中国の買収、ドイツ「待った」 投資の流れ一方向 欧州の不快感映す

記事コピー (Financial Times = 10-30-16)


米 AT & T、タイム・ワーナーの買収発表 約 9 兆円

米通信大手の AT & T は 22 日、米メディア大手タイム・ワーナーを買収することで合意したと発表した。 買収額は 854 億ドル(約 8 兆 9 千億円)。 既存の携帯電話事業が伸び悩むなか、放送や映画など豊富なコンテンツを持つタイム・ワーナーを取り込み、総合的な通信・メディア企業への転換をはかる。 タイム・ワーナーはハリウッド映画「バットマン」、「ハリー・ポッター」シリーズで知られる映画会社「ワーナー・ブラザーズ」や、ニュース専門テレビ局「CNN」、人気ドラマを数多く保有するケーブルテレビ局「HBO」などを傘下に持つメディア企業。 (ニューヨーク = 畑中徹、asahi = 10-23-16)


世界で最も魅力的都市は? 1 位東京、2 位京都 米旅行誌

米旅行専門誌の「コンデナスト・トラベラー」は 18 日、読者投票による「世界で最も魅力的な都市」の結果を発表し、米国以外の都市を対象とした部門で 1 位は東京(前年 15 位)、2 位は京都(同 9 位)と日本の都市が並んだ。 他の米旅行誌の読者投票でも京都が 1 位に選ばれ、日本観光の人気が裏付けられた形だ。

コンデナスト・トラベラーは富裕層が主な読者で、発行部数は約 80 万部。 今回の読者投票では 10 万票以上が投じられたという。 米国以外の部門の 3 位は、イタリアのフィレンツェ(前年 1 位)だった。 別の米誌「トラベル + レジャー」が行っている読者投票でも、京都が 2014 年、15 年と 2 年連続で人気観光都市のトップとなっている。 日本政府観光局によると、米国から日本への旅行客は 29 カ月連続で各月の過去最高を更新しており、今年 1 - 8 月は 81 万 7 千人と、前年と比べて約 2 割増えているという。 (ニューヨーク = 中井大助、asahi = 10-19-16)

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世界都市ランキング、東京が初の 3 位 「国際化」を評価

世界の主要都市を経済力や文化発信力などで比べた「都市総合力ランキング」の 2016 年版で、東京が初めて 3 位になった。 森ビルが設立した森記念財団(東京)が 08 年版から毎年公表しており、東京は 4 位が続いていた。 外国人観光客の増加や羽田空港の国際化を評価したという。 代わって同時多発テロの影響が残るパリが 3 位から 4 位に下がった。

世界の主要 42 都市を「経済」、「研究・開発」、「文化・交流」、「居住」、「環境」、「交通・アクセス」の各分野で点数化した。 1 位ロンドン、2 位ニューヨーク、5 位シンガポールは、昨年と同じ。 国内の都市では、大阪が 22 位で順位を二つ上げ、福岡は 36 位で一つ下げた。 (asahi = 10-18-16)


新たな金融危機、可能性排除できず = ドイツ財務相

[ワシントン] ドイツのショイブレ財務相は 7 日、新たな金融危機発生の可能性を排除できないと警鐘を鳴らし、主要国の超緩和的な金融政策に伴う金融システムへのリスクに関する国際通貨基金(IMF)の考察に同意する考えを示した。 ショイブレ財務相は会見で、欧州中央銀行 (ECB) のゼロ金利政策や他の異例の措置を含む「超緩和的な金融政策」に対する批判を再表明、「新たな危機が訪れるリスクは完全には消滅していない」と語った。

モーゲージ担保証券 (MBS) の不正販売問題をめぐり、米当局から最大 140 億ドルの罰金支払いを求められているドイツ銀行の健全性に関する質問には、コメントを差し控えた。

IMF 総会で、低金利環境下で長期的に収益を確保するため、ドイツ銀は事業モデルを見直す必要があるといった指摘が出たことについては、IMF や他の国際機関に欧州の銀行を監視する役割はないとけん制しつつも、国際社会において緩和金融政策のリスクをめぐる懸念の声が高まっていると強調。 「世界的な過剰債務と超緩和的な金融政策という 2 つの問題は、対処が必要なリスク要因である可能性がある」と語った。 (Reuters = 10-8-16)

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「世界リスク、適切対処を」麻生財務相、IMF 会議受け

麻生太郎財務相は 7 日(日本時間 8 日)、米ワシントンで国際通貨基金 (IMF) の会議に出席した。 会議後の記者会見で、貿易の鈍化など世界経済のリスクについて「過度な悲観論に陥らず、適切に対処することが重要だ」と述べた。 IMF に先だって 6 日に開かれた主要 20 カ国・地域 (G20) 財務相・中央銀行総裁会議では、各国から、環太平洋経済連携協定 (TPP) に米大統領選の候補者が反対していることに、保護主義的な圧力が広がる懸念が示された。

