中国、薬物密造のカナダ人に死刑判決 関係さらに悪化か

中国・広東省江門市の中級人民法院(地裁に相当)は 30 日、覚醒剤の一種の薬物メタンフェタミンの密造や密売の罪に問われたカナダ人の被告に死刑判決を言い渡した。 昨年 12 月、カナダ当局が通信機器大手・華為技術(ファーウェイ)幹部を逮捕して以降、中国でカナダ人が薬物犯罪をめぐって死刑判決を受けたのは 2 回目。 両国関係がさらに悪化する可能性がある。

法院の発表によると、カナダ人の被告は 2012 年、米国人やメキシコ人ら 10 人と共謀。 広東省内に秘密拠点を設け、60 キロ超のメタンフェタミンを密造・密売したという。 同法院はカナダ人の被告を主犯格の 1 人と認定。 米国人やメキシコ人の被告には、執行猶予付きの死刑判決などが言い渡された。

中国では今年 1 月、麻薬密輸罪で懲役 15 年の実刑判決を差し戻されたカナダ人の男性被告に死刑判決が言い渡された。 中国内でカナダ人の拘束も相次ぎ、中国側が華為事件への報復措置をとったとの見方が広がっている。 今回、法院の発表には、一部被告の家族が判決の言い渡しを傍聴するなど、被告の権利が保障されたと言及されている。 中国側には、報復措置との批判を払拭するため、公正で開かれた裁判だったとアピールする狙いがありそうだ。 (香港 = 益満雄一郎、asahi = 4-30-19)


中国警察、レゴ模倣品の製造元を摘発 33 億円相当の商品押収

【北京】 中国の警察当局が 23 日、デンマークの玩具メーカー「レゴ」のブロックの模倣品、約 3,000 万ドル(約 33 億円)相当を製造して同国各地で販売したとして、深センの玩具メーカーを摘発し、4 人を逮捕していたことが分かった。 警察が 26 日、明らかにした。 上海の警察当局は今週、レゴの模倣品を製造していたレピンの施設を捜索。 「2018 年 10 月、市場に出回っているレピン製のブロックがレゴブロックに極めて類似していることを突き止めていた」と明かした。

また、レゴの設計図からコピーされていたレピン製のブロックは、深センの工場に輸送されて商品化され、全国で販売されていたとしており、「10 以上の組み立てラインで 90 以上のモデルが製造されていた…。 (警察が押収した)完成品 63 万個の価格は 2 億元(約 33 億円)超に相当する。」と述べている。 警察当局がソーシャルメディア (SNS) に投稿した、摘発を捉えた写真には、レゴの商品に非常によく似たモデルや箱が写っている。 人気 SF 映画「スター・ウォーズ」シリーズの模倣品には「スター・プラン」との名前が付けられ、新作映画『レゴ ムービー 2』に関連したコピー商品も「レピン・ブロック 2」という名称で販売されていた。

国営新華社通信は、レゴで中国およびアジア太平洋地域を管轄するロビン・スミス副社長が、模倣品は消費者に対して安全上の懸念をもたらす恐れがあると指摘したコメントを伝えている。 レピン製の模倣品は、価格に敏感な消費者の間で人気を博しており、街をテーマにしたレピン製ブロックは小売価格が 3 ドル(約 330 円)だったのに対し、同様のレゴ製品は最低価格 15 ドル(約 1,700 円)となっている。 AFP の調べでは、レピン製の模倣品が 27 日昼の時点で、ネット販売サイト「淘宝網」でまだ入手できる状態となっていた。 (AFP = 4-27-19)


中国政府も憂慮、「視覚中国」が踏んだ「写真の権利侵害」という大地雷

記事コピー (4-25-19)


中国で唐辛子価格が値上がり、一部品種は前年比 80% 上昇

【東京】 中国国内の唐辛子の作付け面積は約 200 万ヘクタール、年間生産高は 700 億元(約 1 兆 1,600 億円)超。 10 年以上にわたり、野菜産業トップの地位を維持し続けている。 統計によると、2015 - 18 年の間、唐辛子の価格は低めに推移していたが、19 年に入ってから一転して値上がりし、前年同期と比べ値上がり幅が 80% を超えるものもある。

辛い料理で有名な重慶市のスーパー関係者によると、昨冬以降、唐辛子の代表的な品種の一つである「朝天椒」の価格が上昇し始め、値上がり前の 500 グラム 4 - 5 元(約 66 - 83 円)から、昨年 11 月末には 500 グラム 10 元(約 170 円)まで上昇し、元宵節(旧暦 1 月 15 日)に当たる 2 月 19 日頃には 500 グラム約 14 元(約 232 円)まで上がったという。 唐辛子全体の値上がりの影響を受け、干し唐辛子も値上がり傾向にある。

データによると、唐辛子の産地価格は 18 年 10 月以降、値上がりモードに入り、特に春節(旧正月)に当たる 2 月 5 日を過ぎた頃に上昇が加速。 現時点で、四川唐辛子の一種「燈籠椒」の上等品の価格は、昨年 1 月に比べ 500 グラム当たり 4.5 元(約 74 円)上がり、値上がり幅は 69.23% となった。 昨年 3 月の 500 グラム当たり 6 元(約 100 円)に比べると、値上がり幅は 83.33% に上る。

