乗車率 25%、スカスカ空席で荷物運びへ 北海道新幹線

JR 北海道は 13 日、北海道新幹線(新函館北斗 - 新青森)で乗客と一緒に荷物を運ぶ「貨客混載」を年内に始めることを明らかにした。 実現すれば新幹線での貨客混載は全国初。 在来線で実績がある宅配大手・佐川急便(京都市)と組み、空席が目立つ客席を有効活用して収益改善につなげたいとしている。 JR 北と佐川急便は昨年 4 月から、宗谷線稚内 - 幌延間の普通列車を活用し貨客混載列車を運行している。 これまでに 1 日あたりで 50 - 60 個の荷物を運び、一定の需要が見込めることがわかった。

在来線での成果をふまえ、配達運転手の人手不足に直面する佐川急便が、北海道新幹線でも行えないかと JR 北に打診。経営難の JR 北も、乗車率 25% (昨年 4 月 - 今年 1 月)という空席が目立つ客席を有効活用できればと応じた。 北海道から青森への宅配物は現在、フェリーだと荷物を出した翌日午後に届くが、新幹線だと翌日午前中に届けることができるという。 両社は 3 月上旬に新函館北斗駅で実証実験を行い、早ければ今夏の東京五輪・パラリンピック大会終了後に実用化をめざす。

JR 北は経営改善策の柱の一つとして、貨物列車と行き交うため新幹線を減速せざるをえない青函トンネルの共用走行問題の解決を挙げている。 この日会見した JR 北の島田修社長は「貨客混載で扱う荷物は限られたものでしかなくこれが共用走行問題解決の決め手になるとは思っていないが、様々な解決策を組み合わせ、札幌開業時には新幹線にふさわしい高速走行が行えるようにしていかなければいけない」と述べた。 (斎藤徹、asahi = 2-14-20)


コンパクト車、狙う再ブーム 新型フィット・ヤリス発売

ホンダが 14 日、主力の小型車「フィット」を 7 年ぶりに全面改良して発売する。 2000 年代前半のコンパクトカーブームを引っぱった車種だが、小型車市場は近年、縮小傾向にある。 トヨタ自動車も 10 日に新型「ヤリス(旧ヴィッツ)」を発売した。 有力な量販車種の新型モデルの相次ぐ投入で小型車市場に再び活気が戻るか注目される。

4 代目になる新型フィットは、外装を大幅に刷新。 フロントガラスの脇の柱を細くして広い視界を確保した。 座席の座り心地や内装の質感にもこだわり、「数値だけでは表せない心地よさを追求した(開発責任者)」という。 フィットはホンダの全車種の中で、最も保有台数が多い車種。 乗り換え需要を中心に、月 1 万台の販売を目指す。 1.3 リットルのガソリン車が消費税込み 155 万 7,600 - 218 万 6,800 円。 ハイブリッド車 (HV) は 199 万 7,600 - 253 万 6,600 円。 HV は充電用と駆動用にそれぞれモーターを備えたホンダ独自のシステムを搭載し、燃費効率を高めた。

もともと新型フィットは昨年秋の発売を予定していたが、採用予定だった電動パーキングブレーキの不具合で生産開始が遅れ、発売が約 3 カ月遅れた。 結果的に 00 年代前半の小型車市場をともに引っ張ったライバルのヤリスと発売時期が重なった。 こちらは国内では 9 年ぶりの全面改良で、車名を欧州市場などで使う「ヤリス」に統一した。

99 年発売の初代ヴィッツは、小型ながら広い室内空間と手頃な価格が人気を集め、デフレ下での節約志向も背景に大ヒットした。 01 年に発売した初代フィットは、翌 02 年に年間約 25 万台の販売を記録。 この年、統計開始から 33 年続けて最量販車種だったトヨタの小型セダン「カローラ」を抜いて、年間首位に立った。 00 年代前半には日産自動車の 3 代目「マーチ」やマツダの 2 代目「デミオ」なども相次いで投入され、小型車市場は活気づいた。

排気量 2 リットル以下で全長 4.7 メートル以下などの条件を満たす「小型乗用車」は 04 年に 203 万台が売れ、軽自動車も含めた乗用車全体の 4 割を占めた。 だが、19 年には 123 万台に減り、全体の 3 割ほどにとどまった。 根強い需要はあるものの、より値段が手頃で、機能の充実も進んでいる軽自動車や、デザイン重視のスポーツ用多目的車 (SUV) に需要が流れている。

ホンダとトヨタは、全面改良した量販車種の投入による小型車市場の活性化に期待を寄せる。 野村証券の桾本(くぬぎもと)将隆アナリストは「かつて競われた燃費ではなく、ヤリスは『走り』、フィットは『心地よさ』を追求し、それぞれ別の層を狙っている。 競合するのではなく、市場を活気づけそうだ。」と分析する。 (森田岳穂、asahi = 2-13-20)


