米バーニーズ NY、破産申請を検討か 賃料高騰と米報道

100 年近い歴史を誇る米高級百貨店バーニーズ・ニューヨークが米連邦破産法の適用を申請する検討に入った、と複数の欧米メディアが報じた。 衣料品のネット販売などの成長で競争が厳しくなる中、ニューヨーク中心部にある旗艦店の賃料がかさんで経営を圧迫していた。 破産法申請のほか、身売りや追加融資確保といった選択肢も探っているという。

ロイター通信や米 CNBC テレビが 13 日、複数の関係者の話として伝えた。 バーニーズは法律事務所を雇って財務の立て直し策を練っており、月内にも破産法申請に踏み切る可能性があるという。 ニューヨーク・マディソン街にある旗艦店の賃料は今年、約 3 千万ドル(約 33 億円)まで高騰しており、利益が吹き飛ぶ計算だという。 バーニーズは「財務体質を強化し、ビジネスの長期的な成長を確かなものにするための方策を前向きに検討している」と両メディアにコメントした。

ニューヨーク中心部では高級ファッションを扱う老舗百貨店が苦戦を強いられており、今年 1 月には「ヘンリ・ベンデル」と「ロード & テイラー」の二つの有名店が閉店した。 安くてデザインも良いファストファッションに客を奪われているほか、消費者がネット上で衣料品を探す傾向が強まっており、大都市で旗艦店を維持するコストが見合わなくなっている。

バーニーズは 1923 年創業し、高級セレクトショップの先駆けとして知られる。 米国内では 24 店(アウトレット店を含む)を展開する。 日本では 90 年に東京・新宿に 1 号店がオープンし、現在 12 店舗(同)がある。 日本法人のバーニーズジャパンは 2015 年、流通大手セブン & アイ・ホールディングスの完全子会社になっている。 (ニューヨーク = 江渕崇、asahi = 7-14-19)

前 報 (4-1-19)


オンワード 24% 減益、3 - 5 月期最終 衣料品不振

オンワードホールディングスが 5 日発表した 2019 年 3 - 5 月期の連結決算は、純利益が前年同期比 24% 減の 16 億円だった。 主力の国内アパレル事業が苦戦したほか、前期に計上した在庫評価基準の変更に伴う利益がなくなったのも響いた。 売上高は 7% 増の 648 億円だった。 3 月に買収したカタログギフト大手の大和(長野県安曇野市)が寄与した。

国内アパレルの売上高は一部の不採算ブランド廃止で、422 億円と 1% 減った。 主力ブランド「23 区」は好調だったが補いきれなかった。 保元道宣社長は「実店舗の売上高はまだ底打ちしていない」と指摘。 子会社、オンワード樫山のネット通販の売上高は 32% 増と大きく伸びた。 20 年 2 月期通期の業績予想は据え置いた。 売上高は前期比 6% 増の 2,560 億円、純利益は 11% 増の 55 億円を見込む。 (nikkei = 7-5-19)


青山商事、カジュアル衣料事業撤退へ アメカジ不振

青山商事はカジュアル衣料事業から撤退する。 7 日、子会社が手掛けるカジュアル衣料品店「アメリカン・イーグル・アウトフィッターズ」について、同ブランドを世界展開する米アメリカン・イーグル・アウトフィッターズ (AEO) への事業譲渡を検討すると発表した。 紳士服需要の低迷を見越して多角化を進めたが、採算改善が見込めないと判断した。 子会社のイーグルリテイリング(東京・渋谷)を AEO 社に譲渡する方向で協議を進める。 譲渡額や今後の運営方針などは未定。 青山商事は AEO 社と 2022 年 2 月までフランチャイズ (FC) 契約を交わしているが、前倒しして終了する。

青山商事はアメリカンイーグルを国内で約 30 店を運営し、19 年 3 月期の売上高は 122 億円。 主力の紳士服以外に事業の幅を広げることを目的に、10 年に AEO と提携し、同ブランドで「アメカジ」衣料品の販売に乗り出した。 だが「ユニクロ」などカジュアル衣料大手との競争は激化する。 青山商事のカジュアル事業(19 年 3 月期)は 13 億円の営業赤字に陥り、今後も採算が見込めないと判断した。 自社で展開していたカジュアル衣料ブランド「キャラジャ」も既に清算した。 今回の事業譲渡が完了すれば、カジュアル衣料事業からは完全に撤退することになる。 (nikkei = 6-7-19)


創業 130 年の老舗テキスタイルメーカーが自社ブランド「mocT」にかける思い

大阪に本社を置く 1887 年創業のテキスタイルメーカー、新内外綿が昨年、初の自社ブランド「mocT (モクティ)」を始動した。 トップス、パーカー、スウェットパンツ、T シャツ、ポロシャツ、タンクトップ、そして帽子から靴下まで、グレー 1 色という徹底ぶり。 あわせて、触り心地のいい生地は部屋着にも普段着にでも合いそうで、実際に触れてみると質感もなめらか。 そんな、高品質の生地を作り続ける老舗のテキスタイルメーカーはなぜ「グレー」という色にこだわった自社ブランドを始めたのか。 モクティを立ち上げ、ブランドの展開を図る新内外綿の長谷川進さんと、開発に携わったディレクター/デザイナーの馬場賢吾さんにお話を伺った。

