人名用漢字に「渾」追加 司法判断を受け法務省

改正戸籍法施行規則を施行、計 863 字に

法務省は 25 日、人名用漢字に「渾身」の「渾」の 1 字を新たに追加し、計 863 字とする改正戸籍法施行規則を施行した。 子どもの名前に「渾」を使った出生届を自治体に受理されなかった親が、家庭裁判所に不服の申し立てをした結果、受理を命じる判断が確定したため。司法判断を受けた追加は 2015 年の「巫女」の「巫」以来。 戸籍法は「子の名には、常用平易な文字を用いなければならない」と規定。 使えるのは平仮名と片仮名、常用漢字(2,136 字)と施行規則で定める人名用漢字だけだ。

人名用漢字は、漢字の使用状況などを受けて見直しており、04 年 9 月には法制審議会の審議を経て、「林檎」の「檎」などのほか、異体字も含め 693 字を追加している。 今回のように親が裁判で漢字使用を認めるよう求めることもあり、勝訴確定で「巫」、「穹」などが追加されたほか、逆に敗訴確定で使用が認められなかった「玻」のようなケースもある。

法務省によると、昨年 9 月に関東地方で生まれた子どもの親は「渾」の字を使った出生届が受理されず、いったん「未定」として提出した後、家裁に不服の申し立てをした。 家裁は今年 1 月、「社会通念上明らかに常用平易な文字だ」として受理を命じ、自治体側が東京高裁に即時抗告。 高裁も 5 月 16 日、家裁の判断を維持し、確定した。 確定を受けて法務省が 7 - 8 月、パブリックコメント(意見公募)を実施し、反対意見が出なかったという。 (kyodo = 9-25-17)


スーパーの野菜 1 円販売に警告 公取委「過度な安売り」

公正取引委員会は 21 日、大根やモヤシなどを 1 円で販売した愛知県内のスーパーマーケットチェーン 2 社に、独占禁止法違反(不当廉売)の恐れがあるとして警告を出した。 2 社が値下げ競争をした末に 1 円になったという。 安売り競争自体は違法ではないが、他社の事業活動を困難にさせるような過度な安売り行為は独禁法が禁じている。 警告を受けたのは、「カネスエ商事」と「ワイストア」。 公取委によると、2 社は 5 月 11 - 18 日、同県犬山市内のそれぞれの店舗で、周辺では 100 0円以上で販売しているキャベツやホウレン草などを含む主力野菜 6 - 7 品目を 1 円で販売した。 4 月末に新規出店したワイストアと既存のカネスエが、互いに価格を下げあったという。

1 円野菜の販売数量は大幅に増えて、市内のほかの同業者らに影響が出たとされる。 公取委が指摘するまで 2 社が継続的に同じ品目の 1 円販売を続けたことなどが問題視された。 1 円で販売しても、品目が日替わりの 1 日セールや、傷んだ野菜に限るなどした場合は「不当廉売」にあたらない可能性が高い。 しかし、スーパー店頭での安売りが繰り返されれば、市場全体で値崩れが起きかねない。 モヤシの生産者でつくる「工業組合もやし生産者協会」の林正二理事長は「他店舗や消費者からモヤシは価値がないと思われ、仕入れ価格の値下げにもつながる」と警戒する。 両社は警告を受け、「再発防止に努める」などとするコメントを出した。 (矢島大輔、asahi = 9-21-17)


婚姻届や旅券発給、マイナンバーで 戸籍証明不要へ議論

戸籍の情報をマイナンバー(個人番号)制度と連携させるため、上川陽子法相は 19 日、戸籍法の改正を法制審議会に諮問した。 行政の効率化がねらいで、連携が実現すれば、婚姻届の提出や旅券発給の申請時にマイナンバーを示すことで、戸籍証明書の提出が不要になる。 法務省は、法制審の議論を受け、2019 年の通常国会にも改正法案を提出する方針だ。

個人の戸籍情報の原本は現在、本籍がある市区町村が管理している。 マイナンバー制度との連携で、個人が児童扶養手当や老齢年金を請求する際などにも、本籍地から取り寄せた戸籍謄本などを提出する必要がなくなる。 ただ、相続手続きは電子化されていない古い戸籍データが必要な場合があるため、今後も戸籍証明書の提出が求められる。

法務省は全国の市区町村のうち戸籍情報を電子化していない 4 市町村以外の副本データを、災害などでの紛失に備えて保有している。 このデータをもとに、全国を網羅するシステムを整備。市区町村などの職員がマイナンバーに基づいて同省に戸籍情報を照会し、情報を入手できる仕組みづくりを目指す。 4 市町村での戸籍電子化が必要になるため、法改正で電子化を原則とする。 (小松隆次郎、根津弥、asahi = 9-20-17)

これまでの「マイナンバー」制度の動き


急増する「ごみ出し困難世帯」 5 万世帯が支援受ける

高齢などのため自力でごみを出すのが困難になり、自治体の支援を受ける人が増えている。 朝日新聞が 74 自治体にアンケートなどで取材したところ、6 割の自治体が支援に乗り出し、5 万世帯以上が利用していた。 「ごみ出し困難世帯」はこの 10 年ほどで急増しているとみられ、予算上の問題などから支援の維持を懸念する自治体もある。

