屋外用エアコン、増す需要 想定外の設置場所も

夏本番を迎えて厳しい暑さを少しでも和らげようと、家電メーカーが屋外専用の冷房装置を相次いで発売している。 2020 年東京五輪を控えて「暑さ対策」に乗り出す商業施設や自治体は増えており、屋外用の冷房は需要増が期待できるという。

空調世界最大手のダイキン工業は 5 月、高さ 1.7 メートルの四角い屋外用エアコン「アウタータワー」を売り出した。 4 面から周囲 3 メートルにわたって冷風を流し、外気を 8 - 9 度下げる。 構造は室内用エアコンと同じだが、室外機を一体化させ、本体の上部から上向きに排熱するようにした。 車輪付きで移動でき、防水に配慮して雨ざらしでも使える。 税抜き約 70 万円と安くはないが、発売直後から大阪(伊丹)空港のバス乗り場や関西のゴルフ場、キャンプ場など、導入事例が増え続けている。 物流倉庫の作業場など想定外の場所でも使われ、目標は当初、年間 500 台だったが、倍の 1 千台も視野に入れ始めた。

パナソニックも 4 月、本体上部からミストを放出する「グリーンエアコン」を発売した。 ぬれにくいように粒を細かくし、さらに、気流を起こしてミストが横風にあおられても流れにくくする工夫も施した。 9 月下旬には、商業施設などの屋根のひさしにノズルを取り付けるだけで使える「グリーンエアコン フレックス」も発売する予定だ。 電源に加えて水道管とつなげる工事が必要で、オープン価格。 「屋外用は初めて進出する分野だが、今後、農地や工場などでも使われるようになれば市場は広がっていくはずだ(パナソニック広報)」とみる。

ダイキンによると、屋外用の冷房装置は、蒸し暑い日本の夏が生んだ、世界でも珍しい製品だという。 古くから「打ち水」の習慣があり、明治の終わりや大正の初めごろには、すでに水を霧状に噴射する装置が使われていたとの記録もあるという。 さらに最近では、日本の「酷暑」は社会問題にもなっている。 商業施設や自治体は、涼をとるためのスポットづくりを進めている。

国内の室内用エアコンの出荷は高止まりが続いていることもあって、ダイキンは昨年、屋外用エアコンの開発に着手した。 製品の企画を担当する事業戦略室の原田悠生さんは「正確な市場規模も把握できていなかったが、売れるかどうかは出してみないとわからない時代。 スピード重視で少量生産し、反応をみたかった。」と話す。 量産用の金型をつくると開発に時間がかかるため、堺市の工場で手作業で組み立てている。

東京五輪や大阪万博など訪日外国人の増加は今後も予想される。 ダイキンは、好調な販売状況を受けて、今後の量産体制の構築が課題だという。 暖房機能や電子看板を付加することも検討し始めた。 暑さの厳しいインドネシアやインドなどからも問い合わせがあるという。 パナソニックも海外展開を検討中としている。 (福山亜希、asahi = 7-25-19)


人とピッタリ、映像美 パナソニックが五輪向けに新技術

パナソニックは 24 日、最新のプロジェクションマッピングのシステムを公開した。 素早く動く人や物にも映像を自動投影し、演出できるのが特長。 この日、東京都内であった「東京 2020 オリンピック 1 年前セレモニー」で披露された。 東京五輪・パラリンピックでも開閉会式での採用をめざす。 披露されたプロジェクションマッピングは、新体操の坪井保菜美選手が持つスティックの動きに合わせ、リボンや桜吹雪などで演出する映像が投影される内容。

スティックの先端にあるマーカーの位置情報を従来のシステムより素早くとらえ、さらに高速プロジェクターを使うことで動きにぴったり合った映像を投影できるという。 パナソニックによると、一般的なプロジェクションマッピングは、映像に合わせて人が動く必要があったが、今回のシステムでは人に合わせて自動的に映像が動く。 担当者は「演出の仕方そのものを変えることができる」と話す。 パナソニックはリオデジャネイロ五輪や平昌冬季五輪の開閉会式でプロジェクションマッピングの演出に関わっている。 (中島嘉克、asahi = 7-25-19)


横河電機、東南アジア製造業向けに ERP 構築の専門組織を新設

横河電機は 2019 年 6 月 13 日、ERP (基幹業務システム)ソリューションのマーケティング、販売、エンジニアリングを専門とする組織をシンガポールの東南アジア地域統括会社とタイの子会社に設置し、同年 7 月 1 日から東南アジア各国の製造業向けに活動を開始すると発表した。

同社が東南アジアで提供するのは、Microsoft のクラウド対応 ERP ソリューション「Dynamics 365 for Finance and Operations」、東洋ビジネスエンジニアリングの生産管理システム向け ERP パッケージ「mcframe」、フレクシェの生産スケジューラー「FLEXSCHE」、横河電機のクラウド対応保全管理システム「eServ」の 4 製品だ。 いずれのソリューションも柔軟性が高く、化学、石油、ガス、エネルギー産業から食品、医薬品、自動車製造業までの幅広いニーズに対応できるとしている。

