全中の監査権や地域の負担金廃止 … 農協改革案

政府・与党は、全国農業協同組合中央会(JA 全中)の地域農協に対する指導・監査権の廃止などを柱とした農協改革案を固めた。 全中を農協法に基づく組織から、経団連や全国銀行協会などと同じ一般社団法人に転換させ、全国約 700 の地域農協の自立性を高める。 週明けにも、自民党の農協改革に関するプロジェクトチームに改革案を示す。

改革案によると、全中の監査部門を分離して新たに監査法人を作り、地域農協が他の監査法人と選べるようにする。 全中が一般社団法人になることで、地域農協などから集めている年約 80 億円の負担金はなくなり、全中は運営費を任意の会費で賄うことになる。

下部組織である都道府県単位の中央会は、農協法上の連合会に位置づける。 今春の統一地方選や来年の参院選を控え、農業票離れを懸念する自民党内の慎重論に配慮した。 農家でなくてもなれる准組合員に対し、農協が運営するスーパーなどの利用を制限する措置は先送りする。 農産物の集荷・販売を担う全国農業協同組合連合会(JA 全農)については、株式会社に転換できるようにする。 (yomiuri = 2-6-15)

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「誰のための改革か」JA 全中会長が安倍総理を批判

JA 全中(全国農業協同組合中央会)の万歳会長が自民党の会合で、安倍政権が取り組む農協改革に真っ向から反対する姿勢を鮮明にしました。

JA 全中・万歳会長 : 「(Q : .監査権廃止とか全中が自由度、奪っているとの指摘について?)我々は自由度を奪っていることは一切感じていないし、各 JA からも『そういうことを感じたことはありません』と言われています。」

万歳会長は、農協改革に関する自民党の作業部会に初めて出席しました。 このなかで、万歳会長は、焦点の一つとなっている地域農協に対する監査権の撤廃について、「自立した農協を支えるために必要だ」として反対する姿勢を改めて強調しました。 そのうえで、「生産現場では、誰のための改革なのか混乱が生じている」と述べ、安倍政権が取り組む農協改革を厳しく批判しました。 (テレ朝 = 1-22-15)

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農協改革、全中の監査権廃止へ 西川農水相が明言

西川公也農林水産相は 6 日、政府が検討している農協改革での全国農業協同組合中央会(全中)の権限について、地域農協への監査権をなくす意向を明らかにした。 農協法を所管する大臣として、監査権の廃止を明言するのは初めて。

西川氏は閣議後の記者会見で、「今のところ強制監査権限は持たないということで、(組織の)あり方を詰めていく」と語った。 監査権を廃止するまでの猶予期間は「まだ議論していない。 これからだ。」とした。 政府は、農協法の改正案を 1 月下旬からの通常国会に提出する。 全中の万歳章会長は同日、地元の新潟市内で会見し、農協改革などについて「政府には農家の声を真摯(しんし)に受け止め、実態に即した着地点を探っていただきたい」と述べた。 全中は自己改革案で、全中を現状通り農協法上の組織と位置づけ、農協への監査権も維持する方針を示している。 (asahi = 1-6-15)

前 報 (6-25-14)


日銀 15 年度物価見通し 1% に引き下げ、原油安でも 2% 目指すと総裁

[東京] 日銀は 20 - 21 日に開いた金融政策決定会合で、2015 年度の物価上昇率の見通しを従来より 0.7% ポイント低い 1% に引き下げた。 日銀が目標とする 2% の達成からは一段と遠のく格好となったが、日銀は政策を現状維持で据え置いた。 黒田東彦総裁は記者会見で、原油などの商品価格が下落するなかでも「2% の物価目標は達成すべき」と明言し、物価の基調が想定通り上がらないなら追加緩和を辞さない姿勢を改めて明確にした。

日銀は金融機関の積極的な貸し出しを促すため、貸し出しを増やした金融機関に低金利で資金を供給する「貸出増加支援」制度などの期限を 1 年延長することも決定。 従来は同制度を利用できなかった信用組合なども利用できるように拡充した。

2% 達成時期「15 年度から若干はみ出る可能性」

大幅な物価見通しの下方修正は、原油価格が前回見通しを修正した 10 月末以降ほぼ半値に急落したのが最大の理由。 足元でも原油価格はバレル 50 ドルを切っているが、日銀は原油の先物市場が年間 7 - 8 ドルと緩やかな上昇を織り込んでいるのを踏まえ、原油価格が 55 ドルから 70 ドルに上昇するとみる。 それに伴い、物価が 15 年度末に急ピッチで上がる絵を描く。 総裁は物価上昇率 2% を達成する時期について、「15 年度を中心とする期間は、前後に若干はみ出る」、「2015 年度を中心とする時期に 2% が展望できる」と強弁した。

日銀 OB や市場関係者の間では、商品価格が軒並み下落傾向にあるなかで、事実上達成の難しい 2% の物価目標を撤回すべきとの議論も出ているが、黒田総裁は「2% 目標は先進国の採用する世界標準」だとして、原油など商品価格が「上がっても下がっても達成すべき目標」と明言した。

