オランダ大使公邸の公開

11 月 3 日、オランダ大使公邸が一般公開され、一階部分の応接スペースとお庭を拝見することができました。 日・祭日はとりわけ静かな公邸内外も、この日ばかりは賑やかで、きもの姿の来館者もあり、少しばかり華やいだ雰囲気になりました。

1928 年に設計され、既に、築 80 年を越えている木造二階建ての洋館ですが、丁寧に保守・管理されているようで、他の公園の中などに遺されている建物とは違って、ちゃんと生活の温もりを感じることができます。

壁に掛けられた古い絵画、控えめながらもしっかりとした造作のシャンデリア、テーブルに置かれた生花、さらには大ぶりなオブジェ、決して建物のたたずまいを損なうことなく、全てが自然に調和しています。

今はもう部屋のインテリアの一つになった二丁の火縄銃を見かけましたが、日本とオランダの外交・通商関係は、江戸時代初期より絶えることなく 400 年以上続いています。 銃・砲などの火器の導入が戦国時代を終わらせ、太平の世をもたらした事実も否定できません。

その江戸期に急成長した衣の分野でも、舶来品が日本文化を常に刺戟していました。 ラシャ・モヘアなど直輸入の毛織物、それにタイなどで仕入れられた赤色染料の「蘇木(スオウ)」など、長崎・出島には専用の倉庫まであったそうですから、オランダはしっかりと日本の基礎産業を支えていたのです。

日本とオランダの長い歴史の中で、先の戦争時の不幸な出来事もありましたが、皇族を戴く両国には共通点も多くあるようです。 日本の将来を見据える時、この国と良好な関係を維持していかなければならないのは言うまでもありません。

(竜、11-3-11)

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