三宅一生さんと東北の匠の技
『東北の底力、心と光。 「衣」、三宅一生。』展が、東京ミッドタウンの「21_21 DESIGN SIGHT」で開かれていました。 三宅一生さんの作品とそれを支えてきた東北の力と技が共に展示されています。
シナ布、からむし(苧麻)、紙衣、ぜんまい織、こぎん刺しなどの伝統の技。 ホームスパン、ニット、プリーツ加工など進化する技。 きものにお詳しい方でしたらよくご存じでしょうが、一つ一つ丁寧に素材から製品への過程がわかるように展示され、一覧できるよい機会をいただきました。
シナ布やからむしの衣を着るのは今、暑い季節! 南の芭蕉布に対して、シナ布はアイヌからの贈り物と言われているようです。 ぜんまいの綿毛を糸に手で絡ませて織り上げると、紬の節糸とは微妙に違った柔らかさが表現されます。 古代から延々と受け継がれてきた 100% 天然素材のものを身にまとうことが出来るとすれば何と贅沢なことでしょう。
ホームスパンはまさしく紬ですし、プリーツは型絞り(きょうけち)を連想させます。 一生さんが積極的に採り入れられた日本の素材も技法も、こうして元素材から作品までを目の当たりにすると、しっかりと計算され尽くされていることがよく解ります。
幾多の逆境をくぐりぬけて脈々と伝えられてきた東北の人々の力、他の分野と同様に、使われなければ、そして作る人がいなくなれば、残念ながら、自ずと消えていくのは避けられません。 今はしっかりと己が心の中に「伝統の技」、「匠の技」を刻み込むことなのかもしれません。
がんばろう 東北! がんばろう 日本!