原油価格どうなるかわからない

総裁は「原油価格は今後どうなるかわからない」、「前提通りに行くかわからない」とし、原油価格が反転せず想定を下回る可能性も念頭に、「物価を総合的に判断し、2% の目標に向けた道筋から外れれば躊躇なく政策を調整する」と追加緩和の可能性を示唆した。 昨年 10 月末の電撃的な追加緩和の理由が原油価格の急落により人々の物価観をあらわす期待インフレ率が下振れるリスクを未然に防ぐのが理由と説明していたため、原油急落で更に物価が下振れているなかで、今回は追加緩和を見送った理由との整合性が問われている。

総裁は、昨年の追加緩和以降、債券市場の物価観を示す指標である BEI (ブレーク・イーブン・インフレ率)は低下しているものの、「家計やエコノミストの予想インフレ率は、総じて維持されている」、「連合(日本労働組合総連合会)が 2% 以上のベースアップを要求する」など「人々のデフレマインドからの転換は、着実に進んでいる」と指摘。 「デフレマインドに戻る懸念は現状では生じていない」と説明した。

原油安の影響については「原油消費国にはプラス、産油国にはマイナス」、「世界経済全体としてみると成長率を押し上げる」と肯定的に評価した。 特に日本経済には「プラス。 実質所得を押し上げ、やや長い目で物価を押し上げる。」と説明した。

「15 年 4 月に 2% 達成とは言っていない」

今回 15 年度の物価見通しを大幅に引き下げる一方で、追加緩和を見送ったことで、2% 目標の達成時期を 16 年度に先送りしたとの見方も出ている。 しかし総裁は「現在の量的・質的緩和を始めた 2013 年 4 月以来、15 年 4 月に達成するとは言っていない」と説明。 目標達成時期は当初から柔軟に設定しているとの見解を示した。

量的緩和と格差、直接関係ない

今週欧州中央銀行 (ECB) が量的緩和に踏み切る場合のユーロ/円市場への影響について、「為替は色々な要因で動き予見が難しい」とした。 同時に「ECB の緩和は、欧州経済や世界経済にプラス」と評価した。 日米英の中央銀行が進めてきた量的緩和は株式や土地など資産保有者への恩恵が先行するため、格差拡大要因との見方があるが、総裁は「所得・格差の問題は先進国・新興国を問わず議論になっており、中期的な経済問題」としつつ、中央銀行の政策とは直接関係がないの見解を述べた。

付利引き下げなく円高進む

市場関係者の間では今会合に先立ち日銀が当座預金に付与している 0.1% の金利(付利)を引き下げるとの思惑が出ていたが、総裁は「議論していない」と否定した。 為替市場では、日銀が付利引き下げに動かなかったことから、円買いが強まった。 足元の原油安を踏まえ市場の一部には追加緩和観測も出ており、日銀の決定内容は、「予想の下限。 金先や為替の動きをみると、やや失望感を誘う内容だ。(三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券・シニアマーケットエコノミスト 六車治美氏)」との声も出た。

もっとも昨年 10 月の追加緩和で急激な円安が進み、産業界では過度の円安を懸念する声も急増している。 円安が実質所得の目減りを通じて消費マインドを下押ししているとの分析も出ている。 原油安で物価が上がりにくいなかでの追加緩和の是非を含め、日銀の政策運営が今後も一層注目されることになりそうだ。 (竹本能文、伊藤純夫 編集 : 宮崎大、Reuters = 1-21-15)

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93 兆円、市中で年越し = 日銀緩和で過去最高

日銀が 30 日発表した 2014 年末の日銀券発行残高によると、市中に出回ったまま年を越す紙幣(お札)は前年末比 3.3% 増の 93 兆 817 億円となり、5 年連続で過去最高を更新した。

日銀券発行残高は、個人の財布や会社の金庫、現金自動預払機 (ATM) の中などにある紙幣の量。 93 兆円を全て 1 万円札にして積み重ねると高さは約 930 キロメートルとなり、富士山(3,776 メートル)の約 246 倍となる。 日銀は量的・質的金融緩和で大量の資金供給を続けており、市中に出回るお札も増加した。 ある民間金融機関は「金融緩和による金利低下で銀行預金の魅力がなくなり、たんす預金が増えているのだろう」と指摘している。 (jiji = 12-30-14)


家庭向けガスも販売自由化へ 電力とセット可能に

経済産業省は 13 日、2017 年をめどに都市ガスの家庭向け販売にいろいろな企業が参入できるよう自由化する方針を決めた。 16 年 4 月には電力の家庭向け販売も自由化されることになっており、合わせて 10 兆円規模の電力・ガス市場が開放される。 これによって電力会社とガス会社がお互いに参入しあったり、ほかの業界から新規参入したりして、価格やサービスを競い合うことになる。

経産省のガスシステム改革小委員会が 13 日に報告書をまとめた。 報告書では、17 年をめどに都市ガスの家庭向け販売を自由化し、利用者がガス会社を選べるようにする。 これで大手都市ガス会社による「地域独占」はなくなる。 また、かかったコストに利益を加えた「総括原価方式」による料金設定の仕組みも一定期間をおいて撤廃する。 (古賀大己、asahi = 1-14-15)

