処理水放出に対する中国の怒り、偽情報で広がる 学校に石を投げたり、ボイコットすると脅したり、何百もの敵対的な電話をかけたり …。 中国の人々はここ数週間、日本に対する不満を表明している。 きっかけは? 日本が、壊れた福島第一原子力発電所にたまる処理水を太平洋に放出したからだ。 科学者らは、海洋放出の影響は無視できる程度だという意見でおおむね一致している。 しかし、中国はこの放出に強く抗議している。 こうした中、中国では処理水の放出をめぐる偽情報が出回り、恐怖と疑念を広げている。 イギリスを拠点に偽情報に対応しているデータ分析会社「ロジカリー」によると、中国政府と国営メディアは今年 1 月以来、処理水放出を標的とした偽情報活動を結託して繰り広げているという。 中国メディアはその一環として、放射性物質に汚染された水の放出を可能とする科学的説明に、継続的に疑問を投げかけている。 8 月 24 日の最初の放出以降、その論調はますます強くなり、世間の怒りをあおっている。 最近では、青島市の日本人学校に石が投げつけられた。 山東省の別の学校には、複数の卵が投げ入れられた。 北京の在中国日本大使館にも、レンガが投げつけられた。 今のところ、中国で日本人が危害を加えられたり、企業が損害を受けたりしたという報告はない。 しかし日本政府は中国政府に対し、日本人の安全を保障するよう求めている。 日本の外務省は、中国に滞在する日本人に対し、「外出する際には、不必要に日本語を大きな声で話さないなど、慎重な言動を心がける」よう呼びかけている。 一方、中国外務省の汪文斌報道官は、「中国は法に基づき、常に在中外国人の安全と合法的な権益を保護している」と述べ、中国政府は「いわゆる日本側の懸念」を考慮したとしている。 ロジカリーのデータによると、中国の国営メディアは今年 1 月以降、フェイスブックやインスタグラムに、英語やドイツ語、カンボジアのクメール語などさまざまな言語で、さまざまな国に向け、処理水の危険性を訴える有料広告を免責事項を示さずに流していた。 ロジカリーの中国専門家ハムシニ・ハリハラン氏は、「この広告が政治的動機によることは非常に明確だ」と、BBC に話した。 また、中国政府とつながりのある情報源が誤解を招くコンテンツを流し、それが世間の怒りを強めたと指摘した。
中国のソーシャルメディア「微博(ウェイボー)」では、福島の水が放出される直前、中国の人々が大きな塩の袋を買いだめする騒動が注目された。 今後、海塩が汚染されるのではないかと心配する人もいた。 塩が放射線から身を守ってくれるという、間違った話を信じている人もいた。 上海のあるレストランは、こうしたヒステリーからあからさまに利益を得ようと、肌へのダメージを抑え、細胞の回復を助けるという「防放射(反放射線)」料理を宣伝している。 ソーシャルメディアでは、「誰が味付きトマトに28元(約600円)も払うのか」と、苦笑交じりのコメントもみられた。 それでもインターネット上では、海洋放出そのものを批判する人たちがいる。 岸田文雄首相が刺身を食べて「おいしい」と言う動画など、水産物の安全性を示そうとする日本のキャンペーンをあざ笑う風潮もある。 日本製のどの化粧品を避けるべきか、情報を交換する動きもある。 ある SNS ユーザーは、返品するという資生堂の商品のスクリーンショットを投稿し、「買うな、買うな、全部返品して!」と呼びかけた。 こうした動きに対して資生堂の広報は、製品に海水は使っていないと説明している。 中国側の怒りは、日本にもたどり着いている。 先週の海洋放出以降、日本の企業や団体に、中国の国番号「86」からの嫌がらせの電話が殺到している。 日本経済も打撃を受ける見通しだ。 処理水の放出が始まった直後、中国は日本の水産物の全面禁輸を発表した。 中国は日本の水産物の最大輸出先。 岸田首相はこれに対し、国内消費の拡大や新たな海外市場の開拓などで水産業を支援するとしている。 日本政府はまた、中国の禁輸措置について世界貿易機関 (WTO) に提訴すると示唆している。 日本のメディアによると、岸田氏は日中友好議員連盟会長である与党・自民党の二階俊博議員に訪中を打診し、事態の打開を模索しているという。 日本と中国の関係は、1900 年代に日本が中国を侵略した時から苦々しいものとなっている。 近年も、自己主張を強める中国は、日本を含むこの地域のアメリカの同盟国と衝突しており、日中関係に進展はない。 2012 年には尖閣諸島をめぐる領有権問題で、中国全土で暴力的なデモが発生し、日本企業が標的となった。 日本は 8 月、アメリカおよび韓国と共同声明を発表し、この地域における中国の「危険で攻撃的な行動」を非難。 これも中国の怒りを買っている。 福島の水の放出に対する中国の怒りは、国際原子力機関 (IAEA) の承認にもかかわらず続いている。 IAEA は 7 月、日本の海洋放出計画を承認すると発表。 人間や環境への影響は無視できる程度だとした。 