スペースワールド跡地のイオン、西日本最大級に

昨年末に閉園した北九州市八幡東区のテーマパーク「スペースワールド」跡地に、イオンモールが新業態の商業施設を 2021 年にオープンさせる。 県と北九州市による発表を受け、19 日に同社が発表した。 西日本最大級の規模を生かし、広域からの集客をめざす。 新施設は、新日鉄住金が所有するスペースワールドの跡地や周辺用地と新日鉄の関連会社が持つ駐車場用地の計 27 万平方メートルに建設する。 隣接するイオンモール八幡東(6 万 7 千平方メートル)を合わせると 33 万 7 千平方メートル。 同社最大の埼玉県越谷市の 3 施設の合計約 34 万平方メートルに匹敵する規模。

広大な敷地に、ショッピング、エンターテインメント、食、カルチャーを融合した施設をつくるとしているが、詳細は決まっていない。 市は、同区にある児童文化科学館の移転候補地の一つにしているが、同社との協議はこれからだ。 戸畑、若松両区にあるイオンについて、イオンモールは「デイリーユースの使われ方をしているので、そのまま営業していく。」

土地所有者である新日鉄住金が昨年 11 月に市に届け出ていた地区計画の変更は年内に認められる見通し。 変更後、イオンモールが求めている施設や遊具の撤去完了後に着工する。 工期は通常、1年半ほどという。 同社は都市高速のインターチェンジや JR の駅に近い立地環境の良さを強調。 「人口は減っているが、縮小しているパイを食い合うのではなく、国内外の観光客、市外、県外の方にパイを広げることで勝機はある」としている。 (井石栄司、asahi = 2-20-18)


関ケ原 : 岐阜県のビジターセンター、豪華すぎ? 事業費膨らむ

天下分け目の合戦があった「関ケ原古戦場(岐阜県関ケ原町)」に同県が整備するビジターセンターの総事業費が 52 億 4,099 万円と、当初予定の約 20 億円の 2.5 倍以上に膨らむことになった。 古田肇知事の「走れるだけ走れ」との号令下、県内有数の観光拠点にする狙いがある。 一方で、一部のベテラン県議からは「設備や規模が豪華になり過ぎ、県財政への負担が大きい」と懸念する声が出ている。

施設は 5 階建ての物見やぐら風で、延べ床面積 4,725 平方メートル。年間 30 万人の来館を想定する。 2018 年度に本体工事に着手し、東京五輪・パラリンピックが開催される 20 年の完成を目指す。 18 年度一般会計当初予算案に、工事費や周辺施設の設計費 1 億 144 万円を盛り込んだ。 上空からと人間の目線で合戦を疑似体験する二つのシアター、古戦場を一望できる展望台を整備する。 床面スクリーン「グラウンドシアター」は国内で現在 2 カ所しかなく、湾曲した「オーバルスクリーン」も取り入れる。 県の担当者は「珍しさがなければ集客力が高まらない。 ジオラマは動きがない。 上空からの目線だと山に囲まれた地形を理解できる。」と説明する。

平屋建ての商業棟を整備し、土産物や関連グッズの販売店、テラス席を備えた飲食店が入る予定。 駐車場を整備し、レンタサイクルの貸し出しも準備する。 施設は 16 年 3 月策定の基本構想で「古戦場の新たなシンボル」と位置付け、町歴史民俗資料館の南側に建設することになった。 16 年 6 月、建設予定地に隣接する町老人福祉センターが老朽化で解体されることが決まり、県は町から跡地を含めた一体的な活用を求められた。 計画見直しに伴い、活用できる敷地が 2 倍以上に広がり、機能を充実させた結果、総事業費は大きく膨らんだ。

建設費は県が全額負担し、年間 2 億円と見込む維持管理費についても県が負担する可能性もある。 ほかの主な施設の負担割合について、郡上市に 6 月開館予定の漁業体験施設「清流長良川あゆパーク」は、県が総事業費 5 億 3,000 万円の全額を負担する。 施設運営は指定管理者として市に委ねる考えで、維持管理費は県と市で折半する。 3 月 24 日にリニューアルオープンする各務原市の「岐阜かかみがはら航空宇宙博物館」の再整備の総事業費は 48 億 8,000 万円で、負担割合は県 2.3、市 1 だった。

関ケ原のビジターセンターについて、県関ケ原古戦場整備推進室は「関ケ原古戦場は西濃周遊観光コースの拠点で県全体の話」と強調する。 これに対し、県議会には「県財政が少し楽になったとはいえ、事業費が膨らみすぎる」、「地元の積極性が見られない」との疑問があり、県庁内部からも「市町村主導で行うべき事業に県が手を突っ込み過ぎ」との声も上がる。 (岡正勝、mainichi = 2-18-18)


