イメージは漆器 JR 東海「ハイブリッド列車」お披露目

JR 東海が、高山線の特急「ひだ」と紀勢線の特急「南紀」向けに開発している新型車両「HC85 系」の試験走行車を報道陣に公開した。 ディーゼルエンジンと蓄電池によるハイブリッド方式を同社として初めて採用。 観光客向けに「和」をテーマにした外観や内装にしている。 名古屋車両区(名古屋市中村区)で 12 日に公開された。 普通車の座席は沿線の紅葉や花火などを表現したオレンジで、壁は木目調。全席にコンセントを備え、荷物置き場も広くなる。 先頭車の外観は漆器をイメージして曲線を多用。 オレンジの帯が前面から側面の窓の上を流れるようにデザインした。

現在の 85 系気動車の後継で、燃費が約 15% 改善すると見込む。 エンジンを 2 台から 1 台に減らすなどして、静粛性も高まるという。 営業運転の最高速度は現行と同じ時速 120 キロを目指し、ハイブリッド式としては国内最速となる。 同社東海鉄道事業本部の平野正敏・車両部長は「高山や那智勝浦など、日本を代表する観光地を走るのでデザインにも採り入れた。 外国の方々にもおもてなしを感じてもらえれば。」 年内に性能試験を始め、2022 年度の投入を目指す。 (田中恭太、asahi = 12-17-19)


「ファスナー合流大作戦」で渋滞緩和 高速道で初の試み

中日本高速道路は、年末年始(12 月 27 日 - 来年 1 月 5 日)の渋滞予測を発表した。 ピークは上下線とも 1 月 2、3 日の見込み。 東海地方では名神高速道路の一部が最も混雑すると予測しており、「ファスナー合流大作戦」と名付けた新たな渋滞対策を実施する。

同社によると、東海地方で最も混雑するのは名神高速上り線。 1 月 2 - 4 日のいずれも午後 3 時ごろ、愛知県一宮市の一宮インターチェンジ (IC) を先頭に、岐阜県養老町の養老ジャンクション (JCT) にかけて最大 20 キロの渋滞が予想される。 一宮 IC 付近が渋滞する要因の一つに、手前の一宮 JCT で東海北陸自動車道が合流することがある。 名神の走行車線につながる加速車線のいたるところから車が入るため、流れが悪くなっていたという。

このため同社は 11 月末までに、先頭の車だけが合流できるように車線を分離するゴム製ポール(高さ 80 センチ)を 2 メートルおきに設置。 これにより 1 台ずつ車両が交互に合流する「ファスナー合流」を促す。 同社によると、ファスナー合流に着目した渋滞対策は高速道路で初めてという。 一方、例年激しい渋滞が起きていた東名阪自動車道は、今年 3 月に新名神高速の三重県区間が開通したことで大幅に緩和する見通し。 新名神では 10 キロ以上の渋滞は発生せず、東名阪道も 3 回のみにとどまるとしている。 (佐藤英彬、asahi = 12-15-19)


ホンダジェット エリート、中国で納入開始 広州

ホンダは 11 日、航空事業子会社の米ホンダエアクラフトカンパニーが小型ビジネスジェット「ホンダジェット エリート」を中国で初めて顧客に納入したと発表した。 ホンダは富裕層が多い中国をアジアにおけるビジネスジェットの主要マーケットと位置付けている。 2017 年 10 月に先行して受注活動を始め、19 年 8 月に販売に必要な型式証明を取得していた。

今回納入したホンダジェット エリートは 18 年 5 月に発表した新型機。 燃料タンクを大きくするなどして航続距離を従来のホンダジェットよりも伸ばし、最新の飛行管理システムなども備える。 ホンダジェットの販売は好調だ。 17 - 18 年と 2 年連続で世界の小型ビジネスジェットの納入機数で首位となった。 現在はホンダジェットとホンダジェット エリートを合わせて世界で約 140 機が運用されている。 ホンダエアクラフトカンパニーの藤野道格社長(ホンダ常務執行役員)は「中国のジェネラル・アビエーション(一般航空)市場が着実に発展する中で、ホンダジェットが新たな価値を生み出すことを期待している」とコメントした。 (nikkei = 12-11-19)

前 報 (8-13-19)


「国内初」顔認証改札機は可能か 大阪メトロが実験開始

大阪メトロは 10 日、登録済みの顔写真と一致すれば駅の改札を通れる「顔認証」の実証実験を始める。 大阪市内 4 駅に専用の改札機をおき、あくまでメトロ社員を対象に来年 9 月末まで続ける。 課題をなくしたうえで、2024 年度の全駅での導入をめざす。

メトロによると、鉄道事業で顔認証の実証実験をするのは海外では中国で事例があるものの、国内では初めてという。 長堀鶴見緑地線「ドーム前千代崎駅」で 9 日、顔認証の様子が報道陣に公開された。 社員が改札ゲートに入ると、奥に備えつけたカメラが、目や鼻といった位置や輪郭などの特徴を数秒で判別。 事前に登録した顔写真と同じだと認識されれば、モニター画面に「OK」と表示されて扉が開く。

