中国で炭鉱爆発、18 人死亡、2 人行方不明 寧夏回族自治区石嘴山市

9 月 27 日、中国寧夏回族自治区の石嘴山市にある炭坑でガス爆発事故があり、少なくとも 18 人が死亡し、2 人が行方不明となっている。 仏 RFI が伝えた。 事故が起きたのは 27 日午前 7 時ごろ。 坑内では 20 人が作業していた。 AFP 通信は、世界最大の石炭生産および消費国である中国では、炭鉱の安全対策の不備により事故が頻発していると伝えている。 今年 3 月にも山西省朔州市の炭鉱で 19 人が死亡する事故が起きている。 (RecordChina = 9-28-16)


中国不況の足音 大型百貨店が「閉店ラッシュ」で負の連鎖が始まる

すでにどん底に陥っているのではないかと一部でささやかれる中国経済。 無料メルマガ『石平のチャイナウォッチ』によると、百貨店やスーパーが驚くほどの閉店ラッシュ状態となっているとのこと。 石平さんはこの事態を「中国経済そのものの低迷を表すもの」とし、「中国の未来はますます暗いものになっていく」との見方を示しています。

中国小売業は「死屍累々」の惨状 閉店ラッシュはネットの影響でなく、中国経済そのものの低迷が原因だ

9 月 6 日、北京商報というビジネス専門紙は「2016 年、広がる百貨店の閉店ラッシュ」とする記事を掲載し、中国の百貨店を襲う「閉店ラッシュ」の実態を克明にリポートした。 記事はまず、8 月末に山東省青島市の大型百貨店、陽光百貨と全国展開の百貨大手である百盛集団の重慶市万象台店、さらには大連で有名な久光百貨が相次いで閉店したことを取り上げ、深刻な業績不振が閉店の原因であると分析している。

大連久光百貨の場合、今年上半期の売り上げが前年同期比で 48.8% も激減した。 重慶市万象台店のオーナーである百盛集団全体の売上総額も前年同期比で 12% 減となったという。 その結果、百盛集団は万象台店だけでなく、今年に入ってから西安市の東大街店と重慶市の大坪店も閉店させることとなった。 記事によると、売り上げ急落・業績不振は今、全国の百貨店業が直面する共通の問題となっている。 たとえば全国展開の新華百貨は今年上半期の純利益が 69.2% も減り、杭州解百集団のそれは 20.5% 減となった。

こうした状況を踏まえて、北京商報記事は今後、全国における百貨店の「閉店ラッシュ」はさらに広がっていくだろうと予測している。 中商情報網というビジネス専門サイトの掲載記事も 7 月 20 日、今年上半期における中国小売業の「閉店ラッシュ」を取り上げたが、その中で、中国流のブラックジョークであろうか、「2016 年上半期、『陣没(閉店)店舗』最新リスト」まで作成して掲載した。 「陣没」に追い込まれた大型百貨店の中には、摩爾百貨の成都店、友誼商店の南寧店、南京八百半の南京店、世紀金花の銀川店などがあり、まさに「死屍累々」の惨状である。

「閉店ラッシュ」に襲われたのは百貨店だけではない。 スーパーマーケットも同じである。 中国最大の検索サイトである「百度」は、「百度百科・閉店ラッシュ」の項目を設けているが、それによると、スーパー業の場合、華潤万家という全国チェーンが今年に入ってから 727 店舗を閉店させ、「閉店ラッシュ」の最高記録を更新したという。 有名なカルフール・グループも中国全土で 18 店舗を閉店し、人人楽というスーパー大手は 11 店舗を閉めた。

上述の「百度百科・閉店ラッシュ」によると、中国小売業の閉店ラッシュは昨年からすでに始まっている。 2015 年の 1 年間、全国の小売業界で約 865 店舗も閉店の憂き目にあったが、今年に入ってから、この勢いはさらに増しているという。 「閉店ラッシュ」が来襲した理由について、一部のメディアや専門家は、近年盛んになったネット販売や通販との市場競争の激化を挙げているが、前述の北京商報や「百度百科」の分析では、それは一つの原因であっても、一番の原因ではない。 最大の原因はやはり、特に昨年から顕著となった中国経済そのものの低迷である。

経済の低迷は人々の消費意欲と購買力を低減させ、結果的に小売業の業績不振と閉店ラッシュを招いたが、閉店ラッシュの広がりは失業の拡大や収入の低減につながる。 悪循環はすでに始まっているのである。 今月 5 日、中国社会科学院財経戦略研究院は「流通青書・中国商業発展報告 (2016 - 17)」を発表したが、その中で、今後 5 年以内に、中国全国の「商品交易市場」、つまり百貨店やスーパーやショッピングセンターなどは、約 3 分の 1 が淘汰されていくと予測している。

小売業の暗澹たる未来ひとつをとってみても、中国経済は今後ますます、大不況のどん底に陥っていくことが分かるであろう。 (石平のチャイナウォッチ = 9-27-16)


女子高生の死亡事件まで! 中国の電信詐欺は撲滅できるか

中国版振り込め詐欺

記事コピー (9-26-16)


