房総半島沖に白金など希少金属 近海で資源採取可能に?

海洋研究開発機構などは 5 日、千葉県の房総半島沖の海底に、様々な工業製品に使われている白金やコバルトなどの希少金属を含んだ鉱物資源「コバルトリッチクラスト」を発見したと発表した。 面積は、東京都 23 区の約 1.5 倍(約 950 平方キロ)あり、近海で資源採取できる可能性が高まったという。

コバルトリッチクラストは、海底の岩を鉄やマンガン、希少金属がアスファルトのように覆っている。 これまで、本州から約 2 千キロ離れた南鳥島周辺で見つかっている。 近海では、陸からの有機物が降り積もるため、分布しにくいと考えられていた。 今回発見されたのは、房総半島沖東南東約 350 キロにある海底の山。 無人探査機が水深 1,500 - 5,500 メートルの斜面一面に黒っぽい鉱物が広がっている様子をとらえた。 海洋機構の鈴木勝彦ユニットリーダーは「日本近海でも同じような地形が多数あるので、さらに調査が必要」と話した。 (杉本崇、asahi = 6-5-17)


高級ホテルラッシュ、地方に波及 訪日客増、外資続々

ホテルの高級化が、東京以外の都市でも進んでいる。 訪日外国人が宿泊する機会が増え、ホテル側も採算が見込めるようになったためだ。 海外富裕層の流れを追うように外資系ホテルも進出し、9 日にはコンラッド大阪(大阪市)が開業する。 国内は「ホテル新時代」を迎えている。 九州の玄関口・JR 博多駅(福岡市)のすぐ近く。 ほぼ更地になった場所には 2 年後、ホテルが新設される。 もともとビジネス客らに利用された「博多都ホテル」だったが、40 年以上が過ぎて設備が老朽化し、高級ホテルに衣替えする計画だ。

約 20 平方メートルの客室は 30 平方メートル超へ、お客がゆったりとくつろげるようになる。 ホテルは屋外スパを備え、高級飲食店も誘致する。 「訪日外国人客が増えている。 国内外のお客様の利用が見込めるため、2019 年のラグビーワールドカップ開催前の開業をめざす」と計画を進める近鉄不動産。 客室の平均料金は、従来の 8 千円台から 2 万 3- 3 万円程度に引き上げる予定だ。

福岡市内ではこうした高級ホテルの計画が動き出している。 市の繁華街・天神にある老舗の「西鉄グランドホテル」も老朽化のため、建て替えを検討中だ。 西鉄グループのホテル戦略を担当する西日本鉄道は「高級ホテルを含め色々な選択肢がある。(広報)」 業界関係者によると、天神では他にも高級ホテルの建設計画が浮上している。

新たな高級ホテルを迎え撃つべく、外資系の「グランドハイアット福岡」は昨年、開業 20 年を迎えたのにあわせて、大規模改装に踏み切った。 今春には 370 の全客室が装いを新たに再出発。 訪日客の増加や改装効果もあり、客室料金も上がる傾向だという。 (近藤郷平、新宅あゆみ、asahi = 6-5-17)


名古屋の百貨店、勢力図に異変 栄苦戦、高島屋一人勝ち

名古屋市内の百貨店 5 社の 5 月の売上高で、名古屋駅周辺にある名駅地区の合計額が、栄地区を初めて上回った。 東海地方の商業の中心地が栄から、複合型商業施設の開業が相次ぐ名駅地区に移った格好だ。

百貨店各社が 1 日、5 月の速報値を発表した。 名駅地区(JR 名古屋高島屋、名鉄百貨店本店)の売上高は前年より 2 割増の計 164 億円。 そのうち 132 億円を高島屋が占めた。 4 月に営業を始めた専門店街「タカシマヤ ゲートタワーモール」の開業効果で、高島屋は 5 月としては売上高、来店客数ともに過去最高を更新。 モールを含めた高島屋の来店客数は 512 万人で、1 カ月間で初めて 500 万人台に達した。

一方、栄地区(松坂屋名古屋店、名古屋三越栄店、丸栄)はいずれも、売上高が前年割れで苦戦した。 合計ベースでも 7% 減の 152 億円だった。 来店客数は松坂屋が 8% 減、三越が 10% 程度減った。 三越の広報担当者は「新モールの影響はある。 (三越の)改装が終わる今秋までは我慢のときだ。」と話した。 (細見るい、友田雄大 高橋諒子、asahi = 6-2-17)


目を引く "筋肉温泉" 県広報動画、話題に

「鍛え抜かれた肉体があなたに極上の癒やしを届けます。」 茨城の名湯を紹介する県のネット広報動画が話題になっている。 登場するのは、なぜか筋骨隆々の男性で、ただ黙って入浴するだけ。 県は「動画を通して県内の観光地に興味を持ってもらい、実際に訪れる人が増えてくれれば」と期待を寄せる。

