日本と中国を結ぶ 12 航空路線で全便欠航

日本と中国とを結ぶ 12 の航空路線で、全ての便が欠航となっていることがわかりました。 中国の複数のメディアによりますと、24 日午前 10 時時点で、日本と中国とを結ぶ航空路線のうち、杭州 - 名古屋間や南京 - 福岡間など合わせて 12 路線で、全ての便が欠航となっているということです。 また、日本行きの便全体の欠航率が 27 日までに 21.6% に達する見込みだということで、中国人に最も人気のある海外旅行先が日本から韓国に移ったとしています。

中国政府は高市首相の台湾有事に関する国会答弁に反発し、日本への渡航を控えるよう呼びかけていて、中国国際航空など複数の航空会社が日本行きの便のキャンセルを無料で受け付けるなどの対応をとっていました。 (FNN = 11-24-25)


「キャンセル 50 万枚」でも止められず、日本旅行を楽しむ中国人たち - 台湾メディア

台湾メディアの自由時報は 21 日、「キャンセル 50 万枚」でも止められず、中国人が日本旅行を楽しんでいると報じた。 記事は、高市早苗首相の台湾をめぐる発言に反発した中国当局が、14 日に国民に向けて「日本への渡航を控えるように」と呼び掛けたと説明。 「複数の報道によると、15 日以降、中国の航空会社では日本行きの航空券がすでに 50 万枚以上キャンセルされ、損失は数十億元に上ると推計されている」と伝えた。

一方で、「それでもなお日本に行く旅行者は少なくない」と指摘。 中国の SNS・小紅書 (RED) に寄せられた「11 月 17 日、無事に日本に入国完了。 機内は空席が目立ち、人が少なかった。 入国手続きはとてもスムーズで、難癖をつけられることも一切なかった。 送迎サービスも便利で、関西空港からホテルまで直通だった」との投稿を紹介した。

また、「無事日本に到着。 (上海)浦東空港ではじいさんばあさんの団体客にも出会った。 現実世界では何の影響もない。」、「実際に現地に着くと、中国人旅行客は少なくなく、機内にも 30 人ほどの団体旅行客が 2 組乗っていた」といった小紅書への投稿のキャプチャ画像も掲載している。 ほかにも、東京や大阪を訪れた中国人観光客らが「街の雰囲気にこれまでと大きな違いは見られない」と投稿していることを伝えた。

記事は、こうした投稿が中国のネットユーザーから非難を浴びており、「行くなと言われるほど行くやつが出てくる」、「いざ戦争になったら、そこで足止めされるだけ」、「その時になって大使館に泣きついて『私は中国人です』と言うんだろ」、「日本を制裁すると言っている時に、わざわざ相手に金を届けに行くとは」といったコメントが寄せられたことを伝えている。 (北田、Record China = 11-21-25)


中国国際航空が日本便を減便へ、春節休みも 関係者が語った理由は

中国国有大手の中国国際航空が、今月末から 3 月にかけて予定されていた日本発着の航空便を減便することが分かった。 日本発着便に関わる同社の複数の担当者が認めた。 春節(旧正月)の大型連休の期間も含まれているという。 「機材繰りがつかなかった」などと説明しているが、高市早苗首相の台湾有事に関する国会答弁をめぐり、中国政府が日本への渡航自粛などを呼びかけたことが影響した可能性が高い。

同社など中国の航空大手3社は 15 日、中国外務省が日本への渡航の自粛を呼びかけたことを受けて、日本行きの航空便のキャンセルや変更手続きに、無料で対応するとの公告を出した。 同社はキャンセル関連の情報を公表していないが、中国版のインスタグラム「小紅書」上ではその後、同社から予約した便が欠航になったとする通知を受け取ったという人の投稿が相次いでいる。 こうした投稿のうち、取り消されたとする便名を特定して投稿されていた上海発大阪着の CA163 便と、東京発重慶着 CA434 便について、同社の複数の問い合わせ窓口に運航状況を尋ねた。

窓口の回答によると、二つの便は現在いずれも毎日運航しているが、CA163 便は 11 月末から来年 3 月 28 日まで、金、土曜日のみの運航に変更された。 同社関係者は「(表向きは)『機材の都合』と説明しているが、実際は昨今の状況を考慮した」と説明した。 また CA434 便は、「機材繰りが原因」とし、12 月から 3 月 28 日まで金 - 月曜日の週 4 便の運航に減らすという。

中国の SNS で広がる不安の声

日本発着便に携わるさらに別の同社関係者は、減便は 1 割ほどと説明。 予約が大量にキャンセルされたとし、「利益が出ない便は企業として調整する必要がある」と話した。 減便が決まった期間に含まれる春節の大型連休では、例年多くの訪日客を乗せている。 この期間の減便は同社に打撃となるとみられるが、国有企業であることから政府の意向をくみ取って減便に踏み切った可能性がある。 中国の SNS 上では、便を変更することについて「面倒くさすぎる」との不満や、「一番心配なのは日本に行った後に帰りの便が取り消されることだ」といった不安の声が上がる。