世界最大の電波望遠鏡、中国で稼働 1 万人が強制移住

世界最大の電波望遠鏡「FAST (直径 500 メートル)」が 25 日、中国南部の貴州省で稼働を始めた。 きわめて弱い電波も受信できるため、天体観測や地球外の生命体の探査などが進むと期待されている。 国営新華社通信などが伝えた。

報道によると、この望遠鏡は「天眼」と命名され、構想から 20 数年かけて貴州省の山中のくぼ地に完成した。 総工費は約 12 億元(約 180 億円)。 米自治領プエルトリコにあるアレシボ天文台(直径 305 メートル)を抜き、世界最大となる。 137 億光年(1 光年は約 9 兆 4,600 億キロ)以上離れた宇宙からの信号も受信できるという。 建設に伴い、周辺の住民約 1 万人が強制移住させられた。 (広州 = 益満雄一郎、asahi = 9-25-16)

前 報 (2-26-16)


万里の長城、ぺったんこに コンクリートでの修復に「お粗末」と批判の声

中国にある万里の長城といえば、おそらくこのような風景を思い浮かべるだろう。 うねるような丘、古くからある塔、美しく彫られた石の芸術。 しかし …。 これは 2014 年の写真。 中国北東部にあって 700 年の歴史を誇る万里の長城で「修復された結果」の写真が今週ネットに掲載され、中国内外で怒りの声が湧き起こっている。

たしかに、古代の驚異的な建築物の一部が、現代的な自転車道のようになっている。 長城の壊れた箇所を単にモルタルで埋めたようだが、いい加減なメンテナンスが議論を呼んでいる。 現地当局はニューヨーク・タイムズに「セメントを使用していない」とコメントしている。 代わりに砂と石灰を混ぜた材料を使ったというが、その方法は遼寧省と河北省の境にある綏中県当局の承認を得たという。

万里の長城協会で副会長を強める董耀徽さんは CNN の番組で、修復作業は「お粗末だった」と述べた。 彼はニューヨーク・タイムズにも、「このように長城を修復したことで全ての文化と歴史を台なしにしてしまった」と語っている。

国連教育科学文化機関 (UNESCO) によると、世界文化遺産である万里の長城の保護と修復は、中国国家文物局が中心的な役割を担っているという。 同局は地方政府に対し修復作業を指導する立場にある。 高まる批判を受け、修復から 2 年経過した作業(完了までにかかった期間は 3 か月)の審査が現在行われている。

今回話題となっている 8 キロに及ぶ箇所は万里の長城の中でも「荒れ果てた」地域として知られ、他の場所と比べて訪問者も少なかった。 この長城の全長はかつて 8,851.8 キロとされていたが、2012 年に 2 万 1,196.18 キロと公式発表されている。 (Rebecca Shapiro、The Huffington Post = 9-24-16)


中国で "妊婦" が地下鉄止めた理由

「誰も席を譲ってくれない」と座り込んで抗議

中国・北京の地下鉄で、妊婦だという女性が、席を譲ってくれなかったことに腹を立て、車両の入り口ドア付近に座り込んで運行を妨害するトラブルが起きた。 そして、女性が怒って車両内に座り込む様子をとらえた動画がインターネット上に出回り、議論が沸騰。 中国では、電車やバスなど公共交通機関での座席をめぐるマナーへの関心度は高いようだ。

中国メディアの報道やネット上にアップされた動画などによると、騒動があったのは 9 月 1 日。 北京の地下鉄 10 号線に乗っていた女性が、地下鉄の運営会社に持っていた携帯電話で架電し「だれも座席を譲ってくれない」と苦情を告げた。 運営会社職員が駅で女性から直接話を聴くことになったが、女性は、到着した駅でドアの開閉レール付近に座り込んだ。 このため、ドアは閉まらなくなり、電車が出発できなくなった。 乗務員らがドアから離れるように女性を説得したが、女性は興奮した様子で「どかない」などと聞き入れず、結局、駆けつけた警察官が半ば強制的に離れさせた。

この騒動で、当該電車が数分遅れるなど、ダイヤが乱れたという。 居合わせた乗客の中には「女性が太っていたので、妊婦とは分からなかった」と言う人もいたという。 ネットで動画を見た中国のユーザーたちからは「席を譲らない乗客が悪い」との意見が一部にあったものの、「地下鉄の運行を妨害するのは言語道断だ」、「そんなに座りたければタクシーを使えばいい」といった女性を批判する意見が大半を占めたという。

中国では近年、電車やバスなどで席を譲るかどうかをめぐってこうしたトラブルが頻発。 今年 6 月、バスの中でお年寄りと少女が口論する動画がネット上に流れ議論が起きるなど、関心も高いようだ。 大声を出す、順番を守らない、などマナーの悪さを指摘されることが多い中国人だが、電車やバスでお年寄りらに席を譲ることに関しては、他国の人よりも熱心で親切だという指摘もある。 トラブルが頻発するのは、譲られる側の「譲ってもらって当たり前」という意識が強すぎる … のかもしれない。 (sankei = 9-18-16)


