豪雨の浸水、ピタっと止めるシート 愛知の業者が開発

ゲリラ豪雨や台風の際、玄関やガレージに貼って、浸水を防ぐというフィルムを愛知県豊橋市大村町のメッシュ製造会社「くればぁ」が開発した。 ウイルスも通さない高密度のメッシュフィルターに特殊な加工を施し、耐水圧性と超撥水性を備えた「水ピタ防水シート」。 「急な増水でも水は絶対に通しません」と PR している。 2 日から販売を始めた。 水ピタ防水シートの使い方は、玄関やガレージなどの前に専用テープで貼り付けるだけ。 水かさが増し、水圧がかかると隙間にシートが入り込んで浸水を防ぐ仕組みだ。 洗って何度でも使うことができる。 生地の厚さは 0.1 ミリで、畳んでしまえる。 軽くて収納スペースも小さくて済む。

土を詰めた土のうを運んで、積み上げる作業も必要ない。 そのため JR 東海浜松工場(浜松市)のほか、商店や病院などからすでに注文が入っているという。 基準価格は縦 1.4 メートル、横 1 メートルで 4,980 円。 吸盤付きやマグネット付きの商品もある。 同社は、エボラ出血熱や韓国で感染が広がった中東呼吸器症候群 (MERS) コロナウイルスへの対策として、高性能マスクを開発した。 シートにはこの技術を応用している。 (松永佳伸、asahi = 9-4-15)


防げ「限界マンション」 都が管理報告義務づけ検討

分譲マンションが荒れて「スラム化」するのを防ぐため、東京都は管理組合に対し、活動状況を自治体に報告することを義務づける条例制定を検討する。 都の審議会が 3 日午後、都に答申する。 条例ができれば都道府県で初めてという。 分譲マンションをめぐっては、住民の高齢化などで運営・管理の担い手が不足し、管理不全に陥るおそれが指摘されている。

答申するのは、都住宅政策審議会(会長 = 小林秀樹・千葉大大学院教授)。理事会や総会の開催状況や修繕・改修の実施状況、長期計画の定期的な報告を義務づけるべきだとする。 行政は住民の安全に関わる問題がある場合は指導や勧告し、従わなければマンション名を公表するなどの「罰則」も盛り込むよう求める。 (上沢博之、asahi = 9-3-15)


車捉えた防犯カメラ、捜査への活用は定着 中 1 遺棄事件

大阪府寝屋川市の中学 1 年、平田奈津美さん (13) の遺体が見つかった高槻市の運送会社の駐車場。 発見翌日の 14 日、隣接する解体工事会社に大阪府警の捜査員の姿があった。 「暗すぎて車体は見えないな …。 でも、ライトが動いている。」 捜査員はモニターを見ながらつぶやいた。 会社がバッテリー盗難対策として数年前に外壁に設置した防犯カメラの映像だった。 遺体発見現場が、その中に映っていた。

13 日午後 10 時 34 分 - 11 時 10 分、現場を行き来したり約 30 分停車したりする不審車両があった。 遺体発見の直前。 捜査幹部は「車種は特定できなかったが、時間を絞れたのは非常に大きかった。」と話す。 捜査本部は周辺の防犯カメラ映像を集め、前後に通過した車を集中捜査。 銀色の軽ワゴン車が浮上した。 「この車を追え。」 捜査本部は勢いづいた。 (asahi = 8-30-15)


増える「海外旅行は一人で」 晩婚化影響で家族旅行減少

日本人の海外旅行は一人旅が増加し、家族旅行が減る傾向にあることが、JTB 総合研究所の調べで分かった。 晩婚化などの影響が考えられるという。 JTB 総研が、昨年海外旅行した人に調査票を郵送して行き先や目的などを尋ね、回答を得られた 2,820 人の旅行計 4,376 件を分析した。 「一人旅」が 22.7% と最多で、「夫婦のみ」 20.5%、「友人・知人」 20.3%、「家族・親族」 20% と続いた。 一人旅の割合は、ほぼ同じ規模で調査し始めた 2001 年の 14.4% から増加傾向が続き、13 年に他の形態と比べて最も多くなった。 一方、家族・親族の割合は 01 年以降、減少傾向にあるという。 (中田絢子、asahi = 8-29-15)


防犯グッズ、IC タグでスマホで 問い合わせ増加

大阪府寝屋川市の中学 1 年、平田奈津美さん (13) と星野凌斗さん (12) が遺体で見つかった事件は、子を持つ親に衝撃を与えた。 子どもの安全をどう守るか。 様々な防犯グッズやサービスが関心を集めている。 阪神電気鉄道が 2011 年 4 月からサービスを始めた「ミマモルメ」。 7 年間電池交換が不要な IC タグをランドセルやバッグに入れておくと、子どもが登下校で校門を通過した際に家族にメールが送信される。 学校の設備工事費は同社が負担し、実際にサービスを使うかどうかは保護者が決める。

阪神沿線の小学校を中心に導入され始め、クラブ活動で帰宅が遅くなる中学生がいる家庭の利用者も増加。 関西地方の利用料は月 360 円。 サービス開始から 4 年経て、関西圏を中心に全国 657 校、約 14 万 2 千人が利用している。 大阪府吹田市立古江台中学校の PTA 会長、高木健さん (39) も利用者のひとり。 中学 3 年と小学 5 年の子どもがいる。 寝屋川の事件について「大阪の同年代の子どもが被害に遭った事件。 ひとごととは思えない。 子どもの安全を守るため、駅やショッピングモールのような人が集まる場所にも、同様の防犯サービスが利用できるようになれば。」と期待する。