財政難 … 結論は「全職員の給与カット」 千葉・富里市

千葉県富里市は 4 月から 1 年間、すべての一般職員の給与をカットすることを決めた。 厳しい財源不足を補うためだといい、カット率は月の給料の 0.5%。 地域手当も削減する。 市の財政運営のために一般職員の給与を減額するのは初めてだという。 市長、副市長、教育長は月の給料を 1% カット、部課長らに支給されていた管理職手当も 10% 減額し、総額 1 億 452 万円を捻出する見込みだ。

給与カットの対象となるのは、非常勤、臨時を除く 484 人。 14 日に発表した新年度当初予算案に減額した人件費を盛り込んだ。 相川堅治市長は「給与をカットしても、住民サービスを落とさないようにしようと職員と話がまとまった」と話した。 市は、学校給食センターや保健センターの建設をはじめとする支出で財政が厳しさを増したと説明。 成田空港開港に伴う人口急増で建てた学校を中心に公共施設の老朽化が進み、その対策でも支出増が見込まれるといい、「全職員給与カット」という結論に至った。

市長、副市長、教育長については、すでに 2003 年から段階的に減額しており、今回で減額率はそれぞれ 11%、6%、4% になる。 新年度一般会計当初予算案には、特産のスイカの生産を支援する事業などを盛り込み、総額は前年度比 7.5% 減の 143 億 4 千万円となった。 (黒川和久、asahi = 2-15-18)


実際に締まる「ネジチョコ」、注文殺到 米国でも販売へ

14 日のバレンタインデーに向け、チョコレート商戦は真っ盛りだ。 官営八幡製鉄所の関連施設が世界文化遺産に登録されたのを機に生まれ、国内外で人気を集める「ネジチョコ」の販売元ではロボットを導入し、商品作りに追われている。 ネジチョコは、北九州市小倉南区の菓子店「グランダジュール」が開発、2016 年 2 月に販売を始めた。

前年に八幡製鉄所旧本事務所などが「明治日本の産業革命遺産」として世界文化遺産に選ばれた直後、菓子店を運営する通信サービス会社の社長で北九州市出身の吉武太志さん (45) が思い立つ。 「鉄の街、ものづくりの街、世界遺産のある街・北九州をアピールする土産を作ろう。」 施設見学や資料集めを重ね、最初は H 鋼をかたどったチョコレートを作った。 「茶色い棒にしか見えない」、「北九州以外の人にはわかりにくい。」 周囲の評は芳しくなかった。

さらに研究を続け、ボルトとナットのような部品の古い写真を見つけ、「これならいける」と決めた。 チョコは、頭が六角形の雄ネジ(長さ約 2 センチ)と雌ネジの形にした。 雄ネジの棒の部分と雌ネジの内側に、らせん状の溝を切り、はめ回せば実際に締まる。型は 3D プリンターで取る。 試作で雌ネジが割れることもあったため、型を 6 回作り替えた。 商品は 2 種類で、通常のチョコと、ココアパウダーを鉄のさびに見立てて振りかけたものもある。 雄ネジの先端にアルファベットひと文字やハートマークを刻む細工も加えた。

発売後の反響は予想を超えた。 「SNS でも話題になり、作る端から売れた」という。 当初は雄ネジと雌ネジ各 1 個のセットを 1 日に 300 作っていたが、注文に追いつかない。 海外からも引きがあり、すでに販売しているシンガポールと UAE に続き、今年 3 月からは米国でも「チョコレートボルト」の名で売り出す。 韓国や中国、オーストラリアなどでの販売も計画中だ。

今年のバレンタインデーも見据えて 17 年 10 月末、特注の製造ロボットを工場に入れた。 手作業の従業員とともに今は日に約 1 万 5 千セットを作っているが、それでも注文に応じきれない。 だから、ネットでの販売は中断している。 吉武さんによると、販売開始から今年 1 月までに約 350 万セットが売れたという。 買えるのは JR 小倉駅や北九州空港など北九州市内を中心に福岡県内の約 20 カ所だ。吉武さんは「ぜひ北九州へ来て、お求めいただきたい。 同時にこの街の魅力を知ってほしい。」と話す。 ネジチョコは 5 個入り 432 円、15 個入り 1,080 円(ともに税込み)。 問い合わせはグランダジュール (093・475・7700) へ。(専門記者・緒方健二、asahi = 2-12-18)

前 報 (2-11-16)


巨大溶岩ドーム、鹿児島沖で確認 世界最大級直径 10 キロ

神戸大海洋底探査センターは 9 日、鹿児島県・薩摩半島の南約 50 キロにある海底火山「鬼界カルデラ(直径 20 キロ)」に、世界最大級の溶岩ドーム(直径 10 キロ、高さ 600 メートル、体積 32 立方キロ超)を確認したと発表した。 採取した岩石などから、巨大カルデラ噴火を起こす大規模なマグマだまりが成長している可能性があるとしている。

