iPhone を大量不正契約、中国人 13 人逮捕

勤務先の携帯電話販売店で、他人になりすましてスマートフォン「iPhone (アイフォーン) 6」を大量に不正契約したとして、大阪府警は 1 日、ソフトバンクの契約社員・王紅●(= 草冠に心が三つ、32、兵庫県伊丹市)、元契約社員・王媛(32、神戸市)両容疑者ら中国人の男女 13 人を電子計算機使用詐欺などの疑いで逮捕した、と発表した。

府警は、2 人が昨年 8 - 11 月、iPhone6 やタブレット型の「iPad (アイパッド)」など約 300 台(総額約 4,000 万円)の不正契約に関与し、その大半が転売されたとみている。 発表では、2 人は仲間らと共謀し、大阪市北区の販売店で働いていた昨年 10 - 11 月、滋賀県内の技能実習生の中国人 3 人の名義を使って、iPhone6 や iPad など約 30 台を契約し、だまし取った疑い。 2 人は容疑を否認。 グループの一部は「中国にいるリーダーの指示でやった」と供述しているという。 (yomiuri = 7-2-15)


賃金未払い・セクハラ … 中国人技能実習生が提訴へ 農家側は反論 茨城

鹿行地域で技能実習生として農業に従事していた中国人女性 (29) と、受け入れ団体の元職員の中国人男性 (42) が、実習先の農家や受け入れ団体に対して、未払いの賃金や慰謝料など計約 1,300 万円の損害賠償を求める訴訟を、26 日にも水戸地裁に起こすことが分かった。 女性と代理人の弁護士らが同日、都内で記者会見を開き経緯を説明する。

女性の代理人の弁護士によると、女性は平成 25 年 9 月に来日し、昨年 11 月ごろまで鹿行地域の農家で技能実習生として大葉の収穫作業をしていた。 夜には、収穫した大葉を 10 枚 1 束に輪ゴムでまとめる作業をしていたが、この作業に時給換算で 300 円程度しか支払われていなかったという。 女性は実習先の農家に寝泊まりをしていたが、農家の家族の男性が女性に下半身を露出したり、入浴中に浴室に押し入ろうとするなどのセクハラ行為も受けていたとしている。

女性から相談を受けて、警察に連絡した受け入れ団体の中国人男性も、受け入れ団体を不当に解雇されたとして賠償を求めている。 農家と受け入れ団体側の代理人の弁護士は、産経新聞の取材に対し「大葉をまとめる作業は、1束 3 円で外注していたものを、女性を含む 5 人の実習生側が『1 束 2 円で良いのでやりたい』と言ったので任せていた。 セクハラについては事実無根で、他の実習生から『セクハラ行為はなかった』との証言を得ている」と反論している。 (sankei = 6-26-15)


労働力人口は減少、移民受け入れしかない 野口悠紀雄氏

外国人労働者受け入れ拡大

記事コピー (asahi = 12-24-13 〜 6-22-15)


中国人実習 遠のく足

日本実感の機会 円安が影

記事コピー (asahi = 6-16-15)


日本式介護学ぶ 中国人医師、看護師計 5 人 御殿場

急速に高齢化が進む中国で日本のきめ細かな介護を普及させようと、中国人の医師、看護師計 5 人が、御殿場市内の福祉施設で研修に励んでいる。 帰国後に福祉の人材育成を担う予定の 5 人は「日本の良い点を取り入れながら、介護制度が整備途上にある中国の実情に合った介護を確立したい」と話している。

きめ細かな対応 施設で実地研修

60 歳以上の人口が 2 億人を超えている中国では、一人っ子政策の影響もあり高齢化率が加速している。 中国政府は介護制度の整備を重要施策に位置付けているが、「介護は家族が行うもの」という国民の認識が根強く、課題が多いという。 5 人の研修は 4 月から 6 月末までの 3 カ月間。 医療法人社団青虎会系列の福祉施設の介護福祉士や看護師らが講師を務め、施設で働く中国人スタッフも日本語のテキストを中国語に訳したり、講義内容を通訳したりしてサポートしている。

歩行介助の講義では、優しく声を掛けたり、常に相手のペースを考えて動いたりする介護の基礎を学んだ。 研修生の一人は「ここまで丁寧にやるのかと驚いた」と語る一方で、「入浴や排せつなどの介助まで他人が行うことに抵抗を感じる中国人は多いと思う。 担い手を増やし、介護サービスを理解してもらう必要がある。」と話した。

別の研修生は 3 カ月間の研修では介護を十分に学ぶには短いと指摘し、「もっと多くの研修生が来日でき、長く学べる制度をつくってほしい」と訴えた。 研修生を受け入れている同市の公益財団法人日中人事交流援護会は、長期にわたり日本で現場経験が積める技能実習制度を介護分野にも適用するよう国に求めている。 土田博和理事長は「技能実習制度を活用することで、海外の人材を育てるとともに日本の人材不足の解消にもつながる。 しかし国の腰は重い。 民間から法改正の風穴を開けたい。」と話す。 (静岡新聞 = 6-9-15)