動画は、本県のインターネット動画サイト「いばキラ TV」に掲載。 「茨城温泉 FILE」、「温泉 x 筋肉 x 4K」と銘打ち、県北地域の露天風呂や温泉を高画質で紹介している。 異色なのは男性の入浴シーンが約 3 分間続くことだ。 腕や胸、背中の筋肉をひたすら強調し、おけで体に湯をかける。 テロップは温泉の紹介のみで筋肉は無視のシュールな内容だ。

「温泉の入浴シーンといえば定番は女性。 男性が入れば女性視聴者に人気が出るかと思った。」と県広報広聴課。 「女性風呂は撮影しにくい」という事情から苦肉の策で生まれた動画だったが、4 月 18 日から 3 本シリーズを順次アップしたところ、ネットで話題が拡散した。  ツイッターでは「テロップに目が行かない」、「筋肉美しい」、「温泉漬かりたくなる」などの声が上がっている。 (茨城新聞 = 5-27-17)


ターンテーブルに「まぐろ」 青森空港、SNS で話題

青森空港(青森市)に到着し、預けた手荷物を受け取るため、ターンテーブルの前で待つ。 最初に流れてくるのは、なんと「大間のまぐろ」。 全長 140 センチのオブジェだが、あまりに精巧な出来栄えに、SNS 上で話題になっている。

「まぐろ」のオブジェは境朗さん (40) ら日本航空 (JAL) の整備士 3 人が、通常業務の合間に約 7 カ月かけて作り上げた力作だ。 空港のゴミ捨て場にあった発泡スチロールを回収して加工、塗装し、プラスチック製のヒレを取り付けた。 大間漁協組合から公認をもらい、「大間まぐろ」のステッカーも貼られている。 境さんは「3 カ月間ひたすら紙やすりをかけ続けた整形作業が一番大変でした。 荷物を預けていない人も、ぜひ、ターンテーブルに寄り道して写真を撮ってください。」 「まぐろ」は JAL 系の到着便の一部で流れてくるという。 (西畑志朗、asahi = 5-23-17)


大分県豊後大野市綿田地区、地割れ 58 か所に

大分県豊後大野市の宅地や農地など 40 か所で地割れが見つかった問題で、同市は 21 日、新たに 18 か所で地割れを確認したと発表した。 市は同日、地滑りが起きる可能性があるとして、3 世帯 10 人に避難勧告を出し、市道の一部も通行止めにした。 亀裂の幅が広がっている箇所もあるという。

県や市によると、計 58 か所の地割れはいずれも同市朝地(あさじ)町綿田(わただ)の田園地帯で確認された。 半径 150 メートル内に点在し、長さは約 1 - 20 メートルで、幅は最大約 30 センチになるという。 市が 5 か所で地割れを測定したところ、1 時間で平均約 1.5 ミリずつ亀裂の幅が広がっていた。 県は「地下水が何らかの影響を及ぼしている可能性がある」とみており、建設コンサルタント会社に原因究明のための調査を依頼した。 県と市は 22 日に国土交通省の出先機関などと今後の対応を協議する。 (yomiuri = 5-22-17)

「大分県豊後大野市朝地町綿田」周辺地図


木造モダニズム住宅など 10 件を国重文に 審議会が答申

文化審議会は 19 日、戦前の木造モダニズム住宅の代表作とされる聴竹居(ちょうちくきょ、京都府大山崎町)や、四国八十八カ所霊場札所の白峯寺(しろみねじ、香川県坂出市)など 10 件の建造物を重要文化財に指定するよう文部科学相に答申した。 聴竹居は 1928 年完成の木造モダニズム住宅の代表作。 京都帝国大教授の藤井厚二氏が自宅として設計した。 数寄屋風の外観で近代的なキッチン、地中で冷やした風を床下から取り込む導気口(どうきこう)が設置されるなど、様々な工夫がなされており、優れた意匠と高い学術的価値が認められた。

白峯寺は、拝殿と、後方にある崇徳(すとく)上皇殿などが渡り廊下で接続されている特異な形態で、四国霊場の興隆と上皇崇敬の様相を示している。 また文化審議会は、兵庫県養父(やぶ)市の大屋町大杉伝統的建造物群保存地区を重要伝統的建造物群保存地区に選定することも答申した。 ほかの重文の新規・追加指定は以下の通り。

【重要文化財】 ▽ 旧双葉幼稚園園舎(北海道帯広市)、▽ 大雄寺(だいおうじ、栃木県大田原市)、▽ 旧内田家住宅(愛知県南知多町)、▽ 観心寺恩賜(おんし)講堂(大阪府河内長野市)、▽ 旧和歌山県会議事堂(和歌山県岩出市)、▽ 本河内(ほんごうち)水源地水道施設(長崎市)、▽ 玉御殿(たまうどぅん、沖縄県伊是名〈いぜな〉村)、▽ 瀧谷寺(たきだんじ、追加、福井県坂井市) (後藤洋平、asahi = 5-19-17)