他の航空会社では、四川航空が来年 1 月から運航再開する予定だった成都 - 札幌間の運航計画を取り消している。 現地メディアによると、来年 1 - 3 月の間に運航する予定だった。 予約した便が取り消されないか、他の中国の航空会社の日本行きの航空券を購入した人にも不安は広がっている。 中には「中国国際航空が取り消されたら全日空のチケットを買おう」という人も。 日本の航空会社を選ぶ人が増えると予測し、「日本航空や全日空はうれしいだろう」と投稿する人もいた。 (瀋陽・岩田恵実、asahi = 11-20-25)


中国政府、日本産水産物の輸入停止を通達

中国政府が日本政府に対し、日本産水産物の輸入を停止すると通達していたことがわかりました。 日本の政府関係者によりますと、中国政府が19 日朝、日本産水産物の輸入を停止すると日本政府に通達したということです。 日本から中国への水産物の輸出をめぐっては、2023 年の福島第一原発の処理水放出以降、停止されていましたが、今月5日、北海道産のホタテの中国への輸出が再開したばかりでした。 (日テレ = 11-19-25)

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日本産水産物、中国へ出荷再開 北海道産ホタテ 6 トン発送

木原稔官房長官は 7 日の記者会見で、北海道産のホタテ約 6 トンが、中国に向けて 5 日に発送されたと明らかにした。 東京電力福島第一原発の処理水放出を機に中国が輸入を禁止していた日本産水産物の出荷が再開された。 中国政府は 2023 年 8 月に福島第一原発の処理水が海洋放出されたことを受けて、すべての日本産水産物の輸入を停止したが、今年 6 月に福島など 10 都県産を除き輸入を再開するとしていた。 木原氏は今回の出荷について「政府として前向きに受け止めている」と述べた。 今後は、10 都県産の水産物の輸入再開も中国側に求めていく考えを示した。 (田嶋慶彦、asahi = 11-7-25)

前 報 (7-18-25)


「日本行きやめるべき?」ネット投票も  中国 SNS で割れる意見

高市早苗首相の台湾有事に関する国会答弁をめぐって日中の緊張が高まる中、日本への渡航自粛などを呼びかけた中国政府の措置を受けて、渡航をキャンセルする動きが出てきた。 そんな風潮だけど、日本に行っていいの …? 中国の SNS 上では、意見が割れている。

「あなたならキャンセルする?」

中国版インスタグラム「小紅書」に投稿された、航空券の予約画面の写真。 11 月 20 - 27 日に北京 - 東京間を往復するものだ。 投稿した人物は SNS の投票機能を使って意見を募っているが、日本時間 17 日午後 7 時半の時点で呼びかけに沿って「キャンセルする」を選んだ人は約 140 人だけだったが、「キャンセルしない」とした人は 500 人を超えていた。

投票結果は … 日本在住? のユーザーから投稿も

日本への渡航を実際に計画していたという他のユーザーたちも、判断に迷う心境を相次いで投稿している。 国有企業に勤めているという人は、「11 月末に日本に遊びに行ったら、仕事に影響するでしょうか?」と SNS 上で意見を求めている。 月末に航空券を予約しているとする人は「来週までに緩和するニュースが出てほしい」と期待をつづっている。

「愛国心を示す」、「行くのは自由」

中国外務省は呼びかけで、「中日間の人的交流の雰囲気が著しく悪化した」として「日本にいる中国人の身体と生命の安全に重大なリスクが生じた」と主張した。 呼びかけを受けて、中国の複数の旅行社は 11 月中の日本行きのツアーを中止するなど、自粛の動きが広がりつつある。 とりわけ地方も含めた政府や国有企業など公的機関とそこで働く人々の間では、その傾向が強いとみられる。

小紅書でも、こうした呼びかけなどを理由にあげて、「日本のビザは下りたけれど、やはり今回は行かないことにした」と渡航を断念すると明かした人もいた。 さらに、「これは政治問題だ。 中国人の政治の立場として、日本には基本的には行かない」、「日本に行かないのも小さな愛国心を示す行為だ」と、方針を積極的に支持する声もあった。

一方、日本から帰国したばかりという人は、外務省の呼びかけた内容を受けて「そんな雰囲気は感じられず、すべてが正常だった」と投稿。 日本在住とみられる人も「実際は何の変化も起きていない」と投稿している。 「(渡航自粛を呼びかけた)外務省は外務省の仕事をしていると理解すべきだ。 日本に行くのは自由だということも理解すべきだ」などと冷静に呼びかける投稿もあった。

中国社会では政府の方針を敏感に感じ取って同調する動きも目立つが、政治と民間の動きを切り分けて考える人も少なくない。 日本行きを望む人たちは、方針や勤め先などの意向、ネット世論の風向きなどを見ながら、慎重に渡航の可否を見極めているようだ。 (瀋陽・岩田恵実、asahi = 11-18-25)