唐辛子が大幅に値上がりしていることを受けて、多くの農家が収益を上げるため唐辛子を多く植えようとしている。 ある調査機関のデータによると、中国の唐辛子の主要生産地では作付け面積を 20% 以上拡大しており、19 年の作付け面積は 26 万 7,000 ヘクタールと、18 年の 22 万 5,000 ヘクタールに比べ 20% 近く増加した。

業界関係者は、中国の唐辛子相場はこの 10 年来大きな変動が無く、今年の値上がりは主として昨夏の異常気象の影響によるものだという。 昨年 5 月以降、北方の山東省、河南省などの地域で 40 度を超える高温となったため唐辛子が受粉不良に陥り、低着果率を招いた。 その後、主産地が台風 22 号「マンクット」による水害を受け、約 30% の減産となった。 今年に入り、各地の唐辛子栽培農家は作付け面積を拡大しているが、業界関係者は農家に対し理性的に作付けを行い、むやみに追従しないよう呼び掛けている。 (東方新報/AFP = 4-20-19)


名物ビルの運気が悪い … 中国裁判所、風水で名誉毀損との訴え認める

【北京】 中国の裁判所が先週、風水でビルの運気が悪いとブログ記事で主張したのは、複合ビルを開発した不動産デベロッパーへの「名誉毀損」にあたるとして、このブログの運営会社に損害賠償として約 2 万 9,000 ドル(約 330 万円)の支払いを命じる判決を下した。 この占い結果は昨年 11 月にソーシャルメディア「微信(ウィーチャット)」に投稿されたもので、北京市内の複合オフィスビルが風水の原理を尊重していないため、入居する企業に悪い運気をもたらしていると主張していた。

このブログ「S 神棍局 S」がやり玉に挙げたのは、「SOHO 中国」所有の北京北東部にある複合ビル「望京 SOHO」。 投稿は、円い石を思わせるビル 3 棟を「ブタの腎臓」に例えるとともに、1815 年に仏軍が英国主導の連合軍に撃破された「ワーテルローの戦い」に言及しつつ、望京 SOHO に入居している企業がワーテルローのような敗北を喫すると予測。 この「奇抜な」建築物が悪い運気を生んでいる証明として、ここを拠点とする企業の資金難を挙げ、入居企業に退去を呼び掛けた。

この投稿はネット上で拡散され、削除前には閲覧数が 10 万を上回った一方、SOHO 中国は投稿が事業に悪影響を及ぼしたとして訴えを起こしていた。 北京の朝陽区の裁判所は 10 日、投稿では SOHO 中国をおとしめるために風水の「迷信」が利用されたと判断。 ブログ運営会社に 20 万元(約 330 万円)の支払いと公の謝罪を命じる判決を下した。 望京 SOHO は、2016 年に死去したイラク系英国人建築家のザハ・ハディド氏が設計を手掛けた。 (AFP = 4-14-19)


中国のホームレス大先生(流浪大師)が人気爆発の不思議

<投稿動画のアクセスで荒稼ぎする中国ブロガーたちは、儲かるなら良いも悪いも関係ない>

10 年ほど上海でホームレス生活をしていたシェン・ウエイは、自分がスーパースターになるとは夢にも思わなかった。 沈(シェン)は一時的に身を寄せる場所で、ほぼ毎日 100 人を超える人々に囲まれ取材・撮影された。 ほとんどが「快手 (Kwai)」と「TikTok」のブロガーだ。 どちらも中国産動画アプリで、スマホさえあれば誰でも簡単にミニ動画で日常の面白い瞬間を記録し投稿できる。

その便利さと面白さはもちろん、投稿動画にアクセスを集めることができれば、広告収入を期待できることが一番の魅力。 このようにネットでお金を稼ぐ方法を中国語で「トラフィックを稼ぐ」と呼ぶ。 トラフィックを稼ぐことはお金を稼ぐこと。 トラフィックが大きいほど収入も増える。 稼ぎたいブロガーは沈の所に殺到した。 沈は一番売れっ子の「流量明星(トラフィックを稼げるスター)」だからだ。

学生時代から読書好きな沈は、ホームレスをしながら毎日の読書習慣も続けている。 古典も現代文学も読む沈の言葉遣いはなかなか秀逸で、イメージは普通のホームレスと全く違う。 その意外さが人々の興味を呼び起こし、動画に沈の姿さえあれば必ずアクセス数が増え、トラフィックを保証する。

「流浪大師(ホームレス大先生)と一緒に本を読もう!」
「流浪大師(ホームレス大先生)と結婚したい!」

沈の機嫌を取るため、みな彼を「流浪大師」と呼ぶ。 他人より目立つような動画が投稿できれば、トラフィックも増えるからブロガーはみな必死だ。 中には沈の人生を捏造した人もいる。 全ては金儲けのため。 毎日ブロガーたちに囲まれていた沈は普通の生活ができなくなり、仕方なく姿を隠した。