計画が実施されたことで、今後 30 年にわたって、134 万トンの処理水が太平洋に放出されることになる。 処理水は、2011 年の東日本大震災で壊れ、メルトダウンを起こした福島第一原発で使われたもので、オリンピック競技用のプール 500 杯分がたまっている。 中国は、放出は「極めて利己的で無責任な行為」であり、日本が海を「自分の下水道」のように扱っていると非難している。 日本国民もこの問題をめぐって意見が分かれている。 また、周辺国なども懸念を表明。 香港や韓国は福島近海の魚介類の輸入を禁止している。 韓国では、政府が放出計画を支持し、SNS で出回っている虚偽の主張の抑え込みを図っているが、ソウルでは抗議運動なども起きている。 一方、科学界でも意見が分かれている。 放射線レベルが低すぎて危険性はないと言う人もいれば、もっと研究が必要だと言う人もいる。 (デレク・ツァイ、ケリー・アン、BBC = 9-4-23) 中国の主張「事実に反する」 大使館 HP に外務省が反論文書 外務省は 1 日、東京電力福島第 1 原発の処理水海洋放出を巡り、在日本中国大使館のホームページ (HP) に事実に基づかない主張が掲載されているとして、中国側に反論したとする文書を発表した。 国際原子力機関 (IAEA) が関与したモニタリング(監視)を否定する姿勢を「IAEA の安全基準に依拠して設定された中国の基準さえ否定するもので、極めて無責任だ」と批判した。 文書は、8 月 28 日に岡野正敬外務事務次官と面会した呉江浩駐日大使の発言として HP に掲載されている、(1) 日本はトリチウム以外の放射性核種について説明していない、(2) モニタリングの対象が少なく安全と言えない、(3) IAEA 以外の国際機関や他国の参加がなく透明性を欠く - の 3 点に反論。 (1) 処理前の水に存在し得る 29 核種は規制基準未満まで除去する、(2) 東電や環境省、福島県などが包括的なモニタリングを行い結果を公開している、(3) IAEA による比較評価には米国、フランス、スイス、韓国の分析研究機関が参画している - と指摘した。 (kyodo = 9-2-23) 日本の処理水放出後、香港の日本料理店に変化は - 香港メディア 香港メディアの香港 01 は 8 月 30 日、日本による東京電力福島第一原発の処理水海洋放出後の香港の飲食店の変化について伝えた。 記事によると、香港食物環境衛生署食物安全センターと漁農自然護理署は 24 日より、日本から輸入した 1,147 の食品及び香港の 350 の海産物についてサンプル検査を行ったが、すべて合格だったという。 ある日本料理店の店主によると、ランチの時間帯の客は 1 - 2 割減少した。 また、以前は火が通った料理を注文する人が全体の 2 割程度だったものの、現在は 3 割に増えているという。 店主は「こうした状況が続けば、今後は火が通った料理に力を入れることも考える」と語った。 一方で、夜の Omakase (おまかせ。 料理人が厳選した食材を調理し提供するコース。 香港で近年人気のスタイル。)には今のところ影響はないとのこと。 店主は「香港人に日本旅行に行くかと聞いたら、絶対に Yes と答える」とし、処理水放出の影響は大きくないとの見方を示しつつ、「9 月にならないと全体の状況は見えてこない。 いきなり(検査で)基準を超えるものがあれば客離れが起こるかもしれない。」とも語った。 (北田、Record China = 9-1-23) 日本大使館「攻めの発信」に転換、SNS 「微博」で中国政府のプロパガンダに対抗 【北京 = 吉永亜希子】 在中国日本大使館が、東京電力福島第一原子力発電所の処理水の海洋放出を巡って、「攻めの情報発信」に転換している。 中国の SNS・微博(ウェイボー)で日本政府の主張を中国語で積極的に発信し、科学的根拠のない中国政府のプロパガンダに対抗している。 同館の微博はこれまで、文化活動や日本国内の名所や美食情報など日本の魅力を中心に発信してきた。 しかし、処理水放出を巡り、中国政府や官製メディアが「核汚染水の放出は海の生態系に悪影響を及ぼす自己中心的な行いだ」などと科学的根拠のない主張を繰り返すことを問題視。 日本政府の主張を正確に伝えるため、放出開始前日の 23 日から国際原子力機関 (IAEA) の声明や放出後の周辺海域のモニタリング(監視)結果など客観的情報の投稿に力を入れ始めた。 中国が国内で運用する複数の原子力発電所が 2021 年、日本の処理水の海洋放出の年間予定量と比べ、最大で約 10 倍の放射性物質トリチウムを放出していることを図示した投稿は、8 月 30 日時点で 864 万の閲覧があり、通常発信時の 80 倍という高い関心を呼んだ。 情報発信を強化して 1 週間が経過し、「日本を支持する」というコメントが書き込まれるようにもなってきたという。 ただ、中国政府は官製メディアを使った情報発信を続けており、日本政府関係者は「処理水が国際機関の基準にのっとったものであるということを根気強く発信していきたい」としている。 (yomiuri = 9-1-23)
