。 津田茂寿副社長が自ら、毎週金曜夜に出演している。 中国の対話アプリ「ウィーチャット」の動画機能を使い、通訳を兼ねた中国人社員と 2 人で漫才のような掛け合いで商品を紹介。 購入希望者を自社の越境 EC サイト「豌豆公主(ワンドウ)」に導く流れを作り上げた。

中国人社員よりも、日本人経営者の津田氏が演じる方が視聴者の反応がいいのだという。 中国のネット通販は偽物も多く、「日本人が商品を選んでいると示すことが安心感を生んでいる。(津田氏)」 6 月 26 日の生中継では、肥満対策の機能性表示食品などがよく売れた。 ライブコマースは今後、日本国内でも「ウィズコロナ」時代の小売りの手法として広がる可能性がある。 QR コード決済や出前アプリといった新たなサービスは、中国で人気となった後に日本に流入した。 日本はコロナ禍を打開するうえでも、先行する中国で蓄積された運営ノウハウを学ぶことが重要となりそうだ。 (山田周平、原島大介、nikkei = 7-3-20)


外国からの研究資金、開示義務化へ 先端技術の流出防止

日本の先端技術が海外流出するのを防ぐため、政府の統合イノベーション戦略推進会議は 26 日、研究者が国に研究費を申請する際、外国の資金を受けているかどうかの開示を義務化する方針をまとめた。 中国が優秀な外国人材を集める「千人計画」を進めているのを念頭に、米国が研究機関に求めている対策を参考に今後、具体策を検討する。 ただ、自由な研究を阻害しかねないとの指摘もある。

素案では、研究者が科学技術振興機構 (JST) や新エネルギー・産業技術総合開発機構 (NEDO) など 5 機関に研究費を申請する場合、外国の研究機関から資金を受けているかの開示を義務化する。 虚偽申告が判明した場合は資金提供の取り消しも検討する。 大学が留学生や外国人研究者を受け入れる際の審査の強化や、論文や特許の公開のあり方の見直しも検討する。 近く閣議決定され、具体的な指針作りに入る見通し。

念頭にあるのは、外国の優れた人材を集める国家プロジェクト「千人計画」を進めている中国だ。 人工知能 (AI) やロボット、量子、バイオといった先端技術は競争が激しく、内閣府によると、留学生や退職者を囲い込んだり、サイバー攻撃をしたりといった手法が問題視されている。 政府は今年 1 月の統合イノベーション戦略推進会議で「流出の対象となる技術の範囲が広がっているが、(日本の研究機関は)必ずしもセキュリティー意識が高くない」と指摘、具体的な枠組み作りを求めた。

米国は、エネルギー省が所属研究者の千人計画への参加を禁止したほか、大学や研究機関に情報流出を防止する対策を求めた。 今年 6 月には、千人計画への参加を隠していたとして米ハーバード大の教授が虚偽罪で起訴された。 豪州でも昨年 11 月、戦略政策研究所が、中国の少なくとも 15 の大学が軍事目的のスパイ活動などに関与しているとして、共同研究には安全保障上のリスクが高いと警鐘を鳴らす報告書をまとめている。

ただ、規制が厳しすぎると、日本の大学に優秀な海外人材が集まらなくなる可能性もある。 社会に開かれた形で研究する「オープンサイエンス」の理念に反する恐れもあり、文部科学省の担当者は「自由な研究を萎縮させないよう注意しながら議論を進める」とした。 (石倉徹也、asahi = 6-29-20)


『泣きたい私は猫をかぶる』 中国でも好評配信中

6 月 18 日から Netflix で世界配信中の日本のアニメ映画『泣きたい私は猫をかぶる』が、中国でも ByteDance 社が開発運営するプラットフォーム「TikTok (抖音)」、「西瓜視頻」、「今日頭条」で好評配信中です。 中国語のタイトルは『無限(直訳名 : 想哭的我戴上了猫的面具)』です。

