2 月の百貨店売上高、11 ヶ月ぶりプラスに 「春節休暇」で外国人観光客も好調

日本百貨店協会によると、2 月の百貨店売上高は 4,457 億円あまりで、11 ヶ月ぶりに前年を上回った。 好天に恵まれ、客数を伸ばした店舗が多かった。 春物衣料の充実やバレンタイン商戦に加え、中華圏の「春節休暇」も重なり、外国人観光客による消費が大きく伸長。 株高も影響し、売上高は昨年 4 月の消費税率引き上げ後、初めて前年比プラスとなった。

これまで苦戦していた地方百貨店にも、明るい兆しが見えている。 地区別では、富裕層と外国人観光客の消費が旺盛な東京(+5.3%、4 ヶ月連続)、大阪(+0.5%、8 ヶ月連続)の好調はもちろん、「札幌」も +5% と 3 ヶ月ぶりに伸びた。 地方都市では「関東」が +1.5% とほぼ前年並みを確保したほか、「東北 (+0.7%)」、「九州 (+1.7%)」なども前年実績を上回った。

商品別には、売上の約 3 割を占める衣料品が +2.3% と 5 ヶ月ぶりにプラスとなった。 気温が高い日が続き、春物衣料がよく売れた。 紳士服 (+3.7%)、婦人服 (+2.8%)、子供服 (+5.8%) など、いずれも好調。 外国人観光客から人気の高い「化粧品」は +7.7% と大きく伸び、全体を下支えした。 バレンタイン商戦が堅調だった食料品は +1.2% で、11 ヶ月ぶりに前年実績を上回った。

前年比をクリアできなかったのは、高級時計などの「美術・宝飾・貴金属 (-1.1%)」。 ただ、昨年 2 月は消費増税前の駆け込み需要が大きかったことを考えると、宝飾品類の売上高は、ほぼ前年並みといえるだろう。 外国人観光客による売上高は、前年比 +235.8% と大幅増。 今年は春節休暇の時期が昨年とずれているため、その影響もある。 一方で、各店舗が中華圏からの観光客増に向けた事前準備を整えた効果も大きい。 アジアからの観光客増で、売上高は単月として初めて 150 億円台を突破した。

全体としては好調だが、東京では 3 月中旬までの売上高が、前年比 10% 程度のマイナスにとどまっている。 昨年 3 月は消費増税前の「最後の駆け込み需要」が大きかったため、今年 3 月の前年実績クリアは、かなり厳しいだろう。 消費増税後 1 年の節目となる、15 年 4 月の売上高に注目したい。(北条かや、EconomicNews = 3-20-15)

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スーパー売上高、1 月 1.7% 減 衣料品や雑貨が不振

10 カ月連続前年割れ

日本チェーンストア協会が 23 日発表した 1 月の全国スーパー売上高(既存店ベース)は、前年同月比 1.7% 減となった。 前年実績割れは 10 カ月連続だ。 生鮮食品の相場高などに支えられて食料品の販売は前年同月を上回ったが、衣料品や日用雑貨などが振るわなかった。

商品分野別に見ると、衣料品が 10.5% 減だった。 昨年に比べて寒さが和らいだ影響でコートなどの販売が低迷し、婦人衣料、紳士衣料ともに減少。 食料品は 0.9% 増で、畜産品の相場高や総菜販売が堅調だったことなどが追い風となった。 日本チェーンストア協会は、3 月までは昨年の消費増税前の駆け込み需要の反動減が続くためプラスに転じることは期待しにくいと予想。 「4 月以降は実質賃金の改善などで消費の潮目が変わってくると期待したい(井上淳専務理事)」としている。 (nikkei = 2-23-15)

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百貨店売上高、1 月 2.8% 減 主力の衣料品が苦戦

日本百貨店協会が 19 日発表した 1 月の全国百貨店売上高は全店ベースで 5,423 億円だった。 既存店ベースでは 2.8% 減と 10 カ月連続で前年実績を下回った。 正月休暇が前年に比べ 1 日少なかったことや、一部地域での降雪など天候不順の影響で、年頭商戦が振るわなかった。前年は消費増税に向けた駆け込み購入が起きていたため、反動による減少もあった。

品目別では主力の衣料品が 5.8% 減だった。 冬物の防寒衣料などが苦戦した。 前年に駆け込み需要で売り上げを伸ばした家具など家庭用品も、反動で 9% %減った。 一方、美術・宝飾・貴金属は 4.7% 増と 2 カ月連続で前年を上回った。 化粧品も 7.1% 伸びた。 地区別では訪日観光客の消費拡大の追い風があり、東京が 0.7% 増、大阪が 2.2% 増と前年を上回った。 半面、主要 10 都市以外の地方は、5.5% 減と苦戦。 大都市が健闘する一方で、地方都市は伸び悩むという構図が続いた。

訪日客向けの免税品の売上高は前年に比べ 2.8 倍の 124 億 7,000 万円と好調を維持した。 井出陽一郎専務理事は 2 月 1 日 - 16 日までの全国百貨店の売上高について、「前年同月比 1% 強のプラスで推移している」と説明。 「昨日から中国の春節(旧正月)が始まっており、訪日客の増加が期待できる。 春節を弾みに 11 カ月ぶりの売上高プラスにつなげたい。」と語った。 (nikkei = 2-19-15)

