「透明なパンツ」発売 比住民支援 x 起業志望の慶大 2 人

慶応大 2 年生、金丸百合花さん (19) & 高山泰歌さん (20)

見えるのではなく見せる。 肌ではなく製造工程を、透明に。 オーガニックの生地、染色、刺しゅう。 担い手の思いを販売サイトで伝える。 「春日染工さん ときめく瞬間は、最適な風合いに仕上げられた時」という具合に。 1 枚ずつミシン縫製する動画もある。 ともに慶応大 2 年生。 入学直後にラーメン屋で意気投合した。

金丸さんの母はフィリピン出身。 日本向けバナナ栽培の過酷な労働を知り、地元住民を支える活動をしてきた。 起業家を志していた高山さんが共感して持ちかけた。 「ラーメンおごるから一緒に起業しない?」 社会や自然に配慮した「エシカル(倫理的)ファッション」をやりたい。 でも、偉そうな「上から目線」はいやだ。 「誰もが毎日はくパンツ、それも男物ならキャッチーじゃない?」 「商品がつくられる時の物語も伝えたい。」

資金を集め、商品づくりを学んで 1 年半。 発売にこぎつけた。 発色にこだわったブルーとオレンジ、ゆとりをもたせたフロント、 内側にタグがない滑らかな肌触り。 3,500 円と安くはないが、これまでに数百枚売れた。 好きな服を買ってもらう。 それがおのずと地球のため、社会のためになる。 そんな仕組みだ。 金丸さんが PR を担う。 「このパンツが、モノと人、人と人とのつながりを大切にする生き方の目印になるといいな。」 (藤田さつき、asahi = 8-26-18)


アメリカ衣料品大手、デニム・ブランドの「リー」、「ラングラー」の売却を検討か

デニムの売り上げが低迷している。

  • VF コーポレーションは、アメリカを象徴するブランド「リー」や「ラングラー」を含むデニム事業の売却もしくはスピンオフ(分離独立)を検討していると、ウォール・ストリート・ジャーナルが報じた
  • VF コーポレーションはこれらのブランドを何十年にもわたって所有してきた
  • ヨガパンツといったアクティブウェア人気が高まる中、デニムの売り上げは低迷している

衣料品大手の VF コーポレーションは、アメリカを象徴するブランド「リー」や「ラングラー」を含むデニム事業の売却もしくはスピンオフを検討しているようだ。 ウォール・ストリート・ジャーナルが報じた。 アスレティックウェアへの需要が高まる一方で、ここ数年、デニムの売り上げが低迷していることがその背景にありそうだ。 VF コーポレーションは、バンズやザ・ノース・フェイス、ティンバーランドなど、30 以上のブランドを所有している。 VF コーポレーションにコメントを求めたが、回答は得られなかった。

ヨガパンツやその他のアクティブウェア人気が高まる中、デニムの売り上げはここ数年、伸び悩んでいる。 国勢調査のデータによると、2017 年、アメリカでは史上初めてストレッチの効いたパンツの輸入量がブルーデニムジーンズの輸入量を上回った。 アメリカのブルージーンズの輸入は 2010 年以降、減り続けている。 ウォール・ストリート・ジャーナルが引用したユーロモニターのデータによると、アメリカのジーンズ全体の売り上げは 2013 年から 2017 年の間に 14% 近く減っている。 (Hayley Peterson、BusinessInsider = 8-14-18)


あなたの BWH、5 秒でお見通し ワコールが 3D 計測店

ワコールは、体のラインを瞬時に計測できる機械を備えた新型店舗を 2019 年春から開設していく。 ブラジャーを買う際のストレスや手間を減らすとともに、販売員の人手不足にも対応する。 首都圏などを視野に、約 3 年間で 100 店舗への導入をめざす。

新型店に導入するのは、肩や胸など体の 150 万カ所もの部分を立体的に計測できる「3D ボディスキャナー」。 販売員による計測だと胸やウエストなど 4 カ所で約 5 分かかるが、5 秒ほどで全身を採寸できる。 サイズを細かく計測することで、既製品であっても一人ひとりに合った下着を提案したいという。 計測データなどの情報をもとに、新商品の開発にもつなげる。 ワコールはまた、人工知能 (AI) を活用した接客も進める。 下着の商品知識や接客ノウハウなどを学んだ「接客 AI」も導入していく。 販売員の負担を減らし、効率を高めるねらいもある。 (金本有加、asahi = 8-10-18)


人が辞めない! ビームス、離職率 3% の衝撃 「一緒に働きたい」を重視する採用

飲食業界と並び、人手不足や離職率の高さが問題視されているのが小売り業界だ。 厚生労働省によると、卸売業・小売業の離職率は 14.0% (2016 年)で、小売業の就職 3 年後の離職率は過去 7 - 8 年、入社 3 年で 3 分の 1 から半数が辞めている。 そんな中、セレクトショップを中心に展開するビームスの離職率は 3% 台と驚くほどの超低水準だ。 1976 年に創業し、社員数が 1,700 人を超える規模のアパレル小売業の中で、「日本一、人が辞めない会社」を実現している理由は何か?