快手と TikTok の登録ユーザーはどちらも 1 億人以上。 誰でもブロガーになれ、ブロガーになったら誰でもトラフィックとお金を稼ぎたい。 沈が隠れたのなら、次の沈を探し出せばいい。 儲けられれば誰でも「大先生」と呼んでいい。 「大先生」どころか、お父さんと呼んでも構わない。 ケ小平の「黒猫でも白猫でもネズミを捕る猫がいい猫」と同じように、良い悪いを問わず儲けられればいい - - これこそ今の中国の価値観、これこそ今の中国の不思議なのだ。 (Rebel Pepper/Wang Liming、NewsWeek = 4-12-19)

シェン・ウエイ : 元上海市統計局の公務員。 52 歳。 小さい頃、厳しい父親に趣味である歴史書の読書を許されず、自分でゴミ拾いして得た金で本を買うように。 大学で統計学を学び就職したが、職場でも節約意識からゴミ拾いを続けたため、精神に問題があると退職に追い込まれる。 02 年に住んでいた家から追い出され、ホームレスに。


中国、戸籍制度を緩和へ インフラ支出も拡大し都市化再推進

[北京] 中国の国家発展改革委員会(発改委、NDRC)は、多くの小規模都市で今年、戸籍(戸口)制度を緩和し、インフラ支出を拡大する方針を示した。 都市人口を増やし、鈍化する中国経済を活性化する狙いがある。 NDRC は、都市人口の比率である都市化率を年末までに1%以上押し上げるという目標を掲げた。

政府はかねてより 2020 年までの 5 年間で都市に 1 億人転籍させる計画を示していた。 18 年の都市化率は 59.6% だった。 NDRC はウェブサイトに掲載した文書で、今回の方針が「持続的で健全な経済発展や社会全体の安定の維持を力強く支えることになる」とした。 具体的には、人口 100 万 - 300 万人の都市については、出稼ぎ労働者や新卒者を含む外部からの転籍希望者に付与する戸籍の制限を撤廃する。 多数の省都を含む人口 300 万 - 500 万人の都市については、制限を「包括的に緩和」するとしたが、詳細は明らかになっていない。

戸籍制度は中国では国内の人口移動を管理するために長年、用いられてきた。 戸籍がなければ都市の住民であっても教育や医療など公共サービスの多くを受けられない。 一方、中国人民銀行(中央銀行)が発行する金融時報は 8 日、地方政府に対し、不動産市場の変動を阻止する政策を準備するよう呼び掛けた。 (Reuters = 4-8-19)


山火事で死亡の消防士は英雄? 称賛の中国当局に疑問視

中国・四川省で 3 月に起きた山火事で殉職した消防隊員ら 30 人の追悼式が 4 日、同省で執り行われた。 政府や国営メディアは、戦争の犠牲者らと同じ「烈士」と呼んで隊員らを称賛。 だがインターネット上では、「英雄視するのではなく、消火作業の問題点を検証すべきだ」との議論が市民らの間で起きている。

山火事は 3 月 30 日に発生した。 強風で激しく炎上し、130 ヘクタール以上が焼失。 消火に当たった消防士 30 人が現場で死亡した。 ほとんどが 10 代と 20 代の若者だった。 地元政府は 30 人に「烈士」の称号を与え、国営中央テレビは 4 日の追悼式を生中継。 習近平(シーチンピン)国家主席が捧げた花輪も映し、「祖国に身を捧げた人たちを忘れない」とたたえた。

だが、報道で当時の状況が明らかになるにつれ、隊員らが十分な休息なしに働き続けていたことへの指摘や、作業にヘリを活用すべきだったとの批判が SNS 上で相次いだ。 隊員らの装備や訓練、上司の指揮に問題はなかったかを検証すべきだとの声も上がった。 専門家からも「社会が遅れているほど、勇敢さが強調される。 『勇敢文化』を反省すべき時だ」、「樹木はまた生えるが、人は生き返らない。 消火よりも、隊員の安全を優先すべきだ。」との指摘が出ている。 (北京 = 延与光貞、asahi = 4-4-19)


中国でまた工場爆発、5 人死亡 ガス漏れが原因

中国東部の山東省青州市の工場でガス漏れによる爆発が発生し、作業員 5 人が死亡、3 人が負傷した。 地元当局が 30 日、明らかにした。 青州市当局によると、爆発は 29 日夜にパーライトの工場で発生。 死亡した 5 人全員は爆発当時、夜勤のため工場内にいた。 作業場の外にいた他の 3 人は軽傷を負い、病院で経過観察が続いている。

市当局は「事故の原因について、まず液化天然ガスが漏れていたことが分かっている。 詳細についてはさらなる調査を進めている。」とコメント。 また、事故があった工場の関係者らが地元当局から拘束されていることも明かした。 同国では 21 日にも、化学工場が爆発し、78 人の死者と数百人の負傷者が出たばかりで、ここ最近では最悪規模の労働災害となった。 (AFP = jiji = 3-30-19)

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中国江蘇省で工場爆発、44 人の死亡確認 = 負傷多数、幼稚園も被害

