2 月の失業率 2.8% 22 年ぶり 2% 台 総務省

総務省が 31 日発表した 2 月の完全失業率(季節調整値)は前月より 0.2 ポイント低い 2.8% となり、1994 年 12 月以来、22 年 2 カ月ぶりの 2% 台を記録した。 完全失業率は、リーマン・ショックの影響で雇用情勢が悪化した 2009 年 7 月に過去最高の 5.5% を記録して以降、景気回復とともに低下傾向が続いている。 2% 台前半で推移した 1990 年前後のバブル期の水準には及ばないが、失業率の低下で労働市場の需給は引き締まり、人手不足感が強まっている。

2 月の完全失業者数は前月比 8 万人 (4.0%) 減の 190 万人。 昨年は 200 万人台で推移したが、今年は 2 カ月連続で減少している。 新たな職を見つける離職者が増える一方、勤め先の都合で失業する人が減っている。

2 月の就業者数は前月比 21 万人 (0.3% ) 減の 6,483 万人。 ただ、年平均ベースは 13 年以降、毎年数十万人規模で増えており、65 歳以上の高齢者や 45 - 54 歳の女性の就業者の増加が目立つ。 塩崎恭久厚生労働相は 31 日の閣議後会見で「完全雇用状態が確認されたが、経済成長率はまだ 2% を達成できていない。 潜在成長率をどう上げていくのか、しっかりと考えていかなければならない。」と述べた。

厚労省が同日発表した 2 月の有効求人倍率(季節調整値)は前月から横ばいの 1.43 倍。 こちらは 91 年 7 月以来の高水準だった。 5 カ月連続で全都道府県で 1 倍以上となっており、人手不足を背景に仕事を見つけやすい状況が続いているが、賃金の伸びはなお鈍い。(千葉卓朗、asahi = 3-31-17)

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1 月完全失業率、3.0% に改善 有効求人倍率は横ばい

[東京] 総務省が 3 日発表した 1 月の完全失業率(季節調整値)は 3.0% となり、昨年 12 月の 3.1% から改善した。 3.0% は昨年 10 月以来、3 カ月ぶりの低水準。 厚生労働省が発表した同月の有効求人倍率(季節調整値)は 1.43 倍と前月から横ばいだった。 完全失業率は、ロイターの事前予測調査で 3.0% が予想されており、結果はこれと同水準だった。 季節調整値でみた 1 月の就業者は前月比 5 万人増の 6,504 万人だった。 完全失業者は同 9 万人減の 198 万人。 非労働力人口は同 8 万人増の 4,404 万人となった。

この結果、完全失業率は 3.0% となり、前月から小幅改善。 特に男性は前月に比べて 0.3 ポイント低下して 3.1% となり、1995 年 9 月以来、21 年 4 カ月ぶりの低水準となった。 女性は前月から横ばいの 2.7% だった。 総務省では、雇用情勢について「引き続き改善傾向で推移している」と判断している。 有効求人倍率は、ロイターの事前予測調査で 1.44 倍が見込まれていたが、結果はこれを下回った。 新規求人倍率は 2.13 倍と前月から低下。 有効求人数は前月比 0.6% 増、有効求職者数は同 0.4% 増だった。 (Reuters = 3-3-17)

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求人倍率、1.36 倍に改善 25 年ぶりの高水準 昨年

厚生労働省が 31 日発表した 2016 年平均の有効求人倍率は、前年を 0.16 ポイント上回る 1.36 倍となり、1991 年以来 25 年ぶりの高水準になった。 総務省が同日発表した 16 年平均の完全失業率は前年より 0.3 ポイント低い 3.1% となり、94 年以来 22 年ぶりの低さだった。

年平均の有効求人倍率は 7 年連続の改善。 求職者数は前年比 5.8% 減だった一方、求人数が同 6.6% 増となり、求人倍率を押し上げた。 全国的にみても求人が増えており、昨年 6 月には 1963 年の集計開始以来初めて、全都道府県の有効求人倍率(季節調整値)が 1 倍を超えた。 その後も昨年 9 月を除き昨年 12 月まで 1 倍以上が続いている。 昨年 12 月の有効求人倍率(季節調整値)は前月比 0.02 ポイント高い 1.43 倍。 12 年 10 月以降 4 年 3 カ月にわたって前月比で横ばいか上昇が続いている。

年平均の完全失業率は 6 年連続の改善。 完全失業者は前年より 14 万人減って 208 万人、就業者は同 64 万人増えて 6,440 万人だった。 正社員は同 51 万人増の 3,364 万人、非正社員は同 36 万人増の 2,016 万人。 雇用者に占める非正社員の比率は 37.5% で、前年より 0.1 ポイント上昇した。 ただ、非正社員の増加を年齢別に見ると、65 歳以上が 32 万人増えており、高齢者の就業が大きく伸びた。 昨年 12 月の完全失業率(季節調整値)は前月から横ばいの 3.1%。 昨年 1 年間の月次の完全失業率は 3.0% - 3.3% の間を小幅に推移した。 (千葉卓朗、asahi = 1-31-17)


返済不要の給付型奨学金、6 月にも支給開始 改正法成立

返す必要のない「給付型奨学金」を新たに設ける改正日本学生支援機構法が 31 日、参院本会議で全会一致で可決、成立した。 2017 年度は下宿住まいで私大に通うなど、特に負担の重い学生ら約 2,800 人を対象に先行実施。 4 月に申請を受け付け、6 月に支給が始まる見通しだ。