本作は、中国公開も果たした『ペンギン・ハイウェイ (中国題 : 企鵞公路)』のスタジオコロリドが制作を手がけた長編アニメで、白い猫に変身できるという秘密を持つ少女・笹木美代(通称 : ムゲ = 無限大謎人間)と、彼女が好意を抱く同級生の日之出賢人との日々を描く恋物語です。 監督は『美少女戦士セーラームーン』や『ケロロ軍曹』、『たまゆら』などで知られる佐藤順一と柴山智隆、脚本は中国ファンの間で「岡媽」の愛称で親しまれる岡田麿里で、声の出演は『女王の教室』や『14 才の母』といったドラマにより中国でもファンの多い志田未来や、声優として活躍中の花江夏樹らが選ばれています。

今年 6 月 5 日に日本全国ロードショーを予定していた本作でしたが、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、4 月 29 日に「劇場公開はせずに全世界で Netflix (中国では ByteDance)が配信する」と発表されました。 なお、中国での配信開始後は次のようなコメントが寄せられています。

「中国の怪奇ファンタジー『画皮 あやかしの恋』を思わせる感覚があった。 この題材と設定でスリラー系や暗黒系にしたらもっと面白そう。 黄豆粉(猫の愛称)の設定はよくわからなかった。 時に腹黒で、時には優しいって?」 「ニャンコが最大の見どころ。 恋愛の展開は中二病的だけど、納得できるものだわ。 年頃の、誰にでもありうる時期だからね。」

「Netflix で配信って意外だなあ。 設定はよかった! 人間って失って初めて後悔をかみしめるものだね。 世の中に恋愛しかないというならば、全てが簡単になると思う。 映像も綺麗だった。」

「新型コロナ禍の中で、遂に新作が出た! Netflix 映画、最高! 動物が人間に変身するという映画はいっぱい見てきたけど、今回は逆のパターン。 作中の "仮面" は私もほしい。 毎晩猫に変身して好きな人のそばにいたいわ。」(ミン・イヒョウ 謙、CRI = 6-27-20)


中国、留学仲介業が苦境 それでも衰えぬ日本人気

留学生の派遣数が世界最多の中国で、留学仲介会社が苦境に陥っている。 日本向けの留学生派遣で最大手の芥末留学(遼寧省大連市)は、日本行きを希望する契約者が前年比で 2 - 3 割程度減った。 新型コロナウイルスの感染拡大防止を目的に、日本政府が中国からの入国を拒否したためだ。 契約者の約 9 割は留学をなお希望するが、入国が許可される見通しは立たない。 芥末留学の李拓・最高経営責任者 (CEO) は日本経済新聞に「日本向けの契約者数は 4 月は前年同月に比べて 35% 減、5 月は 21% 減った」と明らかにした。

同社は 2010 年に設立。 学校選びや申請手続き、外国語の学習を支援し、サービス料を受け取る。 19 年に日本へ送った留学生は約 4 千人で、中国の日本向け留学生の約 1 割を占める。 19 年 12 月期の売上高は約 1 億元(15 億円)で、前年比の伸び率は 3 年連続で 30% 超。 それが新型コロナの影響で一転した。 李 CEO は「回復までには早くて 2 - 3 年かかるだろう」といい、目標にしていた新規株式公開 (IPO) もいったん見送る。

中国の企業情報サイト、天眼査によると、中国の留学仲介会社は 3 月中旬時点で 4 万 5 千社程度。 留学生派遣の業界団体、北京留学服務行業協会の桑澎会長は「20 年の中国からの留学生は 19 年比で 2 割減るだろう。 留学仲介会社は非常に厳しい状況だ。」と語った。 芥末留学と組む留学関連会社も 30 社以上が日本向けの派遣を取りやめたという。 現状では中国政府から留学仲介会社への支援策はない。

中国から出国する年間留学生の数は 10 年前の 3.7 倍に増え、18 年は約 66 万人。 行き先は首位が米国で、英国、オーストラリア、日本が続く。 日本学生支援機構によると日本では中国人留学生は全体の約 40% を占める。 中国人の減少は各国の学校運営にも打撃だ。 学生たちは留学そのものは諦めていない。 「何年もかけて準備してきたし、いまさら中国で大学受験に挑むのは難しい(桑会長)」という。 新型コロナが拡大した 2 月以降、芥末留学では日本留学を契約した学生のうちキャンセルは約 1 割にとどまり、残りの約 9 割は日本語を勉強しながら入国許可を待つ。