台風 14 号 中国各地で大規模停電などの被害

強い台風 14 号は、15 日未明に中国南部の福建省に上陸したあと、勢力を弱めながら中国国内を北に進み、各地で大規模な停電などの被害が出ていて、中国政府は、大雨や土砂災害への警戒を続けています。 中国の中央気象台によりますと、台風 14 号は、日本時間の午前 4 時すぎに福建省アモイに上陸し、午前11時の時点では勢力を弱めながら1時間におよそ20キロの速さで北に進んでいます。

中心の気圧は 990 ヘクトパスカル、中心付近の最大風速は 25 メートルで、16 日朝までの雨量は、多いところで 250 ミリから 300 ミリと予想されています。 中国のメディアによりますと、台風の影響で、福建省などでは大規模な停電や断水が続いているほか、高速鉄道が運転を見合わせたり、空の便に欠航が出たりしているということです。 福建省などを管轄する広州の日本総領事館によりますと、これまでのところ、現地の日本人や日系の企業が被害を受けたという情報は入っていないということです。

一方、14 日に台風 14 号が接近した台湾では、南部の高雄で海に落ちて行方不明になっていた男性の死亡が確認され、これまでに 1 人が死亡し、けが人は 38 人となっています。 台風は今後も中国南部を北上する見通しで、中国政府は、福建省や広東省などで大雨や土砂災害への警戒を続けています。 (NHK = 9-15-16)

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スーパー台風14号、台湾を直撃 21年で最大の勢力

【台北】 スーパー台風 14 号(アジア名 : ムーランティ)は 14 日、台湾南端の沖合を通過し、65 万世帯近くが停電するなどの被害が出ている。 東部と南部は記録的な強風と豪雨に見舞われ、多くの地域では休校や休業が相次いでいる。 また、東部沿岸部では電車が運休し、15 日から始まる中秋節で移動する人々の足にも影響を及ぼしている。

台湾の中央気象局によれば、南部・恒春鎮の観測所は 120 年の観測史上で最大の風速を記録した。 台風 14 号はグリニッジ標準時 (GMT) 14 日午前 10 時(日本時間同日午後 7 時)現在、澎湖諸島の南南西 60 キロにあり、最大風速は 63 メートルで、「中心付近の最大風速は台湾をここ 21 年間に襲った台風の中で最強(地元気象予報士)」だという。 当局によると、危険地域では 1,500 人近くが避難し、そのうちの半数が仮設の避難所に身を寄せている。 台風 14 号は今後、中国本土に上陸する見込みで、同国は警報を発令するなどして警戒を強めている。 (AFP = 9-15-16)


中国で異様な盛り上がりを見せる「女排精神」の不気味さ

リオ五輪で大逆転の末3大会ぶりに金メダルを獲得した中国女子バレーボールチーム。伸びないメダル数に沈んでいた中国国民たちは狂喜乱舞し、その直後から中国語で女子バレーボールを表す「女排」を用いた「女排精神」なる造語が登場、国内を席巻していることをご存知でしょうか。この「女排精神」が今やすべてを可能にする「民族の精神」と同格にまで持ち上げられているという現状を、評論家の石平さんは無料メルマガ『石平(せきへい)のチャイナウォッチ』の中で、「その背後にあるのは、現代中国と中国人の精神的貧困さである」とばっさり斬り捨てています。

「女排精神」まるで「救世主」のように崇拝 … 背後に現代中国の精神的貧困

リオ五輪が閉幕した後、「女排精神」という言葉が中国の国内メディアを大いににぎわしている。 「女排」とは中国語で女子バレーボールの意味である。 8 月 21 日、リオ五輪のバレーボール女子決勝で中国チームが 3 - 1 でセルビアに逆転勝ちして優勝を決めたことから、「女排精神」の新造語が生まれた。 今回の五輪で中国の獲得メダル数は当初の予想以下に低迷し、イギリスに負けて世界 3 位に転落した。 国内では一時、諦めムードが漂っていたが、五輪最終日の女子バレーの劇的な逆転勝利によって、中国国民の鬱憤が一気に吹っ飛ばされたのである。

その直後から、「女排精神」の言葉が国内の各メディアに登場してきた。 たとえば同 22 日、毎日経済新聞は「改革が困難を乗り越えるのには『女排精神』が必要」とする社説を掲載した。 有力地方紙の南方日報も社説で「新しい時代の『女排精神』を高揚させよ」と呼びかけた。 同じ日、軍機関紙の解放軍報も論評を掲載して「軍を強くするために『女排精神』を高揚させるべきだ」と力説している。

それ以来、「女排精神」は毎日のように叫ばれることになったが、同 26 日、新民週刊は「女排精神は民族精神の時代符号」と題する論評を発表し、流行の「女排精神」を「民族精神」にまで昇格させた。 同 27 日、全国紙光明日報は「女排精神」のことを「民族復興の英雄的 DNA」だと持ち上げた。 次は人民日報の出番である。 同 29 日から連続 3 日間、人民日報は「女排精神」を褒めたたえる論評を掲載したが、その中で、「女排精神」を「負けず嫌いの精神」や「団結奮闘の精神」などと定義した上で、「女排精神」をもって「民族の自信」を高め「民族復興の力」を強めようとの大号令をかけた。