18 年度から本格導入し、1 学年約 2 万人に国立大か私大か、下宿か自宅かなどによって月 2 万 - 4 万円を給付する。 所得の少ない住民税非課税世帯の大学、短大、専門学校に通う学生らが対象で、国の指針に沿って各高校が推薦する。 高卒認定試験に優秀な成績で合格した人も対象になる。 文部科学省の試算では、いまの無利子奨学金で 5 万円の「収入」がある学生が月 3 万円の給付型を受けられれば、無利子分が月 2 万円で済み、返還総額は 240 万円から 96 万円に減る。 (asahi = 3-31-17)

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給付型奨学金、月 2 - 4 万円 私大・国公立などで差

返す必要がない給付型奨学金の政府案の全容が明らかになった。 所得が少ない住民税の非課税世帯のうち、1 学年あたり 2 万人を対象に、国公立大か私大かなどの違いで月 2 万、3 万、4 万円の 3 段階で給付する。 児童養護施設を出たばかりの人には別に入学金名目で支給し、額は一律 24 万円前後で調整。 高校の推薦で選び、「2 浪」まで受給資格を保持できる。

2018 年度から本格的に始めるが、17 年度から、下宿住まいで私大に通う人に月 4 万円を支給するなど、特に負担の重い人に絞って先行実施する。 予算規模は最終的に 200 億円強になる見通しで、毎年財源を積み立てて「貯金」し、年度をまたいで使える仕組みにする方針。 17 年度は、文部科学省内の予算を組み替えたり、厚生労働省の同種の制度を縮小したりして数十億円を確保する。 うち十数億円を先行実施分に充てる。

18 年度以降は、給付額は「国公立大・下宿」、「私大・自宅」が月 3 万円。 それより負担が軽い「国公立大・自宅」は月 2 万円、最も負担が重い「私大・下宿」は月 4 万円とする。 導入時は大学、専門学校などの進学先や文系・理系の違いで給付額に差をつけないが、国立大の授業料減免制度を使う場合は、その分給付額を減らす。 大学に学業の状況を毎年度確認してもらい、著しく悪い場合は返すよう求める。 (水沢健一、大津智義、asahi = 12-17-16)


関電、約 1 万 3 千人の残業代未払い 2 年で約 17 億円

関西電力は 30 日、パートなどを含む全社員の約 6 割にあたる 1 万 2,900 人について、残業など時間外労働の賃金の一部を支払っていなかったと発表した。 2015 - 16 年の 2 年間で、16 億 9,900 万円にのぼる。 同日、大阪労働局天満労働基準監督署などに報告する。

関電は 16 年 4 月、高浜原発 1、2 号機(福井県高浜町)の運転延長の手続きを担当していた社員が自殺し、その後労災と認定された。 昨年 12 月には、本店(大阪市北区)の社員 6 人について勤務時間外の割増賃金の未払いを指摘され、支給するよう天満労基署から是正勧告を受けた。 勧告を受けて、関電は全社員の勤務時間を調査していた。 関電は未払い分を追加で支払う方針。 (asahi = 3-30-17)


こども園の給食「量も栄養も不足」 初の認定取り消しへ

兵庫県姫路市の私立認定こども園「わんずまざー保育園(小幡育子園長)」で、定員の約 1.5 倍の園児を受け入れていたことがわかった。 県と市は特別監査で保育士数の水増し報告や給食の不備も確認しており、月内にもこども園の認定を取り消す方針。 市によると、こども園の認定取り消しは 2015 年に子ども・子育て支援新制度の導入以降で全国初という。

わんずまざー保育園は 03 年 11 月に認可外保育施設として設立され、15 年春に県からこども園の認定を受けた。 姫路市によると、園の定員は 46 人だが、0 - 5 歳児約 70 人を受け入れていた。 実際は 10 人の保育士数は、13 人に水増しして報告。 園児の給食についても、約 40 人分しか外注していなかったという。 市こども保育課の担当者は「給食は量も栄養も不足し、十分な食事がとれていない」と指摘している。(高橋孝二、asahi = 3-19-17)


パナソニック、違法な残業容疑で書類送検 1人は過労死

富山県砺波(となみ)市のパナソニックの工場で社員 3 人に違法な時間外労働をさせたとして、砺波労働基準監督署は 15 日、同社と労務管理担当の 2 人を労働基準法違反の疑いで富山地検高岡支部に書類送検し、発表した。 同署などによると、同工場の 40 代の男性社員が昨年 6 月に死亡したことを受けて調べ、この社員を含む 3 人に違法な残業をさせた疑いがあることがわかったという。 3 人は 2015 年 12 月から昨年 6 月までに、それぞれ最大月 97 - 138 時間残業していたという。

同社は労使協定を超える長時間労働があったことを認め、「誠に申し訳なく、謹んでおわび申し上げる。 事態を厳粛に受け止め、このような事態を二度と繰り返さないよう全社を挙げて再発防止に取り組む。」とコメントした。 同社によると、死亡した社員について、遺族の申請を受けた同署が今年 2 月、長時間労働による過労死だったと労災認定したという。 (asahi = 3-15-17)