国籍なきロヒンギャ族 実は群馬・館林に定住進む

ミャンマーから日本に逃れてきたイスラム教徒のロヒンギャ族の人たち。 群馬県館林市を中心に 200 人以上が暮らす。 1990 年代から偽造旅券などを使い来日し、難民認定されたり、在留資格を与えられたりして徐々に定住が進んでいる。

仏教徒が多いミャンマー。 政府は彼らを移民とみなし、国籍を認めていない。 移動や結婚も制限している。 迫害のない生活を求めて来日したが、「無国籍者」を認定する法的な仕組みがなく、日本語学習など公的支援を受けることができていない。 5 月には東南アジアで密航船から大勢のロヒンギャ族が救出され、国際的に問題が広がっている。 日本にも無国籍者の権利保護をうたう国際条約への加入や、法的な位置づけが求められている。 (鬼室黎、asahi = 6-6-15)


殺人未遂 : 容疑でフィリピン人実習生逮捕 / 長野

知人男性を刃物で切り付けたとして佐久署は 29 日、川上村原、フィリピン国籍の農業実習生、パティ・ロマン・カルピオ容疑者 (23) を殺人未遂容疑で逮捕した。 同署によると「殺すつもりはなかった」と、容疑を一部否認しているという。

逮捕容疑は、同日午前 0 時ごろ、自宅の実習生寮で、訪ねてきた実習生仲間のフィリピン人男性 (22) の頭などをナタのような刃物で切りつけ、重傷を負わせたとしている。 男性は命に別条はないという。 村によると、外国人農業実習生は現在、中国やベトナムなど 6 カ国の約 630 人を受け入れており、フィリピン人が最多の約 230 人。 受け入れ団体を通じて農家で働き、出荷量日本一のレタス栽培などを支えている。 産業建設課職員は「このような事件が起きて誠に残念」と話した。【安元久美子、武田博仁、mainichi = 5-30-15】


中国人技能実習生にエール送る さぬき市商工会

中国人技能実習生を受け入れているさぬき市商工会(尾崎勝会長)の 2015 年度の実習開講式が 28 日、香川県さぬき市志度の市商工会本所であった。 会員企業で働く新実習生が関係者らの激励を受け、技術や知識の習得に意欲を示した。 受け入れ事業は旧志度町商工会が始めたものを合併後も引き継ぎ、本年度で 16 年目。 今回の実習生は中国・山東省出身の 22 - 47 歳の男女 22 人で、市内の 9 事業所が受け入れ先となり、縫製や溶接などの職場で 1 - 3 年間、研修に励む。

開講式には、実習生や事業所の担当者ら計約 40 人が出席。 尾崎会長は「日本のものづくりに対する姿勢や組織のあり方も学び、運命を変える機会となることを願う」とエールを送り、実習生一人一人が日本語で自己紹介した。 代表の禹敦意さん (35) は「私たちには夢があり、異国の生活も我慢できると信じている。 皆さんと一緒に頑張りたい。」と決意を述べた。 (四国新聞 = 5-29-15)


保証金、禁止でもなお 1 割実施 厚労省の技能実習生調査

厚生労働省は 22 日、技術を学んでもらう名目で受け入れる外国人技能実習生の調査結果を発表した。 実習生や親族が送り出し国の仲介団体に保証金を払うことは省令で禁止しているが、いまだに続いている実態がわかった。 3 年の実習を終えて昨秋に帰国した技能実習生を調べた。 対象は中国、ベトナム、インドネシア、フィリピン、タイの 6,274 人で、仲介団体などを通じて調査票を送付。 578 人から回答があり、回収率は 9.2% だった。

このうち 11.6% が、仲介団体などに「保証金(不動産を含む)などを預けた」と答えた。 保証金の徴収は、経済的負担が増えて残業などを助長するとの指摘があるために禁じられている。 「預けた」うち、全額返還は 67.2%。 3 割以上は全く返還されなかったり、一部しか戻ってこなかったりした。 調査はこれまで、受け入れ支援や指導を担う公益財団法人国際研修協力機構に委託して実施していた。 だが、実習生の保護が不十分だとの批判から、新たな監督機関をつくるなど実習制度の見直しを検討している。 あわせて調査の委託先も独立行政法人労働政策研究・研修機構に変更した。 (asahi = 5-23-15)


観光だけじゃない! ニッポンにいる外国人の素顔

ベトナムから来る留学生や技能実習生、インドから来る IT 技術者や料理人、中国から来る経営者 ・・・。 外国人観光客の増加が話題になる中、実は、仕事や勉強で日本にやってくる外国人も増えている。 日本と海外を行き来する人たちの素顔を統計データで探り、ビジュアルなグラフで分析してみた。 (nikkei = 5-18-15)


違法行為の監督強化を 小池議員 外国人実習生問題ただす

日本共産党の小池晃議員は、12 日の参院厚生労働委員会で、外国人技能実習生に違法行為が横行する事態のまま、外国人実習生の規模と業種の拡大は許されないと追及しました。 安倍内閣は、今国会に外国人技能実習生法案を提出し、期間を 3 年から 5 年に延長し、建設、介護分野に拡大しようとしています。

