米ボーイング、「737MAX」生産再開 5 カ月ぶり

【ニューヨーク = 中山修志】 米ボーイングは 27 日、2 度の墜落事故で運航が停止している小型機「737MAX」の生産を再開したと発表した。 2020 年 1 月に生産を中止して以降、およそ 5 カ月ぶりの再開となる。 同社は数カ月以内に米航空当局から同機の運航が認められるとみており、生産体制を整えて出荷再開に備える。

27 日から、西部ワシントン州の組み立て工場で低稼働率で生産を再開した。 年後半にかけて段階的に生産ペースを引き上げるという。 737MAX は 19 年 3 月のエチオピアでの 2 度目の墜落事故により世界中で運航が停止し、出荷も止まった。 ボーイングは事故後もペースを抑えて生産を続けてきたが、運航停止が長引いたために完成機在庫が膨らみ、今年 1 月に生産を中止した。

米連邦航空局 (FAA) は同機の運航再開の見通しを示していないが、ボーイングは 9 月までに再開が認められるとみている。 商用機の 7 割を占めていた同機の生産停止で部品メーカーも業績が悪化しており、運航許可を待たずに生産を再開してサプライチェーン(供給網)への影響を抑えたい考えだ。 (nikkei = 5-28-20)


ボーイングが一時解雇検討 取締役の前国連大使は辞任

米航空機大手ボーイングが人員削減や生産停止を検討していることが明らかになった。 主力機の墜落事故による運航停止に新型コロナウイルスの感染拡大が重なり、経営が急速に悪化。 資金繰り懸念が強まって米政府に計 600 億ドル(約 6.6 兆円)の金融支援を求めていた。 米紙ウォールストリート・ジャーナル (WSJ) が 19 日報じた。 ボーイングは連続墜落事故を起こした主力小型機「737MAX」の運航停止が長引き、収支が悪化。 さらにウイルス問題で旅客需要が激減し、米デルタ航空が機材の半分以上を留め置くと決めるなど、今後の航空機販売は大きく落ち込む見込みだ。

1 月に MAX が生産停止に追い込まれた後、ボーイングは従業員の配置転換などでしのいできた。 WSJ によると今回はさらに、従業員の一時解雇(レイオフ)や株主配当の減額を検討中だという。 ウイルス感染が広がる間は、生産をやめる準備にも入った。 公的資金や銀行融資への政府保証を求めるボーイングに対し、トランプ米大統領は「助ける」と明言している。 しかし、航空関連業界はこれまで稼いだ利益を自社株買いで株主に還元し、株価を引き上げてきた。 それを危機時には納税者の負担で救う施策には米議会内に慎重論がある。 一方で多くの従業員がいることから雇用維持を条件に救済を求める声もあり、支援の枠組みをめぐる議論が本格化しそうだ。

一方、ボーイングは前米国連大使で取締役のニッキー・ヘイリー氏が、政府支援に反対を訴え辞任したことを明らかにした。 ヘイリー氏は会社宛ての 16 日付の書簡で「現金が足りないのは知っているが、それは他の多くの産業、そして数百万の中小企業も同じだ」と指摘。 自社の特別扱いを政府に求める動きは支持できない、と述べた。 ヘイリー氏は、トランプ政権下で 2018 年末まで国連大使を務めた後にボーイング入り。 共和党で将来の大統領候補の一人と見なされている。 (ニューヨーク = 江渕崇、asahi = 3-20-20)


FAA、ボーイングに制裁金 20 億円検討 737MAX と 737NG

FAA (米国連邦航空局)はボーイングに対して、1,968 万ドル(約 20 億 6,600 万円)の制裁金を検討していることを明らかにした。 737MAX やその前世代機にあたる 737-800 や -700 など 737NG のコックピットに、FAA が承認していない装置を装備していたとしている。