【上海】 中国メディアによると、江蘇省塩城市の化学工場で 21 日に起きた爆発事故で、地元当局は 22 日、44 人の死亡が確認されたと発表した。 さらに 32 人が重体となっており、58 人が重傷を負った。 このほかにも多数のけが人が出たもよう。 地元当局は「詳しい事故原因は調査中だ」と説明。 欧州訪問中の習近平国家主席は、救出に全力を挙げて取り組むよう指示した。

インターネット上では爆発の様子や、負傷した従業員、衝撃でひしゃげた乗用車の動画などが投稿されている。 当初は「死者が少な過ぎる」などの投稿も見られたが、現在は当局が書き込みを規制しているようだ。 工場は 2007 年の設立。 地元企業が運営し、200 人弱の従業員が、ベンゼンなど農薬の原料を生産していた。 工場から 1 キロ強離れた住宅地には幼稚園や小学校もあり、割れた窓ガラスでけがをするなどの被害があったもよう。 (jiji = 3-22-19)


プラダ、中国での売上低迷で株急落 高級市場に「冷たい風」

個人消費の低迷で小売ブランドが影響を被っている。 そんなニュースを、毎日のように耳にしている気がする。 ブランドは、スペクトラムの両端、つまり、トップか末尾かのどちらかであるべきであり、その中間はない。 それが長年の社会通念だと私たちは考えてきた。 ゆえに、市場の頂点という立場を確固たるものにしていたプラダが、3 月 15 日に 2018 年度通期決算報告を発表したときにはいささかの衝撃があった。 なかでもさらに衝撃だったのは、同社株価が 3 月 18 日に急落し、時価総額が 8 億 5,000 万ドル(約 940 億円)も消え飛んだことだ。

香港証券取引所に上場しているプラダの株は 3 月 18 日、11% 下落し、終値は 2016 年以来の最低水準となった。 ひとつ、確実なことがある。 これまでは個人消費の気まぐれな動向にほとんど動じてこなかったラグジュアリ・セクター全体に、身を切るような冷たい風が吹き抜けたということだ。 香港証券取引所に上場しているプラダは、アジア市場における低迷は主に、香港とマカオを訪れる中国人観光客が、人民元安を理由に支出を抑えている点に起因しているとみている。

「私たちは、戦略的リニューアルの新たな段階に差しかかっている。 わが社の歴史に対する敬意を基盤に、グループの未来を生み出そうとしている。」とプラダグループ最高経営責任者 (CEO) のパトリッツィオ・ベルテッリは述べた。 中国はこれまで、高級市場を下支えしてきた。 そのため、現在のような消費低迷は、高級ブランド業界にとって重大な影響をもたらしかねない。 中国経済は減速し、経済成長率がおよそ 30 年ぶりの低水準にとどまっている。 アメリカと貿易戦争を繰り広げている中国において、消費者はより慎重となっているのだ。

中国の景気後退

中国経済では一体何が起こっているのか? この問いかけは、世界全体にとって重大な意味を持つ。 自動車と iPhone の売上のほうが落ち込みは大きいものの、中国の裕福なミドルクラスの夫婦のあいだでは、3,000 ドルするプラダのハンドバックがほしいという気持ちが薄れていることを、プラダの業績は示唆している可能性がある。 世界全体のラグジュアリー市場は 1 兆ドル(約 110 兆 6,700 億円)と推定されており、そのうちの 30% を中国が占めている。 従って、中国の消費が停滞すれば、その影響は相当なものになるだろう。 だからこそ、プラダの業績と株価下落は由々しき事態だ。 今回の株価急落で、プラダ株の過去 12 カ月の下落率は 38% となった。

CMB インターナショナル・セキュリティーズのアナリスト、ウォルター・ウーは、中国での売上減速を受けて同社は利益予測を下げ、プラダの格付けを下げていたが、プラダの利益が予想に届かなかったという知らせはそれでも驚きだったと話す。 「2018 年第 4 四半期の中国市場は低迷していた。 その後の 2019 年最初の 2 カ月でも、売上はさほど回復していない。」とウーは述べる。 「2019 年におけるプラダの業績回復は、他のブランドよりも遅くなるだろうという予想は変わらない。 中国で製品デザインを向上させて小売事業を改善するには時間がかかるからだ。」

ひとつ確かなことは、今回の株価急落でプラダの時価総額が 10 億ドル(約 1,107 億円)近くも減ったことにより、他のラグジュアリーブランドは中国市場と中国政府の動きにますます警戒するようになるということだ。 高級ハンドバックが消費者の手に渡るまでは、もう少し待つ必要がありそうだ。 (Andrew Busby、Forbes = 3-29-19)


中国で観光バスが全焼し 26 人が死亡、28 人が重軽傷 運転手 2 人を拘束

・ 中国で高速道路を走行中の観光バスから火が出て、やがて全焼した
・ これまでに 26 人の死亡が確認され、28 人が重軽傷を負っている
・ 中国メディアによると、運転手 2 人が拘束されて事情を聴かれているという