ただ、マスクをつけて通る場合、鼻まで覆うと判別できないなど課題もあるという。 実証を進めながら、認識がスムーズにできるように改善していく。 顔認証は、空港の出入国手続きや、キャッシュレス決済など用途が広がっている。 大阪メトロは、顔認証によって効率よく改札を通れるようにしたい考えだ。 同社電気ネットワーク課の井手貴大係長は「たくさんの荷物を持つ利用者が、乗車券をさがさずに顔だけで通過できる利点をアピールしたい」と話した。 (神山純一、asahi = 12-9-19)


うっかり後戻りに注意 ループ状の新名神・亀山西 JCT

三重県亀山市の新名神高速道路亀山西ジャンクション (JCT) に、並行する東名阪自動車道と相互乗り入れができるランプウェーが 12 月 21 日に完成する。 全国的にも珍しいループ状の構造で、中日本高速道路はドライバーがうっかり進路を間違えないように注意を呼びかける。

ランプウェーによって、名古屋市と三重県伊勢市の両方面に新名神を経由して行き来できるようになる。 ぐるりと U ターンするようになっており、名古屋方面から伊勢方面に向かう場合、新名神の本線からランプウェーに入り、反対側の本線にいったん合流。そのまま車線変更せず、伊勢方面に分岐するランプウェーに再び入る。 間違えると名古屋方面に戻ってしまうので注意が必要だ。

新名神は今年 3 月に新四日市 - 亀山西の両 JCT 間が開通した。 東名阪道とつながることで、今後は事故や災害で通行止めになった時の迂回(うかい)路になるほか、三重県内の観光活性化も期待されている。 開通は 21 日午前 7 時の予定。 (佐藤英彬、asahi = 12-5-19)


日本の空 なぜエンジン 2 基の飛行機(双発機)だらけになったのか?
鍵は「ETOPS」

最近の飛行機は、エンジン 2 基の「双発機」が多数で、3 基以上はわずか。 その背景には経済性だけでなく、実はかつて双発機の太平洋横断は不可能だったこと、それが「ETOPS」というルールで変わったことがあります。

日本の旅客機ではいま、ほとんどない 3 発以上の飛行機

かつて飛行機(旅客機)は、3 基以上のエンジンを搭載したものが少なくありませんでした。 しかし現在、日本の航空会社が運航する旅客機は、ほぼエンジン 2 基の「双発機」。 2019 年 11 月時点において、日本の旅客機でエンジンが 3 基以上の飛行機は、ANA が今年から導入した 4 発エンジンの超大型機エアバス A380 「フライングホヌ(空飛ぶウミガメ)」のみです(合計 3 機導入予定)。 エンジン数が減った理由としては、「燃費向上」、「少ないエンジン数でも大きなパワーが得られるようになった」、「多くのエンジンが必要な大型機の需要が少ない」、「エンジンが少ないほうがコストが下がる」ことが挙げられますが、それ以外にも理由はあります。

ひとつは騒音対策です。 基本的に、エンジンが少ないと騒音も軽減されるため、たとえば伊丹空港では 2006 (平成 18)年から 3 発以上のエンジンを持つ機体は、原則乗り入れ禁止となっています。 そしてもうひとつの理由は、日本 - アメリカ線といった太平洋を横断する長距離路線に、双発機でも投入できるようになったことです。 実は双発機は原則、60 分以上空港から離れた場所の飛行が認められていません。 エンジンが故障し、残り 1 基のエンジンで最寄りの空港へ緊急着陸する場合の飛行距離を考えたものです。

このため、かつては太平洋を横断するような路線に双発機は就航できず、1 基が故障しても残った 2 基以上のエンジンで飛行を続けられるボーイング 747 型機(4 発)やダグラス DC-10 型機(3 発)などが、そうした路線に就航していました。 これが「ETOPS (イートップス)」という基準が設定されたことで、状況が変わります。

「ETOPS」とは? 最新機種では 5 時間以上もエンジン 1 基で飛行可能

「ETOPS (イートップス)」は「Extended-range Twin-engine Operation Performance Standards」を略したもので、国土交通省は「双発機による長距離進出運航」と訳しています。 エンジンの信頼性が高まってきたなか定められたルールで、機体の設計や、航空会社それぞれの運航能力など、一定の基準を満たした機体は、特例として 60 分以上空港から離れたところも飛べる、というものです。 認可を行うのは、アメリカ連邦航空局 (FAA) と欧州航空安全機関 (EASA) です。

これで、たとえば「ETOPS-120」に認定されると、その機体は「エンジンひとつでも 120 分(2 時間)飛べる」とされ、緊急着陸できる空港への距離が 120 分の場所まで飛べます。 なお「ETOPS-120」は 1985 (昭和 60)年、ボーイング 767 シリーズが初取得したもの。 日本も FAA に準じて当時の運輸省が 1989 (平成元)年、同シリーズの「ETOPS-120」を認めています。