アンケート取材は、74 自治体(道府県庁所在市、政令指定市、東京 23 区)を対象に実施。 ごみ出しが困難な高齢者や障害者の自宅まで普通ごみの回収に行く支援の有無をたずねた。 その結果、東京 23 区や横浜市、名古屋市、大阪市、神戸市、長崎市、熊本市など 48 自治体が支援を実施し、2016 年度では計約 5 万 300 世帯が利用していることがわかった。

介護保険制度を使ってホームヘルパーにごみ出しをしてもらう人もいるが、早朝にヘルパーに来てもらうのが難しいことなどから、独自支援をする自治体が目立つ。 支援導入の時期は 00 年代の前半が多く、高齢者だけの世帯や身近に親族がいない人の増加などが理由に挙げられた。 支援条件は自治体によって異なるが、48 自治体の 7 割弱が「65 歳以上」などの年齢要件を設け、5 割強が「要介護 1 以上」など介護保険制度の要介護認定などを要件にしていた。 また、6 割弱が、利用者宅を訪れた際、声かけなどで利用者の安否を確認し、確認が取れない場合は家族などに連絡する「見守り」の仕組みを導入していることも判明した。

神戸市では、呼び鈴に応答がなかった利用者について、職員らが福祉事務所に連絡。 部屋の中で住人が倒れているのが見つかり、救助されたケースがあった。 福島市では今年 1 月、回収の職員が住人の体調不良を見つけて救急車と親族に連絡。 住人は救急搬送され、低体温症の疑いで入院したケースがあった。 この 10 年間で支援自治体は 1.6 倍、利用世帯数は 4 倍以上に増加。 増加率が大きい京都市の場合、支援を始めた 07 年度の利用世帯数は 515 だったが、16 年度は 7 倍以上の 3,876 になった。

横浜市の場合、06 年度の利用世帯数は 524 だったが、16 年度は 11 倍以上の 6,214 になった。 名古屋市の場合、支援を始めた 01 年度の利用世帯数は 762 だったが、16 年度は 5 倍以上の 4,018 になった。 長崎市の場合、支援を始めた 00 年度の利用世帯数は 105 だったが、16 年度は約 20 倍の 2,118 になった。 48 自治体の 8 割は、今後の利用世帯が増えると予測。 今後の課題について「制度を維持できなくなる恐れがある」、「自治体職員だけでは人手が不足する」などの回答が目立った。 支援制度を導入していない 26 自治体に理由を聞いても、予算や職員の確保を課題に挙げるところが多かった。 (長富由希子、asahi = 9-19-17)

【高齢者らのごみ出し支援を実施している主な市区】 札幌、盛岡、山形、福島、宇都宮、前橋、さいたま、千葉、横浜、川崎、新潟、甲府、名古屋、大津、京都、大阪、神戸、和歌山、鳥取、岡山、北九州、長崎、熊本、大分、那覇、東京 23 区 * 道府県庁所在市と政令指定市、東京 23 区を調査。 介護保険制度に基づく支援などは含まない。


90 歳以上、初の 200 万人超え 高齢者割合も過去最高

65 歳以上の高齢者人口(15 日現在)は推計で 3,514 万人となり、総人口に占める割合が 27.7% にのぼった。 前年より 57 万人(0.5 ポイント)増え、いずれも過去最高。 90 歳以上は初めて 200 万人を超え、206 万人となった。 18 日の「敬老の日」に合わせ、総務省が公表した。 国勢調査をもとにした人口推計によると、65 歳以上の男性は 1,525 万人で男性人口の 24.7%、女性は 1,988 万人で女性人口の 30.6%。 年齢別では、75 歳以上が 1,747 万人(総人口の 13.8%)、80 歳以上は 1,074 万人(同 8.5%)だった。

働く高齢者は年々増えている。 労働力調査によると、昨年の就業者は過去最高の 770 万人にのぼった。 65 - 69 歳では男性の 53.0%、女性の 33.3% が就業していた。 総人口に占める高齢者の割合は 1950 年以降増え続け、85 年に 10%、2005 年に 20% を超えた。 国立社会保障・人口問題研究所の推計では、第 2 次ベビーブーム(1971 - 74 年生まれ)の世代が 65 歳以上になる 2040 年には、総人口の 35.3% が高齢者となる見通しだ。 (asahi = 9-17-17)


メルカリ・民泊など課税強化へ 仲介業者の報告義務化

政府は、個人と個人がモノやサービスをやり取りする「シェアリングエコノミー(シェアエコ)」への課税を強化する。 急速に市場が拡大しているが、取引で得た個人の収入を把握するのが難しいため、仲介業者に取引情報の提供を義務づけるなどの対策を検討する。 今月下旬に開かれる政府税制調査会で議論を始め、来年度以降の税制改正に反映したい考えだ。