麻生氏は会見で「保護主義は悲観すべきもの。 自由貿易がもたらした経済の繁栄に目を向けるべきだ。」と強調。 低成長など世界経済のリスクについては「生産性や潜在成長率の引き上げに正面から取り組むことが重要だ」と述べ、各国の取り組みで克服は可能だとの認識を示した。 麻生氏は 7 日、米国のルー財務長官と会談し、TPP を今の臨時国会で承認したい考えを伝えた。 ルー氏とは TPP の重要性について意見が一致したという。 (ワシントン = 鬼原民幸、asahi = 10-8-16)


「極度の貧困」 7 億 6 千万人 世銀推計、13 年時点

【ワシントン】 世界銀行は 2 日、2013 年時点で、1 日 1.9 ドル(約 190 円)未満で暮らす「極度の貧困層」が世界全体で 7 億 6,700 万人に上り、全人口の 10.7% を占めるとの推計を発表した。 中国やインドネシア、インドなどの状況改善が寄与し、12 年比では 1 億 1,400 万人減少して、比率は 1.7 ポイント低下した。 極度の貧困層の割合は減少傾向が続いており、15 億人超だった 02 年から 10 年ほどで半減した。 ただ世銀のキム総裁は、世界経済の不振などが響き「30 年までに極度の貧困をなくす国際社会の目標は達成できない恐れがある」と懸念を示している。

世銀によると、極度の貧困層はアフリカのサハラ砂漠以南(サブサハラ)や南アジアに集中。 特にサブサハラでは 3 億 8,900 万人に上り、世界全体の半数以上を占めている。 また、17 歳以下の子どもが全体の約 50% に上るという。 世銀は米首都ワシントンで 7 - 9 日に国際通貨基金 (IMF) と共に開催する年次総会で、貧困削減に向けた国際社会の取り組み強化を呼び掛ける方針だ。 (kyodo = 10-3-16)


OPEC、8 年ぶり減産へ 原油価格低迷の解消狙う

中東などの産油国でつくる石油輸出国機構 (OPEC) は 28 日、アルジェリアの首都アルジェで会合を開き、2008 年 12 月以来、約 8 年ぶりに減産することで合意した。 低迷する原油価格の底上げを図るため、過剰供給を解消するねらいがある。

1 日あたり 3,300 万バレルを超える OPEC 全体の原油生産量を同 3,250 万バレル - 同 3,300 万バレルの水準に抑える。 各国別の生産量の上限などの詳細は 11 月 30 日にウィーンで開く OPEC 総会で決めるという。 国際エネルギー機関 (IEA) によると、OPEC 加盟 14 カ国の 8 月の原油生産量は同 3,347 万バレルで、この 2 年間で同 200 万バレル以上増えている。 (アルジェ = 寺西和男、asahi = 9-29-16)


世界競争力、日本は 8 位に後退 雇用の男女比など低評価

ダボス会議で知られる世界経済フォーラムは 28 日付で今年の世界競争力ランキングを発表した。 日本は 8 位で、昨年の 6 位から順位を二つ下げた。 対象は 138 の国・地域で、1 位は前年と同じくスイス。 以下、A シンガポール、B 米国、C オランダ、D ドイツと続いた。 アジアでは他に、H 香港、M 台湾、(25) マレーシア、(26) 韓国、(28) 中国などが上位に入った。

報告書では日本について、雇用と解雇の容易さ(115 位)、雇用における男女比率(77 位)、有能な外国人の勤務場所としての魅力(77 位)などの評価が低かった。 一方で、インフラの充実度(5 位)、企業の研究開発への投資(4 位)は高く評価された。 (ジュネーブ = 松尾一郎、asahi = 9-28-16)

前 報 (9-30-15)


2016 年の世界成長率見通しは 2.9%、貿易の停滞で = OECD

[パリ] 経済協力開発機構 (OECD) は 21 日、世界経済中間評価を公表し、2016 年の世界の経済成長率が 2.9% にとどまるとの見通しを示した。 これは 2008 - 09 年の金融危機以降で最低の水準。 6 月時点の予想の 3.0% から下方修正された。 世界経済の原動力となってきた貿易の伸びが、経済全般の伸びと比べて停滞する見込み。 OECD は「過去の基準を大幅に下回っており、貿易の活発さという点からみると、グローバリゼーションが行き詰まりを迎えたかもしれない」と指摘した。

OECD は、中国が成長の軸足を輸出から移そうとする中、あるいは一部企業が生産拠点を自国へと回帰させる中、世界的なサプライチェーンの多くが機能しなくなってきているとの見方を示した。 また、自由貿易への反発と一部の資源国での不況も貿易の減速に拍車をかけているとし、生産性や生活の水準が低下する可能性があると警告した。

OECD のチーフエコノミスト、キャサリン・マン氏はロイターのインタビューに対し、「1990 年代、2000 年代に経験したような貿易の伸びを取り戻せるのなら、生産性の伸び率は金融危機前の水準に持ち直すだろう」と述べた。 金融危機以降、生産性は半分に落ち込んだという。 OECD の 2017 年の成長率予想は 3.2%。 6 月時点の 3.3% から下方修正された。 マン氏は、若者の希望通りに雇用を創出し、予定通りの年金支給を行うには低すぎる水準だと指摘した。