日産、九州工場を一時停止へ 新型肺炎で部品調達が停滞

新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大で中国からの部品の調達が困難になったとして、日産自動車は 10 日、九州の完成車工場(福岡県苅田町)の生産ラインを 14 日以降、一時停止させることを明らかにした。 新型肺炎の影響で国内の完成車工場の生産ラインが止まるのは日産が初めて。 中国からの訪日客の激減に加え、生産面の影響も日本経済に広がり始めた。 ラインが止まるのは、日産の完全子会社である日産自動車九州の工場。 日産の国内生産の半分ほどを占める国内最大の生産拠点だ。

ミニバン「セレナ」やスポーツ用多目的車 (SUV) 「エクストレイル」のほか、輸出専用の SUV 「ローグ」などを生産する。 日産によると、14 日に生産ラインをすべて止め、土日を挟んだ週明け 17 日は主に輸出向けの車をつくらない。 中国製の自動車部品の利用は、ほかのメーカーも含めて広がっている。 日本の 2018 年の輸入額は、日本貿易振興機構によると約 3,470 億円。 重症急性呼吸器症候群 (SARS) が流行した 03 年の 10 倍近い。 「中国製部品なしに車はつくれない(大手メーカー関係者)」とまで言われる。

日産は中国にある四つの完成車工場の操業再開も延期する。 日産や部品会社によると、武漢市に近い湖北省襄陽市の工場は 20 日以降、広東省広州市と遼寧省大連市の工場は 17 日以降に操業再開を先延ばしする。 河南省鄭州市の工場は「準備ができ次第動かす(広報)」としている。 日産は、米国と中国が事業の 2 本柱だが、新型車の投入が遅れたり、販売台数を伸ばすために過大な販売奨励金を積んだりしてブランドイメージが低下した米国での販売が苦戦している。 新型肺炎で事業が停滞するようだと、日産の業績に悪影響を与えかねない。

いすゞ自動車も、トラックのエンジン回りの部品を中国・武漢市の部品会社から調達してきた。 国内工場の生産ラインが止まる可能性があったが、代替の部品を調達することで回避した。 一方の中国では、北京、上海両市、広東省など大半の地域の幅広い業種で 10 日、工場の操業や会社への出勤が半月ぶりに解禁されたが、企業活動の正常化は遠い。 中国の 31 直轄市・省・自治区のうち、24 の地方政府は工場の操業や出勤を原則制限してきたが、それが 10 日に解除された。 それでも、10 日の現場の動きは鈍かった。 例えば上海市では、10 日に操業を再開した市内の製造業は約 7 割にとどまったという。

中国企業は自主的に 17 日に出勤開始を設定しているところが目立つ。 春節が明けた 3 日から新型肺炎の最長潜伏期とされてきた 14 日後にあたる。 これまでとってきた在宅勤務を延長する日本企業も多い。 (asahi = 2-10-20)

日産自動車九州 福岡県苅田町にある日産自動車の完全子会社。 セレナやエクストレイルなどを組み立てており、2018 年度の生産実績は約 43 万台。 日産の国内生産の半数ほどを占める国内最大の生産拠点だ。 2019 年 4 月現在の従業員は約 4,500 人。

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新型コロナウイルスで部品枯渇 自動車業界にサプライチェーン危機

新型コロナウイルスの感染拡大の影響が、いよいよ世界の自動車産業に波及し始めてきた。 6 日にはフィアット・クライスラー・オートモービルズ (FCA) が、中国の部品供給業者が操業を再開できなければ、2 - 4 週間で欧州の工場 1 カ所の生産を止める可能性があると警告を発したのだ。 自動車メーカーにとっては、今後数週間が重要な時期になる。 中国で製造される部品は、他の場所で組み立てられる数百万台の自動車に使われており、新型コロナウイルスが最初に発生した湖北省は、自動車部品生産・出荷の主要拠点でもある。

業界専門家の話では、サプライヤーは 1 月末からの春節(旧正月)を前に、部品の在庫や一時保管の量を増やしてきた。 ただ来週、中国の部品工場が再び操業できないか、中国発着の航空便の制限が続くなら、そうした取り置き分は底を突いてしまう。 中国の自動車部品・組立工場は当初、春節の休みを 9 日までの予定としていたものの、一部はさらに休業期間を延ばしている。 コンサルティング会社アリックスパートナーズの自動車・工業慣行担当マネジングディレクター、ダン・ハーシュ氏は「業界のほとんど全ての企業が製品生産で何らかのトラブルに見舞われている」と述べた。

影響「読めない」

FCA のマンリー最高経営責任者 (CEO) は 6 日、あと 2 - 4 週間で部品が入ってこないようなら欧州の組立工場の生産停止を迫られる恐れがあると語った。 対象となる具体的な車種や工場は明らかにしていない。 トヨタ自動車は 6 日、2020 年 3 月期連結利益予想を上方修正したが、白柳正義執行役員は、中国国外の「部品在庫(の動き)を丹念に見守っている」と強調。 ディディエ・ルロワ副社長は、今年の中国市場は昨年からさらに縮小するとみていたと説明した上で「(新型コロナウイルスによる)不確実性は高まっている。 影響は今、本当に読めない。 今後、数日で急激に状況が変わるかもしれない。」と、警戒感を示している。