映画「クレヨンしんちゃん」中国で公開延期に 高市氏の答弁に対抗か

中国国内で近日中に上映される予定だった「映画クレヨンしんちゃん 超華麗! 灼熱のカスカベダンサーズ」などの日本映画が 17 日、公開延期となった。 同日、湖北省の政府系メディア「極目新聞」など複数の中国メディアが伝えた。 クレヨンしんちゃんは当初、12 月 6 日に公開予定だった。 人気マンガを実写映画化した「はたらく細胞(11 月 22 日公開予定)」も延期となった。 極目新聞によると、ある映画配給会社は 17 日午後、公開を取りやめるよう「通知があった」という。 高市早苗首相の「台湾有事」をめぐる国会答弁に対する対抗措置とみられる。 (上海・里見稔、asahi = 11-17-25)


中国の複数の旅行社、日本ツアーを中止 政府の訪日自粛要請受け

中国政府が日本への渡航自粛を呼びかけていることを受け、中国の複数の旅行会社が 17 日までに、日本行きのツアーを中止したことがわかった。 中国東北部遼寧省の旅行社は 17 日、11 月中の日本行きのツアーは全て取り消したことを朝日新聞の取材に明らかにした。 同社の関係者は「12 月以降のツアーを再開するかどうかは現時点では分からない」と話した。 11 月のツアーを取り消した北京の別の旅行社の関係者は「(中国)政府が日本に行くなと要求しているので、私たちは呼びかけに応じないといけない」と話した。

台湾問題をめぐって日中間の緊張が高まるなか、中国外務省が 14 日に日本への渡航の自粛を要請したのに続き、16 日には旅行業を管轄する文化旅行省が日本への旅行の自粛を呼びかけていた。 日本の観光庁によると、2024 年の中国人観光客のうち、ツアー客は 11.9% という。 (瀋陽・岩田恵実、asahi = 11-17-25)


「日本留学慎重に」中国が呼びかけ、台湾有事の首相答弁で対抗措置か

中国教育省は 16 日、中国国民に対し、日本への留学を慎重に検討するよう呼びかけた。 「中国人を狙った犯罪が多発し、安全リスクが高まっている」と説明している。 高市早苗首相の台湾有事に関する国会答弁への対抗措置とみられ、中国外務省が日本への渡航を自粛するよう呼びかけたのに続く措置。

教育省の発表では、すでに日本に滞在している留学生や、近く留学する予定の人にも、現地の治安状況に気を配り、防犯意識を高めるよう注意喚起した。 中国人を狙った犯罪が多発しているという主張の根拠は示していない。 日本学生支援機構によると、昨年 5 月時点で日本の大学や語学学校で学ぶ中国人留学生は 12 万 3,485 人。 国・地域別では中国が最も多く、全体の 36.7% を占める。 (北京・井上亮、asahi = 11-16-25)


中国、日本渡航自粛を呼びかけ 高市首相発言で安全に「重大リスク」

中国外務省は 14 日夜、中国国民に対して当面日本への渡航を自粛するよう呼びかけた。 「日本の指導者が台湾に関して露骨に挑発的な発言をした」と指摘しており、台湾有事が「存立危機事態」になり得るとの見解を示した高市早苗首相の国会答弁への対抗措置とみられる。 事態はビジネスや観光の往来の減少など、実質的な影響が出かねない段階に発展した。

中国外務省は呼びかけで、「中日間の人的交流の雰囲気が著しく悪化した」として「中国人の身体と生命の安全に重大なリスクが生じた」と主張。 呼びかけを受けて、中国の大手国有航空会社 3 社は 15 日、日本行きの航空券のキャンセルや変更手続きに無料で応じるとの通知を出し、四川航空、廈門(アモイ)航空、海南航空といった地方の航空会社も追随している。 日本政府観光局によると、今年 1 - 9 月の中国人訪日客は約 748 万人と、国・地域別で最も多い。

一方、木原稔官房長官は 15 日、新潟市で記者団に対し「首脳間で確認した戦略的互恵関係の推進と、建設的かつ安定的な関係の構築という大きな方向性と相いれるものではない」との認識を示し、中国側に対して「適切な対応を強く求めた」と明らかにした。 外務省関係者によると、今回の中国側の渡航自粛要請をめぐっては金井正彰アジア大洋州局長が 15 日に在日中国大使館次席公使に対し、措置は不適当だとして適切な対応を求めた。 木原氏は「日本側は立場の違いがあるからこそ、重層的な意思疎通が重要だと考えている」と指摘。 「政府として引き続き状況を注視し、適切な対応をとる」としている。

中国側は、高市首相が 7 日の衆院予算委員会で、台湾有事が日本の集団的自衛権を行使できる「存立危機事態」になり得るとの見解を示した後、翌 8 日に水面下で日本側に申し入れをしたものの、すぐには強く反発しなかった。 だが、13 日夜に孫衛東外務次官が金杉憲治・駐中国大使を呼び出して「厳正な申し入れと強烈な抗議」を行い、急速に態度を硬化させた。