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国のガス改革案、業界「安全に支障」と反発

経済産業省のガス改革案にガス業界が反発している。 改革案は大手都市ガス 3 社の導管(パイプライン)事業を分離して別会社にすることでほかの企業の新規参入を促し、料金値下げにつなげようとねらう。 一方、ガス業界は、別会社にすれば災害時のガス漏れ対応など安全を守るための仕事に支障が出ると訴える。

経産省は 2017 年をめどに、いろいろな企業が家庭向けガス販売に参入できるようにする「小売りの全面自由化」をめざす。 さらに、19 - 21 年をめどに、東京ガス、大阪ガス、東邦ガス(名古屋市)から導管事業を分離して別会社にするよう義務づけようとしている。 導管事業を分離することでどの企業のガスも公平に送るような環境にして、新規参入を促すねらいだ。 経産省は、これらを盛り込んだガス事業法改正案などを来年の通常国会に提出しようと考えている。 だが、3 日の経産省のガスシステム改革小委員会では、別会社にすることをめぐって経産省と大手ガス 3 社の対立が鮮明になった。 (古賀大己、asahi = 12-7-14)


予算総額 96 兆 9 千億円に膨張 社会保障、最大の 31 兆円台

政府は 31 日、2015 年度予算案の骨格を固めた。 一般会計総額を 96 兆 9 千億円程度とし、社会保障費は 31 兆円台後半で調整、いずれも過去最大に膨らむ。 税収が伸びるため国債発行額を 14 年度当初予算より 3 兆円以上減らし、基礎的財政収支の赤字を半減する 15 年度の財政健全化目標は達成できる公算が大きい。 ただ社会保障費の膨張に歯止めをかけるめどは立たず、厳しい財政運営が続く。

年明けから与党と調整し、1 月 14 日に閣議決定。 財務省は介護報酬などの社会保障費にぎりぎりまで切り込む構えだが、春の統一地方選を前に与党が地方予算の増額を求め、総額がさらに膨らむ可能性もある。 (kyodo = 1-1-15)


法人減税、2 年で 3.29% 税制改正大綱が 30 日決定

自民・公明両党の税制調査会は 29 日、来年度の国と地方に納める法人実効税率を、2015 年度と 16 年度の 2 年間で 3.29% 引き下げることを決めた。 来年度で 2.51% 下げて 32.11% とし、16 年度で 0.78% 下げて 31.33% とする。 税制改正の議論はこれで決着し、与党は 30 日に来年度税制改正大綱を決定する。

安倍政権は法人減税を成長戦略の柱として、今年 6 月に「来年度から数年で 20% 台に下げる」方針を閣議決定した。 企業の税負担を軽くし、外国企業からの投資を呼び込んだり、日本企業の業績改善や賃上げにつなげたりするねらいだ。 法人実効税率は現在、34.62% (標準税率)。税率の引き下げで税収が減る分は、赤字の企業でも事業規模などに応じてかかる「外形標準課税」を強化するなどして、段階的に穴埋めする。 外形標準課税は税率を 15 年度は 1.5 倍、16 年度は 2 倍にするが、来年度からの2年は減税が増税を上回る「先行減税」となる。

与党税調は、今回の見直しを法人税改革の「第 1 段階」と位置づける。 大綱では、17 年度の税制改正でも税率を引き下げ、20% 台を目指すことも盛り込む。 このほか、子や孫にまとまった資金を非課税で贈与できる制度を、住宅や教育だけでなく、結婚や育児資金にも広げる改正もまとまった。 低燃費の車の自動車取得税や重量税を減免する「エコカー減税」は適用基準を厳しくする。 減税がなくなるか、減税幅が小さくなる車種が出てくる。

消費税率 10% への引き上げを 17 年 4 月に延期したことに伴い、住宅ローン減税の適用期間も 19 年 6 月末までの入居分に 1 年半延長する。 10% 時に予定していた自動車取得税の廃止は先送りする。 ビール類の課税や主婦世帯を優遇する所得税などの配偶者控除の見直しも、今回は見送った。 (吉川啓一郎、小野甲太郎、asahi = 12-29-14)

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法人減税、下げ幅 2.5% 政府・与党が方針

政府・与党は、来年度税制改正の焦点となっている法人実効税率の引き下げ幅について、初年度の 2015 年度は 2.5% 幅引き下げる方針を固めた。 企業向けの穴埋め増税は初年度は約 2% 幅にとどめ、約 1 千億 - 2 千億円の先行減税になる。 30 日に決める与党税制改正大綱に盛り込む。

安倍晋三首相と野田毅・自民党税制調査会長が 26 日午後に会談し、こうした方針を確認する見通しだ。 国・地方を合わせた法人実効税率は現在約 35% で、安倍政権は成長戦略で「数年で 20% 台」にする方針を決めている。 一方、1% 幅下げると約 4,700 億円の税収が減るため、初年度の下げ幅と、穴埋め増税ですべて補うかが焦点だった。 (鯨岡仁、吉川啓一郎、asahi = 12-26-27)