ママ鵜匠、変わらぬ手縄さばき 育休から復帰の稲山さん

愛知県犬山市の「木曽川うかい」の鵜匠(うしょう)・稲山琴美さん (28) が、出産・育児休業を終えて約 2 年ぶりに鵜飼いに復帰する。 東海地方初の女性鵜匠は、初のママ鵜匠にもなった。 「見ている人に元気を与えられるような鵜飼いを披露したい」と意気込んでいる。 4 月 30 日と今月 2 日、名古屋港水族館と名古屋城の一角で、6 月 1 日から始まる「木曽川うかい」の PR イベントがあった。 鵜飼いの実演で稲山さんが鵜を操り、小さなプールに放った川魚を取ってみせると、観光客らから歓声が上がった。

この約 2 年間は鵜に触れられず、復帰に向けた練習がほとんどできなかった。 「不安はいっぱいあったけど、手縄のさばき方など、体が覚えていて意外とすんなりできた」と笑顔を見せた。 稲山さんは 2013 年、約 1 年の見習いを経てデビュー。 東海地方初の女性鵜匠として注目を集めた。 犬山市と岐阜県各務原市の境を流れる木曽川で、昼と夜に観光向けの鵜飼いを披露する一方、犬山市観光協会の職員として PR にも奔走した。 (中野龍三、asahi = 5-11-17)

前 報 ( 6-1-13)


厳しさ増す地銀、サービス業への貢献で収益確保を = 金融庁長官

[東京] 金融庁の森信親長官は 10 日、都内で講演し、人口減と運用難で厳しさを増している地方銀行のビジネスについて、地元のサービス業にコンサルティングや融資を提供し、生産性向上に貢献することが地銀の収益確保の一助になると述べた。 一方、規模が小さく持続可能なビジネスモデルの確立が遅れている地銀に対して、早急に対応策を検討するよう求めた。 森長官は、生産年齢人口の減少で貸出需要の減退が見込まれるなか、中期経営計画で貸出目標を掲げている地銀 48 行全てが、貸出増を目指していることに言及。 「マクロ的に見ても成り立たないのではないか」と疑問を投げかけた。

そのうえで地域のサービス業へのコンサルティングや融資を通じ、収益を確かなものにすることも、1 つのビジネスモデルだとした。 また、森長官は、他行に先駆けてニッチな分野を開拓し、収益を上げているスルガ銀行を評価して「(規模が)大きくなることが唯一の解決策ではない」と述べた。 一方で、規模が小さくて持続可能なビジネスモデルを築けていない地銀に対し、対応策の検討を急ぐよう求めた。

森長官は講演の中で、一部地銀の有価証券運用について苦言を呈した。 地銀の中には、運用体制がぜい弱で、投信を百億円単位で購入しても、担当者が個別の投信について詳細を説明できないケースがあると指摘。 商品性を十分に理解しないまま投信を購入する背景には、地銀と販売会社が接待などを通じて友好的な関係を築いていることがあるとし、「(販売会社に)接待してもらって投信を購入することが、本当に預金者のためになっているか」と述べ、運用体制の見直しが必要であるとの姿勢を示した。 (和田崇彦、Reuters = 5-10-17)


高知の村、議会廃止を検討 議員が高齢化、後継者も不足

高知県大川村が、村議会(定数 6)を廃止し、地方自治法に基づき住民の有権者全員で構成する「町村総会」を設置する検討を始めた。 村議の高齢化やなり手不足が背景にあるが、議会廃止に慎重意見も強い。 同法に基づく町村総会は、1951 - 55 年に東京・八丈小島の旧宇津木村(現八丈町)で設置された例がある。

地方自治法 94 条では、町村が議会を置かず総会を設けられると定める。 総会は有権者全員による議事機関で、直接参加で意思決定する。 大川村議会では 2013、14 年にも総会の可能性について議論したことがあるが、否定的な意見が多かった。 大川村は四国山地のほぼ中央に位置し、人口は離島以外の自治体で最も少ない約 400 人。 1960 年には 4 千人余りいたが、鉱山閉鎖などで急速に過疎化が進み、高齢化率も 43.2% (4 月 1 日時点、県推計)に上る。

村議選では、定数 10 を 8 に減らした 03 年に立候補が 7 人にとどまり、定数割れのまま全員当選。 定数 6 に減らした 07 年は 9 人、11 年は 7 人が立候補し、選挙になったが、15 年は現職 6 人が無投票当選。 19 年の村議選で欠員が 2 人になれば、公職選挙法の規定で再選挙が必要になる。 (堀内要明、長田豊、asahi = 5-4-17)


チョウザメ初輸出、宮崎から 香港で 6 万円コース料理に

宮崎県で養殖されたチョウザメが香港に輸出されることになった。 5 月から高級ホテルのレストランで魚肉がメインディッシュとして提供される。 チョウザメの魚肉の輸出は国内で初めてという。 宮崎産キャビアを加工販売するジャパンキャビア(宮崎市)と食品販売の川津食品(大分県日田市)が手がける。 福岡空港から直行便で鮮魚のまま送る。