シェアエコは、旅行者に空き部屋などを貸し出す民泊の「エアビーアンドビー」や、個人が自分の車で客を運ぶ「ウーバー」、洋服などをネットに出品して売買する「メルカリ」が代表格だ。 利用者は個人間で取引して、業者はそれを仲介する仕組みのため、誰がどのくらい稼いだかを把握するのが難しい。 個人が副業として稼いだお金は原則、年間 20 万円超なら所得税がかかり、確定申告が必要になる。 ただ、衣服や家具などの生活用品の売買には課税されない。 シェアエコのような新ビジネスを税制が想定していないため課税のルールが分かりづらく、確定申告しないケースも多いとみられる。年間 1 千万円超なら消費税の納付義務も生じる。

海外では、フランスが 2020 年からシェアエコの仲介業者に対し、税務当局に情報を報告させる仕組みを導入するなど対応が進む。 日本では、200 万円超の金(地金)を売買した場合などに、買い手から税務当局に取引情報を提供させる仕組みはあるが、シェアエコは対象外だ。 政府は海外の事例も参考に、税制面のルールづくりを急ぐ。 政府が課税強化を急ぐ背景には、シェアエコ市場の急拡大がある。 民泊は手軽に空き部屋を貸せて副収入になるとあって利用が広がる。 6 月には、東京や大阪など一部地域に限っていた民泊を全国で解禁する住宅宿泊事業法(民泊新法)が成立し、仲介業者を登録制にするなど法整備も進む。 (長崎潤一郎、asahi = 9-9-17)


韓国が微量の放射性ガス検出、核実験関連有無特定へ

[ソウル] 韓国の原子力安全委員会 (NSSC) は 8 日、微量の放射性キセノンガスを検出したと明らかにした。 現在、韓国への流入経路を分析中で、3 日に北朝鮮が行った 6 回目の核実験との関連の有無を精査する。声明で明らかにした。 NSSC は核実験直後から、地上や空中、水のサンプルを採取し、調べてきた。 今回検出したのはキセノン 133 で、自然に発生せず、過去に北朝鮮の核実験と関連付けられた物質という。 韓国領土や住民に影響が及ぶ可能性はまったく無いとした。 (Reuters = 9-8-17)

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北朝鮮核実験 放射線量、異常なし 原子力規制庁など測定

北朝鮮の核実験を受け、原子力規制庁などは 3 日午後 8 時時点で、自治体の施設など全国 308 カ所で測っている空間放射線量に異常値は出ていないことを明らかにした。 政府の放射能対策連絡会議は監視強化を決定。 長崎県の対馬など 10 カ所で計測している環境省は、計測間隔を通常の 1 時間から「緊急時モード」の 2 分に切り替えた。

規制庁は、「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム世界版 (WSPEEDI)」の計算結果を同日夜に公表。 北朝鮮の核実験施設付近から毎時 1 ベクレルの放射性物質が放出されたと仮定すると、風の状況などから 4 日午後 6 6時までに日本海中部に達するとした。 (鈴木理之、渡辺諒、mainichi = 9-3-17)

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放射線量のチェック、関係省庁に指示 杉田官房副長官

政府の「放射能対策連絡会議」議長を務める杉田和博官房副長官は 3 日午後、北朝鮮の核実験実施によって国内で異常な放射線量が計測されていないかなどを確認するよう、関係省庁に指示した。 原子力規制庁をはじめ、防衛省、環境省などが対応する。 自衛隊機で日本周辺の上空の大気を採取して専門機関で分析するほか、長崎県や島根県などの離島を含む全国約 300 カ所のモニタリングポストで空間放射線量の連続測定も行う。 (asahi = 9-3-17)


大規模な「太陽フレア」観測 通信障害の可能性も

情報通信研究機構 (NICT) は 7 日、太陽の表面で大規模な爆発現象「太陽フレア」が起きたと発表した。 爆発規模は最大級で、2006 年以来。 人体への影響はないが、爆発によって噴出したガスが 8 日午後、地球周辺に到達し、通信障害などが起こる可能性があるという。 太陽フレアは、太陽の黒点周辺で起こる爆発で、表面のガスが宇宙に放出される。 このガスが地球を覆う地磁気にぶつかると、磁気が乱れて電子機器などに影響する。

NICT によると、6 日午後 6 時ごろと午後 9 時ごろ、米国の観測衛星が太陽表面の爆発を捉えた。 2 回目の爆発規模は通常の約 1 千倍で最大級だという。 ガスの到達は 8 日午後 3 時から 9 日午前 0 時ごろと予測している。 全地球測位システム (GPS) や航空機通信などに使う短波通信に影響する可能性があり、人工衛星を運用する会社に注意を促している。 NICT の石井守・宇宙環境研究室長は「太陽にはまだ形が複雑でサイズの大きな黒点が残っている。 今後 1 週間程度は大きなフレアが起こる可能性があり、注意が必要。」と話している。 (田中誠士、asahi = 9-7-17)