韓国の現代自動車も、中国からの部品不足によって国内の複数の工場が生産停止を余儀なくされるだろうとの見方を示した。 ゼネラル・モーターズ (GM) は、24 時間態勢で対応する専門チームを立ち上げた。

東日本大震災の教訓

アリックスパートナーズのハーシュ氏によると、自動車メーカーは重要部品に関しては以前よりも代替調達手段を拡充している公算が大きい。 各メーカーや主なサプライヤーは、2011 年の東日本大震災で重要部品の仕入れに支障が出た教訓を踏まえ、1 つの部品工場が壊滅した場合に組み立てラインが止まるリスクを減らそうとしている。 生産設備に柔軟性を与え、部品生産先の切り替えや再設定もできるようになっている。 例えばフォード・モーターは、ミシガン州のサプライヤーの工場火災で収益性の高いピックアップトラックの生産が脅かされた際には、すぐにカナダ・オンタリオ州の工場に生産施設を移した。

それでも湖北省の部品生産全てを他で調達する、あるいは別の地域に施設を移転させるのは容易でない。 IHS マークイットが先週公表した調査では、湖北省は中国の自動車生産の 3 分の 2 強を支える国内 11 省の 1 つだ。 IHS は、湖北省で工場の部品生産停止が 3 月まで続けば、中国国内の自動車生産は相当落ち込み、第 1・四半期全体で 170 万台を超える減産になると予想した。 (Reuters = 2-9-20)


新路線「羽田空港アクセス線」ディズニーと直結へ

JR 東日本が建設予定の羽田空港と東京都心を結ぶ新路線「羽田空港アクセス線」に関し、東京ディズニーリゾートの最寄り舞浜駅(千葉県浦安市)と直結させる方向で検討を始めた。 アクセス線のうち、新木場駅方面の「臨海部」ルートと京葉線を乗り換えなしで接続する方針。 関係者への取材で 8 日分かった。 羽田空港の新駅は国内線と国際線のターミナルに設け、新宿駅方面につなぐ「西山手」ルートを、長野、山梨方面と結ぶ中央線に直通させる構想も新たに判明した。

羽田空港には京急電鉄の空港線とJR東の子会社の東京モノレールが乗り入れている。 新たに羽田アクセス線が登場すれば「首都の玄関口」と各地のネットワークが強化され、人や物の動きに大きな影響を与えそうだ。 アクセス線は臨海部と西山手のほか、東京駅を経由し茨城、栃木、群馬各県と結ぶ「東山手」の計 3 ルート。JR 東は昨年、東山手の環境影響評価(アセスメント)に着手し、2029 年ごろ開業させる方針。 臨海部、西山手も順次開業への準備を加速させる考えだ。

JR 東の計画によると、国内線の駅は第 1 ターミナルと第 2 ターミナル間の地下に位置し、空港近くの東京貨物ターミナルとトンネルで接続する。 15 両編成に対応し 1 時間に 8 本運転する。 同社の試算では、国内線新駅との所要時間は東京駅約 18 分、新宿駅約 23 分、新木場駅約 20 分。 関係者によると、国際線ターミナルの新駅がアクセス線の終着駅になり、国内線の新駅と数分でつなぐ見通し。

舞浜駅への臨海部ルートは東京都が 9 割超の株式を保有する「りんかい線」を通り、京葉線に接続する考え。 JR 東は東京都などと新路線を巡り協議している。 西山手ルートは東京貨物ターミナルからりんかい線と合流し、大崎駅から埼京線に乗り入れ渋谷駅、新宿駅とつなぐ。 中央線との直通も運行方法を検証し、具体化させる。 新宿駅では特急「あずさ」や「かいじ」、「富士回遊」が発着。 長野、山梨方面へ訪日外国人客を含めた輸送を担っている。 (kyodo = 2-8-20)

前 報 (2-10-19)


スマート IC、増える高速 反対住民「庭がアクセス道」

高速道路のパーキングエリア (PA) などから一般道に乗り降りできるスマートインターチェンジ (IC) が全国で増えている。 整備費が安く、地域振興にもつながるとして設置に前向きな自治体がある一方、住民が反対するケースもある。

スマート IC は、ETC (自動料金収受システム)を搭載した車が利用することができる。 通常の IC は約 10 キロおきに設けられるが、スマート IC はその中間にある PA などにつくられる。 国土交通省によると、設置にかかる費用は通常の IC の半分以下。 事業主体は高速道路会社と地元自治体で、料金所から一般道へのアクセス道整備費などは自治体の負担だが、2007 年以降、全国 131 カ所にできた。 東海 3 県では岐阜県の安八、養老など 8 カ所で開通し、さらに 7 カ所で整備中だ。