東南アジアには現在、日本の上場企業だけでも約 2,500 の製造施設がある。 横河電機は 40 年以上にわたって東南アジアに拠点を置く製造業顧客に、制御システムやフィールド機器、操業効率や安全性を高めるソリューションを提供してきた。 これらに ERP ソリューションを加えることで、支援の対象を経営層向けのビジネスプランニングなどにも拡大する考えだ。 (MONOist = 7-10-19)


小型 EV をワイヤレス充電 ダイヘン、国内初の実用化

ダイヘンは、2人乗りの小型電気自動車 (EV) 向けワイヤレス充電システムを大分県の離島「姫島」の姫島エコツーリズム推進協議会に納入した。 小型 EV 用のワイヤレス充電システムが実用化されるのは国内で初めてという。 姫島で 1 日から、ワイヤレス充電システムに対応する小型 EV の運用が始まるのに合わせてシステム 1 基を納入した。 走行させる EV は 1 台で、ダイヘンが来年 3 月まで貸与する。 同協議会は、観光客のほか島民の短距離移動に活用する。

納入したシステムは、6 分間の充電で小型 EV を 1 キロメートル走行させることが可能。 送電ユニットの上に EV を停車させるだけで無線でバッテリーを充電できる利便性が評価され、今回の採用につながった。 ダイヘンは今後、離島や観光地のほか、公共施設や商業施設、駐車場管理会社などへの売り込みを強化する方針だ。 (sankeiBiz = 7-1-19)


日本電産が社名変更? 永守会長「漢字では …」

モーター大手、日本電産の永守重信会長が、ブランド名や、海外子会社に使っている「Nidec (ニデック)」に会社名を変えるかもしれないと、株主総会で明かした。 将来、一般消費者向けの商品を販売する場合には、ブランド名を浸透させた方がよいからだという。 社名変更の可能性についての株主からの質問に「海外では日本の漢字はわからない。 いずれ変えなければいけないときは来る。」と述べた。

同社は 1973 年に永守氏らが創業したときから、海外展開を視野にニデックというブランド名を使っていた。 「Ni」は日本、「de」は電産、「c」はカンパニーの意味で、永守氏自身が考えたという。 海外ではニデックのほうが定着している。 名刺の英語表記も「NIDEC CORPORATION」だ。 ただ国内ではニデックの浸透具合はいま一つ。 永守氏も「日本人はニデックと言われたときに『どこのことや』と分からない人がいる」と認める。

同社は 23 年度に売上高 4 兆円(18 年度は 1 兆5,183 億円)の達成を目標にしている。 永守氏は、その頃には、一般消費者向け商品にも乗り出している可能性があると言う。 「そうなると、ブランドを売らないかん。 ブランドイコール社名にしないといけない。 そのときに(漢字の)日本電産をブランドにするバカはいない。」と語った。 (中島嘉克、asahi = 6-20-19)


その名は「ルマーダ」 日立が新たなネット戦略

日立製作所は、モノがインターネットにつながる「IoT」分野で、北米などの海外展開に力を入れる方針を明らかにした。 2021 年度までの総投資額の 4 割にあたる 1 兆円を投じる。 4 日に開いた投資家向けの説明会で、東原敏昭社長は「グローバル化を進める重点投資の分野と考えている」と述べた。 日立が IoT 戦略の中核に据えるのが、「LUMADA (ルマーダ)」と名付けたインターネット上の基盤システムを生かした法人向けサービスなどの展開だ。

ルマーダは「illuminate (イルミネート、照らす)」と「data (データ)」を合わせた造語。 日立の幅広い顧客が扱う製品の生産経路の画像や位置、温度、振動などのデータを集めて分析し、より効率のいいシステムや商品を提供することをめざす。  これまで 3 年余りの取り組みで、工場での在庫管理や機械の故障予知、熟練技術のデジタル化、農作物の育成分析、物流の最適化などで生産性や収益性が向上する成果が出ているという。

現在、日立のルマーダ関連事業の売上高の 9 割を国内が占める。 今後 3 年間で北米市場を中心に事業を拡大し、海外比率を 3 割に引き上げる計画だ。 ルマーダ関連事業の売上高を 18 年度の 1 兆 1,270 億円から、21 年度に 1 兆 6 千億円に増やす目標を掲げている。 日立は IT や製造、交通、生活、エネルギーのすべての事業をルマーダと連携させて、データ集めを進める方針。 開発にかかるコストの削減や時間短縮などの効果を期待している。 (小出大貴、asahi = 6-5-19)

◇ ◇ ◇

日立、子会社の日立化成売却へ かつてのグループ御三家

日立製作所は、子会社の化学メーカーの日立化成を売却する手続きに入った。 電池の材料などで世界有数のシェアを持ち、かつてはグループ「御三家」の一角とされたが、品質データの不正が昨年に発覚。 日立のグループ事業見直しの一環で、再編の対象になった。 日立化成は、日立製作所が約 51% 出資する子会社。 関係者によると、日立製作所は保有株のすべてか大半を手放す方向とみられ、買い手を入札で募る手続きを始めた。 売却額は数千億円にのぼる可能性がある。 素材大手や海外の投資ファンドなどが関心を示すとみられている。