北京の日本料理店、客足遠のく 中国で「処理水放出」の影響あらわに 東京電力福島第 1 原発の処理水放出開始から 1 週間。 中国での日本料理店では、ここ数日で急に客足が遠のくなど影響が広がっています。
新鮮な魚の刺身など海鮮料理が有名なこちらの日本料理店。 一週間前、処理水の放出が始まった直後は影響はなかったそうですが、おとといの夜になって急に客が入らなくなったといいます。
この店の料理長・曽我井さん。 いまは日本人が厨房に立っていると逆にマイナスになるのではないかと店に出るのを控えているといいます。
中国では日本産に限らず、海産物を避ける動きが出ていて、マカオで人気の海鮮丼の店も昨夜は全く客がいなかったといいます。 また、中国メディアによりますと、一部の航空会社で日本に向かう便の予約が 3 割減少しているといい、処理水放出に伴う影響の長期化を懸念する声も上がり始めています。 (TBS = 8-31-23) 処理水放出で日本の水産物を禁輸の中国 日本政府が東京電力福島第 1 原発処理水の海洋放出を始めたことを受け、中国は日本の水産物輸入を 24 日から全面的に停止した。 だが、香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストは、この措置が「裏目に出る可能性がある」とする専門家らの見方を伝えた。 東京電力福島第 1 原発処理水の海洋放出が始まったことで、中国政府は日本の水産物輸入を 24 日から全面的に停止。 さらに中国の国家市場監督管理総局は 25 日、食品業界の経営者に対し、日本の水産物の加工や調理、販売を禁じると発表した。 中国政府は「食の安全を確保するため」と主張し、日本産水産物を徹底的に排除する措置を打ち出した。 だが、これらの措置は、日中両国の相互依存が低下する中、すでに悪化している両国間の貿易をさらに曇らせることになるとの専門家の見方を香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストが伝えた。 シンガポール国立大学政治学のチョン・ジア・イアン准教授は同紙に、「(日中の)貿易関係、特に商品の貿易は引き続き重要だが、中国が国内生産と消費に重点を置く中、日本は商業的およびリスク管理の観点から中国離れが進んでいる」とし、「中国も日本も、時間が経つにつれて、お互いにとって重要ではなくなるかもしれない」と推測。 中国による水産物禁輸は、日本にとって大きな衝撃にはならないとみている。 もし中国政府が処理水の海洋放出に対して本気で制裁を科すつもりなら、「日本からの工作機械や集積回路、自動車などの輸入を削減または制限することで、より真剣なメッセージを送ることができる」とチョン氏は指摘。 ところが、「そうなれば日本は大きな打撃を受けることにはなるが、中国経済と消費者はより大きな犠牲を払うことになる」と分析した。 中国政府のデータによると、日本にとって中国は水産物の最大輸出先だが、中国はほとんどの水産物をエクアドルから調達しており、以下は順にロシア、ベトナム、インドと続く。 中国の税関統計によると、昨年の日中貿易総額は前年比 3.7% 減の 3,574 億ドル(約 52 兆 3,234 億円)で、今年 1 月から 7 月まで 7 か月は前年同期比 12% 減の 1,833 億ドル(約 26 兆 8,635 億円)となっている。 また、中国にとって日本は第 5 位の貿易相手国だが、中国市場の巨大需要に対し、水産物輸入総額で日本産の占める割合はほんの一部に過ぎない。 ポスト紙によると、中国の漁業関係者は、福島第 1 原発からの処理水放出と政府による禁輸により、魚介類の消費が落ちることが漁業者にとって危険な兆候となると懸念する。 中国の水産物取扱業者らで構成する「中国水産流通加工協会」のある会員は、中国政府は福島第 1 原発からの処理水放出について、"科学的観点" から安全性を確認する措置を講じておらず、そのため広範な魚介類の消費に影響するとの不安を示した。 中国政府は単に「核汚染水の海洋放出」としているだけだ。 匿名を条件に同紙の取材に応じた同会員は、「漁業や養殖業に影響を与えるのは間違いない。 一部の国内企業も影響を受けるだろう。」と述べた。 「聞くところによると、少なくとも短期的には、多くの人が魚介類を食べなくなる。 このような風潮が広まれば、業界にとって危険な兆候だ。」と胸中を明かした。 中国東部・蘇州のコンサルティング会社「BRIC 農業信息技術」は 24 日、国内の漁業と水産養殖業界への広範な影響を予測した報告書を公表。 「水産物消費への国民の意欲が影響を受け、沿岸都市の水産物市場の客足が減少する可能性がある。 一方で、価格引き下げとともに、水産物の売上も低迷する。」との見通しを示した。 中国税関統計によると、今年 1 月 - 7 月にかけ中国は日本から 19 億 3,700 万元(約 389 億円)相当の水産物を輸入。 