川津食品によると、2014 年に福岡県であった商談会で、高級ホテルのマンダリンオリエンタル香港のシェフが「食感が面白くてうまみがある。 くせがなくて使いやすい。」と興味を持ったのがきっかけ。 ホテルのフレンチレストランで約 6 万円のコースの一品になる。 薫製した切り身にラディッシュをあしらい、ソースを添える。 (河崎優子、asahi = 5-1-17)


和牛高騰、商機狙う 農家高齢化、企業は投資

和牛の価格が過去最高の水準になっている。 根強い人気の一方、高齢化した農家らが子牛の繁殖をやめたからだ。 商機とみた企業が、子牛の繁殖や割安な食材の売り込みに動く。 東京都葛飾区のベニースーパー西亀有店は 1 年余り前に和牛を値上げしたが、売れ行きは底堅い。 近くの木村末子さん (67) は「今の季節だと新タマネギと食べたくなる。」 農畜産業振興機構によると、和牛の肩肉の小売価格は、3 月時点の全国平均で 100 グラムあたり 789 円。 3 年前より 2 割高い。 出荷が減ったからだ。

松阪牛を育てる三重県松阪市の磯田浩利さん (55) は 60 頭飼える牛舎を構えるが、今は 31 頭。 「我慢の時。 子牛の仕入れ値が下がるのを待つしかない。」 松阪牛は松阪市周辺の農家が、子牛の繁殖をてがける各地の農家から黒毛和種のメスの子牛を買って育てたものだが、仕入れ値が高い。 同機構によると、和牛の大半を占める黒毛和種の子牛 1 頭の取引価格は 2016 年までの 7 年間で 2 倍以上の 80 万円台に。 農家の高齢化や口蹄疫(こうていえき)、東日本大震災などで、市場での取引はこの間に 2 割減って 31 万頭になっていた。

日本海沿いの兵庫県香美町。 山本徳至さん (84) は稲作のかたわら 60 年続けてきた繁殖を昨秋やめた。 最後の子牛は 100 万円近い高値で売れたが、「体力の限界。 子供たちは都会に出て、継ぐ人もいない。」 (高木文子、高橋諒子)

三重の地銀、百五銀行などのファンドは 28 日、代理出産による効率的な繁殖に乗り出す地元ベンチャーの関連会社、AG エンブリオサポート(北海道帯広市)に 5 千万円を出資した。 負担を伴う出産は、主に乳牛として飼われているホルスタインに任せる。 肉質のいい貴重な和牛は卵子と精子の供給に専念させる。 受精卵を月に 1 万個つくって、ホルスタインを飼う農家らに売る計画だ。 「(三重特産の)松阪牛や伊賀牛などを肥育する基盤づくりに重要な役割を果たす」と百五銀の地域創生部長、木村幸正氏は話す。

食肉加工大手のスターゼン(東京)も昨春、北海道足寄町に牧場をつくり繁殖に乗り出すと発表した。 子牛を肥育農家に売り、育ったところで買い戻す。 和牛が高騰するなか、住商フーズ(東京)は昨秋から、和牛よりは安い米産牛「ブラックアンガス」の輸入を本格化。 スーパーなどに月 250 トンを卸しており倍増を狙う。 和牛しゃぶしゃぶの木曽路(名古屋市)は今春、黒豚のしゃぶしゃぶを全国の店で出し始めた。 「昨秋から先行した九州で好評」と広報担当者は話す。(細見るい、山村哲史、asahi = 4-29-17)


日本一ウィンカー出さない県、自虐的な動画が話題に

岡山県では、人も車も家もプチプチの気泡緩衝材で包まれており、車にはねられても車同士がぶつかっても、住民はニコニコしている - -。 そんな架空の世界を描いた岡山トヨペットのウェブ動画が話題だ。

同県は、日本自動車連盟 (JAF) の昨年の調査で、ウィンカーを出さない車が最も多い都道府県だった。 不名誉を返上しようと同社があえて自虐的な動画を作った。 担当者も岡山出身。 「悲しい現実を乗り越えようと作った。 県民に怒られるかもしれませんが。」 (asahi = 4-29-17)

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国産「生サーモン」、身近に?

三井物産が陸上養殖へ

三井物産はサーモンの陸上養殖事業に乗り出す。 養殖に使う海水の濾過(ろか)システムを開発したベンチャー企業の株式 80% を 9 億円で取得し、2018 年春に千葉県内で養殖場を操業する。 早ければ 19 年に販売を始め、20 年には年間 1,500 トンの出荷を見込んでいる。 養殖サーモン市場は、チリとノルウェー産が約 8 割を占める。 年間を通じて 15 度程度の水温が求められ、夏に海水の温度が上がる日本には適さなかった。 世界的に養殖できる広さの海が不足し、需要の高まりに供給が追いつかない状況だ。

今回つくるプラントは、養殖に使う水槽の水をほとんど入れ替えずに濾過できる「閉鎖循環式陸上養殖システム」を採用する。 人工の海水を使い、バクテリアの力で水中の毒素を分解する仕組みだ。 冷凍せずに販売する「生サーモン」市場をねらっており、担当者は「安全でおいしい生サーモンを、外国産と同等の価格で提供したい」と話す。 将来的には温暖なアジア圏にも養殖場を広げたい考えだ。 (鬼原民幸、asahi = 4-25-17)