「4 月以降、留学先の希望を米国から日本に変える学生が目立つ。(李 CEO)」 米国は新型コロナの感染者数が世界最多で、米中対立による不安定な政治環境もマイナスだが、日本は感染者数が比較的少ない。 日本の一部の大学で英語による講義が増えたことも人気を後押しする。 この「ラブコール」に日本がどう応えるか。 入国を巡る日本の判断は中国人の留学勢力図の行方を左右する。 (大連 = 渡辺伸、nikkei = 6-17-20)


人気の「あつ森」遊べぬ中国、あの手この手で抜け道探し

[香港] 任天堂のゲームソフト「あつまれ どうぶつの森(あつ森)」が世界的ヒットを収めているが、中国ではこのゲームが政治的な火種になっていることもあり、ファンは制限がかかってない家庭用ゲーム機「ニンテンドースイッチ」の輸入品を上乗せ料金を払って買うなど、工夫を凝らさないと遊べない状態だ。

新型コロナウイルスの大流行によって世界各地で外出が規制されている今、「あつ森」はプレーヤーが仮想世界に自分の分身や自宅を作り上げ、他のプレーヤーと交流して現実逃避できる遊びとして、ベストセラーになった。 しかし、ゲーム産業を厳しく規制している中国では、販売が認可されていない。 中国のプレーヤーは、あつ森の機能をフルに使うため、仲介業者が海外から持ち込む接続制限なしの「ニンテンドースイッチ」を、最大 50% の上乗せ料金を払って入手したり、決済のために海外銀行に口座を作ったり、海外にあるこのゲームのサーバーにアクセスするため、より高速のインターネット接続を利用している。

家庭教師のシャオ・ティアンユーさんは 2 月、中国電子商取引大手・アリババ傘下の淘宝網(タオバオ)で、「非正規」の業者からスイッチを買った。 「みんなそうだと思うが、しばらくするとだれかと話したくなったり、出掛けたくなったりする。 でも、感染症が広がっている間は、そうした機会があまりない。」と、シャオさんは話す。 「このゲームで互いにコミュニケーションが取れる。」

「あつ森」は歴代の外国製ゲームの中で最も人気が高いと、アナリストらは指摘する。 プレーヤーは自ら創作した仮想の島で、現実世界をまねて体温チェックやマスク着用を義務付けたりして遊び、習近平国家主席の写真をあしらった愛国的なポスターを掲げる例も見られる。

しかし、香港の民主化運動活動家、黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏が「あつ森」を使って本土政府を批判して以来、中国政府は違法販売の取り締まりに乗り出した。 このため中国本土では今、「あつまれ どうぶつの森」ではなく「木の枝を採るマッチョマン」、「バス釣りをするマッチョマン」などの隠語を使い、オンラインで販売に応じてくれる業者を探さざるを得なくなっている。

中国版は接続制限

任天堂は昨年 12 月から、ネットサービス大手、騰訊控股(テンセント・ホールディングス)と提携し、中国でもスイッチを販売している。 しかし、このバージョンは、海外サーバーへの接続を阻止するためのサーバーロックが施されている。 闇市場で入手した「あつ森」の複製でプレーできると思ってテンセント版スイッチを買ったのに、後になってできないことが分かったというプレーヤーもいる。 北京のファッションデザイナー、ゼン・ドゥアンシャンさんは今年、2,100 元(297 ドル)でテンセント版スイッチを買ったが、「あつ森」で遊べないので売るつもりだという。 (Reuters = 5-11-20)

◇ ◇ ◇

「どうぶつの森」が中国から突如消えた背景事情
誰も想像しなかった驚きの "使われ方"