ルミネ 12 店、閉店早めます 人手不足で現場から要望

ファッションビルのルミネは 8 日、全体の 8 割近くの店舗で 4 月から閉店時間を原則 30 分前倒しすると明らかにした。 テナントの従業員の労働環境を改善し、人手不足のなかでも従業員をつなぎとめることを狙う。 対象は全 16 店中、JR 新宿駅前のルミネ新宿やニュウマン、ルミネ有楽町など 12 店。 ルミネ新宿では閉店時間を午後 10 時から午後 9 時半に早める。 客数の落ち込みを防ぐため、土日祝日は開店時間を午前 10 時半に 30 分前倒しする。

人手不足のため、一部のテナントから営業時間の短縮を求める要望が出ていたという。 「労働需給の逼迫で新規の採用が難しくなるなか、従業員のやる気を保つには労働環境の改善が必要と判断した(広報)」という。 ルミネは 20 - 30 代の働く女性が主な客層。 平日は、夕方以降で最も客が多い午後 6 - 7 時に開店していれば、業績に影響はないとみている。 2015 年 2 月から、一部店舗を除いて毎年 2 月と 8 月に 1 日ずつ休館日を設けているが、営業時間の短縮をさらに進める。 (栗林史子、asahi = 3-8-17)


全社員にテレワーク = 社外で仕事、4 月から - 富士通

富士通は 28 日、自宅や外出先など会社以外で仕事をする「テレワーク」制度を 4 月に導入すると発表した。 全社員約 3 万 5,000 人が対象。 職場に縛られない柔軟な働き方を促し、仕事と育児や介護の両立が可能となる環境を整えるのが狙い。 多様な人材の確保につなげる。 テレワークを選ぶ社員は、事前に上司へ申請する。 勤務時間は平日の日中 8 時間以内。 上司が認めれば毎日できるが、休日や深夜のテレワークは原則禁止だ。 (jiji = 2-28-17)


"雇用期間 5 年を前に雇い止め" 連合が電話相談

同じ会社で 5 年を超えて働いた非正規労働者を、契約期限のない無期雇用に切り替えることを企業に義務づけた改正労働契約法をめぐって、雇用期間が 5 年になる前に雇い止めされるケースが増えているとして、労働組合の連合が電話相談を行っています。 4 年前に施行された改正労働契約法では、雇用の安定をはかるためとして、パート社員や契約社員などが同じ会社で通算して 5 年を超えて働いた場合、本人が申し込めば無期雇用に切り替えることを企業に義務づけています。

しかし、連合によりますと、雇用期間が 5 年になる前に雇い止めされたという相談が増えているということで、9 日から全国一斉の電話相談を始めました。 このうち東京・港区にある連合東京には、契約社員の女性から「勤務して来月で 5 年を迎えるが、今年度で契約期間が終わりと一方的に告げられた」という相談が寄せられ、相談員は「無期雇用になる前の雇い止めであり、団体交渉の権利がある」と説明し、連合の事務所を訪れるようアドバイスしていました。

連合の非正規労働センターの石田輝正局長は「来年 4 月から無期雇用への申し込みが始まるが、非正規労働者の多くが制度を知らないし、企業も準備を進めていない。ぜひ相談を寄せてほしい」と話していました。 電話相談は 11 日まで行われ、午前 10 時から午後 7 時まで受け付けています。 電話番号は、0120・154・052 です。 (NHK = 2-9-17)


大卒内定率 85%、調査開始後最高 好景気で積極採用

今春卒業する大学生の就職内定率は、2016 年 12 月 1 日現在で 85.0% だった。 文部科学省と厚生労働省が 20 日、発表した。 前年同期を 4.6 ポイント上回った。 改善は 6 年連続。 調査を始めた 1996 年度以降で最高だった 97 年度 (84.8%) を上回る過去最高の水準で、文科省の担当者は「好景気で採用に積極的な企業が増え、前年以上に『売り手市場』になった」とみている。

16 年度の就職活動は、選考開始時期が前年度より 2 カ月前倒しされて 6 月になった。 内定解禁(10 月)までの期間が延びたことで、内定率の上昇につながった可能性もあるという。 調査は国公立 24 大学、私立 38 大学の計 4,770 人を抽出して昨年 12 月 1 日時点の状況を聞いた。 今春卒業する高校生の就職内定率(16 年 11 月末現在)は、前年同期比 1.2 ポイント増の 87.0% で、93 年卒 (88.8%) 以来、24 年ぶりの高水準だった。 改善は 7 年連続。 今春卒業で就職を希望する高校生 1 人あたりに何件の求人があるかを示す求人倍率は、同 0.2 ポイント増の 2.13 倍。 全都道府県で 1 倍を超えた。(片山健志、大内奏、asahi = 1-20-17)

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大卒内定率、71.2% 10 月時点、19 年ぶり 7 割超

来春卒業する大学生の 10 月 1 日現在の就職内定率が、前年同期を 4.7 ポイント上回り、71.2% だったことがわかった。 この時期の内定率が 70% を上回るのは、1997 年以来 19 年ぶりという。 採用に積極的な企業が増え、昨年以上に「売り手市場」になっていることが要因とみられる。 調査した文部科学、厚生労働両省によると、昨年の同時期の内定率は 66.5%。 就職活動の選考開始が 4 月から 8 月に繰り下がり、内定解禁(10 月)までの期間が短くなった影響が指摘されていた。 今年は企業の選考開始が2 カ月前倒しされて 6 月となり、内定解禁までの期間が延びたことで内定率上昇につながった可能性もある。