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法人実効税率「来年度に 2.5% 幅で引き下げ」 経産相

宮沢洋一経済産業相は 10 日、法人実効税率について 2015 年度に 2.5% 幅以上の引き下げをめざす考えを明らかにした。 政府は現在、約 35% の実効税率を「15 年度から数年で 20% 台まで下げる」方針を打ち出しているが、閣僚が 15 年度の具体的な下げ幅に言及したのは初めて。 都内での経団連幹部との会談後、記者団に語った。 実効税率については、経団連が 15 年度から 2% 幅以上下げるよう要望しており、与党の税制調査会などで詰めの調整が続いている。

1% 幅下げると税収は約 5 千億円減る。 穴埋め財源として利益がなくても給与総額などに応じて大企業に課す外形標準課税の拡大が検討されているが、宮沢氏は「2.5% 幅以上下げるとなると(拡大を)それなりにお願いしないといけない」と述べた。 経団連の榊原定征会長は宮沢氏の発言に「ぜひそういった形でまとめていただきたい」と期待を示した。(稲田清英、asahi = 11-10-14)

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法人減税、初年度 2 - 3% で調整へ 与党税調

与党の自民、公明両党の税制調査会と財務、総務両省は、国と地方を合わせた法人実効税率について、2015 年度に 2 - 3% 前後引き下げる方向で調整に入る。 34.62% ある税率を数年かけて段階的に引き下げ、17 年度以降に「20% 台」にしたい考えだ。 安倍政権は 6 月に法人実効税率について「数年で 20% 台に下げる」ことを決めている。 両省は 29 日、15 - 16 年度と 17 年度以降の 2 段階で見直しを進める改革案を両党の税調会合で示した。 与党はこれに沿って来年度の税制改正案をまとめる方針だ。

財務省によると、実効税率を 1% 幅下げると税収は約 5 千億円減る。 改革案では、税率引き下げ分の財源は、企業向けの別の増税で穴埋めすることを前提にしている。 増減税の影響を和らげるため、15 - 16 年度の 2 年間で 2 -3% 前後を引き下げる案もある。

15 - 16 年度の第 1 弾では、もうけがなくても給与総額などに応じて大企業に課す「外形標準課税」の拡大や、過去に赤字だった企業向けの減税の見直しなどを挙げた。 外形標準課税の対象を資本金 1 億円以下の中小企業にも広げる案もあったが、企業側の反発が強く、見送ることにした。 17 年度以降の第 2 弾の改革では、企業の研究開発や設備投資を支援する減税の見直しなどを検討する。

安倍晋三首相は法人税改革を成長戦略の目玉と位置づける。 首相が財政を悪化させないよう増減税のバランスを優先するか、企業支援を重視して減税を先行させるかが、年末の税制改正の焦点になりそうだ。(吉川啓一郎、稲田清英、asahi = 10-29-14)


未年の日本株市場 「官製相場」が続き辛抱は不要か

株式相場の格言に従えば、「未(ひつじ)年は辛抱」。 ただ、2015 年の日本株をめぐっては、市場関係者の間では今のところ強気見通しが優勢です。 「辛を強いられる」との声はほとんど聞かれません。

先高感が強い背景には、「官製相場」の色合いを濃くしていることがあります。 14 年の株価下落局面で目立ったのが信託銀行経由の買いです。 日経平均株価が 1 万 4,500 円まで値下がりした 10 月には、売り買い差し引きで約 7,598 億円の買い越しを記録しました。 買い越し額は月間ベースで 09 年 3 月以来の高水準です。 「陰の主役」は約 126 兆円の資産を運用する「世界一の機関投資家」、年金積立金管理運用独立行政法人 (GPIF)。 信託銀行経由で GPIF の資金が流入し、株価を押し上げた可能性が高いとみられます。 (asahi = 12-27-14)


11 月鉱工業生産速報 前月比 -0.6%、一般機械の反動減除けば増加基調

[東京] 経済産業省が 26 日発表した 11 月鉱工業生産指数速報は前月比 0.6% 低下の 97.8 となり、3 カ月ぶりの低下となった。 ロイターの事前予測調査では前月比 0.8% 上昇と予想されていたが、発表数値は予想に反してマイナスとなった。 はん用機械などの反動減を除くと全体としてプラス基調を維持しており、特に輸送機械や電子部品・デバイスなどのしっかりした動きが確認できるため、経済産業省では見かけほど悪くないと判断している。 10 - 12 月期は前期比上昇を確保できそうだ。

鉱工業出荷指数は前月比 1.4% 低下、在庫指数は 1.0% 上昇だった。 経済産業省は生産の基調判断を「一進一退にある」として据え置いた。 11 月の生産低下の主な要因は、はん用・生産用・業務用機械工業が 10 月の伸びの反動で前月比 3.5% 減と大幅に低下したことが背景。 アジア向け半導体製造装置や、発電用水管ボイラなどの生産が減少した。 このほか、電気機械でも、前月の反動で発電用タービンなどが減少した。