子どもが持つスマートフォン向けアプリも注目を集めている。 米国の企業が開発した「Life360」。 全世界で 5 千万以上の家族らに利用されており、今年 3 月から正式に日本語版のサービスが始まった。 無料版と有料版があり、アプリで設定した場所(無料版は 2 カ所まで)に子どもが着いたり出発したりした際に家族に通知。 危険に巻き込まれそうな時に「緊急通知」ボタンを押しても家族に通知が届く。

大手警備会社セコムでも、全地球測位システム (GPS) を使ったサービス「ココセコム」を 01 年から提供(税抜き月額 900 円から)。 約 50 グラムの携帯端末に GPS 機能が内蔵され、契約者専用のウェブサイトで子どもの居場所を確認できる。 依頼すれば約 2,830 カ所の拠点からスタッフが駆けつける。

防犯グッズの中で特に普及しているのが、大きな音で異常事態を知らせる防犯ブザーだ。 大阪・ミナミの東急ハンズ心斎橋店では、主に子ども向けの商品約 20 種類を販売。 多くは千円以下で、最近はサッカーボールやドーナツ形など、デザインにこだわったものもある。 同店によると、寝屋川の事件後、客からの問い合わせが増えているという。 (石原孝)

防犯教育も必要

防犯・防災アドバイザーの角野博紀さんの話 子どもたちが犯罪に巻き込まれる確率を少しでも下げるため、防犯ブザーなどの防犯グッズやサービスを使うことは有効だ。 ただ、PTA や地域などの見回り活動、子どもに防犯意識を高める教育も必要不可欠だ。 中学生は塾やクラブ活動などで夜間に帰宅することが小学生の時より多くなる。 夜間に1人で出歩かない、知らない人に付いていかないなど、日頃から子どもに注意喚起するよう心がけることが大切だ。 (asahi = 8-27-15)


厚労省、終末期医療を全国で支援 - 来年度から、患者の意思尊重

厚生労働省は 23 日、治療によって回復の見込みがなく死期が迫った場合に、患者・家族の不安や悩みを聞き、みとりを含む終末期医療の選択肢など必要な情報を提供する相談支援チームの整備事業を、来年度から全都道府県で実施する方針を固めた。 高齢化率 25%、平均寿命が 80 歳を超えた日本は、年間死者数が 120 万人に上る。 厚労省は事業を通じ、「多死社会」を見据えた終末期医療の在り方を検討、将来の医療・介護提供体制見直しにもつなげる考えだ。 (kyodo = 8-23-15)


水不足に奇策? 貯水池に大量のボール 米ロサンゼルス

歴史的な干ばつに見舞われている米ロサンゼルス市で、深刻な水不足に対抗する「奇策」が導入されている。 貯水池から水が蒸発するのを防ぐため、市当局がソフトボールほどの黒いプラスチック製ボールを大量に湖面に浮かべた。 太陽光を遮ることでアオコなどの発生も防ぎ、市民の貴重な飲み水の品質を保つ効果もあるという。

米メディアによると、ガルセッティ市長らが 10 日、市最大級のロサンゼルス貯水池に 2 万個のボールを投入。 東京ドーム約 15 個分の広さにあたる約 71 万平方メートルの湖面は、計 9,600 万個の黒いボールで埋め尽くされた。 ボールは無害なポリエチレン製で、10 年間は使い続けられる。 年間で湖水の総量の約 1 割にあたる 110 万トンの蒸発を防ぐ効果があるという。

ボールの費用は総額 3,450 万ドル(約 43 億円)で、複数の地元企業が負担。 広大な湖面をカバーなどで覆うと 8 倍以上の費用がかかるため、安上がりという。 市内のほかの貯水池でも導入が始まっている。 カリフォルニア州ではここ数年、記録的な干ばつと大規模な山火事が続いている。 特に今年の水不足は深刻で、住民に 25% の節水を義務づける異例の州知事令が発令された。(ワシントン = 小林哲、asahi = 8-19-15)


今年のエルニーニョ、現代史で最大級の恐れ米気象当局

【マイアミ】 米気象当局は 13 日、今年始まったエルニーニョ現象が、ここ65年で最強レベルになる可能性があるとの予測を発表した。 エルニーニョ現象は、赤道太平洋の海面温度が上昇すると起きる現象で、世界各地に豪雨や干ばつをもたらす。 今年のエルニーニョ現象は 3 月に始まり、約 1 年続く見込みで、オーストラリア当局は既に、今年の同現象は「強く」かつ「相当な」規模になるとの予測を発表していた。

米海洋大気局 (NOAA) 気象予報センターのマイク・ハルパート副部長は 13 日、この傾向は依然として続く見通しだと発表。 「今月の新たな予測では、今年のエルニーニョ現象は 1950 年以降で最強水準になる見込みだ」と述べた。 前回のエルニーニョ現象は 5 年前に発生。 この影響により、東南アジアでモンスーン、オーストラリアやフィリピン、エクアドルで干ばつ、米国で暴風雪、ブラジルで熱波が起きたほか、メキシコで死者が出る洪水が起きるなど、深刻な被害が出た。 (AFP = 時事、8-14-15)