内定率の内訳は、国公立大 67.6% (前年同期比 1.0 ポイント減)、私立大 72.4% (同 6.6 ポイント増)。 男女別では、男性 69.3% (同 3.5 ポイント増)、女性 73.6% (同 6.4 ポイント増)。 また、厚労省によると、来春卒業する高校生の 9 月末現在の就職内定率は前年同期を 4.3 ポイント上回る 60.4% で、24 年ぶりに 6 割を上回った。 (asahi = 11-18-16)


子どもの貧困、ひとり親・非正規が強く関連 大阪府調査

大阪府は18日、府内の子どもの貧困について把握するために昨年 7 月に実施した「子どもの生活に関する実態調査」の詳細な分析結果を発表した。 困窮度はひとり親家庭や非正規雇用の家庭との関連性が高かった。 さらに困窮度が高い子どもほど勉強時間が少なくなる傾向にあり、将来の進路にも影響がある可能性が明らかになった。

調査は、堺市、岸和田市、高槻市、東大阪市など府内 30 市町村で小学 5 年と中学 2 年の子どもがいる 8 千世帯に郵送し、約 2,600 世帯から回答を得た。 昨年 10 月に調査結果の単純集計(速報値)を発表。 今回は子どもと保護者双方から回答があった 2,301 世帯を詳しく分析した。 府は世帯所得などをもとに困窮度を四つに分類。 困窮度が最も高い「困窮度 I」の 286 世帯のうち、ふたり親は半数以下の 138 世帯で、母子家庭が 128 世帯を占めた。 最も困窮度が低い「中央値以上」の保護者は 85.1% が正規雇用だったが、「困窮度 I」は正規雇用が 35.7% にとどまった。 (矢吹孝文、asahi = 1-19-17)


労働生産性改善の停滞、パート増加や新事業投資見劣りで = ミニ白書

[東京] 内閣府は今年度の「ミニ白書」を公表し、「好循環の拡大に向けた展望」という副題のもと、日本経済が第 4 次産業革命の動きをいち早く取り込むための課題について分析した。 生産年齢人口の減少の影響が女性や高齢者の労働参加により緩和されているものの、短時間労働者の増加が労働生産性の伸びを低下させているとして、労働供給制約への対応の必要性を論じている。

生産性の伸び低下についての分析によると、日本の労働生産性は米国やドイツのそれよりも低く、近年その差も拡大傾向にある。 その要因として、情報通信技術資本の労働者一人当たりの装備率が米独の 3 分の 1 程度、それら生産要素をどれだけ効率よく活かしているかを示す全要素生産性 (TFP) は米国の半分弱、独の 4 分の 1 程度となっていることがある。

さらに、第 4 次産業革命では既存事業の延長線上にない財・サービスに対する需要増加の可能性があるが、R & D (研究開発)投資について日本企業では「新事業の創出」に回す割合が 3 割にとどまる一方で、米国は 5 割となっている。 一方、「既存事業強化」に回す日本企業は 7 割に上るが、米国では 5 割以下となっている。

ICT (情報通信技術)への適用を進めるためには、経営陣と中間管理職の間での権限見直しなど企業の組織構造をより分権的なものとする取り組みや、研究人材の流動化および「データサイエンティスト」の育成などイノベーションを支える人材育成、副業・転職などを認める多様で柔軟な働き方の実現が重要だとしている。 (中川泉、Reuters = 1-17-17)


「勤め先はブラック」 25% 増加傾向

連合のシンクタンク「連合総研」が、首都圏と関西圏に住み民間企業に勤める 20 - 64 歳の 2 千人に、自分の勤務先がブラック企業と思うかと尋ねると「そう思う」、「どちらかというと、そう思う」と答えた人が合わせて 24.6% に上った。 2013 年の調査から 7 ポイント上昇し、担当者は「ブラック企業という言葉が認知されるようになり、見えなかった部分が顕在化しているのではないか」と分析している。 今回の調査では、ブラック企業を「違法、または悪質な労働条件で働かせ、長時間労働や残業代未払い、パワハラがあり、極端に離職率が高い企業」と定義した。 (西日本新聞 = 1-6-17)


三越伊勢丹、三が日休業検討 18 年から、従業員に配慮

三越伊勢丹ホールディングス (HD) は 2018 年から、主要店舗で正月三が日は休業し、4 日からの営業とすることを検討する。 現在は元日に休み、一部の店は 2 日から、多くの店は 3 日から営業している。 正月の休日を増やし、従業員の働く環境に配慮する狙いがある。 大西洋社長が朝日新聞のインタビューで明らかにした。 大西氏は「三が日に休めれば、地方出身の従業員は正月に帰省することができる」と語った。 年内に労使交渉に入る方針だ。

百貨店業界では、元日に休んで、2 日から「初売り」を始めることが多い。 一方、三越伊勢丹は 16 年の正月から、首都圏では、日本橋三越など一部の店は 2 日から営業するが多くの店は 3 日からの営業に変えた。 新方針が実現すれば、休日がさらに増える。 大西氏は「最高の状態で働いていれば、最高のおもてなしができる」として、休日増加が従業員の意欲を高め、サービス向上につながるとの考えを示した。 (栗林史子、和気真也、asahi = 1-3-17)