海底火山「鬼界カルデラ」に

論文が同日、英科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」(電子版)に掲載された。 鬼界カルデラは南九州の縄文文化を消失させたとされる約 7,300 年前の噴火で形成されたくぼ地。 同センターは昨年 10 月までの 2 年間に 3 回、同大大学院の練習船「深江丸」を用いてカルデラ内部の海底を調査し、その中にドーム状の地形があることを確認していた。

今回は、この地形から採取した岩石を分析し、鬼界カルデラ形成時の噴出物とは化学的特性が異なることが判明。 周辺の断層の調査で、内部が盛り上がったためにできたゆがみを発見した。 その結果、この地形が鬼界カルデラ形成以降の噴出でできた溶岩ドームで、少なくとも体積は 32 立方キロと結論付けた。 ドームの上部では、熱水が噴出して煙のようにたなびく「熱水プルーム」も既に確認されており、直下で活発な火山活動が続いていると推測している。

同センターによると、体積 40 立方キロ以上のマグマを噴出する巨大カルデラ噴火は、日本列島で過去 12 万年間に 10 回発生。 鬼界カルデラの噴火が最後とされている。 センター長の巽好幸教授(マグマ学)は「日本列島で巨大カルデラ噴火が起きる確率は今後 100 年間に 1% だが、最悪の場合、約 1 億人の犠牲者が出るとされる」と話し、噴火予測に向けてマグマだまりの可視化をめざす考えを示した。

ジャニーズ滝沢秀明さんも貢献

鬼界カルデラ内に世界最大級の溶岩ドームを確認したとする神戸大海洋底探査センターの論文の著者 17 人の中に、タレントの滝沢秀明さん (35) も名を連ねた。 同センターによると、溶岩ドームの一番高い場所は水深約 20 メートル。滝沢さんは昨秋、NHK の番組のロケでこの部分に潜って岩石を採取し、今回の研究の分析に使われた。 巽教授は「非常に重要な役割を果たされた」と話した。 (松本杏、mainichi = 2-9-18)

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ファイナルファンタジー名場面も さっぽろ雪まつり開幕

さっぽろ雪まつりが 5 日、札幌市中央区の大通公園などで開幕した。 大小約 200 基の雪像や氷像が 3 会場に並び、国内外からの観光客でにぎわっている。 今年で 69 回目。 12 日までの期間中、最多だった昨年の 264 万 3 千人を超える人出が予想されている。

メイン会場の大通公園には、世界遺産・薬師寺(奈良市)の大講堂を精巧に再現した高さ 11 メートルの大雪像のほか、人気ゲーム「ファイナルファンタジー (FF)」の名場面、手塚治虫作品の人気キャラクターなどが登場。 市民が制作した、プロ野球日本ハムの新人・清宮幸太郎選手がモチーフの小型雪像も注目を集めている。 映像を投影するプロジェクションマッピングなどもあり、雪と氷の幻想的な光景が冬の街を彩る。

薬師寺大講堂は、寺が現在の場所に移転して 1,300 年、世界遺産に登録されて 20 年に合わせ、北海道テレビ放送 (HTB) と奈良県、薬師寺が企画した。 雪を固めた約 4,400 個のパーツを組み合わせ、美しく反り返る 2 層の屋根を細部まで再現。 大型トラック約 490 台分の雪を使い、陸上自衛隊第 11 旅団(札幌市)の隊員 130 人が計 28 日間かけて完成させた。 (今泉奏、asahi = 2-5-18)


「肉がおいしく焼ける」フライパン人気 鋳造会社の思い

愛知県碧南市の鋳造会社が昨年 12 月に発売したばかりの「肉がおいしく焼ける」こだわりの鉄製フライパンが口コミなどで評判になり、自社サイトのみでの販売ながら注文から納品まで 45 日待ちの人気ぶりだ。 その名も「おもいのフライパン」。商品開発にかけた「思い」とは?

開発したのは、石川鋳造の 4 代目石川鋼逸(こういつ)社長 (45)。 熱したフライパンに溶き卵を流し込むと、ジューッと音がする。 「普通のフライパンではこの音がなかなか出ない。 熱伝導が良い証拠です。」とうれしそうな顔をする。 鋳物のメリットは、熱伝導が良くしかも均一で焼きムラができないことや蓄熱温度の高さ、それを生かしたのが「おもいのフライパン」だ。

直径約 20 センチと小ぶりだが、持つとずっしり重い。 重さは 1.2 キログラム。 ただ、持ち手の重みとのバランスがとれていて、意外に扱いやすい。 重いのは厚みが 5 ミリあるためだが、肉をおいしく焼くには必要な厚みだという。 開発に取り組み始めたのは約 10 年前だ。 同社は自動車部品や水道管の委託製造を主に請け負ってきたが、自動車の電気化が進む中、新しい自社製品の開発が急務だった。 熱伝導などの鋳物の利点を生かせるのはフライパンだと思い至ったものの、すでに他社のヒット商品があった。