夏の夜ひんやり、快眠グッズ次々 節電意識が後押し

猛暑日が各地で相次ぎ、蒸し暑く寝苦しい夜が続いています。 少しでも気持ちよく眠りたい! そんな思いに応えてくれる「快眠グッズ」が次々、生まれています。 東急ハンズ梅田店(大阪市北区)は 5 月、寝具売り場に快眠グッズの特設コーナーを作った。 並ぶ商品は約 30 種類。 近畿地方が梅雨明けした 7 月後半から、買い求める客が増えたという。 売れ筋は、何度も洗濯できて清潔を保てる敷きパッドや枕パッド。 かつてはジェルパッドもあったが、洗濯ができないと敬遠されるようになった。

これまで自分用に買う人が多かったが、近年はプレゼント用として複数セットを買う人も。 売り場担当の上坂智治さん (35) は「機能重視に加え、おしゃれなデザインを求める人が増えてきました」と話す。 夏の快眠グッズが注目されたのは 2011 年の東日本大震災以降、節電意識が高まったことがきっかけだ。 その後相次いだ電気料金の値上げも後押しした。 例えば、震災以降、家庭向けを 2 回値上げした関西電力管内では、7 月の標準家庭の電気料金は値上げ前より 2 割近く上がっている。 電気代がかかるエアコンはできるだけ使いたくない、という思いが人気を下支えする。

そもそも、なぜ暑いと眠れないのか。 日本睡眠改善協議会(東京)常務理事の白川修一郎さんに尋ねると「人間は体の内部の体温が一定程度まで下がらないと眠りにつきにくい特徴がある」と教えてくれた。 高温多湿の日本の夏は、体の熱を逃がしにくいため、対策なしでは眠れなくなることが多い。 室内温度が 30 度以上ある場合は、寝ている間に熱中症になる可能性もある。 一晩中エアコンをつけるのは有効だが、エアコンを控えたいなら窓を開けて部屋の風通しをよくした上で、涼しく感じる素材の敷きパッドを活用したり、頭と足元を保冷剤で冷やしたりすると効果的という。

「快適な睡眠は寝付きのよさと、眠りについたあとの 3 時間で熟睡できるかがポイント」と白川さん。 今日も快眠グッズにお供願いましょうか。 (田幸香純、asahi = 8-11-15)

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「酷暑商戦」活況 エアコン 3 割増、涼感グッズも好調

猛暑が全国的に広がるなか、暑さをしのぐ関連商品の売れ行きがいい。 エアコンや冷たい飲み物、涼感グッズなどが、「酷暑商戦」を盛り上げている。 東京・秋葉原にある家電量販店「エディオン AKIBA 店」では、エアコンの売上高が 2 日までの 1 週間で、前年の同じ時期と比べて 3 割増えた。 この夏は、省エネなど 20 万円近い高機能のものが売れる。 関根康仁店長代理は「あまりの暑さに、思い切って買い替える人が多い」と話す。

5 日午後も、来客に追われていた高島屋大阪店(大阪市)のジュースバー。 最近 1 週間の売り上げは、前年の 1 割増しだ。 レモネードなど、さっぱりとした味が売れているという。 コンビニでは、アイスクリームや氷を使ったデザート、冷たい飲料がどこも前年より大きく伸びている。 ファミリーマートは 7 月、「抹茶フラッペ」などを緊急増産したばかり。 ローソンも氷を使った飲料が好調で、セブン-イレブンでは水やスポーツドリンクなどが 3 割増えた。

涼しさを演出するグッズも好調だ。 東急ハンズでは、水にぬらして使うクールタオル(約 500 - 2 千円)が 2 日までの 1 週間で、前年より 9 割増。首から下げて使う小型送風機(税込み 1,058 円)は、4 倍の売り上げだ。 こうしたグッズの売上高は、全体で 1.5 倍に伸びた。

7 月上旬の気温は平年よりも低かったが、中旬以降は厳しい暑さが続く。 気象庁によると、気温が 35 度以上の猛暑日を観測した地点は、8 月に入り 5 日連続で 100 を超えた。 ただ、あまりの暑さに外出を控えて「客足が急に減った(東京都内の屋外ゴルフ練習場)」というところもある。 第一生命経済研究所の永浜利広・主席エコノミストは「記録的猛暑だった年は 3 千億 - 4 千億円の国内総生産 (GDP) の押し上げ効果があった。 ただ、夏にお金を使いすぎると、秋以降に節約モードになる」と指摘している。

電力需給はゆとり

エアコンが欠かせない猛暑続きで、電気の使用量は伸びている。 しかし、電力需給は全国的にゆとりがある。 家庭や企業でエアコンの設定温度を上げたり、照明を LED に替えたりする節電が根づき、太陽光発電が急増しているためだ。 5 日は、最高気温が東京 35.2 度、名古屋 35.7 度、大阪 36.7 度などと猛暑日となった。 それでも、大手電力会社のピーク電力は、供給力と比べた使用率が「厳しい」「非常に厳しい」とされる 95% を超えたところはなかった。