愛知・日進では住民が反対署名

一方、愛知県日進市が東名高速東郷パーキングエリア (PA) に計画する東郷スマート IC をめぐり、周辺住民が「東郷 PA スマートインター計画の改善を求める会」を結成し、1 月 28 日に市長と国交相あてに約 4,100 人の反対署名を提出した。 日進市は東名高速が市内を貫くのに、IC がない。 東郷 PA 周辺には企業が多く、県企業庁の工業団地計画もあり、市はスマート IC によって東名高速へのアクセス強化を図る。 さらにスマート IC は一般道の渋滞緩和や観光振興、災害対応の強化にもつながるとしている。 事業費は用地費を除いて 22 億 - 26 億円で、中日本高速道路や国の負担を除き、市の負担は 5 億 - 7 億円。 国交省の許可を受け、24 年度末の開業をめざして測量などを始めた。

しかし同市は住宅地が多く、東郷 PA 周辺には牧場や病院、特別養護老人ホームなどもある。 東名高速の東名三好 IC まで 2.2 キロと比較的近いこともあり、市民にはスマート IC で一般道の車が増えて事故や騒音、大気汚染を心配する声が少なくない。 「改善を求める会」代表の原田衛さん (74) は、自宅のすぐ横にスマート IC 下り線のランプウェーと障壁(高さ約 5 メートル)ができるという。 「市からは何の説明もなかった。 生活環境が一変し、簡単に承服できない。」と話す。 副代表の田中充江さん (77) は、自宅の庭がアクセス道路になることを市の説明会で初めて知ったといい、「地図を見て驚いた。 どうしたらいいのかわからない」と困惑する。

市側は一般道の渋滞解消をメリットに挙げるが、「改善を求める会」はそれよりも道路の改良や信号の設置を求める。 署名を受け取った同市の近藤裕貴市長は「住民の意見を厳粛に受け止め、説明を重ね、理解を得ていきたい。」と話す。

東京、埼玉、栃木でも問題に

国交省中部地方整備局によると、東海 3 県でスマート IC に反対する署名運動があるのは日進市だけという。 だが全国では、15 年に開通した中央自動車道府中スマート IC (東京都府中市)をめぐり、住民が東京地裁立川支部に供用差し止めなどを求める仮処分を申請した。 現在整備中の東北自動車道大谷スマート IC (宇都宮市)でも、住民が反対の看板を設置している。 開通済みの関越自動車道三芳スマートインター(埼玉県三芳町)でも、大型車などが入れるように拡充させる計画に対し、「安全対策が整うまでは(地元町議)」と反対が続く。

府中市では、市が防護柵を設置したことで住民側が仮処分申請を取り下げた。 当時、住民側の代理人を務めた伊藤克之弁護士は「スマート IC はメリットばかりが語られがちだが、住民側の不利益も十分考えたうえで検討するべきだ」と話す。 (松永佳伸、編集委員・伊藤智章、asahi = 2-7-20)


近鉄の新型特急「ひのとり」試乗 快適さで新幹線に対抗

近鉄が 3 月 14 日から近鉄名古屋 - 大阪難波間で運行を始める新型特急「ひのとり」の報道関係者向け試乗会が5日にあった。 赤い流線形デザインで力強さと華やかさを表現し、座席の快適性を高めたのが特徴という。 近鉄名古屋(名古屋市) - 伊勢若松(三重県鈴鹿市)間を走行した。 国内で初めて全席に「バックシェル型」座席を導入。 リクライニング時に座席が前にスライドし、後ろの客が窮屈にならない。 座席の前後の間隔は「レギュラー車両」でも新幹線のグリーン車並みという。 先頭と最後部の「プレミアム車両」は 3 列シートで、床を高くして眺望が楽しめる。 空気清浄機を全車に設けた。

近鉄名古屋 - 大阪難波間を平均 2 時間 5 分で結ぶ。 運賃と特急料金に加え、100 - 900 円の特別料金がかかる。 同社によると、名阪特急の輸送人員は 1990 年のピーク時から約 3 割減った。 新幹線にない「くつろぎ」を売りに利用者を呼び込む狙いだ。 近鉄の湖東幸弘・企画統括部副統括部長は「ゆったりとした居住空間で、それぞれの過ごし方をしてほしい。 難波直結なので名古屋からは京セラドームやユニバーサル・スタジオ・ジャパンなどへ行くのに非常に便利。 ぜひお乗り頂きたい。」と話した。 (田中恭太、asahi = 2-5-20)


特急「つばめ」を大改造、九州周遊の観光列車に

JR 九州は 29 日、今秋運行を始める観光列車「36 ぷらす 3」に使う車両の本格的な改造に取りかかった。 特急「つばめ」として活躍した 787 系の車両 1 編成を用い、九州を周遊する観光列車に仕上げていく。 この日、北九州市の小倉総合車両センターで、改造の様子が報道陣に公開された。 車体は塗装をはがしてサビ止めをした赤茶色で、車内の床は取り外されている。 作業員は車体の補修をしたり、車内で溶接をしたりしていた。

完成時は黒地に金色の文字が入る外装になる。 車内には、「つばめ」にあったカウンター付きの売店「ビュッフェ」も復活させる。 式典も同日あり、車両の内外装を手がける工業デザイナーの水戸岡鋭治さんと JR 九州の青柳俊彦社長が出席。 1992 年にデビューした 787 系や豪華寝台列車「ななつ星」もデザインした水戸岡さんは「新たな感動を提供したい」と語った。