クリエイター気質で外交的な設楽洋社長の右腕として人事を統括するのは、遠藤惠司副社長だ。小学校から大学まで同じ学校に通った同級生で、今でも一緒にバンドを組んでいるほどの仲良しぶりだ。 「ビームスの離職率は、少なくとも 6 年前からずっと 3% 台で推移している。 この基調は十数年変わっていない。 本社・オフィスと店舗(販売員)を合わせたもので、特に直近は店舗のほうが離職率が低いのは、自分でも意外なほど。」と明かす。

面接中の涙も歓迎

一つのヒントは、その採用基準にある。 春の新卒採用と、秋のアルバイト・準社員からの社員登用の年 2 回の採用活動では、いかに優秀な人物を採るかに躍起になる企業を尻目に、「最初から『ビームスを辞めにくい人』、『今のビームスの中で長く仕事を続けてくれそうな人』を採用している。 ビームスという集団との相性の良さを問い、学歴や成績はほぼ重視していない」と遠藤副社長。

遠藤副社長が臨む 3 次面接では、「『自分の部下として一緒に働きたいか』、『自分で育てられるか? 修正できるか?』を軸に、具体的にシビアに見る。 いくら優秀でも、社内で働いているところを想像すると、収まりが悪い方、座りが悪い方、優秀すぎる方は、他社や一部上場企業で活躍されたほうがいいかと思って内定を出さない。」と言い切る。

「むしろ、面接の最中に泣き出してしまうような方に興味を持つ。 自分が大好きなブランドや企業で働けるチャンスだと意識したら、しゃべれなくなったり感極まったりするのは当たり前のこと。 その素直さや心の奥にある『好き』という感覚、感性やセンス、そして、個性的であるかどうかを見て人物を判断している。 好きだから頑張るし、勉強するし、何よりも辞めない。 設楽もよく言うが、『努力は夢中に勝てない』。」

そんな「好き」な思いや個性や適性をきちんと受け止められるように、一時期、書類選考で 300 人程度までに絞って面接をし、最近では応募者全員(2017 年は 1,200 人)が 1 対 1 で受けられるようにしている。

仲間と共有し合える企業文化

社員が辞めない理由について、当の社員はどう、考えているのだろう。 上司・部下・同期・先輩・後輩関係なく社内のスタッフが「仲間」に近い感覚で仕事ができる環境。 仲間として共有し合える企業風土が、企業文化を作り上げていると思います。(経営企画室海外戦略部、30 代、戸田慎さん)

ビームス特有のカルチャーを上げる声も多い。 洋服屋でスタートしたビームスですが、時代に合った切り口で広がっているところに、社内にいる自分自身も喜びを感じますし、競合他社に負けないビームスの魅力があると思っています。 自分が 30 年前に選んだ・選んでいただいたビームス、たくさんのお客様に愛されるビームスである事に誇りを持っています。(スタイリングディレクター、50 代、丸山珠花さん)

ビームスの社員数は現在約 1,700 人で、平均年齢は 31 歳。 男女比は 48:52 で、女性が多く、ママ社員も多い。 フレックスタイム制で 15 分単位で働け、4 時間、5 時間、7 時間などと自由に時間を設定できる。 時短期間も小学校 3 年生までと、法定よりも長い。 出産・育児で産休・育休に入ったスタッフは、99% 復帰し仕事を継続する。

2 回の育休をいただき、なおもここで働いていることを振り返ると、お互いを尊重し合える環境は居心地が良いのだと思います。 現在、時短勤務を選択しています。 自分で勤務時間を決められるので、生活スタイル(子どもの成長に合わせた)に合った勤務ができるのはありがたいです。(須藤衣麻、EFFE BEAMS・Demi-Luxe BEAMS 商品企画、30 代)

一方、大卒初任給が 20 万円と、給与面では「突出して良くはない」が、ボーナスは年 2 回、業績連動型で必ず出す。 「時間外労働にも 100% 残業代を出すし、並行して残業削減の工夫も行い、97% 以上のユニットで残業時間 30 時間未満を達成している。 休暇も取りやすく、趣味や家族との時間など、ライフとワークのバランスを取りたいスタッフには働きやすいと思う。」と遠藤副社長は説明する。