日本側も船越健裕外務事務次官が 14 日午後、呉江浩・駐日中国大使を呼び出し、中国の薛剣在大阪総領事が「汚い首は斬ってやるしかない」などと SNS に投稿したことに強く抗議した。 ただ、中国側は首相答弁に根本原因があるとしてあくまで日本側の責任を強調している。 双方が妥協しなければ事態がさらに悪化したり、膠着したりする恐れがある。

台湾が中国を非難

台湾総統府は 15 日に報道官談話を発表し、「政治目的に基づき日本に対し様々な複合的威嚇を行っており、インド太平洋地域の安全と安定に重大な脅威をもたらしている」と中国を非難。 「不適当で一方的な行為を直ちにやめることを期待する」と表明した。 また、台湾国防部(国防省に相当)によると 15 日、中国軍の戦闘機や無人機など延べ 17 機が中台間の中間線を越えて台湾側に侵入した。 (井上亮・北京、田嶋慶彦、asahi = 11-15-25)



中国、処理水巡り日本の無責任な行為に反対

【釜山】 中国の王毅外相は 25 日の上川陽子外相との会談で、東京電力福島第 1 原発処理水の海洋放出を巡り「日本の無責任な行為に反対する」と表明した。 中国外務省が発表した。 (kyodo = 11-25-23)


日中局長級が海洋問題協議 日本、処理水めぐり禁輸撤廃を要求

日中両政府は 13 日、両国間の海洋問題を外交当局の局長級らが話し合う「日中高級事務レベル海洋協議」を中国江蘇省で開いた。 同日、外務省が発表した。 東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出をめぐり、日本側は「科学的根拠に基づかない中国側の措置はまったく受け入れられない」として、日本産水産物の全面禁輸の早期撤廃を求めた。

同協議は定期的に開かれており、8 月の処理水放出後は初めて。 水産庁や海上保安庁なども参加している。 外務省によると、協議では処理水問題のほか、東シナ海、南シナ海情勢についても議論した。 日本側は、沖縄・尖閣諸島周辺への中国海警局の公船による領海侵入を止めるよう求めたほか、東シナ海の日本の排他的経済水域 (EEZ) へのブイの設置に対して抗議。 日本周辺の海域で中国が軍事活動を活発化させていることに対し、深刻な懸念を表明したという。 (高橋杏璃、asahi = 10-13-23)


日本の処理水放出に猛反発していた中国が方針転換? 「解決」に向けて動き出した背景は… 仏メディア

2023 年 10 月 4 日、仏国際放送局 RFI (ラジオ・フランス・アンテルナショナル)は、東京電力福島第一原発の汚染処理水海洋放出に猛反発していた中国がソフトランディングに向けた「方針転換」に乗り出したとする記事を掲載した。

記事は、日本が 8 月 24 日に福島原発の処理水の海洋放出を開始した際に中国が特に激しく反発し「核汚染のリスクを全世界に露骨に転嫁するもの」と日本政府を批判したとする一方で、放出開始から 1 カ月で日本の環境省が福島周辺の海水を計 6 回検査した結果、すべての場所でトリチウム濃度が検出下限値以下であり、セシウム 137 などのガンマ線核種の濃度も検出限界値以下だったと伝えた。

また、中国による日本産水産物の全面輸入禁止は、日本にとって中国市場での損失にとどまり、日本国内では「風評被害」が発生しないばかりか福島産を含む日本各地の水産物が非常によく売れていると指摘。 逆に中国では「水産物離れ」が起き、中国の水産業に大きな打撃を与えているとした。 さらに、このまま「日本にこの悪行をやめるよう求める」と主張し続けても日本が応じる見込みはない上、日中関係に新しい大きなしこりを残して双方が損をすることになることから、「中国は近ごろ海洋放出への批判を徐々に弱めつつ、問題を解決する新たな方法を探ろうとしている」との見方を示した。

その上で、東京のホテルで 9 月 28 日に開かれた在日中国大使館主催の中華人民共和国建国 74 周年・日中平和友好条約締結 45 周年記念レセプションでスピーチした呉江浩(ウー・ジアンハオ)大使が海洋放出の問題に言及しなかったことを指摘。 また、これに先立つ同 23 日に東京の華僑総会が主催した中国建国 74 周年・日中平和友好条約締結 45 周年記念集会の席で呉大使が「中国による日本産水産物の輸入停止は一時的なもの。 問題が解決され、長期的に有効な安全性が確保されれば、それ以上輸入を停止して日本の漁業関係者を苦しめることはない。