こうした中で、「女排精神」の単語がひとり歩きして全国的に広がり、あたかも万能な「魔法精神」であるかのように取り扱われた。 たとえば安徽省の電気供給国有企業は「『女排精神』に学び、電気の安定供給に努めよう」とのスローガンを高らかに掲げ、山西省太原市地元紙は「『女排精神』を発揮して山西省の農特産品ブランドを創ろう」とする情熱的な社説を掲載した。 IT 業界のある企業が「ネット金融を成功させるのには『女排精神』が必要」とのコメントを発表したかと思えば、LED 照明業の業界紙は「『女排精神』はわが国の LED 企業にどのような啓発を与えているのか」との分析記事を載せた。

このように今の中国では、「民族の自信」を高めるのにも、「改革の困難」を乗り越えるのにも、解放軍を強くするためにも、山西省の特産品ブランドを創るためにも、ネット金融を成功させるためにも、とにかく何もかも全ては、「女排精神」の力にすがらなければならないありさまとなっているのである。 もちろん「女排精神」といっても、それは所詮、中国女子バレーチームの 20 代そこそこの女の子たちが持つスポーツ精神にすぎない。

13 億人の「大国中国」の人民日報から解放軍報まで、IT 業界から LED 業界までが、彼女たちのスポーツ精神を「民族の精神」にまで持ち上げて、まるで「救世主」であるかのように拝もうとする …。 この滑稽な光景は逆に、現在の中国全体における「精神の欠如」を示している。 誇るべき「民族の精神」が実際に何もないからこそ、にわか作りの「女排精神」を利用して心の巨大な空白を埋めようとしているのである。 つまり「女排精神」という言葉がはやった背後にあるのは、現代中国と中国人の「精神的貧困さ」である。 このような国と民族に「未来」があるとはとても思えない。 (石平のチャイナウォッチ = 9-12-16)

『石平のチャイナウォッチ』 誰よりも中国を知る男が、日本人のために伝える中国人考。 来日 20 年。 満を持して日本に帰化した石平(せきへい)が、日本人が、知っているようで本当は知らない中国の真相に迫る。


中国は鶏肉不足に直面、米国産種鶏の輸入禁止で

[北京] 中国がほぼ 2 年にわたり繁殖向け米国産鶏の輸入を禁じていることで、国内の鶏肉供給を脅かし、少なくとも過去 10 年で初めての鶏肉不足が発生した。 また、鶏肉の価格高騰も招く恐れがある。 世界第 2 位の家禽(かきん)市場である中国は、白羽ブロイラー生産において、輸入種畜に依存している。 このブロイラーはファストフード・チェーン店で使用されるもので、中国の鶏肉供給の半分以上を占めている。

しかし、中国政府は昨年、2014 年 12 月に北米で発生した鳥インフルエンザを受け、米国からの家禽類輸入を停止した。 昨年末にもフランスに対し同様の輸入禁止措置を取ったことで、白羽色の祖父母世代の鶏である「原種鶏」の供給が急減している。 原種鶏は、世界的な鶏育種大手のエビアジェン、コッブ・バントレス、グループ・グリモードのほぼ 3 社によって、育種改良されてきた産物だ。 中国はこれまでのところ、白羽の種畜の育種には成功していない。

繁殖用ひな輸入は昨年、2013 年時から数量が半減したと、ファストフード大手のヤム・ブランズ傘下のケンタッキー・フライド・チキン (KFC) に鶏肉を供給する福建聖農発展が明らかにした。 福建聖農発展の上半期報告によると、今年の輸入についても、来年の需要に備えたブロイラー生産に必要な量をはるかに下回っているという。

世界市場における繁殖用鶏のうち、約半分を米国が供給し、英国がこれに続く。 この 2 国と比べてはるかに小さな生産国であるスペインとニュージーランドだけが現在、中国輸出が可能となっている。 「たとえ中国政府が年末までに禁輸措置を解除したとしても、来年の(鶏肉の)供給は回復しないだろう」とオランダ金融機関ラボバンクのシニアアナリストの Pan Chenjun 氏は語る。 国際獣疫事務局は 4 月、米国での鳥インフルエンザの終了を宣言したが、中国はいまだに禁輸を解除していない。

物価圧力

家禽の価格は、中国で最も好まれている最近の豚肉価格高騰を受け、既に上昇している。 豚肉価格の高騰によって、学生食堂といった一部の消費者は、より安い家禽を買うようになっている。 これは、食の安全への恐怖や中国国内での鳥インフル発生で需要減退が続いてきた家禽業界における需要回復に一役買っている。

ラボバンクは来年の鶏肉供給の不足量を消費の 8% に当たる 100 万トンと予測。 これによって、鶏肉価格は現在の 1 キロ当たり 19.8 元(約 300 円)から最大 20 パーセント上昇する可能性があると Pan 氏はみている。 しかしながら、価格は鴨肉や輸入製品の増加といった代替物で抑制されるだろう。