ラピュタ風? 手堀りトンネル、SNS で人気に 千葉

千葉県富津市の竹岡と萩生(はぎゅう)を結ぶ国道 127 号城山トンネルの南側に、もう一つのトンネルがある。 「燈籠坂(とうろうざか)大師の切り通し隧道(ずいどう)。」 この隧道が昨年あたりから、君津市の亀岩の洞窟(濃溝の滝)や海に電柱が連なる木更津市の江川海岸と同様、SNS で広まって人気スポットになりつつある。 燈籠坂トンネルの手前にある燈籠坂大師の入り口から坂を上ると小さな隧道がある。 お目当ての切り通し隧道は、そこを通り抜けたところにある。

隧道の高さは約 10 メートル。 前後にある切り通しが高さをさらに強調する。 荒く削られた壁面を手で触るとざらざらする。 地域振興に取り組む NPO 法人「ふるさと壱燈会」の広報担当で、ここのガイドを務める荒井輝久さんが「凝灰(ぎょうかい)質の砂岩でできているそうです。 触ると手掘りの感じが伝わるでしょう。」と説明する。 隧道の完成は、明治から大正にかけてと推測されている。 住民が鋸山(のこぎりやま)の石切りの技法で掘ったという。 当初は上部だけで人が通れる程度の高さだったが、登り下りが大変なため、昭和の初めに下まで切り下げて今の形になったという。 (堤恭太、asahi = 4-25-17)

江川海岸 (11-14-16)


100 万人割れ 10 県に 地方の人口減止まらず

地方の人口減少が止まらない。 秋田県は 21 日、4 月 1 日時点の人口が 100 万人を切ったと発表した。 総務省がまとめた 2016 年 10 月時点の人口推計では 9 県が大台を割り込んでおり、秋田県で 10 県目になる。 国立社会保障・人口問題研究所の推計によると 30 年には 13 県に広がる見通しだ。 秋田県によると 4 月 1 日時点の人口は 99 万 9,636 人。 前年同月と比べて 1.39% 減った。 65 歳以上の人口割合を示す「高齢化率」は 34.7% に達している。 (nikkei = 4-22-17)


伊藤博文ゆかりの老舗料亭、休業へ 跡継ぎなく人手不足

長崎市で江戸時代から続く料亭「富貴楼(ふうきろう)」が、6 月 10 日で休業する。 伊藤博文が名付けた老舗で、建物は国登録有形文化財。 後継者がいないことや従業員の人手不足が原因で、再開のめどは立っていないという。

富貴楼の前身は 1655 年ごろには営業していた料亭で、1887 年に初代内田トミさんが親戚から引き継いだ。 初代総理大臣を務めた伊藤博文が 89 年に訪れ、トミさんの名前などから「富貴楼」と名付けた。 1969 年の長崎国体の時には、当時の皇太子ご夫妻(現在の天皇皇后両陛下)に昼食を出前した。 長崎伝統の卓袱(しっぽく)料理が有名で、市民の間でも祝いの席などで親しまれていた。

6 代目の内田一さん (69) によると、後継ぎがいないことに加え、従業員の高齢化や人手不足から、続けていくのが難しいと判断したという。 売り上げはバブル期の 10 分の 1 に落ち込み、庭や建物の維持費もかかり、「個人経営で続けるには困難になった」という。 廃業も考えたが、「やめないで下さいという人の思いを無にするわけにはいかない」と休業することにし、県外の企業を含めて買い取り先を探している。 建物は 2007 年に国の有形文化財に登録された。県学芸文化課は「料亭建築の特徴をよく示した建物。 譲ることになっても、文化財としての価値を残すようお願いするつもり。」としている。 (田部愛、asahi = 4-22-17)


九州の百貨店、棚田でコメ作り JA とコシヒカリ栽培

岩田屋三越(福岡市)が 18 日、佐賀県唐津市の棚田でコメ作りに乗り出すと発表した。 九州の百貨店が棚田での稲作に取り組むのは珍しい、という。 同市肥前町大浦にあり、伊万里湾を望む美しい景観で知られる「大浦の棚田」の約 30 アールを使う。 地元の JA からつと協力し、コシヒカリを栽培する。 「岩田屋三越ファーム」と名付けた。

22 日に苗を植え、5 - 7 月に岩田屋、福岡三越両店のバイヤーら 4 人が 2 週間ごとに草取りをする。 稲刈りは 8 月中旬ごろ。 約 1 トンの収穫を見込み、9 月上旬には両店でコメを販売する予定だ。 岩田屋が福岡・天神へ出店して昨年で 80 年、福岡三越が今年 20 年を迎える。 改めて、地元・九州の良さを伝えようと企画した。 高齢化で後継者不足に直面する棚田を活性化するねらいもある。 (山下裕志、asahi = 4-19-17)