そして中国の漁業者も被害者だ。 だから私たちは今、効果的で権威ある国際的な試験を通じてこの問題が一刻も早く解決されることを望んでいる」と述べたことを伝え、「処理水の海洋放出による日中対立に対して、中国側が『不正行為の中止要求』から『効果的かつ権威ある国際的な調査による問題解決』に重点を移そうとしていることが分かる」と論じた。 記事は、海洋放出開始後に中国の専門家を含む新たな「国際監視メカニズム」が確立され、独自に福島周辺に赴いて海水や魚のサンプルを採取し、そのデータを独自に分析した報告書やデータが発表された形跡はないと紹介。 もし、中国を含めた国際的なメカニズムが構築されれば、政治的・外交的な要素を多く含むこの問題は解決されるかもしれないと結んだ。 (川尻、Record China = 10-6-23)


中国、水産物の禁輸や非難継続 情報統制も、不満爆発を警戒

中国は、東京電力福島第 1 原発の処理水海洋放出を受けた日本産水産物の禁輸を続け、放出を非難する立場も維持している。 ただ当局は、対日批判が過熱し過ぎて大規模抗議行動を引き起こし、低迷する経済への国民の不満が爆発する事態に発展することを警戒、処理水問題に関する過剰な言動は国内で情報統制している。 国営中央テレビは 5 日、2 回目の放出を速報。 国営通信新華社は英語で「地元漁業者や他国の懸念、反対が高まっているにもかかわらず」 2 回目を始めたと批判した。 5 日昼時点で、2 回目開始の話題は短文投稿サイト微博(ウェイボ)の検索上位に入っていない。

8 月 24 日の 1 回目の放出開始後は、日本への迷惑電話が激増。 ただ日中外交筋によると、中国当局は同月下旬から国内のインターネットで、反日を過剰にあおる言論への統制を始めたもようだ。 同筋によると、中国が禁輸緩和に動く気配はない。 香港政府環境生態局の謝展寰局長も 4 日、10 都県の水産物の輸入禁止措置を継続する方針を表明。 「短期的には(措置を)緩和する可能性はない」と語った。 (kyodo = 10-5-23)


「日本は嫌いだけど」 中国から福島に迷惑電話かけた 18 歳の本音

「小学校のころから歴史問題が理由で、ずっと日本が嫌いだった。 日本人と会話すること自体も人生で初めてです。」 中国北方の海寄りの地域に住む 18 歳の男性は、電話口で語り始めた。 男性はその 6 日前、中国から福島県内のラーメン店に電話していた。 東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出が始まったことに抗議するためだった。 高校卒業後は進学せずに働いているという。 なぜ福島の店に「迷惑電話」をかけたのか - -。 男性は時折詰まりながらも、その経緯を明かした。

多くの日本人が、処理水放出の決定に賛成しているというニュースを見た。 「ネット上で、この番号に電話している人を見て、自分もかけてみようと思いました。」 なぜ賛成なのか、直接聞いてみたかったという。 ただ、その時点で結果の重大性には気づいていなかった。 「電話は、放出が始まった 8 月 24 日、福島の店に 1 回だけかけました。 電話をかけたら、先に店の人が日本語で話し始めてしまって、何も話せなかった。 そのまま電話が切れました。」

男性が電話した福島の店は、系列 4 店で 1 千件以上の電話が殺到した。 一時は電話線を抜かざるを得なくなるなどの大きな被害を受けた。 そのことを伝えると、「そんな大変なことになっていたとは思わなかった」と申し訳なさそうに話した。 男性の電話番号は、記者がラーメン店から教えてもらったうちの一つだった。 最初にかけた際、電話口には罵声が響いた。 「福島に迷惑電話したから何だ? 取材なんか受けるか! バカヤロウ!」

中国のチャットアプリ「微信」(ウィーチャット)で相手とつながることができたが、返ってきたのは、「私たち中国人は日本人のことを恨んでいる。 取材しても意味はない。」とのメッセージだった。 記者の母は中国人で、父は日本人。 処理水の問題で日中双方の市民がののしり合っていることに胸を痛めていた。 少しでも溝を埋めるために、中国人の考えを聞きたい - -。 接触を続けた結果、男性から折り返しの電話がかかってきた。

通話は 30 分近く続いた。 記者は、ネット上では日本人の「反中国」的なコメントが目立つかもしれないが、そう思っていない人もいると信じてほしい、とも伝えた。 男性はこう応じた。 「これからも日本が嫌いなのはたぶん変わらない。 でも、あなたと話せて良かった。 もし今度は迷惑電話という形ではなく、日本人と話す機会が再びあれば、元々の印象で決めつけずに話してみたいと思う。」 通話後、男性は「日本でもマージャンは人気ですよね」と書き添えて、自分が笑顔でマージャンをしている動画を送ってきた。 記者はこう返信した。 「いつの日か、あなたとマージャンで遊べる日が来ることを楽しみにしています。」 (小川尭洋、asahi = 9-21-23)

〈編者注〉 この記事から読み取れることは、中国や中国メディアが、何の説明も無く、単に「核汚染水」と伝えたことが、この迷惑電話を引き起こす最大の要因になった、ということでしょう。 核汚染水が放出されるのであれば、中国人ならずとも誰でも怒ります。 中国人からの電話は、「どうして日本人は怒らないのか」との疑問からだったことで大幅に増えたと考えることができます。 このパワーは、現中国体制を脅かすものでもあることに気づいているのでしょうか?