「どうしてグレーなのか。」 そして、「なぜグレーのみの展開なのか。」 疑問が消えぬまま、馬場さんに率直な質問をぶつけてみる。 その理由には、たくさんの人々が作り上げてきた歴史があった。 「商品に使われているグレーの生地は、すべて『GR7』という糸によって編み上げられたもので、約 50 年前に新内外綿が開発したものです。

GR7 は、一般的に『杢(もく)グレー』、もしくは『霜降りグレー』と呼ばれるもので、濃淡のある色が混じり合った色のことを指します。 そして、この GR7 による杢グレーこそが、日本のあらゆるグレーのアイテムの中で最も流通している糸であり、グレーのカラーコードとなっている色なんです。 だから僕たちはまず、このグレーをブランドの象徴にしようと思いました。(馬場さん)」

GR7 は、約 50 年前、当時アメリカの製品で使われていた杢調の糸を目指して作られた。 ブランドの立ち上げに際して、自社が作り上げたカラーであるグレーのみで展開したのは、そのブランドのストーリーを理解してもらう上で最善の判断だろう。 「日本で最も流通しているグレーを作った」、ブランドとしてはこれ以上ない大きな武器を、最初から持っていたのだから。

「もちろん、オートミールの杢調である GR3 やチャコール杢の GR1 など、グレーの糸自体にはもっとグラデーションがあります。 ただ、国内で最も流通している GR7 を開発し、『日本のグレーの基準色を作った』会社のブランドとして、まずはこの杢グレー 1 色でブランドを作り上げていこう、となりました。(馬場さん)」 そもそもモクティは、新内外綿の社員である長谷川さんの発案により始まったものだ。 長谷川さんは、10 年前からずっと自社ブランドの立ち上げについて企画書を出し続けていたという。

しかし、老舗の大企業で新たなチャレンジをするには、どうしても時間がかかってしまう。 それでも長年諦めずに説得を続けられたのはなぜか。 そこには、長谷川さんが抱いてきたもどかしさがあった。 「私は普段、OEM として他社ブランドの製造に携わっています。 毎年新しいテキスタイルを開発し、デザイナーにプレゼンをする。 そこで面白がってもらえれば、ピックアップされて商売になる。 でも、来年も再来年もそのテキスタイルを継続して使ってもらえるか、というと違う。 また次の年には、新しい糸や生地を見せてくれ、と言われる。」

「『あれ、名作なのになあ …』と思いながら、その繰り返しの中で、だんだんと『だったらもう、自分たちの会社で長く売っていけるものを作ればいいんじゃないか』という思いが膨らんでいったんですよね。 これからも永遠に新しいものを開発できるとも限らない。 自分たちの技術を生かし、企業が生き残っていくためにも、自社ブランドを作るべきだと思って企画書を出したんです。(長谷川さん)」

馬場さんは、10 年前、企画書ができあがった時点から相談を受けていたという。 当時フランスでデザイナーとして働いていた馬場さんに、商品開発の関係でもともと知り合いだった長谷川さんがメールを送り、2 人は意気投合。 10 年間、何度も話し合いながら、ブランドのコンセプトやアイテムについて構想を練り続けていた。 その姿は、ともすれば、端からは滑稽に見えていたのかもしれない。 「そんなことは無理だ」と言われていたのかもしれない。 けれど、2 人の意思は固かった。 長谷川さんは、新内外綿という企業が自社ブランドを展開する強みについてこう語る。

「昨今、他のテキスタイルメーカーでも自社ブランドを作っている会社は多くありますが、その多くは原料からではなく、糸を仕入れてから生地を編む『ニッター』という編みの企業です。 それに対して、私たちは原料の綿から糸を作る会社。 つまり、オリジナル生地を開発したとき、それをそのまま商品として採用することもできるし、逆に新製品のために新たに糸を開発することだってできる。 1% から綿を混ぜていくことができるので、綿が 21%、カシミヤ 2%、シルクが 4%、ナイロンが 8% … といった形で、唯一無二のテキスタイルを作ることだってできます。(長谷川さん)」

その強みを生かした商品が、たとえば、このロング T シャツの素材だ。 よく見るとグレーの生地に、細かな蛍光の緑色が混ざっている。 これは、糸の時点でポリエステルを 3 - 5% 混ぜたことによってできた、繊細なビジュアルだ。 横に流れるような蛍光色や、不規則に並んでいるように見える小さな玉も、すべて計算して作られている。 さらに気になるのは、ラインアップのデザイン。 杢グレーで統一されたアイテムは、どれもオーソドックスな型で、特に新規性は感じられない。 馬場さんはどのようなコンセプトでデザインを考えたのか。