中国の湖南省で走行中の観光バスから火が出て 26 人が死亡、28 が重軽傷を負いました。 バスは屋根まで真っ黒に焼け焦げ、窓ガラスはすべて焼け落ちてしまっています。 22 日午後 7 時すぎ、湖南省の高速道路を走っていた観光バスから突然、火が出ました。 バスには乗客 53 人、運転手 2 人、ガイド 1 人の合わせて 56 人が乗っていました。 これまでに 26 人の死亡が確認され、28 人が重軽傷を負っています。 中国メディアによりますと、運転手 2 人が拘束されて事情を聴かれているということです。 事故の詳しい状況や出火の原因はまだ分かっていません。 (livedoor = テレ朝 = 3-23-19)


ワクチン被害、訴えた母は拘束 中国、全人代は門前払い

中国の習近平(シーチンピン)指導部は開催中の全国人民代表大会(全人代)で、不正ワクチンなど人々が苦しむ問題の解決や生活の向上をアピールしている。 だが、政策に意見を反映させたいと願う人々の口は封じられ、訴えは指導者たちに届かない。 質の低いワクチンがたびたび問題になってきた中国では昨年も、吉林省の製造会社の狂犬病ワクチンに製造過程で記録の偽造などの不正が発覚。 全人代はワクチン管理法案を審議中だ。 国家薬品監督管理局の焦紅局長は 11 日の会見で「監督を強化し、問題があれば厳しく調査する。 目標は国産ワクチンに対する信頼を高めることだ。」と強調した。

だが、李克強(リーコーチアン)首相が政府活動報告で「人民の生命と健康の防衛線を断固守る」と訴えた 5 日、河南省から北京に来ていたワクチン被害者の母、何方美さん (33) は地元当局に連れ戻され、騒動挑発罪で 15 日間の拘留処分を受けた。 2 月末から政府の関係部門などでほかの被害者家族らと陳情や抗議を続け、4 日に北京中心部の王府井で募金活動をしていたところを拘束された。 (北京 = 延与光貞、asahi = 3-14-19)

前 報 (8-2-18)


英、中国人留学生らの 95 口座 計 5.3 億円相当を凍結 資金洗浄の疑い

英警察当局は資金洗浄(マネーロンダリング)の疑いで中国人留学生らが所有する 95 の銀行口座を凍結した。 金額は 360 万ポンド(約 5 億 2,968 万円)にのぼるという。 英国の国家経済犯罪センター (NECC) は声明で、留学生はバークレイズ銀行の口座を「違法な収入もしくは犯罪目的で」使用した疑いがあるという。 6 日に駐英中国大使館も同件について声明を発表し、「報道内容を検証している」とした。

NECC は、高額な銀行取引をマネーロンダリングの捜査対象にした。 違法性が認められれば、凍結した口座預金は没収される。 NECC の声明によると、送金主と受け取り主の関係性は薄く「留学生への経済的支援だと説明されているにもかかわらず、学業以外の活動のために、犯罪目的で使用されていた」という。 中国人留学生への中国からの国際送金は、マネーロンダリングのほか、英国での購入品を中国へ送付する目的でも行われていた。

中国メディア・新民網 5 日付によると、一部の在英中国系住民もマネーロンダリングの疑いで、英警察当局は銀行口座を凍結した。 留学生らは、SNS 微信で面識のないユーザーから銀行の為替レートよりはるかに「有利」なレートで両替をしていたという。 中国工商銀行の行員は米ラジオ・フリー・アジア(RFA、6 日付)に対して、現在、米英など欧米諸国はマネーロンダリングの摘発に力を入れていると述べた。 2018 年の夏以降、各国政府は 20 万元(約 333 万円)以上の送金について追跡・調査しているという。

また、中国で経営者の親が投資資金を海外留学生である子供の銀行口座に送るケースもあるという。 しかし、留学生が巨額な資金の出どころや合法性を明確にできなければ、マネーロンダリングの疑いをかけられる。 ユニバーシティ・ワールドニュース 7 日付によると、中国の銀行に勤める孫さんは、中国人留学生が中国にいる親のキャピタルフライト(資金逃避)をほう助する可能性があり「家族の背景を調査する必要がある」と述べた。 孫さんによると、現在、中国からの海外送金は上限 5 万ドルに設定されているという。

RFA によると、この 2 年間で中国からの資金流出が深刻化している。 多くの腐敗官員が資金を海外に移転し、海外の不動産市場や他の金融市場で投資をしている。 スペインの大手銀行 BBVA が 2 月中旬、同国のマネーロンダリング対策関連法に基づき、一部の中国人顧客の口座を凍結した。 (米・大紀元時報 = 3-9-19)


中国人権派弁護士、出所後家族と行方不明 当局が軟禁か

中国で 2015 年夏に人権派弁護士が一斉に拘束された「709 事件」に関連し、有罪判決を受けた北京の江天勇弁護士 (47) が刑期を終えて 2 月 28 日に出所した後、行方不明になっている。 迎えに行った家族とも連絡がつかなくなっており、支援者らは当局が軟禁しているとみている。 江氏は 16 年 11 月、709 事件の関係者に面会に行った先の湖南省で拘束された。 国家政権転覆扇動罪に問われて罪を認め、17 年 11 月に懲役 2 年の判決を受けた。

支援者らによると、出所する 2 月 28 日の朝、本人の要望に応じて友人らが河南省の刑務所に迎えに行ったが、「すでに連れられていった」と伝えられた。 当局の手配で出迎えに行った江氏の父親と妹も行方不明になり、連絡がつかなくなっているという。 (北京 = 延与光貞、asahi = 3-1-19)