日立製作所と日立化成は、ともに東証 1 部に上場する「親子上場」を続けている。 日立化成で昨年に発覚した品質データの不正では、国内の全 7 事業所で検査結果の偽装などが明らかになった。 経営の立て直しが喫緊の課題の一方で、親会社の意向を優先しがちで経営の独立性を保ちにくい親子上場の統治のあり方も問題視されていた。 日立製作所は 3 月、上場子会社だったカーナビ大手クラリオンも売却している。 グループ企業を整理・再編する方針を掲げ、鉄道などの社会インフラ事業に集中するとともに、親子上場の解消も進めている。 (asahi = 4-25-19)

前 報 (11-2-18)


棚卸し時間が 8 分の 1 に、電子タグが活躍 豊田通商

豊田通商は、RFID タグ(電子タグ)を使って自動車部品の物流を効率化するシステムを開発した。 電子タグの読み取り装置を取り付けた無人搬送車を倉庫内で走らせ、棚の部品にタグを装着。 電波の反応を使って在庫を素早く把握する。 「棚卸し」にかかる時間を短くする狙いがある。 これまでは部品の箱をフォークリフトなどで床に下ろし、作業員が一つずつバーコードを読み取ってから棚に戻していた。 ところが、電子タグを使えば、電波反応で部品の所在が分かるので、棚卸しの時間が約 8 分の 1 に短縮できるという。

電子タグは電波を使うため、金属の多い自動車部品は乱反射したり、電波が互いに打ち消し合ったりする。 そうしたことが起きないように電波の読み取り精度を高めたという。 このシステムは、豊田通商の 100% 子会社の豊通物流が 4 月、愛知県内の自社倉庫で試験導入した。 今後は豊田通商のほかの物流拠点にも広げる。 豊通物流の鈴木務社長は「物流現場の効率化や省人化につながる」と話した。 (竹山栄太郎、asahi = 6-3-19)


自動ロボ導入、無人稼働が最長 3 日 工作機械のオークマ

工作機械大手のオークマ(愛知県大口町)が革新技術の導入を掲げて可児工場(岐阜県可児市)内に建設中だった新棟「ドリームサイト 3 (DS3)」が完成し、報道公開された。 機械や部品をネットとつなぐ「IoT」を活用して生産性を高め、高度な自動ロボットも導入。 最長 3 日間、無人稼働できるのが特色だ。

一部 2 階建てで、面積は約 1 万平方メートル。 一つ一つの工具や部品に識別タグをつけて分単位で加工状況を管理し、隣接する組み立て工場が必要とするタイミングにあわせて、2 千種類近い部品をつくる。 自動で工具を交換したり、金属の削りかすを集めたりする機能も整え、夜間や週末でも、残業や休日出勤をしないで部品をつくり続けられる。 フル稼働は夏ごろからの予定。 将来は、従来工場の半分の 30 人程度での稼働をめざす。 花木義麿社長は「新しい『ものづくり』の世界を切り開きたい」と話し、働き方改革にも役立てたいとの考えを示した。 (山本知弘、asahi = 5-27-19)


まるで金属、実はプラスチック 高級感出す特殊印刷開発

プラスチックの表面に特殊な印刷を施すことで、金属のような見た目にする技術を、東京の印刷会社が開発した。 高級感を出しつつ、金属ではないので光や電波を通すため、スマートフォンの画面などにも使えるという。 新技術を開発したのは、東京都板橋区の技光堂。 プラスチック製リモコン操作ボタンなどへの特殊印刷を手がけている、従業員 40 人ほどの中小企業だ。

透明なプラスチックの表面に金属のような質感を持たせる印刷技術の開発を始めたのは 3 年ほど前のこと。 金属加工の職人が減り、表札など金属製銘板の作り手不足に対応したのが最初だ。 一見、金属に見えるネームプレートなどにも採用された。

今回の新技術では、インクを独自に配合して、光の透過率を調整している。 スマホやスマートウォッチなどに使えば、金属の画面から文字が浮き出すように見える。 22 日に大阪市で始まったプラスチックの見本市に出展したところ、さっそく大手電機メーカーなどから問い合わせが相次いだ。 技光堂の佐藤英則・営業本部長は「スマホだけでなく、スマート家電や電動化が進む車のインパネ(計器盤)にも応用できるはずだ。」と期待している。 (辻森尚仁、asahi = 5-23-19)


ノーベル賞・天野さんら新型半導体を開発 10% 省エネ

青色発光ダイオード (LED) の材料である窒化ガリウムを使い、発熱が少ない省エネな半導体を開発することに、ノーベル物理学賞を受賞した名古屋大の天野浩教授らが成功した。 22 日、この半導体を組み込んだ電子部品を試作できる施設を大学内に稼働させたと発表した。 現在ある高性能な半導体より約 10% 省エネという。 天野さんは「わくわくする成果。 産業界にアピールできる。」と話した。

名古屋大と名城大などのチームは 2030 年ごろの実用化を目指している。 発熱が少ないことで、将来的には水で冷やしているモーターなどが空冷で済むようになり、システム全体でさらに省エネが達成できる可能性があるという。 学内で稼働した 1 千平方メートルの施設で企業が電子部品を試作することもでき、未来の電気自動車や電動飛行機の開発につなげたいとした。 (合田禄、asahi = 5-22-19)