FAA が現地時間 3 月 6 日に発表した内容によると、ボーイングは 2015 年 6 月から 2019 年 4 月までに、618 機の 737NG と 173 機の 737MAX の計 791 機に対し、ロックウェル・コリンズ製ヘッドアップ・ガイダンス・システム (HGS) を装備。 HGS は、パイロットがコックピットの窓から外を見ながら計器の値を確認できる装置で、FAA による試験や承認を得ていないセンサーが装着されていという。 ロックウェル・コリンズはその後、必要な試験とリスク分析を実施し、書類を改訂済みだという。 FAA がボーイングに制裁金を科した場合、過去最大規模になる見込み。 (Tadayuki Yoshikawa、AviationWire = 3-9-20)


ボーイング 737MAX、ソフトウェアに新たな不具合

ニューヨーク : 米ボーイングは 6 日、相次ぐ墜落事故を受けて運航を停止している「737MAX」について、ソフトウェアに新たな不具合が見つかったと発表した。 ただ、これによって運航再開がさらに遅れることはないとの見通しを示している。 同社によると、インジケーターランプが想定より長く点灯していることに関係した問題が新たに見つかった。 このランプは、機首を上下させるスタビライザートリムシステムと連動している。 今回の問題は、737MAX のソフトウェアを更新した後の飛行テストで見つかった。 同機の飛行制御コンピューターに入力される情報の問題だとしている。

ボーイングは、「運航を再開する前に 737MAX のソフトウェアを変更し、インジケーターランプが想定通りに点灯するよう徹底させる」とした。 737MAX は、墜落事故が相次いで 346 人の死者が出たことを受け、世界で昨年 3 月から運航が停止されている。 ボーイングは 1 月中旬の時点で、運航再開が認められるのは今年半ばになるとの見通しを示していた。 米連邦航空局 (FAA) の広報は 6 日、737MAX 運航再開のめどについて、「同機の運航再開の時期ついて、期限は設定していない。 安全関連の問題が全て決着したと我々の専門家が納得するまで、承認はしない。」と語った。 (CNN = 2-7-20)


米当局、ボーイング機 7,000 機の設計変更を勧告 死亡事故受け

ニューヨーク : 米サウスウエスト航空の旅客機で昨年起きた死亡事故を調査していた米国家運輸安全委員会 (NTSB) は 19 日、事故の再発を防ぐため、約 7,000 機のエンジンを改良するようボーイングに勧告した。 この事故では、サウスウエスト機のファンブレードが破損してエンジンカバーの一部が機体の側面に衝突し、窓ガラスが割れて機内の気圧が急低下した。 同機は無事に着陸したが、窓側の座席に座っていた女性乗客が死亡した。

NTSB はボーイングに対し、たとえファンブレードが破損した場合でも、ジェットエンジンカバーが吹き飛ばされて機体に衝突することのないよう、設計の変更を勧告した。 「ボーイング 737 ネクストジェネレーション (NG)」のシリーズ機全てについて、改良の必要があるとしている。 737NG は、世界の航空会社に約 6,700 機が納入されているが、ボーイングは「737MAX」への切り替えを進めており、NG の新規受注は中止している。 これから建造され、納入される予定の NG は 100 機に満たない。

737MAX は、2 度の墜落事故が相次いだことを受けて運航が中止されている。 737NG の運航は継続されているものの、古い機体で部品の亀裂が見つかるなど、ほかにも安全問題を抱えている。 737NG はこの亀裂が原因で数機の運航が中止された。 機体の修理に関しては米連邦航空局 (FAA) が最終的な判断を下す予定だが、ボーイングは既に、NTSB の勧告に従ってエンジンの設計見直しに着手していることを明らかにした。 この改良が済むまでの間も、ファンブレードを点検すれば、安全な運航は可能だとしている。 NTSB は、ボーイング、サウスウエストのいずれについても責任は追及していない。 (CNN = 11-20-19)