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ショッピングセンター 年末年始の売上高 0.9% 増

日本ショッピングセンター協会は 2 月 6 日、2014 - 15 年末年始販売統計調査報告を発表した。 売額対前年比は 0.9% 増だった。 レジ客数は 1.1% 減と前年割れだったが、客単価平均は 2.6% 増で前年を上回り、客数減・客単価増となった。 年末(12 月 27 日 - 31 日)は 1.5% 増でプラスとなったが、前年は 27 日が平日(金曜日)だったことが影響している。

12 月 28 日 - 31 日は、1.2% 減であり、バーゲン前の買い控えなどにより衣料品を中心に買い渋り傾向が見受けられ、売上を伸ばせなかった SC が目立った。 年始(1 月 1 日 - 4 日)は 0.3% 増となった。 元旦、2 日にかけては雪などの天候不順で客足に影響を受けたとの報告が見られたが、売上としてはほぼ前年並みとなった。 売上高は 1 日は 0.0%、2 日は 1.4% 増、1 月 2 日は客単価(2,940 円)、レジ客数(19,180 人)とも期間内のピークになった。

客単価平均の分布は、2,500 円未満の SC が 68.1% だが、4,000 円以上の SC も 10.3% を占めた。 バーゲン開始日は、2 日が 39.0% (69 SC)、1 日が 33.3% (59 SC)、3 日が 5.1% (9 SC)の順で多く、実施期間は 11 - 15 日間が最も多かった。 好調業種は、飲食、婦人衣料・用品、雑貨の順に多く、不調業種は婦人衣料・用品と回答した SC が多かった。 飲食は、年始準備の買い物客やファミリー層の利用が増加し賑わったとの報告が見られた。

婦人衣料・用品については、バーゲンが好調に推移したとの報告も見られた一方で、不調の要因として、インナー類は堅調だがアウターの動きが悪く、まとめ買いが少なかったなどの意見も上げられた。 福袋については、前年を下回り苦戦した SC が多く見られ、参加店舗・販売個数とも減少傾向にあるとの報告もあった。 (流通ニュース = 2-6-15)


素材や縫製で「日本製」PR 衣料品各社がブランド

衣料品関連各社が素材や縫製を国産にこだわったブランドを相次ぎ立ち上げる。 ファイブフォックス(東京・渋谷)は日本の伝統工芸を素材に採用したブランドを設立、セレクトショップ運営のステュディオス(同)は国産衣料品を集めた新型店を展開。 品質にこだわる消費者や訪日外国人の需要を取り込む狙い。

ファイブフォックスは春夏物から、素材も縫製も国内で手掛けた紳士向けブランド「アルチザン・ジャポニカ」を立ち上げた。 西陣織や掛け軸用の布を素材に採用するほか、草木染を活用するなど、日本の伝統工芸を生かした。 価格はジャケットで 6 万 - 8 万円程度。

ステュディオスは今月から新型店「ユナイテッド・トウキョウ」を開始。 衣料品や雑貨は全て国内生産で、タグに生産した都道府県を記す。 新宿ルミネ(東京・新宿)など 4 月までに 3 店を開業し、今後も年 2 - 4 店を出店する。 三陽商会も 3 月 17 日、主に国産品を扱うネットが主販路のブランドを立ち上げた。 国産品を増やす動きは広がっており、オンワード樫山の紳士服や、青山商事のスーツ店「ザ・スーツカンパニー」は国産の靴などを増やしている。

いずれも価格は従来品より高め。 「アルチザン・ジャポニカ」のジャケットは 1 - 2 割程度高い。 ただ、商品の品質や独自性を求める消費者が増えていることから商機があるとみている。 業界団体の日本ファッション産業協議会が秋冬商品から素材や縫製が日本製の商品に認証タグを付ける取り組みを始めるなど業界全体で力を入れている。 (nikkei = 3-18-15)


海外大手アパレル製品にも品質問題、不良の報告多数 = CCTV

「世界消費者権利デー」の 3 月 15 日に合わせて、中国国営テレビの中央電視台 (CCTV) が海外大手のアパレル製品に品質不良問題の報告が相次いでいると伝えた。

全国の出入境検験検疫局が 2014 年に実施した輸入衣料品 2 万 3,818 点の検査結果を提示。 「MANGO」、「H & M」、「GAP」、「CAVALLI」、「OLD NAVY」、「FOREVER 21」、「ARMANI」、「ZARA」、「american apparel」 「DOLCE & GABBANA」などのブランド衣料に不良品が見つかっていると指摘した。 色堅ろう度、PH 値、ホルムアルデヒド、アゾ化合物などの指標が基準を満たしていない例が散見されたという。 ファッション衣料を購入する際は、ブランド名だけで判断することがないよう、消費者に注意を喚起した。 (KABUTAN = 3-16-15)


重さ 123 グラム、軽量の防水ジャケット発売 デサント

デサントは、米国の「マーモット」ブランドで、薄くて軽い防水ジャケット「ゼロ トレイルジャケット」を発売した。 生地の糸などを改良し、防水・透湿性能を保ちつつ、従来の約 300g から半分以下の約 123g に軽量化した。 縦 17cm、横 8cm の収納袋で持ち運ぶことができ、登山やハイキングに最適という。 白、灰の 2 色で、想定価格は税抜き 2 万 3 千円。 (asahi = 3-14-15)