中国減速、日本企業を直撃 = 自動車や電機が大幅減益 - 米中対立激化

米中貿易摩擦が日本企業を揺さぶっている。 米国との関係悪化に端を発した中国経済の減速が自動車や電機メーカーなどの業績を直撃。 2019 年 3 月期決算で大幅減益を余儀なくされる企業が相次いだ。 報復関税の応酬に発展した米中摩擦は世界経済全体に悪影響を及ぼしかねず、先行きには暗雲が漂う。

時事通信が 14 日までに決算を発表した東証 1 部上場 1,121 社(全体の約 86%、金融を除く)を対象に集計したところ、19 年 3 月期の連結純利益は前期比 3.7% 減と 3 年ぶりの減益だった。 資源価格の上昇を追い風にした大手商社や値上げ効果が浸透した宅配便最大手のヤマトホールディングスなどは増益を確保したものの、投資家の視線は米中対立の行方にくぎ付けになっている。

根拠なき楽観に警鐘

「中国、韓国の需要が予想より上向かないまま 1 年が終わった。」 工場の生産自動化装置を手掛ける三菱電機の皮籠石斉常務は厳しい表情で 19 年 3 月期を振り返った。 中国ではスマートフォンや半導体関連の需要が減少し、部品や生産設備の供給を担う日本企業にも影響が広がった。 三菱電機の 19 年 3 月期の連結純利益は 2,266 億円と前期比 11.4% 減少。 中国ビジネスで苦戦した日立製作所の西山光秋執行役専務は「厳しい状況が続く」と話す。

自動車各社も苦戦する。 マツダは中国での販売台数が前期より 2 割超も落ち込み、連結純利益は 43.4% 減の 634 億円に沈んだ。 日本電産は車載モーター事業の悪化で、連結純利益が 15.3% 減の 1,107 億円と 6 年ぶりの最終減益となった。 永守重信会長は産業界に広がる中国経済の回復予想に対して「根拠なき期待感は持てない」と突き放し、今秋までは厳しい状況が続くと楽観論に警鐘を鳴らす。

身構える日本企業

上場 1,121 社の決算集計では、今期(20 年 3 月期)は下半期以降の需要回復を期待して 6.0% の増益を見込む。 一方、こうした予測は春先までに立てたもので、10 日にトランプ米大統領が指示した対中関税の「第 4 弾」発動など米中対立の一層のエスカレートは織り込まれていない。

パナソニックは 20 年 3 月期の連結純利益を 3 割減の 2,000 億円と予想し、米中摩擦では 100 億円程度の減益を見込む。 ただ、「顧客にどの程度の影響が出るかは見積もれていない(梅田博和常務)」のが実情だ。 悪影響が想定を超えて拡大する恐れも否定できない。 三菱ケミカルホールディングスの伊達英文執行役常務は決算記者会見で「こんなひどいことにはならないというのが(業界の)共通認識だったので身構えている」と困惑を隠さない。

野村証券の伊藤高志エクイティ・マーケット・ストラテジストは「米中摩擦が長期化すれば、企業の増収計画の達成はおぼつかない」と指摘している。 (jiji = 5-18-19)


千代田化工が債務超過に 三菱商事が 1,800 億円支援

プラント大手の千代田化工建設が、3 月末時点で借金が資産総額を上回る債務超過に陥った。 米国の液化天然ガス (LNG) プラントの工事で巨額の費用を計上した影響。 債務超過に陥るのは 1948 年の設立以来初めてだ。 抜本的な経営再建を進めるため、筆頭株主の三菱商事などから計 1,800 億円の資金支援を受ける。

9 日発表した 2019 年 3 月期決算は、売上高が前年比 33.1% 減の 3,419 億円、純損益は過去最悪の 2,149 億円の赤字(前年は 64 億円の黒字)だった。 債務超過額は 592 億円。 三菱商事に 7 月、議決権のない優先株を 700 億円で引き受けてもらって債務超過を解消し、21 年 3 月までに計 900 億円の融資も受ける。 三菱 UFJ 銀行からも 200 億円を借りる。

経営陣の刷新も発表した。 生え抜きの長坂勝雄会長が相談役に退き、三菱商事常勤顧問の大河一司氏が会長兼最高経営責任者 (CEO) に就く。 三菱商事出身の山東理二社長兼 CEO は、社長兼最高執行責任者 (COO) になる。 三菱 UFJ 銀行から樽谷宏志法務部長を専務兼最高財務責任者 (CFO) に迎える。 いずれも 6 月 25 日付。 山東氏はこの日の記者会見で「責任のとり方として、再生計画をしっかり実行していく」と述べた。

三菱商事の垣内威彦社長は、同社の決算会見で「千代田化工は LNG プラントの技術力が非常に高く、ある面で日本の宝。 蘇生できるなら会社冥利につきる。 再建にプラスであれば、(優先株から普通株への転換は)柔軟に考える。」と話した。 (高橋諒子、末崎毅、asahi = 5-10-19)