24 時間生放送、好調のテレビショッピング 2 社しのぎ

24 時間生放送のテレビショッピングが売り上げを伸ばしている。 CS チャンネルなどで放送する住友商事系の「ショップチャンネル (SC)」と、三井物産系の「QVC」の大手 2 社は、工夫を凝らした番組づくりでしのぎを削る。 食品から化粧品、家電まで幅広い品ぞろえで、中高年の女性を引き込む。 「ご用意数の 9 割が売れました。 ご注文はお急ぎください。」 東京・日本橋にある SC のスタジオで、出演者が視聴者に呼びかけた。 紹介していたのは、その日一番の目玉商品だった美容健康食品。 用意した 1 万 5,300 円のセットが生放送中に売り切れ寸前になったのだ。

SC と QVC がターゲットにするのは、主に 40 歳代以上の女性。 家族のある女性が、誰にも相談せずに払える額には限界があるとの分析から、両社とも比較的低額な商品を中心に売り込む。 通信販売大手のジャパネットたかた(長崎県佐世保市)が、高額な家電を扱うのとは対照的だ。 SC は 2016 年度に過去最高となる 1,549 億円を売り上げた。 QVC は最新の売り上げを公表していないが、13 年に売り上げ 1 千億円を突破している。 ジャパネットの 15 年の売り上げ 1,559 億円に迫る。 (鬼原民幸、asahi = 9-4-17)


妊娠の悩み、SOS 出せず 相談窓口、全国に 40 カ所

小さないのち みんなで守る

朝日新聞が都道府県などに取材したところ、2013 - 16 年度の 4 年間に路上などに遺棄された子どもは少なくとも 58 人いた。 多くが生後間もない赤ちゃんで、妊娠を家族らに打ち明けられず、孤立したまま出産し、遺棄に至ったケースが多いとみられる。 予期せぬ妊娠をしても、児相や病院、電話相談窓口など、どこかに相談すれば何らかの支援につながり、赤ちゃんが遺棄される事態は防げる可能性が高い。 だが、東京・渋谷など街頭で若者に声をかけたり、若い女性からの相談に乗ったりしている NPO 法人・BOND プロジェクト代表の橘ジュンさん (46) は、困難な状況なのに自分から SOS を出せない女性たちを多く見てきた。

街で出会ったある少女は「妊娠したが、相手がわからない」と話し、橘さんとまず病院に行く約束をした。 しかし、約束の時間に彼女は現れなかった。 「『自分を否定されたくない』などと、相談に大きな抵抗を感じる女性がいる。 彼女たちが本当の気持ちを話せるようになるには時間がかかる。」という。 「彼女たちが抱える背景を理解し、時間をかけて信頼関係を築いていく中長期的なサポートが必要です。」 妊娠で悩む人たちに対し「待ち」の姿勢ではなく、積極的に声をかけ、SOS に手を差し伸べる「アウトリーチ活動」は、まだ一部の民間団体などにとどまる。

昨年の児童福祉法改正では、医療機関や学校などに対し、支援が必要と思われる妊婦を見つけたら市町村に知らせるよう努力義務を課した。 妊娠相談の専門員を病院などに置くモデル事業も今年度、6 自治体で行う予定だ。 大阪母子医療センター(大阪府和泉市)は、匿名で妊娠相談を受け、病院や行政への相談に付き添う活動などを始めた。 同センターの相談窓口「にんしん SOS」では、年間 1 千人以上からの電話やメールでの相談に応じる。 その結果、妊婦健診を受けないままの「飛び込み出産」や生後すぐの虐待死亡を防げたとみられるケースは、昨年度末までに 289 件あったと分析する。

全国妊娠 SOS ネットワークによると、自治体の委託などによる妊娠相談窓口は年々増え、全国で 40 カ所ほどあるという。 同ネットワークの佐藤拓代代表理事 (65) = 大阪母子医療センター医師 = は「相談対応には社会福祉や母親が抱える葛藤への理解が不可欠だが、すべての窓口で十分な対応ができているとはいえない。 民間団体と連携しつつ、国として相談やアウトリーチによる支援を行う必要がある。 性教育も十分にできているとはいえない。」と訴える。 (塩入彩、asahi = 9-3-17)


全加工食品に原産国表示の新基準、1 日から 周知に課題

国内で製造される全加工食品に、原材料の原産国表示を義務づけた改正が食品表示基準に加わった。 施行は 1 日付。 新基準には例外的な表示方法も盛り込まれたため、「消費者が混乱する」という批判もある。 準備が整った業者から新基準に沿った表示にし、2022 年 4 月までには全業者が表示を切り替える。 十分な周知や監視体制の確立が課題だ。

新基準により、一部の品目だけが対象だった原産国表示義務が全品目に拡大。 重量が一番重い原材料の原産国を重量順に表示し、3 カ国目以降は「その他」と記載できる。 例えば、ソーセージなら「豚肉(アメリカ、カナダ、その他)」などと表示する。 仕入れ先が頻繁に切り替わるなど、原則通りに表示することが難しい場合は例外表示も認め、「A 国または B 国」と併記することができるほか、「輸入または国産」という表示が可能なケースもある。 新基準の検討段階では特に例外表示に対し、消費者団体と業者双方から「消費者が誤認する」、「業者の負担の割に効果が少ない」といった批判が相次いだ。 (藤田さつき、asahi = 9-1-17)