「後発が同じものを作っても意味がない。」 石川さんは様々なレストランや食堂を訪ね、食事中の人たちの顔を見て回った。 「一番おいしそうなのは肉料理を食べている人の顔だった。」 調べてみると「肉がおいしく焼ける」を売りにするフライパンはまだ無かった。 方向性は決まった。 さらに、食品偽装など食の安心安全が問われる事件が続発したことから「無塗装」で仕上げると決めた。 多くのフライパンは焦げ付き防止にフッ素樹脂塗装などが施されているが、塗装は数年ではがれてしまう。 無塗装なら余計なものを体内に入れることもなく安心して長く使える。 無塗装でもさびにくくする技術力に、自信があった。

3 年前から試作品作りを繰り返し、厚さ、大きさ、持ち手の形や角度などを試行錯誤して完成させた。 ガスコンロでも IH でもオーブンでも使用でき、家庭用オーブンに入る大きさに設計した。 持ち手は指にあわせた三つの穴が手になじみ、そのまま食器に使えるデザイン性にもこだわった。 表面の凸凹が油になじんで使うほど黒光りしてくる。 器具の良さを引き出す料理のレシピ集も添えた。

商品名の「おもい」には、「重い」と作り手がこだわった「思い」、それに、使う人の「思い」に応えたい気持ちを込めた。 9 千円(税抜き、送料込み)で自社のサイトのみの販売だが、1 カ月半で約 500 個が売れた。 1 日 10 枚しか作れず、製造が追いつかない状態だ。 問い合わせは石川鋳造 (0566・41・0661) へ。 (小西正人、asahi = 2-4-18)


絶景のウユニ塩湖、香川にも? 映えるのは月 10 日ほど

瀬戸内海に沈む夕日が美しい香川県三豊市の父母ケ浜(ちちぶがはま)に、カメラやスマートフォンを手にした人たちが続々と集まっている。 跳んだり、はねたり。湖面に空や人を映す絶景で知られる「南米ボリビアのウユニ塩湖にそっくり」とSNSで話題になっている。

父母ケ浜は「日本の夕陽(ゆうひ)百選」の一つ。 潮が引いて、砂浜に残された鏡のような潮だまりに鮮やかな夕焼けが映り、そばに立つと、水面の上にいるかのような写真を撮ることができる。 そんな風景がインスタグラムやツイッターで紹介され、いまでは四国だけでなく関西や海外からも人が訪れる名所になっている。

ただ、絶景に出会えるのは干潮と日が沈む時刻が重なる時期に限られ、月に 10 日ほど。 風で水面が波立っていてもダメだ。 せっかく訪れたのにがっかり、という声もあり、三豊市観光交流局は昨年から、絶景と出会える時期や時間帯をホームページで紹介している。 (林紗記、asahi = 2-2-18)

前 報 (9-10-17)


諏訪湖に待望「御神渡り」 5 季ぶりに出現

長野県の諏訪湖で 1 日朝、2013 年 1 月以来、5 季ぶりに「御神渡(おみわた)り」が出現した。 全面結氷した湖面の氷が寒暖差で膨張・収縮を繰り返し、山脈状に盛り上がる現象。 諏訪大社上社の男神が、対岸の下社の女神のもとに通った道筋とされる。 判定をつかさどる八剱(やつるぎ)神社の関係者が同日確認した。 諏訪湖は先月 27 日に全面結氷し、御神渡り出現への期待が高まっていた。 (依光隆明、asahi = 2-1-18)

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諏訪湖に山のような亀裂、激突で大音響 御神渡りに期待

結氷した諏訪湖に山脈状の亀裂が現れ、御神渡りへの期待が高まっている。 亀裂があるのは下諏訪町沖。 気温の上昇で氷が膨らむ関係か、朝方には時折、氷が鳴動する。 30 日午前 8 時 35 分には大音響とともに亀裂で氷同士が激突した。 映像を見た八剱神社の宮坂清宮司は「沖合側の氷が動いて陸地側の氷に激突した。 すごい迫力です。」 (依光隆明、asahi = 1-31-18)


新潟・佐渡で 1 万世帯断水 県が災害出動を要請

新潟県によると、寒波の影響で 29 日午前 8 時現在、同県佐渡市の約 1 万 700 世帯で断水が起きている。 24 日以降の急激な冷え込みによる水道管の漏水が原因とみられる。 県は自衛隊に災害出動を要請。 自衛隊がフェリーや空路で給水車を手配し、同市役所などで給水を始めている。 市内の小中学校 26 校が臨時休校となった。 復旧時期は未定。 気象庁によると、24 日に同市秋津で零下 6.6 度を観測。 その後も市内の各地で零下の冷え込みが続いていた。 (asahi = 1-29-18)


頭部に赤い「C」マーク コイの「カープちゃん」が人気

頭部に赤い「C」マークが浮かぶコイが、プロ野球・広島東洋カープのファンらに人気だ。 その名も「カープちゃん」。 山口県光市の冠山総合公園の池で 2 年前に見つかって以来、カープの快進撃は止まらない。 他のコイを押しのけてエサに食らいつくカープちゃんに、リーグ 3 連覇の夢を重ねる。