その後、「ETOPS」の数字部分は増えていき、エアバスの最新機種 A350 型機は「ETOPS-370」、ボーイングの最新機種 787 型機は「ETOPS-330」に認定。 両機とも、エンジン 1 基で 5 時間以上飛べると担保されています(航空会社によって認定されていないもの、認定時間が異なるものもあり)。 このように、双発機のエンジンが故障した場合に、残り 1 基のエンジンでも長時間飛行が可能になったことから、太平洋を横断するような長距離路線でも双発機が就航できるようになりました。 言い換えれば、そこへ 3 発機や 4 発機を導入する必要がなくなりました。 これもいま、双発機ばかりになった背景のひとつとして挙げられます。 (乗りものニュース = 12-3-19)


反則金など 3 倍 懲役刑も 「ながら運転」厳罰化

運転中にスマートフォンなどを使う「ながら運転」の厳罰化が、1 日から始まった。 反則金や違反点数は、およそ 3 倍に引き上げられる。 運転中にスマホや携帯電話を手に持って通話したり、画面をじっと見続ける行為は、違反点数が 1 点から 3 点に、反則金も普通車は 6,000 円から 1 万 8,000 円へと大幅に引き上げられる。 事故を起こすなどした場合には、違反点数は 2 点から 6 点に引き上げられるほか、「1 年以下の懲役または 30 万円以下の罰金」が科される可能性がある。 ながら運転が原因の交通事故は、2018 年の 1 年間で 2,790 件にのぼっている。 (FNN = 12-1-19)


独ダイムラー、世界で 1 万人削減へ 「歴史的な変革期」

独メルセデス・ベンツを傘下に持つダイムラーは 29 日、2022 年末までに世界規模で人員削減を実施することで従業員代表と合意したと発表した。 ロイター通信は、削減人数は少なくとも 1 万人に及ぶことを同社の人事担当役員が示唆したと報じている。

今後、詳細を従業員代表と詰める。 自然減に加えてドイツ国内では希望退職を募る方針。 同社は 22 年末までに約 14 億ユーロ(約 1,700 億円)の人件費削減を目指すとしており、すでに経営層の人員を 10% 減らす考えも明らかにしていた。 同社は声明で「自動車産業は歴史的な変革期にある」と述べた。 電気自動車 (EV) や自動運転技術などへの投資資金を確保するため、コストを見直す動きは独メーカーで広がる。 26 日には、独アウディが 25 年までに全従業員の 1 割にあたる約 9,500 人を削減すると発表していた。 (ロンドン = 和気真也、asahi = 11-30-19)


運転免許証に旧姓併記、12 月から OK に 裏面なら無料

運転免許証の氏名欄に、12 月 1 日から結婚前の旧姓を併記できるようになる。 希望者は免許証を取得・更新する際、旧姓が併記された住民票かマイナンバーカードを添えて申請する。 手数料 2,250 円で再発行して併記することもでき、手持ちの免許証の裏面に印字するだけなら無料で対応してもらえる。 警察庁が 28 日に発表した。

住民基本台帳法施行令の改正で 11 月 5 日から住民票やマイナンバーカードでの旧姓併記が可能になり、運転免許証も倣うことにした。 記載方法は、「日本花子[東京花子]」と氏名の後ろにカッコ書きで結婚前の氏名を載せる。 住民票やマイナンバーカードは「日本[東京]花子」と姓の後に旧姓を記載するが、警察庁は姓と名をはっきりさせるため、運転免許証には全て記載することにした。 全国の運転免許センターや手続きが可能な警察署で申請を受ける。 再発行は紛失・破損時に限られていたが、結婚前の氏名の記載を理由にした申請も認める。 旧姓を使う身分確認などに使えることになるため、利便性が高まりそうだ。 (八木拓郎、asahi = 11-28-19)


LNG 燃料のフェリーを初導入 商船三井の大阪 - 別府へ

商船三井が液化天然ガス (LNG) を燃料にした国内初のフェリーを建造する。 子会社の「フェリーさんふらわあ(大分市)」が運航する大阪 - 別府航路に 2023 年前半までに 2 隻を順次導入する。 従来の重油より二酸化炭素の排出量が 2 割減るといい、環境対策に積極的に取り組む。 新造船は全長約 200 メートル、総トン数は約 1 万 7,300 トン。 定員 763 人で、貨物スペースを 1.5 倍に拡大し、トラック 136 台を収容できる。

投資額は 2 隻で約 200 億円。 22 年末から 23 年前半までに、同航路で運航する現在の船と入れ替える。 LNG 化によって二酸化炭素の排出量を減らせるほか、環境汚染を引き起こすとして来年 1 月から世界的に規制が強化される硫黄酸化物 (SOx) を排出しないという。 同航路は、年間約 20 万人が利用する。 近年は物流会社が運転手の負担を減らすために陸路から海路を選ぶ傾向もあり、需要が高まっているという。 (女屋泰之、asahi = 11-25-19)