ボーイングの問題が静かに悪化 737MAX 以外にも暗雲

ボーイングは 2019 年の終わりを待ちきれないことだろう。 今年は同社の歴史の中でも特に波乱の年だった。 10 月 23 日に発表された決算によると、737MAX 型機の運航停止により生じた損失は 100 億ドル(約 1 兆 1,000 億円)近くに上っている。 ボーイングは、同機の運航停止により影響を被った多くの航空会社から圧力を受けており、追加で 50 億ドル(約 5,400 億円)の補償金を約束した。 私が 8 月にボーイングを取材した際、米航空会社では MAX 型機の運航再開スケジュール延期が相次いでいたが、それでも同社は今年中の運航再開を主張していた。 一方の私は当時、同機は 2020 年まで運航できないだろうとみていた。

そしてボーイングはこのほど、737MAX 型機の運航再開が来年 1 月になる見通しだと発表した。 同社は進捗報告書で、「MAX 型機の顧客航空会社への納入は、認可を経て 12 月に始まる可能性はある」とした上で、「私たちは現在、更新版の訓練要件の最終確認に向け取り組んでいる。 これは、MAX 型機が商用サービスを再開する前に完了される必要がある。 商用サービスは 1 月の開始を想定している。」と述べた。

ボーイングは、商用航空機部門の未来を 737MAX 型機、787 ドリームライナー、そして次世代の 777X 型機に賭けていた。 しかし、ボーイングが抱える問題はここにきて、非常に静かに、大きく悪化した。 ドリームライナーは各航空会社に大きな成功をもたらしたが、ボーイングは先日の四半期決算発表で、同型機の月間生産量を 14 機から 12 機に減らすことを明らかにした。 これはそれほど大きな数には見えないかもしれないが、現在生産中のモデルで最も大きな成功を収めているドリームライナーの減産を決めた理由として、ボーイングは「現在の国際貿易環境」を挙げている。

しかし、ボーイングの最新の発表の中で最も憂慮すべきなのは、777X 型機に関する部分だろう。 同機はエアバスの A350 型機に対抗するモデルとしてだけでなく、A380 型機、さらにはボーイング 747 型機などの 4 発ジェット旅客機の生産終了をもたらすモデルとなるべく開発されていた。 777-9 型機はエンジンの大型化により、400 人以上の乗客を運ぶ最大の商用双発ジェット機となるはずだったが、開発は壁にぶち当たったようだ。

777X の納入延期

ボーイングは第 3 四半期決算で、ドリームライナーの減産に加え、777X 型機の納入を 2020 年夏から 2021 年に延期すると発表。 同機をめぐっては、商用機としては世界最大のエンジン「GE9X」のほか、最近は貨物室ドアにも問題が生じたため、当初お披露目が予定されていたパリ航空ショーから 4 カ月以上もたつにもかかわらず、初飛行さえも行なえずにいる。

こうした遅れが、777X 型機の最大の顧客であるエミレーツ航空とその機材入れ替え計画にどのように影響するかはまだ分からない。 エミレーツ航空はこのモデルを 150 機発注している。 またシンガポール航空は既に今週の発表で、同社への 777X 型機納入もまた 1 年遅れ、運航開始は 2022 年になることを明らかにした。 ボーイングにとってさらなる懸念材料として、ルフトハンザ航空が 777X 型機の正式発注をオプションに変えたこともある。 これによりルフトハンザは、同機を一切購入しない選択肢も得る。

現在も続く 737MAX 型機の問題や、787 型機の減産、777X 開発の遅延といった問題を抱えるボーイング社の商用航空機部門には、楽観的になれるものがあまりない。 しかし、同社は前代未聞の規模にも思える危機に陥り、利益は前年比 95% 減となったものの、それでもなんとか黒字を維持している。 ボーイングの今年 1 - 9 月の利益は前年同期の 70 億ドル(約 7,600 億円)から 2 億 2,900 万ドル(約 250 億円)に減少した。 (James Asquith、Forbes = 11-14-19)

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米ボーイング 787、酸素系統に問題か 内部告発者が証言