「道」見失ったカーナビメーカー 自動車業界を襲う荒波

多くの車に搭載されるカーナビゲーションシステム(カーナビ)。 見知らぬ土地で道案内してくれる心強い味方だ。 精度が高い地図や経路案内、美しいディスプレーなど、こだわりが強い日本の「ものづくり」のお家芸ともいえる製品たが、ここへ来てカーナビ各社の苦境が目立っている。 背景を追うと、世界の自動車産業で続く地殻変動が見えてきた。

今年 1 月、カーナビ大手のアルパインと、同社の筆頭株主の電子部品大手・アルプス電気が経営統合し、「アルプスアルパイン」が発足した。 もともとアルパイン株の 4 割超を握っていたアルプス電気が完全子会社化した。 アルパインのカーナビと、センサーやスイッチといった車部品を手がけるアルプス電気の技術を組み合わせ、技術開発を加速するねらいがあるという。

相次ぐ傘下入り

カーナビ業界では最近、大手の傘下に入る動きが相次ぐ。 いずれも経営が厳しくなり、単独での生き残りが難しくなった。 「イクリプス」のカーナビで知られる富士通テンは 2017 年、トヨタ自動車系部品大手デンソーの傘下に入り、「デンソーテン」と名を変えた。 日立製作所の子会社だったクラリオンは今年 3 月、仏自動車部品大手フォルシアに買収され、上場を廃止した。

そして、「カロッツェリア」で知られるパイオニアは 3 月、香港系投資ファンドの完全子会社となり、上場を廃止した。 ファンドから約 1,020 億円の資金支援を得て、経営再建をめざす。 カーナビは多くの車に搭載され、通信機能など高機能化が進む。 IoT (モノとインターネット)など、電気製品とネットがつながる時代に、さらにニーズは増えそうだ。 実際、市場規模は拡大している。 電子情報技術産業協会の統計では、カーナビの年間出荷台数は 08 年の 448 万台に対し、18 年は 614 万台に増えた。 それなのに、なぜ各社は苦しんでいるのか。

苦戦の理由

一つは低価格化だ。 カーナビ各社が得意とするのは、カー用品店などで売られる自社ブランドを前面に出した「市販品」だ。 上位機種では、大画面などを売りに、数十万円もするものも珍しくない。 今もカーマニアはそうした高級機を好むが、市場拡大とともに、安価な簡易型ナビも浸透してきた。 さらに、普及が進んだスマートフォンの地図アプリをカーナビ代わりにする人も増えている。 カー用品大手・オートバックスセブンの調べでは、現在のカーナビの平均単価は 8 万円程度。 この 10 年でほぼ半分に下がっている。

もう一つが、自動車メーカーの存在感の高まりだ。 かつてカーナビは、新車購入後にカー用品店で取り付けることが多く、市場の主役は市販品だった。 カー用品店に行くのは車好きが多く、高機能な商品が好まれた。 しかし最近は販売店で「ディーラーオプション」として納車前に取り付けるケースも増えている。 こうした製品では、機能や見た目にこだわるマニアの比率は下がってきている。 加えて、工場の生産ライン段階からカーナビが純正品として取り付けられている「メーカーオプション」も増えてきた。 今は自動車メーカーや販売店のオプション品、カーナビメーカーの市販品の三者が市場を分け合っている状態だ。

コスト削減に苦しむ

需要の変化を受け、カーナビメーカーも自動車メーカーのオプション品に力を入れるようになった。 販売価格が低下傾向の市販品に対し、特にメーカーの工場装着のオプション品に採用されれば、車両本体のモデルチェンジまでの数年間、安定した数量の取引が見込める。 だが、これがカーナビメーカーの体力をじわりと奪っていった。

取引相手は、絶えずコスト削減や作業効率化を進める「カイゼン」が根付いた自動車メーカー。 カーナビ大手 OB は「(純正品の)利益幅は市販品より圧倒的に低い。」 こうした状況が続いたことで、業績悪化に陥るメーカーが相次いだ。 コストへの要求が厳しくなっていることに加え、自動車の高機能化で次世代技術への対応もさらに必要になった。 カーナビの機能強化や安全性能の向上も必要で開発費がかさんだ。

激しい技術競争

「自動車業界は 100 年に 1 度と言われる変革期。 単独で生き残りは難しい。」 アルパインの米谷信彦社長は昨年 12 月、アルプス電気との経営統合を諮った臨時株主総会の冒頭、株主にそう訴えた。 自動車業界では、自動運転や通信機能といった技術競争が激しくなっている。 カーナビの役割も「道案内」から変化し、さらに高機能化していくことになる。 映画やゲームを楽しむ道具になったり、車に付いたカメラやセンサーから得た情報で障害物接近などの警告を知らせたり。 手動から自動運転に切り替えるのも、カーナビを通して行うようになるかもしれない。 カーナビを含め、運転席周りの機能を刷新しようとする動きは活発になっている。

そうした開発には運転制御に関わる幅広い知見と、投資を続けられる資金力が必要になる。 主導権を握るのは、自動車メーカーとも対等に渡り合い、多様な部品を手がける「メガサプライヤー」と呼ばれる大手部品メーカーだ。