公園管理事務所によると、日本庭園が広がる修景池に、カープちゃんが「発見」されたのは 2016 年の夏ごろ。市観光協会のスタッフがホームページを作成するため、公園内の風景を撮影していて見つけたという。 池には独特な模様から「リボンちゃん」や「ボタンちゃん」と名付けられたコイがすでにいたが、C マークのコイは知られていなかった。 カープが 25 年ぶりのリーグ制覇へとひた走る中での発見に、「盛り上がるね」と「カープちゃん」と名付けたという。 (三沢敦、asahi = 1-24-18)


ゴンドラ下に黒い雪面、本白根山が噴火 取り残された全員を救助
噴石で 1 人死亡 11 人負傷

23 日午前 9 時 59 分ごろ、群馬県と長野県の境にある草津白根山の本白根山(2,171 メートル)が噴火し、麓にある草津国際スキー場(群馬県草津町)で訓練中だった陸上自衛隊の男性隊員 (49) が死亡した。 陸自が明らかにした。 ほかの隊員 7 人も負傷。 当初は雪崩に巻き込まれたとしていたが、噴石による被害だったとみている。

草津白根山で噴火が確認されるのは 1983 年以来。 地元消防によると、スキー場に来ていたスキー客も、ロープウエーのゴンドラに噴石が当たってガラスが割れ、けがをした。 レストハウスの一部の屋根も、噴石で突き破られたとしている。

菅義偉官房長官は全体の死傷者について、死者 1 人、負傷者 11 人の計 12 人と発表。 警察などが、噴火当時の詳しい状況を調べている。 陸自によると、スキー場で約 30 人がスキー訓練をしていた際、8 人が巻き込まれた。 負傷した 7 人のうち男性 5 人が重傷、男女 2 人が軽傷で、いずれも意識はある。 訓練予定だったコースが雪崩の危険で閉鎖されていたため、別のコースへ向かう途中に噴火が発生したという。

午後 5 時半ごろ、スキー客全員の救助終える

群馬県草津町によると、山頂駅にあるレストランには一時、約 80 人のスキー客らが残されたが 23 日午後 5 時半ごろ、全員の救助を終えた。 重傷者はいない。 (sankei = 1-23-18)


農作物の鳥獣被害、4 年連続減少 防護柵設置など奏功か

農林水産省がまとめた 2016 年度の野生鳥獣による農作物被害は、前年度より 5 億円少ない 172 億円だった。 減少は 4 年連続。 調査を始めた 1999 年度以降で最も少なく、ピークだった 10 年度(239 億円)より 3 割減った。 農水省は、駆除や防護柵の設置などが一定の効果を上げたとみている。 被害額が多いのは、シカ 56 億円、イノシシ 51 億円、カラス 16 億円、サル 10 億円など。 都道府県別では、北海道の 44 億円、福岡の 7 億円、長野の 6 億円などが多かった。 西日本は前年度を下回る府県が多かったが、東北や関東では増えた都県も目立った。

北海道や宮崎は被害額が前年度より 1 億円以上減った。 エゾシカの被害が大きい北海道は毎年度、10 万頭以上を捕獲し、16 年度の推定生息数は 10 年度の約 3 分の 2 にまで減ったという。 農地を囲む防護柵は、農水省の補助金で設置された分だけで、16 年度までに全国で地球 1.7 周分、約 6 万 7 千キロにおよんでいる。 (山村哲史、asahi = 1-21-18)


くまモン、海外解禁で地元困惑 大口の取引キャンセルも

熊本県のキャラクター「くまモン」のイラスト利用が今月から海外企業にも有料で解禁された。 中国や香港など中華圏を中心に高まる人気に乗じた熊本の PR 強化が主な狙いだが、ぬいぐるみなどを輸出してきた地元業者では大口のキャンセルも出ており、「県内企業を優遇して」、「本来の目的から外れる」などと不満が噴出している。

「くまモン」はこれまで、熊本の PR や県産品使用を条件に、原則として国内企業に限り無料で利用できた。 だが、県は 8 日から海外企業の利用を解禁。 県の PR を求めない代わりに小売価格の 5 - 7% (県内企業は 3 - 5%)の利用料をとる新制度を導入し、収益は品質審査や偽物対策などに使うとした。 くまモンの力で観光客をさらに呼び込み、県産品の輸出につなげる狙いで、海外向け商品を出す国内企業も新制度を使えるようにした。

これに対し、15 日に県庁で開かれた県内業者向け説明会では不満の声が続出。 ぬいぐるみなどを製造販売してきた業者は、解禁発表後、輸出先の中国企業などから「今後は自力で作れるから」と計 600 万円分の取引をキャンセルされたという。 「無名の時からくまモンを支えてきた。 誰でも作れるとなると中国企業に対抗できない」と訴えた。 「熊本の産品を PR するという本来の目的から外れる」との声も上がった。 (大畑滋生、asahi = 1-16-18)