バングラデシュ刺しゅうの展示販売会

バングラデシュの伝統的な「ノクシカタ刺繍(ししゅう)」約 300 点を集めた展示販売会が 11 - 17 日、東京都中央区の日本橋三越本店新館 8 階である。 ノクシカタ刺繍は、使い込んだ民族衣装を縫い合わせたのが始まり。 伝統的な意味や祈りが込められた動植物や生活風景が図案化されている。 作り手のバングラデシュの女性の経済的自立を促す狙いもある。 入場無料。 午前 10 時 - 午後 7 時。 問い合わせは馬上美恵子さん (080・9692・2759)。 (asahi = 3-10-15)


日本の技術、防災に生かせ 大震災のデータ分析し開発

4 年前の東日本大震災を教訓にした防災・減災商品の開発が大手化学メーカーなどで相次いでいる。 当時、避難所で何が不足していたのか、地震や津波に襲われても何が壊れなかったのか、といった貴重なデータ分析が開発の支えになっている。

避難所の声がヒントに

化学大手の帝人は 2 月、毛布と担架の 2 役をこなす「もうたんか」を発売した。 毛布のまわりに開けた穴を「取っ手」として使えば、けが人や病人を運ぶ担架になる。 震災の避難所などで毛布と担架が足りなかったという現場の課題を聴き、開発を進めた。 長い間備蓄できるよう、難燃性で菌などが繁殖しにくい加工も施した。

備蓄用として自治体などに売り込んでいるほか、通販サイト「アマゾン」で個人でも買える。 帝人は震災直後から、約 20 人のチームで防災・減災商品の開発にあたってきた。 火元にかぶせて消火ができるカーテン「プルシェルター」もそのひとつ。 熱に強く溶けにくい性質がある繊維などを組み合わせたカーテン生地に、消火用ガスの発生剤を練り込んだ。 約 250 度でガスが発生し、火を消し止める。 (伊沢友之、asahi = 3-10-15)


無印良品天神大名で「藍色」に染め直したリサイクル衣類を限定販売

無印良品を展開する良品計画は、3 月 5 日にオープンする九州最大面積の店舗「無印良品天神大名」で、回収した衣料品を染め直して再販するリサイクルの取り組み「re-muji」をスタートする。 同社は 2010 年より、衣料を中心とした繊維製品を店頭で回収し、資源としてエネルギーにかえていく「FUKU-FUKU プロジェクト」に参加。 全国の約 350 店舗で回収を行い、2014 年までに約 60 トンの繊維製品をエネルギーに再生させている。

天神大名店で実施する「re-muji」では、リサイクル品として回収した衣類のうち、着用可能な状態の衣料を染め直し販売。 染め直しには、藍色を採用した。 同社によると、江戸時代の頃には「紺屋(こうや)」と呼ばれる藍染め専門の染物屋があったほど、日本人に身近に親しまれてきた色だという。 「re-muji」では、現代の染めの技術を取り入れ化学染料を使用することで、色落ちの不安を解消した製品に。 同じ「藍色」でも 3 種の濃さを用意し、選択する楽しみも加えられているとのこと。

同社は「日本では古くから、着古して色のあせた服を染め直したり、破れた部分は刺し子をして補強したりすることで大切に扱う技術、文化があります。 無印良品ではその先人の知恵を生かし、色を染め直し、世界でひとつだけの新たな衣料として生まれ変わらせました」とコメントしている。 「re-muji」の商品は紳士用カットソー・シャツ・ボトム、婦人用カットソー・シャツ・ボトム、雑貨など。 全て、無印良品の使用済み衣料を回収し染め直した、1 点ものとなる。 価格は 2,900 円(税込)。 無印良品天神大名限定で販売予定。 (MyNavi = 2-27-15)


衣料品ネット通販を買収 健康コーポレーション

健康コーポレーション(健康関連通販)は、12 日、衣料品ネット通販の夢展望を買収すると発表した。 夢展望が 3 月に実施する第三者割当増資で約 7 億円を引き受ける。 ネット経由の売り上げが 85% を占める夢展望を子会社化し、美顔器や衣料品の販売を増やす。 健康コーポレーションは増資後に夢展望の株式の 73.53% を握る。 健康コーポレーションは家庭用美顔器や衣料品のほか、フィットネスクラブの「ライザップ」を展開する。 ライザップではスマートフォン(スマホ)経由の問い合わせが増えていた。 ライザップのスマホ経由の売り上げを 1 年間で 2 倍にすることを目指す。 (nikkei = 2-12-15)


セブン、バーニーズジャパンを完全子会社に 衣料品強化

セブン&アイ・ホールディングスは、米国の高級衣料品店「バーニーズ・ニューヨーク」を日本で運営しているバーニーズジャパン(東京)を完全子会社にする方針を固めた。 すでに 49.99% の株式を保有しており、残りの 50.01% を持つ住友商事から買い取る交渉をしている。