使用率は、中部が 91% で「やや厳しい」だったものの、東京は 89%、関西は 89%、九州は 85% で、いずれも「安定的」だった。 いま、全国で原発は 1 基も動いていないが、東日本大震災後のような電力不足には陥っていない。 電力は足りている状況にある。 (asahi = 8-6-5)


特殊詐欺被害 236 億円、前年比 12% 減 今年上半期

特殊詐欺の 1 - 6 月(上半期)の被害額は約 236 億 5 千万円で、前年同期より 12.3% 減った。 上半期の統計が残る 2011 年以降、前年を下回るのは初めて。 一方で、警察が認知した件数(未遂を含む)は 7,007 件と前年同期比で 13.8% 増えた。 警察庁が 6 日に発表した。

被害額の減少は、現金を宅配便やレターパックで送らせる「送付型」の被害が減ったのが主な要因だ。 ATM の取引限度額のような歯止めがなく、1 件当たりの被害額が大きい。 昨年下半期の被害急増を受け、警察が取り締まりを強化。 送付先で摘発した容疑者は前年同期の約 10 倍にのぼる 124 人に上った。 被害額は約 72 億 4 千万円と前年同期比で 24.3% 減った。 警察が逮捕・書類送検した容疑者全体でも過去最多の 1,167 人で、前年同期を 27.7% 上回った。 (八木拓郎、asahi = 8-6-15)


夏休みの出費平均 8 万 9,296 円、3 年連続増 民間調査

明治安田生命保険が今年の夏休みに使うお金の額を聞いたところ、前年比 5.1% 増の平均 8 万 9,296 円だった。 3 年連続で増えた。 調査を始めた 2006 年以来、最高という。 同社は「ボーナスが増えつつあり、財布のひもが緩んできたのでは」とみている。 20 - 59 歳の男女 1,113 人にインターネットを通じて尋ねた。

夏休みの日数は平均 8.1 日で、前年より 1 日少なかった。 使うお金を地域別でみると、関東が 11 万 363 円で最も高く、次いで近畿の 8 万 7 千円。 甲信越・北陸が 5 万 8,936 円で最も低かった。 夏休みの過ごし方(複数回答)は「自宅でゆっくり」が 67.9% でトップ、国内旅行が 38.9%、帰省が 30.9% と続いた。 (asahi = 8-2-15)


平均寿命が女性 86 歳、男性 80 歳に 過去最高を更新

2014 年の日本人女性の平均寿命は 86.83 歳、男性は 80.50 歳だった。 いずれも過去最高を更新。 女性は 3 年連続で世界一、男性は前年の世界 4 位から 3 位に上昇した。 厚生労働省が 30 日に発表した「簡易生命表」で明らかになった。

厚労省は年 1 回、各年齢の人が平均あと何年生きられるかを示す「平均余命」の見込みを計算。 0 歳の平均余命が平均寿命となる。 14 年の平均寿命は前年と比べ、女性が 0.22 歳、男性が 0.29 歳延びた。 女性は心疾患や脳血管疾患、男性はがんや肺炎の死亡状況が改善したことが大きいという。 厚労省は、医療技術の進歩や健康意識の高まりが背景にあるとみている。 (田中孝文、asahi = 7-30-15)


DV 相談、10 万件突破 専門家「氷山の一角」

2014 年度中にあった配偶者らからの暴力「DV (ドメスティック・バイオレンス)」の相談件数が 10 万 2,963 件に上り、初めて 10 万件を超えた。 全国 247 カ所の配偶者暴力相談支援センターへの相談を集計したもので、調査を始めた 02 年度の 3 倍近くになった。 相談窓口の増加が背景にあるが、専門家は「氷山の一角」と指摘する。

内閣府が 29 日発表した。 女性からの相談が 10 万 1,339 件とほとんどを占める。 8 万 5,747 件は相談時点で事実婚も含め加害者と結婚していた。 1 万 2,694 件は離婚していた。 14 年に施行された改正 DV 防止法で新たに対象となった同居したことがある交際相手や元交際相手についての相談は、2,965 件だった。 また、被害者が障害者の事例は 5,387 件。 日本語が十分に話せない被害者からも 1,700 件の相談があり、フィリピン人や中国人が多いとみられる。 (長富由希子、asahi = 7-29-15)


世田谷区、同性カップルに公的書類発行へ 渋谷区に次ぎ

東京都世田谷区は、区内の同性カップルから申請があれば結婚に準じる関係と認める公的書類を発行する方針を決めた。 11 月をめどに実施する。 4 月に同性パートナーシップ条例を施行した渋谷区が同様の書類を発行しており、全国で 2 例目となる。

29 日の区議会常任委員会で区が報告した。 対象は 20 0歳以上の区内の同性カップルで、2 人の住所や氏名を記した「パートナーシップ宣誓書」を提出すれば、保坂展人区長名で「受領証」を発行する。 宣誓書は 10 年間保存するが、カップルの双方が望めば廃棄する。 渋谷区の条例は、区内の事業者が証明書に最大限配慮するよう定め、住居の賃貸契約や病院の面会時に戸籍上の家族ではないことを理由に断るなどした場合は、区が是正勧告をした上で事業者名などを公表できる。 一方、世田谷区の受領証にこうした効力はない。 (斉藤寛子、asahi = 7-29-15)

前 報 (2-12-15)