住みたい田舎 若者部門で 1 位は … 給付型の奨学金制度など評価

栃木市は、月刊誌「田舎暮らしの本(宝島社)」による「2018 年版住みたい田舎ベストランキング」の「若者世代」部門で 2 年連続 1 位に選ばれた。 鈴木俊美市長は「空き家対策、定住促進策が評価された。 ありがたい。」と喜んだ。

同ランキングは、定住促進に取り組む全国の市町村を昨年 10 月末現在で調査。 移住支援策、自然の豊かさ、医療、子育て、災害リスクなど 194 項目についてアンケートし、数値化した。 671 市町村から回答があり、「大きなまち(人口 10 万人以上)」、「小さなまち(10 万人未満)」に分け、「総合」、「若者世代」、「子育て世代」、「シニア世代」の 4 部門で順位付けした。

栃木市は「大きなまち」の「若者世代」で 1 位。 「若者を対象にした住まいへの補助がある」、「孫ターンを奨励する制度がある」などの項目が優れていた。 「子育て世代」と「シニア世代」はそれぞれ 2 位、「総合」 3 位と、いずれも上位にランクイン。 鈴木市長は「給付型の奨学金制度の新設や農業後継者への支援、住宅の補助制度、子育て世代の意見を聞く場を設けるなど、多様な取り組みをしている。 これらが若者の関心を呼び起こしているのでは」と述べた。 (sankei = 1-7-18)


9 道県がコメ大幅増産 来年から減反廃止、目立つ慎重派

国が都道府県の生産上限を示す「減反」がなくなる 2018 年産のコメづくりに向け、17 年の減反目標と比べて 100 トン以上増やす「目安」を 9 道県が作ったことがわかった。 4 県は 100 トン以上減らす。 一方、28 県が据え置きか小幅な増減にとどめており、減反廃止 1 年目は慎重に対応する産地が目立つ。 国の目標に代わる「目安」は、東京と大阪を除く 45 道府県で、行政や農業団体が参加する「農業再生協議会」などがつくる。 これまでに 44 道府県で決まった。 残る静岡は減らす方向で検討し、来月決定する。

100 トン以上増やしたのは北海道、青森、宮城、埼玉、千葉、神奈川、奈良、鳥取、高知の 9 道県。 人気が高い銘柄を持つことや、地元の需要に対して生産量が少ないことなどを踏まえて判断した。 埼玉、千葉、神奈川、奈良、高知の 5 県は、17 年も作付面積が減反目標を超えており、目安を実態に合わせた面もある。 100 トン以上減らしたのは福島、山口、香川、熊本の 4 県。こちらも福島以外では今年、ほかの作物への転作などで作付面積が目標を下回っていた。

変化率では、増減は 0,4 - 7.7% の範囲。 数量でみると、17 年の全国の生産量約 730 万トンに比べれば限定的だ。 22 県は目安を据え置いた。 6 県は増減を 100 トン以内と小幅にとどめた。 独自の基準で目安をつくった府県もある。 新潟は前年の約 51 万トンに対して、18 年産は農家が身内で食べる分などを除いた 45 万トンとした。 兵庫は生産が盛んな酒米を除いた数量を示した。 京都は面積のみで示した。

減反廃止は、行政による目標の配分に頼らずとも、需要に応じた生産ができるようにする狙い。 しかし、コメの消費量は減少が続いており、生産が増えて値下がりすれば、農家の収入は減ることになる。 JA グループなどは、各地のコメの需給調整を支援する「全国農業再生推進機構」を 12 月 21 日に発足させた。 機構は各地の目安を共有することなどによって、需給の調整を支援する方針。 ただ、生産調整に協力するともらえた国の補助金がなくなり、最終的に農家がどこまで目安に従うかは見通せない。 (山村哲史、asahi = 1-2-18)


久々「ふるさとで初日の出」 避難指示解除の福島・浪江

昨春、一部の帰還困難区域を除いて避難指示が解除された福島県浪江町の請戸地区では、年が明けた 1 日朝、請戸漁港に 50 人ほどが集まった。 午前 6 時 50 分すぎ、オレンジ色に染まる地平線から太陽が顔を出すと、写真を撮ったり、静かに見つめたりしていた。

同地区は、東日本大震災の後の津波で壊滅的な被害を受けた後、福島第一原発事故の影響で 6 年にわたり人が住めなかった。 久しぶりに地元で初日の出を拝んだ新田サワさん (83) は「年をとってふるさとが恋しく、あきらめきれない思いがあった。 風が違う。 空の色もきれいで趣がいい。」と感無量の様子だった。