小池氏は、受け入れ機関は 3 万 3,000、実習生は 16 万 9,000 人だが、実習生受け入れ機関の労働基準法違反は 79.6% に及ぶのに、受け入れ禁止は 241 件だと指摘しました。 そのうえで、徳島県の縫製業・日産常盤などで働いていた中国人実習生 20 人が今年 2 月、賃金未払いで労働基準監督署に申告したことを指摘。 日産常盤の社長が、徳島労働局の地方労働審議会使用者側委員であることもあきらかになりました。

小池氏は、「1 年間で休めるのは元旦と花見の 2 日だけ。 1 日 5 - 6 時間の残業で、残業の時給は 350 円に満たない。未払い分は 1 年で全員がそれぞれ約 100 万円。 残業は月 204 時間のときもあった。」と実態を告発。 「昨年、労基署が賃金未払いを指導したのに、解決していない。 過去の未払いは是認するのか。」と迫りました。

塩崎恭久厚生労働相は、「厳正に対処する。 制度を適正化するのはまったなしだ。」と答弁。 小池氏は、「これだけ問題が出ている。 適正化して成果がでてから拡大するならわかるが、適正化と同時に拡大するのは乱暴だ。」と批判し、違法行為をした企業の受け入れ禁止、入管と労基署の体制を強化するよう求めました。 (しんぶん赤旗 = 5-14-15)

◇ ◇ ◇

外国人実習生賃金未払い 小池・仁比氏 政府に対応要請

時給 350 円 / 年間休日 2 日のみ

徳島市の企業が中国人実習生に対し、賃金未払いのまま解雇しようとしている問題で、日本共産党の小池晃、仁比聡平両参院議員が 28 日、厚生労働省と法務省に対応を求めました。 問題となっている企業は、日産常盤株式会社です。

昨年 5 月、帰国予定の実習生が未払い賃金の支払いを求めて徳島労働基準監督署に申告し、それ以降の未払いはなくなりました。 しかし、それ以前の未払い分が解決していないとして、今年 2 月に 7 人が申告。 未解決だったため、今月 24 日に社長に支払いを求めたところ、「仕事をしなくてもよい」と言われ、翌日には中国人実習生 20 人分のタイムカードも撤収されてしまいました。 送り出し企業の社長も、実習生を本国に送還させると言明。 未払い分が支払われない恐れがあります。

実習生が 1 年間で休めるのは元旦と花見の 2 日間だけで、1 日に 5 - 6 時間の残業があったといいます。 時給に換算すると 350 円足らずで、未払い分は 1 人あたり 100 万円程度と見られます。 小池氏は「緊急に連携をとり、未払い分の解決をはかってほしい」と求め、仁比氏は「本人たちの要求をきちんと聞く場を設定すべきだ」と要望。 両省の担当者は「関係者と相談し、どんな対応が一番望ましいのか判断したい」と答えました。

政府は今国会に、外国人実習生制度に関する法案を提出しましたが、新たな監督機関の設置にとどまっており、実習期間延長などの改悪をすすめようとしています。 (しんぶん赤旗 = 4-29-15)


鹿島署、中国実習生に安全指導 交通・防犯

中国人技能実習生を対象にした交通安全・防犯指導が、鹿島警察署であった。 4 月から鹿島、嬉野の両市内に住んでいる女性実習生 12 人が、日本の交通ルールや防犯の心構えを学び、新生活への不安を和らげた。 同署で 5 年以上続いている取り組み。 まず生活安全課の職員が管内で自転車の盗難被害が多発している現状を示し、盗難防止の鍵を配って使い方を指導。 「事件や事故に遭ったら 110 番を」と語り掛けた。

交通課は交通標識の意味などを紹介する DVD を見せ、警備課は身分証明書として「在留カード」を常に携帯し、警察官に提示を求められたら応じるようを呼び掛けた。 実習生の世話をする「かささぎ協同組合(鹿島市)」の藤永政紀理事長 (59) は「中国とは交通ルールが全く異なるので、こうして分かりやすく説明してもらえるのはありがたい。 警察官の親身な姿に、何かあったら頼れるという印象も持ってもらったのでは。」と話した。 実習生の在留期間は 3 年間で、今月から両市内で働き始める。 (佐賀新聞 = 5-11-15)


国境超えた絆、喜びの和太鼓 インドネシア実習生のディタさん

和太鼓の音色よ、母国のインドネシアに届け -。 同国の中部ジャワ州から技能実習生として来日中のディタ・ラフマワティさん (28) = 宇部市 = が、日本の和太鼓愛好家約 30 人と息の合った演奏を披露した。 広島太鼓保存会(海田町)の一員として、パフォーマンスひろばのステージに青い法被姿で参加した。 太鼓やかねに合わせ、バチを大きく振ってドン、ドドーン。 「緊張したけど全力を出し切れた」と胸を張った。