株式の取得額は数十億円程度とみられる。 セブン & アイは 2014 年 1 月に東京海上グループのファンドが持つ株式を 60 億円で買い取り、セブン & アイ傘下のそごう・西武と海外衣料品の買いつけなどで連携してきた。 完全子会社にした後は、インターネット販売の「セブンネットショッピング」にバーニーズの商品を加えるなどして衣料品事業を強化する。 バーニーズの国内店舗は新宿、銀座、横浜、神戸、福岡などに計 11 店。 (asahi = 2-10-15)


アパレル会社 1 億 7,000 万円脱税か、刑事告発

東京・中央区にあるアパレルの卸販売会社が、法人税と消費税あわせておよそ 1 億 7,000 万円を脱税したとして、刑事告発されたことがわかりました。 法人税法違反などの疑いで東京国税局から告発されたのは、アパレルの卸販売会社「アクロス」と、坂井啓祐社長 (51) です。 「アクロス」は、海外などを中心に婦人服などを仕入れ、東京・日本橋と大阪の 5 店舗で販売しています。

関係者によりますと、坂井社長は仕入れ価格を水増し計上するなどして、8,000 万円あまりの所得を隠したほか、日本で仕入れを行ったと、うその申告をして消費税を脱税するなど、法人税とあわせておよそ 1 億 7,000 万円を脱税した疑いが持たれています。 脱税した金は、事業資金などに充てていたということです。 (TBS = 2-5-15)


日本バイリーンの海外関係会社、吸湿発熱機能を持つ衣料用中わた開発

日本バイリーンの海外関係会社フロイデンベルグ & バイリーン ノンウーブンズ(蘇州)は、吸湿発熱機能を持たせた衣料用中わた「バイウォーム HG シリーズ」を開発した。 優れた保温性とソフトな風合いを備えた。 すでに提案を始めており、中国をはじめとする現地の日系問屋、縫製工場に展開していく。 ポリエステル中わたにレーヨン繊維を混綿することで、吸湿発熱効果を発揮できる。 人体から発生する水分である「不感知性発汗」を吸収し、発熱効果をもたらせる。

人体から生じた湿気を低減させ、吸湿発熱した空気が複雑に絡み合った中わたの繊維間に取り込み、保温する。 吸湿した湿気は徐々に中わたを通じて外部へ放出することから、衣服内をドライで暖かな状況に保つ効果が期待できるという。 抗菌特性も備えた。繊維に付着する汗などの汚れが原因で生じる細菌の増殖を抑制し、抗菌防臭効果が期待できる。 (日刊工業新聞 = 2-4-15)


難病患者が着やすい服 帝人や東レが開発中

繊維メーカーが市販の衣服を着るのが難しい患者向けにデザインや縫製を見直し、快適に生活できる衣料品開発に取り組んでいる。 帝人は日光に当たると皮膚がんを起こす難病の色素性乾皮症の児童向けに外出しやすい衣服を開発、東レは放射線治療中の乳がん患者向けの衣料品を発売する。 売り上げへの貢献は少ないが、難病に悩む患者の悩みを和らげる製品をつくるノウハウは、今後の一般向け製品の開発にも役立つとみている。

帝人子会社の帝人フロンティア(大阪市)は、外出が制限されがちな色素性乾皮症の児童向けに、紫外線をカットしながら着脱しやすい衣服と帽子を開発した。 本格的なスキーウエアにも使われる紫外線を 99% 以上通さない生地を採用し、動きやすいデザインにこだわった。 ボタンではなく、テープを使うことで児童でも簡単に着脱しやすいようにした。

色素性乾皮症の患者は全国に 500 - 1 千人いるとされる。 市販の衣服を着たり、家族が手縫いで体全体を覆う衣服を着たりしている。 紫外線を極力気にせずに外出できる衣服を提供し「児童の患者が健康な子どもたちと同じように外出できるようにしたい(帝人フロンティア)」考えだ。

東レはがん研究会(東京・江東)と共同開発した乳がん患者向けの衣料品を年内に発売する。 放射線治療による炎症で患部の痛みに悩む女性の不満に対応する。 患部に刺激を与えない生地や縫製方法を採用したカーディガンやブラジャーなどをそろえる。 突起を減らした縫製で肌への刺激を抑えたり、柔らかい風合いの生地を使ったりする。

ハウスダストなどのアレルギーに悩む人も多い。 小松精練はアレルギー患者の原因となる空中を浮遊するアレル物質が表面に付きにくい生地を展開する。 コートやジャケットなど衣料品のほか、カーテンなどにも採用されている。 (nikkei = 1-31-15)


下着大手ワコール、水着に飛び込む 三愛から事業譲渡

下着大手のワコールホールディングス (HD) が、ファッション水着を手がける。 水着ショップ「三愛水着楽園」などを運営する水着大手の三愛グループ(東京)から事業を譲り受けることにした。 事業の幅を広げ、新たな柱に育てるのがねらいだ。

22 日、ワコール HD が発表した。 子会社で三愛水着楽園など計 23 店舗の運営を引き継ぎ、店名もそのままにする。 240 人の従業員は子会社に移ってもらう。 若者の客が多い三愛の下着事業も譲り受ける。 4 月 1 日付で、譲り受けにかかる金額は明らかにしていない。 三愛の水着・下着事業の売上高(2014 年 3 月期)は 55 億円。