国別でみると、米国の 2016 年の成長率予想は 1.4% で、6 月の 1.8% から大幅に下方修正された。 2009 年の金融危機以降、最低の水準で、ユーロ圏の予想の 1.5% を下回るが、OECD はそうした中でも米連邦準備理事会 (FRB) が 0.25% ポイントの利上げを実施すべきとの見方を示した。 マン氏はバブルを生み出す可能性のある、実体経済が回復する前の資産価格高騰を抑えることができると説明した。

2017 年の米国成長率は 2.1% に加速する見通し。 6 月時点の 2.2% から下方修正された。 一方、2016 年の英国の成長率は 6 月時点 1.7% から、1.8% に上方修正した。 2017 年の成長率見通しはわずか 1%。 欧州連合 (EU) 離脱後の EU との貿易関係が不透明で、6 月時点の 2% から大幅に下方修正された。 (Reuters = 9-21-16)


ロッテ、サムスン、韓進海運 … 韓国 3 大企業が倒れる恐れ - 中国メディア

9 月 19 日、新華網は韓国のロッテ、サムスン電子、韓進海運について、「いずれ業績悪化で倒れる恐れがある。 朴槿恵(パク・クネ)大統領は慌てふためくだろう。」と予測する記事を掲載した。

韓国ロッテグループののナンバー 2、李仁源(イ・インウォン)副会長が 8 月末、ソウル郊外で遺体で発見された。 自殺とみられる。 資金疑惑をめぐり取り調べを控えていた。 サムスン電子は、8 月中旬に発売したスマートフォン(スマホ)の最新製品「ギャラクシーノート 7」の電池に異常が生じ、発火する恐れがあるとして、販売済みのほぼ全製品を回収。 韓国最大手の韓進海運は経営破たんし、世界中で所有する船舶の入港が拒否される事態となった。

問題を起こした 3 社のいずれも、家族経営の大企業だ。 中国社会科学院アジア太平洋北東アジア研究センター主任の朴健一氏は「1998 年のアジア金融危機の際、韓国では家族経営が原因の倒産に大きな批判が集まった。 現在世界経済全体が疲弊する中、韓国の家族経営企業で問題が再び拡大している。 グループ内に多くの事業、子会社を抱え、互いに負債を押し付け合う手法だ。 一度問題が起きればグループ総崩れになる恐れがある。」と警鐘を鳴らしている。 (RecordChina = 9-20-16)

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韓国海運最大手が破綻 荷役作業拒否で船立ち往生

韓国の海運最大手で、保有船腹量で世界第 7 位の韓進(ハンジン)海運が経営破綻し、同社が運航している貨物船 68 隻が、日米中など世界 23 カ国の 44 港湾で立ち往生しかねない事態に陥っている。 韓国政府は 4 日、緊急の関係省庁次官会議を開いたが、当面必要な資金繰りに苦しんでいる。

韓進海運は 8 月 31 日、債権団との交渉決裂を受けて、法定管理(日本の会社更生法適用に相当)をソウル中央地方裁判所に申請した。 債権団が同社貨物船を差し押さえたり、入港料や荷役料の支払いが滞ったりする可能性が出てきた。 同社によれば、4 日現在、計 68 隻が荷役中か今後の荷役が予定されている。 このうち、日本の横浜、名古屋、門司の 3 港では、タグボートや荷役などの業者が不払いを恐れて作業を拒否し、外洋で立ち往生しているという。 (ソウル = 牧野愛博、asahi = 9-5-16)

〈編者注〉 「韓進海運」は、「大韓航空」の経営母体


米、中国を WTO 提訴 農産物への補助金「不当」

米通商代表部 (USTR) は 13 日、中国政府が中国産の農産品に不当な補助金を出して価格を支え、米国からの輸出品を不利にしているとして、世界貿易機関 (WTO) に提訴したと発表した。 米大統領選ではトランプ氏らが中国や自由貿易への批判を強めており、環太平洋経済連携協定 (TPP) の年内承認を目指すオバマ政権として、中国に強い姿勢を示す狙いもある。

USTR によると、中国政府が不当な補助金を出しているのは、中国産のコメ、小麦、トウモロコシ。 WTO で決められた補助金の水準の超過分は昨年で 1 千億ドル(約 10 兆円)近くにのぼるという。 米政府によると、WTO への提訴はオバマ政権下で 23 件目、対中国では 14 件目となる。 米国は中国の鉄鋼製品への制裁関税にも踏み切っており、米中の貿易摩擦が激しくなっている。 オバマ大統領は声明で「中国は、米国の雇用を脅かす独自の貿易交渉を進めており、TPP を早期に承認することがより重要になっている」と訴えた。 (ワシントン = 五十嵐大介、asahi = 9-14-16)


メッカ大巡礼(ハジ)最高潮 世界各地から 190 万人

イスラム教最大の聖地、サウジアラビア西部メッカへの大巡礼(ハッジ)が 11 日、最高潮を迎えた。 今年 1 月にサウジと断交したイランが 26 年ぶりに自国民の参加を中止したが、国営サウジ通信によると約 190 万人の信者が世界各地から集まり、祈りをささげた。