J アラート、受け手に困惑も 「青森に地下なんてない」

29 日早朝、北朝鮮が発射した弾道ミサイルが日本列島を越えて太平洋上に落下した問題。 実際に J アラートの情報を受け取った人々の中には、困惑、憤りなど、様々な反応があった。 青森県庁近くで客待ちをしていたタクシー運転手の川越義美さん (67) は、J アラートが鳴っても「ミサイルが落ちてくることはないだろう」と静観していた。 だが、10 - 15 分後から県庁職員が次々と自家用車やタクシーで県庁に乗り付け始め、「やばいのかなと思った。」 地下への避難を求められても、「青森に地下なんてほとんどない。 どこに逃げたらいいのか。」と困っていた。

同県弘前市の弘前公園では午前 6 時半から普段通り、ラジオ体操があり、近くの住民ら約 30 人が集まった。 大柄和男さん (71) は園内を散歩中にミサイル発射を知り、「二の丸南門」に一時避難した。 「最初は訓練かなと思った。 周りにも怖がっている人はいなかった。」と話した。 77 歳の女性は先の大戦で青森空襲を体験した。 公園に向かう途中の商店街でミサイル発射を知ったが、「青森を狙っているとは思えないので、避難もしなかった。 空襲を見ているので、たいていのことには驚きません。」と話した。 (asahi = 8-29-17)

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J アラート、16 市町村で作動せず 北海道や福島など

総務省消防庁は 29 日、全国瞬時警報システム(J アラート)で流した弾道ミサイルの情報について、対象となる 12 道県(617 市町村)のうち、北海道えりも町や青森県鶴田町など 7 道県の 16 市町村で防災行政無線などが正しく作動せず、住民に情報が届かなかったと発表した。 政府は J アラートで発射情報と通過情報の二つを流した。 同庁によると、対象地域の全市町村で国からの情報を受信できたが、防災行政無線やメール送信システムで住民に情報を伝える段階で不具合があったという。 不具合があったのは、次の自治体。 (asahi = 8-29-17)

【北海道】 旭川市、紋別市、奥尻町、当麻町、置戸町、えりも町
【青森県】 鶴田町
【秋田県】 鹿角市、大潟村
【山形県】 新庄市
【福島県】 会津若松市、湯川村、葛尾村
【新潟県】 阿賀町
【長野県】 上松町、坂城町


書店ゼロの自治体、2 割強に 人口減・ネット書店成長 …

書店が地域に 1 店舗もない「書店ゼロ自治体」が増えている。 出版取り次ぎ大手によると、香川を除く全国 46 都道府県で 420 の自治体・行政区にのぼり、全国の自治体・行政区 (1,896) の 2 割強を占める。 「文化拠点の衰退」と危惧する声も強い。

トーハン(東京)の 7 月現在のまとめによると、ゼロ自治体が多いのは北海道 (58)、長野 (41)、福島 (28)、沖縄 (20)、奈良 (19)、熊本 (18) の順。 ほとんどは町村だが、北海道赤平市、同歌志内(うたしない)市、茨城県つくばみらい市、徳島県三好市、熊本県合志(こうし)市、宮崎県串間市、鹿児島県垂水(たるみず)市など 7 市や、堺市美原区、広島市の東・安芸両区の 3 行政区もゼロだ。 出版取り次ぎ大手・日本出版販売(東京)の別の統計では「書店ゼロ自治体」は 4 年前より 1 割増えた。

全国の書店数は 1 万 2,526 店で、2000 年の 2 万 1,654 店から 4 割強も減った(書店調査会社アルメディア調べ、5 月現在)。 人口減や活字離れがあるほか、書店の売り上げの 6 - 7 割を占める雑誌の市場規模は 10 年前の 6 割に縮小。 紙の本の市場の 1 割を握るアマゾンなど、ネット書店にも押される。 経営者の高齢化やコンビニの雑誌販売なども影響する。 日本出版インフラセンターの調査では、過去 10 年で 299 坪以下の中小書店は減少したものの、300 坪以上の大型店は 868 店から 1,166 店に増加。書店の大型化が進む。

街の書店は、子どもが絵本や児童文学を通じて活字文化の魅力に接する場であり、ネットが苦手な人の情報格差を埋める機能もある。 地方都市では地域の人が集い交流する場でもあった。 手にとって未知の本を読み、関心の領域を広げる機会も得られる。 作家で、文字・活字文化推進機構(東京)副会長の阿刀田(あとうだ)高さんは「書店は紙の本との心ときめく出会いの場で、知識や教養を養う文化拠点。 IT 時代ゆえに減少は避けられないが、何とか残していく必要がある。」と話す。 (赤田康和、塩原賢、asahi = 8-24-17)