米航空機大手ボーイング製「787 ドリームライナー」について、客室が突然、減圧状態になると酸素がなくなる危険性があると、元従業員が内部告発した。 同社で品質管理エンジニアとして働いていたジョン・バーネット氏 (57) は、工場の製造ラインで問題のある部品が故意に取り付けられていたと主張している。 ボーイングはバーネット氏の主張を否定し、同社のすべての航空機は最高水準の安全性と品質で製造されていると述べた。

ボーイングは現在、737MAX 8 型機の墜落事故が相次いだ問題で厳しい調査の目にさらされている。 バーネット氏はボーイングで 32 年働いた後、2017 年 3 月に健康を理由に退職した。 2010 年からは、米サウスカロライナ州ノースチャールストンにある工場で品質管理を担当していた。 同工場は、787 ドリームライナーを製造している 2 工場のうちのひとつ。 同型機は長距離線向けで、世界各国で使用されている。 導入直後は初期トラブルに見舞われたものの、さまざまな航空会社が採用し、ボーイングの収入源となっている。

しかしバーネット氏によると、新型機をより早く製造しようとした結果、工程も足早になり、安全性が損なわれたという。 ボーイングはこの主張を否定し、「安全性、品質、そして誠実さがボーイングの価値基準の中核だ」と話している。 バーネット氏は BBC の取材に対し、2016 年に非常用酸素系統の問題に気づいたと説明。 非常用酸素系統は、航行中に客室与圧システムが故障した時にはたらき、乗客と乗員の命を守るもの。 酸素マスクが天井から降りてきて、シリンダーを通して酸素を供給する。

このシステムがないと、機内にいる人はすぐに行動不能に陥る。 上空 3 万 5,000 フィート(約 1 万メートル)では、1 分以内に気を失うという。 上空 4 万フィートでは 20 秒に縮まる。 失神後は脳にダメージを負い、死に至る可能性もある。 突然、減圧が起きることはまれだが、起きないわけではない。 2018 年 4 月には米サウスウエスト航空機の壊れたエンジンの破片が窓ガラスに当たって破損。 窓側に座っていた乗客 1 人が重傷を負い、これが原因で亡くなったが、残りの乗員乗客は緊急時用の酸素マスクのおかげで助かった。

バーネット氏は、小さな破損のあったシステムを解体していたところ、いくつかの酸素ボンベが緊急時に作動しないことに気が付いた。 バーネット氏はその後、ボーイングの研究開発 (R & D) ユニットにこのシステムの試験を依頼した。 試験では破損のない「在庫から取り出したばかりの」酸素系統を使用し、機体に設置した時と同じ条件、同じ要領で作動するよう設定した。 300 基で試験を行ったところ、75 基で酸素系統が作動しなかったという。 故障率は 25% だ。

しかし、バーネット氏がさらにこの件を追及しようとすると、ボーイングの経営陣らに阻まれたという。 バーネット氏は 2017 年にアメリカの連邦航空局 (FAA) に申し立てを行ったものの、問題を明らかにする動きはみられなかった。 FAA は、ボーイングがこの問題に取り組んでいると示唆したため、バーネット氏の主張を裏付けることはできなかったと説明している。 一方、ボーイングはバーネット氏の主張を否定している。

ただ、2017 年には「あるサプライヤーから供給された酸素ボンベの一部が正しく酸素を供給しないことが判明した。 これらの酸素ボンベを航空機から除去したため、欠陥のある酸素ボンベは使用されていない。 この問題について、このサプライヤーにも通告している。」と認めている。 しかし、「航空機に設置されている乗客用の酸素系統は全て、正しく機能するかどうかを引き渡し前に複数回の試験でチェックしている。 航空機に設置されるのは試験をくぐり抜けた設備だけだ。」と強調した。 「また運航開始後も定期的にテストを行っている。」