昨年の大巡礼では 2 千人以上が折り重なって死亡する事故が起き、イラン人は最多の約 500 人が犠牲になった。 サウジからの報道では、今年は監視カメラを増やすなどして信者の密集を避ける措置が取られた。 大巡礼は 1 日 5 回の礼拝やラマダン(断食月)の断食などと並ぶイスラム教徒の五つの義務「五行」の一つ。 資力と体力のある者は生涯に一度、行うことが求められる。 (kyodo = 9-11-16)


「アジア四小虎」の台頭再び、次なる奇跡的経済成長なるか - 中国メディア

9 月 8 日、中国メディア・易読財経によると、かつて「アジア四小龍(香港、台湾、シンガポール、韓国)」と呼ばれた 4 カ国・地域は 1970 年代 - 90 年代に飛躍的な経済成長を遂げ、アジアを一躍経済的に豊かな地域に押し上げたが、90 年代には、「アジア四小虎(タイ、マレーシア、フィリピン、インドネシア)」と呼ばれた国々も同様に経済成長を遂げた。

1997 年にタイから始まったアジア通貨危機により、四小虎は一夜にして危機的状況に陥ることになり、経済的にも大きく後退。 2008 年のリーマンショックによってさらなる打撃を被ることとなったが、それから 10 年近い時間を経て、その四小虎が再び台頭しようとしている。 東南アジア最大の経済国で、G20 参加国でもあるインドネシアは、近年その経済業績に注目が集まっている。 2014 年の世界銀行の報告書では、購買力平価 (PPP) を基準にすると韓国やシンガポールを超え、世界上位 10 カ国の経済を擁しているとされ、IMS リサーチも 2015 年に、「2 年以内に GDP が 1 兆ドルを超える」と予測している。

タイは東南アジア第 2 の経済国で、1999 年頃から経済が復興しつつある。 内外需とも低迷し、経済成長も不確定要素は残るが、2015 年の成長率は 2.8% で、2016 年も GDP は 3.1% 成長になるとタイ中央銀行は予測している。 失業率は 1% と低く、7 月の消費者物価指数は前年から 0.1% 増加にとどまっている。

マレーシアは、世界的にも重要な新興国市場となっている。 アジア通貨危機とリーマンショックが打撃となったが、徐々に経済が回復しつつあり、マレーシア経済は 2015 年には 5% の成長を遂げている。 ナジブ・ラザク首相は、諸外国は不景気でもマレーシア経済は基本的に安定しているとし、2016 年も 4 - 4.5% 成長になる見込みだとしている。

フィリピンは、他の四小虎と比べても、とりわけ重要な新興市場と目されている。 中国やインドを除くと、アジアで最も経済成長の著しい国で、2014 年の経済成長率は 6.1% で、2015 年は 5.9%。 アジアでは中国の 7.4% に次いで高い水準にある。 世界銀行のジム・ヨン・キム総裁はフィリピン経済について、「アジアの次なる "経済的奇跡" になる可能性がある」と発言しており、さらに「中国に代わる存在になる」と予測する専門家もいる。 (RecordChina = 9-9-16)


成長底上げへ政策総動員 G20 開幕 反保護主義言及相次ぐ

【杭州 = 木原雄士】 日米欧に新興国を加えた 20 カ国・地域 (G20) 首脳会議(サミット)が 4 日、中国浙江省の杭州で開幕した。 初日の討議では世界経済の下振れリスクが高まっているとの認識で一致し、成長の底上げへ機動的な財政措置を含めあらゆる政策を総動員する方針を確認した。 保護主義に反対する声が相次いだほか、中国で深刻な鉄鋼などの過剰生産問題を話し合う場の設立も決まった。

日本から安倍晋三首相と麻生太郎財務相が出席した。 5 日に首脳宣言を採択して閉幕する。 議長を務める中国の習近平国家主席は会議の冒頭で「世界経済はけん引力不足や金融市場の動揺、貿易投資の低迷など重層的なリスクに直面している」と指摘。 保護主義の台頭や英国の欧州連合 (EU) からの離脱問題などを念頭に、世界経済の下振れへの懸念がこれまで以上に強まっているとの認識を示した。

G20 が 2014 年のオーストラリアでのサミットで掲げた 18 年までに国内総生産 (GDP) を 2% 以上増やす目標は、すでに実現が危ぶまれている。 習主席は「財政政策と金融政策、構造改革を組み合わせてより全面的なマクロ経済政策を取るべきだ」と訴えた。 安倍首相も同調した。 先進国の金融政策の方向性の違いや英国の EU 離脱問題に触れ「世界経済の見通しに対する下方リスクは高まっている」と発言。 「G20 全体で危機感を共有し、それぞれの国の具体的行動につなげていくことが重要だ」と力説した。

そのうえで 8 月に決めた事業規模 28 兆円の経済対策を説明し、世界経済の下振れ防止に率先して取り組む考えを示した。 「大胆な金融政策によりデフレの早期脱却を目指す」と述べるとともに、為替相場に関し「過度の変動や無秩序な動きが経済や金融の安定に悪影響を与えないよう注視していく」と指摘した。 会議では、欧米や日本が中国に改革を求めていた鉄鋼などの過剰生産問題をめぐって一定の前進があった。 G20 として、この問題の震源地である中国も巻き込むかたちで解決策を話し合う「世界フォーラム」の設立で合意した。