他方、上昇したのは電子部品・デバイスで、液晶素子や半導体集積回路などを中心に 5 カ月連続で増加。 また輸送機械工業も増加した。 小型乗用車や軽自動車は出荷が振るわず在庫調整が続いているため減少したが、普通乗用車や部品などを中心に上昇した。 経済産業省では、こうしたウエートの大きい輸送機器や電子部品など安定した動きの業種でしっかりした動きがうかがえることから、11 月の生産低下は内容的には一般機械の振れによるものであり、内容は見かけほど悪くないとみている。

ただ、生産水準は昨年 11 月ごろから消費税引き上げ前の駆け込み需要が発生していたため、前年比ではしばらく低下が続きそうだ。 駆け込みが始まる前の水準に戻ったとも言える。 先行きの生産予測指数は 12 月が前月比 3.2% 上昇、1 月が同 5.7% の上昇となった。 11 月の低下分が 12 月、1 月に持ち越されている分もあるため、非常に高い伸びとなっているが、12 月はこれほどの伸びには達しないと経済産業省ではみている。 ただ、それを割り引いても 10 - 12 月期は前期比で 3 四半期ぶりに上昇に転じる可能性が高い。 予測値通りなら、前期比 2% を超える伸びとなりそうだ。 (中川泉、Reuters = 12-26-14)

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12 月の日銀短観、大企業製造業 DI プラス 12 2 期ぶり悪化 先行きプラス 9

日銀が 15 日発表した 12 月の全国企業短期経済観測調査(短観)は、企業の景況感を示す業況判断指数 (DI) が大企業製造業でプラス 12 だった。 前回の 9 月調査(プラス 13)から小幅に悪化した。 DI の悪化は 2 四半期ぶり。 急ピッチの円安による原材料コストの増加に加え、消費増税前の駆け込み需要の反動減が一部業種で続き、企業の景況感は停滞している。 輸出回復の遅れも景況感の悪化につながった。 もっとも、反動減は全体として収束しつつあり、悪化幅は小さかった。

3 カ月先については、大企業製造業がプラス 9 になる見通し。 素材産業を中心に、円安による原材料コスト高への懸念があり、企業マインドの悪化につながった。 2014 年度の事業計画の前提となる想定為替レートは大企業製造業で 1 ドル = 103 円 36 銭と、前回の 100 円 73 銭よりも円安・ドル高方向に修正された。 業況判断 DI は景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を引いた値。 回答期間は 11 月 12 日 - 12 月 12 日で、今回の回答基準日は 11 月 27 日だった。

大企業非製造業の DI はプラス 16 と、前回から改善した。 改善は 3 四半期ぶり。 消費税引き上げ後の駆け込み需要の反動減が収束に向かっているうえ、訪日外国人の増加などを背景に宿泊・飲食サービスなどが持ち直した。 3 カ月先の DI は小幅悪化し、プラス 15 を見込む。 小売業などで改善を見込む一方、公共事業の減速で建設業の DI が悪化したことなどが影響した。 中小企業は製造業が前回(マイナス 1)から改善しプラス 1、非製造業は前回(ゼロ)から悪化しマイナス 1 だった。 非製造業 DI は 5 期ぶりにマイナス圏に沈んだ。 先行きはいずれも悪化を見込む。

14 年度の設備投資計画は大企業全産業が前年度比 8.9% 増だった。 9 月調査の 8.6% 増から上方修正され、QUICK がまとめた市場予想の中央値(8.1% 増)を上回った。 先行きの海外経済回復の期待に加え、企業収益は堅調で、これまで先送りしていた設備更新や能力増強投資を再開する動きが出てきたことが、増加につながったようだ。 大企業のうち製造業は 11.4% 増、非製造業は 7.6% 増を計画している。 大企業製造業の輸出売上高は前年度比 1.2% 増となり、9 月調査から上方修正された。 円安基調が続いていることで輸出企業が先行きについて強めの計画を設定したとみられる。

大企業製造業の販売価格判断DIはマイナス 3 と、9 月調査(マイナス 4)からマイナス幅が小幅に縮小した。 DI は販売価格が「上昇」と答えた企業の割合から「下落」と答えた企業の割合を差し引いたもの。 仕入れ価格判断 DI がプラス 19 と、前回(プラス 17)からプラス幅を広げており、円安を背景にした輸入コストの増加分を価格転嫁する動きはさほど進んでいないようだ。 (nikkei = 12-15-14)

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大企業の景況感、2 四半期連続プラス 10 - 12 月期

内閣府と財務省は 10 日、10 - 12 月期の「法人企業景気予測調査(政府短観)」を発表した。 大企業の景況感を示す指数は全産業で 5.0 となり、2 四半期続けてプラスだった。 ただ、中小企業全産業の指数はマイナス 10.1 で、3 四半期続けてマイナスになった。 指数は、景況感が前期より「上昇した」と答えた企業の割合から「下降した」と答えた企業の割合を引いた数字で、四半期ごとに調べている。 プラスなら「景気が良くなった」と判断する企業が多いことを示し、マイナスは「景気が悪くなった」と判断する企業が多いことを示す。 (asahi = 12-10-14)