同一賃金、実効性の壁 政府指針に法的拘束力なし

政府は 20 日、安倍晋三首相が働き方改革の目玉と位置づける「同一労働同一賃金」のガイドライン(指針)案をまとめた。同じ内容の仕事をしていれば、正社員であろうと非正規社員であろうと待遇が同じになるようにするのが狙いだ。 しかし、どこまで実効性があるかはおぼつかない。 改革は緒に就いたばかりだ。

なぜいま働き方改革

政府が同一労働同一賃金の実現をめざす背景には、正社員に比べて少ない非正規社員の給料を増やして個人消費の拡大につなげる狙いがある。 停滞感が漂うアベノミクスを再び浮揚させる起爆剤にしたい考えだ。 日本ではパートタイム労働者の時間あたり賃金がフルタイム労働者の 6 割弱にとどまる。 同一労働同一賃金の仕組みが定着するドイツの 8 割やフランスの 9 割と比べて見劣りするのが実態だ。 賞与も加味すると賃金差はさらに広がり、特に企業規模が大きくなるほど格差は深刻だ。 政府は同一労働同一賃金の実現をテコにして、欧州並みまで格差を縮める未来図を描く。

少子高齢化がすすむ日本では働き手が足りなくなっている。 政府は雇用者全体の 4 割を占めるパート労働者や契約社員、派遣社員といった非正規職員の待遇が良くなれば、今まで働いていなかった女性や高齢者が仕事につきやすくなり、働き手が増えると期待している。 もっとも、企業と働き手の生産性が高まらなければ、企業の稼ぎは増えず、非正規職員の給料を上げるための原資は得られない。 同一労働同一賃金とともに、時間でなく成果で賃金を払う脱時間給の導入などを一体で実現する必要があるが、関連法案は国会で棚ざらしになったままだ。

実現へ道筋どう動く

同一労働同一賃金は非正規労働者の処遇改善にどの程度の効果があるのか。 賃金の多くを占める基本給の格差を縮める効果は、今のところ限定的になるとの見方が多い。 指針は基本給を「職業経験や能力」、「業績・成果」、「勤続年数」の 3 つの要素に分類した。 例えば入社以降の経験や能力が同じであれば、非正規の職員という理由だけで待遇を正社員より低くしないように求めている。 ただ、指針は経験や能力などが同じかどうかの基準を示しておらず、企業が自ら判断することになる。 対応はばらつきが予想され、いまの仕組みを変更しない判断をする企業も多いとみられる。

一定の効果が見込めそうなのは賞与だ。 業績への貢献度合いに応じた支給を求めており、経済界では「少なくてもいいから賞与は払ってくれというメッセージ」と受け止める声が出ている。 非正規労働者を対象とする賞与の制度を持つ会社は全体の 4 割弱にとどまる。 「全く払っていなかった企業が支給するようになれば、それは大きな成果(厚生労働省幹部)」という見方が政府内でも多い。

ただ、非正規の給料を増やすために正社員の賃金を削るようなことになれば、かえって正社員の働く意欲が低下して改革の趣旨に逆行する。 非正規の賃上げは、企業の稼ぐ力を高めるための構造改革が前提となる。 指針は現時点で法的な拘束力を持たず、企業の自主的な取り組みを促すにとどまる。 今後の法改正でどのくらい実効性を確保できるかが大きな焦点となる。

企業の対応なお手探り

「同じ仕事なら採用形態の違いで賃金や処遇が異なるのを直していく。」 NTT 東日本の山村雅之社長はこう語り、政府の取り組みを評価する。 非正規社員のモチベーション引き上げは産業界全体の重要な経営課題だ。 イトーヨーカ堂は週 20 時間以上勤務といった一定基準を満たすパート従業員には、正社員と同じ年 2 回の賞与をすでに支給している。 通勤手当や教育訓練、厚生施設の利用なども、正規、非正規で格差はない。 ただ企業にとっては、同一労働同一賃金の導入によって「人件費負担が増す(三菱 UFJ リサーチ & コンサルティングの土志田るり子研究員)」懸念がある。 慎重姿勢を崩さない企業は多い。

検討企業が増えるとみられる賞与についても、ある大手外食チェーン幹部は「生産性向上などで原資を増やさなければ、賞与を出す一方で基本給を削るようなことになりかねない」と指摘する。 日本経済新聞社が 12 月にまとめた「社長 100 人アンケート」で働き方改革で取り組んでいる施策を聞いたところ、同一労働同一賃金は 8.3% にとどまった。 政府の指針が明確に固まっていなかった時期での調査ではあるが、「長時間労働是正」や「育児介護支援」と答えた経営者が 9 割を超えたのとは対照的だ。

最近では非正規社員が正社員との賃金格差是正を求めて、勤め先を訴えるケースが相次いでいる。 通勤手当や食事手当などについて、正社員と同一の支給を命じる判決も出ている。 今回の政府の指針に法的な拘束力はない。 ただ今後、指針を手掛かりにこうした訴訟が増えれば、労働のルールに関する判例が蓄積されて大きな流れが生まれ、格差是正に対する圧力は強まる。 企業は賃金制度改定などの対応に迫られることになりそうだ。 (nikkei = 12-21-16)