路面電車「みなと」出発式 ななつ星の水戸岡氏デザイン

長崎電気軌道の路面電車「みなと」の出発式が 10 日、長崎市大橋町の同社浦上車庫であった。 午後からは営業運転が始まり、豪華列車「ななつ星」や九州新幹線などを手がける水戸岡鋭治氏デザインの路面電車が長崎の街を走り始めた。

「みなと」は 1954 年製の車両をリニューアル。 多様な文化が入り交じる港町・長崎をイメージした意匠がちりばめられている。 デザインを担当した水戸岡さんは出発式でのあいさつで「ブリキのおもちゃのようなかわいい電車に仕上がった。 60 年前の車両を手間をかけて改修し、懐かしくて新しいものができあがった。」と語った。 デザインには和洋中の要素を取り入れた。 「世界中のデザインを詰め込んだ、インターナショナルな車両になった」と水戸岡さんは話す。

みなとの外観は港町をイメージしたメタリックブルーを基調にゴールドの差し色で塗装。 内装には木材を多く使ってぬくもりのあるデザインに仕上げた。 床はフローリングで、つり革も木製。 ドア付近の窓には教会で使われるステンドグラスを取り入れた。 室内灯には船舶用のものを使用し、柔らかい光が車内を照らす。 車両の先頭部分には、長崎に多く生息する尾曲がり猫をあしらった。

あいにくの雨の出発式となり、長崎の印象を問われた水戸岡さんは「長崎は雨だった」とぽつり。 「長崎は素晴らしい観光地。 気候、自然、文化、食事とあらゆるものを全部持っている。 新幹線が開通するが、経済性や利便性を追求するだけではなく、(みなとのような)手間ひまかけた心のデザイン、情緒のある街のデザインをしていってほしい」と話した。

水戸岡さんへのデザインの依頼は、路面電車の魅力向上につなげようと長崎市が同社に提案。 改修費用は 2 千万円で、半額を市が補助した。 通常の車両と同様に運行され、料金も通常と同じ大人 120 円。 運行情報は同社の運行情報サービス「ドコネ」でパソコンやスマホから確認できる。 8,640 円から貸し切りもできる。 (山野健太郎、asahi = 4-11-17)


北海道・知床に雪のアーチ 横断道路の除雪作業急ピッチ

北海道の世界自然遺産・知床で、冬季通行止めとなっている知床横断道路(国道 334 号)の除雪作業が急ピッチで進んでいる。 雪は深いところで十数メートル。 6 日、作業員は雪崩を防ぐため、油圧ショベルで斜面の雪を崩しては、ロータリー除雪車で少しずつ雪を吹き飛ばしていた。 通行止め区間は、知床峠(標高 738 メートル)を挟んでの 23.8 キロ。 3 月 10 日に峠の両側から作業が始まり、6 日現在、除雪は 95% が完了。 知床連山最高峰の羅臼岳(同 1,661 メートル)に近い峠付近での作業となっている。 除雪後、道路設備を取り付け、黄金週間前の開通をめざす。 (神村正史、asahi = 4-6-17)


埼玉県とドコモ、歩いて県産品が当たる健康増進プログラム

埼玉県と NTT ドコモは、健康増進プログラム「埼玉県コバトン健康マイレージ」を 4 月 1 日に開始した。 毎日の歩数に応じて県の農産物などが当たるキャンペーンで、埼玉県内 25 市町村や一部の県内企業、保険組合が参加する。 参加自治体に在住または在勤している 18 歳以上なら、無料で参加できる。 終了時期は未定。

歩数の計測は、歩数計、リストバンド型活動量計「ムーヴバンド 2」、専用スマートフォンアプリのいずれかを利用する。 歩数計やムーヴバンド 2 は、参加者に無料で貸与される。 市町村役場やドコモショップなどの店舗に、歩数を登録するための端末が設置される。 登録した歩数に応じてもらえるポイントを貯めると、抽選に参加できる。 当選すると、埼玉県産の農産物や協賛企業の賞品などがプレゼントされる。

NTT ドコモは、他の分野とコラボレーションする「+d」の取り組みの一環として、今回の「埼玉県コバトン健康マイレージ」では企画・開発を担当。 データ収集基盤に、ドコモ・ヘルスケアの「わたしムーヴ」のプラットフォームを活用している。 (石井徹、ケータイ Watch = 4-4-17)


「名古屋なんて、だいすき」 脱・行きたくない街へ

名古屋市の河村たかし市長は 3 日、「行きたくない街ナンバーワン」からの脱却を目指すキャッチコピーを「名古屋なんて、だいすき」と発表した。 作者は市内の大学に通う石田温香(はるか)さん (21)。 1 - 2 月に集まった 3,386 点から、3 月上旬に審査員 10 人が最優秀賞に選んだ。 「名古屋なんて、だいすき」は「なんで? と聞きたくなり、そこから市民が語り出す」、「市民の等身大な気持ちを表し、名古屋らしい」と評価された。 2020 年度末まで名古屋の魅力発信のために使う予定だ。 (嶋田圭一郎、asahi = 4-3-17)