和太鼓との出会いは 10 年前。 現地の日本語学校で教師をしていた保存会メンバーの椋目スミ子さん (67) = 安佐北区 = に誘われ、指導を受けた。 2007 年に 2 週間ほど日本に滞在し、FF に初出場。 帰国後は同じ日本語学校で太鼓を指導する立場になった。 13 年 10 月に再び来日し、本場のステージは 8 年ぶり。 「雨でも演奏が乱れない。 やっぱり日本人は真面目。」とお国柄の違いを実感した。 実習期間は 16 年 10 月まで。 「来年も FF の舞台に立ちたい」と願うとともに「母国でチームワークの素晴らしさを伝えたい」との思いも強めた。 (山瀬隆弘、中国新聞 = 5-5-15)


中国人女性「日本へ出稼ぎ、3年働き家を買った」

中国ネット「日本人に頭を下げて稼いだ金」、「骨まで貧しくなれない」、「日本で暮らしたら帰れない」

4 月 26 日、北京青年報は、「日本へ行ったアパレル工場の女性工員が 3 年働いて家を買った」という記事が中国のインターネット上で話題を呼び、日本への出稼ぎに再び関心が寄せられていると報じた。 1987 年に日本への技能実習生派遣を開始した北京のある仲介業者によると、この 20 年余で派遣した 5,000 人のうち 6 割が女性だった。 技能実習生は、日本では機械加工や水産加工、電子部品組立、縫製、溶接、石材加工、プラスチック成形、食品加工業など、ローエンドな生産現場で働くことが一般的だ。

だが、為替が下がり物価高の日本で、「3 年働けば家を買える」という目標は実現が難しい。 この業者が昨年派遣した実習生によると、日本では最低でも月に 12 万円、平均的には 16 - 18 万円を稼ぐことができ、「3 年で持ち帰ることができる金額は 380 万円(20 万元)程度」だという。 この仲介業者は、日本派遣前の集合研修も行っており、日本の企業文化や社会習慣に合わせるため、靴を上履きに履き替えることやごみの分別、4 種類のお辞儀の仕方まで教えている。

この話題について、中国のインターネット上にはさまざまな声が寄せられている。 「仮に自分がとても貧しく、日本へ行けば 3 年で 20 万元稼げるとしても、絶対に行かない。 なぜなら日本人に頭を下げて稼いだ金だから。 懐が寂しくても、骨まで貧しくはなりたくない。」 「労働の対価として金を受け取って何がいけない。 それが日本でだとしてもだ。 日本へ行くのは売国奴だ、気骨のないやつだ、という論調には同意できない。」 「3 年でたった 20 万元? 中国の大都市でもそれくらい稼げるだろ。 まさか仲介業者がかなりの額を抜き取っているんじゃないだろうな。」

「技能実習で日本へ行った同僚が間もなく帰国するけど、政治的な問題を抜きにすれば、日本人の民度はとても高いと言っていた。 歩道はきれいに掃除されているし、人に会えばみな丁寧にお辞儀をするそうだ。」 「娘が日本で働いているという友人によると、日本のドライバーは信号が赤に変わる前から停車し、後ろからクラクションを鳴らす人もいないそうだ。 高速道路が空いていたので『もっとスピードを出せ』と言ったら、『ここは日本よ。 中国だと思ってるの。』と娘にたしなめられたという。」

「『お前は中国人なんだからいずれ帰国するんだろ』と言ったら、『帰国したいけど、日本人の素養の高さを知ってしまったら戻れない。 愛国とかそういうこととは関係ない』と娘に言われたそうだ。」 (RecordChina = 4-28-15)


茅野市・外国籍市民の減少鈍化 「景気回復で研修生増」

(長野県)茅野市に暮らす外国籍市民(3 月 31 日現在)は前年同期比 15 人増の 732 人で、リーマン・ショックで 2009 年から続いていた減少傾向が鈍化していることが、市市民課のまとめで分かった。 景気回復で市内企業に派遣される外国人研修生が増加した影響ではないか、とみている。 同市の統計によると、近年は 04 年の 1,193 人がピークで、ブラジル人が半数近くを占めていた。 その後、リーマン・ショックの影響で雇用情勢が急激に悪化。 外国籍市民は減少に転じ、09 年には 1,000 人台を割り、13 年には 718 人に落ち込んでいた。

外国籍市民は 32 カ国、732 人(3 月 31 日現在)。 国別だと中国 192 人(前年同期比 15 人減)、フィリピン 171 人(同 15 人増)、ブラジル 107 人(同 11 人減)、韓国 75 人(同 6 人減)、その他が 187 人(同 32 人増)だった。 研修生は経済発展が続く中国が減り、ベトナムやタイ、ミャンマーなどの東南アジアが増加傾向。 市委嘱の相談員が受けた 14 年度の相談件数は前年度比 68 件減の 183 件で、内容は「教育」 58 件、「仕事・年金・税金」 25 件、「入国関係」、「国籍・戸籍」各 24 件、「医療・福祉」 18 件となっている。