スーパーで通所介護 イオン、20 年度 50 カ所

流通大手イオンが、在宅の高齢者を対象に日帰りでリハビリ支援を行う通所介護(デイサービス)事業を本格的に展開することが 19 日、分かった。 首都圏を中心に傘下の総合スーパー内に施設を設け、2020 年度までに 50 カ所に拡大する方針だ。 施設名は「イオンスマイル」。 運営は、総合スーパー事業を手掛ける子会社のイオンリテール(千葉市)が行う。 主に開業から 30 年程度が経過した店に導入し、高齢化が進む周辺地域のニーズに対応する。 9 月にイオンノア店(千葉県野田市)に新施設を開き、今後、展開を加速させる予定。 (kyodo = 7-19-15)


YH って何? 施設数・利用者激減 門限もやめました

世界最大級の宿のネットワーク「ユースホステル (YH)」が、国内で受難の時代を迎えている。 施設数はこの 10 年間で 99 棟減少し、昨年の利用客数はピーク時の 10 分の 1、会員数は 20 分の 1 程度にまで落ち込んだ。 最近の客層は、他の客との交流を望みつつ、プライバシーを重視する傾向が以前より高くなったのが背景にあるという。

日本 YH 協会(東京)によると、昨年末現在の全国の YH 数は 220 棟。 1974 年末の 587 棟をピークに減少傾向だ。 73 年に 341 万人いた利用客数も昨年は 38 万 7 千人に。 国内外の YH で割引特典がある会員の数は、72 年末の 63 万 4 千人から 3 万 5 千人に減少した。 日本協会の広報担当、池田和誠さんは、YH の苦戦について、@ 安い宿全体の数が増えた、A インターネットの普及で安い宿探しが容易になり、ネットワークを持つ YH が必ずしも有利ではなくなった、B YH の建物が老朽化した、C 運営側が高齢化し、後継者も不足している - - の 4 点を主な理由としてあげる。 (藤原学思、asahi = 7-19-15)


男性がカットだけ、美容室も OK 厚労省がルール見直し

厚生労働省は、男性が髪のカットだけで美容室を利用することはできないとしてきた理容師法と美容師法のルールを見直した。 新たな通知を 17 日に都道府県などに出した。 「実態に合わず、形骸化している」との声が強く、政府の規制改革会議が 6 月、緩和を求めていた。

これまで残っていたルールは、1978 年の旧厚生省の通知がもとになっている。 美容師が男性にカットのみのサービスを提供することを禁じ、理容師が女性にパーマをすることも認めていなかった。 かつては男性は理容室、女性は美容室へ行くのが一般的だったが、いまでは男性がカットだけで美容室に行くのは珍しくなくなった。 新たな通知は、客の性別によってサービスを限定せず、「理容師がパーマを行うことは差し支えない」、「美容師がカットを行うことは差し支えない」などと明記。 「78 年の通知は廃止する」とした。 (田内康介、asahi = 7-18-15)


「子どもいらない」独身の若者、増える傾向 厚労省調査

子どもを望まない独身の若者が 10 年間で増えている。 厚生労働省が若者を対象に実施した調査で、2013 年は希望する子どもの数を「0 人」と答えた人が独身男性の 15.8%、独身女性の 11.6%。 03 年調査では独身男性が 8.6%、独身女性が 7.2% で、いずれも数ポイント上昇した。 厚労省が実施した「21 世紀成年者縦断調査」で明らかになった。 03 年は調査当時 21 - 30 歳だった 1 万 820 人の回答。 13 年も調査当時 21 - 30 歳だった 1 万 2,284 人の回答を集計した。 同じ質問をして、10 年間での若者の意識の変化を分析。 厚労省が 15 日に結果を発表した。

子どもを望まない独身者が増えた一方、既婚者は逆の傾向にある。 03 年調査で既婚者のうち「3 人以上」の子どもを希望する男性は 31.4%、女性は 30.4% だったが、13 年調査で男性は 46.2%、女性は 47.4% にそれぞれ増えた。 厚労省世帯統計室の担当者は「独身で子どもを望まない比率が高まったのは、非正規雇用の広がりや結婚を望まない人の割合が増えていることなど、複合的な要因が影響したと考えられる」と話している。 (久永隆一、asahi = 7-17-15)


電気料金、4 年連続で上昇 値上がり幅は家庭向け 25%

安倍政権は 14 日に閣議決定した 2014 年度の「エネルギー白書」で、電気料金が 14 年度まで 4 年連続で上昇したと指摘した。 値上がり幅は家庭向けで約 25%、企業向けは約 40% だった。 東日本大震災後に原発が止まり、「穴埋め」を担った火力発電への依存度が増し、化石燃料の輸入が増えたためという。

白書によると、14 年度の 1 キロワット時あたりの平均単価は家庭向けが約 25.5 円で前年度より 4.8% 増、企業向けは 7.5% 増の約 18.8 円だった。 化石燃料の輸入額は、10 年度の約 18 兆円から 14 年度には約 25 兆円にふくらんでいる。 主力となる液化天然ガス (LNG) の需要が 27% 増え、市場価格の上昇や円安の影響も重なった。 (平林大輔、asahi = 7-14-15)