「ブランドが目指すのは、究極のベーシックを追求することです。 そのために古今東西の古着を一通り分析しながら、限りなく普遍的に、長く愛されるようなデザインを考えました。 もちろん、流行を無視してはいません。 ただ、過度に適応させることで、翌年に着ていたらおかしく見えるようなアイテムは作りたくない。 あくまで、このテキスタイルを一番よく表現できるデザインを考えた結果、ベーシックなものにたどり着いたんです。(馬場さん)」

杢グレーの素材が最も生かされるのはベーシックなアイテムだ、と言えるのはなぜか。 長年 GR7 の流通を見てきた長谷川さんはこう答えた。 「杢グレーの素材を使ったアイテムって、部屋着やスウェットのようなファッションが多いと思いませんか。 それはなぜか。 着心地がいいからなんだと思うんですよ。 GR7 の糸ができていく過程について説明すると、まず元となる綿である『原綿』を仕入れます。 そして、黒く綿染めしたものを、白い綿と混ぜていく。 黒と白が混ざることで、最終的にグレーの綿になるんです。

綿の中には繊維長の短いものが混ざっているので、それを落とすために何度もすいていく。 これを繰り返していくうちに繊維長が均一になり、最終的にコーン(円錐状に巻いたもの)やチーズ(円筒状に巻いたもの)に巻き取った糸になっていきます。 たとえば、色のついた生地というのは、できあがった糸で編んだ反物に、さらに染料に何度も浸しながら色をつけていくんですね。 反物にそれだけの染料が固着するということは、それだけ生地が硬くなってしまうということです。

もともとのコットンの風合いはそこで失われます。 しかし、杢グレーの場合は、細かい数字は言えませんが、80% ほどの白綿に、20% 弱の黒い糸しか入っておらず、ふわふわな状態でできあがります。 編み上がったあとに、油分や汚れを落とすために軽く洗う程度です。 だから消費者の方は『部屋着にも使える』といったときに、自然と手が伸びるのではないでしょうか。(長谷川さん)」

反物染めが発生しない杢グレーだからこそ実現できる着心地のよさ。 ベーシックなアイテムだからこそ肌触りがいいものを選びたい、という消費者にとってはぴったりのブランドだろう。 馬場さんは、奇抜なデザインをしない理由について、こうも語る。 「テキスタイルのトレンドは、スポーツウェアや機能的に身体を守るアウトドア系の合成繊維が主流だと思うんです。 その中で、僕たちコットンを扱うテキスタイルメーカーは戦っていかないといけない。 現代においてコットンを作る紡績企業が生き残る道ってなんだろうと、何度も考えました。

結局、コットンって、嗜好(しこう)品だったり、ぜいたく品の立ち位置なんですよね。 機能性ではなく、身体に触れて心地の良いもの。 だから、今でいえばシルクやカシミヤと同じ立ち位置にいかないといけないんです。 最近は合繊がはやっていますが、『身につけることで心が豊かになるような体験』に限っていえば、天然繊維に勝るものは、今はまだないと思っています。

日常のシーンで少しでもリラックスできるような、着心地のいい素材のインナーウェアを身につけているだけで、気分はずいぶん違うかもしれない。 オフィスや家でもそう。 窮屈な時間から解放されるようなアイテムでありたい。 僕たちは現在、自宅でも、外でもリラックスして着られる服を目指して、着心地と、それをファッションに昇華できるようなデザインに取り組みたいんです。(馬場さん)」

現在、ヨーロッパやアメリカ、中国など、国外でも展開をしているモクティ。 加えて、実店舗も少しびっくりするような場所にオープンした。 「岐阜羽島の駅から、車で 30 分ほどのところにあります。 そこには、綿から糸を作る企業で最も歴史のある、新内外綿の紡績工場(ナイガイテキスタイル)があって、そこにファクトリーストアをオープンしました。 ストアでは、ラインアップを一通り、購入することができます。

都市部から見ると、かなり辺境の地ですし(笑)、ストアはアポイント制になっているので、常に人がいるというわけでもありません。 ただ、モクティは新内外綿の歴史と技術を背負ったブランドですので、この工場でお店を開くことこそに意味があると思い作りました。(馬場さん)」

ファッションを語る上でスタンダードなカラーとなった杢グレー。 新たに発売された靴下や帽子に加えて、下着なども開発中だという。 今後のラインアップではアウトドア用のウェアも出てくるかもしれないし、女性向けのものも出てくるだろう。 品質を極限まで高めた「着る人のための服」のこれからに、わくわくせずにはいられない。 (園田もなか、asahi =6-4-19)


もう恥ずかしくない? AI で胸を 3D 計測 ワコール導入

下着の対面販売を得意としてきたワコールが、人工知能 (AI) を活用した「無人」サービスに挑む。 体を計測してもらう際、店員に触られることに抵抗を感じる客もいるため、自分で操作できる 3D 計測システムを導入する。 30 日に東京都内に直営店をオープンし、近く全国にも広げる。