新しいことを打ち出し続ける

もう一つ、「店舗、本社ともに離職率が低いのは、ビームスの "大きなダイナミズム" が関係していると思う(遠藤副社長)」とも。 「常に動き、躍動し、新しいものを発掘し、提案するのがビームスの集団の本能にある。 これはブランディング上でもとても大切なこと。 ビームス自体が鮮度を保てていなければ見向きもされなくなる。 スタッフには『変わらない存在であるために、変わり続けなければならない』とメッセージを送り続けている。」 「正しいかとか、売れているかは別のことで、マーケットで新しいことを打ち出し続けていることが大切だ。」

ビームす交流会

ビームス社内での交流会の様子。 お祭りごとが好きで、運動会も社員旅行も実施する。 設楽社長がプロデュースした保養所「ビームス・バイ・ザ・グリーン(軽井沢)」などは、ゴルフ好き、スキー・スノボー好き、サーフィン・ビーチ好きの社員にも喜ばれている。 ちなみに、遠藤副社長は週に 2 - 3 回、スタッフとの食事会を開き、交流を図るとともに、約 2,000 人のスタッフの名前をすべて覚えようと努力している。

「本社の副社長から『野崎さん、頑張ってる?』なんて声を掛けられたらうれしいし、ちゃんと自分を見てくれていると思うもの。 小さいけれども大事なことを一つ一つ実行していきたい。」 経営者と現場の距離が近く、社内のコミュニケーションや風通しがいいのも人が辞めない理由だろう。 (松下久美、BusinessInsider = 7-26-18)


旭化成が 1,000 億円超の M & A 米自動車部品会社を買収へ

旭化成が大型の M & A (合併・買収)に乗り出すことが日経ビジネスの取材で明らかになった。 買収するのは自動車の内装部品を手掛ける米 Sage Automotive Interiors (サウスカロライナ州グリーンビル市)で、買収金額は 1,000 億円を超える大型案件になるとみられる。 今後も拡大が見込まれる自動車関連分野を強化するのが狙い。 旭化成が 1,000 億円超の M & A を手掛けるのはこれで 3 件目となる。

Sage は自動車のシート部分などを製造販売する内装材の世界大手で、独 BMW や独アウディといった欧米の高級車向けに強い。 地元の米国だけではなくイタリアや中国、ブラジル、ポーランド、ルーマニアなど世界各地に工場を持ち、グローバルな販売網を構築している。 日本には生産拠点はないが、日本法人は開設している。 旭化成からは人工皮革を購入しており、両社は取引先の関係にあたる。

Sage には現在、米投資ファンドのクリアレイクが 100% の株を保有している。 旭化成はクリアレイクから Sage の全株を現金で取得するとみられる。 クリアレイクは 2014 年に別の米投資ファンド、ゴアーズグループから Sage を買収していたが、旭化成に売却することでエグジットする。 ファンド関係者によると、今回の旭化成への売却でクリアレイクは一定の利益を確保できるもようだ。

EV 時代になっても内装材は成長が見込める

旭化成の狙いは自動車関連事業の強化だ。 EV (電気自動車)や FCV (燃料電池車)の登場を受け、自動車業界ではパワートレインの勢力図が急速に塗り替えられつつある。 だが、どのパワートレインが主導権を握ろうが、内装材は台数増に伴い成長が見込める分野として注目が高まっている。 また素材メーカーの旭化成としては、Sage を傘下に入れることでこれまで接点が少なかった完成車メーカーとの結びつきを強めることができる。 Sage のグローバルな生産・販売網も共同で活用できるようになる利点がある。

旭化成は 2012 年に自動体外式除細動器 (AED) ビジネスを展開する米ゾール・メディカルを約 1,800 億円で、15 年にはリチウムイオン電池の主要部材であるセパレーター(絶縁体)を手掛ける米ポリポア・インターナショナルを約 2,600 億円で買収している。 2018 年 3 月期の連結決算は M & A 効果も手伝い、純利益が前年実績より 48% 多い 1,702 億円と最高益を更新した。 今後も積極的な M & A を展開し収益力の底上げを目指すとみられる。 (日経ビジネス = 7-19-18)


H & M など外資ファストファッションが苦戦に転じた 3 つの理由

日本に進出した外資ファストファッションの動向

記事コピー (7-18-18)


しまむら、客離れ深刻化 … ファッション性の欠如が致命的、魅力の「宝探し」感消失

カジュアル衣料大手のしまむらが 6 月 25 日に発表した 2018 年 3 - 5 月期決算は、売上高が前年同期比 0.3% 減の 1,376 億円、最終的な儲けを示す純利益が同 32.7% 減の 47 億円だった。 売上高と純利益は 2 四半期連続で前年実績を下回った。  主力の「ファッションセンターしまむら」が足を引っ張った。

18 年 3 - 5 月期の売上高は 1.6% 減の 1,052 億円だった。  既存店売上高は、前年を下回る月が目立っている。 特に 6 月度が前年同月比 11.7% 減、5 月度が同 7.7% 減と大幅な減収だった。 4 月度こそ増収となったものの、3 月度までは 7 カ月連続で前年を下回っている。  不調が続いている理由として、「ヒット商品が無かったこと」、「新しいレイアウトがうまく機能しなかったこと」の 2 点が指摘されている。