総合スーパー、変身中 「欲しいものない」から脱却図る

総合小売り大手 3 社の 2015 年 3 - 5 月期決算が 8 日出そろった。 イオンとセブン & アイ・ホールディングスの営業利益は 3 - 5 月期としては過去最高。 ただ、総合スーパーはユニーグループ・ホールディングスも含め 3 社とも振るわず「変身」を進める。 イオンの総合スーパー事業は前年同期に続いて営業損失。 赤字額は 47 億円だ。 「一般的な商品をひと通りそろえた店は相手にされない。(イオンの岡崎双一執行役)」 セブンのスーパー事業と、ユニーグループの総合小売事業も、営業減益にあえぐ。

日本チェーンストア協会全体の売上高は 1997 年に 17 兆円近くあったが、14 年は 13 兆円だ。 加盟店減少もあるが、「何でも売っているが欲しいものはない」といわれる総合スーパー、特に衣料の不振が大きい。 この間、売上高に占める食品の割合は 5 割から 6 割に増えた一方、衣料品は 2 割から 1 割に下落した。 業界で「総合スーパー改革」が叫ばれて久しい。 取引先をたくさん抱えていることもあって歩みは遅いが、成果も出始めている。

イオンは傘下ダイエーの赤羽店(東京都北区)を先月、新装。 衣料品売り場を、生活用品の 3 階に集約。 空いた 2 階で、従来 1 階だけで扱っていた食料品や関連商品を扱い始めた。 「フードスタイルストア」と名付けた店の第 1 号。 新装後の売上高は前年より 4 割多い。 来春までに神戸市のダイエー三宮駅前店など 5 店に広げる。

割り切って専門店に頼る店も。 ユニーグループが 3 月に愛知県東海市に出した「ラスパ」は、衣料品や生活用品の自社売り場は最低限にし、ニトリや AOKI などの専門店を招いた。 地元密着も進む。 さいたま市のイトーヨーカドー大宮店は 4 月の新装にあわせチーズ売り場を強化した。 扱う種類は通常の 2 倍の約 220 。 総務省の最新の家計調査で同市のチーズ消費量は全国 4 位だ。 イズミが 6 月に広島県廿日市市に開いた店はスナック棚の 4 割がカルビー製品。 同社工場が近くにあるのを意識し、通常より 2 割広くした。

野村証券の正田雅史アナリストは「出店ペースを落としたりネットを活用したりすることも欠かせない」と話す。 (西尾邦明、大隈悠、asahi = 7-12-15)


ニッカとサントリーのウイスキーに最高賞 英国際品評会

蒸留酒を対象にした国際品評会「インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ 2015」が 8 日ロンドンであり、ニッカウヰスキーとサントリースピリッツの商品が最高賞「トロフィー」を受賞した。 ニッカの「フロム・ザ・バレル」は初受賞。 同社は最も優れたメーカーに贈られる「ディスティラー・オブ・ザ・イヤー」も受賞した。 サントリーの「響 21 年」は 3 年連続の受賞。 (asahi = 7-11-15)

前 報 (4-6-15)


きっかけは有働アナ わき汗防ぐ制汗剤、進化して大売れ

服のわきの下にできる「汗染み」を防ぐため、汗を出す「汗腺」にふたをして汗が出ないようにする制汗剤の改良が進み、幅広い年代の女性から人気を集めている。 開発のきっかけになったのは、NHK の朝の生放送番組での「わき汗論争」だった。 制汗剤は、薬剤をわきの下に塗ることで汗腺の出口をふさぐなどして、汗を出にくくするものだ。 ただ、従来品は、わきが服にこすれたり、肌が伸び縮みしたりした時に薬剤が取れやすく、効果が長続きしにくかった。

ライオンが昨年発売した「Ban 汗ブロックロールオン」は、ヘアスプレーなどに使われているポリマーを混ぜたことで塗った薬剤がコルク栓のように固まり、取れにくい。 汗を止める効果が長続きするようになり、日常的に動いても日中は効果が続くという。 買っているのは主に、服のわきの部分に汗染みが出来るのを嫌がる女性たちだ。 制汗剤は年 100 万個が売れれば成功とされるなかで、発売から 1 年 4 カ月で 500 万個売れた。 ライオンの Ban のブランドマネジャー、大古勝朗さんは「40 代以上を含め、幅広い年齢層の方に買っていただいて驚いた」と話す。

開発のきっかけは 2011 年、NHK の情報番組「あさイチ」での「わき汗論争」だ。 有働由美子アナウンサーが着る水色のブラウスのわきに汗がにじみ、視聴者が「見苦しい」と指摘。 有働アナが番組内で謝罪したところ、「仕方ない」、「私も悩んでいる」などの反応が相次ぎ、ネットでも話題になった。 そこでライオンが女性らから話を聞いたところ、「デートで恥ずかしい思いをした」、「集合写真で自分だけわき汗が写った」などの失敗談を持つ人が多いことがわかり、関心が高いとみて商品化を決めたという。

各社の新商品投入も相次ぐ。 今年 2 月にはニベア花王が同様の効果を持つ「8 x 4 (エイトフォー)ワキ汗 EX クリームカプセル」を発売。 制汗成分の濃度を高め、「特別に緊張する日の汗も抑える」という。 ロート製薬も 2 月、おもに若い年代向けの「リフレア 汗シールド」シリーズを売り出した。