貿易の保護主義をどう防ぐかも大きなテーマになった。 習主席は「多角的貿易体制が打撃を受けている」と表明。 安倍首相は「保護主義の誘惑を断ち切るのが政治の責任だ」と強調し「環太平洋経済連携協定 (TPP) を停滞させてはならない」と発言した。 首脳宣言には太陽光パネルなど環境製品の関税削減や撤廃を巡る交渉の年内完了をめざすと明記する。 世界で頻発するテロが実体経済に悪い影響を与える可能性があるとの認識でも一致する。 テロリストの資金源を絶つため、G20 が緊密に情報交換する方針を確認する。 課税逃れ対策では経済協力開発機構 (OECD) が進める国際ルールづくりを歓迎し、G20 としても協力する考えを表明する見通しだ。 (nikkei = 9-4-16)

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G20、中国で開幕 英 EU 離脱の影響など議論へ

英国の欧州連合 (EU) からの離脱決定後初めてとなる主要 20 カ国・地域 (G20) 財務相・中央銀行総裁会議が 23 日夕、中国四川省の成都で開幕した。 各国は英離脱決定による影響を議論し、世界経済の下ぶれを食い止めるために政策を総動員する方針を確認する見通し。 世界でのテロ頻発を受け、テロ資金規制についても議論する見込みだ。

日本からは麻生太郎財務相と日本銀行の黒田東彦(はるひこ)総裁が出席し、24 日午後に共同声明を採択して閉幕する予定。 黒田総裁は 23 日、開幕に先立って記者団に「英国と EU の(離脱)交渉は何年もかかり、不確実性がある状態は続く。 我々も注視したい。」と述べた。 英国の EU 離脱決定後の金融市場の動揺はいったん落ち着きを取り戻しているものの、今後、欧州経済の減速など実体経済への影響が出てくる恐れもあり、初日の世界経済を巡る討議で主要議題となる見込みだ。

麻生財務相と米国のルー財務長官は 23 日朝に会談。 米財務省によると、ルー財務長官は、2 月の上海 G20 で確認された「政策を総動員する」との合意の重要性を説いたという。 麻生財務相は月内にもまとめる大型の経済対策について説明した模様だ。 麻生財務相は 23 日夜、英国のハモンド財務相とも会談した。 離脱交渉の今後の見通しを確かめ、財政出動による景気下支え策などについてきいたとみられる。

成都 G20 では、世界で相次ぐテロを受け、テロ組織に国をまたいで資金が渡ることを防ぐ対策などについても話し合う見通し。 テロ資金流入を防ぐために税関申告の金額を引き下げることや、多国間での情報交換を強化することなどを協議するとみられる。 (成都 = 土居新平、asahi = 7-23-16)

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中国の過剰生産「世界的課題」 G20 声明に日米欧圧力

10 日に上海で閉幕した主要 20 カ国・地域 (G20) 貿易担当相会議の共同声明は、中国を念頭に鉄鋼などの過剰生産問題の深刻さを指摘した。 議長国の中国は議題とすることに反対していたが、「世界経済が低迷する一因」として深刻に受け止める各国の論調に押し切られた。 記者会見で中国の王受文商務次官は「過剰生産能力の問題は、今回の重要な議題ではない」と強調。 会場で配られた中国語の「共同声明案」にも言及はなかった。 だが、声明には「鉄鋼などの過剰生産問題は世界的課題であり、一致した行動が必要」と盛り込まれた。 直前の差し替えは、最後まで激しい議論となったことを物語る。

中国側は今回、英国が欧州連合 (EU) 離脱を決めて世界的に自由貿易や国際化が後退する懸念が高まる中、「貿易保護主義への反対」で議論を主導した。 中国の安い鉄鋼輸出をダンピング(不当廉売)とみなし、米国などの制裁措置が相次ぐことを牽制するねらいもあった。 ただ、日米欧など各国の論調は厳しく、中国を念頭に「政府の補助金で安く生産し、世界市場をゆがめている」との声が相次いだ。 中国の輸出攻勢に苦しむ欧州側出席者からは「過剰生産問題への言及がなければ国民に説明がつかない」との発言も出た。 (上海 = 斎藤徳彦、asahi = 7-12-16)


カナダが AIIB 参加へ、孤立を深める日本はなぜ「焦るのか」 = 中国報道

カナダ財務相は 8 月 31 日、中国が主導するアジアインフラ投資銀行 (AIIB) への参加申請を行うことを発表した。 これに対し、中国メディアの環球網は「G7 のうち、AIIB に未参加の国は日本と米国だけ」であるとし、日本人はカナダの AIIB 参加に対して「焦りを感じている」と伝えた。 記事は、日本国内では「米国は同盟国に対して AIIB に参加しないよう説得したが、カナダの参加表明は明らかな政変」との見方があると伝えつつ、G7 のなかで日本と米国だけが参加していない現状について「孤立を深めている」と主張した。