羽田空港かつての名物「羽田カーブ」とは? 低空で急旋回しつつ C 滑走路へ北から着陸

羽田空港では 2019 年 11 月現在、実際に飛行して検証するなど、都心上空を通る「新ルート」に関する動きが活発化しています。 発着回数を増やす目的が背景にあり、これには「南風のとき、東京湾に隣接する『C 滑走路』へ、向かい風状態で北側(16L 側)から南側へ降りる」運用も含まれています。 実は羽田空港に、南風のとき「C 滑走路へ北から着陸」する航路は、"夏の風物詩" として、かつて日常的に行われていたものでした。 「チャーリーアプローチ」などとも呼びますが、もっとも馴染み深いのは「羽田カーブ(青線で表示)」という呼び名でしょう。

「羽田カーブ」は、羽田空港の南東側より飛んできた飛行機が着陸直前、当時設置されていたナビゲーションシステム「江東 VOR/DME」から、お台場、城南島上空の低高度で大きく旋回し、C 滑走路に北から着陸するというルートです。 旋回を始める高度は、およそ 300 メートルで、旋回角度は 180 度近くになるときも。なお「羽田カーブ」の着陸は、パイロットが手動で行っていたそうです。 飛行機は原則、風に向かって離着陸しますが、羽田空港の北には東京都心があります。「羽田カーブ」は、その上を飛行するのを避けるためとられたルートだといわれています。

「羽田カーブ」なぜ廃止? 「低空急旋回」はほかの国内空港でも

「羽田カーブ」は 2010 (平成 22)年、D 滑走路の新設に伴い廃止され、南風時に着陸する滑走路は、B 滑走路と D 滑走路に移行します。 深夜早朝の時間帯や、滑走路の工事などやむを得ないケースでは、いまも C 滑走路の北側から着陸することはあるものの、ナビゲーションシステムが「江東 VOR/DME」から「台場 VOR/DME」に移ったため「似て非なるもの」のようです。

ちなみに、ほかの国内空港でも「低空急旋回で着陸」は、風などの状況によって行われていることがあります。 幹線では伊丹空港や福岡空港などで、中規模空港では、神戸空港も知られています。 伊丹空港は、騒音防止の観点より、極力南側から着陸するようにしているとのことですが、南風や東風が強いときなど、やむをえないケースでは、背後の山を避けるため低空で旋回し、北側から降りることがあります。 市街地に近い福岡空港でも、強い北風時などやむを得ない場合に限り、滑走路の南側で180度旋回をして着陸することがあります。

なお、「スリリングな着陸」という意味で世界的に有名だったのは、1998 (平成 10)年に閉港した香港の啓徳(カイタック)空港。 ビルすれすれの高さで、あいだをすりぬけるように急旋回せねばならないことから、一部では「世界一着陸の難しい空港」と呼ばれていたそうです。 (乗りものニュース = 11-21-19)

関連記事 (11-16-19)


日本郵便、配送に EV 導入へ 21 年までに 1,200 台

日本郵便が、郵便物などの配送に電気自動車 (EV) を使い始めた。 2021 年 3 月までに計 1,200 台を購入し、走行距離が短い都市部を中心に配備する。 東京都内では配送に使っていた軽四輪車の 3 割を EV に入れ替え、二酸化炭素 (CO2) 排出量を約 15% 削減できる見込みだという。 今月から納車が始まった EV を 13 日、報道陣に公開した。 三菱自動車の軽四輪車「ミニキャブ・ミーブ バン」で、車両価格は 1 台 200 万円強。 赤地に郵便局のイメージキャラクター「ぽすくま」が描かれた特注品だ。 (asahi = 11-13-19)


レトロ電車、ついに引退へ 国内最古級ことでん 20 形

香川県のローカル鉄道、高松琴平電気鉄道(ことでん)が、国内最古級の電車 4 両を来年から順次、引退させる。 整備費がかさむためだが、新たに購入する車両の保管場所を確保する狙いもある。 2020 年の東京五輪・パラリンピックを前に、都市圏では新型車両の登場が相次ぎ、中古の出物に期待している。 ことでんは 1943 (昭和 18)年、明治から大正にかけて開業した鉄道 3 社が統合し、設立された。 高松市の中心部と、金刀比羅宮(ことひらぐう、こんぴらさん)がある同県琴平町などを結ぶ 3 路線を営業している。

引退するのは、いずれも 90 年以上前の 1925 (大正 14) - 28 (昭和 3)年に製造された 4 両。 うち最も古い「20 形 23 号」は、61 年に近畿日本鉄道から譲り受けたものだ。 外観はクリーム色と淡い赤色。床や柱、窓の枠などはいずれも木製で、鉄の扇風機が天井に付く。 月 1 回ほど特別に運行され、家族連れやカメラを持った鉄道ファンらでにぎわう。 ことでんでの総走行距離は 187 万キロ。 東京 - 新大阪間を約 3,400 回走った計算になる。