主役は巨大メーカーに

独ボッシュやコンチネンタル、日本のデンソー、そしてクラリオンを買収した仏フォルシア。 こうしたメガサプライヤーの売上高は数兆円規模だ。 一方、カーナビ専業メーカーの売り上げ規模は 1 千億 - 3 千億円台。 技術の蓄積も資金力も太刀打ちできない。 各社が大手部品メーカーをパートナーに選んだのは、「じり貧」の業界から一歩抜け出す足がかりと、次世代技術の開発ノウハウを求めたためでもある。 ファンド傘下に入ったパイオニアの森谷浩一社長は「いろんな形の協業を積極的に進めていかないといけない」といい、今後、新たな提携先探しを続ける考えだ。

次世代車の時代に求められるのは、変化に対応できる柔軟さとスピード感だ。 ある自動車部品大手幹部は「カーナビの形が将来どうなるか見えない。 重要なのはソフトだ。」といい、機器よりソフトウェア開発に力点を置く。 IT 企業も開発競争に名乗りを上げている。 自動車の進化とともにカーナビの今後の姿はどうなるのか、各社の模索は今後も続くことになりそうだ。 (高橋諒子、asahi = 4-24-19)


シヤチハタ、女性の声でヒット文具 仕事のストレス探る

シヤチハタ(名古屋市)が 25 日、働く女性を意識した文具の新商品を売り出す。 開発したのは女性社員 3 人。 手帳や伝言用スタンプを商品化してきた。 息の長いシリーズを手がける「隠れたヒットメーカー」だ。 女性チームは 2004 年に発足し、今のメンバーは神山かおるさん (44)、武田あやさん (37)、鈴木由香利さん (33)。 部署が異なり、ふだんの仕事とは別の業務と位置づけている。 現在は 8 商品が売られている。

今回の新商品は、ペットボトルや洋菓子の小袋に名札をつける「わたしの物タグ」。 職場の冷蔵庫は、いろんな人の飲み物や菓子が混在する。 「名札」をつければ誰のものかはっきりする、という発想だ。 神山さんらの手がける文具は「オピニ」というシリーズ名がついている。 オピニオン(意見)に由来し、女性の意見を反映している点をアピール。 女性が職場で抱く不満や要望に応える文具づくりがねらいだ。 アンケートを実施し、文具のイベントにも出展。 女性の声を広く集めている。

05 年に売り出した主力の手帳「スケジュールノート」は毎年改良版を出す人気作。 記入欄をドット(点)の方眼にして文字を書きやすく、きれいに見えるようにした。 上司の予定を書く「Boss (ボス)」欄も。「上司の予定は把握したいが、自分の予定欄に書き込むのはしゃくだ」という声をとりいれた。

「お願いごとスタンプ」は「ご確認ください」、「承認お願いします」といった定型文をスタンプ化。 「同じ内容を何度も手書きするのが面倒」という不満を新商品につなげた。 茶色のインクと手書き風の字体を使い、柔らかい印象を出した。 同じ発想で、今年 2 月には「ふせん用伝言メモスタンプ」もつくった。 ふせんにスタンプを押すと「電話あり」、「来訪あり」のチェック欄ができるので、伝言メモが簡単につくれる。

神山さんは「働く女性がストレスを感じていないかを探り、商品化している。 仕事へのやる気と効率を高めるサポートをしたい。」と話す。 (竹山栄太郎、asahi = 4-21-19)


新紙幣の発表直後に株価が急騰 姫路のグローリーに迫る

9 日の東京株式市場で、兵庫県姫路市にある「グローリー」という会社の株価が一時、1 日の制限値幅以上に値上がりする「ストップ高」になった。 麻生太郎財務相が、新しい紙幣と硬貨の発表をした直後のことだ。 いったいどんな会社なのか。 JR 姫路駅から車で約 10 分の国道沿い。 グローリーの本社と工場、研究拠点がある。 敷地内の「ミュージアム」には、この会社が過去に開発、販売してきた製品がずらりと並んでいる。

製品は大小さまざま。 説明をみると、銀行の店舗や小売店で使う紙幣の自動計量器、お金の出し入れをチェックする「オープン出納システム」などとある。 広報担当者は、「お金を扱う機器づくりの第一人者だ」と胸を張った。 金融機関など向けの機器で、全国シェア1 位。 現金自動出入機 (ATM) を支える内部の部品や、偽札判定機も造っているという。

株価が上がったのは、今後こうした機器の更新や新しく導入する動きが増えると、投資家が考えたためだとみられる。 実際、前回 2004 年に新紙幣が導入された際には、直前の 03 年度の売上高が、前年の 1.5 倍に跳ね上がった。 1950 年、前身の国栄機械製作所が別の商品で取引があった造幣局から声がかかり、硬貨計算機の開発に着手した。 こうした機械は当時、ほとんど輸入に頼っていた。 従業員数 85 人の小さな町工場だったが、初の国産硬貨計数機を生み出したことで、業績が拡大した。

今、都市部を中心に現金を使わない決済手段が広がりつつあり、金融機関の店舗利用者数は、人口減少もあって減っている。 グローリーの経営は厳しくないのか。 熊谷定子コーポレートコミュニケーション部長は「現金決済は当面なくならない」というものの、「金融機関向けのビジネスに今後大きな期待はかけられない」ことも認めた。 だが、成長の種がないわけではない。