ワコールの新店舗「3D スマート アンド トライ」は、若者や観光客が集まる商業施設「東急プラザ表参道原宿(東京都渋谷区)」内にできた。 最新の下着が並ぶフロアの一角にある試着室に、3D スキャナーが備えられている。 下着姿になって備え付けの画面をタッチすると、柱に内蔵された複数のカメラがわずか 5 秒で 150 万カ所の部位を計測。 胸の底面積や、右胸と左胸の間隔などを AI が分析し、最適な下着のサイズやデザインを導き出すという。

百貨店などの店舗ではこれまで、ワコールの従業員が客の体をメジャーで測ってきた。 ただ、「他人に測ってもらうことに抵抗感がある人は多い。 下着をレジに持って行くことすら恥ずかしい人もいる。(下山広・執行役員)」 対面販売が岐路を迎えるなか、3D スキャナーで心理的な負担を減らすことにした。 若者への PR 効果にも期待する。 ユニクロに代表される、サイズを厳密に測る必要がない割安なブラジャーにこうした客層を奪われているからだ。 ワコールの「お得意様」は百貨店を訪れる中高年が中心。 若いときから長い間自社ブランドを使ってもらうねらいもあり、いかに若者を取り込めるかがカギとなる。

今春、同社が 3D スキャナーを体験できる実験店舗を都内に設けたところ約 1 千人が試した。 20 - 30 代の利用が目立ち、「S、M、L ではなく、細かいサイズを知りたいというニーズがあることがわかった。(下山さん)」 ワコールは 2021 年度までに、全国の直営店や百貨店などに 100 台の 3D スキャナーを備えていく。 百貨店に若い世代が戻るきっかけになることも期待する。 (大川洋輔、asahi = 6-4-19)


ファッション企業の「在庫処分」担うスタートアップ Otrium の挑戦

アパレル企業らが売れ残り商品を売却できるオンラインプラットフォームの「Otrium」が、780 万ドル(約 8 億 7,000 万円)の資金調達を実施した。 今回の調達は Index Ventures が主導した。 フォーブスの「30 アンダー 30」にノミネート歴を持つ Milan Daniels と Max Klijnstra の 2 人が 2016 年に立ち上げた Otrium は、既に約 100 社のブランドと提携を結んでおり、プーマやスコッチ・アンド・ソーダらも参加中だ。 同社はブランドが販売したアイテムから、非公開の比率の手数料を徴収している。

Otrium は 60 万人以上の利用者を抱え、Index によると直近の年間売上は 400% のペースで上昇を遂げたという。 世界のファッションブランドの多くが売れ残り商品の処分に苦戦している。 バーバリーは昨年、1 年間に 2,800 万ポンド(約 42 億円)相当の衣類やアクセサリーを焼却処分していたと報道された。 高級ブランドメーカーは、商品の値引きがブランド価値の低下につながることを懸念するため、このような事例は珍しいものではない。

「数十億ドル相当の価値ある衣類がシーズンごとに売れ残り、無駄になったり燃やされたりしている。 Otrium はアパレル企業に無駄を最小限に抑えるソリューションを提供していく。 当社はクローズドな買い手のコミュニティを持ち、アパレル企業がコントロール可能な環境下で、売れ残り品の販売が行える」と Otrium の創業者らは声明で述べた。 今回の出資を担当したのは、Index Ventures の Danny Rimer だ。 彼は過去に Etsy や Net-A-Porter、Glossier などのアパレル系のスタートアップへの出資を手がけていた。

「Otrium はファッションブランドにとって非常に魅力的なソリューションを提供する。 彼らのプラットフォームは、既存のディスカウント店や自社で運営するアウトレットを置き換えるツールになる」と Rimer は声明で述べた。 ロンドンで設立された Index Ventures は、欧州最大のベンチャーキャピタルとして知られている。 (Sam Shead、Forbes = 6-2-19)


手染めの和手拭い生産ピーク 改元で受注集中、フル回転

熊本市西区の間林染工場では、手染めの和手拭いの生産がピークを迎えている。 高さ約 10 メートルの干し場には、色とりどりの和手拭いが天日干しされ、風に揺れていた。 今年は 4 月 1 日の新元号「令和」発表後の注文が多く、5 月の生産は例年の約 1.5 倍という。

間林修社長 (47) は、「受注が集中したので、工場は休みなく、フル回転です」と忙しそうに作業をしていた。 九州や関西向けに、祭りや剣道、日舞などで使う和手拭いを年間約 8 万枚生産する。 (長沢幹城、asahi = 5-16-19)


日本の服の 4 枚に 1 枚は新品のまま廃棄 … その数は年間 10 億枚

1 年間に 10 億枚の新品の服が、一度も客の手に渡ることもないまま捨てられているらしい - -。 とんでもない数字だ。 日本で供給されている服の 4 枚に 1 枚は、新品のまま捨てられている計算になる。 誰しも、買った服が似合わなかったり、すぐに流行遅れになったりして、ほとんど着ずに捨ててしまった苦い経験はあるだろう。 だが、そもそも商品として消費者の手元に渡ることすらないまま、大量に処分されているとしたら、そうした「無駄」とは全く別の次元の問題だ。