しまむらは 16 年から売り場改革に着手し、什器を低くしたりゴンドラをなくすなどして、歩きやすく見やすいレイアウトへの変更を推し進めてきた。  それに伴い、衣料品の種類を減らした。 その一方でコア商品の在庫はしっかり確保し、1 種類あたりの販売量を多くすることで全体の売り上げの底上げを図った。 しかし、そのもくろみは見事に外れた。 ヒット商品がいくつかあれば、1 種類当たりの販売量を増やすことができたのだが、残念ながらこの 1 - 2 年はヒット商品に恵まれず、販売は伸び悩んだ。

結果として選択肢を減らしただけで終わってしまい、しまむらの魅力のひとつである「宝探し」要素が低下し、客離れにつながった。  問題はこれだけではない。 ファッション性の低さが大きい。 言うまでもないが、衣料品においてファッション性の欠如は致命的だ。 それは、カジュアル衣料といえども例外ではない。 残念ながら、しまむらのファッション性は高いとはいえない。

そのことを示す調査結果がある。 マーケティング情報紙「日経 MJ」が調査会社モニタスを通じて、しまむらやユニクロなどの低価格カジュアルブランドについてアンケートを実施した。 そのなかで、ブランドイメージを複数回答で尋ねたところ、しまむら、ユニクロともに「価格が安い」が最多で、それぞれ 65.8% と 49.4% を占めた。 次いで、ユニクロは「シンプル (39.8%)」だったが、しまむらは「安っぽい (27.6%)」だった。 さらに、「ダサい」という印象もユニクロを上回ったという(3 月 12 日付日経 MJ)。  しまむらは安さが魅力としてある一方、「かっこ悪い」と感じる消費者が少なくないといえる。

ダサさからの脱却を模索

しまむらは、かつて郊外を中心に出店を重ねてきたこともあり、ファッション性や流行を求める客層ではなく、デイリーユースの服を求める層をターゲットとしてきた。 そのため、それほどファッション性を重視してはこなかった。 世間の一部においてしまむらに対し「田舎のダサい衣料品チェーン」というイメージがあったことは否定できない。 だが、2000 年代後半から流行を取り入れた品ぞろえを強化し、ファッション性を重視するようになった。 しまむらで購入した衣料品で全身をおしゃれにコーディネートする人を表す「しまラー」という言葉が広がったのは、この頃だ。 かつてあった「ダサい」というイメージは薄れていった。

しかし、ダサさから完全に脱却することはできなかった。 その象徴として、アニメなどとのコラボ商品への依存から脱却できていないことが挙げられる。  しまむらは 10 年代前半ごろから、アニメやキャラクターなどとコラボした商品の販売に力を入れるようになった。 たとえば、13 年にアニメ「美少女戦士セーラームーン」とコラボした衣料品を販売。 以降、「秘密結社 鷹の爪」、「おそ松さん」、「ガールズ & パンツァー」といった人気アニメなどとのコラボ商品を次々と販売している。

コラボ商品を販売すること自体は、もちろん悪いことではない。 アニメが好きな層を取り込むことができるし、おしゃれな商品であれば、それにより販売を拡大できることもあるだろう。 ただ、一般的にコラボ商品は、コラボする対象に興味を持たない人からおしゃれと思われることは稀だ。 むしろ、「ダサい」と思われる商品のほうが圧倒的に多い。  確かに、コラボ商品は一部の人には人気がある。

それがわかる事例がある。 しまむらは、購入商品の画像を投稿できる掲示板「みんなの『#しまパト』活動報告」を自社のホームページで運営しているが、筆者が本稿執筆時に確認したところ、最新の投稿 50 件のうち半数近い 23 件がキャラクターものの商品だった。 このことからキャラクターものの人気の高さがわかるが、裏を返せば、それ以外で魅力のある商品が乏しいともいえる。 コラボ商品に依存している感が否めない。

ユニクロとの差

消費者の嗜好の変化も、しまむらにとって不利に作用した。 近年は着回しのきくベーシック商品の人気が高まっており、そういった風潮のなかで奇抜なファッションは敬遠されやすい。 コラボ商品は最たるものといえるだろう。 そのため、以前にも増してコラボ商品以外でのキラーコンテンツの開発がしまむらには求められていた。

こうした流れを受けてしまむらは、15 年ごろからプライベートブランド (PB) の「CLOSSHI (クロッシー)」と「FREUDE (フロイデ)」においてベーシックアイテムの展開を強化するようになった。 そして、ユニクロのように 1 種類当たりの販売量を増やす戦略に舵を切った。 加えて、先述したレイアウト変更戦略と組み合わせてベーシックアイテムの販売増を狙ったわけだが、残念ながら、15 年と 16 年にヒットした「裏地あったかパンツ」と「素肌涼やかデニム & パンツ」に続くヒット商品を生み出せていない。