ひとつは「お金を扱う技術」だ。 コンビニエンスストア大手のローソンは今年 10 月までに、客が自分で会計できる「セルフレジ」を国内の全 1 万 4 千店に導入する。 その内部に組み込まれる釣り銭機は全てグローリー製だ。 人手不足でセルフレジの需要が高まりつつあり、国内でも流通分野には伸びしろがありそうだ。 もうひとつは、お金を「見分ける技術」。 偽造貨幣が登場するたび、偽物を見分ける技術との「いたちごっこ(熊谷部長)」が続いてきた。 グローリーはその過程で、直径・厚さによる選別、磁気センサーを使った材質分析、画像認識と、偽物を見つけ出す技を磨いてきた。 これを生かして、近年は生体認証を使った防犯カメラやセキュリティーシステムなどを売り出している。

こうした事業を伸ばし、約 10 年後の 28 年には売上高を現在の約 2 倍の 5 千億円に伸ばす目標を掲げる。 新紙幣や硬貨による「特需」は、こうした目標も上ぶれさせる可能性がある。 (伊藤弘毅、asahi = 4-9-19)


パナソニックがファミマを運営する深い理由

ファミリーマートとパナソニックは 4 月 2 日、次世代型コンビニエンスストアの実現に向けた実験店舗をオープンした。 店内に設置したセンサーやカメラを使って人やモノのあらゆる動きをデータ化し、店舗の効率や収益を高める手法を検証する。 ファミリーマートの澤田貴司社長は同日開いた発表会で「極力省人化するためにあらゆる可能性を追求したい」と話し、「実験店舗で検証したものをなるべくスピーディーに展開していく」と述べた。

実験店舗「ファミリーマート 佐江戸店」をオープンしたのは、パナソニックの佐江戸事業場(横浜市)の隣接地。 店舗の天井にはセンサーやカメラが所狭しと設置されている。 人の店舗内の移動を把握する熱センサー、人の詳細な動きを検知する深度センサー、棚の品切れを検知するカメラ、来客の性別や年齢などの属性を推定するカメラなど、その数は 80 個ほどに上る。

パナソニック自身が運営する点も目新しい。 パナソニック 100% 子会社のストアビジネスソリューションズがファミリーマートとフランチャイズ契約を結んだ。 パナソニックで企業向け製品を手掛ける部門の営業担当社員が実験店舗の店長に就いた。 副店長として運営をサポートするのはファミリーマートで店舗支援を担う社員だ。 実験店舗の一角には、顔写真を登録したパナソニック社員だけが利用できる無人型店舗のコーナーも設けた。 登録済みの社員だけが顔認証のゲートを通って入店でき、商品を選んでレジで再び顔認証すると決済できる。 店舗で IC カードなどをかざす必要はない。 レジではカメラが商品を自動で識別し、暗証番号を入力して決済する。

「標準的な手法が確立されていない分野では、実際に試して改善するサイクルを短期間で回せる環境が大事になる。」 パナソニックの社内カンパニーであるコネクティッドソリューションズ社社長を務める、パナソニック専務の樋口泰行氏は、店舗運営まで踏み込む理由をこう説明した。

店舗運営まで手掛けデータを収集

パナソニックはローソンの次世代店舗の研究施設に協力するなど、ローソンのパートナーとしての印象が強い。 しかし、設備やソフトウエアを店舗に提供するだけの立場では得られないデータもたくさんある。 例えば、入店者の数や属性、店内の回り方、商品を選ぶ行動などは店舗を運営する立場にならなければ得られないデータだ。 これらを集め、それを基に自社製品の競争力を高めるために、店舗の運営まで手掛けることにした。

ファミリーマートの澤田社長とパナソニックの樋口専務は旧知の仲だった。 小売りや物流、外食などの現場の課題を解決する事業への注力を掲げる樋口専務がフランチャイズ契約を提案し、今回の実験店舗オープンにつながった。 パナソニックシステムソリューションズジャパンの下村康之サービス事業担当統括は「複数の小売業と話をしてきた中で、ファミリーマートとの協力は樋口(専務)が就任してから一気に進んだ」と話す。

のどから手が出るほど欲しかった店内の動きのデータを活用し、「顧客であるファミリーマートの困りごとをもっと詳しく理解する。(樋口専務)」 樋口専務が企業向け事業で掲げる「現場プロセスイノベーション」が小売り分野で大きく動き出した。 (竹居智久、日経ビジネス = 4-2-19)


「一度使うと手放せない」 食洗機、今や普及率 3 割

料理を作るのは楽しいけれど、皿洗いは面倒。 そんなニーズを受けて、食器洗い乾燥機の普及が進んでいます。 新築マンションでは、「標準装備」も珍しくなくなりました。 食洗機は、ロボット掃除機やドラム式全自動洗濯乾燥機と並ぶ、現代の新・三種の神器と呼ばれている。 家事の負担を大きく減らす家電として、内閣府の調査によるとすでに普及率は 3 割ほどに達した。 20 年前、コンパクトな卓上型が登場したのが普及のきっかけとなった。 手洗いと比べて節水できることや、手荒れを防げることも人気を後押しした。