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「非正社員にも賞与を」政府指針案 同一労働同一賃金

正社員と非正社員の待遇格差を是正するための「同一労働同一賃金」の実現に向け、政府がまとめるガイドライン(指針)案の内容が分かった。 同じ企業内で基本給や賞与、各種手当などに正規・非正規で待遇差をつけるのが不合理か否かを具体的に例示しており、正社員に賞与を支給して非正社員に払わないのは「悪い例」と明記。 各種手当については同じように支払うのが原則としている。

指針案は、約 20 種類の待遇を列挙し、差をつけることが「問題とならない例」と「悪い例」を示す形式。 20 日に開く予定の働き方改革実現会議で報告する。 非正社員のうち有期契約社員とパート社員について、基本給、賞与・各種手当、福利厚生、教育訓練・安全管理の 4 項目に分けて待遇差が不合理かどうかの基準を示している。 (千葉卓朗、編集委員・沢路毅彦、asahi = 12-16-16)


70 歳以上の外来医療費負担増 年額上限 14 万 4 千円に

70 歳以上が支払う医療費の自己負担上限について、政府は年収約 370 万円未満で住民税を払っている人の負担増の一部を緩和する方針を決めた。 厚生労働省案では外来医療費の月額上限を来年 8 月から 2 万 4,600 円に倍増する方針だったが、年額の上限を 14 万 4 千円に設定。 医療費を多く使う人の負担を和らげる。 緩和するのは、70 歳以上が個人で使った外来医療費の月額上限を下げる「外来特例」。 年額に上限を設けることで長期間の治療が必要な人の負担を抑えたうえで、現行で 1 万 2 千円の月額上限の引き上げ幅を圧縮。 来年 8 月から 1 万 4 千円、再来年 8 月から 1 万 8 千円に段階値上げするなどの案で与党と調整する。

対象は年収約 370 万円未満で住民税を払っている所得層(東京 23 区で単身の場合、年金収入だけなら年 155 万円以上)で約 1,243 万人。 特に公明党が強く反発したため、引き上げ幅を見直すことになった。 75 歳以上が支払う公的医療保険の保険料も一部で負担増を段階的に導入する。 対象は年金収入だけなら年 153 万 - 211 万円の約 160 万人。 保険料の所得比例分を半額にしている特例を来年度に廃止する方針を見直し、2018 年度まで 2 年かけて廃止する。 (asahi = 12-15-16)

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70 歳以上医療費、自己負担増へ 年収 370 万円未満も

厚生労働省は 70 歳以上が支払う医療費の自己負担上限(月額)について、住民税を払っているすべての人を対象に引き上げる方針を固めた。 すでに引き上げ方針を決めている現役世代並みの所得がある人に加え、年収約 370 万円未満の約 1,200 万人も対象になる。 来年 8 月から順次、見直していく。 30 日に開く社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の部会で提案し、与党と調整した上で年内に決める。

医療費は「高額療養費制度」により収入に応じて毎月の自己負担額の上限が定められている。 上限を超えた分は公的な医療保険などが負担する仕組みで、医療費の負担が重くなりがちな 70 歳以上は 70 歳未満より上限が低く設定されている。

今回の見直しは、膨れあがる社会保障費を抑えるため、一定の収入がある高齢者に負担増を求める狙いがある。 厚労省は年収約 370 万円以上の現役世代並みの所得層のほか、年収約 370 万円未満で住民税を払っている所得層(東京 23 区で単身なら年金収入が年 155 万円以上)も引き上げ対象に追加する。 この所得層は約 1,243 万人と対象者が多く、財政の削減効果が大きいためだ。 (生田大介、asahi = 11-29-16)


介護保険で広がる「応能負担」 膨らみ続ける介護費

介護保険制度の見直し案について、社会保障審議会(厚生労働相の諮問機関)の部会は 9 日、意見書をまとめ、大筋で容認した。 比較的収入が多い人は、高齢者も現役世代も負担増となる。 膨らみ続ける介護費を抑えるため、支払い能力のある人に新たな負担を求めることが柱だ。 来年度以降に順次実施される。

現役と高齢者、痛み分け

「負担能力に応じた負担となるように見直しを行う。」 部会の意見書には、こんな大原則が記された。 介護保険制度が始まって 16 年たち、年間費用は初年度の 3 倍の約 10 兆円超になった。 制度の維持に負担増は避けられない。 今回のターゲットは、まず 40 - 64 歳の現役世代だ。 大企業の会社員を中心に約 1,300 万人の保険料が上がる。 ただ、サービス利用は高齢者が中心で、部会では「受益を伴わない負担増だ」との反発も。 保険料を支払う側は「サービス利用者に応分の負担を求める方が先ではないか」と主張した。

そこで、現役並みの所得がある高齢者は利用料の自己負担割合が 3 割に増やされる。 対象は利用者の数 % で、財政効果は年間 20 億円程度と大きくないが、政府には別のメリットがある。 中小企業の会社員らの保険料が下がることで、保険料負担を緩和するため政府が出していた補助金約 1,500 億円をカットすることができるというわけだ。 (水戸部六美、asahi = 12-11-16)


配偶者控除の年収制限、1,220 万円まで緩和措置 政府・与党が調整

所得税改革

記事コピー (asahi = 10-1-16 〜 11-25-16)


大手の冬ボーナス、平均 92 万 7,892 円 伸び率は鈍化

経団連は 4 日、大手企業の冬のボーナス調査(第 1 回集計)を発表した。 妥結額は平均 92 万 7,892 円で前年冬より 0.84% 伸びた。 第 1 回集計としては 2 年連続で過去最高。 ただ、4 年続いた伸び率は鈍化傾向にある。