クラブメッド、中国にスキー教室最大 10 カ所

仏リゾート運営のクラブメッドは、今後 1 年間でスキー教室を最大 10 カ所中国に開設する。 2022 年の北京冬季五輪を控え、政府主導の冬季スポーツ振興を商機と見ている。 同社は中国の復星集団(フォースン・グループ)の傘下にある。 1 月には仏スキー教室運営エコール・ドゥ・スキー・フランセと組んで 1 カ所目を開設した。 クラブメッドのジーノ・アンドレエッタ中国事業最高経営責任者 (CEO) は、来冬までに 5 - 10 カ所開設予定だと話した。

中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は同国初の冬季五輪が開催される 22 年までに、3 億人が氷上または雪上スポーツを楽しむという計画を承認している。 「3 億人の冬季スポーツ愛好者を育てるという、習主席のビジョンに当社は参加できる」と、アンドレエッタ氏はフィナンシャル・タイムズ紙に述べるとともに、同社のスキー教室は数千人の講師を養成できるとの見解を示した。 中国のスキーインストラクターの半数はきちんとした資格を持っていない。

中国国営メディアによると、同国には 742 カ所のスキー場があり、18 年には 39 カ所が新規開業した。 来場者数は約 2,100 万人だった。 保険から食品まで幅広く手がける復星集団は 15 年、クラブメッドを中国企業による外国企業の買収としては過去最大級の 10 億 9,000 万ドルで買収した。 クラブメッドは 18 年 12 月に香港証券取引所に復星旅遊文化集団の一部として新規上場、4 億 2,600 万ドルを調達した。

復星旅遊文化集団は 18 年上半期に、5,332 万元(790 万ドル)の調整後純損失を計上した。 売上高は 67 億元で、その 96% はクラブメッドが占めた。 アンドレエッタ氏によると、クラブメッドの世界での利用者数は 136 万人。 約 40% がフランス人で、20% が中国人。 スキー教室の他に、今後数年間に毎年少なくとも 1 カ所のクラブメッドブランドのリゾートを中国で開設する予定だと明らかにした。 現在は海辺と山岳地帯で 6 カ所を運営している。

中国は世界2位のリゾート市場

同氏によれば、中国は売上高と利用者数で世界第 2 位のリゾート市場で、どちらも「力強い 2 桁の伸び」を示している。 同氏は中国で運営するリゾートに、卓球台やマージャン卓を置くなど地元の好みを取り入れており、大半の利用者は「ミドルまたはアッパーミドル層」の核家族だという。 3 世代による利用が急速に伸びている。 「欧州では祖父母が子供や孫を招待するが、中国では両親が子供と祖父母を連れてくる。」

冬季スポーツはクラブメッドにとり、同じく中国で事業拡大を計画している仏センターパークスなど同業他社と差別化する手段の一つだ。 「中国の家族連れは雪や氷を危険だと恐れる。 我々はスキーやスノーボードを最も安全に楽しめる場を提供したい。」

しかし、同社は安全性の問題に直面している。 今月に入り復星旅遊文化集団は、中国北部ヤブリリゾートで 8 人の客がノロウイルスに感染したと発表した。 ノロウイルスは胃腸炎の最も一般的な原因で、嘔吐や下痢を引き起こす。 感染についての報道がインターネット上で広まった後、復星集団の郭広昌会長はヤブリで、「いかなる管理上の問題も許さない」と述べた。 (Tom Hancock、Tom Hancock、Financial Times = 2-25-19)


中国でまた! 飛行機に硬貨投げフライトキャンセル

中国ネットもあきれる

2 月 22 日、新京報によると、乗客が飛行機に向かって硬貨を投げたことで、フライトが中止になる騒動があった。 記事によると、騒動があったのは 17 日夜。祥鵬航空の安慶発昆明行きの 8L9960 便で、乗客の搭乗中、機体付近に 2 枚の硬貨が落ちているのをスタッフが発見。 機内アナウンスで尋ねたところ、乗客の若い男性が名乗り出て、安全祈願で飛行機に向かって硬貨を 2 枚投げたことを認めた。 安全上の問題からこのフライトは中止となり、男性は行政拘留処分となったという。 中国では過去にも「安全祈願」を理由に乗客がエンジンなどに硬貨を投げ込む事例がたびたび発生している。

これに対し、中国のネットユーザーから「高齢の人だけが迷信からこういうことをするのかと思っていたが、若者も同じとは思いもしなかった」、「おばあちゃんがやってしまうならまだしも、若者まで。 一体何を考えているんだ?」などのコメントが寄せられた。 また、「無知って本当に恐ろしいな」、「拘留では効果ない。 巨額の罰金にしないと。」などの意見が!