米国の同盟国が次々に AIIB に参加していることについて、「米国は表立って同盟国を批判したり、AIIB への対抗策を打ち出したりはしていない」と指摘しつつも、日本は米国やその同盟国の動きについて「危機感とやりきれなさを示している」と主張。 一方で、AIIB に参加する国が増えていることは、中国の実力と能力を実証するものであり、中国の自信を深めるものだと主張した。 続けて記事は、経済面における協力は「排他的なものではない」とし、米国の世論もその客観性を取り戻しつつあるとする一方、「日本はまったくもって客観性を欠いている」と主張。 AIIB への参加を頑なに拒否する日本は「地理的な政治や、中国との競争」しか頭にないと批判した。

英国やドイツをはじめとする先進国も参加した AIIB はすでに始動しており、日本が主導するアジア開発銀行 (ADB) とパキスタンの道路建設プロジェクトに対して初の協調融資を行う計画だ。 中国国内では、日本が AIIB に参加しない理由は「経済面ではなく、政治的な理由」があるためだとの見方も多く、それは「中国とアジアにおける主導権争いを展開するため」との見方が一般的だ。 (SearChina = 9-2-16)

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中尾総裁「ADB の役割は不変」 AIIB と協力で合意

ドイツのフランクフルトで開かれていたアジア開発銀行 (ADB) の総会が 5 日、閉幕した。 膨大なインフラ需要が見込まれるアジアの新興国に対し、日本は技術力を生かした「質の高いインフラ」で貢献していく考えを打ち出した。 最大の出資国の日本からは麻生太郎財務相らが出席。 総会開催中の演説で「日本と ADB との連携の強化を推進する」と述べた。 日本政府は昨年 5 月、成長戦略の一つにインフラ輸出を掲げ、ADB と連携して 5 年間で総額 1,100 億ドルをアジアに投融資する構想を表明している。

日本が「質」を掲げる背景には、昨年末に中国主導で設立されたアジアインフラ投資銀行 (AIIB) の存在がある。 麻生氏は記者団に「数十年たっても長持ちすれば、結果的にコストが安くなる。 日本が持っている技術の強みだ。」と話した。 今回の総会は、AIIB が設立されて初の開催。 中尾武彦総裁は 5 日の記者会見で「他の機関が同じ役割を担うようになっても、ADB の重要な役割は変わらない」と述べた。 今回の総会にあわせ、ADB と AIIB は協調融資での協力で合意。 中国の楼継偉財務相は「ADB は AIIB とさらに協力して欲しい」と話した。

来年の ADB 総会は、発足後 50 回目にあたり、横浜市で開催する。 日本での開催は 07 年に京都市で開催されて以来となる。 ADB は、1966 年の設立以来、総裁は日本の財務省や日本銀行の OB が 9 代連続で務めてきた。 67 カ国・地域が加盟している。 (フランクフルト = 奈良部健、asahi = 5-6-16)


中国外務次官、TICAD での安倍首相の発言を批判

安倍総理大臣が、TICAD = アフリカ開発会議で、海洋進出を強める中国を念頭に「日本は、太平洋とインド洋を自由と法の支配を重んじる場として育てる責任を担う」と述べたことに対し、中国外務省の次官は「別の地域の問題を取り上げるのは誤りだ」と述べ批判しました。

27 日、アフリカのケニアで行われた TICAD = アフリカ開発会議の開幕にあたっての基調講演の中で安倍総理大臣は、海洋進出を強める中国を念頭に「日本は、太平洋とインド洋を力や威圧と無縁で、自由と法の支配、市場経済を重んじる場として育てる責任を担う」と述べました。 これに対し国営の新華社通信は 29 日、「安倍総理大臣の不適切な言論への反論」として中国外務省の張明次官のコメントを伝える記事を配信しました。

この中で張次官は、「中国とアフリカの貿易は、かなりの部分を海運に依存しているが、太平洋、インド洋における航行の自由に問題はない。 誰かが別の地域の問題を取り上げて、アフリカの発展の妨害をするのは誤りだ。」と述べ、安倍総理大臣の発言を批判しました。 中国政府は、来月 4 日から浙江省杭州で開かれる G20 サミットで、日本が南シナ海や東シナ海での中国の海洋進出の問題を取り上げることに警戒感を強めており、張次官の発言は、日本側をけん制する狙いがあるものとみられます。 (NHK = 8-29-16)

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首相、日本の「質」強調へ TICAD、27 日開幕

日本が主導し、アフリカ諸国の首脳が参加する第 6 回アフリカ開発会議 (TICAD6) が 27 日、ケニアの首都ナイロビで開幕する。 共同議長の安倍晋三首相は同日、日本の技術を生かしたインフラ投資やテロ根絶に向けた支援策など、日本のアフリカ政策を盛りこんだ基調演説を行う。

TICAD のアフリカ開催は初。 安倍首相は演説で、インフラ投資などで日本の「質の高さ」をアピール。人材育成などへの貢献も訴え、アフリカで影響力を増す中国との差別化を図る考えだ。 アフリカの国連安全保障理事会の常任理事国入り支持も表明する。 首相は 26 日午前(日本時間同日午後)、ケニアのケニヤッタ大統領と大統領官邸で共同記者発表を行い、「日本はアフリカが描く夢を、アフリカと手を携えながら実現していきたい。 それを強く推進していくのが TICAD だ。」と述べた。 (岩尾真宏、ナイロビ、asahi = 8-26-16)