レゴランド、名古屋でオープン 名所をブロックで再現

名古屋市港区に 1 日、テーマパーク「レゴランド・ジャパン」がオープンした。 この日は雨の中、約 500 人が門の前で列をつくっていた。 デンマーク発祥のブロック玩具メーカー「レゴ」が造る国内初の屋外型施設で、今年度は 200 万人の来場を見込んでいる。 約 9 ヘクタールの敷地に 40 以上の乗り物があり、使ったブロックは計 1,700 万個。 約 1 千万個のブロックを使った「ミニランド」で、名古屋城や東京スカイツリー、大阪の道頓堀、広島の厳島神社などを本物さながらに再現した。 1 日券は 3 - 12 歳が 5,300 円、13 歳以上 6,900 円。 (asahi = 4-1-17)


気仙沼・大島が「陸続き」へ 架橋工事で本土とつなぐ

東日本大震災で定期便のフェリーが流失して孤立、米軍の「トモダチ作戦」で支援を受けた宮城県気仙沼市の離島・大島と本土をつなぐ「気仙沼大島大橋」の架橋工事が進み、29 日に橋桁中央のアーチ部分が接続された。 午後には仮留めが終わり「陸続き」となる。

アーチ部分は長さ 228 メートル、幅 10 メートル、最上部は高さ 30 メートルで、重さ約 2,700 トン。 昨年 7 月から気仙沼港で組み立てられていた。 この日午前 6 時すぎ、クレーン船につり上げられて出港。 30 分ほどかけて気仙沼湾を横断し、両岸に通じる橋桁と接続された。 大島架橋事業は 2011 年度に着手し、橋に通じる道路を含めて 18 年度の完成を目指す。 旧大島村が架橋を構想したのは 1951 年。 島民の悲願だった。 島民でつくる大島架橋促進協議会の小松武会長は「大島で住み続けることを選択した我々にとっての安心になる」と喜んでいる。(佐々木達也、asahi = 3-29-17)


農家のナス出荷制限、農協に初の排除措置命令へ 公取委

ナスの特産地で知られる高知県の「土佐あき農業協同組合(JA 土佐あき)」に対し、公正取引委員会は、独占禁止法違反(不公正な取引方法)で再発防止を求める排除措置命令を近く出す方針を固めた。 ナスを同農協以外に出荷しないよう組合員の農家の取引を制限したと認定する見通しだ。 市場への出荷ルートをめぐって農協に同命令が出るのは初めてとなる。

高知県内のナスの集出荷場は「支部」と呼ばれる農家たちの生産組織が運営している。 関係者によると、同農協管内の複数の支部が 2012 - 16 年、農協ルートでの出荷に応じない農家を除名し、袋や箱詰めをする集出荷場を使わせなかった。 一部の支部では、農協以外のルートでの売り上げに 3.5% にあたる手数料を求めたり、畑の広さごとに農協への出荷量を設定して下回ると罰金を科したりしていたという。

公取委は昨年 5 月、農家の自由な取引を妨げたとして、排除措置命令を出す方針を同農協に通知した。 しかし、農協は「支部は農協から独立した組織。 農家同士の規約に従ったもので、農協は関与していない。」などと反論。 公取委は昨年 10 月、通知後としては異例の立ち入り検査をするなど、審査をやり直していた。 (矢島大輔、asahi = 3-26-17)


アジアのユーチューバー、大分・日出を PR 全編中国語

動画投稿サイト「YouTube」に独自の映像を投稿して、その広告効果で収入を得る海外の人気「YouTuber (ユーチューバー)」による大分県日出町の観光プロモーション動画が、完成した。 町は 18 日からホームページ (HP) で一部を公開し始めた。 海外への情報発信力を強めて外国人観光客を増やそうと、日出町が企画した。 高い情報発信力を期待して著名なブロガーを招く自治体が全国に目立ち始める中、日出町はユーチューバーを起用した。

昨年、大分市のイベント企画会社を通じて依頼し、約 400 万円かけて 8 月から制作していた。 完成した動画は計 4 本。 それぞれの前編(4 - 8 分程度)を HP で公開している。 後編は 24 日、ダイジェスト映像は 30 日から公開予定。 今回は中国語圏をターゲットにしており、動画で使った言葉はすべて中国語(日本語字幕つき)だ。 参加したユーチューバーは、中国やマレーシアなどアジア 6 カ国・地域を拠点に活躍する 7 人。 全員が 20 代で、動画に出演して編集にも加わった。 日出町に隣接する別府市にある立命館アジア太平洋大 (APU) の卒業生も 2 人いる。 (加藤勝利、asahi = 3-20-17)


SL 時代にタイムスリップ 石造りの人吉機関車庫を復元

熊本県人吉市の JR 人吉駅構内にある石造りの「人吉機関車庫」が、1911 (明治 44)年の建設当時の姿に復元された。 戦後に増築された鉄骨部分が撤去され、SL 時代の雰囲気を醸す 3 連アーチ型のデザインがくっきりと現れた。