「この人はよく分かっている。 警察に行けば確かに安全だ。」、「確かに安全は保障された。 フライトがなくなれば事故も起きない。」と飛行機の安全性に対する皮肉めいたコメントもあった。 ほかには、「おばあちゃんが硬貨を投げた時は警告で済んだ。 なぜ今回は拘留なんだ? しかもおばあちゃんの時はエンジンに投げたが、今回は地面に落ちていただけなのに」との疑問の声や、「これは細かいところまでよく見ていたスタッフにいいねを送る」というユーザーもいた。 (RecordChina = 2-24-19)


中国では 2020 年までに農村地でもキャッシュレスが浸透

中国では、かなり遠くの小さな村の住人も日々の細々とした支払いをスマホで済ませられるようになるかもしれない。 中国政府は今月、2020 年末までに農村部のどこででもモバイル支払いができるようにする、と発表した。 この計画は、中国のトップ 5 の規制団体(中央銀行、銀行・保険規制委員会、証券監督管理委員会、財務省、農業農村部)が共同で発行したガイドライン(リンク先は中国語)に基づくもので、農村部の住人がオンラインの金融サービスにアクセスしやすくするためのものだ。

肥料を購入するためのローンからデベロッパーへの土地リースまで、農村部の暮らしをデジタル化するというのが理想で、これにより中国は小さな町や田舎の経済を活性化できるかもしれない。 田舎に住む何億もの人が夢や稼げる仕事を求めて都市部に流れ込んできているが、2017 年時点では中国全国の人口の 42% が農村部に暮らしている。

デジタル決済は大都市ではすでに一般的になっているが、地方においては成長余地はまだだいぶ残っている。 中央銀行が発表したレポートによると、中国全土では 2017 年に成人の 76.9% がデジタル支払いを利用した。 しかし農村部に限ってみると 66.5% だった。

デジタル支払いを進める取り組みは、中国のその年の優先課題を概説するナンバー・ワン・ドキュメントに基づいている。 過去 16 年間、中国はこの文書では農村部の経済を優先に扱ってきて、デジタルの取り込みは主要目標の一つであり続けている。 より具体的にいうと、政府は地方行政にインターネットの浸透、公共サービスのデジタル化、農村部の産品の大都市の消費者への販売を強化してほしいと考えている。

そうした方針は民間企業に大きな機会をもたらしている。 テック界の重鎮 Alibaba と JD.com はすでに数年前に大都市以外にも目を向け始めた。 両社とも地方の行政とロジスティスティックネットワーク構築で協力するとともに、農家が物品を売買できるオンラインチャネルをセットアップした。

特に Alibaba は、農村部の小売販売業者にマーチャンダイジングやマーケティング、サプライチェーンツールを提供する Huitongda に投資した。 Alibaba は過去 3 年で最も低い成長率の売上となったにもかかわらず、農村部でユーザー数を著しく増やしている。 同様に、JD への中国第 3、4 の都市からの注文は、北京や杭州のような第 1、2 の都市からのものよりも 20% 早く成長している、と同社は 2017 年に述べている。

他の小売業者も、農村部や中小の町でのサービスに初期に参入した。 Alibaba と JD のすぐ後ろにつけている新興の e コマーススタートアップ Pinduoduo は、安い製品を売ることで未発展の地域で先行者利益を得た。 TikTok の中国バージョン Douyin をライバルとしている、Tencent が支援するビデオアプリ Kuaishou では農家が田舎暮らしを披露し、ライブストリーミングで生産物を販売することができるとあって、密かに人気を博している。 (Rita Liao、TechCrunch = 2-23-19)

関連記事 (9-2-18)


中国の「象牙女王」、タンザニアで禁錮 15 年の実刑

東アフリカのタンザニアで象牙の密輸にかかわり、「象牙女王」とも呼ばれた中国人の女に対し、同国の裁判所が 19 日、禁錮 15 年の実刑を言い渡した。 タンザニア当局が CNN に明らかにした。 判決を言い渡されたのは中国人のヤン・フェン・グラン被告 (70)。 象牙 860 本(約 645 万ドル = 約 7 億円相当)の密輸にかかわった罪で有罪判決を受けた。 共謀者とされるタンザニア人 2 人にも、同時に判決が言い渡された。

被告らはタンザニアの自然保護法に違反した罪にも問われ、密輸した象牙の 2 倍に当たる 1,290 万ドルの罰金を命じられた。 裁判所によると、被告らは判決を不服として控訴しているという。 検察によると、ヤン被告は中国とタンザニアのエリート層との人脈を利用して、東アフリカと中国を結ぶ供給網を確立、世界を横断する象牙の取引を行っていたとされる。

ヤン被告は 2015 年 9 月にタンザニアの最大都市ダルエスサラームで逮捕されていた。 同被告は 1975 年、ダルエスサラームとザンビアを結ぶ鉄道を建設していた中国の建設会社の通訳としてタンザニアに渡航。 中国人の中でもいち早く、流ちょうなスワヒリ語を身に着けた。 98 年、ダルエスサラームに開店したレストランは中国人や地元の富裕層の間で人気が高まり、当局によると、ヤン被告はこの店などを象牙の違法取引の拠点として利用していた。 (CNN = 2-20-19)