北京にある米農務省海外農業局の最新の報告書によると、中国は来年、今年を 33% 上回る 48 万トンの家禽肉をブラジルやアルゼンチン、チリといった国々から輸入する見通しだ。 「来年の鶏肉の価格は間違いなく今年より高くなるだろう。 しかし、それは間違いなく許容できる水準だ。」 中国白羽肉鶏連盟ディレクターの Huang Jianming 氏はこう語る。 同氏は代替物を促進するまでには上昇しないとの見方も示した。

一方、中国国内の家禽農家に対しては、この状況は一時的な恩恵を与えている。 ブロイラーを産む輸入鶏である種鶏の価格は過去 1 年間で 10 倍になり、1 包当たり 45 元に急騰した。 こうした価格高騰は、アジアで種鶏飼育大手の山東益生種畜禽の上半期の業績に貢献、同社の利益は 2 億 7,000 万元となり、前年の 1 億 9,200 万元の損失から回復した。

また、現在の状況下では、小規模な業者が十分な種鶏を手に入れることができずに、業界内での統合に拍車をかける可能性もある。 「白羽ブロイラーセクターにおける 2016 年と 2017 年の供給はかなり長い期間、打撃を被ることになるだろう。 業界全体が向こう 3 年間で新たな機会を見い出すことを期待している。」と福建聖農発展は指摘している。 (Dominique Patton、Reuters = 9-10-16)


中国、人種差別に断固反対と表明 エア・チャイナ機内誌問題で

[上海] 中国は 8 日、中国国際航空(エア・チャイナ)が人種差別的な表現が掲載された機内誌を回収したことを受け、あらゆる種類の人種差別に反対すると表明した。 ロイターが確認した内容によると、機内誌の英ロンドンに関する記事で「インド系、パキスタン系、黒人が主に居住する地域を訪問する際は注意が必要」と書かれており、インターネット上で批判が高まっていた。

中国国際航空は機内誌をすべて回収したと発表。 「(今後は)同様の問題を避ける」よう出版社に求めたとし、機内誌の内容は中国国際航空の見解とは異なると説明した。 同社がロイターに送った声明によると、出版社は「不適切な文言」で中国国際航空に損害を与えたとして謝罪した。 中国外務省の華春瑩報道官は、「中国国際航空が調査を通じて問題に適切に対応することを望む」とし、すべての人種の平等を支持するとともに、あらゆる種類の人種差別に断固として反対すると述べた。 (asahi = 9-9-16)


中国当局がテレビ局に圧力 「胸の谷間を隠すように」 "文化大革命のようだ" と懸念の声

中国国内のメディアを規制・監督する「国家新聞出版広電総局 (SAPPRFT)」は 8 月 29 日、中国の伝統や古典を冒涜するような内容のテレビ、ラジオ、インターネット番組などを放送禁止にする態勢を整えたと発表。 西洋的な価値観を称賛するようなコンテンツを控えるよう求めた。 国営新華社通信(英字版)が伝えた。 新華社通信によると、SAPPRFT は「スターや億万長者、セレブなどをアイドル化して登場させたり、プライベートや家族の争いをセンセーショナルに取り上げることは避けなければならない」と、テレビ局の報道内容に注文をつけた。

ウォールストリート・ジャーナルによると、中国のエンタメ業界では高視聴率や映画の興行的成功を狙うため、有名女優や若いアイドルの起用が求められており、演者の出演料が高騰しているという。 製作費の半分以上を数人のスターの出演料が占めてしまう例もあり、「近年の国内作品の品質低下の一因となっていると CCTV (中国中央テレビ)は述べた」と報じている。 SAPPRFT は「一晩で名声を得ることや、富の誇示、快楽主義や利己主義を助長する」と批判する一方、「前向きなエネルギー」や「主要な話題」を含むニュースを伝えるように要請。 共産主義・社会主義の理想や政府の方針に沿ったコンテンツ製作を改めて命じるかたちとなった。

過去には当局が「胸の谷間を隠せ」と、ドラマの編集を指示

CNN によると、これまでも中国当局はテレビ番組などに度々締め付けを図ってきた。 2011 年 3 月には、SF ドラマが「軽々しく神話をでっち上げ、恐ろしく、奇妙な脚本で、馬鹿げた手段で封建主義や迷信、運命論、生まれ変わりを賛美している」との理由で、SF ドラマが放送禁止になった。 2015 年 1 月には、中国史上唯一の女帝・武則天(則天武后)の生涯を描いたテレビドラマが、「技術的な理由」で放送が一時休止された。 このドラマは唐王朝(618 - 907年)の頃の華やかな衣装や、女優の肌の露出が多いことで人気を集め、高い視聴率を獲得していた。 ところが検閲当局は制作側に、「女優の胸の谷間を隠すように」と編集を指示したという。