だが、7 月の日本からの出荷額は 2 億 3,500 万元で、「食品の安全性への懸念」により前月から 3 分の 1 程度減少したという。 山東省威海市にある山東大学海洋学部の王雅民教授は、放出された処理水はある程度、中国の海域に到達する可能性はあるが、北太平洋の流れの方向を考えると、それほど大きな影響はないはずだと指摘。 「福島付近の海流は時計回りに動き、水は北東、つまり北米の方向に流れる。近い将来に大きな影響はないだろう」と述べた。 (The New Lens = 8-29-23) 「嫌がらせ電話」動画が物議 日本の化粧品買い控え - 処理水放出受けた中国社会 【北京】 東京電力福島第 1 原発の処理水海洋放出を受け、中国から日本に抗議の電話をかける動画が SNS で拡散し、物議を醸している。 在中国日本大使館は、日本国内で被害が相次いでいるとして、厳重な対応を中国当局に要請。 一方、ネット上では日本商品の「ブラックリスト」が出回り、化粧品などを買い控える動きが出ているもようだ。 ある動画では、男性がスマートフォンの地図アプリで東京都内のインド料理店とみられる場所を選び、電話。 「なぜ核汚染水を海に放出するのか」などと中国語でまくし立てる様子が映っている。 動画には称賛や追随のコメントが寄せられる一方、「汚染水の放出は許されないが、この行為に何の意味があるのか」といった書き込みも見られた。 在中国日本大使館は 26 日、「日本国内の無関係な個人や団体が相次いで中国から嫌がらせの電話を受けた」と公表した。 「犯罪行為だ」と厳しく非難し、法に基づき厳重に処理するよう中国政府に求めたと明らかにした。 福島市の木幡浩市長も 26 日、市内の被害について「確認できているものだけで、2 日間で約 200 件。 飲食店やホテル・旅館も多く、多いところは 1 事業所だけで 100 件以上も」とフェイスブックに書き込んだ。 かかってくる電話の「多くは +86 (中国)発信で、中国語」と指摘している。 処理水の放出開始で、中国政府は日本産水産物の全面禁輸に踏み切ったが、ネット上では「どの日本製品も放射性物質を使用している可能性がある」として化粧品などの不買を呼び掛ける動きが出ている。 中国メディアは「国の安全基準を満たしており、安心して使用できる」という日本の複数メーカーのコメントを紹介する一方、返品が生じているとも報じた。 北京市内では週末、刺し身を提供する日本料理店が中国人客で変わらないにぎわいを見せる一方、別の店では「日本の海鮮は使用していません」という広告を出すなど、敏感になっている。 26 日には、北京の日本大使館で日本人ピアニストのコンサートが予定されていたが、来場者の安全を考慮し、延期となった。 (jiji = 8-27-23) 中国当局、処理水放出に関する SNS 発信を厳格管理 「心配不要」の投稿削除 【北京 = 三塚聖平】 中国の習近平政権が、東京電力福島第 1 原発処理水の海洋放出を受けて対日批判を展開する中、中国の交流サイト (SNS) で処理水放出に「心配はいらない」と表明した投稿が削除されている。 中国政府の主張に合わない情報発信を当局が厳しく管理しているもようだ。 香港紙、明報(電子版)などによると、中国の短文投稿サイト、微博(ウェイボ)で欧州在住の中国人原子力専門家のものとみられるアカウントが 24 日、日本の処理水放出について具体的なデータを使って解説。 中国当局が国内の原発で定めるトリチウムの放出上限は福島第 1 原発の 8 倍であり、今回の処理水放出は「心配するに値しない」との考えを示した。 その後、間もなく投稿は削除され、アカウントも封鎖されたという。 現在、そのアカウントは閲覧できない。,/p> 中国の通信アプリ「微信(ウィーチャット)」でも、国連機関のレビューや科学者の意見などを引用した文章が削除されたと伝えられている。 中国政府は、処理水放出について「データの真実性や正確性、海洋環境や人類の健康への安全性、無害性を証明していない(外務省報道官)」などと主張。 こうした公式見解にそぐわない SNS 投稿に神経をとがらせているとみられる。 中国の SNS では、日本に対する蔑称である「小日本」という表現も使い「小日本を打ち倒せ」、「わが国の小日本への一切の措置を支持する」といった反日ムードが強い投稿が目立つ。 これまでに反日デモなどは確認されていないものの、北京の在中国日本大使館は在留邦人に対し「外出する際には不必要に日本語を大きな声で話さないなど慎重な言動を心がける」といった注意を呼び掛けている。 (sankei = 8-26-23) 香港すし店行列「いいね」 在中国日本大使館がウェイボに 「香港の消費者は理性的」と投稿 在中国日本大使館は 26 日、短文投稿サイト、微博(ウェイボ)の公式アカウントに、東京電力福島第 1 原発処理水の海洋放出開始後も香港にある日系大手回転ずしチェーン店に行列ができていると伝えたロイター通信の英文記事を載せ「理性的な香港の消費者に『いいね』を押す」と投稿した。 