サンマ初水揚げ「今までにない不漁」 本州一の大船渡

本州一のサンマの水揚げ量を誇る岩手県大船渡市で 24 日、秋の訪れを告げるサンマの初水揚げがあった。 大きさは中型のものが多く、前年の初水揚げに比べて量はほぼ半減。 平均価格も 1 割程度高くなり、北海道沖でとれた約 15 トンに、1 キロあたり 1,080 - 1,150 円の値がついた。 国立研究開発法人「水産研究・教育機構」によると、日本近海で漁獲対象となる今年のサンマの来遊量は、資源量が減っていることから、不漁だった前年をさらに下回る見通し。 第八三笠丸の漁労長清枝光臣さん (74) は「今までにない不漁で型も小さい。 復興のために大漁を目指したい。」と話した。 (渡辺洋介)

大手スーパーによると、首都圏では現在、昨年とほぼ変わらない 1 匹あたり 198 円ほどで販売されているという。 担当者は「まだ旬のはしりの値段。今後は水揚げ量によるが、例年より型が小さくなるという情報もある」と心配している。 (asahi = 8-24-17)


虐待リスク、見極め模索 自治体、一時保護を強化

児童相談所(児相)が昨年度に児童虐待の疑いがあるとみて対応した件数は 12 万件を超えた。 社会の意識の高まりから通報や相談が増え、子どもを救える機会が広がっている面もある。 だが、関係機関がリスクの判断を誤り、小さな命を失う事態は後を絶たない。 2016 年 1 月に亡くなった埼玉県狭山市の当時 3 歳の女児は、厚生労働省が 17 日公表した 15 年度の死亡事例の検証報告で虐待死と認定した子どもの 1 人だ。 浴室で冷水をかけられ、放置されて死亡した。 体重は 10 キロに満たず、顔にはやけどを負っていた。 その後の裁判などで、母親とその内縁の夫が LINE (ライン)で相談するなどしながら繰り返し虐待していたことが判明した。

母親は 10 代で妊娠し、生まれた子に乳幼児健診を受けさせていなかったり、子どもの泣き声の通報が警察にあったり、虐待が疑われる情報はあった。 ところが虐待の早期発見や必要な保護のために、児相や保健センター、保育所や警察などが協議する「要保護児童対策地域協議会(要対協)」に上げられず、共有されなかった。 狭山市が有識者に依頼した検証報告書からは、虐待が確認されたケースを優先し、「グレー」の事例をじっくり検討する余裕がなかった状況が浮かぶ。 (畑山敦子、滝沢卓、西村圭史、asahi = 8-18-17)

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児童虐待、過去最多 12.2 万件 5 割が「心理的虐待」

全国の児童相談所(児相)が 2016 年度に対応した児童虐待の件数は 12 万 2,578 件で、前年度より 1 万 9,292 件 (18.7%) 増えた。 統計を取り始めた 1990 年度から 26 年連続で過去最多を更新。 厚生労働省が 17 日に速報値を発表した。 15 年度中に虐待で亡くなった子どもは 84 人いたとの死亡事例の検証結果も公表。 無理心中を除くと前年度より 8 人多い 52 人だった。

虐待件数は、住民や警察などからの通報や相談を受けた児相が、18 歳未満の子どもへの虐待と判断して対応したものをまとめた。 2 割ほどの高い増加率は 3 年連続だ。 厚労省は、子どもの目の前で親が配偶者に暴力をふるう「面前 DV」を警察が積極的に通告するようになったことや、社会の意識の高まりによる通告の増加が背景にあるとみる。 15 年 7 月に導入した 24 時間対応の共通ダイヤル「189」からの通報も多い。

虐待の種類別だと、暴言や脅しなどで面前 DV も含む「心理的虐待」が 6 万 3,187 件で最も多く、前年度より 1 万 4 千件以上増えて全体の 51.5% を占めた。 殴る・蹴るといった「身体的虐待」は 3 万 1,927 件、食事を与えないなどの「ネグレクト(育児放棄)」が 2 万 5,842 件、「性的虐待」は 1,622 件ですべて前年度より増えた。 都道府県別は大阪が 1 万 7,743 件で最多。 東京の 1 万 2,494 件、神奈川の 1 万 2,194 件が続いた。 (西村圭史、asahi = 8-17-17)

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虐待の子ども「一時保護所」全国調査へ 劣悪施設を点検

虐待された子どもたちを受け入れる「一時保護所」について、厚生労働省は初めて全国的な実態調査に乗り出す方針を固めた。 児童虐待の急増で利用が増えており、劣悪な環境の施設がないか点検する狙い。 生活環境や職員の対応を調べ、改善につなげる。 調査は全国共通の評価基準をつくり、一時保護所が第三者機関に委託して行う予定。 厚労省が 25 日にも開かれる有識者検討会で方針を示す。

一時保護所は児童相談所の付属施設で、全国に 136 カ所ある。 虐待を受けたり非行で保護されたりした、おおむね 2 歳から 18 歳未満の子どもを一時的に受け入れる。 対応件数は増加傾向で、2015 年度は 2 万 3,276 件で前年度から 1,271 件増えた。 定員を超えて受け入れている施設も 8 カ所あり、環境悪化が懸念されている。 公的な調査は横浜市と堺市が独自に行っているだけで、厚労省が実態を把握する必要があると判断した。 (西村圭史、asahi = 7-23-17)