ベーシックアイテムでヒット商品を生み出せていないのは、ファッション性も関係している。 たとえベーシックアイテムといえども、ダサければ買ってはもらえない。 ベーシックアイテムにおしゃれ感は必要ないが、洗練されていなければならない。 残念ながら、しまむらにはそれが欠如しているのが実情だ。  一方、競合のユニクロは主にベーシックアイテムを扱っているが、しまむらなどにはない洗練さがある。

ユニクロはしまむら同様、郊外を中心に出店を重ねて成長してきたが、1998 年に若者のファッションの流行発信地である東京・原宿に出店したのを皮切りに、その後は次々と都心に出店して洗練されたファッションブランドであると印象付けることに努めてきた。 こうした立地戦略のほか、実力のあるデザイナーを起用して商品開発を行ったり、有名人を起用した宣伝広告を行うなどして洗練さに磨きをかけてきた。 こうして培ってきた洗練さがユニクロの強さのひとつとなっている。

その結果、苦戦するしまむらとは対照的に、ユニクロの国内販売は好調だ。 17 年 9 月 - 18 年 5 月の既存店売上高は前年同期比 7.5% 増と大幅な増収を達成している。  苦戦が続くしまむら。 成長を再度実現するためには、ファッション性を上げるなどしてもう一皮剥ける必要があるだろう。 (佐藤昌司、BusinessJournal = 7-15-18)


ZARA が世界首位 衣料品シェア、ユニクロは 5 位

英国の調査会社ユーロモニターによると、2017 年の衣料品の世界シェアは「ZARA」などを運営するインディテックス(スペイン)が単独首位に立った。 トレンドを取り入れた新商品を週 2 回陳列。 ネット販売にも力を入れ、おしゃれに敏感な男女の支持を拡大している。 16 年に同率首位だったスウェーデンのヘネス・アンド・マウリッツ (H & M) は 2 位に後退した。

インディテックスの 18 年 1 月期の売上高は前の期比 9% 増の 253 億ユーロだった。 欧米を中心とした既存店売上高が 5% 伸びたほか、ネット販売も 41% 増加。 純利益は 7% 増の 34 億ユーロだった。 新たにシンガポールやインドなどで電子商取引 (EC) サイトを立ち上げた。 一方で、H & M の 17 年 11 月期の売上高は 4% 増の 2,000 億スウェーデンクローナ。 増収を確保したが伸び率は鈍化した。 純利益は販管費などの増加が響き 13% 減少。 価格帯を含め消費者のつなぎ留めが課題となっている。

インディテックスは 1985 年の創業。 「ZARA」を中心に若者向けブランド「ベルシュカ」、雑貨などを扱う「ザラホーム」を展開する。 「ZARA」は 98 年に日本に初出店した。 現在、国内では約 100 店を展開している。 全世界では約 7,500 店舗を運営している。

特徴の一つは企画や生産、物流、販売を自社で手掛ける点だ。 顧客との接点を持つ店舗が人気のデザインや要望などを本社に伝達。 トレンドの要素を盛り込んだ商品を毎週 2 回、世界の店舗に配送している。 モロッコなど欧州から近い国で生産し、スペインに全商品を集約させ、航空機も活用して 2 日で世界中に届ける。 IC タグなど IT (情報技術)技術も駆使し、在庫などを徹底管理。 試着だけの店を出すなど新たな試みも進めている。 消費者の利便性向上に向け、ネットとリアルの融合に力を注いでいる。

H & M 失速、ユニクロが追う

47 年創業の H & M は店舗数を増やしているが、以前のような勢いがみられない。 全世界で約 4,700 店舗を展開する。 18 年 1 月には黒人への差別的な表現を使ったパーカーの広告を出稿したとして、アフリカで抗議行動が起きた。 日本には 08 年に 1 号店を開業。約 80 店を持ち、20 年までに 100 店規模に拡大する計画だ。

「ユニクロ」を運営するファーストリテイリングは 1.1% のシェア 5 位で両社の背中を追う。 アジアを中心とした海外出店やデジタル化を進めている。 インディテックス、H & M とも日本で売上高は数百億円規模とされる。 日本市場ではファストリが店舗数を含めて両社を上回っている。 (nikkei = 7-12-18)