日本大使館は「水産物の輸入禁止は全く科学的根拠がなく、受け入れられない。 中国の消費者が科学データに基づいて冷静に対応することを望む」と呼びかけた。 香港当局は 24 日、福島や東京など 10 都県の水産物を輸入禁止にした。 中国政府は同日、日本産水産物の輸入を全面的に停止し、日本政府は禁輸措置の撤廃を求めている。 一方、香港中心部にある日本総領事館が入るビルの前では 24、25 両日に海洋放出に対する抗議活動が行われたが、総領事館によると 26 日は抗議活動が行われるとの情報はない。 (kyodo = 8-26-23) 中国、日本産水産物の加工・販売を禁止 市民に食塩買いだめの動きも 東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出をめぐり、中国当局は 25 日、食品業界の経営者に対し、日本産の水産物を購入し、加工、調理、販売することを禁じると発表した。 処理水放出が始まった 24 日から日本の水産物は全面禁輸となっているが、それ以前に輸入し市場に出回っている水産物も行き場を失う可能性がある。 消費者の間では海の汚染への不安から、食塩の買いだめが起きている。 中国の国家市場監督管理総局は発表の中で「市場で販売される水産物に対し、抜き取り検査と監視を強化する」としており、違反した場合には厳格に対処する方針だ。 すでに SNS では、検査官が日本料理店やスーパーを直接訪れ、水産物や加工品の産地を調べる動画が出回っている。 中国ではコースを料理人に任せる「omakase (オマカセ)」が人気だが、24 日には有名なオマカセのすしチェーンの上海市内の店舗が一時営業を停止した。 中国メディアの澎湃新聞によると、同日訪れた検査官がメニューに北海道産のボタンエビがあるのを指摘したが、店側が税関申告書を提出できなかったためという。 書類は産地確認のためとみられる。 25 日、同店は取材に「指導があり食材を変更した。 今は日本産はない。」と話した。 この他、湖北省武漢市や河南省鄭州市などの飲食店協会が、飲食関係者に対して日本の水産物を購入しないよう呼びかけている。 各地の小売店で塩は また、中国の小売店やネット販売では一部で食塩が品薄になっている。 北京市内の住宅区にあるスーパーでは 24 日、食塩をまとめ買いする客の姿が見られ、売り切れになる銘柄もあった。 「今日売られている塩は食べても大丈夫ね」と、話しながら買い求める人もいた。 政府の発表やメディア報道を受けて、市民の間に一定の動揺があることをうかがわせた。 別のスーパーでは食塩を売る三つの棚のうち、二つ分が売り切れに。 「海水からつくる塩はそれほど多くないのに」と、あきれた顔で見つめる客も。 店は急きょ追加の入荷を依頼したといい、店員は「新型コロナで買いだめした塩がまだ家に残っている人も多いと思うのだが」と、困惑気味だった。 遼寧省瀋陽市の大型スーパーでは 25 日、棚に食塩がなかった。 店員は「24 日の午後に売り切れた。 こんなことは初めて。」と驚く。 同市の 40 代会社員の男性は「自分は気にならないが、家族が心配しているので塩を多めに買って保管しておこうと思う。」と話す。 同省鞍山市の冷麺店の経営者は 24 日、塩を 100 キロ買った。 「これから値上がりするのが心配だから」という。 食塩を扱う中国の国営企業は「国内の食塩のうち海塩は 1 割」で、ほかの塩に「日本の核汚染の影響はない」とする声明を出した。(上海 = 井上亮、北京 = 林望、瀋陽 = 金順姫、asahi = 8-26-23) 岸田首相「中国側に即時撤廃申し入れた」 … 処理水放出で日本の水産物全面禁輸 岸田首相は 24 日、東京電力福島第一原子力発電所の処理水の海洋放出開始を受け、中国税関当局が日本産の水産物の輸入を全面的に停止すると発表したことについて、「外交ルートで中国側に対して即時撤廃を求める申し入れを行った」と明らかにした。 首相官邸で記者団に語った。 首相は「海洋放出の影響について、科学的根拠に基づき、専門家同士がしっかりと議論を行っていくよう中国政府に強く働きかけていく」とも述べた。 (yomiuri = 8-24-23) 中国 日本の水産物の輸入全面停止 処理水放出受け 福島第一原子力発電所にたまるトリチウムなどの放射性物質を含む処理水について、東京電力が基準を下回る濃度に薄めた上で海への放出を始めたことを受けて、中国の税関当局は、日本を原産地とする水産物の輸入を 24 日から全面的に停止すると発表しました。 中国の税関当局は、発表の中で「福島の『核汚染水』が食品の安全に対してもたらす放射性物質による汚染のリスクを全面的に防いで中国の消費者の健康を守り、輸入食品の安全を確保する」として日本を原産地とする水産物の輸入を 24 日から全面的に停止すると明らかにしました。 