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企業の国内設備投資額、5.5% 増 GDP 上方修正も

金融・保険業をのぞく企業の 7 - 9 月期の国内の設備投資額は、前年の同じ時期と比べて 5.5% 増の 9 兆 4,383 億円だった。 財務省が 1 日、法人企業統計として発表した。 増加は 6 四半期連続。 伸び幅は前期(4 - 6 月)の 3.0% 増を上回った。 この統計を踏まえると、7 - 9 月期の国内総生産 (GDP) の実質経済成長率は、上方修正される可能性がある。

製造業は 10.8% 増。 前期は 0.8% 減で、2 四半期ぶりに増えた。 金属製品や情報通信機械などの業種で伸びており、建設資材やスマートフォン向け電子部品で生産能力を増やす動きもあった。 非製造業は 2.7% 増。 伸び幅は前期の 5.0% 増より縮んだが、6 四半期連続で増えた。 不動産業では商業ビルやオフィスビルの開発投資が伸び、物流施設や小売業の新規出店が増加したという。 (田中美保、asahi = 12-1-14)

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9 月機械受注 2.9% 増 4 カ月連続プラス、基調判断据え置き

内閣府が 13 日発表した 9 月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標とされる「船舶・電力除く民需」の受注額(季節調整値)は前月比 2.9% 増の 8,316 億円だった。 石油・石炭製品や運輸・郵便業向けの大型案件が発生し、4 カ月連続のプラスだった。 QUICK が 12 日時点でまとめた民間予測の中央値(1.2% 減)を大幅に上回った。 内閣府は機械受注の判断を前月の「緩やかな持ち直しの動きがみられる」で据え置いた。

主な機械メーカー 280 社が製造業から受注した金額は 12.0% 増の 3,637 億円と 2 カ月ぶりに増加に転じた。 石油・石炭製品向けのボイラーやタービン、電気機械向けの半導体製造装置などが伸びた。 船舶・電力を除いた非製造業から受注した金額も 1.7% 増の 4,783 億円と 2 カ月連続のプラスだった。 通信業や情報サービス業からコンピューター、運輸・郵便業からボイラーやタービンの受注が増えた。

同時に発表した 7 - 9 月期の実績は前期比 5.6% 増の 2 兆 4,110 億円だった。 製造業からの受注増が寄与して 2 四半期ぶりのプラスに転じた。 10 - 12 月期は 0.3% 減と再びマイナスになる見通し。 船舶・電力を除いた非製造業が回復する一方で、製造業は 2 四半期ぶりに減少すると見込まれている。 (nikkei = 11-13-14)

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9 月の鉱工業生産指数、前月比 2.7% 上昇 経産省

経済産業省が 29 日発表した 9 月の鉱工業生産指数(2010 年 = 100、季節調整済み)の速報値は、前月を 2.7% 上回る 97.8 だった。 (asahi = 10-29-14)

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8 月の機械受注、前月比 4.7% 増 3 カ月連続で増加

内閣府は 9 日、企業の設備投資の動向をいち早く示す 8 月の機械受注統計を発表した。 変動の大きい船舶・電力を除く民需の受注額は、前月より 4.7% 増えて 8,078 億円だった。 増加は 3 カ月連続。 基調判断は「緩やかな持ち直しの動きがみられる」とし、5 カ月ぶりに引き上げた。 前月までは「一進一退で推移している」だった。

非製造業が前月比 10.7% 増えた。 大型の受注があったリース業や、建設業が伸びた。 製造業は同 10.8% 減だった。 化学工業や石油製品・石炭製品などの業種で前月まとまった受注があり、その反動で落ち込んだ。 機種別では、輸出が好調な工作機械が前年同月に比べ 27.9% 増えた。 海外からの受注では、航空機などの大型案件が入り、前月比 29.1% 増えた。 (asahi = 10-9-14)

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黒字企業が 29%、3 年連続で上昇 国税庁調査

2013 年度に税務申告した法人のうち、黒字と申告した法人の割合は 29.1% (前年度比 1.7 ポイント増)と、3 年連続で上昇したことが国税庁の調査でわかった。 申告所得の総額も前年度比 8 兆 906 億円増の 53 兆 2,780 億円と、4 年連続の増加となった。 国税庁は「企業の業績改善がうかがわれる」としている。 大企業などに多い連結法人では、1,425 法人が申告し、黒字の申告割合は 57.5% (同 7.5 ポイント増)と過去最高だった。 (asahi = 10-8-14)

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景況感、大企業・製造業は 1 ポイント改善 日銀短観

日本銀行が 1 日発表した 9 月の全国企業短期経済観測調査(短観)で、代表的な指標となる「大企業・製造業」の業況判断指数 (DI) がプラス 13 と、前回 6 月調査から 1 ポイント改善した。 改善は 2 四半期ぶり。 一方で「大企業・非製造業」の DI もプラス 13 だったが、前回調査からは 6 ポイント悪化した。 DI は、景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を引いた値。 3 カ月後の先行きについては、大企業・製造業が横ばいのプラス 13、大企業・製造業が 1 ポイント改善のプラス 14 だった。 (asahi = 10-1-14)