「36 ぷらす 3」は九州 7 県を 5 日間かけて走り、1 日のみの乗車もできる。 1 日の価格(昼食付き)は個室で 2 万円前後、座席で 1 万 5 千円前後を想定している。 (山下裕志、asahi = 1-30-20)


全席グリーン車以上で優雅な旅 新型「踊り子」試乗会

東京・新宿 - 伊豆急下田間に 3 月 14 日にデビューする JR 東日本の新型リゾート列車「サフィール踊り子」の報道関係者向け試乗会が 27 日にあった。 全ての席が、グリーン車とさらに格上の「プレミアムグリーン車」という豪華な内装で、優雅な旅を演出する。

JR 東の在来線では初のプレミアムグリーン車は、伊豆方面の先頭車となる 1 号車。本革製シートに木製の手すりをあしらった計 20 席は、1 席ずつ独立して配置されている。 手荷物は座席下に収納する仕組みで荷棚がないため、車窓と天窓からダイナミックな風景を楽しめる。

「本格的な伊豆の味は、地元でゆっくり楽しんでほしい」として、4 号車のカフェテリアで調理、提供されるのは麺類と軽食だけ。 第 1 弾として、東京都内の人気日本料理店「傳(でん)」の料理長が監修するラーメンが登場する。 東京 - 伊豆急下田の合計料金は、プレミアムグリーンが 1 万 1,430 円、グリーンが 9,110 円。 サフィールの登場に伴い、1990 年から運行している「スーパービュー踊り子」は引退する。 (細沢礼輝、asahi = 1-27-20)


豪華列車「銀河」お披露目 5 月から運行開始 JR 西

JR 西日本の新しい長距離列車「WEST EXPRESS (ウエストエクスプレス) 銀河(6両編成)」が 25 日、大阪府吹田市内で報道陣に公開された。 豪華寝台列車「トワイライトエクスプレス瑞風」の「弟分」で、5 月から運行を始める。

ヘッドマークには、白い点と点を曲線で結んだデザインを採用。 「銀河」にちなみ、西日本全体を宇宙、魅力的な地域を星に見立て、列車がめぐる様子を表現した。 グリーン車の個室は大人 2 人が寝転べる広さ(3.9 平方メートル)があり、指定席は背もたれを倒すとフルフラットのベッドに。 普通車寝台車の 2 段ベッドも長さが 193 センチあり、ゆったりと眠れるよう工夫されている。 指定席のリクライニングシートは、前後の間隔を、JR 西の他の特急グリーン席よりも広い 120 センチと余裕を持たせた。

内装の基調色は青や緑だが、赤色で統一した女性専用車両もある。 丸ごと1両は、乗客が思い思いに過ごせるフリースペースに。 ベンチやテーブルのほか、将棋や囲碁などのボードゲームも楽しめるボックス席も用意した。 当面は、京阪神と山陰地方を結ぶルートを週 2 往復する。 価格は京都 - 出雲市(島根県)の 1 泊 2 日で普通席 1 万 640 円、個室利用なら 1 万 8,560 円。 最低でも約 25 万円する瑞風よりもぐっと割安にした。 秋には山陽ルートも登場する予定という。 (古田寛也、asahi = 1-25-20)


「大人のマスク氏」安定感 テスラ時価総額が VW 逆転

EV はまだまだ発展途上

記事コピー (1-23-20)


ANA、羽田から離島のドローン遠隔操縦 1,000 キロ離れた五島列島でちらし寿司運ぶ

東京から 1,050 キロ離れた離島でドローンを飛ばし、遠隔操縦で食料や日用品を運ぶ実証実験を、ANA ホールディングス (ANAHD) と長崎県五島市が実施している。 五島市内の有人島間をドローンで結び、物流に加えて地元の雇用創出にもつなげていく取り組みだ。 実証実験は 1 月 8 日から 17 日までで、ANAHD と五島市のほかに自律制御システム研究所 (ACSL) と NTT ドコモ、プロダクションナップ(NAP、長崎市)が協力。 ACSL の完全自律飛行型ドローンをドコモの LTE (4G) 回線でコントロールし、NAP が運航をサポートする。

離島への物資輸送と雇用創出

ANAHD は、2018 年から福岡県玄界島でドローンによる配送実験を実施。2019年7月には、国土交通省から補助者を置かずにドローンを目視外飛行させる承認を得ており、第三者の立ち入りがないかなどを監視する補助者を置かない、実用化時の運用条件に近い状態で実験を進めている。 五島市では 2019 年 9 月 25 日から 10 月 4 日まで第 1 期の実験を実施済みで、今回は第 2 期目に入り、ドローンによる物流体制構築を目指す。