廃棄は事実なのか。 なぜ、そんなことが起きてしまうのか。 2018 年 3 月、私は大阪市の在庫処分業者「Shoichi (ショーイチ)」の西成区にある倉庫の一つを訪ねた。 ここに、アパレルメーカーや工場などから、「売れ残り」の品が大量に持ち込まれていると聞いたためだ。 3 階までの高さに一部が吹き抜けになった倉庫の中には、段ボール箱が何重にも整然と積み重ねられている。 「メンズ SS」、「スカート 20 枚」。 それぞれの箱には白い紙が貼られ、マジックペンでこんな文字が書き込まれている。

箱の中身は、すべて新品の服。 箱をのぞいてみると、きちんとたたまれ、そのまま店に出しても問題なさそうな商品ばかりだ。 プレスされ、ビニールシートで保護されたものもある。 「在庫は常時出たり入ったりしてるので、きちんと把握できてるわけじゃないけど、他の倉庫と合わせて 100 万枚はありますね」と社長の山本昌一さんは言う。 そんな話をしている間にも、トラックがやって来て段ボール箱が下ろされ、フォークリフトで奥へと運ばれていく。

この日も、1 日で 4,000 - 5,000 枚が持ち込まれたという。 こうした衣料品はなぜ、ここに来ることになったのか。 山本さんは段ボール箱を開けながら、説明してくれた。 「これはいわゆる B 品で、工場で検品を通らなかったやつですね。 素人目にはほとんどわからないけど、ここは結構チェックが厳しいメーカーさんです。」 段ボール箱の中にあったのは、女性もののグレーの薄手のパーカーが十数着。 広げて見せてくれたが、私にはどこに問題があるのかは全くわからない。

「これはメーカーから持ち込まれたもの。 お店で売れ残ったもんなんで、サイズがバラバラです。」 そこに入っていたのは、女性ものの茶色の落ち着いたデザインのパンツ。 定番に近いので、店に置いておけば売れそうな気もするのだが、サイズがそろっていないと置いておくのは難しい、という事情らしい。 持ち込まれた段ボール箱には、メーカーや売り主の名前が入ったものも少なくない。 回りながら見ていくと、私も最近買ったことがある大手の通販業者や、10 代のころに流行っていたブランドもある。

山本社長によると、持ち込まれるのは圧倒的に女性ものが多い。 納期に数日間に合わなかったためにメーカーが受け取りを拒否し、行き場がなくなったというようなケースもあり、一度も売り場にすら出ることがないまま、「処分品」となるものもあるという。 こうして売れなくなった品の「行き先」を見つけるのがショーイチの仕事。 自社の運営するオンラインショップで売ることもあれば、駅などで開催される催事に出すこともある。 持ち込まれた商品のタグを手作業で外し、どのブランドの商品かはわからないようにしてから出品している。

ブランドによっては、自社の商品を正価で売っている店舗の近くで売られると困るため、「催事場は NG」など、条件を付けてくるところもある。 買い取りの値段はこうした条件にもよるが、定価の 1 割ほどで買い取り、17 - 18 パーセントで売れるのが一般的な相場。 まれに、どうしても売れ残って廃棄する場合もあるが、全体の 1 パーセント以下だという。 それにしても、なぜこんなに売れ残るのか。

山本さんの紹介で、同社に商品を持ち込んだことのある 60 代の男性に話を聞くことができた。 女性ものの衣料品や雑貨を扱うアパレルメーカーで長く営業担当をしていたという。 以前は岐阜など国内の工場で作っていたが、いまは主に中国で作っている。 「服っちゅうのは、半年とか 1 年くらい前に、流行の見込みを立てて発注するんですが、外れてしまうことも多いんですわ。 特に、冬物のアウターなんかは大変で、寒ければ売れるけど、暖冬になると 3 分の 1 は売れ残る。 値段下げてもだめなんです。」

次の年にまた売る、という選択肢はないのだろうか。 「やっぱり流行がありますからね、1 - 2 年置くともうだめです。 メーカーも、毎日、ものを作ってるわけなので、そのまま在庫として抱えてると、資金もショートしてしまう。 次の仕入れのためにも、早めにさばかなあかん。 その意味では、ここ(ショーイチ)みたいにタグを変えて、ブランド名がわからんようにして売ってくれるっちゅうのはすごくありがたいですわ。」

零細から大手まで、こうしたメーカーとの取引を続けてきた山本社長は、「うちみたいな企業は、いまのアパレル業界に必要なインフラ」と表現した。 「どんな有能な人でも、ちょうど売れる量だけ作るのは不可能。 客がどのくらい買ってくれるかをきちんと予測するのは無理なんで、多めに作るか、もしくは客を待たせるか、ということになる。 でも、待ってまで買ってもらえる商品はそう多くない。 販売機会をなるべく逃さないためには、やっぱり多めに作るしかないのかなと思います。」 (SmartFlash = 5-6-19)


