肉筆浮世絵と江戸のファッション - 町人女性の美意識 -

昨年「サントリー美術館」で開かれた「小袖 江戸のオートクチュール」展のおさらいをするような展示会でした。 ただ、規模がぐっと小さいだけに、他の来館者に迷惑をかけることなく、一つ一つじっくりと見せていただけます。

こちらは、実際の小袖と「大谷コレクション」収蔵の肉筆浮世絵と並べて展示されていること、数は少ないものの保存のよい小袖が選りすぐられていること - 17 世紀のものも見事でしたし、褪色が低い縹色のものもありました。 - が特徴と言えそうです。

このように浮世絵と、実際に着用されていた「小袖」が一緒に展示されると、「浮世絵」が当時のファッションを忠実に再現しており、時の移り変わりで、今と同じように 'はやり' 、'すたれ' があったことを、改めて思い知らされます。

当時の日本の服飾は、捺染など技術的には決して一流品とは言い難いのかもしれませんが、そこに「手作業」という職人の技 - 金こま、刺繍、絞り、地紋など - が加わると「超一級品」に変身してしまいます。 今、同様の作業を再現して誂えると、手の届かない金額になってしまうことでしょう。

浮世絵を見ていつも思うのですが、だらしないと言われそうなほど、襟も裾もゆったりと着付けられています。 その上、帯は柔らかなものが大半で、それも、きつく締められているわけではないようです。

だからといって、毎日着られていた 'きもの' ですから着くずれすることなど無かったはずです。 今、着付けをお勉強されている方には、そこに '上達のヒント' があることに気づかれるかもしれませんね!

(竜、11-15-09)

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