16 日には市役所で相談員の委嘱式があり、柳平千代一市長が女性 6 人に委嘱書を手渡した。 同制度は 1999 年に市独自に始め、毎月第 3 木曜に市役所で相談員が英語や中国語、タガログ語、ポルトガル語に対応している。 個別に関係機関への橋渡しも行う。 相談員からは「(英語や日本語を話せない)その他の国の人が増えている。 どう対応するかが課題」、「災害時の支え合いを早急に考えてほしい」、「何かが起きないと相談に来ない。 こちらから出向くことも必要。」といった意見が出たほか、相談員の後継者不足を懸念する発言もあった。 (長野日報 = 4-17-15)


外国人技能実習制度拡大で高まる日本の移民議論

【東京】 労働人口が減少するなか、日本は海外からの労働者で介護スタッフやコンビニエンスストアの店長、建設作業員などの人員を穴埋めしようとしている。 だが、日本政府は移民を増やすよりも、米国などが人権侵害の疑いがあると批判する「インターンシップ(実習)」プログラムで対応しようとしている。 安倍晋三首相と政府は、外国人が働きながら日本の技能を学ぶ「外国人技能実習制度」の対象職種を介護にも広げる準備を進めている。 昨年には外国人が建設作業に従事できる期間を延長。 現在はコンビニ店員も対象職種に加えることを検討している。

大半の労働者の就労期間が最長 3 年に限定されているこの制度が続くことは、日本が直面するジレンマを映し出している。 急速に進む日本社会の高齢化を受け、エコノミストらは今より多くの外国人労働者を早期に確保する必要があると指摘する。 ただ、安倍首相の姿勢からも見て取れるように、単純労働に従事する外国人労働者の流入を望む日本人はほとんどいない。

安倍首相は 2 月、技能実習制度の拡大に関する野党からの質問に対し、「安倍政権として(より開放的な)移民政策を取る考えはない」と発言した。 また、安倍氏は「特に欧州で、いわゆる移民政策の中において、さまざまな課題や問題が発生しており、そうした課題を分析する必要がある」とも述べている。

法務省によると、この制度を利用する外国人技能実習生の数は現在 16 万 7,000 人ほどで、大部分を中国人とベトナム人が占めている。 政府は技能実習制度を人道的なものと位置づけ、技能を身につけた外国人が将来母国に帰り、地元経済の発展に貢献することを狙っていると説明している。 ベトナム政府は昨年、技能実習制度を通じた農業労働者の派遣人数拡大などで茨城県と覚書を締結した。

しかし、米国務省が発表した 2014 年版の「人身売買報告書」では、技能実習制度が強制労働や束縛、効果的な労働者の監視・保護の欠如など、人権侵害につながる危険性をはらむ外国人労働プログラムだと描写されている。 報告書は「『実習』期間中、移住労働者が(制度本来の目的である)技能の教授または育成ではない仕事に従事させられる」と指摘している。

この批判を受け、政府は先月に技能実習制度の監視機関を創設する法案を提出した。 厚生労働省の関係者は、介護実習生が単に低賃金労働者として搾取されることのないよう、政府が外国人労働者に日本語の習得を義務付けたり、実習生と正規スタッフとの比率を定めたりする計画だと話した。 一方で、技能実習制度の拡大が長期的な労働力不足の解消につながると主張する政府関係者はいない。

国立社会保障・人口問題研究所によると、日本の人口は向こう 45 年間で現在の 1 億 2,700 万人から 4,000 万人以上減少する見通しだ。  最も労働力が不足しているのが医療介護業界で、特に高齢者介護の分野で人手不足が目立つ。 急速な高齢化を受け、政府は今後 10 年間で介護職員を 70 万人増員する必要があると見込んでいる。

だが、肉体労働である上に給料が平均賃金を下回る介護の仕事に就こうとする日本人は、あまり多くない。 すでに高齢者にもしわ寄せが及んでいる。 トラック運転手を引退した渡辺一昭さん (71) は数年前に脳卒中を起こし、まひが残った。 渡辺さんには頼る家族もなく、政府の認可を受けていない東京のグループホームで、6 人の見知らぬ人と共同生活を送っている。

厚労省によると、政府の補助を受けたグループホームに入れない、渡辺さんのような高齢者の数は 50 万人に上り、数年前から約 25% 増加したという。 政府は無認可のホームの存在を認識しているが、無理に規制を押し通すことはしていない。 多くの高齢者にとって、無認可のホーム以外に行き場がないからだ。 渡辺さんは「行くところがなかったらどうしようもない」とし、「高速道路の下や公園で寝ている人がいるでしょう。 ああなっちゃうものね。」と話した。

政府は外国人介護士を引きつける別の方策として、2 国間経済協力合意の下でインドネシアやフィリピン、ベトナムからの候補者に訓練を施している。 ただ、こうした候補者も最終的には日本語で国家試験に合格しなければならない。 合格率は低く、現在、日本で介護士として働いているのは 203 人だけだ。 経済協力が合意に至ったのは 2008 年にさかのぼる。