また、税関当局は「日本の食品の汚染リスクの確認を続け、日本から輸入される食品に対する監督管理を強化する」としていて、水産物以外の食品の輸入にも影響が及ぶおそれがあります。 中国ではすでに先月から、各地の税関当局が日本産の水産物を対象に放射性物質の検査が強化されていて、先月、日本から輸入された水産物は去年の同じ月と比べて金額にしておよそ 3 割減ったことが明らかになっています。 今回の措置で日本の水産物の中国への輸出は一切できなくなる見通しで、日本の漁業に影響が出ることは避けられず、今後の日中関係のさらなる悪化も懸念されます。 中国向けに輸出している水産加工会社では影響を懸念 函館市川汲町にある水産加工会社では、近年、需要が高まっているホタテを中国向けに輸出していました。 しかし、中国が先月、日本から輸入する水産物などの食品について規制強化を示して以降、中国向けの輸出が滞り、工場にある冷凍庫には数十トンほどの冷凍ホタテが出荷待ちとなっています。 会社では、対応策として国内の消費者向けに新たにインターネット販売なども行っていくということですが、今回の中国政府による輸入停止の措置で今後、さらに影響が出ることを懸念しているといいます。 水産加工会社「きゅういち」の餌取達彦取締役は「すごく厳しく中国らしい対応だと感じるが、北海道産の水産物は中国の人たちに人気があると思うので早く元の状態に戻ることを願っている。 今後の日本政府の対応なども注視していきたい。」と話していました。 福岡の仲卸会社「対象にはならないと思っていた 頭が真っ白」 福岡市中央区にあり "博多の台所" とも呼ばれる長浜鮮魚市場では、アジアに近く福岡空港へのアクセスがよい立地を生かし、多くの仲卸会社が輸出の拡大に力を入れています。 このうち、福岡市に本社のある「昭徳」は競りを行う仲買人に中国人を雇うなど、特に中国や香港向けの輸出を強化してきました。 今では会社の売り上げの 4 割を輸出が占めていて、中国が水産物の輸入を停止することで事業への影響は避けられないといいます。 社長の湯浅俊一さんは「福岡は対象にはならないと思っていたので、突然の発表に頭が真っ白の状態です。 今後は香港も輸入を停止する可能性があり、今の時点では対策も考えられていません。 この地域の水産業者への影響はかなり大きいと思います。」と話していました。 大分の養殖業者、出荷先を中国から台湾や国内に切り替えへ この発表に大分県内の水産関係者も対応に追われています。 このうち中国に 2 万匹のハマチを輸出する手続きを進めていた大分県佐伯市の養殖業者は、出荷先を台湾や国内に切り替えることにしました。 浪井大喜社長は「風評被害に近いものがある。 輸出する予定だった魚を国内向けにも出すことになるので価格が値崩れすることが心配です」と話していました。 大分県では昨年度、養殖クロマグロの輸出額が中国向けを中心に大幅に伸びるなど、水産物の輸出が拡大していただけに中国の輸入停止の影響が懸念されます。 東電 小早川社長「被害発生した場合、適切に賠償、相談応じたい」 中国の税関当局が、原産地が日本の水産物の輸入を 24 日から全面的に停止すると発表したことについて、東京電力の小早川智明社長は、記者団に対して「詳細はまだ把握できていないが、外国からの禁輸措置で事業者に被害が発生した場合は、適切に賠償していく。 しっかり相談にも応じていきたい。」と述べました。 そのうえで「中国は日本にとって非常に重要な貿易相手国なのでそうした判断が早期に撤回されるよう安全性について、しっかりと説明を尽くしていきたい。」と述べ、安全性に関する情報発信に引き続き取り組んでいく考えを強調しました。 (NHK = 8-24-23) 中国原発の廃水と福島の汚染水は根本的に異なる 中国権威機関 【深セン】 日本政府は福島放射能汚染水の海洋放出を近いうちに開始するとしている。 各国から非難を受けても政府に当初の計画を見直す考えはなく、一部の政治家や読売新聞などのメディアも「日本が放出するトリチウムの濃度基準は中韓などいずれの国よりはるかに厳格」、「中国の原発が年間で放出するトリチウムは福島第 1 原発の 6.5 倍」などの言論を発している。 中国核工業集団(中核集団)や中国広核集団(中広核集団)など国内原子力大手によると、中国の原子力発電所の廃水は通常運転で生じる液体流出物で、福島原発の事故処理過程で生じる廃水とは根本的に異なる。 放射性核種の種類や処理の難しさなどが大きく違い、同列に論じることはできないという。 福島原発事故の処理廃水と通常運転する原発の廃水には本質的な違いがある。 第一に発生源が異なり、第二に放射性核種の種類が異なり、第三に処理難度が異なる。 福島原発事故の廃水は、事故後に溶融した炉心に注入された冷却水と原子炉内に浸透した地下水や雨水であり、溶融炉心に存在する各種の放射性核種を含み、処理難度が高い。 一方で通常運転で生じる原発廃水はプロセス排水や地表排水などが中心で、微量の核分裂性核種を含むものの国際基準を厳格に順守しており、利用可能な最高の技術で処理され、厳格な監視・測定を通じて基準を満たしたものを計画的に排出している。 