大震災が起きる以前、元日の夜明け前に役場に集まって皆で海岸線まで約 3 キロを歩く催しがあった。 海岸は現在、防潮堤などの復旧工事が続くため、海が見渡せる高台の町営大平山霊園まで歩くルートに変え、イベントが 7 年ぶりに復活。 約 100 人が参加したという。 車で来た人らも含め、この霊園でも約 300 人が初日の出を拝んだ。 町のホームページによると、震災前は 2 万人以上の住民がいたが、いま住んでいるのは 440 人(11 月末現在)ほどとなっている。 (福留庸友、asahi = 1-1-18)


木造船事件 朝鮮総連と漁協の協議決裂 北海道 松前町

漂着船相次ぐ

北海道松前町沖で見つかった北朝鮮の木造船の船長らが無人島の小屋から発電機のエンジンを盗んだとして逮捕された事件に関連して、25 日、朝鮮総連 = 在日本朝鮮人総連合会と地元の漁協の被害の弁償について初めての協議が行われました。 漁協によりますと、話し合いは決裂したということです。

先月 28 日、北海道松前町沖の無人島、「松前小島」に停泊していた北朝鮮の木造船から島の小屋にあった発電機のエンジンが見つかり、警察は船長など 3 人を窃盗の疑いで逮捕しました。 地元の松前さくら漁業協同組合の小屋などからは、エンジン以外にも家電製品など 50 点以上がなくなるなどしていて、漁協は、被害額は復旧費用も含め、800 万円近くに上るとしています。

朝鮮総連は先週、被害の弁償について協議を行いたいと漁協に伝え、25 日午後、松前町役場で初めての話し合いが行われました。 漁協によりますと、およそ 1 時間の協議で朝鮮総連からは謝罪の言葉はなく、弁償を行う場合の条件を示してきたということですが、漁協は受け入れず話し合いは決裂したということです。 松前さくら漁協の佐藤正美組合長は、「朝鮮総連と条件がかみ合わなかった。 今後協議することはない。」と話しています。 一方、朝鮮総連函館支部は、NHK の取材に対して「何もお話しすることはない」と話しています。 (NHK = 12-25-17)

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木造船乗組員の窃盗事件、朝鮮総連が被害弁償する意向

北海道松前町沖の松前小島の施設から発電機を盗んだとして北朝鮮籍の木造船乗組員 3 人が逮捕された事件で、朝鮮総連(在日本朝鮮人総連合会)側が、地元漁協に被害を弁償する意向を示していることが 22 日、わかった。 週明けから両者で協議するという。

地元の松前さくら漁協は、管理する島の施設で発電機や家電製品がなくなったり、ボイラーが壊されたりするなど約 790 万円の被害が判明したとして、警察に被害届を出していた。 漁協によると 21 日、組合長に朝鮮総連側から「弁償について話し合いたい」と連絡があり、今後弁償の金額や方法を協議することになったという。 朝鮮総連中央本部は取材に「担当者が不在で確認できない」としている。 (asahi = 12-22-17)

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北朝鮮籍? 木造船、過去最多の 83 件 海保が注意喚起

北朝鮮籍とみられる木造船が日本海沿岸で多数見つかっている問題で、海上保安庁は 13 日、今年確認された船の漂流・漂着は同日正午時点で 83 件に達し、過去最多を更新したと発表した。 これまでは 2013 年の 80 件が最多だった。 13 日には、秋田県潟上市の砂浜で前日見つかった船内から 2 遺体が確認されたほか、秋田市の砂浜でも別の遺体が見つかった。 ズボンのポケットにはハングルが書かれた紙があったという。 秋田県男鹿市では転覆した木造船が確認された。

山形県でも遊佐町の砂浜で遺体が見つかり、そばにあったポリタンクにはハングルが記されていた。 海保に記録が残るここ 5 年で確認された漂流・漂着は、▽ 13 年は 80 件▽ 14 年 65 件▽ 15 年 45 件▽ 16 年 66 件▽ 17 年 83 件(13 日正午時点)。 月別では先月の 28 件が過去最多だが、今月はすでに 24 件まで増えている。 漂流する船や木片は船舶の航行に危険なため、海保が航行警報を出すなどして注意を呼びかけている。 (伊藤嘉孝、asahi = 12-13-17)

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北朝鮮の船? 着岸の島、漁業者の小屋の家電が無くなる

北朝鮮から来たとみられる木造船が着岸した北海道松前町沖の松前小島で、漁業者の小屋に置かれていたテレビや冷蔵庫などが無くなっていたことが、関係者への取材で分かった。 船内からはテレビなど複数の家電製品が見つかっており、北海道警などが関連を慎重に調べている。 4 日、第 1 管区海上保安本部や道警、松前町の漁業関係者らが島に上陸して調べたところ、小屋は鍵がこじ開けられ内部が荒らされていたという。 島内からは船外機もなくなっていた。 さらに、灯台近くにあるソーラーパネル 4 枚が、取り外された状態で島内の防波堤近くで見つかった。 海保が 9 月 22 日に点検した時に異常はなかったという。