他の 3 両は、ことでんが製造し、国の近代化産業遺産に登録されている。 楕円の窓がある「3000 形 300 号(26 年製造)」だけは引退後も作業用の車両として残すが、「1000 形 120 号(同年製造)」と「5000 形 500 号(28 年製造)」は、20 形 23 号とともに譲渡を検討しており、申し出がなければ解体する。 ことでんによると、整備費は年間 500 万円ほどかかり、新しい車両の数倍に及ぶ。 多いときで約 1 億円がかかる大修理の時期も迫っていた。 高松市郊外の車両基地の一部を路線用の線路にする影響で、車両の保管スペースも狭くなる。

引退する 4 両をのぞく現役の 80 両はすべて、京浜急行電鉄、京王電鉄、名古屋市営地下鉄の 3 社から譲渡されたものだ。 ただ、どれも製造から 40 年以上が経ち、担当者は「車両の更新も見越している」と打ち明ける。

最新鋭車両登場、旧型引退が続く

東京五輪を控え、首都圏や関西圏では最新鋭の車両が登場する一方、旧型車両の引退が進んでいる。

  • JR 大阪環状線は 6 月、新型の 323 系の導入を完了した。 JR 西日本が 2016 年に運行を始めた車両で、国鉄時代から走っていたオレンジ一色の 103 系、201 系との入れ替えを進めていた。 車内の液晶パネルに駅名を 4 カ国語で表示。 引退した旧車両は 4 枚扉だったが、3 枚扉に統一され、ホームの乗降場所がわかりやすくなった。
  • 京阪電鉄でも、混雑時に一部の座席を天井まで上げ、扉数を増やせることで知られていた 5000 系の廃車が進む。 バリアフリーに主眼を置き、荷棚を低くした 13000 系を導入している。
  • 東京急行電鉄は 18 年春、田園都市線に新型車両をデビューさせた。 五輪の年を意識し、その名も 2020 系。 空気清浄機を搭載し、背もたれを高くして座り心地を良くした。 こちらも液晶パネルは 4 カ国語で表示。 担当者は「来たるビッグイベントに向け、最新の設備や快適性をしつらえた」と胸を張る。
  • 東京メトロの丸ノ内線では 2 月、2000 系が走り始めた。 赤色の車体と、丸みを帯びたつり革や窓が特徴。 フリースペースに小物が置けるテーブルがあり、充電用のコンセントも付く。
  • JR 東日本は山手線に E235 系を導入中だ。 中づり広告を減らし、液晶パネルをドアの上部だけでなく、座席上部にも設置。 テロ対策などとして、山手線では初めて車内を映す防犯カメラをつけた。
  • 赤と白の車体から、だるまの愛称で親しまれた京急電鉄の 800 形は 6 月、ラストランを迎えた。代わりに、 02 年にデビューした新 1000 形が運行されている。

各社によると、これらの路線を走っていた旧車両は引退したり、他の路線で運行されたりしている。 ことでんの担当者は積極的だ。 「大手鉄道会社から『出物』が期待できるいま、狙いをつけている車両もある。 良いものがあれば導入していきたい。」 (添田樹紀、asahi = 11-10-19)


JAL、自動手荷物預け機で待ち時間短縮 成田空港に導入

訪日外国人の増加などにより、空港での搭乗手続きの待ち時間短縮や航空会社の省力化の一環として、空港のチェックインカウンターには自動手荷物預け機の導入が進んでいる。 日本航空は、成田空港で自動手荷物預け機によるサービスを 10 月 28 日から始めた。 空港の利便性を高める「スマートエアポート」の一環で、2020 年春からは成田に導入される顔認証技術を使った搭乗手続きシステム「OneID」と連携させる。

自動手荷物預け機は、空港を運営する成田国際空港会社 (NAA) が設置した豪 ICM 社製のものを使用し、JAL のソフトウェアをインストールした。 28 日の段階では第 2 ターミナル南の O カウンターの 7 台が稼働し、2020 年 4 月からは M カウンターでも 7 台がサービスを始める。 今年 6 月に自動チェックイン機の増設やレイアウト変更を実施済みで、手荷物を預ける際の利便性を向上させた。

NAA の自動手荷物預け機を使ったサービスは、全日本空輸も 9 月 17 日から第 1 ターミナル南ウイングで提供している。 JAL では、チェックインと手荷物の預け入れを別の場所で行う「2 ステップ式」を採用し、チェックイン機を 25 台、手荷物預け機を 14 台(4 月以降)と、チェックイン機を多く配置した。 チェックイン機ではパスポートの照合や手荷物用タグの印刷など、手荷物預け機に比べて利用者が長くとどまるためだ。

O カウンターと M カウンターは、空港に到着した利用者があまり歩かずにたどり着けるカウンターで保安検査場に近いことや、カウンター間の間隔が広いなどの理由で設置場所に選ばれた。 JAL によると、機器の見やすさやレイアウトで、セルフサービスのエリアであることがわかりやすいようにしたという。 自動手荷物預け機の導入により、これまで最大 30 分ほどかかった待ち時間が 20 分程度に短縮できた。 海外では、手荷物預け機の導入が主要空港を中心に進んでいることもあり、「外国人客は使い慣れていて待ち時間が短いことを知っているせいか、積極的に利用している印象(JAL の担当者)」だという。