同性愛についても、当局は 2016 年に公表したガイドラインで「異常な性的行為」と分類。 テレビ番組には不適切なテーマだとした。 なお中国では、2001 年まで同性愛は「精神疾患」と規定されていた。 共産党の中枢も、メディアに対して強権的な姿勢を強めようとしている。 共同通信によると、日本の国会に相当する全国人民代表大会(全人代)は、海外の映画会社の活動を制限し、当局が国家の安全を損なうと判断すれば製作を認めないとする「映画産業促進法案」を審議しているという。

規制の背景には、中国の映画産業の急成長があるようだ。 市場規模は 2014 年時点で 650 億元(9,880 億円)にまで成長。 「西側の価値観」の流入に神経をとがらせているようだ。 こうした共産党指導部の動きを警戒する声も出ている。

メディアに圧力、西洋批判、個人崇拝 … 「文化大革命の頃と似た空気に恐怖」

2016 年は「文化大革命」から 50 年となる節目の年だが、中国では習近平・国家主席の個人崇拝を思わせる場面が見られるようになった。 5 月には北京・人民大会堂では、アイドルが文化大革命の頃の歌を披露、習近平国家主席を礼賛し話題となった。 こうした動きから、毛沢東の個人崇拝が推められた文化大革命の頃に空気が似ていると懸念する声も出ている。 1989 年の天安門事件の当時、民主化を求めた学生リーダーの 1 人だった王丹氏は 6 月に来日した際の記者会見で、「習近平氏は社会を壊している。 第 2 の文化大革命が起こりうる」と中国共産党の指導部を強く批判した。

また、2014 年に天安門事件の追悼会に参加したことで当局に拘束され、15 年にアメリカへ渡った徐友漁・ニュースクール大学客員研究員は朝日新聞に対し、こう語っている。 「人民大会堂で文革を思い出させるスローガンのもと革命歌をうたうコンサートが開かれたり、習氏のバッジを胸につけて会議に出席したり。個人崇拝や権力をトップに高度に集中させようとする動きがあります。

そして、外国との領土問題をめぐる中国の官製メディアの報道を思い出してみて下さい。 『政権を転覆しようとする西側帝国主義という敵に包囲されている』などと叫んでいた文革時代の言いぶりに似ている。 私的な会食の場で毛批判をした中央テレビの司会者が放送界から姿を消しました。 異論を封じ込める、当時に似た空気に恐怖を感じる知識人は、私だけではありません。」 (吉川慧、The Huffington Post = 9-3-16)


中国、G20への熱い気持ちを歌に込めて

「最も魅力的な景色でさえ、あなたと出会う気持ちにはかなわない」
音楽ビデオ「杭州歓迎ニー(杭州へようこそ、中国語音声のみ)」を浙江省の共青団がリリース

威厳のある身なりをした世界の首脳が集まるからといって、普通なら急に歌いたくなるわけではない。 だが、ここは中国だ。 浙江省杭州市で今週末開かれる 20 カ国・地域 (G20) 首脳会議に向けた準備が進められる中、中国は音楽を通じて最大限の努力を繰り広げている。

まず取り上げるのは、今月初めに浙江省の共産主義青年団(共青団)がリリースした音楽ビデオ「杭州歓迎ニー(杭州へようこそ)」だ。 ここでは中国で有名な西湖の美しさなど、町の景観を主題にした映像に、G20 出席者への熱い気持ちを表現した歌詞が乗せられている。 例えば、歌詞の一部には「最も魅力的な景色でさえ、あなたと出会う(熱い)気持ちにはかなわない」とのフレーズがある。

また、中国国営中央テレビ局 (CCTV) は別のビデオ「喜歓ニー 在一起(あなたが好きです、一緒にいたい)」を公開した。 最初のビデオと同様、ここでも G20 に出席する外国の高官に歓迎の意を示す、型にはまった映像が流されている。 ビデオでは中国の五輪代表選手、スカイダイバー、オペラ歌手、地元住民が出演し、女性の歌声で「あなたが好き、あなたが好き」と歌われている。

政府の支援を受け、大衆に向かって政府の功績を称賛しようとする音楽ビデオは中国の主要産物だ。 北京が 2008 年の五輪大会を主催した時、公式テーマソングは特別に書かれた「北京歓迎ニー(北京へようこそ)」だった。 この音楽ビデオには中国全土から集められた超有名アーティストがずらりと出演していた。 (Te-Ping Chen、The Wall Street Journal = 8-31-16)


世界で最も住みやすい都市、蘇州が中国トップに - 英メディア

英誌エコノミストの調査部門エコノミスト・インテリジェンス・ユニット (EIU) は 18 日、「世界で最も住みやすい都市」ランキングを発表した。 中華圏だけを見ると、香港が 43 位でトップだった。 また、蘇州が北京を上回る 72 位で、中国本土で最も住みやすい都市となった。 中国紙・参考消息が伝えた。