アパレルも「定額制」時代 レナウンがスーツレンタル

月額定額の衣料品レンタルサービスに乗り出す企業が相次いでいる。 レナウンは 10 日、月 4,800 円(税別)からでスーツを貸す事業に本格参入すると発表した。 三越伊勢丹も高額なドレスなどを 20 - 30 代女性にレンタルするサービスを 8 月に始める。 若年層の消費行動が「所有」から「利用」へ変化するなか、音楽配信などで定着した「サブスクリプション(継続従量課金)」型で顧客をつなぎとめようとの動きがアパレルでも広がってきた。

「服は買うから利用する時代になる。」 同日、都内で開催したイベントで、レナウンのカスタマーリレーション & コーポレートコミュニケーション統括部の中川智博部長はこう強調した。 2018 年春に始めた法人向けのレンタルが好調だったため、当初予定より半年前倒しして今秋から一般消費者に対象を広げる。

月 4,800 円でスーツ 2 着

新サービス「着ルダケ」は月額 4,800 - 9,800 円で契約期間は 6 カ月から。 4,800 円のプランの場合、春夏物と秋冬物のそれぞれ 2 着のスーツを利用できる。 シーズンごとに新たなスーツが送られてきて、返送したスーツはレナウンがクリーニングして保管する。

貸し出すスーツの定価は 1 着 6 万円前後。 計 4 着を購入すると 24 万円かかる計算だが、同社のサービスでは年間 6 万円弱で利用できる。 スーツやシャツ、ネクタイのコーディネートを提案するほか、手入れの相談にも応じる。 手入れの手間が省けるほか、着用しない時期に保管する場所も必要ない。 スーツは 2 年ごとに新品と交換し、使用済みのスーツはレナウンに返却するか、自分で買い取るかを選べる。

レナウンの狙いは若年層など新たな顧客の取り込みだ。 総務省によると、17 年度の国内のスーツの年間支出額はこの 10 年で約 4 割減った。 クールビズなど仕事着のカジュアル化が進み、「スーツに数万円を出すのには抵抗がある」といった消費者も増えている。 ただプレゼンテーションや接待の場などで必要になることもあり、支払いのハードルを下げることで需要を掘り起こす。

同額のスーツを販売するよりも目先の収入は減る計算になるが、契約を継続してもらえれば安定収入につながる。 アパレル不況の原因となった在庫リスクや値下げ販売とも無縁だ。 レナウンによると 3,000 人以上の会員を獲得できれば黒字が見込める計算だという。

AOKI やワールドも参入

衣料品各社によるレンタル参入は相次いでいる。 紳士服大手の AOKI は 4 月から、ビジネスウエアのレンタルサービス「suitsbox (スーツボックス)」を開始。 月 7,800 円でスーツとシャツ、ネクタイのセットをレンタルできる。 受注が好調で、当初は 21 年 3 月期に目指していた会員数 1 万人の目標を「1 年前倒しで達成できる見込み(経営戦略室の永沼大輔氏)」という。

カジュアル衣料大手のストライプインターナショナルも定額のレンタルサービス「メチャカリ」を展開。 約 13 年ぶりの上場をめざすワールドも 3 月、衣料品の定額レンタルサービスを展開するスタートアップに出資した。 レンタルやシェアビジネスと距離を置いていた百貨店業界も動く。 三越伊勢丹は 8 月から 11 月までサブスクリプションサービスを三越銀座店(東京・中央)で始める。 貸し出すのは 20 代から 30 代の女性を対象にした結婚式向けのドレスや "女子会" など特別な日に着用するようなワンピースやブラウスなどだ。

利用者は店舗か専用のアプリで気に入った商品を選んで借りることができる。 著名なデザイナーブランドを含む 10 ブランドで 180 点のドレスなどを用意。 利用料金は 2 泊 3 日の期間で 1 万 5 千円から 2 万円と、新品の価格の 2 - 3 割に設定する。 12 月以降は店舗や対象ブランドの拡充を検討する。

若者に広がる「すぐ売る消費」

若年層を中心に百貨店アパレル離れは深刻だ。 百貨店での衣料品販売は 17 年まで 4 年連続で前年を下回った。 「ゾゾタウン」などのネット通販や個人間売買の「メルカリ」が台頭し、若年層は衣料品を使い古すまで使うという習慣が薄れている。 SNS (交流サイト)に投稿するためだけに服を買い、すぐに売る「ワンショットファッション」という消費行動も生まれるなど、若年層を中心にネットで売買する傾向が目立っている。

三越伊勢丹は「若年層にはハードルが高いと思われるブランドにレンタルで触れてもらうことで、利用への選択肢を増やしたい」と話す。 すっかり百貨店に来なくなってしまった若年層にまずは店舗に来てもらい、ネット通販や実店舗での新品での購入につなげる狙いだ。 (花井悠希、鈴木慶太、高橋彩、nikkei = 7-10-18)