「フォーエバー 21」が中国 EC から撤退 上海店は爆安セール中

「フォーエバー 21」は、中国で展開している自社 EC サイトを 4 月 29 日付で閉鎖する。 会員ポイントはその時点で失効するが、返品は 5 月 30 日まで受け付けるという。 同様に、アリババが運営する中国最大の EC サイト「T モール」と同第 2 位の「JD ドットコム」に出店しているオンラインストアも閉鎖する。 現地メディアによれば、上海の旗艦店を含む 3 店舗はいずれも "75% オフ、1 点購入すれば 2 点目は無料" などの大幅な値引きを実施しており、深センの店舗は 4 月 30 日で閉店するという。

「フォーエバー 21」は 2008 年に初めて中国市場に進出したが、短期間で撤退。 その後、11 年に再進出して「T モール」にも出店した。 18 年末以降、同社は天津、杭州、北京、重慶、西安の店舗を閉鎖しており、現時点では上海の 3 店と北京の 1 店があるのみだ。 なお、3 月には台湾から撤退しているほか、17 年に香港の旗艦店を閉鎖している。 中国は、アリババが運営する「T モール」や同国第 3 位の EC 企業であるピンデュオデュオなどの EC サイトが幅広い商品を激安価格で販売しているため、ファストファッションには厳しい市場だ。 英ファストファッションの「ニュールック」や「エイソス」「トップショップ」も中国市場から撤退している。 (Tianwei Zhang、WWD = 4-26-19)


サマンサタバサ、筆頭株主が「たまたま」社外取締役就任?

女性向けハンドバッグなどを企画・販売するサマンサタバサジャパンリミテッドが、専務取締役の藤田雅章氏が 25 日付で会長兼社長に昇格する人事を発表した。 創業者で現会長兼社長の寺田和正氏は 5 月の株主総会までに退任する。 社長交代の理由について寺田氏は、「これまでは会社のオーナーと経営トップを兼ねる自分の存在感が強い『寺田一強』の組織だったが、昨年度の取り組みを通じて社員が自立した組織ができたためだ」と説明した。

同社は 18 年 3 月以降、商品企画や PR の人材を各ブランドがそれぞれ抱える「カンパニー事業部制」に移行してきた。 これらの機能は従来、全社を横断する組織だった。 アパレルブランドのグローバル展開に詳しい渡邊貴美氏を COO (最高執行責任者)に迎えるともに、藤田氏を中心とする集団指導体制へとかじを切る。 サマンサタバサは 19 年 2 月期に黒字転換を果たした。 18 年 2 月期の連結営業赤字 16 億円から、19 年 2 月には 6 億円の黒字に転換した。

同社はその理由として、@ カンパニー事業部制に移行することで各ブランドにコスト意識が浸透した、A 広告宣伝販促費を 3 分の 2 まで削減した、などを挙げる。 しかし、売り上げの落ち込みは激しい。 19 年 2 月期の連結売上高は前年同期比約 14% 減の 277 億円。 16 年 2 月期の売上高 434 億円から、3 年間で 3 分の 2 にまで減った。 常務取締役の菅原隆司氏は「店舗数の減少が減収の原因」とする。

しかし、同社の代名詞である、国内外のモデルや著名人を起用した販促策の限界も透けて見える。 寺田氏は、同様の販促策を今後も続ける方針と説明したが、「著名人がサマンサタバサの商品を持ってテレビ CM に出たとしても、彼らが日常生活でもそのブランドを愛用しているというリアリティーが伝わらなければ意味がない」と課題意識をにじませる。 「寺田社長の退任は業績悪化が原因」との見方については否定した。

同社では同時に、寺田氏が保有していた同社の株式の半分を、紳士服専門店のコナカで社長 CEO (最高経営責任者)を務める湖中謙介氏に譲渡。 湖中氏は寺田氏と同率の株式を保有する筆頭株主となる。 さらに、サマンサタバサの社外取締役に就任する予定だ。 この人事について、その意図を尋ねたところ、菅原氏は「個人間の株式譲渡と社外取締役の人事は別の話。 たまたま同じタイミングになった。」と説明した。

カリスマである寺田氏が一線を退いた後、新体制の経営陣には「セレブ頼み」のブランディングに留まらない新しい成長モデルの構築が課せられる。 再販価格を維持できるブランドを求める目も一層厳しくなる。 メルカリに代表される CtoC (個人間取引)が広がり、所有する喜びだけではなく二次流通時の価値も考えてブランドバッグを購入する消費者が増えた。 加えて、ワンマン体質の見直しは進んだようだが、湖中氏が社外取締役に就任する人事には、ガバナンスの不透明さも垣間見える。 異例の人事から始まる新体制は機能するだろうか。 (津久井悠太、日経ビジネス = 4-24-19)


アースも買い物袋有料化 H & M と同じ、1 枚 20 円に

カジュアル衣料「アース ミュージック & エコロジー」などを展開するストライプインターナショナルは 4 月 15 日、店舗で提供する買い物袋を 5 月から 1 枚 20 円に有料化すると発表した。 同時にプラスチック製の袋を紙袋に順次切り替える。 プラごみによる海洋汚染が世界的な問題となっていることを受けて決めた。 国内の約 30 ブランド、約 1,400 店舗で実施する。 袋は小・中・大の 3 サイズあり、いずれも 20 円になる。 有料化は 5 月 1 日からだが、紙袋への切り替えは現在あるプラ袋が終了した店から行う。 今後は「マイバッグ」の持参を呼びかけるほか、エコバッグも売り出す予定。