五島市には 11 の有人島と 52 の無人島があり、ドローンを使った有人島間の物流網構築と、地元の雇用創出を目指す事業を 2018 年から実施。 今回は福江島の塩津港を起点に南へ約 8 キロ沖にある黄島と、7 キロ沖に位置する赤島へドローンで空輸する実験を進めている。 65 年前の昭和 30 年代には、黄島には約 650 人、赤島が 350 人以上が住んでおり、釣り客や伊勢エビ漁などで栄えていたが、現在の人口は黄島が 28 世帯 40 人、赤島が 10 世帯 12 人と、人口減少が進む。 福江島から赤島、黄島と結ぶ定期船が 1 日 2 回運航されているが、人手不足も課題となる中で、日常生活に不可欠な食料などの輸送手段を確保することが求められている。

五島市でドローン事業を担当し、自らも操縦資格取得を目指すM本(はまもと)翔さんによると、ドローンによる物流網の構築だけでなく、若年層をはじめとする地元の雇用をドローン関連で創出していくことも重要視しているという。

ドローンでちらし寿司運ぶ

今回のドローン運航は、羽田空港内にあるオペレーションマネージメントセンターから遠隔操作で実施。 現地ではバッテリー交換や荷物の積み込みなど、最低限のサポートに留めて運航できるかを検証している。 実験が公開された 10 日は、福江島から黄島まで、島民が注文したちらし寿司や焼き鳥などの食べ物を運んだ。 島民の間ではスマートフォンの普及率が低いことから、電話注文用のカタログを用意。 食料品や日用品を担当者に電話で注文すると、ドローンで所定の場所まで配送される形で検証している。 ANAHD で次世代事業を模索する「デジタル・デザイン・ラボ」の津田佳明チーフディレクターによると、一方でドローンの認知度は高齢者の多い島民の間でも高いという。

デジタル・デザイン・ラボでドローン事業化プロジェクトリーダーを務める保理江裕己さんは、「地元の人がドローンに携わり、運航は ANA が東京で担うパターンと、すべて一括で請け負うパターンの両方を考えており、現在は実証実験しながら地元の人にも操縦を覚えていただいている」と話す。 保理江さんによると、ドローンの操縦は 20 日間程度でできるようになるといい、社内でも必要に応じて操縦できる社員を育成して対応していく。

今回実験に使用している ACSL のドローンは、羽田のセンターにいるフライトディレクター(運航管理者)がノートパソコンから遠隔操作で運航開始の指示をドローンに送ると、その後はプログラムされた通りに、高度60メートルの高さで海上を飛行していた。 また、ドローンの位置情報が 1 分以上センターに送信できなくなるなど、機体に問題が起きた時には自動で出発地へ引き返す仕組みになっている。 保理江さんによると、ANAHD は 2016 年 12 月にドローンプロジェクトを立ち上げたが、実証実験で機体を喪失したことはなく、今後は夜間飛行など運用時間拡大にも挑戦していく。

島民からは医薬品の搬送を求める声も寄せられており、ANAHD と五島市は長崎大学と医療分野で連携するといった用途の拡大を目指す。 (Tadayuki Yoshikawa、AviationWire = 1-13-20)

初 報 (10-24-16)


ソニーが自動運転の EV 試作 映像・音響技術を詰め込む

ソニーが 6 日(日本時間 7 日)、自動運転や音響・映像 (AV) の技術を詰め込んだ電気自動車のコンセプトカーを発表した。 クーペタイプで、ハンドルやブレーキなど一部の操作を自動化。 2020 年度に公道で走行実験をめざす。 市販の予定はないという。

米ラスベガスで 7 日始まる技術見本市「CES」にあわせた記者会見で公開した。 車両は自動車部品メーカーの独ボッシュやコンチネンタル、米半導体大手のクアルコムなどと協力し、イヌ型ロボット「aibo (アイボ)」の開発メンバーが中心となって製作した。 ソニーのセンサーを 33 個搭載し、車内外の安全を監視する。 最新のオーディオを組み込み、運転席のディスプレーや車両デザインもソニーが手がけた。

吉田憲一郎社長は「この 10 年はモバイルがメガトレンドだったが、次はモビリティーだ。 よりネットにつながり、自動化され、シェアされ、電装化される。」と語り、ソニーの技術を生かせる分野だと強調した。 会見では、今年末に発売予定のゲーム専用機「プレイステーション 5」のロゴも公表した。 ただ詳細は明らかにせず、期待していたメディア陣が肩を落としていた。 (ラスベガス = 中島嘉克、asahi = 1-7-20)


リニア着工 5 年、27 年開業に黄信号 延期の場合影響は

名古屋 - 品川間を最短 40 分でむすぶリニア中央新幹線が、着工してから 17 日で丸 5 年たった。 開業をめざす 2027 年まで残り 8 年。一部が地元自治体の反対で着工できないなど、早くも予定通りの開業に黄色信号がともっている。 リニア新幹線は、東海道新幹線開業の 2 年前にあたる 1962 年に旧国鉄が研究に着手。 77 年には宮崎県で走行試験が始まった。 いまは山梨県の実験線(42.8 キロ)で最高時速 600 キロを超える走行試験を続けている。