7 - 9 月期日本 GDP 改定値、前期比年率 1.9% 減 - 設備投資が下方修正

内閣府が 8 日発表した 2014 年 7 - 9 月期の実質国内総生産 (GDP) 改定値は、前期比 0.5% 減、前期比年率換算で 1.9% 減となり、速報値の前期比 0.4% 減、年率 1.6% 減から下方修正された。 また、エコノミスト予想の前期比 0.1% 減、年率 0.5% 減をも下回った。 安倍晋三内閣発足から約 2 年たつが、経済の先行きは、いまだ不透明だ。 GDP は 4 - 6 月期に年率 6.7% 減少していたたため、7 - 9 月期と合わせて 2 四半期連続のマイナス成長となり、定義上のリセッション(景気後退)となった。

リセッションかどうかはともかく日本の経済は落ち込んでいる。 4 月の消費税率引き上げに続き、円が対ドルで約 30% 下落したことによるインフレ進行のため、個人消費には回復の兆しがほとんど見えず、特に住宅や自動車などの購入が低迷している。 消費低迷は企業の生産活動や設備投資の抑制につながり、さらに景気を悪化させている。

安倍首相の経済政策(アベノミクス)は、円安によって輸出を増やすことを柱としている。 ただ、円安は消費者の購買力を損なう。 日銀も資金供給で円安を導き、国内での生産活動の相対コストを引き下げているが、今のところ輸出業者が海外に移した生産拠点を国内に戻させることには成功していない。 過去 2 年間、日本は輸出以上に輸入を増加させており、貿易収支は成長率の足かせになっている。

安倍首相は時間稼ぎをしようとしている。 円安によって押し上げられた企業収益が最終的には、賃金の上昇、投資の活発化、ひいては雇用の拡大につながると期待しているのだ。 今月行われた世論調査では、アベノミクスを支持すると回答したのはわずか 33% で、不支持は 51% だった。 しかし、6 日後に予定されている総選挙では強力な野党がいないため、安倍首相率いる自民党が大勝すると予想されている。 安倍首相はこの選挙を、アベノミクスに対する国民投票と位置づけている。

一方、この朝発表された 10 月の経常収支は 8,334 億円(季節調整前)となった。 海外からの投資収益の増加と輸出の増加による貿易赤字縮小によって、4 カ月連続の黒字となった。 経常収支は貿易収支よりも幅広く、日本と海外とのカネやモノ、サービスの取引を集計している。 (The Wall Street Journal = 12-8-14)

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GDP、年率 1.6% 減 7 - 9 月期、景気低迷鮮明に

内閣府が 17 日発表した 2014 年 7 - 9 月期の国内総生産 (GDP) の 1 次速報は、物価の変動の影響をのぞいた実質成長率が、前期(4 - 6 月期)より 0.4% 減、この状況が 1 年続いた場合の年率換算ではマイナス 1.6% となった。 マイナス成長は 2 四半期連続で、4 月の 8% への消費増税後の景気低迷が鮮明になった。

GDP は、国の経済規模を示すもの。 GDP の約 6 割を占める個人消費は前期比 0.4% 増、公共投資は 2.2% 増、輸出は 1.3% 増と改善したが、住宅投資が 6.7% 減に落ち込み、景気回復のバロメーターとされる企業の設備投資も 0.2% 減となった。 4 - 6 月期の実質成長率も、年率でマイナス 7.1% からマイナス 7.3% に下方修正された。

4 月に消費税率を 8% に引き上げたことによる買い控えが長引き、夏場の天候不順も響いたとみられる。 2 四半期連続のマイナス成長を受け、17 日夕に帰国予定の安倍晋三首相は 18 日にも、来年 10 月に予定していた消費税率 10% への引き上げを 1 年半延期すると表明し、衆院解散・総選挙に踏み切るとみられる。 (asahi = 11-17-14)

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GDP、年率 7.1% 減に 6.8% から下方修正 4 - 6 月期

内閣府が 8 日発表した 4 - 6 月期の国内総生産 (GDP) の 2 次速報は、物価の変動を除いた実質成長率が前期(1 - 3 月期)と比べて 1.8% 減、年率換算では 7.1% 減だった。 8 月に発表した 1 次速報の年率 6.8% 減から下方修正した。 (asahi = 9-8-14)

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GDP、年率 6.8% 減 4 - 6 月期 震災以来の下げ幅

内閣府は 13 日、国の経済規模を示す国内総生産 (GDP) の 4 - 6 月期の 1 次速報を発表した。 物価の変動や季節要因を除く実質 GDP は、1 - 3 月期より 1.7% 減り 2 四半期ぶりのマイナス成長となった。 この状況が 1 年続いた場合の年率換算では 6.8% 減。 東日本大震災があった 2011 年 1 - 3 月期(年率 6.9%)以来の下げ幅となった。 消費増税に伴う駆け込み需要の反動で個人消費が大きく落ち込んだことが響いた。 (asahi = 8-13-14)