現在セルフエリアには、使い方がわからない利用者を手助けする地上係員が 3 人、本人確認する係員が 2 人の計 5 人を配置しているが、将来的には本人確認の担当者のみが常駐する体制を目指す。 一方、Web チェックインした利用者も、手荷物を預ける際はチェックイン機でタグを印刷する必要があり、当面は誘導が必要になりそうだ。 また、チェックイン機では便名を入力する必要があり、利用者が覚えていない場合で手元に控えなどがない場合、手続きを終えるまでに時間がかかる可能性もある。

2020 年春から成田での導入が始まる OneID は、航空会社などが加盟する IATA (国際航空運送協会)が推進する旅客搭乗手続きの自動化プロジェクト「ファストトラベル」のひとつ。 チェックイン時に顔写真を登録すると、保安検査や出国審査、搭乗口などを止まらずに通過できる。 導入するのは K カウンターと M カウンターの一部、保安検査場(中央と南)、搭乗口で、今回の自動手荷物預け機も、OneID 用のカメラを設置できる構造になっている。

また、車いす利用者など係員の手伝いが必要な人を対象とした「スペシャルアシスタンス」カウンターも 2020 年 1 月にリニューアル予定。 第 2 ターミナル南の南団体カウンターエリアに設ける。 JAL は成田空港内の施設改善を進めており、すでにラウンジのリニューアルオープンを今年 4 月から 10 月にかけて行っている。 (Tadayuki Yoshikawa、AviationWire = 11-4-19)


全日空、パイロット不足で成田国際線を減便へ

全日本空輸が成田空港発着の国際便について、来年 3 月から、1 日の運航便の 2 割に当たる 10 便程度を減便する方向で調整に入ったことがわかった。 羽田空港発着の国際便を同月から増やすことでパイロット不足に陥る恐れが出たためだ。 日本航空も成田便の減便を検討しているとみられる。 訪日客の増加で航空需要が高まる中、大手航空会社が国内拠点空港の発着便を大幅に減らすのは異例だ。

来年の東京五輪・パラリンピックを控え、羽田では、同年 3 月に東京都心上空を飛ぶ新ルートが導入され、日中の国際線の発着数が年 6 万回から 9 万 9,000 回に増える。 これに伴い、国土交通省は今年 9 月、全日空に 1 日当たり 13.5 便、日本航空に同 11.5 便の発着枠を新たに割り当てた。 複数の関係者によると、全日空は羽田の増便に向けてパイロットの調整を進めてきたが、増便の主力となる長距離路線は 3 人が乗務する必要があるほか、主に使われる大型機の操縦資格を持つ者も限られ、人繰りが難しくなったという。このため成田を 1 日に発着する国際線 42 便(平均)のうち、10 便ほどを減らし、羽田に回す検討を始めた。

成田を巡っては、米デルタ航空が来年 3 月に撤退し、羽田に日米路線を集約することを決めるなど地位低下を懸念する声も上がっている。 全日空は羽田、成田双方を首都圏のハブ(拠点)空港と位置づける考えを示しているが、関係者は「より都心に近い羽田に一時的に比重を移さなければならなくなった」と話す。 これに対し、ある政府関係者は「首都圏の航空需要を支えるため両空港が発展する必要があるのに、羽田の機能強化で成田便を削っては元も子もない」と語る。 一方、日航は来年 3 月以降、成田で米サンフランシスコ線を新規就航させる計画もあるが、関係者によると、一部路線での減便を検討しているという。 (yomiuri = 11-2-19)


「燃料電池電車」実用化へ、課題は何だ?
鉄道総研と JR 東が 2 つのアプローチ

鉄道総合技術研究所(鉄道総研)は新しい燃料電池ハイブリッド試験電車を完成し、所内で走行試験に着手した。 燃料電池電車は JR 東日本と鉄道総研が 06 年にそれぞれ走行試験を実施。 技術開発で世界をリードしていたが、営業運転は欧州に先を越された。 JR 東は 2024 年度の実用化を目指して、21 年度に新たな試験車を完成させる計画だ。 JR グループで開発を進める二つの燃料電池電車の違いや実用化への課題について探った。

燃料電池電車は非電化区間で従来のディーゼル車両を置き換え環境負荷の低減を狙いとする。 同じ狙いである蓄電池駆動の電車は国内でも、すでに営業を始めているが、航続距離の短さが欠点。燃料電池とハイブリッドにして、これを補う。 総研の舘山勝研究開発推進部長は燃料電池電車について「法規制の問題はあるが、実用段階にある」と話す。 基礎技術は確立したものの、電池コストや水素供給インフラ、高圧水素規制などが壁となって歩みが進まなかった。 JR 東が営業運転を実現するには技術開発に加えて、これら課題への対応が必要だ。