新横浜パークサイドホーム(横浜市港北区)で働くインドネシア人の介護実習生、Nafila Diarana Fatonah さん (24) は難関の国家試験に向けて勉強している。 「日本語の勉強だけでなく、専門用語や経験、知識も知らなくてはいけない。」 技能実習制度に批判的な人々は、訓練が不十分で効果的な解決策にならないと主張する。 また、制度では労働者を利用できる資産として扱い、社会に組み込まれる人材と見なしていないとの批判もある。

それでも、日本人の大部分は移民の急増には及び腰だ。 日本では全人口に占める外国人の割合が 1 - 2% にすぎず、依然として政府は永住権の取得に厳しい制限を課している。 これは彼らが自由な移民政策から生じると考える犯罪や社会不安を警戒しているからだ。 日本総合研究所のチーフエコノミスト、山田久氏は「日本として移民についての議論を始めなくてはいけない」と指摘した。 (Toko Sekiguchi)、The Wall Street Journal = 4-15-15)


続発する外国人労働者の失踪 … 背景に霞が関の「天下り組織」

法務省は3月、今年 1 月 1 日現在で日本国内にいる外国人の不法残留者が 6 万 7 人で、前年と比べ 946 人 (1.6%) 増えたと発表した。 不法残留者の数は 1993 年をピークに一貫して減少しており、増加は 22 年ぶりのことだ。 その原因は、失踪する外国人技能実習生が前年に比べ千人以上も増えたことにある。

外国人技能実習生の一部(というよりは相当数)が、劣悪な労働環境にあることは以前から指摘されてきた。 たとえば、米国務省の 2014 年版「人身取引報告書」は、日本で働く外国人技能実習生について「多くは非熟練労働者として働き過酷な労働条件や強制労働の犠牲になりやすい」と指摘。 茨城県で働く技能実習生たちの写真も添えている。 そして現実にも、農業実習生として来日したベトナム人男性が生活に困窮したあげく、ヤギを盗んで食べるなどの事件が続発している。

しかし、こうした現象の背景に、霞が関の「天下り団体」と中国共産党の利権組織が、何も知らない労働者をキャッチボールして食い物にする構図のあることは、ほとんど知られていない。 かくいう筆者も、このほど「ルポ 外国人『隷属』労働者 (「G2」vol.17)」で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞したジャーナリスト、安田浩一さんをインタビューしてみて初めて知ったことだ。 そのあまりに露骨なやり方には、呆れるしかない。

外国人技能実習制度は、法務、外務、厚生労働、経済産業、国土交通の 5 省の天下り団体である「JITCO (国際研修協力機構)」が、日本国内での労働環境などを監督することになっている。 しかし実質的には何もしておらず、一部企業のやりたい放題を黙認する形で、搾取構造を助長しているのだ。 そして、そこに田舎の若者を送り込んでいるのが、中国共産党幹部らの利権組織とも言える人材輸出学校だ。 若者らは学校に高い入学金(というか日本行きのための手数料)を借金をして払っており、その返済と、日本での低賃金の間で苦しむことになる。

外国人技能実習制度は本来、発展途上国などの外国人が働きながら日本の技術を学ぶ仕組みで、対象は建設や農業、漁業、食品製造、機械・金属など 71 職種に上る。 そして、後継者不足や若者離れに悩むこれら産業の現場が、もはや外国人実習生という名の「安価な労働力」なしには成り立たない現実がある。 それ自体は、非常に悩ましいことだ。 国内で十分な労働力が確保できなければ国際競争力を維持できないし、産業の空洞化がいっそう進んでしまう恐れもある。

だからといって、事情にうとい外国の若者を騙すようにして連れてきて、一定期間が過ぎたら帰らせてしまうという、そんなやり方を続けていて日本の国益は傷つかないのか。 日本の政治家は国内での「派遣切り」や「雇い止め」が問題化したことに懲り、「外国人なら使い捨てにしても票には影響しないだろう」くらいに高をくくっているのかもしれないが、グローバル化した世の中からのしっぺ返しを、甘く見ない方が良いだろう。 (高英起、DailyNK = 4-13-15)

◇ ◇ ◇

外国人技能実習生に起こっていることは「現代の奴隷制度」なのか

人口減少が危惧される中、あらゆる産業分野で後継者不足が叫ばれているが、今後も歯止めはききそうにない。 こうした人材不足を解消させるためとして、安倍政権は「外国人技能実習生制度」を推進しているが、その問題点が浮き彫りになってきた。

法務省は 3 月、今年 1 月 1 日現在で日本国内の外国人の不法残留者が 6 万 7 人で、前年と比べ 946 人 (1.6%) 増えたと発表。 不法残留者の数は 1993 年をピークに減少してきたにも関わらず、今回は 22 年ぶりに増加した。 その理由は失踪する外国人技能実習生が 4,581 人(前年 3,567 人)と千人以上も増えたからだ。 政府は受け入れを拡大しているのに、実習生の失踪は増加 - - 外国人実習生たちに、一体なにおきているのか。

外国人労働者問題を長年、取材してきたジャーナリストの安田浩一さんに話を聞いた。 安田さんは著書『ネットと愛国(講談社)』などの取材を通じ、排外主義やレイシズムの問題に取り組んでいる。(聞き手 : 高英起)

-- ざっくり言って、日本にはどれくらいの外国人労働者がいるんでしょうか。

安田浩一(以下、安田) : 特別永住者を除いて、一般的な外国人労働者は約 70 万人が日本で働いています。 これはあくまでも公式発表で、統計に出ていない数字、オーバーステイや資格外就労を含めると約 100 万人に上るでしょう。

-- 彼らは、どういった現場で働いているんでしょう?