食洗機市場を引っ張るパナソニックの担当者は、「新改築をきっかけに導入を決める人が多いようだ」とみる。 システムキッチンに最初から組み込まれている「ビルトイン型」のものが伸びているという。 分譲マンション最大手の住友不動産によると、ここ 1 - 2 年で売り出した物件では、ほぼ 100% 食洗機が付いているという。 ビルトイン型は、日本より先に食洗機が浸透した欧米メーカーの商品も人気だ。 ドイツのミーレは 7 - 12 人分の食器が洗える大容量タイプを出している。 8 日には神戸市中央区に西日本初の直営店を開き、PR の拠点にする。 広報担当者は「洗い物を気にせず食器を使えるので、食卓も華やかになります。」

大がかりな工事が不要な卓上型でも、4 - 5 人家族の 1 日分の食器が一度に洗えるような大容量のものが好調だ。 蛇口からホースで水を引くための分岐水栓(5 千 - 1 万円)を取り付ける必要があるが、ビックカメラなんば店(大阪市中央区)で売り場を担当する多田雄光さんは「一度使うと手放せなくなります。」 (米谷陽一、asahi = 3-16-19)

  • 軽くても しっかりセット

    パナソニックの卓上型「NP-TZ100」は食器 40 点を一度に洗える。 プラスチック製の弁当箱など軽いものや、まな板や包丁もしっかりセットできる機能がある。 幅約 55cm、奥行き約 35cm、高さ約 60cm。 白と銀の 2 色あり、いずれも 10 万円前後。

  • シンク下 かがまず操作

    リンナイのビルトイン型「RSWA-C402C-SV」はシンク下のスペースに収まるコンパクトタイプ。 引き出しのような箱形で、食器 33 点が入る。 スチームの力で一気に汚れを落とす。 本体上部にスイッチ類をまとめ、かがまなくても操作できる。 希望価格は 16 万 3 千円。

  • 頑固な汚れに強力水圧

    ミーレ・ジャパンのビルトイン型「G 6620 SCU」は食器 84 点が入る。 強力な水圧でフライパンや鍋もきれいに洗える。 ミーレは 1929 年に欧州で初めて食洗機を開発。 1 時間で洗い終えるコースや、ワイングラスを洗う機能も搭載する。 店頭価格は 31 万円。


半導体大手ルネサスが 2 カ月生産休止 中国経済の減速で

半導体大手のルネサスエレクトロニクスは、9 月までに、国内の 6 工場で最長 2 カ月ほど生産を休む計画を固めた。 米中間の貿易摩擦を背景にした中国経済の減速などで、家電向けや工作機械向けの需要が縮んでいる。 期間は今後の状況をみて決めるが、2 カ月に及べば異例の長期となる。 6 工場は茨城、群馬、滋賀、愛媛、山口、熊本の各県にある。 前工程と呼ばれる作業を担う。 5 月の大型連休後や 8 月ごろの停止を想定し、労働組合や一部の取引先には計画をすでに伝えた。 休止のあいだ、従業員には休業手当を支払う。 (asahi = 3-7-19)


ソニーの牙城、ミラーレス市場に異変 カメラショー開幕

カメラと写真・映像の総合ショー「CP + 2019」が 2 月 28 日、横浜市のパシフィコ横浜などで開幕した。 国内外から 124 の会社と団体が出展。 今年は主要カメラメーカーのフルサイズミラーレスが出そろって初めての開催とあって、各社は使い勝手を確かめられる展示に力を入れていた。 主催するカメラ映像機器工業会 (CIPA) は 3 月 3 日までの期間中、7 万人の来場者を見込んでいる。

これまでソニーの独壇場だったフルサイズミラーレス市場に、ニコンとキヤノン、パナソニックなどが新機種を投入し、各社が展示に力を入れた。 ブースには広角から望遠までのレンズをつけたデモ機が並び、来場者は熱心に操作感を確かめていた。 カメラや交換レンズのほか、三脚やカメラバッグ、天体望遠鏡、ドローンなども展示。 特に、レンズやレンズアダプター、三脚などを出品する中国や韓国のメーカーが増え、新しいアイデアの商品を紹介していた。 会期中は午前 10 時開場で 1、2 日は午後 6 時、3 日は午後 5 時まで。 入場料は 1,500 円だが、事前にウェブ登録をすると無料になる。 (東山正宜、asahi = 2-28-19)

前 報 (10-12-18)


3D 地図「日本連合」で勝ち抜け 米系企業を買収

官民ファンドの INCJ (旧産業革新機構)は 13 日、3 次元地図を手がける「ダイナミックマップ基盤 (DMP)」に最大 180 億円を追加出資すると発表した。 DMP に対しては、三菱電機や国内自動車各社も出資しており、「日本連合」で自動運転に必要となる高精細な 3 次元地図の開発競争の主導権を握りたい考えだ。 INCJ のほか、三菱電機なども追加出資する。

DMP は、増資で得る 220 億円を元手に、米ゼネラル・モーターズ系で米国で 3 次元地図を手がける企業を買収し、規模拡大を図る。 買収額は非公表。 自動車の自動運転技術には、道路の車線や信号機、周囲の建物などの立体的な地図データが必要になる。 欧州の自動車メーカーが出資する「ヒア」や米グーグル、中国の「百度」なども開発を進めており、競争は激化している。 (asahi = 2-18-19)