排出量も規定の基準値を大幅に下回る。 中国の原発廃水は主にプロセス排水、化学工業排水などで、いずれも燃料ペレットに直接触れていない。 国際基準を順守し、成熟し信頼性の高いプロセス処理を経て、全ての監視・測定に合格した後、基準を満たすものを排出している。 中国は原発廃水に含まれる放射性核種を総量的に規制しており、排出量は年度ごとに承認している。 中核集団が運営する各発電所が 2020 年に排出した廃水に含まれるトリチウムの量は承認量の 24 - 58% に過ぎなかった。 中国外交部の汪文斌(おう・ぶんひん)報道官は 7 月 7 日、日本が福島原発事故の汚染水と世界で通常運転している原発の排水を一緒くたにするのは概念のすり替えであり、世論のミスリードだと指摘した。 汪氏は、福島原発事故で溶融した炉心に直接触れた放射能汚染水と炉心に直接触れていない通常運転下の原発の排水が本質的に異なることは専門家でなくとも容易に想像できるとし、由来が異なり、含まれる放射性核種の種類も異なり、処理の難度も異なることから、はなから比較対象にならないと述べた。 国際原子力機関 (IAEA) は日本の放射能汚染水浄化装置の有効性と長期的信頼性の評価を行っておらず、今後 30 年間で全ての放射能汚染水が処理基準を満たせる保証はないとも強調。 日本が通常運転下の原発の排水を持ち出して海洋放出という誤った決定を正当化しようとするのは、科学の名を借りて国際社会をミスリードするやり方だと非難した。 香港核学会の陸炳林(りく・へいりん)会長は、一般原発の営業運転で排出される水と福島の汚染された水を比較することはできないと指摘。 トリチウムは含有量が基準を満たせばよいが、福島の放射能汚染水にはトリチウムのほかにも放射性物質が含まれていると説明した。 福島原発で放射能に汚染された廃水にはプルトニウムやストロンチウム、セシウムなどの超ウラン元素を含む放射性核種 62 種類が含まれ、生物学的半減期は最長 18 年に及ぶなど比較的影響が大きいことにも触れ、日本は大部分の放射性物質をろ過できるとしているが完全浄化は無理であり、放出される放射能廃水にはより多くの放射性物質が含まれることから中国の大亜湾原発が排出する汚水よりもはるかに複雑だとの見方を示した。 安全は中国の原子力発電が堅守し続ける生命線である。 中核集団が発表した 2022 年度 CSR (企業の社会的責任)報告書によると、同年に中核集団の原発で稼働を続けた発電ユニットは 25 基で、安全状態は維持され、原子力と放射線の安全性も良好な記録を維持した。 中広核集団が発表した同年度の CSR 報告書でも同社の原発の発電ユニット 26 基は安全かつ安定した稼働を維持した。 世界原子力発電事業者協会 (WANO) が原発の運転性能を評価する WANO 指標では、79.2% の発電ユニットの WANO 性能指標が世界の先進レベルに入っている。 広東省深セン市の嶺澳原発 1 号機は今年 3 月 16 日時点で連続安全運転日数が 6 千日を超えた。 日数はその後も更新され続け、同型機の安全運転日数の世界記録を保持している。 (王豊、中国・新華社 = 8-20-23)
中国の原発、処理水で上限超え トリチウム、7 割の地点で 【北京】 中国の原発から 2021 年に放出された排水に含まれる放射性物質トリチウムの量が計 17 カ所の観測地点のうち、7 割を上回る 13 カ所で東京電力福島第 1 原発処理水の年間放出予定量の上限を超えていたことが 8 日、中国の公式資料で分かった。 福島第 1 の処理水の最大 10 倍相当を排出した原発もあった。 福島第 1 の処理水は溶け落ちた炉心に触れており、中国は危険だと大々的に宣伝。 7 月ごろから日本の水産物に対する全面的な放射性物質検査を始め、放出前から事実上の輸入規制を課す対抗措置を開始した。 日本は中国の原発から出る放射性物質の状況を把握しているが通関検査の強化などは行っておらず、中国の対応の不合理さが改めて鮮明になった。 原子力専門書「中国核能年鑑」が 13 3原発から排水されたトリチウムなどの放射性物質に関する計 17 カ所の観測データを記載。 浙江省の秦山原発は 21 年の 1 年に 218 兆ベクレルと、処理水の海洋放出計画が設ける年間上限「22 兆ベクレル」の約 10 倍に当たるトリチウムを放出していた。 (kyodo = 8-9-23) 処理水放出 日本側は科学的根拠に基づく対応要望、中国側は懸念表明 外務省は 23 日、同省の船越健裕アジア大洋州局長と中国外務省の劉勁松アジア局長が 22 日に東京都内で会談したと発表した。 東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出計画をめぐり、劉氏は安全性への懸念を表明し、船越氏は科学的根拠に基づく対応を求めたという。 