安田 : 一部のホワイトカラーを除けば、ほとんどが生産現場です。 それも日本が誇る地場産業や伝統産業ですね。 栃木県の「とちおとめ」という世界中に輸出されているイチゴのブランドがありますが、現場でつくっているのは中国人実習生です。 それから「今治タオル」で有名な四国の今治。 ここは実習生特区になっています。 また、北海道の水産関係や、養豚、養鶏の現場。 牡蠣の養殖が盛んな広島でも現場で働いているのは実習生です。

-- どの国の出身者が一番多いのですか?

安田 : やはり中国です。 日本人は衣料品などに関して「メイド・イン・ジャパン」こそ "ホンモノ" だと思って有難がる傾向がありますよね。 でも、実際に縫製工場で働いている人は中国人が多い。 つまり日本国内で生産されていても「メイド・バイ・チャイニーズ」なんですよ。

-- 外国人労働者に対しては、いまだに「日本で金儲けするためにブローカーに金はらって来ているんだろ」みたいなイメージがあると思います。 彼らはどのような経路を経て日本に来ているんでしょうか。

安田 : 「外国人技能実習生」制度は、元々は現地の法人で働く労働者を日本に招いて技術研修させる仕組みとして始まったんです。 ところが、一部の企業が研修の名目で日本に呼び寄せ、安価な労働力として使うようになった。 もう少し詳しく説明すると、労働力が欲しい企業が参加する協同組合などが管理団体として日本の受け入れ窓口となります。

そして、研修生の受け入れ支援と監督を担当する「JITCO (国際研修協力機構)」という公益財団法人があるのですが、これは法務、外務、厚生労働、経済産業、国土交通の 5 省共管により設立されたもので、いわばこれら省庁の「天下り団体」です。 ここは実質的に事務処理しかしておらず、本来すべき「助言」と「指導」は出来ていません。

-- 送り出す側には、どのような仕組みがあるのでしょうか。 かつては裏のブローカーが問題になっていましたが。

安田 : 最近は裏のブローカーじゃないところが、これまた問題なんです。 たとえば、中国には日本に人材を輸出する学校がたくさんあり、JITCO のサイトにもリストアップされています。 河南省の人材輸出学校を取材したことがあるのですが、この学校は農村から仕事のない若者を集めて入学金を取る。 そして技術者として育て、研修生や実習生として日本に送り出しています。

-- そういった人材輸出学校は、誰が運営しているのでしょう?

安田 : 地域の共産党委員会で、校長は地元の共産党の書記や幹部です。 実際に訪れてみて、びっくりさせられました。 生徒たちが軍隊のように迷彩服を着せられ、グラウンドで腕立て伏せをさせられていたんです。 回数をこなせないと、教官がオシリを蹴っ飛ばす。 私が「なぜ、腕立て伏せが必要なのか?」と聞くと、教官は誇らしげにこう答えました。 「日本で働くためにも、こうした教育を通じて根性と忍耐を養うのです。 雇用する経営者に喜んでもらえる人材を育てているのです。」

中国共産党の「労働者の権利を守る」という主張がタテマエであるにせよ、党幹部自身がそれをすっかり忘れてこんなことを言っているんです。

-- 受け入れ側は霞が関の天下り団体で、送り出し側は中国共産党の利権組織というわけですか。

安田 : そうです。 日本の国と中国共産党が、中国人労働者をキャッチボールしているような構図になっているんです。 そして、当の労働者たちにとっては日本に来てからが問題なんです。 思った以上に景気が良くないからブラック企業で働かざるをえない。 真面目に働いても賃金は低い。 そして日本に来るには、学校に多額のお金を払わねばならないから借金もある。 もし、職場で下手に逆らったり経営者の意向に沿わなかったりしたら、国に送り返されて借金だけが残ってしまうんです。

-- なんだか、昔の「奴隷商人」の話を聞いているような気がしてきました。 労働環境はどうなんでしょうか?

安田 : 非常に厳しい就業規則に基づいて働いています。 時給は 200 円とか 300 円。 365 日ぶっ通しで、1 日の休みもなく働かされているケースもあります。 さらに、就業規則には「同居、結婚、妊娠を引き起こす行為をしてはならない」と明文化されており、外部に電話をかけることさえ禁止されている場合もある。 どんなに苦しくても、第三者に相談したり改善を訴えたりしてはダメだということです。

-- その就業規則は、日本側でつくったものですか?