ワコールは 20 年ほど前に、ファッション水着を手がけたが、今はスポーツクラブや水泳で着る水着に力を入れている。 三愛から事業譲渡を打診され、「両社の商品開発力や販売力を合わせれば、相乗効果が期待できる(広報)」と判断した。 三愛の水着や下着をワコールの海外販売網に乗せることも視野に入れている。 (笠井哲也、asahi = 1-24-15)


透けにくいんです 着心地もソフト 東レが新繊維

透けにくさと綿のようなやわらかさが特徴のポリエステル繊維を東レが開発した。 看護服や制服といった衣料のほか、タオルケットやマスクなど幅広い用途に向けて売り出す。

開発した「ペンタスα」は、繊維の断面を従来品のように丸くなく平らにすることで、約 1.6 倍やわらかくなった。 また、表面にある細かい凹凸が光を乱反射しやすく、透けにくさも約 10% 向上。 紫外線カット効果や、乾きの速さも特徴で、スポーツ衣料にも向いている。 浅田康治・短繊維事業部長は「透け防止やソフトな着心地は女性に受けると思う」という。 今夏以降、商品が出回る見込みだ。(笠井哲也、asahi = 1-22-15)


伊藤忠商事、ベトナムの繊維・衣料総公社と業務提携

伊藤忠商事(株)は、香港にある子会社の伊藤忠テキスタイルプロミネント(アジア、以下「IPA」)を通じ、ベトナム国営繊維企業グループ Vietnam National Textile and Garment Group (以下「ビナテックス」)の株式を取得し、戦略的業務提携に関する契約を締結したと発表した。

伊藤忠商事とビナテックスは、1990 年代にアパレル OEM 関連の取引を開始して以来、長年に亘り信頼関係を構築している。 また、伊藤忠商事の繊維事業は、2014 年時点で、3 期連続の過去最高益を更新。 伊藤忠商事が狙う繊維製品のアジア地域における生産基盤の強化と適地生産体制の構築の一環として、今回、中国に次ぎベトナムを最重要拠点として選抜した。

今回、繊維業界の 83 社の子会社・関連会社を持つベトナム最大と呼ばれるビナテックスとのパートナーシップを強化することで、自由貿易協定 (FTA) 等の関税メリットを活用したトレードの拡大や新規ビジネスの創出など様々なシナジー効果を生み出し、欧米および日本・中国を含むアジア地域などへの繊維製品の販売強化とさらなる収益獲得を狙う。 (M & A Times = 1-19-15)


百貨店売上高 : 14 年、3 年連続でプラス 外国人客が寄与

増税後、消費回復の足取りは鈍く

日本百貨店協会が 19 日発表した 2014 年の全国百貨店売上高は、店舗数の増減の影響を除いた既存店ベースで前年比 0.3% 増となり、3 年連続でプラスを維持した。 昨年 4 月の消費増税に伴う駆け込み需要や、訪日外国人の免税売り上げが寄与した。 ただ、月ごとにみると 4 月以降は 9 カ月連続で前年実績を下回っており、増税後の消費回復の足取りは鈍いことを示した。 全店での売上高は 0.1% 減の 6 兆 2,124 億円と 2 年ぶりの減少だった。

商品別では、化粧品などを含む「雑貨」が 4.5% 増、靴やバッグなどの「身のまわり品」が 2.7% 増と好調だった。 主力の「衣料品」は「百貨店から専門店などへ客が流れている(井出陽一郎専務理事)」といい、1.1% 減だった。 地区別では、▽ 東京(1.5% 増)、▽ 大阪(3.3% 増)、▽ 名古屋(3.1% 増)、▽ 福岡(2.4% 増)など主要 10 都市は 1.5% 増と、大都市圏は好調だった。 半面、10 都市以外は 2.1% 減。 地方都市は、高齢化や人口減、賃金の伸び悩みに悩まされており、大都市と「格差」が出た格好だ。

訪日外国人による免税売上高は 730 億円と、前年比 90% 増だった。 昨年 10 月から消費税の免税対象が全品目に拡大したことで、後半に売り上げを大きく伸ばした。

昨年 12 月に限ると既存店売上高は 1.7% 減と、11 月(1.0% 減)より減少幅が拡大した。 前年に比べ休日が 1 日少なかったことや、北日本を中心にした悪天候が響いた。 免税売上高は 2.8 倍の 126 億 6,000 万円で、統計を取り始めた 09 年 1 月以降、月単位で初めて 100 億円を突破した。 井出専務理事は「円安が進んで大企業を中心に業績が上向いている。 賃上げが広がれば消費者の懐も温かくなり、好影響がじわじわと広がる。」と、今後の消費は賃上げがカギとの見方を示した。【神崎修一、mainichi = 1-19-15】

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百貨店 3 社、年末商戦で明暗 12 月売上高 三越伊勢丹は 6 カ月連続プラス

百貨店大手 3 社が 5 日発表した昨年 12 月の売上高速報は既存店ベースで、高島屋と J. フロントリテイリング傘下の大丸松坂屋百貨店の 2 社が前年実績を下回った。 高島屋は 2 カ月ぶり、大丸松坂屋は 4 カ月連続のマイナス。 一方、訪日外国人向けが好調な主要店が牽引(けんいん)した三越伊勢丹は 6 カ月連続でプラスを確保し、年末商戦は明暗が分かれた。