市販の水餃子からアフリカ豚コレラのウイルスを検出

当局が本格的調査に着手 - 湖南

湖南省湘西土族苗族自治州内のスーパーで売られていた冷凍水餃子から、アフリカ豚コレラのウイルス DNA が検出されていたことが分かった。

湖南省湘西土族(トゥー族)苗族(ミャオ族)自治州内のスーパーで売られていた冷凍水餃子から、アフリカ豚コレラのウイルス DNA が検出されていたことが分かった。 中国メディアの界面が 2019 年 2 月 16 日で報じた。 州内の複数のスーパーが扱っていた冷凍食品のサンプル計 12 点から、三全灌湯水餃という名の商品 3 点から、アフリカ豚コレラのウイルス DNA の陽性反応を示したという。 製造元は河南省鄭州市に本社を置く三全食品有限公司で、当局は 15 日までに、該当する出荷番号のある商品すべてを販売店の棚から撤去させるなどの対策を取ったという。

同問題は、インターネットで情報が出回ったことで広く知られるようになった。 当局は、インターネットの情報には正確でない部分があるとした上で、三全灌湯水餃の商品サンプル 3 点にアフリカ豚コレラのウイルスの陽性反応が出たことは事実と認めた。 当局は、ウイルスが含まれている恐れのある食品の数量についてはまだ把握しておらず、調査を進めているという。 三全食品の創業は 1993 年。 中国で最も早く冷凍食品の製造を始めた企業の一つで、同業者の中では会社規模も市場ネットワーク規模も最大級という。

中国では 2018 年夏から、アフリカ豚コレラの発生確認が多く伝えられるようになった。 現在確認できるものだけでも、同年 12 月には全国 20 カ所で感染発生の発表や報道があった。 2019 年になっても感染の発生確認は続いている。 なお、アフリカ豚コレラは豚やイノシシに特有の病気であり、人には感染しない。 そのため、冷凍食品にウイルスが混入していても消費者への健康被害はさしあたって心配する必要はないが、中国ではこれまでも大手食品会社の製品からウイルスの混入が確認された例があり、感染拡大防止のための防疫体制に不備が存在すると言わざるをえない状況だ。 (如月隼人、ReocrdChina = 2-17-19)

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中国、豚コレラ感染拡大 北京など 20 省市で

【大連 = 原島大介】 中国で家畜伝染病の「アフリカ豚コレラ」が猛威を振るっている。 既に遼寧省や重慶市など 20 省市に感染が拡大。 政府の対応策も後手に回り、収束の見通しは立たない。 豚肉を巡っては、米中貿易戦争の中で米国への報復措置として米国産豚肉への追加関税を課す。 中国は世界最大の豚肉大国だけに、一連の問題は経済に影響が出かねない。

「感染状況は依然として深刻で、さらなる対策強化が必要だ。」 農業農村省(日本の農林水産省に相当)は 14 日、豚コレラの感染地域の拡大に危機感をあらわにした。 その上で管理や検疫を厳格化し、感染拡大の防止を指示したという。 しかし、それをあざ笑うかのように 23 日には北京市も感染が確認されたと発表。 感染地域は 20 省市にまで広がった。

豚コレラはブタやイノシシに感染し、発症すると発熱や全身の出血などを起こし、致死率が極めて高い伝染病。 人には感染しないとされる。 中国では 8 月、東北部の遼寧省瀋陽の養豚場で 47 頭が発病したことで発覚。 政府はブタを大量に殺処分したり輸送制限をしたりして感染防止策を施し、当初は「疫病の発生は抑制できている」とみていた。

ただ、その後も江蘇省、貴州省、重慶市など全国で感染例が続出。 ブタを輸送するトラックの消毒が不十分なほか、ヤミ業者が感染地域のブタを横流しするなどの問題が頻発しており、感染拡大が収まる様子はみえない。 問題が長引けば、打撃を受けかねないのが経済だ。 中国は豚肉生産量(2017 年)が 5,340 万トンと、全世界の約 5 割を占める豚肉大国。 それだけに自国産の豚肉だけではまかなえず、一部を輸入に頼ってきた。 ただ中国は 7 月、米国との貿易戦争に伴う報復措置として、米国産豚肉に 25% の関税を上乗せした。 追加関税で割高になる米国産を減らし、自国産の増産で補うつもりだったが、豚コレラの発生でもくろみが崩れた。

既に畜産業は打撃を受けている。 深セン取引所上場で養豚業を営む雛鷹農牧集団は 11 月、発行済み社債の返済ができず、債務不履行に陥った。 豚肉加工最大手の万州国際も 18 年 1 - 9 月期の最終利益が 3% 減った。 いずれも米中貿易戦争と豚コレラ問題が要因だ。 今後は、豚肉価格の上昇リスクも抱える。 今年はもともと豚肉の供給量が多く、価格は下落基調だった。 ただ豚コレラの発生で需給が逼迫したため、豚肉の小売価格は 8 月は 6.5%、9 月は 3.7% とそれぞれ前月を大きく上回るようになった。

豚コレラ問題が収束しなければ、価格の上昇が今後も続く見通しだ。 豚肉は中国人の食卓に欠かせない食材なうえ、牛肉などに比べると割安で代用が利きにくい。 賃金が伸び悩むなか家計への圧迫は避けられず、政府は難しいかじ取りを迫られている。 (nikkei = 11-27-18)