反捕鯨団体の妨害行為、永久禁止に 米連邦地裁で合意

調査捕鯨を担う日本鯨類研究所と共同船舶は 23 日、反捕鯨団体「シー・シェパード (SS)」などが調査捕鯨船に対して繰り返していた妨害行為をやめるよう求めて米ワシントン州連邦地裁に起こしていた訴訟が、調停により合意に至ったと発表した。 日本鯨類研究所が発表した合意内容によると、調査船とその乗組員を攻撃することや、安全航海を脅かすような航行が永久に禁止される。 調査船の 500 ヤード以内に近づくことや、シー・シェパードのグループ団体による妨害行為への資金提供もできなくなる。 同研究所が 2011 年に起こした訴訟が決着する形となる。

米国の裁判所は 13 年、「シー・シェパードなどの行為は暴力行為の明確な事例で、海賊行為を具現化したもの」だとして、調査船への攻撃を禁ずる命令を出した。 しかし、その後も妨害行為が続いたため、米国の裁判所は 14 年に SS などに対して法廷侮辱罪にあたると認め、SS は同研究所などに約 3 億円の賠償金を支払っていた。 南極海での調査捕鯨は、14 年に国際司法裁判所 (ICJ) が違法と判断して以来中止されてきたが、水産庁は 15 年 12 月、新たな計画のもとで再開していた。(野口陽、asahi = 8-23-16)


国旗・プール … ミス連発の五輪 ラテンのノリで楽観対応

南米で初めて開催中のリオデジャネイロ五輪は、取り仕切る側にとっても、初めての経験だ。 開幕前から運営面の不手際やミスが後を絶たないが、ラテンのノリと楽観的な事後対応で、何とか切り抜けている。 「人のふり見て我がふり直せ」という。 4 年後の東京五輪を見据え、笑い話のようにも思えてくる、リオの「失敗」をまとめた。 開会式前後にはまず、国歌や国旗の問題が浮上した。 4 日、サッカー男子の日本 - ナイジェリア戦前、ナイジェリア国歌ではなく、ニジェール国歌が流れた。 ナイジェリア選手は皆、きょとんとしていた。 試合前半の途中に謝罪のアナウンスが流れると、観客席にはブーイングと失笑が広がった。

中国国旗の星の傾きにもミスが。本来は、左上の四つの小さな星の角が、それぞれ大きな星の中央を指していなければならないが、誤ったデザインでは四つの小さな星はいずれも水平に並んでいた。 大会組織委員会広報のマリオ・アンドラーダ氏は、「犯人捜しをするよりも、一日も早く作り直すことが大事だ」と会見で説明し、ブラジル・サンパウロ州の工場に再発注。 「本物」と差し替えられたのは、大会 7 日目の 11 日のことだった。

「行き先」を間違える事態も。 12 日夜、競泳女子 50 メートル自由形準決勝に出場する選手を乗せたバスは、選手村近くにあるプールではなく、約 14 キロ離れた陸上競技場に到着。 選手たちを仰天させた。 組織委は、「運転手が陸上の五輪スタジアムと、五輪水泳スタジアムの頭文字が似ているため勘違いした」と弁明した。 この影響で同種目のスタートは、1 時間近く遅れ、午後 11 時過ぎのスタートとなった。

水球とシンクロナイズド・スイミングが行われるプールでは、水の色が不気味な緑色に変色するトラブルもあった。 原因について組織委は、契約業者が誤って過酸化水素を入れたためと説明。 その結果、塩素の作用が弱まり、藻が大量発生したという。 これには、シンクロナイズド・スイミング日本代表の井村雅代ヘッドコーチも「何なんだこれは。 プールが緑なんて、日本の国体でもあり得へん。」と渋い顔。 組織委は試合が始まる前夜に急きょ水を入れ替えたが、日本選手の中には緑のプールでの練習で軽い目の痛みを訴える選手もいた。 井村コーチは、「こういう時は笑って過ごす。 みんな同じ条件。」と選手を鼓舞し、デュエットのメダル獲得につなげた。

市内で強盗や銃撃戦が連日発生し、警備要員の不足が指摘される中、水泳競技会場には、必ず複数のライフセーバーが常駐した。 リオ州の法律で定められているためという。 トップスイマーがおぼれることは考えにくい上に、「特等席」で試合を観戦できる「世界一楽な仕事」と自嘲気味に話すライフセーバーも。 4 年後の東京の運営は、大丈夫だろうか。 リオ組織委広報のアンドラーダ氏に、どんな教訓を伝えたいか聞いてみると、にっこり笑って言った。 「誰にでも間違いはあるし、ミスは必ず起こる。 入念な計画よりも、軽やかな挽回が大事なんだ。 何事も完璧を求めすぎないことさ。」 (asahi = 8-19-16)

〈編者注〉 8 月 7 日、台湾メディアが指摘しているように、世界各国の旗を制作したのは中国だそうで、間違った「五星紅旗」を作ったのも中国自身だったそうです。 それを「犯人捜しをするよりも、一日も早く作り直すことが大事だ」と、中国に恥をかかせなかったブラジル組織委に、先ず「金星」を授与すべきでしょう。