中国の日本産水産物輸入、8 月は 67% 減 処理水放出後の禁輸が影響

中国の税関総署は 18 日、日本から輸入した水産物の総額が 8 月に 1 億 4,902 万元(30 億 2 千万円)となり、前年同月から 67.6% 減ったと発表した。 東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出を受けて、8 月下旬に中国が始めた日本産水産物の全面禁輸が影響した。 日中間で政治的な解決に向けた道筋は描けておらず、影響は長期化する可能性がある。

中国は処理水の放出計画に反発し、7 月上旬から日本の水産物に対する放射性物質の検査を厳しくした。 日本の水産物の通関に時間がかかるようになり、鮮度が落ちると売り物にならない鮮魚を中心に実質、輸入が止まった。 7 月に前年同月比 28.5% だった減少幅は、8 月 24 日から始まった全面禁輸でさらに拡大。 冷凍ものの輸入まで禁止されたことで、中国への輸出が多かったホタテなどが打撃を受けたとみられる。

農林水産省によると、昨年の中国向けの水産物輸出額は 871 億円。全体の約 2 割を占める最大の輸出先だ。 中国側の統計では、今年も 2 - 6 月は日本産海産物の輸入額が前年を上回り好調だったが、処理水問題で反転。 9 月以降は禁輸の影響が月全体を通して出るため、中国向けの輸出はほぼゼロになるとみられる。 日本の水産業界への打撃は避けられない。 また、中国では日本産の水産物の加工や調理も禁じられた。 日本料理店などが使う食材の抜き打ち検査が強化され、多くの店で日本産から中国産や外国産へ切り替えが進んでいる。 処理水が放出された直後には一時、中国近海で取れた水産物を中国の消費者が避ける動きもみられた。

日本国内の水産事業者への影響を和らげるため、政府は今月、緊急支援策として新たに今年度予算の予備費から 207 億円の支出を閣議決定した。 自治体も支援策や相談窓口の設置を急いでいる。 水産庁が 5 日に公表した 10 道県が対象の聞き取り調査結果によると、北海道や青森、岩手や宮崎など各地で水産物の価格が下落していた。 ホタテやナマコなどのほか、九州では養殖のクロマグロやブリが値下がりしたという。

中国国内の日本料理店にも影響

中国国内で影響が大きいのが、近年、人気を集めてきた日本料理店だ。 遼寧省瀋陽市の日本料理店は、処理水の放出後に売り上げが約 3 割、客足が 2 - 3 割落ちた。 刺し身、焼き物など魚のメニューの注文が減ったという。 日本産に限らず水産物全体を敬遠する人が出ている。 天津の市場で仕入れる鮮魚が人気だった北京市内の居酒屋も空席が目立つ。 中国人店主は「日本産に限らず、海産物全体を避ける空気が強い。 ようやくゼロコロナ政策が終わり、これからという時に本当にしんどい。」と憔悴した様子だ。 「がんばれるところまでがんばるが、出口が見えないのがつらい。 (日中の)関係悪化で苦しむのはいつも庶民だ。」と嘆く。

処理水問題は冷え込んでいた日中関係をさらに悪化させており、打開の糸口は見つかっていない。 9 月上旬にはインドネシアのジャカルタで岸田文雄首相が中国の李強(リーチアン)首相と立ち話をし、禁輸措置の撤回を申し入れた。 ただ、中国側は放出が「民衆の健康に関わる(李氏)」とする立場を譲らず、議論は平行線が続く。 (上海 = 井上亮、瀋陽 = 金順姫、北京 = 斎藤徳彦、asahi = 9-18-23)


中国人が日本への迷惑電話を謝罪 = 中国ネットでは批判の一方、「モラルある人もいる」と評価する声も

日本に対する迷惑電話をめぐって中国人から謝罪があったとの報道が注目を集めている。 8 月 24 日から東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出が始まったことに中国では反発が強まり、日本の政府機関や民間企業などに中国から無言や中国語でまくし立てる迷惑電話が相次いでいる。 一方で、ANN ニュースの報道によると、迷惑電話が多くかかってきたというラーメン店の留守番電話には「道理を知らない中国人が迷惑電話をかけた。 彼らを代表して謝ります。」とのメッセージが残されていたほか、店で食事をした中国人が直接謝罪するケースもあったという。

この報道は中華圏で注目を集めており、台湾メディアの TVBS 新聞網は「ついに迷惑電話じゃなくなった!」、NOWnews は「一部の中国人が電話で謝罪」、香港メディアの香港 01 は「中国人が謝った?」と題し、驚きをもって伝えた。 また、中国の SNS・微博(ウェイボー)でも数十万のフォロワーを持つブロガーがこの出来事を紹介。 ネットユーザーからは「中国人が謝る必要はない」、「また日本側の自作自演が始まった」などの声が殺到しているが、中には「わが国にはやはりモラルのある人もいるんだ」、「文明社会に溶け込み、理性的に考える中国人も増えてきた」とのコメントも書き込まれている。 (北田、Record China = 9-5-23)