薬剤で汗をふさぐことで健康上の心配は無いのだろうか。 各社によると、汗腺をふさぐ薬は汗をかきすぎる多汗症の治療で広く使われているという。 東京医科歯科大の横関博雄教授(皮膚科)は「汗腺から出られなかった汗は皮膚の角層などに吸収されるので、影響はない」とする。 肌の弱い人などは薬剤の刺激でかぶれる可能性もあり、各社は注意しながら使うよう呼びかけている。 (村井七緒子、asahi = 7-8-15)


ひまわり 8 号運用開始 カラー映像で天気予報の精度向上

気象庁は 7 日、気象衛星ひまわり 8 号の正式運用を始めた。 最先端のカメラを搭載し、カラー映像が見られることで、天気予報の精度の向上などが期待されている。 2022 年ごろまで活用する予定。 ひまわり 8 号では、積乱雲の発達や台風の目のほか、積雪や黄砂、火山灰などの様子が細かく観測できる。 7 号は 5 種類しか観測できなかったが 16 種類に増え、解像度は 2 倍になった。 撮影間隔も、7 号の 30 分間隔から日本付近では 2 分半間隔になった。 運用開始式で、西出則武長官は「台風や集中豪雨の監視を強めるなどし、国民の安全、安心にいっそう貢献していく」と話した。 (asahi = 7-7-15)


電力 4 社値上げ、6 社は値下げ 8 月、燃料の価格反映

電力 10 社と都市ガス大手 4 社は 29 日、8 月の電気、ガス料金を発表した。 燃料の液化天然ガス (LNG) 価格下落で、電力 6 社と都市ガス 4 社が値下げになった。 一方、原油価格は値上がりしており、石油火力の割合が高い電力 4 社は値上げとなった。 輸入燃料費の変動を自動的に毎月の電気・ガス料金に反映させる制度によるもの。 LNG 価格は 7 月の電気料金算定の際に参考にした価格から 11.2% 下落、石油価格は 5.8% の値上がりとなっていた。 (asahi = 6-30-15)


うるう秒、3 年ぶり実施へ システム障害懸念、廃止論も

今年の 7 月 1 日は、いつもより 1 秒長い 1 日になる。 午前 9 時直前に、3 年ぶりに「うるう秒」が挿入されるからだ。 平日の実施は日本では 18 年ぶり。 情報通信技術が広がるなか、わずか 1 秒の違いがトラブルを招きかねない。 企業などが対応を迫られる一方、国際社会では存廃も議論になっている。

地球の 1 日の長さは一定でない。潮流による海水と海底の摩擦、エルニーニョ現象などの影響、地球内部のマントルの動きなど様々な影響が合わさり、不規則に変化している。 このばらつきを調整するために導入されたのが「うるう秒」だ。 かつて使われた世界時 (UT1) は、地球の自転をもとに天文学的に決めていた。 1 周にかかる時間を 24 4時間とし、1 秒の長さを割り出す。 このため、1 秒の長さも変化する。 (山崎啓介、asahi = 6-28-15)


地震保険、最大 5 割値上げへ 政府など検討、平均 19%

政府と損害保険各社が検討している家庭向け地震保険料の値上げについて、上げ幅の上限を 50% とする方向で調整していることが分かった。 全国平均では 19% 値上げの方向で、最新の研究で地震の発生確率が高まった太平洋側の一部ではより上げ幅を大きくする必要があるとの判断だ。

地震保険は、地震や津波で壊れた家財や家屋を補償し、損害保険会社とともに国も保険金支払いの責任を負うもので、都道府県別ごとに保険料が決まる。 政府の地震調査研究推進本部は、昨年 12 月に南海トラフなど巨大地震を踏まえた新たな地震の発生確率を公表。 これを受け、政府と損保各社が値上げ幅を検討している。

関係者によると、損保各社でつくる損害保険料率算出機構が、上げ幅の上限について複数の案を検討しており、大規模地震の保険金の支払いに備えるためには上限を 50% とする案が最も有力という。 昨年 7 月にあった前回の値上げでは、全国平均は 15.5%、上限は 30% としていた。 都道府県別の保険料は今後、詳細を詰めたうえで夏以降に機構が金融庁に届け出る。 保険加入者の負担を考慮し、来年の秋以降、2 - 3 年かけて段階的に引き上げる方向だ。 (土居新平、asahi = 6-24-15)


子どもの人権 110 番、28 日まで強化週間 時間を延長

いじめや虐待など子どもの人権に関する相談に応じる「子どもの人権 110 番」が、受付時間などを拡大する「強化週間」に入った。 「子どもの人権 110 番」では、元教師らの人権擁護委員や甲府地方法務局職員が子どもや親などからの相談に応じている。 強化週間は 2006 年から、法務局と県人権擁護委員連合会が毎年、実施している。 相談は通常、平日午前 8 時半から午後 5 時 15 分までだが、22 - 26 日は午後 7 時までに延長。 27 - 28 日も午前 10 時から午後 5 時まで受け付ける。 無料で、秘密厳守するという。 相談は子どもの人権 110 番 (0120・007・110) へ。 (asahi = 6-23-15)


恋愛が面倒 … 恋人いない男女の 37% 「恋人いらない」

恋人がいない若者の 4 割弱は恋人が欲しくない - -。 内閣府が 22 日に公表した「結婚・家族形成に関する意識調査」で、こんな若者たちの「草食」ぶりが示された。 欲しくない理由として半数近くが「恋愛が面倒」という回答を選んだ。 調査は昨年 12 月 - 今年 1 月、20 代と 30 代の男女 7 千人を対象に郵送とインターネットで実施。 2,643 人 (38%) が回答した。 質問によって未婚、既婚に分けるなどして集計した。