企業による「脱プラ」の動きでは、スウェーデンのカジュアル衣料大手「H & M」の H & M ジャパンが昨年 12 月、国内約 90 店舗で袋を有料化(1 枚 20 円)し、紙袋に切り替えた。 良品計画も来月に東京・銀座に開業する無印良品の旗艦店で紙袋を試行する。 ユニクロなどのファーストリテイリングもプラ袋の見直しを検討中だ。 (高橋末菜、asahi = 4-15-19)


アパレル、ネット専業が台頭 ZARA は大量閉店

世界のアパレル産業で新しいビジネスモデルを持った新興ネット勢が台頭している。 SNS (交流サイト)を活用したマーケティングや低コストのサプライチェーンを強みに、大手の間隙を突いて若い消費者の支持を集める。 一方で急速な出店と大量生産で成長してきた「ZARA」、「H & M」という世界大手 2 社は環境変化を前に、事業モデルの見直しを急いでおり、合計で年間 400 店規模の閉店に乗り出している。

「デザインがおしゃれ」、「カスタマーサービスの対応が迅速」。 英国のネット通販特化型のアパレル「ブーフー」に関する口コミサイトでは、こうした書き込みが相次ぐ。 同社は 2006 年創業だが、18 年 2 月期の売上高は 5 億 7,900 万ポンド(約 840 億円)となり、前の期比 2 倍と急拡大しているアパレルだ。 従来のアパレルでは流行しそうな製品について見込みの販売計画を策定して大量生産するため、売れ残りも多かった。 これに対して、ブーフーは初回の販売と生産数を抑え、SNS (交流サイト)などで顧客の反応をみて追加生産するので無駄が少ない。 顧客を飽きさせない仕組みとして、毎日 200 以上の新商品をサイトに掲載しているのも特長だ。

婦人衣料を中心にネット販売する英「ミスガイデッド」はサプライチェーンを徹底的に効率化し、製品の発案から販売までにかかる期間は最短で約 1 週間に短縮。 生産拠点を主要市場近くに構えることなどで実現した。 直近の売上高は 2 億 1,500 万ポンドと 4 年前に比べて約 4 倍に増加した。

アパレル業界はサプライチェーンに多数の企業が関わる多段階構造だった。 縫製工場から伝統的なアパレル企業、百貨店など小売店へと製品が流れていく構造だ。 そこに米ギャップ、日本のユニクロ、欧州の ZARA といった SPA (製造小売業)が、急成長して市場を塗り替えた。 製品企画から生産、物流、販売まで一気通貫で手掛ける事業モデルだ。 人件費の安い地域の工場に生産委託することでファストファッションが花開いた。

だが最近、伸びているのはネット型の SPA だ。 生産や物流で IT (情報技術)を活用するだけでなく販売までもネットで完結する。 数千店規模の店舗を持たないため、消費者の変化に素早く対応できる。 スマートフォンで購入する消費者の購買の分析精度は高まり、在庫も削減できる。

アパレル激戦地の米国で成長するネット SPA の代表格は、エバーレーンだ。 ネットを通じた「情報公開」で消費者の信頼感を高め、マーケティング効果を上げている。 「7,400 円の半袖シャツ。実際の費用合計 3,630 円」。 材料費や部品費、人件費、関税、輸送費を公開する。 少量生産ですべて売り切る生産管理も駆使して、高品質の商品を価格を抑えて提供し、事業を拡大中だ。

米調査会社フォスター・リサーチによると、世界のファッションのネット通販市場は 14 年の 2,530 億ドル(約 28 兆円)から 18 年(推定)は 4,840 億ドルに拡大。 米アマゾン・ドット・コムなども含めたネット通販は今後も増え続け、22 年には 7,650 億ドルと市場全体の 36% を占める見通しだ。 こうした環境変化に対応して、アパレル大手も拡大一辺倒だった店舗戦略を見直している。

ZARA など約 7,500 店を構えるインディテックスは 20 年 1 月期の新規出店数は 300 と前期 (370) から減らす。 閉店に関しては前期 200 店の計画だったが、結果的に 355 店を閉めた。 今期は小型店や商圏が重なる不採算店など 250 店程度閉める計画だが、増える可能性がある。 5,000 店を運営する 2 位ヘネス・アンド・マウリッツ(H & M、スウェーデン)も 19 年 11 月期は前期に比べて 14 店多い 160 店を閉める計画で、閉店数は増えている。 欧州で集中的に閉店する。 新規開業は 335 店とここ数年では最も低い水準に抑える。