三越伊勢丹は前年同月比 1.1% 増加した。 訪日外国人客向けが好調な三越銀座店や伊勢丹新宿本店が引っ張ったことに加え、コートやセーターといった冬物衣料が好調だった。 グループ全体での訪日客向けの免税売り上げは、前年同月比 3.6 倍に達した。 高島屋は 1.1% 減少。 免税売り上げが 2.5 倍となったほか、宝飾品は好調だったが、海外高級ブランドなどの特選衣料雑貨や婦人服がマイナスとなり全体を押し下げた。

大丸松坂屋は 1.0% 減。 免税売り上げが 3.6 倍となり、美術、呉服、宝飾などの高額品も好調だったが、主力の婦人服が低迷。 建て替えで松坂屋上野店が店舗の一部を閉鎖していることも響いた。 (sankei = 1-6-15)

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百貨店バーゲンが二極化 ポイント付与か規模縮小か

百貨店のバーゲンセールが二極化している。 そごう・西武は今冬からセール品にもポイントを付け、てこ入れする。 一方、三越伊勢丹はバーゲンの期間を短くし、値下げしない販売に力を入れる。 消費の二極化を踏まえて、百貨店は価格戦略に工夫をこらしている。 「ついに、バーゲンでもポイント 1% がつく。」 そごう・西武は 26 日、そんなポスターやパネルを全国の店に掲げた。

そごう・西武は、メンバーズカードを持つ顧客に、年間の購入額に応じて 2 - 7% のポイントをつけているが、バーゲンのセール品については「二重の値引きにつながる」として対象外だった。 これを改め、セール品には 1% のポイントをつける。 来年 1 月 1 日から 26 日までの今冬のバーゲンから、全国 24 店で導入する。 今夏のバーゲンは、カットソーやシャツなど夏物衣料が振るわず、売り上げが前年を割った。 高島屋や大丸松坂屋百貨店が先行しているセール品へのポイント付与で、集客を狙う。 高島屋は全国 17 店で 1 月 2 日から約 1 カ月、バーゲンを展開する。

一方、三越伊勢丹はバーゲンを縮小する。 伊勢丹新宿本店では 2 年前まで 3 週間とっていた期間を昨冬は 2 週間に縮め、今冬はさらに 1 週間にする。 「品ぞろえを充実して短期決戦にし、春物の販売時期を早める」と担当者は話す。 新宿店での結果を踏まえ、ほかの店でも短くすることを検討する。 三越伊勢丹のバーゲン開始は全国一斉。 他社より 2 週間ほど遅い 1 月 14 日だ。

大丸松坂屋はバーゲンの売り場を狭める。 全国 14 店で 1 月 2 日から 2 週間行うが、売り場面積は徐々に減らし、春物衣料を正価で売るスペースにまわす。 「魅力的な商品なら、高くても買って頂ける客が増えた(広報)」とみるからだ。 野村証券の正田雅史アナリストは「競争の激化で、横並びが崩れつつある。 消費の二極化が言われるが、付加価値の高い商品を提供できるか、店が一等地にあるか、といった条件にあわせて、価格戦略も二極化が進んでいる。」と話す。 百貨店のバーゲンは、三越伊勢丹が 2012 年夏から開始を 2 週間ほど遅らせたのをきっかけに、各社横並びだったスタート時期が散らばった。(北川慧一、asahi = 12-27-14)

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小売業販売額 11 月は 5 カ月連続増、自動車不振も休日増で衣料品等牽引

[東京] 経済産業省が 26 日に発表した 11 月の商業販売統計速報によると、小売業販売額(全店ベース)は前年比 0.4% 増の 11 兆 6,360 億円となり、5 カ月連続の増加となった。 土日祝日が前年より 2 日多かったことが衣料品などの売上に寄与したほか、食料品販売も好調だった。 業種別にみると、各種商品小売業、衣服・身の回り品小売業、飲食料品小売業、医薬品・化粧品小売業、その他小売業で増加。 衣料品は気温が高めだったため冬物衣料が不調だったが、休日増により売上は全体的に好調だった。 飲食料品は、水産物・畜産品の相場高に加え、肉類の販売量増加などが寄与した。

一方、燃料小売業が石油製品の販売量の減少が続いていること、自動車小売業は小型、普通車などの販売不調、機械器具小売業では、エアコンやパソコンの販売が減少した。 昨年 11 月には消費税引き上げ前の駆け込み需要が始まっていたとみられ、耐久財の前年比は低下を余儀なくされるといった事情もあるが、季節調整済の前月比でみても自動車は 5 カ月ぶりの減少となった。 業態別では、百貨店やスーパー、コンビニともに全店・既存店とも前年比増加した。 (Reuters = 12-26-14)

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スーパー売上高 0.7% 減 衣料品振るわず 食料品堅調

日本チェーンストア協会が 22 日発表した 11 月の全国スーパー売上高は、既存店ベースで前年同月比 0.7% 減となり、8 カ月連続で前年実績を下回った。 気温が高めだった影響で衣料品の販売が振るわなかった。 主力の食料品は堅調だった。