SMAP 解散、海外でも速報 BBC 「日中韓の大使役」

SMAP の解散は海外メディアでも報じられ、SNS には各国のファンの惜しむ声が書き込まれた。 英 BBC (電子版)は「アジア最大の人気ポップグループの一つ」と評価。 2011 年 9 月の北京公演に 4 万人の観客が訪れたことを紹介し、領土問題や歴史認識問題で悪化する日中韓各国の国民感情を和らげるのに貢献し、「大使」役を果たしたと伝えた。

北京公演は、グループにとっても結成以来初の海外公演だった。 中国版ツイッター「微博(ウェイボー)」では、「夢であればいいのに」、「ママは木村拓哉が大好きだった。 一つの時代が終わった。」と惜しむ声や、「28 年続けることは簡単ではない。 歴史に残るグループだ。」など称賛が目立った。 韓国メディアも「日本最高の人気グループ SMAP が結局、年末解散(聯合ニュース)」などと一斉に報じた。 メンバーの一人、草g剛さんは韓国語が上手なことで知られる。 SNS では「うそだと言って」といった書き込みもあった。 (北京 = 西村大輔、ソウル = 東岡徹、asahi = 8-14-16)


「国益に反する」豪が中国企業の電力権益取得認めず

オーストラリア政府は、中国からの投資に対する警戒感が高まる中、最大都市シドニーなどを管轄する電力公社の権益の取得に中国企業が意欲を示していることについて、「安全保障上の観点から国益に反する」として認めない立場を表明しました。

シドニーがあるニューサウスウェールズ州の電力公社、オースグリッドは、権益の 50.4% を売却する計画で、中国で送電などを手がける国家電網公司と香港のインフラ関連企業が入札に参加する意向を示しています。 オーストラリアでは一定額を超える外国投資は政府の承認が必要で、モリソン財務相は 11 日、オースグリッドについて「安全保障上の観点から今回の投資は国益に反する」として、中国企業による権益取得を認めない立場を表明しました。

オーストラリアでは去年、アメリカ海兵隊が駐留する基地に近い北部ダーウィンの港の一部を中国企業に貸し出す契約が交わされたのをきっかけに、中国のインフラ投資に対する警戒感が高まっています。 今回の決定はこうした世論を反映したものとなりましたが、経済界からは、中国からの投資を厳しく制限することは他の国からの投資の呼び込みに悪影響を与えるという懸念も出ています。

中国の豪への投資は増加 警戒感も

シドニー大学などのまとめによりますと、去年 1 年間に決定した中国のオーストラリアに対する投資は、日本円にして 1 兆 1,250 億円余りと、前の年と比べて 30% 以上増加しています。 しかし、オーストラリア国内では、去年、北部ダーウィンの港の一部を 99 年間にわたり使用する権利を地元政府と契約した中国企業が、中国の人民解放軍とつながりがあると指摘されたのをきっかけに、中国のインフラ投資に対する警戒感が高まりました。

ことしに入ってからは、中国企業を中心とする企業連合が 7 万平方キロメートル以上に及ぶ国内最大規模の牧場を所有する企業を買収する計画がありましたが、オーストラリア政府は「国益に反する」として契約を承認しませんでした。 11 日の決定について、中国情勢が専門のシドニー工科大学のジェームス・ローレンスソン教授は「中国からの投資がなくなると、シドニーなどで進められているインフラ整備や再開発などが今後、停滞するおそれがあり、オーストラリア経済にとってマイナスとなるだろう」と話しています。 (NHK = 8-11-16)


山手線の弟分、タイで開業 日本の企業連合受注

東京の JR 山手線車両を土台にして日本で開発・製造されたタイの首都バンコクの高架鉄道「パープルライン」が 6 日、開業した。 日本の企業連合が受注し、車両の製造だけでなく、車両や地上設備のメンテナンスも担う。 日本の鉄道システムを海外で展開する際の「モデルケース」になる。

2009 年に着工したパープルラインは、バンコク都内のバンスー地区と郊外のバンヤイ地区の全長約 23 キロを結ぶ。 バンコクの慢性的な交通渋滞の緩和手段として期待される。 高架や駅、車両基地などの建設には日本の円借款約 790 億円が投じられた。 JR 東日本グループの総合車両製作所が、計 63 両の車両を供給した。 タイの都市鉄道に日本製の車両が導入されるのは初めてだ。 JR 東日本は今回、東芝、丸紅と組むことで海外でのメンテナンス事業にも本格的に乗り出した。 (バンコク = 都留悦史、asahi = 8-7-16)


イオン、ミャンマーでスーパーマーケット事業を開始へ

[東京] イオンは 1 日、ミャンマーでスーパーマーケット事業を開始すると発表した。 年内に 1 号店の開設を目指す。 現地企業と合弁会社を設立、合弁先の傘下企業が運営する 14 店舗を含む事業を引き継いだ。 合弁相手は、クリエーション・ミャンマー・グループ・オブ・カンパニーズ (CMGC)。 現地で専門店事業や不動産業も手掛けている。 イオンは、ミャンマーにおいて、イオンマイクロファイナンスミャンマーが 2013 年から日系企業初の割賦販売事業を開始。 14 年には駐在員事務所を開き、小売り事業展開に向けた調査を行ってきた。 (清水律子、Reuters = 8-1-16)