両社は世界の店舗網や従業員が重荷となって販売データ分析などに時間がかかっているとみられる。 18 年末の株式時価総額は 13 年末と比べてインディテックスは 2 割減、H & Mは 7 割減となっている。 「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングも例外ではない。 連結売上高が 2 兆円を超えたが、ファッションの中心地である欧州でのユニクロの売上高は約 900 億円とアジアに比べて伸び悩みが続く。

消費者の価値観は目まぐるしく変化し、これまで以上にコストパフォーマンスや時短の買い物を重視する。 消費の潮流に乗ったネット勢が多数生まれているが、今後は淘汰も進むだろう。 強みである機動的な経営を維持できるかが持続的な成長には不可欠だ。 (ジュネーブ = 細川倫太郎、ロンドン ==篠崎健太、原欣宏、nikkei = 4-5-19)


GAP 原宿の旗艦店を閉店 ネットシフトに対応

米系衣料品チェーンのギャップジャパン(東京・渋谷)は主力ブランド「GAP」の旗艦店、原宿店(同)を 5 月 7 日に閉店する。 ネット通販に顧客を奪われる一方、人件費などのコスト負担は増しており、収益改善は難しいと判断した。 原宿店は 2009 年 11 月に JR 原宿駅前に開業した。 店舗面積は 1,637 平方メートルで、銀座店(東京・中央)に並ぶ国内最大級の店舗。 取扱商品数も最多の約 6,400 種類ある。 年間売上高は 8 億円程度とみられる。

GAP はシンプルなデザイン性と価格のバランスが若者を中心に人気を集めたが、近年は低価格を打ち出す企業が台頭している。 同店も人件費や家賃負担が重く、こうした店舗維持にかかる費用を新規投資に回すことが企業の成長につながるとみて、閉鎖を決めた。 ギャップジャパンのスティーブン・セア社長は日本経済新聞の取材に対し、「若い世代を取り込むには店舗や電子商取引 (EC) など各チャネルをつなげ、利便性を向上する必要がある」と説明。 今後はデジタル分野への投資を増やすことで生き残りを図る。 (nikkei = 4-5-19)


敵対的 TOB、初の成功 = 大手同士で、デサント株 40% に - 経営陣刷新迫る - 伊藤忠

伊藤忠商事は 15 日、スポーツ用品大手のデサントに対する TOB (株式公開買い付け)の結果、株式保有比率が 30.44% から 40% に上昇すると発表した。 保有比率は 3 分の 1 を超え、伊藤忠は他社との合併など経営上の重要事項に対する拒否権を確保した。 M & A (合併・買収)を助言するレコフ(東京)によると、大手企業同士による敵対的 TOB の成功は国内初。 伊藤忠はデサントへの影響力を強め、経営陣の刷新を迫る。

伊藤忠は 1 月末、デサントと事前協議せずに TOB を開始。 同社経営陣は反対を表明し、労働組合も足並みをそろえ、敵対的 TOB に発展した。 和解に向けた話し合いも行われたが、歩み寄れないまま伊藤忠の勝利となった。 (jiji = 3-15-19)

前 報 (8-30-18)


花粉が付着しづらい服装選び ウールは綿の約 10 倍も

花粉の季節真っ只中ですが、みなさんは対策をされているでしょうか。 対策の基本は、花粉に接触する機会を減らすこと。 マスク着用や空気清浄機など、さまざまな方法がありますが、毎日着る服の素材によっても花粉の影響が変わってくるのです。 この季節は、とにかく花粉をシャットダウンしたいもの。 洗濯物を部屋干しにしたり、窓やドアは閉めておくなど、なるべく花粉を室内に持ち込まないことが重要です。

外出時にはマスクやメガネ、スカーフなどを上手に使って、花粉を防ぎましょう。 ちなみに、コンタクトレンズを使用していると、その刺激が花粉によるアレルギー性結膜炎の症状を増幅する可能性があるので、メガネを使用する方がよいとされています。 さらに気をつけたいのが、どんな素材の服を着るのかということ。 実は、同じような服装でも、素材によって花粉の付着率が異なるのです。

ウール素材の服は、化繊に比べて花粉の付着率が高いことがわかっています。 さらに、同じ素材でも織り方によっても付着しやすさは変わるので、なるべくアウターや帽子はツルツルしたものを選びましょう。 帰宅時には、玄関の外でコートや髪についた花粉を払い落として、できる限り花粉を室内に持ち込まないようにします。 帰宅したらすぐに、手洗い、洗顔、うがいを行うのも大切です。

さらに、気になる人には、東レ「アンチポラン」、帝人フロンティア「ポランバリア」のような花粉付着抑制素材を使った衣類もあります。 「『アンチポラン』は、花粉の粒径(約 30μm)よりも糸と糸の間の隙間が細かく、凹凸の少ない織物に特殊な加工を施すことで、粘着性を低下させています。 つまり、花粉が付きにくく、落ちやすい素材です。 コートやブルゾン、帽子の素材として使用されています。(スポーツ・衣料資材事業部、太田哲人さん)」

この時季、スギ花粉の飛散は続きます。 適切な花粉対策で、なるべく悪化させずに過ごしたいですね。 (ウェザーニュース = 3-9-19)