しかし、サウスカロライナの工場で浮上している疑惑は、酸素系統の問題だけではないという。 バーネット氏によると、ボーイングでは機体の組立工程でひとつひとつの部品を追跡することになっているが、この手順にも落ち度があり、大量の欠陥部品が「紛失」しているという。 バーネット氏は、製造ラインではプレッシャーをかけられた作業員が、基準を満たしていない部品をごみ箱から持ってきて機体に取り付けることもあったと主張している。 また、そうした事態の少なくとも 1 回について、経営陣の 1 人は把握しているという。 バーネット氏は、こうした事態は「同工場がスケジュールとコスト管理が厳しい」ため、時間短縮のために発生していると話した。

FAAは 2017 年、この件についてバーネット氏の申し立てを取り上げ、少なくとも 53 点の「不適格」部品の所在が分からず、行方不明になった可能性があると報告し、ボーイングに改善措置を指示した。 ボーイングはこの点に関して、FAA から指示を受けて以降は「部品のトレーサビリティ−について、FAA の指摘点は完全に解決し、再発防止策も導入した」としている。 一方、完成した機体に不適格な部品が使われている可能性については詳細を示していない。同社のノースチャールズトン工場の関係者は、そうした事態はありえないと話している。

バーネット氏は現在、問題を指摘したことでボーイングから名誉を傷つけられ、キャリアを阻害され、最終的には退職を余儀なくされたとして、同社を相手取って裁判を起こしている。 ボーイングはこれに対し、バーネット氏は長年、退職について計画しており、退職自体も自主的なものだったとしている。 同社は、「ボーイングは、バーネット氏が望んで選んだ職務を続ける能力に、いかなるマイナスの影響も与えていない」と述べている。

また、従業員に対して問題提起や不服申し立ての手段を数多く用意していると説明。 申し出た従業員を保護し、提起された問題が考慮されるための手続きもあるとしている。 その上で、「従業員には懸念事項を申し出るよう奨励している。 その場合には徹底的に調査し全面的に解決する」と述べた。 しかし、ボーイングの製造工程に懸念を示した従業員はバーネット氏だけではない。 たとえば今年 3 月にエチオピア航空の 737MAX 8 型機が墜落した事件の後、FAA のホットラインにはボーイングの現職あるいは元従業員 4 人から問題提起があったという。

バーネット氏は、自分が提起した問題は、ボーイングの「スピードとコスト削減、販売機数が全て」という企業文化を反映していると話す。 また、経営陣は「安全性のことは考えず、ただ計画どおり進んでいるかどうかを気にしている。」と語った。 ボーイングの元エンジニア、アダム・ディクソン氏もこの考えに賛同している。 ディクソン氏はかつて、ワシントン州レントンの工場で 737MAX 8 型機の開発に携わっていた。 ディクソン氏は BBC の取材に対し、工場には「機体をどんどん製造しろという動き、生産水準をあげろという圧力があった」と話した。 「私のいた部署は常に、製造工程や品質について工場側と闘っていたが、上司は何の助けにもならなかった。」

今年 10 月に行われたボーイングに対する公聴会で民主党のアルビオ・シラス下院議員は、737MAX 8 型機の製造ラインに関わっていた管理職員による電子メールを引用した。 それによると、この管理職員は、従業員が長期間にわたって非常にハイペースで仕事を行わなければならず、「疲れ果てている」と抗議している。 また、スケジュールの圧力が「従業員が故意に、あるいは無意識に、必要とされる工程を飛ばす文化を作り出しており」、品質に悪影響が出ていると指摘している。 その上でこの管理職員は、人生で初めて自分の家族にはボーイング機に乗ってほしくないと思ったとつづっている。

ボーイングは、航空機の安全性を保障するために、FAA と共に「厳格な検査プロセス」を導入すると説明。 全ての機体が工場から搬出される前に「複数の安全性検査やテスト飛行」を受けるほか、多方面にわたる検査を受けると述べた。 また、安全性プロセスについての評価を外部委託したところ、「FAAの機体認可水準とボーイングの機体設計・エンジニアリングで求められる水準について、厳格に実施され、順守されている」という結果が出たという。 その上で、この評価によって、「737MAX の設計と開発は、安全な機体を継続的に製造する工程に沿っていることが立証された」としている。