まずは名古屋 - 品川間の 286 キロで営業を始め、その後、名古屋から大阪まで延伸、計 438 キロを最速 67 分でむすぶ計画だ。 JR 東海は品川 - 大阪の全区間を自費で建設することを、2010 年までに決定。 費用は 9 兆円にのぼる見込みで、政府は「財政投融資」を使ってこれまでに 3 兆円を融資した。 同社は 14 年 12 月、品川駅と名古屋駅で建設工事に着手。 いずれも、いまある駅の地下に新駅をつくる難しい工事だ。 まずは、こうした難航が予想される工事からはじめ、いまは 200 キロほどの区間で工事契約を済ませている。

開業の先送りにつながる可能性が指摘されているのが、南アルプストンネル(25 キロ)の工事だ。 山梨、静岡、長野の 3 県にまたがる、最難関工事のひとつ。 だが、トンネルが横切る大井川の水量が減ることを心配する静岡県が、着工に同意していない。 工事の契約をしてから、すでに 2 年がすぎ、JR 東海の金子慎社長は「この状態が続けば開業の時期に影響を及ぼしかねない」と発言。 2 者間の協議では溝がなかなか埋まらず、10 月からは国が調整にのりだした。

ただし、かりに開業が間に合わなかったとしても JR 東海への影響は限られそうだ。 東海道新幹線というドル箱を持ち、営業利益率は 4 割近く。リニア新幹線建設の目的についても災害への備えなど「いわば国策(金子社長)」という立場で、多少の延期では「投資回収計画が狂うことはない(幹部)」という。 (初見翔、asahi = 12-24-19)

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あおり運転で停車させるのは「危険運転」 法改正の方針

森雅子法相は 23 日、あおり運転により、他人の車を停車させる行為を危険運転の定義に加えるため、自動車運転死傷処罰法を改正する方針を示した。 来年 1 月に法制審議会に諮問し、通常国会への改正案提出を目指す。 現行法では、危険運転を、@ 酒や薬物の影響下での運転、A 通行妨害の目的で重大な危険を生じさせる速度での運転 - - などと定義する。 他人の車を無理やり停車させる行為は含まれておらず、明確な取り締まり対象になっていない。 2017 年に神奈川県の東名高速で一家 4 人があおり運転を受けた末に死傷した事故の裁判でも、被告の停車行為が危険運転に当たるかが争点になっている。 (asahi = 12-23-19)

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道交法に「あおり運転」 即座に免許取り消し 警察庁方針

警察庁は、道路交通法に「あおり運転」を新たに規定し、事故を起こさなくても即座に免許取り消し処分とする方針を固めた。 6 日の自民党の交通安全対策特別委員会で検討案を説明した。 来年の通常国会での法改正を目指す。 厳罰化も図り、悪質ドライバーの排除を目指すとしている。 検討案によると、あおり運転を「他の車の通行を妨害する目的で、一定の違反(過度に車間距離を詰めたり、急に進路を変更したりすることなどを想定)により交通の危険を生じさせる恐れのある場合」と規定し、違反した場合は罰則を設ける。 「高速道路上(一般道を含む)で他の車を停止させるなど、著しく交通の危険を生じさせた場合」は、さらに重い罰則を科す。

罰則は検討中だが、現在の取り締まりで適用されている刑法の暴行罪の「2 年以下の懲役または 30 万円以下の罰金」などとのバランスを考慮して定める方針。 行政処分は、違反点数を即座に免許取り消しになる「15 点以上」とし、免許を再取得できない欠格期間を 1 年以上は設けたい考えだ。 警察はこれまで、道交法の車間距離保持義務違反や相手への暴力行為があるとして暴行罪などを活用してあおり運転を摘発してきた。

社会的関心の高まりを受けて取り締まりが強化された 2018 年の車間距離保持義務違反は 1 万 3,025 件と前年の約 1.8 倍に達し、自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷の妨害目的運転)25 件、暴行 24 件、傷害 4 件などに上った。 今年 1 - 10 月の車間距離保持義務違反は 1 万 2,377 件に達する。 しかし、主に適用されている車間距離保持義務違反の罰則は、高速道路の場合で「3 月以下の懲役または 5 万円以下の罰金」で、違反点数も 2 点にとどまる。 政府与党からは「悪質なあおり運転を想定していない現行法による取り締まりには限界がある」として法整備や厳罰化を求める声があり、警察庁が海外の法制度も参考にしながら検討を続けていた。 (佐々木洋、mainichi = 12-6-19)


いすゞが UD トラックスを買収へ 親会社ボルボと提携

トラック大手のいすゞ自動車は 18 日、スウェーデンのトラック大手、ボルボ・グループと提携すると発表した。 ボルボ傘下で同業大手の UD トラックス(旧日産ディーゼル工業)を買収するほか、商用車の自動運転といった次世代技術の開発などで協力する。 いすゞによる UD トラックスの買収を提携の第 1 段階と位置づけ、ボルボが持つ UD トラックス株を 2020 年末までに取得する。