未婚で恋人がいない 761 人に「恋人が欲しいですか」と尋ねると、「欲しくない」という回答が 37.6% に上った。 複数回答で挙げた理由は「恋愛が面倒 (46.2%)」、「自分の趣味に力を入れたい (45.1%)」が多かった。 交際する上での不安(複数回答)は、「出会いの場がない (55.5%)」、「自分は魅力がないのではと思う (34.2%)」と続いた。

出会いのためにしたいことを複数回答で聞くと、最多は「友人に紹介を頼む」の 47.3%。 一方、「民間の結婚支援事業を利用」や「自治体や NPO などの団体の結婚支援事業を利用」は 5% 前後と少なかった。 調査結果の一部は、22 日に閣議決定された 2015 年版の少子化社会対策白書に盛りこまれた。 (畑山敦子、asahi = 6-22-15)


貧困の連鎖絶ちたい 足立区、小学生 5,300 人実態調査

東京都足立区は子どもの貧困の実態把握のため、区立小学校全 69 校の 1 年生計約 5,300 人を対象に、健康や生活に関する調査を 7 月に始める。 区によると、子どもの貧困対策を進めるため、特定の年代の子ども全員を対象に数千人規模の調査を行うのは国内では例がないという。

近藤弥生区長が 17 日の記者会見で明らかにした。 調査は 7 月にまず数校で実施。 保護者にアンケート用紙を配り、所得や学歴、勤務形態を尋ねるほか、子どもについては、▽ 虫歯の有無、▽ 起床・就寝時間、▽ 朝食をとる習慣などを無記名で回答してもらう。 夏休みまでに回収し、調査方法を見直すかどうか検討した上で、10 月までに全 69 校で行う。

調査結果の入力と集計は区と協定を結ぶ国立成育医療研究センターが実施。 区は子どもの健康や生活習慣に与える貧困の影響などを検証し、親の代からの貧困の連鎖を断てるような施策を検討する。 今年度内に報告書をまとめるという。 区によると、2013 年の区内の 18 歳未満人口は 00 年からほとんど変わらないが、生活保護受給世帯の 18 歳未満人口は 1.5 倍に増加している。 近藤区長は「厳しい家庭が多い区だからこそ、区としてフォローしていく姿勢を示したい」と話した。 (佐藤純、asahi = 6-18-15)


18 歳選挙権、高齢化に一石 16 年夏参院選、有権者 240 万人増

選挙権年齢を 20 歳以上から 18 歳以上に引き下げる改正公職選挙法が 17 日の参院本会議で成立し、来年夏の参院選から 18、19 歳が投票できる。 選挙権年齢の変更は 1945 年の女性参政権以来 70 年ぶりで、日本政治にとって一つの転換点だ。 若年層の声を生かす工夫がなされれば、政策決定に高齢者の意見が反映されやすい「シルバー民主主義」の行き過ぎに一石を投じる可能性がある。

施行後初めて公示する国政選挙から実施する。 まず来夏の参院選で 18 歳選挙権が実現。 その後、地方選挙に適用する。 18、19 歳の未成年者約 240 万人が新たに有権者に加わる。 全有権者のうち 2% 程度の割合にすぎないが、これをきっかけに若年層の選挙への関心が高まれば、低迷してきた投票率を底上げする可能性がある。 2014 年衆院選は投票率の最も高い 60 代が 68.28% で、20 代は 32.58% にとどまった。

20 歳で選挙権を得るこれまでの日本の仕組みは、世界を見渡すと主流ではない。 欧米諸国は 70 年代に相次いで選挙権年齢をそれまでの 20 - 21 歳以上から 18 歳以上に引き下げている。 米国の場合、ベトナム戦争で兵役につく若年層への見返りといった側面もあった。 いま日本が直面している少子高齢化という人口構造の問題は各国共通の悩みだ。 各政党が掲げる政策も高齢者に利益をもたらす社会保障の重視に陥りがちで、財政事情は厳しいのに膨らむ社会保障費を抑えきれない。 そんな状況は「シルバー民主主義」とも呼ばれる。

選挙権年齢引き下げはシルバー民主主義の行き過ぎを抑える手段の一つだ。 オーストリアは 07 年、18 歳以上だった選挙権年齢を 16 歳以上に引き下げるとともに、学校でも政治教育に力を入れた。 13 年の国政選挙の投票率は 75%。 若年層は全体より低いが、16 - 17 歳は 63%、18 - 20 歳は 59% だったという。

若年層の政治参加の拡大には被選挙権の議論も避けて通れない。 被選挙権年齢は衆院議員や地方議員が 25 歳以上、参院議員や都道府県知事 30 歳以上。 国会審議では引き下げを検討すべきだとの指摘も相次いでいた。 18 歳選挙権を立案した与野党プロジェクトチームで今後、議論する。 「20 歳以上」とする民法の成人年齢や「20 歳未満」の少年法の適用年齢の引き下げも検討されている。 民法改正案に関しては秋の臨時国会への提出が視野に入る。 (nikkei = 6-18-15)