習近平 "核汚染水デマ" で屈辱の敗北!
 香港スシローは「70 人待ち」大盛況、中国人民は反日外交を冷めた目で

「(汚染水発言は)事実を述べたに過ぎない。」 9 月 1 日、野村哲郎農水相が東京電力福島第 1 原発の処理水について「汚染水」と発言し謝罪したことを受け、中国外務省の汪文斌(おうぶんひん)報道官は、冒頭のとおり皮肉った。 「中国政府は、これまで頑なに処理水を『核汚染水』と呼び、海への放出は『最悪の環境破壊だ』と攻撃してきました。 8 月 24 日に放出が開始されると、日本産水産物の全面禁輸まで実施。 こうした "反処理水" の運動は中国人民の間でも広がり、福島県内の飲食店や中央省庁などに対し、中国語で抗議をまくしたてる "イタ電" が激増しています。(国際ジャーナリスト)」

欧米諸国や韓国、東南アジアの冷静な対応と比べ、異常なほどの中国による "処理水バッシング"。 ところが …。 「8 月 29 日の香港の『スシロー旺角店』は、入店待ちの 70 人の大行列ができていましたよ。 お客の多くは、若いカップルです。」と首をかしげるのは、香港在住のジャーナリスト・角脇久志氏だ。 そこで本誌は、処理水放出から数日後の日本食店の様子を取材。 そこで浮かび上がってきたのは、中国共産党の "デマ" に踊らされない多くの人々の姿だった - -。

スシローの常連客だという行列に並ぶ、20 代の男性会社員に角脇氏が声をかけると、「処理水放出のニュースを見ましたが、全然気にしていません。 お客さんの数も以前と変わらないですね。 日本に旅行した際、"本家スシロー" を食べに行くほど好きなのでこれからも通います。」と、"スシロー愛" を爆発させた。 さらに、同じテナント内で営業する「元気寿司」も満員だったという。 「ランチで行きましたが、子連れのお母さんが多かったです。 香港では、日本の海産物について福島を含む 10 都県からの輸入を禁止していますが、その旨が記載されたはり紙がポツリと掲示されているだけですね。(角脇氏)」

一方、現地住民が経営する香港市民や中国人向けの高級日本料理店では、影響が出ているという。 「やはりお客さんは減少していますね。 ほかの日本料理店では半減したお店もあるそうです。 とくに生魚を使う刺身や寿司を注文するお客さんが減っています。 仕入れも大変です。 ただ、2 - 3 カ月で客足は戻ると思っています。(フロアマネージャー)」

中国現地在住の日本人社会の間でも、"楽観論" が大勢を占める。 「日系企業は、過去の経験から "悪目立ち" するのは危険だと判断し、一斉に広告から手を引いています。 ただ、11 年前に尖閣諸島の国有化をめぐり日中関係が荒れた時期と比べれば、だいぶマシです。 当時は日本人に対する攻撃がすごくて、私も被害を受けました。 今回はあくまで放出を決めた『日本政府』を批判するという冷静な人が多いです。(コンサルティング会社社長)」

世代間の差も大きいようだ。 「私はまったく気にしていませんが、60 代の両親は『もうこれからは日本料理を食べないし、日本に旅行もしない』と怒っています。 でも、すぐに忘れますよ。 実際、両親は東日本大震災後に『日本は放射能に汚染されている』と言っておきながら、数年後には日本に旅行し、喜んで寿司を食べていましたからね(笑)。 高齢者は、政府のニュースを信じやすいんです。(上海の語学学校で働く 40 代女性)」

日本への留学経験があるという "知日派" の 30 代男性は、SNS に放射能から身を守るために塩を買い漁る人々を批判する投稿をしたところ、多くの友人から批判され、削除を迫られたと憤る。 「高い教育を受け、自分の頭で物事を判断することができる人は惑わされませんよ。 正直、低収入で生活に不満を持っている人たちばかりが、振り回されている印象です。」

角脇氏も、今回の習近平の強硬姿勢をこう分析する。 「恒大集団の破産などで、中国経済の行き詰まりに不安を覚える人が増えています。 日本や米国にやたらと攻撃的に噛みつく "戦狼外交" は、いわばこうした人々が抱える不満や鬱憤を晴らすためのガス抜きなんです。 しかし結果的には、一致団結した反日運動に展開していません。 習近平の "人心掌握術" を冷めた目で見る人が増えてきているということでしょう。」