プチプラ服が抱える闇 時給 400 円、納品せかされ続け

多くの新品の服が売れ残り、廃棄されている。 背景には、流行を追いかけ、より安く大量に供給する衣料市場の現状がある。 その影響は、国内の製造現場で働く人の暮らしも脅かしている。 インターネットのブログに掲載されているカーディガンやワンピースはおしゃれで、とてもその価格には見えない。 流行を押さえ、作りもしっかりしている。 プチプラは「プチ(小さい)プライス(値段)」の略。 紹介するブログは、ファッション雑誌の購読数ほどの読者数を誇るものもあるほど人気だ。

2000 年代以降、安くて流行を押さえた「ファストファッション」が定着し、消費者はお金をかけずにおしゃれを楽しめるようになった。 ネット通販も広がり、経済産業省が 6 月に公表した資料によると、国内の衣料品の供給量はバブル期の約 20 億点から 20 年で約 40 億点に倍増した。 一方、家計の衣料品の購入単価は約 6 割に減った。

競争が激しくなり、メーカーは費用を抑えようと人件費の安いバングラデシュなどに発注するようになった。 業界の事情に詳しい小島ファッションマーケティングの小島健輔代表は「これらの国の工場は、技術がなくても働けるように作業を細分化し、規模を大きくしている。 メーカーは大量に発注する必要があり、売れる数はそこまで増えていないのに、供給量が大幅に増えた」と分析する。

「他の業者も似たような商品を出せば大量に売れ残るが、半年から数カ月前に発注しているため、途中で減らすのは難しい。 売れ残れば、製造コストの安さは帳消しになってしまう。」 そのしわ寄せは働く人たちに向かい、低賃金と長時間労働につながる。 「同じ単純作業の繰り返しで、技術を身につけて給与を上げる仕組みになっていない」と、小島さんは指摘する。 (藤田さつき、仲村和代、asahi = 7-3-18)

◇ ◇ ◇

新品の服、売れずに廃棄「年 10 億点」 人気ブランドも

倉庫に山積みの段ボール。 中身は、捨てられる寸前だった服だ。 ニット、パーカ、スカート - -。 大手通販業者や若者に人気のブランドの商品など、「新品」ばかり。 新しいデザインの服が安く買えるようになった陰で、大量の売れ残りが発生している。

大阪市の在庫処分業者「ショーイチ」の倉庫には常に 30 万 - 40 万点の服がある。 「売れ残った、少しほつれていたなど、ここに来る理由は様々。 一度も売り場に出なかった服もある。」と山本昌一社長は言う。 アパレル業者や工場など年間約 600 社から、500 万点が持ち込まれる。 「メーカーも売る努力はしているが、服は好きなものじゃないと着ないので難しい。」

定価の 1 割ほどで買い取り、タグを外してブランド名が分からないようにして、自社のサイトやイベント会場などで販売している。 見栄えのいい写真を掲載するなどの販売努力をして、定価の 17 - 18% でようやく売れていくという。 (仲村和代、藤田さつき、asahi = 7-3-18)


コートに込めた三陽商会の「ほんとうにいいもの」という考え

三陽商会が今年、75 周年を迎えた。 1943 年に設立して以来、世代を超えて愛され続けているのは代名詞と言えるコートだ。 5 年前には日本の匠の技を結集させた「100 年コート」を発表。 一着に込められた三陽商会ならではのものづくりの姿勢について、サンヨーコート企画 MD の石田和孝氏に聞いた。

三陽商会は 1946 年に防空暗幕を使用したレインコートを発表して以来、絹の光沢を持つオイルシルク製のレインコートや、シルエットの異なる襟を付け替えることのできる「プラスカラーコート」など、多様なコートを生み出してきた。 設立 70 周年を迎えた 2013 年には「ほんとうにいいものをつくろう」という理念の元に、永く愛されることをテーマにした「100 年コート」を発表。 親から子、そして孫に受け継がれる一着として、トレンチコートやバルカラーコートを展開している。

紳士服や婦人服、子ども服など幅広く手がけてきた同社が、「100 年コート」を通じて創業アイテムであるコートに改めて焦点を当てることで、企業としてのメッセージを込めた。 それが同社の創業者である吉原信之の「多くの人が使って愛されるものがいい」という考えだ。 老若男女が着られ長く使えるにはアフターケアが重要とし「100 年オーナープラン」が設けられているのも特徴。

メンテナンスが必要になった時に職人といつでも相談ができ、購入から 3 年ごとに行われる定期診断では生地の擦り切れやボタンの緩みなど 10 項目を点検して一部は無償で補修を行う制度となっている。 売って終わりではなく、着る人と長く付き合っていくことこそが「100 年コート」たる所以だと石田氏は言う。 「コートを通じて長くものを大事にする心を伝えたい。 長く着ることがかっこいいという価値観が広がって欲しい。」