原則として東証 1 部上場で従業員 500 人以上の企業が対象で、今回は 11 業種 71 社(労組員数約 48 万人)が答えた。 食品や自動車、紙・パルプなど 6 業種で前年を上回ったが、百貨店などの商業や造船など 5 業種は前年を割った。 最も妥結額が多かったのは自動車の 99 万 266 円で、伸び率は 1.01% だった。 妥結額が 4 年連続で前年を上回るのは 2004 - 07 年以来。 経団連は「製造業中心に業績との連動を強める企業が多く、好調だった昨年の業績を反映した」とみている。 (asahi = 11-4-16)


ドン・キホーテ、違法な長時間残業で罰金命令 東京簡裁

従業員に違法な長時間残業をさせたとして、ディスカウント店を運営する「ドン・キホーテ(東京都目黒区)」が労働基準法違反(長時間労働)の罪で東京簡裁から罰金 50 万円の略式命令を受けた。 10 月 26 日付。 同社は今後、納付するという。

同社をめぐっては、都内の「ドン・キホーテ町屋店」など 5 店舗で、従業員数人に労使で定めた残業の限度(3 カ月 120 時間)を超える最長 415 時間の残業をさせたとして、東京労働局が今年 1 月に同社と執行役員ら 8 人を書類送検していた。 親会社のドンキホーテホールディングスは「司法の判断を重く受け止め、真摯に反省し、全社を挙げて関係法令の順守を徹底する」とコメントした。 (asahi = 11-4-16)

前 報 (1-28-16)


年金法案、衆院で可決 無年金対策は来年 9 月から実施へ

公的年金の受給に必要な加入期間を現行の 25 年から 10 年に短くする無年金対策を盛り込んだ法案が 1 日午後の衆院本会議で、全会一致で可決された。 参院での審議を経て今国会で成立する見通しで、無年金対策は来年 9 月から実施される。

対象は、保険料を支払った期間と免除された期間などが通算で 10 年以上になる人で、現在は年金をもらっていない 65 歳以上の約 40 万人と、60 代前半の約 24 万人。 来年の 9 月分(支給は 10 月)から受け取れる。 国民年金は保険料を 40 年間支払うと満額の月約 6 万 5 千円で、支払期間が 10 年なら月約 1 万 6 千円になる。 また、この日の衆院本会議では、賃金の下落に合わせて年金の支給額を下げる年金制度改革法案も審議が始まる。 将来の年金水準を保つために必要だとする政府・与党に対し、民進党は「年金カット法案だ」と反発している。 (asahi = 11-1-16)


「65 歳以上の希望者、全員働ける」企業の 74% に拡大

希望者全員が 65 歳以上になっても働ける企業が、全体の 4 分の 3 に広がり、70 歳以上でも働ける企業の割合も 21.2% にのぼることが分かった。 厚生労働省が 28 日、「高年齢者の雇用状況」として発表した。 人手不足が続くなか、企業は定年の廃止や延長などを進めている。 従業員 31 人以上の企業の 6 月 1 日時点の状況を集計した。 対象の約 96% にあたる約 15 万 3 千社が答えた。

希望者全員が 65 歳以上になっても働ける企業は、前年比 1.6 ポイント増の 74.1%。 定年を 65 歳以上にしている企業は 16.0% (前年比 0.5 ポイント増)、定年制を廃止した企業は 2.7% (同 0.1 ポイント増)だった。 働きたいと望む 66 歳以上の全員を継続雇用する制度を導入している企業は 4.9% (同 0.4 ポイント増)。 定年を 66 歳以上にした企業は前年と同じ 1.1% だった。 70 歳以上まで働ける企業は 21.2% (同 1.1 ポイント増)に達した。

高年齢者雇用安定法は、65 歳までの雇用確保措置として、定年制の廃止や定年の延長、継続雇用制度の導入のいずれかを企業に義務付けている。 みずほ総合研究所の堀江奈保子上席主任研究員は「65 歳までの雇用確保は整ってきており、次のステップに進む必要がある。 国は助成金や職業訓練などで企業の動きを加速させるべきだ」と話す。 政府は、先月発足した「働き方改革実現会議(議長・安倍晋三首相)」で高齢者の就業促進を主要テーマの一つに掲げ、定年を引き上げる企業の支援策などを検討する方針だ。 (河合達郎、asahi = 10-28-16)


有効求人倍率、9 月は 25 年ぶり高水準 失業率も 3.0% に改善

[東京] 総務省が 28 日発表した 9 月の完全失業率(季節調整値)は 3.0% となり、前月から小幅改善した。 厚生労働省が発表した同月の有効求人倍率(季節調整値)も 1.38 倍と前月から小幅上昇し、約 25 年ぶりの高水準となった。 雇用情勢は改善傾向が続いている。 完全失業率は、ロイターの事前予測調査で 3.1% と予想されていた。

季節調整値でみた 9 月の就業者は前月比 15 万人減の 6,449 万人。 完全失業者は同 8 万人減の 200 万人となった。 非労働力人口は同 18 万人増の 4,417 万人となった。 この結果、完全失業率は前月から 0.1% ポイント低下し 3.0% となった。 完全失業率が 3.0% となるのは 2 カ月ぶりで、約 21 年ぶりの低い水準で推移している。 原数値でみた就業者数や就業率、雇用者数なども改善基調が続いており、総務省では「雇用情勢は引き続き改善傾向で推移している」と判断している。