安田 : さきほどの中国人材輸出学校の中国側と、日本側の地域の管理団体や企業の間で、双方の合意のうえでつくられています。

-- そんななか、最近では実習生の関わった事件が世間を騒がせています。 広島の牡蠣工場で中国人実習生によって社長が殺害されたり、岐阜の農場実習生がヤギを盗んで食べたり ・・・。

安田 : そういった事件を理由に、外国人労働者の受け入れを問題視する人が少なくありませんが、彼らが置かれている厳しい現実を知らずに議論するのは無意味です。 もちろん、罪を犯せば罰せられるのは当然ですが、先ほど話したような背景を知らずに、極端な行動ばかりを取り上げるだけでは中身のある議論は出来ません。

-- はっきり言って、中身のある議論が交わされることは本当に希ですよね。

安田 : 外国人労働者の現状に対する無知と無関心は、今の安倍政権、そして日本社会全般にも言えることです。 そうした空気を象徴するのが、少し前に、物議を醸し出した曽野綾子さんの産経新聞のコラム(「労働力不足と移民」 2015 年 2 月 11 日付)です。 アパルトヘイト(人種隔離政策)を肯定するような見解が大問題となりましたが、コラムの趣旨は、外国人労働者の受け入れ問題についてであり、全体的に看過できない内容です。 (DailyNK = 4-5-15)


月給 5 万、休みは年 3 日 外国人実習生の過酷な実態

外国人技能実習生をめぐるトラブルが急増している。 失踪する実習生数は右肩上がりだ。 法務省によると、昨年の失踪者は 4,581 人で、前年の 3,567 人から千人以上も増えた。 1993 年に、「外国人技能実習制度」が正式に創設された主な目的は、発展途上国への "技能移転" だ。

だが、実際は本来の目的を果たせていないという。 民主党の石橋通宏参議院議員が憤る。 「この制度には本音と建前がある。 必要なスキルを身につけて母国に戻り活躍していただくのは大事なことだが、実態はまったく違う。 技能移転ではなく現場の労働力不足を低コストの実習生で補う構造になっている。 最大の問題は送り出し国側で民間ブローカーが介在しうるところ。 それを排除できないために、深刻な問題がなくならない。」

トラブルは各地である。 3 月半ばに訪れた岐阜県では、縫製工場で働く中国人女性、リーさんとマーさん(ともに仮名)に会った。 2 人は 40 代後半で、3 年前に中国東部から来た。 作っているのはカラフルなパーティードレス。 だが暗い表情でこう言うのだ。 「日本に来る前によい国と聞いたが、そうではない。」 「生活の改善のために来たのに、あまりできなかった。」

2 人は 3 年前の出国時、3 年間で 30 万元(約 570 万円)稼げると聞かされていた。 だが、実際は、「1 日 14 時間働いてドレスを 2 着縫う。 ドレスは店で 2 万 8 千円から 5 万円で売られる。 私たちの給料は手取り月 5 万円から 6 万円。」 休みもほとんどなく、1 年目は年間 5 日、2 年目は 3 日しか休めず、ミシンを踏みっぱなしだった。

リーさんたちは、一昨年 10 月にストライキを決行。 縫製会社を監理する協同組合と交渉した結果、月給は 15 万 8 千円に上がったという。 だがスムーズにいったわけではない。 まず会社に訴え、協同組合と交渉したが進まず、一般労働組合に連絡して、ようやく本来の権利を主張することができた。 本誌が縫製会社に、中国人実習生の 14 時間労働、5 万 - 6 万円の低給料、スト後の給与アップの事実について尋ねると、同社は顧問弁護士を通じて、「そのようなことはすべてない」と返答してきた。

彼女たちから相談を受けた岐阜一般労働組合の甄凱(けんかい)さんは言う。 「昨年は近隣の県も含めて実習生からの相談が 110 件あった。 解決できたのは 4 分の 1。 搾取の問題はどれもほとんど同じで、訴えると解決金を提示される。 それをのまない場合は、裁判になるという図式が多い。」 ちなみに、リーさんたちはこの日、ストライキで得た有休を使って街まで出てきたが、喫茶店でお茶を飲むのは「3 年間で初めて」だった。 帰りに車で送ると、工場は山に囲まれた人里離れた場所にあった。

労働問題を多く扱う暁法律事務所(東京都)の指宿昭一弁護士のもとにも、多くの実習生が駆け込む。 「3 時間半かけて来ました、と茨城県からいきなり 6 人の実習生が事務所に訪ねてきたこともあります。 本当に彼らの力になれる場所が少ないのも問題ですね。」 指宿弁護士は、技能実習生の健康面も心配する。 2013 年度は 27 人が死亡し、その死因の約 3 割が脳と心臓の疾患だった。 「過労死が多いことを意味していると思います。 寝不足のうえストレスを抱えているからでしょう。 景気がよくなると労働時間が増えるので、今後気になるところです。」 (dot. = 4-7-15)

(週刊朝日 2015 年 4 月 10 日号より抜粋)