こうした評価の一方で、ボーイングは今年 9 月、安全構造にさまざまな変更を加えると発表した。 これには「製品とサービスに関する安全組織」の新設も含まれている。 この組織は製品安全性についてあらゆる角度から評価を行い、「不必要な圧力や、出所不明の部品、従業員から挙げられた安全性に関する懸念などを調査」するという。 こうした中、バーネット氏はなお、製造に携わった機体の安全性に深い懸念を抱き続けている。 「私自身の経験や過去の飛行機事故を踏まえると、787 型機で何か大きな事件が起こるのは時間の問題だと思っている」とバーネット氏は語った。 「この予想が間違っていることを祈っているが。」 (セオ・レゲット、BBC = 11-14-19)


ボーイング CEO、737MAX 事故で遺族に「私たちは過ちを犯した」

【ニューヨーク = 小林泰明】 2 件の墜落事故が起きた米航空機大手ボーイングの新型旅客機「737MAX」を巡り、デニス・マレンバーグ最高経営責任者 (CEO) が 29 日、米議会上院の商業科学運輸委員会の公聴会で証言した。 遺族らに謝罪し、過失を認めたうえで、安全確保の取り組みを強調した。

マレンバーグ氏は事故の犠牲者や遺族らに「本当に申し訳ない」などと謝罪したうえで、「私たちは過ちを犯した。 改善し、学ぶことを続けていく。」と述べた。 事故原因として浮上している失速防止装置の問題についても把握しているとしたうえで、改良やテストを重ねていることを強調した。 米連邦航空局 (FAA) など規制当局の審査に全面的に協力する姿勢も示し、「我々は綿密な調査を受けるに値する。 規制当局は 737MAX を厳密に審査すべきで、安全性を完全に満たしたときに運航を再開できる。」と述べた。 737MAX の墜落事故は、2018 年 10 月にインドネシアで、今年 3 月にエチオピアで発生した。 3 月以降、世界各地で運航が停止されている。 (yomiuri = 10-30-19)


「当局にウソ」 16 年に欠陥認識か ボーイング連続墜落

米航空機大手ボーイングの主力小型機「737MAX」の連続墜落事故をめぐり、同社のテストパイロットが、事故につながった飛行システムの欠陥を 2016 年時点で認識していた疑いが浮上した。 同僚とテキストメッセージでやりとりした記録が 18 日、明らかになった。 米航空当局に対し「ウソをついた」との記述もあった。 ボーイングの経営をさらに揺るがす不祥事に発展する可能性があり、同社株は 18 日の取引で 7% 近く急落した。

米連邦航空局 (FAA) は 18 日、通信記録を前日夕に入手したとし、その内容が「懸念を抱かせるものだった」との声明を発表。 この記録はボーイングが何カ月も前に見つけたのに報告がなかったことに「失望している」と非難。 同社のミュイレンバーグ最高経営責任者 (CEO) に対し、即座に説明するよう求めた。 米メディアが入手した通信記録によると、このパイロットは、シミュレーターでの試験中、機首を強制的に引き下げる飛行システムが突然作動したのを確認。 「シミュレーターの中で暴走している」、「これはひどい」などと伝えていた。 当時、FAA は 737MAX の安全性を確認する「認証」の手続き中だったが、「要するに規制当局にウソをついた(知らないうちに)」との記録もあった。

737MAX は昨年 10 月にインドネシア、今年 3 月にエチオピアで相次ぎ墜落し、計 346 人が死亡した。 ともに問題の飛行システムの誤作動が事故につながった。 同型機は世界中で運航が止まり、ボーイングは赤字決算に転落。 新疑惑の浮上で、運航再開がさらに遅れる可能性もある。 ミュイレンバーグ氏は今月末、事故後初めて米議会で証言する。 議員の追及が厳しくなるのは必至だ。 (ニューヨーク = 江渕崇、asahi = 10-19-19)