上位 5 位は前年と変わらず、メルボルン(オーストラリア)が 1 位で、以下、ウィーン(オーストリア)、バンクーバー(カナダ)、トロント(カナダ)と続き、カルガリー(カナダ)とアデレード(オーストラリア)が共に 5 位となった。 アジアトップは東京で 13 位だった。 EIU は「世界の住みやすい都市のほとんどが富裕国の中型都市で、人口密度が比較的低い。 これらを基本条件に、住民はさまざまな種類のスポーツを楽しむことができるほか、犯罪率が低く、インフラ供給のニーズが満たされている」と分析している。 (中国・人民網 = 8-22-16)


中国高速鉄道が停電で 2 時間立ち往生 「日本の対応を見習え」 = 中国メディア

真夏の炎天下、乗っていた電車が故障で動かなくなり、冷房が効かない状態で 2 時間立ち往生 … 考えるだけでも恐ろしい事態だが、現地時間 12 日昼の中国河北省と河南省の境を走っていた高速鉄道の車両で現実のものとなった。 和訊網が 13 日報じた。

記事は「高速鉄道車両で 2 時間缶詰も賠償なし 日本のやり方を見よ」と題し、鉄道運行トラブルにおける乗客への対応のあり方について問題提起している。 まず、北京鉄路局の情報として現地時間 12 日午前 11 時 47 分に京広高速鉄道の邯鄲東 - 安陽東の間で電気設備の故障が発生して上下線の列車に遅延が発生したと紹介。 そのうち G79 列車は故障による停電でドアが開かなくなり、乗客が温度 40 度の車両内に 2 時間閉じ込められ、虚脱症状を呈した乗客も出たと伝えた。

記事が掲載した写真を見ると、車両内に閉じ込められた男性の多くがシャツを脱いでおり、体じゅう汗だくになっている。 サウナのような過酷な状態だったことがうかがえる。 記事は、この件についてネット上で「賠償問題はどうするのだ」という声が出ているとしたうえで、鉄道事業者に問い合わせたところ「鉄路法」や「鉄路旅客運輸規程」により、列車遅延による賠償は行わないの一点張りだったことを紹介した。

そのうえで、「われわれは隣国日本から学ぶ事ができる」とし、昨年 11 月に東海道線神戸 - 元町間で架線切れが発生して乗客約 5,000 人が線路を歩いて移動した際の状況を紹介。 乗客は整然と並んで歩き、係員らがしきりに謝罪し、乗客と誠意をもってコミュニケーションをとり、理解を求めていたと説明した。 そして最後に「もし、故障が不可避だとしたら、われわれ国内の鉄道はまずこういった部分から改める事ができるのではないか」と提言している。

記事は、故障で遅延が発生するたびに「賠償はどうした」との声が出るのは、乗客と鉄道運営側の良好な関係が築けていない、簡単に言ってしまえば運営側の誠意が不足しているのではないか、という点を指摘している。 停電で空調が止まるなか、炎天下で窓の開かない高速鉄道の車両に 2 時間閉じ込めたという状況についても適切だったのかの議論をまず行う必要がある。 そして同時に、車掌やスタッフが乗客に対してどのような接し方をしたのかについても詳しく検討しなければならないだろう。 (SearChina = 8-15-16)


米国へ移民した中国人、帰国希望者が増加 - 中国メディア

8 月 9 日、世界日報によると、米国へ移民した多くの中国人が滞在 10 年以上を経て、中国帰国の準備を進めている。

米国滞在 10 年近くを経て、一部の中国人移民は帰国の準備を始めている。 ロサンゼルスに住む 30 代の女性は、南カルフォルニア大学を卒業後、10 年近く米国で働いてきたが、最近中国への帰国を決めた。 「もうこれ以上待てない」のが理由だ。 勤務先の会社は 2 年前、女性のグリーンカード(永住権)取得のため動き始めたが、発行は早くても 20 年と判明。 「帰属感のない漂白状態で 30 歳を超えた。 中国に帰った方がましだ。」と考えるようになったという。 米国では最近、グリーンカード発行までに少なくとも 6 年かかる。 若い中国人留学生の中には「待つ間は転職や昇進の自由がない。 職はあきらめ中国に帰った方がましだ。」と考える人が増えている。 (RecordChina = 8-12-16)


中国・発電所施設で爆発、21 人死亡 湖北省

【北京 = 西見由章】 中国国営新華社通信によると、中国湖北省当陽市の発電所の施設で 11 日午後、高圧蒸気管が爆発する事故が発生した。 少なくとも 21 人が死亡、5 人がけがをし、うち 3 人が重傷を負ったという。 事故発生後、負傷者は病院に運ばれ、治療を受けており、現場では地元当局による捜索・救助活動が続けられている。 中国では鉱山や工場などでの事故が相次いでいる。 昨年 8 月 12 日には、中国天津市で大規模爆発が発生し、173 人の死者・行方不明者を出す深刻な被害をもたらした。 (sankei = 8-11-16)


リオ五輪の不都合な真実、表彰式の中国国旗が全部 "間違い" - 台湾メディア

8 月 7 日、台湾メディア・中時電子報は記事「きまずい! リオ五輪の中国国旗に間違い、中国製品か」を掲載した。 リオ五輪が開幕した。 ロンドン五輪ではメダル獲得数 2 位となった中国は早くも序盤からメダル獲得ラッシュにわいているが、表彰式で残念な事実が明らかとなった。 問題となったのは中国国旗。 掲揚された国旗がすべて間違っていたのだ。