JR 東、総研とも新たな試験車の燃料電池には、18 年にドイツで運行を始めた仏アルストム製燃料電池電車と同じく、カナダ・ハイドロジェニックス(オンタリオ州)の固体高分子型燃料電池 (PEFC) を採用する。 JR東と総研の試験車はともに 2 両編成。 しかし、燃料電池の出力や水素タンクの搭載位置、スペックに大きな違いがある。 JR 東は出力 180 キロワットの燃料電池を 2 基採用し、燃料電池車 (FCV) と同じ 70 メガパスカル(メガは 100 万)のタンクを屋根上に搭載した。 総研は同 90 キロワット 2 基を採用し、従来同等の 35 メガパスカルタンクを床下に積む。

ここに両者のコンセプトの違いが明確に表れている。 JR 東の試験車は架線から給電する機能を持たず、加減速時には燃料電池の出力を、必要な電力量に追従して制御する。 郊外路線の架線レス化、地上設備の軽減によるメンテナンス省力化を視野に入れているためで、燃料電池は大きなものが必要となる。

一方、総研の試験車は架線給電にも対応。 燃料電池は電池の充電率 (SOC) に合わせて一定の出力で運転、蓄電するシリーズ(直列)ハイブリッドだ。 試験車に乗車すると、加速時の感覚は営業中の蓄電池車そのものだった。 総研は、あらゆる鉄道に幅広く採用される可能性のある技術「未来の電車の一つの形(古川敦総務部長)」としてシステムの低コスト化、小型化を追求していく方針だ。

基礎技術は確立済みとはいえ、実用化には蓄電池の充放電制御、車両に搭載した燃料電池の耐久性や信頼性の確認なども不可欠。 総研の試験車による研究は JR 東と共有し、営業運転を目指す開発にも役立てられる。 カーボンフリー水素の調達など水素社会の実現には、FCV の技術を持つトヨタ自動車や水素供給事業者ら異業種との連携や、安全を担保するために行政当局との協業も欠かせない。 (NewSwitch = 10-31-19)

ハイブリッド電車 (7-4-07)


LCC ピーチが首都圏へ CM なし、おもろい PR が奏功

格安航空会社 (LCC) ブームの火付け役で関西空港を拠点にするピーチ・アビエーションが、成田拠点の LCC バニラ・エアの路線を引き継ぎ、27 日から「新生ピーチ」に。 ひと味違った PR 戦略で首都圏での認知度を上げ、名実ともに国内トップの LCC を目指す。 16 日、関空の第 2 ターミナル駐機場に田中圭と吉田鋼太郎、千葉雄大、戸次重幸の俳優 4 人が現れた。 夕日に輝くピーチ機を背に並んで歩き、人気ドラマの新作「おっさんずラブ - in the sky - (11 月 2 日から放送)」のオープニングを撮影した。

前作は、さえない不動産会社員の主人公を巡り、上司や同僚が繰り広げる男性同士のラブストーリー。 今作は、航空会社「天空ピーチエアライン」に舞台を移す。 登場するのは成田空港だが、ピーチの広報担当者は「前作は社会現象にもなった人気作。 ピーチを知ってもらうきっかけになるのでは。」と期待を寄せる。 ピーチのドラマ撮影への協力は今年 2 本目で、7 - 9 月にはピーチの女性パイロットが主人公の「ランウェイ 24」が放送された。 これまで成田・羽田発着の路線を数本しか持たなかったため、首都圏での知名度アップを図る戦略だ。

ピーチは 2012 年、全日空 (ANA) などが出資する形で関空を拠点に就航した。 「日本初の本格的な LCC」をうたい、路線を絞って機体を効率的に運航。 機内食や預け入れ荷物を有料化するなどしてコストを抑え、大手航空会社の半額以下の運賃を実現して支持を得てきた。 国内・国際線計 8 路線から始まり、今年は 36 路線に。 19 年 3 月期の売り上げは 600 億円を超えた。 同じ ANA 傘下で成田を拠点にするバニラとの経営統合により、2020 年以降、50 機超を所有し、国内・国際線で計 50 路線以上の規模を目指すとした。 ブランド名はピーチに一本化。 パイロットや整備士など人材確保の面でも効果を期待する。

CM 打たない戦略「おもろいことはマスコミも飛びつく」

ピーチは創業以来、広告費のかかるテレビ CM を打ったことがない。 客室乗務員 (CA) の募集を告知するピンク色のうちわを大阪・道頓堀で会社幹部らが配ったり、機内食ではにおいが強いたこ焼きをあえて提供したりして、メディアの注目を集めてきた。 ピーチの井上慎一・最高経営責任者 (CEO) は著書「Peach のやりくり」の中で「おもろいことはマスコミも飛びつく」、「他社がやっていないことをすることが鉄則」と、変化球の取り組みの理由を述べている。 他業種とのコラボにも積極的で、16 年には独自動車大手のフォルクスワーゲンの代表車種「ビートル」を描いたラッピング機を飛ばし、ビートルのピンク色の限定車を機内で販売した。