新型コロナウイルスで不要不急の外出を制限、自宅で過ごすことを要請されている昨今。 テレビでは再放送番組が高視聴率を獲得したり、YouTube、Netflix といった動画配信サービスのアクセス数が伸びたりと家庭で楽しめる娯楽の需要が高まっている。 ゲーム業界にも "特需" が訪れているようで、任天堂の家庭用ゲーム機『Nintendo Switch』のソフト『あつまれ どうぶつの森』が世界中で大ヒットを飛ばしている。 日本でも発売 3 週間で 300 万本を売り上げ、店舗でも売り切れが続出、"入手困難" な人気ぶりだ。

「2001 に初登場してからシリーズ化されたヒットコンテンツの最新作です。 動物が住む無人島に移住するという設定のもと、釣りや虫捕りといったアクティビティや、住居の家具といったインテリアや服などを自作できるのがウリ。 また、オンラインでプレイヤー同士が交流できるという点も人気が出る理由の 1 つですね。(ゲーム雑誌編集者)」

政権批判のムーブメントのウラに

自分の趣味や世界観を作り出せるという "自由度の高さ" から、自慢の部屋の内装などを SNS などで発信、拡散する者も多い。 そんななか、中国の SNS 『微博(ウェイボー)』などで 4 月 10 日から突如「『どうぶつの森』が EC サイト上で検索できなくなり、ソフト版、ネット版ともに購入が不可となった」という情報が広まり、その事実をアジア各国のメディアも報じた。 しかし、同ソフトは台湾・香港では販売・流通しているものの、そもそも中国では販売自体がされておらず、『淘宝(タオバオ)』などの中国大手の EC サイトを通じて取り寄せるしか入手方法がなかった。

「SNS やネットの閲覧制限や言論統制などで厳しいことで知られている中国ですが、"ゲームの中でなら自由だ" と、自作した看板などに政治的メッセージを込めたり、なかには習近平国家首席の葬式を模したものを DIY で表現したりする者も出てきています。 これが "消失" の原因かどうかは定かではありませんが、その理由が明かされず、いっせいに購入できなくなったことを考えると、なんらかの "意図" があったと捉えられてもおかしくありません。(中国事情に詳しいウェブメディア編集者)」

ゲームを通して抗議する "ネット活動家" たち

しかし、なかにはこんな方法で当局の目をかいくぐろうとする者も …。

「『猛男之森』という隠語を使って同ソフトを出品する業者も出てきています。 中国のいわゆるオタクと呼ばれる人たちのなかでは、『ゲームは子どもの遊び道具ではなく "真の男の娯楽" である』というネットスラングがあるため、"真の男の森" という表現を用いて販売しているんだとか。 まさにネット時代ならではの "抜け道" ですよね。 しかし、それも束の間、10 日の午後にはすべての販売ルートが閉ざされてしまったんです。(同前)」

入手困難な状況において、ますますゲームを所持している "ネット活動家" の士気も高まってしまいそうな気もするが、その背景にはやはり中国のネット事情が大きく影響しているようで、

「習氏は 3 月にも "すがすがしいネット空間を作り出す" ことを目的に、経済・文化の優れた点や中国文化を国際的に広めるような内容の発信を奨励する一方で、これまで通り "経済や社会の秩序をかき乱す" 情報の発信を禁止しています。 ケースによっては刑事罰にも問われることになるそうです。 『どうぶつの森』で政権批判まがいのムーブメントが起こったのも、そういった要因があることは否定できません。(全国紙記者)」

このような情報統制があったことについて、中国サイドが何らかの表明をするわけもなく、"事実" かどうかは不明であるが、香港の事情に明るい現地記者はこう語る。

「香港と中国の関係は、いまだに民主化運動で揺れています。 香港で最も有名な活動家、黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏がゲーム内で "自由な香港、今こそ革命を" と名づけて抗議を開始し、そのスクリーンショットをツイッターに投稿するなどしていました。 ほかにも今回の新型コロナウイルスについて "武漢肺炎" といった呼び名で揶揄する匿名ユーザーも。中国としては『どうぶつの森』がこういった "国際問題について発信できるツール" として使用されている現状も看過できないのでは?」

ゲームの自由度の高さがこのようなかたちで逆手にとられるとはゲーム制作者も知る由もなかっただろう。 (野口侑弥、週刊女性 Prime = 4-19-20)