木造船は 11 月 28 日、松前小島に着岸しているのが見つかった。 翌日、島の北東約 13 キロの海上で漂泊しているのを海保が発見。 現在は、北海道・函館港外に曳航(えいこう)され、立ち入り検査が実施されている。 乗組員の説明によると、北朝鮮国籍の 10 人が乗っており、9 月に日本海に面した北朝鮮北東部の港を出港して日本海でイカ漁をしていたが、約 1 カ月前に船のかじが故障し、漂流したという。 (asahi = 12-4-17)

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巨大な龍、復興祈るライトアップ 豪雨被災の福岡・筑前

福岡県筑前町の「安の里公園」近くの農地で、わらや竹を使って作られた巨大な龍が現れライトアップされた。 7 月の九州豪雨で被災した朝倉市や東峰村の復興を応援しようと、地元の有志が集まり「復興を祈る龍」を制作した。 高さは約 7 メートルで頭は朝倉市と東峰村を向き被災地の平穏を願う姿を表現しているという。 ライトアップは 25 日までで、周辺では同日まで復興を願うイベント「復興の光」が開催される。 わらの龍は来年 1 月中旬まで展示する予定だ。 (長沢幹城、asahi = 12-24-17)


国内 14 年ぶり新スキー場「行きたくなる仕掛け」って?

兵庫県のほぼ真ん中の山あいに位置する神河(かみかわ)町に 16 日、町内初のスキー場が誕生する。 スキーやスノーボードの愛好者が減少する中、国内でスキー場が新設されるのは 2003 年以来 14 年ぶりという。 人口約 1 万 1,600 人で、町の面積の約 8 割が山林の小さな町が整備したスキー場。 「地域活性化の起爆剤」として勝算はあるのか。

大阪や神戸から高速道路を利用して 2 時間余り。播但連絡道路の神崎南ランプで下りて約 30 分。 標高約 1 千メートルの斜面にスキー場「峰山高原リゾート ホワイトピーク」が広がる。 ゲレンデにはリフトが 2 基あり、三つのコース(長さ 862 - 1,170 メートル)は緩やかな傾斜で初心者向けだ。 積雪は 70 - 90 センチになるが、人工降雪機が 15 台ある。 ナイター照明を設け、週末や日曜、祝日などは午後 11 時まで営業する。 (森直由、杉山匡史、asahi = 12-15-17)


日本最東端のスタバ、まもなく開店 ドライブスルーも

大手コーヒーチェーンのスターバックスコーヒージャパンが 20 日、北海道釧路市に初出店する。 道東では帯広市に店舗があり、さらに東に延びた。 同社では日本最東端の店として PR する。 開店するのは「釧路鶴見橋店」。 釧路市昭和中央 1 丁目の新釧路川沿いで、ドライブスルーを併設した 2 階建て、席数は 110 席。

同社によると、約 5 年前から釧路への進出を検討。 「釧路から札幌や帯広の店舗に来店する客もいることや道内人口 4 位というマーケットなどから判断した(担当者)」という。 同店の山本晃嗣ストアマネジャーは「他の店舗にない商品、外観なども楽しんでもらいたい」と話している。 営業時間は午前 7 時から午後 11 時。 (佐藤靖、asahi = 12-15-17)


「超限界集落」ついに 1 世帯 1 人に 高齢者相次ぎ特養へ

仙台藩の藩境警備に由来する山中の集落で「超限界集落」化が進んでいた宮城県七ケ宿町稲子(いねご)の住人が、1 世帯 1 人だけになった。 昨年は 3 世帯 4 人が暮らしたが、高齢の 3 人が今年、相次いで町中心部の特別養護老人ホームに入居。 残る 1 人も冬の間は山を下り、無人となる。

稲子は 1681 年、仙台藩が足軽 10 人を住まわせたのが始まりで、町役場から車で 30 分ほどの山あいにある。 明治以降も養蚕や炭焼きで生計を立て、1960 年には 127 人がいた。 仕事を求めて若い世代が山を下り、自立生活ができなくなったお年寄りも次々と離れ、集落はついに消滅寸前となった。

町は 6 年前から、稲子に向かう町道の除雪費節減や吹雪の際の緊急搬送が難しいことを理由に、住人に冬期間は山を下り、施設や空いている町営住宅で過ごすよう要請してきた。 さらに今夏までに、大葉富男さん (91)、敦子さん (88) 夫婦と一人暮らしだった佐藤あきをさん (96) が特養に入り、住民票も移した。

残る佐藤富世司さんは 71 歳。 町の水道検針などの仕事を請け負い、小さな畑を耕して暮らす。 「ほかの住人の心配をしなくてよくなり、かえって気が楽だ」と話していた。 稲子には空き家が数軒残り、うち 2 軒は、福島市などに住む元住人がときどき泊まるなどしている。 (石橋英昭、asahi = 12-14-17)