有効求人倍率は、ロイターの事前予測調査で 1.37 倍が見込まれていたが、結果はこれを上回った。 1.38 倍は1991年8月の1.40倍以来、25年1カ月ぶりの高水準となる。 新規求人倍率は 2.09 倍と前月から上昇。 有効求人数は前月比 0.4% 増、有効求職者数は同 0.6% 減だった。 (伊藤純夫、Reuters = 10-28-16)

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6 月求人倍率、24 年 10 カ月ぶり高水準 沖縄も 1 倍超

厚生労働省が 29 日発表した 6 月の有効求人倍率(季節調整値)が全都道府県で初めて 1 倍を上回った。 前月より 0.01 ポイント高い 1.37 倍で、1991 年 8 月以来、24 年 10 カ月ぶりの高水準となった。 全国最低で唯一 1 倍未満が続いていた沖縄県が 1.01 倍となり、63 年の集計開始以来初めて全都道府県で 1 倍を超えた。 有効求人倍率は、企業などの求人が求職者数の何倍あるかを示す。 求人が前月より 0.4% 増え、求職者は同 0.4% 減り、倍率の上昇につながった。 すでに就業した人が増えたほか人口減で求職者が減る一方、建設や福祉関連では人手不足が続いている。

初めて 1 倍を超えた沖縄では、訪日観光客の増加で宿泊や飲食業の求人が増えた。 都道府県別の最高は東京の 2.05 倍。 今回全都道府県で 1 倍を超えたのは、求人をする企業などの所在地別の倍率。 実際に働く場所でみた就業地別の倍率は、4 月に全都道府県で 1 倍を超えた。 6 月の完全失業率(季節調整値)は前月より 0.1 ポイント低い 3.1% だった。 3 カ月ぶりに改善し、95 年 7 月以来、20 年 11 カ月ぶりの低水準だった。 (末崎毅、asahi = 7-29-16)


日本の男女格差、111 位に悪化 G7 で最下位

ダボス会議で知られる世界経済フォーラム (WEF) は 26 日付で、各国の男女格差(ジェンダーギャップ)を比較した今年の報告書を発表した。 日本は世界 144 カ国中 111 位となり、主要 7 カ国 (G7) で最下位。 前年の 145 カ国中 101 位から大きく順位を下げた。 「経済活動への参加と機会」、「政治への参加」、「教育」、「健康と生存率」の 4 分野の計 14 の項目で、男女平等の度合いを指数化して順位を決める。

日本は教育や健康の分野では比較的格差が小さいが、経済と政治の両分野は厳しい評価を受けた。 国会議員における女性比率で 122 位、官民の高位職における女性の比率で 113 位、女性の専門的・技術的労働者の比率で 101 位とされた。 過去 50 年で女性の首相が出ていないことも、低評価の一因だった。 安倍政権は 2014 年から「すべての女性が輝く社会づくり」を掲げるが、報告書は日本について「教育参加などで改善が見られたものの、専門的・技術的労働者の男女比率が著しく拡大している」と指摘した。

1 位アイスランド、2 位フィンランド、3 位ノルウェーと北欧諸国が上位を占めた。 近隣国では中国が 99 位、韓国が 116 位だった。 G7 ではドイツ 13 位、フランス 17 位、英国 20 位、カナダ 35 位、米国 45 位、イタリア 50 位だった。 (ニューヨーク = 松尾一郎、asahi = 10-26-16)


働き方変わる? 都庁「残業ゼロ・午後 8 時退庁」へ挑む

東京都の職員は午後 8 時に残業をやめ、退庁する。 小池百合子都知事がそんな原則を打ち出した。 働き方は変わるのか。 9 月末のある日、午後 8 時。 都庁 13 階の人事部をのぞくと、多くの職員が残っていた。 「知事の方針は衝撃でした」と内田知子・職員支援課長。 知事の「残業ゼロ」の公約を知り、「週 1 回、午後 10 時帰宅を目指そうか」と職員同士で話していた。 「それすら挑戦的だと思っていた」という。

知事は 9 月 14 日の庁内放送で、仕事の仕方を見直す「一種のショック療法」として、午後 8 時での完全退庁を求めた。 「ライフが先に来た『ライフ・ワーク・バランス』の実現のために、都庁が先頭に立って長時間労働を是正する必要がある。 この際、改めて仕事の仕方そのものを考え直していただきたい。」と語り、部署ごとに超過勤務削減率を競う「残業削減マラソン」を始めるとした。 スタートは 10 月 14 日だ。

都庁職員約 4 万 6 千人の残業は、1 人あたり月平均 9.6 時間(管理職除く)。 本庁職員は月 23.5 時間で、多い人は年間千時間を超える。 職員支援課でも、深夜の退庁は珍しくないという。 「前任者が作った資料は必ず作り、さらに追加する感じ。 万全を期したいという思いからとはいえ、自分たちで仕事を増やしているところがあるかも。 残業を減らす努力はしてきたつもりだけど、抜本的な見直しが必要です。」と内田課長。 1 時間あたりの残業代は、条件によって違うが、20 代で 2 千円程度だという。 最低ラインでも、月 9 億円近くになる計算だ。 (仲村和代、asahi = 10-14-16)