次世代技術での協力体制の構築に加え、ボルボが得意とする大型車事業のアジア地域での展開強化や、いすゞが得意な中小型事業でも協業の可能性を探る。 いすゞには、かつて米ゼネラル・モーターズ (GM) が出資していたが、06 年に GM がいすゞ株を手放し、その後はトヨタ自動車が出資していた。 だが、協業がうまく進展せずにトヨタとの提携関係も昨年解消。 いすゞは新たな提携先を探していた。 日産自動車の傘下だった旧日産ディーゼルは、06 年に日産が持ち株を手放してボルボの傘下に入り、10 年に社名を UD トラックスに変更した。 (久保智、asahi = 12-18-19)


帰省にも利用 109 年 さよなら宇高航路 客ら別れ惜しむ

高松市の高松港と岡山県玉野市の宇野港を結ぶ宇高航路が 15 日の運航を最後に休止し、国の「宇高連絡船」として運航が始まって以来、109 年の歴史の幕を閉じる。 競合する瀬戸大橋の通行料金の値下げやフェリーの利用客が減少した影響が大きく、運航会社の四国急行フェリー(高松市)が休止を決断した。 運行休止が発表されると、1 日 5 往復のフェリーは、つかの間の船旅を懐かしむ乗り納め客でにぎわった。

船旅のお供は …

12 月上旬の日曜日午前に高松港を出発した「第一しょうどしま丸」。 船内の売店には、名物のうどんを求める客が列を作った。 愛媛県今治市の主婦、竹田由美子さん (77) は「安いし、おなかもすいているのでおいしい」と満足そうだ。 大阪で暮らしていた昭和 40 年代、今治市に帰省する際にフェリーを利用した。 当時は乗客も多く、「列車が高松駅に到着すると、みんなフェリーの乗り場に向かって走っていた」と懐かしむ。 最後の機会かもしれないと久しぶりに乗船したといい、「フェリーのことを気にかけていなかったけれど、なくなると聞くと寂しいね」とつぶやいた。

冷たい風が吹き付けるデッキにも乗客がいた。 瀬戸内海の多島美を眺める人や、風景を映像に収めたり記念撮影をしたりする人も。直島付近で別のフェリーとすれ違うと、互いの乗客が手を振り合った。 フェリーの進む方向を見つめていた高松市のパート従業員、秋山弥生さん (72) は「18 歳年上の姉が宇野に住んでいて、遊びに行く際、別のフェリーや連絡船を利用した」と振り返る。 仲の良かった姉が亡くなった後はフェリーを利用することはなくなったが、間もなく運航休止と知り、娘家族と乗船。 「かつては緑が少なかった島に、木が増えたみたい。 宇野の街も変わっているんでしょうね。」と寂しげな表情を見せた。

瀬戸大橋には勝てず

宇高航路は明治 43 (1910) 年に国の「宇高連絡船」として運航が始まった。 3 社で運航していた当時の昭和 62 年度の旅客輸送人員は約 396 万人だったが、瀬戸大橋が開通した 63 年度は約 224 万人に減少した。 平成 24 年度には 1 社のみの運航となり、30 年度の旅客輸送人員は瀬戸大橋の開通前の 3.4% に当たる約 13 万人にまで落ち込んだ。 そして今年 11 月 11 日、同社は国土交通省四国運輸局に宇高航路の運航休止届を提出した。 会見した堀川満弘社長は「収支の改善の見込みがなく、企業努力では航路の存続は困難と判断した。 苦渋の決断で非常に残念。」と話した。

最大の要因は、瀬戸大橋の通行料金引き下げと利用者の大幅な減少だ。 瀬戸大橋の普通車の通行料金は開通時(昭和 63 年)に 6,300 円だったのが、現在は 4,300 円に。自動料金収受システム (ETC) を利用していれば平日 2,310 円、休日 1,990 円にまで下がった。 同社はコスト削減や減便に取り組んだが、累積赤字の解消にはつながらなかった。 船の老朽化による修繕費や燃料費の増加が見込まれることもあり、休止を決めた。 堀川社長は「瀬戸大橋開通時の料金なら共存できた。 これほど通行料金が下がるとは想定していなかった。」と漏らした。

駆け込み利用、乗船客 2.5 倍に

高松港を出発したフェリーは約 65 分後、宇野港に到着。 港には数十人の乗客が並んでいた。 高松からの乗客と車両が下船すると、新たな乗客と車両が次々と乗り込んでいく。 車両を誘導していたスタッフは「休止を発表して以降、土日の便は急に混雑するようになった」という。 この便には 70 台近い車両が船内に整然と収まった。 自転車で乗船した高松市の会社員、窪田雄一さん (42) は便数が多かった頃はよく利用したという。 車で本州に渡り、鳥取や大阪、九州に出かけた。 「フェリーに乗っている 1 時間は仮眠ができる。 待たずに乗れるのもありがたかった」と振り返りつつ、「休止は時代の流れなんでしょうね」と受け止めた。

同社によると、運航休止を発表して以降、休日を中心にフェリーの利用は 2 - 2.5 倍に増加。 思い出を持つ人が乗り納めに訪れた結果とみられる。 担当者は「宇高連絡船の就航から 109 年、当社が運航を始めて 63 年。多くの人に利用してもらい感謝している」と名残惜しそうに話した。 (sankei = 12-13-19)