ムーディーズ、日本国債引き下げ 5 番目の「A1」に

米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは 1 日、日本国債の格付けを上から 4 番目の「Aa3」から 5 番目の「A1」に 1 段階引き下げると発表した。 (asahi = 12-1-14)

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消費増税延期で 15 年度の税制改正、仕切り直し 自動車取得税、法人税、酒税 … 影響、多方面に

消費税率の 2015 年 10 月再引き上げが 1 年半延期されたことで、2015 年度の税制改正作業が見直されることになる。 車を買う時にかかる自動車取得税(地方税)の廃止が先送りになり、法人実効税率の引き下げ幅に波及するとの見方が出るなど、再増税を前提とした制度改革は軒並み延期、仕切り直しになる。

税制の多くの分野で増税延期のしわ寄せ

アベノミクスの最重要の柱である法人税改革では、現在約 35% の法人実効税率を「数年で 20% 台に引き下げる」と決めている。 そのために、赤字企業にも課税する外形標準課税の強化、企業が抱える赤字を翌年度以降に損金算入できる繰越欠損金制度や企業が受け取る株式配当の非課税制度の縮小など代替財源の確保の議論を詰めてきた。

しかし、再増税の延期で、2015 年度は約 1.5 兆円の税収が消える一方、自民党は衆院選公約で、消費税率を 10% に引き上げる 2017 年 4 月までの間にも、子育て支援や介護などの社会保障サービスを充実させる方針を盛り込み、財政健全化も「目標達成の計画を来夏までに策定」と目標堅持を明記した。 そのための財源確保は容易ではなく、税制の多くの分野で増税延期のしわ寄せが及ぶのは必至とみられる。

法人税について宮沢洋一経済産業相は「2015 年度から(実効税率を) 2.5% 以上引き下げ」と、減税先行を表明していたが、「財源確保のため、税率の下げ幅圧縮が必要(与党税調筋)」との声が聞かれる。 (Jcast = 12-1-14)

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消費税「上げられる状況でない」 7 割 朝日新聞世論調査

朝日新聞が 8、9 日に実施した全国世論調査(電話)で、今の日本の景気は消費税を引き上げられる状況かどうかを尋ねたところ、71% が「引き上げられる状況ではない」と答えた。 「引き上げられる状況だ」は 16% だった。 安倍内閣の支持率は 42% で、女性 2 閣僚辞任に伴う 10 月 25、26 日実施の全国緊急世論調査 (49%) より下がった。 第 2 次安倍内閣発足以降では、集団的自衛権行使容認の閣議決定後の 7 月と 8 月に実施した全国世論調査の最低と並んだ。 不支持率は 36% で、同じく 7 月に記録した最高と並んだ。

来年 10 月に消費税を 10% に引き上げることへの賛否は、「賛成」が 24%、「反対」が 67% だった。 賛成とした人のうち、今の日本の景気は「引き上げられる状況だ」としたのは 48%、「引き上げられる状況ではない」 36% だった。 消費税引き上げで景気へ悪影響が出る不安については、「大いに感じる」 27%、「ある程度感じる」 57%。 「あまり感じない」 11%、「まったく感じない」 2% だった。 消費税を引き上げないことで社会保障へ悪影響が出る不安については、「大いに感じる」 18%、「ある程度感じる」 48%。 「あまり感じない」 24%、「まったく感じない」 6% だった。

安倍首相の経済政策のもとでの、自身の暮らし向きについても聞いた。 「よくなった」 4%、「悪くなった」 28%、「変わらない」 66% だった。 停止している鹿児島県の九州電力川内(せんだい)原発の運転再開の賛否を聞くと、「賛成」 31%、「反対」 52% だった。 原発の運転再開を検討する場合、地元の同意をどこまで得るべきと思うかについては、「原発がある市町村と県の同意でよい」は 14%。 「原発 30 キロ圏の市町村と県の同意も得るべきだ」が 72% だった。

調査は 8、9 の両日、コンピューターで無作為に作成した番号に調査員が電話をかける「朝日 RDD」方式で、全国の有権者を対象に実施した(福島県の一部を除く)。 世帯用と判明した番号は 3,899 件、有効回答は 1,899 人、回答率は 49% だった。 (11-10-14)

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クルーグマン教授「消費税10%、急ぐべきでない」

ノーベル賞経済学者で米プリンストン大学教授のポール・クルーグマン氏が来日し、6 日、都内で日本経済新聞の取材に応じた。 日銀が先週決めた追加金融緩和を「勢いを失いつつあったアベノミクスに再び息を吹き込んだ」と評価する一方で、消費再増税については「国内経済の打撃は大きく、再増税を急ぐべきではない」と語った。

具体的には「物価上昇率が年率 2 - 3% に達し、デフレ脱却が本物になるまでは再増税を控えるべきだ」と話した。 財政再建の遅れは日本国債売りを招くとの懸念には、「1 年半 - 2 年の再増税先送りであれば問題にならない。 日本の債務は自国通貨建てで、ギリシャの債務危機のような事態は起きない。」と述べた。 さらに本格的な景気回復には「政府が積極的な財政出動に乗り出す必要がある」と語った。 (nikkei = 11-6-14)