こうした効果もあってか、関西では人気企業の一つに。 昨年、初めてパイロットを自社養成するために募ったところ、1 千万円以上かかる海外での訓練費用が自己負担にもかかわらず、若干名の募集に 2 千人超が応募。 5 人が採用された。 東京進出を強く意識した企画は、ドラマとのタイアップ以外にも。 4 月に神宮球場であった東京ヤクルトスワローズ戦のスポンサーになり、「ピーチハッピーナイター」を開いた。 女性パイロットが始球式をしたほか、七回表が終わると CA がビニール傘を揺らしながら「東京音頭」を合唱して盛り上げた。

市村雅人広報マネージャーは「LCC は帰省や旅行などで使われることが多い。 安いだけではなく、面白い企画を打つことで『ワクワクする会社だね』と思ってもらい、旅行の選択肢として選ばれるようになりたい。」と話す。 (川田惇史、asahi = 10-27-19)


今や「高級車」の軽、ショーで花盛り 200 万円超も

24 日開幕した東京モーターショーでは、各社の次世代向けコンセプトカー(試作車)や新型車が多く並べられている。 中でも目立つのが軽自動車の「ハイテク化」だ。 国内の自動車市場の 4 割近くを占める軽自動車は、新車ランキングでも上位に多くの車種が並び、各社の重要車種になっている。 単なる近所向けの「足」として、登録車より簡素で安かった時代はもはや遠い過去のものになっている。

「軽の概念を一新」

「これまでの軽自動車の概念を一新した、EV ならではの力強い走りを提供する。」 23 日、東京モーターショーの報道発表会。 目玉として展示した軽自動車の電気自動車 (EV) 「ニッサン IMk」の前で、日産自動車の中畔(なかぐろ)邦雄副社長は強調した。 IMk は、日産が今秋にスカイラインで実用化したばかりの高速道路で手放し運転できる機能「プロパイロット 2.0」を、一般道でも使えるようにする。 無人駐車やスマートフォンとの連携など、最新機能を盛り込むコンセプトだ。

こういった最先端の機能を、なぜ「軽」にふんだんに盛り込むのか。 日産幹部は「軽を買う人はいまや安いからという理由だけではなく、取り回しの良さなど、大きさがぴったりという理由で買う人が多い。 高機能の軽も需要がある。」と話す。 一般的に購入価格も維持費も安く、地方の足として「セカンドカー」需要で買われることが多いとされてきた軽。 それが近年は一変している。

200 万円近くの価格も

日産は今年 3 月に、軽自動車「デイズ」を全面改良して売り出した。 これまで日産の軽は、提携相手の三菱自動車が開発していたが、今回は日産が初めて開発。 2016 年にミニバン「セレナ」に搭載されて話題を集めた運転支援機能「プロパイロット」を、軽自動車で初めて導入。 「普通車でもあまりついていない(販売店関係者)」という、急病や事故の際に自動で警察や消防に連絡できる機能「SOS コール」も備えた。

販売店「東京日産」などを運営する日産東京販売ホールディングスの担当者によると、同社の販売店で新型デイズを買う人には、ノートやセレナなどといった普通車から乗り換える人も少なくない。 両方の機能をつける場合は車の値段が 150 万円を超え、200 万円近く支払うケースも目立つ。 小型の普通車も視野に入る値段だ。 他社でも、150 万円から 200 万円近くの軽はいまや珍しくない。 ホンダには、スライドドアで車高が高く、家族向けの「N-BOX」というヒット車種がある。 夜間の歩行者や横断中の自転車も検知できる衝突軽減ブレーキなど、安全支援パッケージを標準装備しており、150 万円を超えるのが普通だ。

高価格でも販売好調

総務省の小売物価統計調査によると、軽の平均価格は 01 年に約 88 万円だったが、18 年には約 140 万円まで上昇。 高価格化する中でも軽の販売は底堅く、18 年の新車販売の 527 万台のうち、軽は 4 割近くの 192 万台を占める。 背景には、質感の向上に加え、スライドドア付きで背が高く値段も高い「スーパーハイト」タイプに人気が集まっていることや、自動ブレーキや前の車を追従する機能で軽にも最新のものを入れたいという需要が広がっていることがあるようだ。

ホンダの 15 年度の調査では、N-BOX の購入理由として「衝突安全性能」を挙げた人は 17.7%、「予防安全性能」を挙げる人は 17.0% で、それぞれ購入理由として 16、17 番目に過ぎなかった。 それが昨年度は一変。 予防安全性能は 51.8% で 2 番目、衝突安全性能は 48.2% で 4 番目と大きく上昇した。

今や都心部のファーストカーに

ホンダ幹部は「軽は地方のセカンドカーとしての需要が強かったが、いまは都心部のファーストカーとしても乗られるため、最新技術の採用も必要」と説明する。 三菱自も、東京モーターショーで公開した軽のコンセプトカーに最新の運転支援技術を搭載。 いま販売中の軽は、日産のプロパイロットと同一の機能をつければ 200 数十万円になるが、それでもこの高価格グレードが当初の予想より多く売れているという。 担当者は「軽は運転が苦手な方が乗ることも多い。 衝突予防や被害軽減などで良い機能を求められる。」と話す。 (友田雄大、asahi = 10-25-19)