同協会の井上淳専務理事は「消費税増税後の(消費の)回復力は弱い」と述べ、増税の影響が続いているとの認識を示した。 衣料品は紳士用、婦人用ともコートやセーターなど冬物の売り上げが伸びず 7.4% 減と落ち込んだ。 一方、全体の約 6 割を占める食料品は、円安の影響で値上げされた商品が多かった影響もあり 0.9% 増となった。 (kyodo = 12-22-14)

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百貨店売上高、8 カ月連続減 = 気温高く冬物衣料不振 - 11 月

日本百貨店協会が 19 日発表した 11 月の全国百貨店売上高は、前年同月比 1.0% 減の 5,581 億円と、消費税率が 8% へ引き上げられた 4 月以来 8 カ月連続のマイナスとなった。 平均気温が高く、冬物衣料が伸び悩んだ。

地区別では、東京、大阪など主要 10 都市が 0.1% 増と 3 カ月ぶりにプラスに転じたのに対し、その他の地区は 3.1% 減で8カ月連続の前年割れ。 百貨店協会の井出陽一郎専務理事は「(大都市と地方の)景気回復のテンポの差の表れ」と指摘した。 商品別では、衣料品が 3.2% 減だった半面、ハンドバッグやアクセサリーを含む身の回り品、化粧品などの雑貨はともに 3 カ月ぶりにプラスに転じた。 井出専務理事は「厳しい中にも明るさが見える」と分析している。 (jiji = 12-19-14)


「純国産」衣料で認証制度 日本ファッション産業協

ファッション関連業界団体の日本ファッション産業協議会は 14 日、日本国内で複数の生産工程を手掛ける衣料品を「純国産品」として認証する新しい制度を設けると発表した。 認証した商品には専用のタグを付け、品質にこだわる消費者や訪日外国人にアピールできるようにする。 輸出の拡大も視野に入れる。 2015 年の秋冬向け商品から対象にし、2 月に申請の受け付けを始める。 アパレル大手中心に申請が相次ぐ見通しだ。

新しい認証制度「J クオリティ」では国内の工場で染色、織り・編み、縫製の 3 つの工程を手掛ける商品を認証する。 衣料品業界ではこれまで国内で縫製した商品を「国産」と表示してきた。 衣料品の生産にかかわる複数の工程を国内で手掛けた商品を「純国産」として認証し、広く消費者に売り込む。 経済産業省によると、国内で流通する衣料品に占める国産の比率は直近で 4% を切っている。 日本ファッション産業協議会が同日開いた記者会見で会長を務める三宅正彦 TSI ホールディングス会長兼社長は「国内の産地の活性化や輸出の促進につなげていきたい」と述べた。 (nikkei = 1-14-15)


バーバリー冬物、駆け込み需要 三陽商会製 6 月契約切れ

アパレル大手の三陽商会がライセンス生産している英ブランド「バーバリー」の販売が伸びている。 ライセンス契約は今年 6 月に切れる。 現在、国内で売られているバーバリーの大半は三陽商会製で、その冬物が買えるのは今シーズンが最後。 駆け込み需要が起きているようだ。 全国のそごう・西武での三陽製バーバリー女性用コートの昨年 12 月末までの売り上げは、昨シーズンに比べて 3 割増し。 伊勢丹新宿店での婦人向けバーバリー商品の 10 - 11 月の売り上げも前年同月に比べて 3 割多いという。

三陽商会は、英バーバリーとのライセンス契約に基づいて、国内向けの商品の企画、生産、販売を手がけている。 契約終了後は、三陽商会が企画する日本独自のバーバリー商品はなくなり、バーバリーが直接手がける高額商品のみとなる。 三陽商会は全国の百貨店や路面に 300 余りのバーバリー店を構えている。 契約切れをきっかけに、新ブランド「マッキントッシュ ロンドン」に切り替えたり、閉めたりしていく。 一方の英バーバリーは、現在日本国内に 16 ある直営店を 2016 年末までに 34 店前後まで増やしていく方針だ。(山本精作、asahi = 1-12-15)

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三陽商会、マッキントッシュと契約 新ブランド販売へ

アパレル大手の三陽商会は 15 日、英マッキントッシュ社と 2015 年の秋冬物から 5 年間のライセンス契約を結び、新ブランド「マッキントッシュ ロンドン」を国内で発売すると発表した。 同社と契約してのブランドは二つ目。 15 年の春夏物で契約が切れる英バーバリーにかわる中核事業と位置づける。 新ブランドの 18 年の売り上げ目標は 200 億円。 三陽商会全体の 13 年の店頭売り上げの 7 分の 1 にあたる。 バーバリーの売り上げは公開していない。

英マッキントッシュは 1823 年、2 枚の綿布の間に天然ゴムを塗った防水布を開発。 この布を使ったコートが人気を集め、英国の陸軍や国鉄の制服に採用されたこともあるという。 (asahi = 10-15-14)

前 報 (7-12-14)


三越伊勢丹、衣料自ら製造へ … 年内にも販売

百貨店最大手の三越伊勢丹ホールディングスが、衣料品や靴、雑貨などについて、自らの意向で商品を企画・製造し、販売まで手掛ける製造小売り事業 (SPA) に本格参入することが明らかになった。 国内の市場が縮小する中、メーカーに頼る品ぞろえからの転換を図る。 三越伊勢丹の参入で百貨店の事業モデルが大きく変わる可能性がある。 三越伊勢丹幹部が読売新聞の取材に明らかにした。