これまでなかった「青い菊」、遺伝子組み換えで開発成功

これまでなかった「青い菊」の開発に成功したと、農業・食品産業技術総合研究機構とサントリーグローバルイノベーションセンターが 4 日、発表した。菊には青系の色がなかったが、遺伝子組み換え技術を使い、青い花が咲くカンパニュラとチョウマメの遺伝子を導入して色素の構造を変えることで、きれいな青色の菊になった。

今回の手法は、バラやカーネーションなどにも応用できる可能性があるという。 ただ、野生種と交雑する恐れがあるため、今は研究施設以外では栽培できない。 商品化に向けて、今後 10 年ほどかけて花粉が出ず、種がつかないようにするための研究を進める。 今回の研究成果は、7 月 26 日付の米科学誌「サイエンス・アドバンシズ」に掲載された。 (山村哲史、asahi = 8-5-17)


壁が突然発火 … 「伝導過熱」家庭でも 築地火災の原因か

東京都中央区の築地場外市場で起きた火災は、火元がラーメン店の厨房内だった可能性が高く、出火原因は、コンロから、近くの壁に熱が伝わってこもり、突然発火する「伝導過熱」によるものだったとみられることが、警視庁の調べで明らかになった。 伝導過熱による火災は、一般家庭の台所でも起きることがある。 東京消防庁によると、昨年、管内で伝導過熱が原因で起きた火災は 21 件。 ほとんどが飲食店や工場だったが、3 件は住宅で発生していた。 2007 年以降でみると、計 62 件が住宅で起きている。 (asahi = 8-4-17)


性犯罪被害の電話相談、全国共通「#8103」に

性犯罪の被害に遭った人が警察に相談する電話番号が 3 日午前 10 時から全国共通の「#8103」になった。 短縮ダイヤルにすることで連絡を取りやすくし、被害の潜在化を防ぐ狙い。 警察庁が 3 日発表した。 被害者が電話をかけた地域の警察本部の性犯罪捜査担当者らが相談にのる。 24 時間で対応するのは 23 道県警だが、今後増える見込み。 短縮ダイヤルは「ハートさん」の語呂合わせで、性犯罪被害者の心に寄り添うことをイメージしたという。 これまでは各都道府県警がそれぞれ被害相談の電話番号を設けていた。 (asahi = 8-3-17)

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性犯罪相談に短縮ダイヤル パスポートは旧姓併記簡素化

政府は 6 日、「すべての女性が輝く社会づくり本部(本部長 = 安倍晋三首相)」の会合を開き、女性活躍加速のための重点方針を決めた。 女性への暴力対策に力を入れ、性犯罪被害の相談電話に全国共通の短縮ダイヤルを新設する。 性犯罪被害の相談電話は都道府県警がそれぞれ番号を設けているが、「#4 桁番号」で全国どこからでもつながるようにする。 小児救急電話相談 (#8000) や日本自動車連盟 (JAF) のロードサービス (#8139) などにならい、性犯罪についても相談しやすい態勢を整えるのが狙いだ。

重点方針では、パスポートの氏名表記について、2019 年度をめどに本人の届け出だけで結婚前の旧姓併記を可能にする手続き簡素化を明記。 アダルトビデオ (AV) の強制出演や、女子高校生らに接客サービスをさせる「JK ビジネス」の取り締まり強化も盛り込んだ。 性犯罪の規定を 110 年ぶりに見直す刑法改正案の成立もめざすとしている。 (平林大輔、asahi = 6-6-17)

女性活躍加速の重点方針の骨子

  • 性犯罪被害の相談電話に短縮ダイヤル導入
  • アダルトビデオへの出演強制や JK ビジネスへの対策強化
  • パスポートへの旧姓併記の手続き簡素化(2019 年度めど)
  • 乳児用液体ミルクの製造・販売へ基準設定
  • 企業の女性活躍の情報の「見える化」推進
  • 女性活躍情報を就職・投資の判断材料に

メディアのジェンダー表現 ステレオタイプ再生産

記事コピー (asahi = 7-30-17)


牛肉セーフガード発動決定 4 - 6 月の輸入量大幅増加で

政府は 28 日、冷凍牛肉の輸入量が大幅に伸びたため、関税を引き上げる緊急輸入制限措置(セーフガード)の発動を決定した。 関税率は 8 月 1 日から来年 3 月末まで 50% (現在 38.5%)になる。 外食チェーンの業績への影響や、米国の反発なども予想される。

セーフガードは輸入品の急増から国内農家を守る仕組みで、世界貿易機関 (WTO) のルールに基づいて設けている。 輸入牛肉は冷凍と冷蔵で区別され、いずれも 3 カ月ごとに前年同期と比べて増加幅が 17% を超えると自動的に発動する。 対象は米国やカナダ産などで、個別に貿易協定を結ぶ豪州やメキシコ、チリ産は除外される。 財務省が 28 日に発表した貿易統計によると、冷凍牛肉の 4 - 6 月の輸入量は前年同期と比べて 17.1% 増の 8 万 9,253 トンだった。 牛肉のセーフガード発動は 4 回目で、冷蔵品が対象だった 2003 年 8 月 - 04 年 3 月以来、14 年ぶりとなる。 (長崎潤一郎、山村哲史、asahi = 7-28-17)