戦狼外交は経済的にも "自爆" しつつある。 上海最大の水産品市場で、卸の店を構える中国人オーナー・許氏はこう嘆く。 「ここ数年続いたゼロコロナ政策の影響で、水産市場はずっと不況が続いていました。 今年になり、回復傾向だったのですが、また売り上げが落ちています。 汚染水報道の影響で、海産物自体のイメージが悪くなり、中国産の海産物も売れなくなったんです …。」 日本の美味しい寿司は、デマより強し。 (Smart Flash = 9-5-23)

〈編者注〉 この記事が現在の日中関係を良く著わしているように思います。 一般の中国人も現状を「中国政府対日本政府」の抗争に過ぎないと看過しているように感じます。 中国政府としては、尖閣諸島事件の時と同じように、中国各地で「反日デモ」が起こることを期待していたのでしょう。 報酬付きの SNS や電話を使った罵詈雑言はあっても、一般人を動員するデモは起こらなかった。 一般の中国人を中国政府が甘く見た結果でしょう。 世界的に見ればニュースにもならなかった中国政府のこのプロジェクトは失敗に終わったのです。


日本の処理水放出に猛反発する中国、ASEAN 首脳会議に暗い影

東南アジア諸国連合 (ASEAN) 関連首脳会議が今週、インドネシアの首都ジャカルタで開催される。 同会議には岸田文雄首相と中国の李強首相が参加する予定だが、東京電力福島第 1 原子力発電所の処理水海洋放出に猛反発する中国との関係改善は見込みにくい状況だ。 同会議は日中関係を安定化させる機会となり得たが、今や参加国首脳を前に李首相が岸田首相を攻撃する場と化す可能性がある。 中国は、処理水の海洋放出に踏み切った日本に対し最も強硬な姿勢を示している。 国際原子力機関 (IAEA) がまとめた日本の処理水放出計画に関する報告書では、人体や環境への放射性物質の影響は軽微との見解が示されたが、すぐさま猛烈に批判した。 同報告書には少なくとも中国の科学者 1 人が関わっている。

中国政府は日本産水産物の輸入全面停止を発表。 これに対し日本政府は世界貿易機関 (WTO) への提訴も辞さない構えをみせているが、中国国営メディアは日本批判を強め、中国国民の間では日本製品の不買を呼び掛ける動きが出ている。 中国の日本大使館や総領事館、日本人学校では、卵や石が投げ込まれる事件が起きた。

5 日から始まる ASEAN 関連首脳会議では、米国と韓国との友好関係を一層強める日本を中国が攻撃する可能性がある。 バイデン米大統領と岸田首相、韓国の尹錫悦大統領が 8 月に首脳会談を行ったことで、中国は孤立を深めた。 アジアソサエティー政策研究所中国分析センターのエグゼクティブディレクター、ベイツ・ギル氏は、「日本と地域のパートナー国を分断するために、中国はできることは何でもするだろう」と述べた。

日中関係の緊迫化は、処理水の海洋放出を巡る中国国民の不信感をあおる要因となっている。 中国国営メディアは、放射能汚染により突然変異したとみられる海洋生物を描いた漫画などを掲載。 中国共産党機関紙系の環球時報前編集長、胡錫進氏は米人気アニメ「ザ・シンプソンズ」に三つ目の魚が登場するエピソードの動画を X (旧ツイッター)のアカウントに投稿した。 人工知能 (AI) による真贋判定サービスを提供するロジカリーの中国専門研究員、ハムシニ・ハリハラン氏は、処理水海洋放出を巡る偽情報キャンペーンには地政学的な意味があるとみている。

同氏は「これは米国と同盟国が世界の国々や人々をいかに失望させているかを言い立てる大々的なキャンペーンの一環だ」と指摘。 「日本の信用をおとしめるためであることは間違いないが、中国のより大きな外交目標の一環でもある」と語った。 中国政府にとって、処理水海洋放出に対する非難は国内問題から国民の目をそらせるという点でも有効かもしれない。 中国経済は減速しており、債務が増加、不動産市場は悪化し、若者の失業率は記録的な水準に上昇している。

中国の行動が日本経済にどの程度影響を及ぼすのかはまだ分からないが、日本の国内総生産 (GDP) に占める水産物輸出の割合は極めて小さい。 ブルームバーグ・エコノミクスによると、対日感情の悪化で中国からの観光客が抑制される可能性はあるものの、過去にこうしたマイナスの影響は長続きしなかった。

岸田首相と中国の習近平国家主席が昨年11月のアジア太平洋経済協力機構(APEC)首脳会議に合わせて公式会談を行った際、両首脳は日中の安定的関係の構築に向けて協力を確認している。 シンガポール国立大学リー・クアンユー公共政策大学院の呉木鑾(アルフレッド・ウー)准教授は日中関係について、尖閣諸島(中国名・釣魚島)の国有化をきっかけに中国で大規模な抗議活動が起きた 2012 年当時ほど事態が悪化するとは予想していないものの、迅速な解決も見込めないと語った。 同氏は正常な関係に戻るには数週間か数カ月、ないしはそれ以上かかるとし、「その後、中国側が徐々に冷静になっていく」とみている。 (Bloomberg = 9-4-23)