売り場で得た顧客の詳しい購買情報を新商品の企画に反映させ、より顧客に求められる商品を作り、高級ブランド品との両輪とする。 2019 年 3 月期には、百貨店事業の売上高のうち、SPA による商品の割合を 20 - 25% に引き上げたい考えだ。 現在の事業規模にあてはめると 2,000 億 - 3,000 億円となる。

素材の調達から製造、販売までを一貫して手がける体制を整え、年内にも販売を始める見通しだ。 実際の製造は国内の複数の工場に委託し、三越伊勢丹の意向に基づく高品質の製品を作る。 SPA を担当する専門子会社を 16 年にも設立することも検討している。 三越伊勢丹は 19 年 3 月までに、駅ビルやショッピングセンターなどに中小型店約 100 店を新規出店する計画で、そこでは SPA による商品を主力としたい考えだ。 販売価格は衣料品が 1 万 - 2 万円、靴は 2 万円程度を想定する。 (yomiuri = 1-8-15)


国産衣料を橋渡し ベンチャー、工場と消費者を結びつけ

安価な海外品との競合で縮小する国内繊維産業だが、高い技術を持つ中小企業も多く残る。 こだわりの国産品を求める消費者と技術力のある工場を結びつけ、新たな需要の創出を目指すベンチャー企業が増えてきた。 流通の簡素化や生産ラインの有効活用などでコストを抑え、手ごろな価格も実現。 技術力と新しい発想で着実に顧客をつかもうとしている。

「国内外の有名アパレルを支えるのは日本の技術。 これをアピールできればチャンスは広がる。」 衣料品のネット通販サイト「ファクトリエ」を運営するライフスタイルアクセント(熊本市)の山田敏夫社長は強調する。 ファクトリエはシャツやコートなど「工場直販」の独自商品が売り。 大手アパレルから縫製などの加工を請け負う 14 工場と提携。 販売するシャツのタグなどには工場の名前を冠したブランド名を入れる。 山田氏はこれまでに 300 カ所弱の国内工場を回り、技術力のある工場を厳選してきた。

提携先の一つのユーティーオー(東京・港)は「ファクトリエ・バイ・UTO」ブランドでセーターやマフラーなどのカシミヤ製品を販売する。 同社はアパレルからの受注減少を受けて自社ブランド開発に力を入れるが、「販路開拓に苦戦した。(宇土寿和社長)」 ファクトリエは販売面だけでなく、デザインのアドバイスや利用者の要望を工場につなぐ役割も担う。 「マーケティングや販売面の心配が減った」と宇土氏は満足げだ。

これまでにワイシャツを 10 着ほど購入したという都内在住の藤岡大祐さん (33) は「国産品は質の良さが最大の魅力」と話す。 価格は 1 着 1 万円程度。 商社や小売店といった消費者に届くまでの過程を省いてコストを抑える。 山田氏は「有名ブランドであれば 2 - 3 倍の価格でもおかしくない品質の商品をそろえている」と強調する。 12 月中旬には東京・銀座にショールームを開き、実際の商品の手触りやサイズを確認できるようにした。 工場の職人を招いたイベントなども開き、品質を訴える。

ライフスタイルデザイン(東京・港、森雄一郎社長)は 12 月から、自社サイトで 1 着 2 万 9,800 円の国産イージーオーダースーツの販売を始めた。 肩幅などのサイズを入力し、デザインや色などを選べば自分好みのスーツが作れる。 製造工程などを工夫することで、量販店の既製品と変わらない価格を実現した。 同社は国内約 30 カ所の縫製工場と提携しており、それぞれの繁閑を勘案して発注する。 「生産ラインを止めているぐらいなら多少安くても作りたい」という工場の要望に応える。

「空き時間」を使うので、注文から納品までに 3 週間 - 1 カ月半程度かかる。 それでも「20 - 30 代の人からの注文が増えている」といい、オーダーメードのシャツなども含めて月に 60 着程度を販売している。 16 年度には 1 日 100 着、年商 20 億円を目指す。

新ビジネスの芽は消費者への直接販売以外にもある。 シタテル(熊本市、河野秀和社長)は中小のアパレルメーカーや地方のセレクトショップと縫製工場を結ぶサイトを運営する。 アパレルが決めたデザインを基に、シタテルがパターンを作成。 生地やボタンといった副資材も用意する。 1 つの型で 20 着からという小ロット生産も可能。 2016 年には提携工場を約 50 カ所に増やし、年間 2,000 社からの受注を目指す。

バンダースナッチ(横浜市、藤井裕二社長)のサイト「STARted (スターテッド)」は「個人でもアパレルブランドを立ち上げられる」のが売りだ。 作りたい服のイラストをネットで送ると、同社が生地の調達から工場への発注までを一括して請け負う。 完成した衣料品はスターテッドのサイトで販売できる。 9 月にサービスを始めたばかりだが、すでに約 30 のブランドが立ち上がった。 1 人が作るのは 10 着程度。 2 - 3 年後に 1 万人の利用を目指す。 (nikkei = 12-22-14)