JR 九州によると、機関車庫は肥薩線全線開通の 2 年後に完成。 現在も「SL 人吉」の給水や灰の清掃作業などに使われ、国内では希少な現役の石造り機関車庫という。 2007 年度に経済産業省の「近代化産業遺産」の一つに選ばれた。 輸送力向上の一環として列車の運転頻度を高めたため、1948 年と 52 年に増築されたという。 18 日に機関車庫前でお披露目式があり、JR 九州の青柳俊彦社長が「SL が大活躍していた時代の機関車庫が出現し、人吉の魅力がさらに増す。 地震からの復興のシンボルになれば。」とあいさつした。 (知覧哲郎、asahi = 3-18-17)


名古屋駅、「迷駅」返上なるか 9 路線と地下街が混在

名古屋駅周辺の再開発が急ピッチで進んでいる。 今年は 4 月 1 日に JR 東海が国鉄民営化で誕生して 30 年を迎え、リニア中央新幹線の開業まで 10 年となる節目の年。 新たなステージに入った名古屋の姿を報告する。

「新幹線に乗りたいんだが、どっちだろう。」 愛知県岩倉市の深田恭平さん (79) が立ち止まり、辺りを見回していた。 妻 (76) と京都へ向かうため、名古屋鉄道に乗って名古屋駅まで来たが、改札を出て、そのまま駅前の地下街に迷い込んだ。 杖をついて歩くそばを、人がどんどん追い抜いていく。 「おーい、そっちは近鉄だぞ。」 先を歩く妻に声をかける。 分かれ道が次々に現れる。 外出の機会が減り、名駅かいわいに来るのは年 1 回ほど。 「たまに来るくらいじゃ全然覚えられないね。」 JR 名古屋駅の中央コンコースにたどりついた時には、名鉄を降りてから 20 分近く過ぎていた。

乗り換えの分かりにくさから「迷駅」と揶揄される名駅。 JR、名鉄、近畿日本鉄道、名古屋市営地下鉄、名古屋臨海高速鉄道(あおなみ線)の 9 路線が乗り入れ、駅前には九つの地下街が広がる。 特に難しいとされるのが、JR と名鉄・近鉄との乗り換えだ。 駅の出入り口の多くが地下街とつながり、乗り換え先を探すうちに迷ってしまう。 「地下は狭い通路が多く、立ち止まったりゆっくり歩いたりする空間がない」と話すのは法政大の福井恒明教授(景観計画)。 「子連れもお年寄りも、迷うまで歩かざるをえない。」

2007 年のリニア中央新幹線開業までに「迷駅」を返上しなければ - -。 名古屋市や鉄道会社の思いは一致する。 市は 14 年 9 月、「名駅周辺まちづくり構想」を発表。 乗り換え広場である「ターミナルスクエア」の整備を掲げた。 「乗り換え先が見渡せ、上下移動も円滑にできる広場空間」として、駅の東側に 3 カ所、西側に 2 カ所設ける構想だ。 (吉野慶祐、asahi = 3-17-17)


金沢、北陸新幹線効果で一人勝ち 開業 2 年、衰えぬ人気

北陸新幹線の長野 - 金沢間開業から 14 日で 2 周年を迎えた。 金沢の観光地の人気はいまだ勢いは衰えない。 金沢 21 世紀美術館では高い集客力ゆえの思わぬ余波も表れている。 ただ、JR 西日本によると乗客数はやや減っている。 富山では「新幹線効果」に陰りが見えている。

金沢市の観光名所の一つ、金沢 21 世紀美術館では、新幹線開業後の昨年度の来場者数は前年度より 3 割も増えて 237 万人を記録。 2004 年の開館以来最多となった。 今年度は今月 12 日の時点で 240 万人が訪れた。 経営情報誌を出版する綜合(そうごう)ユニコム(東京)の調査では昨年度、全国の主要な美術館・博物館では 1 位。 絶好調の一方、観光客増加で美術館を囲む芝生のはげ方が激しくなる想定外の事態が起きている。

同館は建築家の妹島和世さん、西沢立衛さんの建築ユニットが手がけた丸い建物で金沢のランドマークでもある。 特に、芝生のはげ具合が激しいのは兼六園方面の北東側だ。 「開館当初は緑色だった。 5、6 年前から芝生がはがれているのが目立ち始め、新幹線開業後に激しくなった。」と、同館の落合博晃広報室長。 観光客が続々と歩いて来るため芝生がはがれてしまうらしい。

来場者がシートに座って昼ご飯を食べるなど、憩いの場にもなる芝生。 その状態を見かねた市は開館以来初めて本格的な改良工事を施そうと新年度予算案に 3,900 万円を計上した。 今年 12 月から来年 3 月にかけて傷みの激しい約 1,500 平方メートルの土を入れ替え、新たな芝を植え付ける予定だ。 市文化施設課の担当者は「街に開かれた公園のような美術館が当初のコンセプト。 透明な美術館の中から見ても青々とした芝生が広がる開館当初の姿を取り戻してほしい。」と話す。 (井上秀樹、青池学、asahi = 3-14-17)