平均寿命、男女とも過去最高を更新 世界 2 位に

2016 年の日本人の平均寿命は女性が 87.14 歳、男性が 80.98 歳となり、いずれも過去最高を更新した。 女性は 2 年連続で世界 2 位で、男性は前年の 4 位から 2 位に上がった。 厚生労働省が 27 日に発表した「簡易生命表」で分かった。 女性は前年に比べて 0.15 歳、男性は0.23 歳延びた。がんや心疾患、脳血管疾患など主要な疾患による死亡率が軒並み改善したことが寄与した。

平均寿命は各年齢での死亡率などから、0 歳の人が平均で何歳まで生きられるかを推計したもの。 戦後間もない 1947 年の女性 53.96 歳、男性 50.06 歳から延び続けている。 厚労省の担当者は「医療の進歩や健康志向に伴う生活習慣の改善で、今後も延びると予測される」としている。 厚労省が情報を把握する 50 カ国・地域のなかでは、トップは男女とも香港で、女性 87.34 歳、男性 81.,32 歳だった。 (生田大介、asahi = 7-28-17)

平均寿命の上位 5 カ国・地域 (厚生労働省の資料から
日本は 2016 年
ほかは 14、15 年のデータもある)
《女性》《男性》
香 港87.34 歳香 港81.32 歳
日 本87.14 歳日 本80.98 歳
スペインンン85.42 歳キプロス80.90
フランス85.40アイスランド80.70
韓 国85.20スイス80.70

子どもの貧困、指標に 8 項目追加 朝食食べない割合など

子どもの貧困の現状を検証する指標について、内閣府は現在の 25 項目から 33 項目に増やす方針を決めた。 追加するのは「朝食を食べない割合」や「ひとり親家庭で養育費を受け取っていない割合」など 8 項目。 きめ細かく把握し、各省の対策づくりに生かす。 2019 年に見直す「子どもの貧困対策大綱」に盛り込む方針。 毎年度公表している「子供の貧困の状況と子供の貧困対策の実施状況」に反映させる。

子どもが貧困に陥る背景は複合的で見えにくいとされており、より幅広い原因をすくい取ることを目指す。 いまの指標は 14 年の大綱で定められ、25 項目のうち 21 項目が「ひとり親家庭の子どもの就園率」、「生活保護世帯の大学等進学率」など教育の機会に関する調査だった。 新たに追加する 8 項目のうち 6 項目は、子どもが成長する環境に関わるものとする。 (西村圭史、asahi = 7-21-17)

子どもの貧困調査に関する新しい 8 項目

健やかな成育環境の確保

朝食欠食児童・生徒の割合 / 相談相手が欲しいひとり親の割合 / 必要な頼れる相手がいない人の割合 / ひとり親家庭の親の正規職員・従業員の割合 / ひとり親家庭で養育費の取り決めをしている割合 / ひとり親家庭で養育費を受け取っていない子どもの割合

教育の機会均等の確保

高校中途退学率 / 学力に課題のある子どもの割合

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子どもの貧困率、12 年ぶり改善 主要 36 カ国で 24 位

子どもの貧困率(相対的貧困率)は 2015 年に 13.9% となり、過去最悪だった前回の 12 年調査から 2.4 ポイント改善したことが 27 日、厚生労働省が発表した 16 年の国民生活基礎調査でわかった。 労働環境がよくなって親の所得が増えたためで、改善は 12 年ぶり。 ただ主要国の中では依然として高く、ひとり親世帯は過半数が貧困状態のままだ。

調査は 16 年 6 - 7 月に実施。 直前に地震で大きな被害が出た熊本県は除き、貧困率は約 3 万 4 千世帯の 15 年の所得を調べ、有効回答率は 71.76% だった。 18 歳未満の子どもの貧困率は 03 年の 13.7% から上昇が続き、12 年調査で 16.3% に達した。 今回は全世帯の年間の平均所得が 8 万 6 千円増えて 545 万 8 千円となり、改善につながった。 母親に正規の仕事がある世帯が 2.6 ポイント多い 22.0% となったことなどが背景にある。

ただ、それでも子どもの 7 人に 1 人が所得が少なくて生活が苦しい貧困状態で、先進国でつくる経済協力開発機構 (OECD) の平均 13.2% (13 年)を上回る。 デンマークの 2.7% や韓国 7.1% などに及ばず、主要 36 カ国で 24 位にとどまる。 現役世代(18 歳以上 65 歳未満)が 1 人いるひとり親世帯の貧困率も、前回より 3.8 ポイント改善して 50.8% となったが、過半数を占める状況が続く。 大人も含めた全体の貧困率は前回より 0.5 ポイント改善して 15.6%。 主要 36 カ国では 29 位だった。 (井上充昌、asahi = 6-27-17)