「五星紅旗」と呼ばれる中国の国旗は、赤地に五つの星が描かれているデザイン。 一つの大きな星の回りに四つの小さな星が飾られているが、実は小さな星はそれぞれ角が大きな星に向くようデザインされている。 ところがリオ五輪で掲揚された国旗はいずれも小さな星が上を向いている。 よく注意しなければわからないが、明らかに間違った作りだ。

「ブラジルよ、何をしているのだ!」と怒りたいところだが、中国人民はなかなか拳を振り上げづらい立場にある。 というのも先日、中国メディアが報じたところによると、リオ五輪で掲揚される国旗の大半は中国企業が製造しているのだ。 間違ったデザインの中国国旗もメイドインチャイナの可能性が高い。 中国ネットユーザーの間では「やべぇ。 国旗を作ったのは中国企業だよ。 とほほ。」、「たとえメイドインチャイナでも責任はブラジルにある」、「こんな国なのによく五輪を開催できるな」、「国旗に間違いがあってはならない」などなど混乱したコメントが飛び交っている。 (RecordChina = 8-8-16)


中国の原発、作業員が事故隠し 1 年以上経って発覚

中国・広東省西部にある陽江原発で昨年 3 月、作業員の手順違反により、冷却システムが 6 分間停止していたことが分かった。 5 日付の香港紙サウスチャイナ・モーニングポストなどが報じた。 放射能漏れはなかったとしているが、同紙は「作業員がミスを隠そうとし、1 年以上も公表されなかった」と問題視している。 同紙によると、事故は 1 号機の定期点検中だった同年 3 月 22 日に発生。 作業員 4 人が作業手順に違反した結果、冷却システムが 6 分間停止したが、作業員は事故を記録せず、届け出もしなかった。 中国の環境保護省が先月下旬に 4 人の行政処分を公表して発覚した。

同省の発表では、事故隠しがどういう経緯で見つかったかや放射能漏れがあったかには触れていない。 同紙は専門家らに取材した上で放射能漏れなどの重大事故ではなかったとしているが、作業員が事故を隠そうとしたことから、「中国の原発の安全性における人的な弱さが明らかになった」と警告している。 中国は 2020 年に原発の発電能力を現在の 3 倍近い 5,800 万キロワットに引き上げ、電力供給の 5% とする計画を掲げている。 (香港 = 延与光貞、asahi = 8-6-16)


中国全土で大洪水 死者 300 名、被害額は 4 兆円以上

エルニーニョで降水量が例年より 21% 増えている中国はこの夏、過去 20 年で最悪レベルの洪水被害に見舞われている。 中国全土で何百もの都市が浸水し、6,000 万人の生活に影響が出ている。 50 万人以上が避難を余儀なくされ、300 人が死亡した。 河北省井ケイ(セイケイ)県では 2 日間の降水量が昨年 1 年間の雨量を上回った。 近くのケイ台市も過去最悪の洪水に遭い、北京市と武漢市も相当な被害を受けた。 水害の被害額は過去最大の 447 億ドル(約 4 兆 2,500 億円)に及ぶとチャイナ・デイリーは伝えている。

447 億ドルは 2008 年の北京オリンピックの開催費に相当し、米ワールドトレードセンターを 10 棟建設できる額だ。 ブルームバーグは、今年の洪水が中国の第 3 四半期の GDP 成長率を 0.2% 押し下げると見込む。 中国の都市の排水管は、猛烈な雨を受け止めきれず、氾濫水は道路にあふれた。 急速に進められた都市化が、被害を拡大したとの批判も多い。 中国は 35 年ほどの間で、450 都市をつくり、4 万平方キロメートルを都市化した。 その間に、高速鉄道網 1 万 9,000 キロ、29 の地下鉄、高速道路 6 万キロ超、100 か所近い新空港を建設した。

急激な都市化が洪水の原因

河川や池、湖といった自然水系管理システムは、舗装とコンクリートで窒息死してしまった。 武漢では全体の 3 分の 2 に相当する 87 の湖が、1949 年から 2015 年にかけて消失した。 北京大学建築景観設計学院院長のユー・コンジエンは、都市化によって中国東部では過去 30 年で湿地の 50% 以上が消失し、洪水を抑制する能力が著しく落ちていると指摘する。

中国住宅都市農村建設部によると、中国の都市の約半分は国の洪水防止安全基準を満たしておらず、1 時間あたりの排水能力は東京とニューヨークが 50mm なのに対し、武漢市は 34.5o、上海は 36o しかない。 ユー・コンジエンは都市の排水能力不足の理由を、自然に対する軽視、"無情" な都市化、市場の自由競争、国の腐敗が組み合わさった結果だと説明する。 中国では排水設備のような都市インフラへの投資は置き去りにされてきた。 中国の 2000 年から 2014 年の水害被害額は 3,000 億ドル(約 30 兆円)に達していた。 (Wang He、Forbes = 8-5-16)