店舗では親子で来店する姿も見られ、就職活動や仕事を始める時など、節目に「100 年コート」が選ばれることも多いという。 石田氏は「例えば親子の間で何か大切なものを贈る時、それぞれの想いがあると思います。 そういった気持ちが込められた、ストーリーのあるブランドになれたら。」とし、受け継がれた伝統と信頼を守りながら、革新的な取り組みも行っていきたいとしている。 (FashionSnap = 6-27-18)


しまむらが ZOZOTOWN に出店 初のオンライン店舗

しまむらは 7 月 9 日に、ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」に出店すると発表しました。 同社初のオンラインショップとなります。

「ファッションセンターしまむら ZOZOTOWN 店」は、店舗のないエリアや来店できないユーザーへの商品提供が目的で、プライベートブランド「CLOSSHI シリーズ」や最新のトレンドファッションを "しまむら安心価格" で販売するとしています。 オープンセールでは特価商品や同店でしか手に入らないオリジナル商品を数量限定で用意するとのこと。 (ねとらぼ = 6-25-18)


米 Amazon、"試着して購入を判断できる" 衣料品通販「Prime Wardrobe」正式スタート

アマゾン、衣料品販売に本格参入

記事コピー (6-21-18)


水泳授業にも紫外線対策 3 人に 1 人がこの夏、着用予定

水着の上から着られるシャツ型の水着「シャインガード」 "お客様の声" を反映した、3Dパターン採用の新シリーズ発売

水泳用品メーカーのフットマーク株式会社(本社 : 東京都墨田区、代表取締役社長 : 三瓶 芳)は、小学 1 年生から中学 3 年生までの子どもを持つ母親 200 名に、「わが子についての水泳授業における紫外線の認識調査」を実施いたしました。 紫外線意識の高まる昨今、学校のプール授業の場面でも使用の普及が広がる「『紫外線対策水着』を知っていますか?」については 80% の母親が「はい」と回答。 認知度の高さがうかがえました。

紫外線対策水着とは、紫外線対策や露出軽減を目的に水着の上からでも着られるシャツ型の水着のことで、特に九州や関西方面では年々使用が盛んになってきています。 現在、学校の水泳授業用の水着は大きく指定水着と自由購入に分かれていますが、紫外線対策水着については、個別に学校の許可を得て個人で購入というケースが多く見られます。 以前はアトピーや肌の弱い子どもについては着用が許可されておりましたが、それだけ個人の関心が大きく、学校も対応しているという状況にあります。 (sankei = 5-30-18)


衣料向け透明反射材 丸仁、強い光で文字・キャラ浮かぶ

衣料品向けの転写シートや反射材を手掛ける丸仁(福井市)は通常は生地の色が透けて見え、車などの強い光で輝く透明な反射材を開発した。 文字やキャラクターに使うと、光があたった時だけ浮かび上がる。 衣料品に貼り付けて使う。 車からの視認性向上のための反射材にデザイン性が加わり斬新なファッションになるとしてアパレルメーカーなどに売り込む。

「透明リフレクター」と名付けた。基板となる樹脂の上に直径 40 マイクロ(マイクロは 100 万分の 1)メートルのガラスビーズを並べた構造だ。 ビーズの下半分に光を反射する透明な金属化合物を蒸着させた。 光源から出た光が元に戻ってくるように反射、キラキラ輝いて見える。 強い光があたった時だけ輝いて見せたい図柄やキャラクター顔などの形の転写シートをつくり、加熱してアウターやパンツなどに貼り付ける。 太陽光の下や部屋の中など通常は生地の色や柄がそのまま透けて見える。

一般的な反射材は表面に銀色のアルミニウムを付着させてあり、下にある生地の色や柄が見えない。 アパレルから輝かせる部分のデザインを受注してシートとして供給したり、自社で衣料品への貼り付けまで引き受けたりする予定だ。 受注価格はデザインの複雑さや大きさなどにより異なる。 雨森正次郎社長は「スマートフォンでフラッシュ撮影した時、全く違ったデザインになる。 インスタ映えの需要にも応える。」とする。 1 年目は 2,000 万円の売り上げを目指す。

販路拡大の一環で、反射材を応用し、強い光でキラキラ輝く編み糸を商品化した。 幅 1 ミリの糸状の反射材をナイロンの筒状のネットで包んだ。 通常は内側の糸が透けて見えるが、光をあてると糸が反射する。 透明リフレクターを使った反射糸は 40 メートルの価格が 1,080 円だ。 子どものバッグに付けたり、ペットの散歩用の服に使ったりできる。

同社は 1984 年の設立。 スポーツ衣料向けのロゴなどの転写マーク、作業服向けの反射材などを手掛けてきた。 2017 年 5 月期の売上高は約 5 億円。 反射材を中心とした製品開発の強化を通じて、21 年 5 月期に売り上げの 20% 増を目指す。 (nikkei = 4-5-18)


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