船越氏は、中国による日本周辺での軍事活動の活発化への懸念を伝えたほか、中国で拘束されている邦人の早期解放を求めた。 両氏は「建設的かつ安定的な日中関係の構築」を進めるため、岸田文雄首相と習近平(シーチンピン)国家主席の首脳会談の実現に向けた協議を含め、緊密な意思疎通を継続していくことで一致した。 (高橋杏璃、asahi = 7-23-23) 中国、日本の 10 都県からの食品輸入禁止を維持 安全上の理由で [北京] 中国の税関総署は 7 日、安全上の理由で、日本の 10 都県からの食品輸入禁止を維持すると発表した。 声明で、日本の他の地域から輸入する水産物をはじめとする食品についても関連文書を厳しく精査するとした。 日本からの食品輸入に関し、放射性物質の検知と監視を引き続き強化し、安全性を確保すると表明した。 今回の措置について、日本産の放射能汚染食品の対中輸出を防ぎ、国内消費者の安全を守ることが目的だと説明している。 中国は 2011 年の東日本大震災直後、5 県からの食品・農産物輸入を禁止。 輸入禁止を 12 都県に拡大した後、うち 2 県を除外した。 中国政府は、東京電力福島第 1 原発処理水の海洋放出に強く反対すると以前から表明。 国際原子力機関 (IAEA) は処理水の海洋放出が「国際的な安全基準と合致している」との報告書をまとめたが、税関総署は報告書について、評価作業に関わった全ての専門家の意見を完全には反映しておらず、専門家の全会一致で結論が支持されたわけではないと主張。 「日本側は海洋放出の正当性、浄化装置の信頼性、監視プログラムの完全性においてまだ多くの問題を抱えている」としている。 IAEA のグロッシ事務局長は 7 日にロイターのインタビューに応じ、報告書について携わった専門家チームの 1 人か 2 人は懸念の声を上げた可能性があるものの、自身に直接懸念を伝えてきた専門家はいなかったと説明した。 (Reuters = 7-7-23) 中国、IAEA「処理水」報告書に強く反発 … 報復措置を示唆 【北京 = 吉永亜希子、ソウル = 上杉洋司】 中国外務省は 4 日夕、報道官談話を発表し、国際原子力機関 (IAEA) の報告書は「海洋放出のための『通行証』とはならない」と強く反発した。 日本が海洋放出を行えば「一切の結果を引き受けなければならない」とし、何らかの報復措置を取る可能性を示唆した。 中国は 2011 年の福島第一原発事故に伴い、福島など 10 都県からの日本産食品輸入を停止している。 香港、マカオ両政府は放出が始まれば、新たな禁輸措置を発動する意向を表明している。 一方、韓国大統領府関係者は 4 日、「IAEA の説明を聞いてから(報告書の)評価をする」と記者団に語った。 7 - 9 日に韓国を訪問する IAEA のラファエル・グロッシ事務局長の説明を直接聞き、判断する考えを示したものだ。 「科学的、客観的に安全であること」を日本に求める尹錫悦(ユンソンニョル)政権は事実上容認することになりそうだ。 与党「国民の力」の広報担当者も 4 日、「最高の専門家が 2 年かけた調査で、結果を謙虚に受け止めるべきだ」とのコメントを発表した。 これに対し、最大野党の「共に民主党」の国会議員は 4 日の記者会見で、IAEA の検証について「汚染水(処理水)の海洋放出を前提としており、中立性に欠ける」と主張した。 (yomiuri = 7-5-23) 中国の複数原発がトリチウム放出、福島「処理水」の最大 6.5 倍 … 周辺国に説明なしか 中国が国内で運用する複数の原子力発電所が、今夏にも始まる東京電力福島第一原子力発電所の「処理水」の海洋放出の年間予定量と比べ、最大で約 6.5 倍の放射性物質トリチウムを放出していることが、わかった。 日本政府が外国向けの説明用に作成した資料から判明した。 中国政府は東電の処理水放出に強く反発し、官製メディアも動員した反対キャンペーンを展開している一方で、自国の原発はより多くのトリチウムを放出している。 日本政府は、中国の原子力エネルギーに関する年鑑や原発事業者の報告書を基に資料を作成した。 それによると、2020 年に浙江省・秦山第三原発は約 143 兆ベクレル、21 年に広東省・陽江原発は約 112 兆ベクレル、福建省・寧徳原発は約 102 兆ベクレル、遼寧省・紅沿河原発は約 90 兆ベクレルのトリチウムを放出していた。 東電は、福島第一原発の年間放出総量を 22 兆ベクレル以下に抑える計画で、放出後のトリチウムの濃度は、世界保健機関 (WHO) などの基準をはるかに下回るとしている。 中国政府は福島第一原発の「処理水」放出を「一方的に強行しようとしている(中国外務省報道官)」と反発し、官製メディアも連日、「日本は世界の海洋環境や公衆の健康を顧みない(共産党機関紙・人民日報)」などの主張を展開している。 だが、日本政府関係者によると、中国は自国の原発のトリチウム放出について、周辺国との間で合意はなく、説明もしていないという。 (yomiuri = 6-23-23) |