概算要求、初の 100 兆円超へ 社会保障費など膨らむ
来年度の予算編成に向けて各省庁が欲しい予算を財務省に示す概算要求の総額が初めて 100 兆円を超える見通しになった。 高齢化で社会保障費が膨らむほか、成長戦略や地方活性化策などで各省庁が要求額を積み増すためだ。 今月末で締め切る要求額のうち政策経費は 75 兆円超、借金返済に充てる国債費が 26 兆円弱となり、今年度の要求総額 99.3 兆円を超えるのが確実になった。 要求は財務省が査定で絞り込むため、年末の予算案の総額が 100 兆円を超えるかどうかは分からない。
財務省は社会保障費について 8,300 億円の増額要求を認めたほか、成長戦略など政権が重視する政策は 3 割増しの要求を認めている。 各省庁はルールの上限まで要求するとみられ、社会保障を担う厚生労働省の要求額は 31 兆円台、地方交付税交付金などの要求額は 16 兆円台になる見通し。 なお今回の概算要求は消費税率 8% が前提。 来年秋に税率 10% に上がることが決まれば、政府が支払うお金にかかる消費税も増え、必要な予算はさらに膨らむ。 (疋田多揚、細見るい、asahi = 8-25-14)
アベノミクスに立ちはだかる 2 つの「障壁」
日本の企業と消費者は一様に、アベノミクスの推進に向けて与えられた役割を演じるのを拒んでいるようだ。 日本がデフレと景気低迷から脱却するチャンスは失われつつある。 円相場の下落にもかかわらず輸出が減少し、消費者物価上昇の勢いが再び弱まるなか、7 - 8 日に金融政策決定会合を開く日本銀行には圧力がかかることになる。
異次元金融緩和と財政刺激策、長期的な構造改革を柱とするアベノミクスはここまで、物価上昇と経済成長の面で一定の成果を収めてきた。 しかし、物価上昇に所得の伸びが追いついていない家計は、当初の期待通りには支出を増やしていない。 先週発表された 6 月の小売業販売額(全店ベース)は前年比でマイナスと期待外れになった。
消費が伸びていない要因の大部分は、4 月に実施された 5% から 8% への消費税率引き上げにある。 消費増税はより切迫した公的債務問題に対応するためのものだが、失われた 10 年を経験した日本の消費者が身をすくめてしまうのは無理からぬことだ。 むしろ驚きなのは、そして少し皮肉的でさえあるのは、欧米企業と違って株主価値を最大化させていないと長く批判を受けてきた日本企業が、今度は株主価値を優先することでアベノミクスを頓挫させるような振る舞いを見せていることだ。
アベノミクスを支えてきたのは、為替相場を円安方向に導く日銀の断固たる姿勢だった。 円の対ドル相場は、異次元緩和策の発表前からは約 25% 安い水準にある。 その狙いは、日本企業が世界市場での新たな競争力(円安)を使って生産を拡大させる好循環を生み出すことだった。 企業の雇用と新規設備投資が増加することで、日銀が意図的につくり出した物価上昇はうまく吸収され、本物の成長局面につながることが期待された。
しかし、そこにはまだ至っていない。 先に発表された 6 月貿易収支では、輸出が前年比 2.0% 減と 2 カ月連続のマイナスとなった。 問題を難しくしているのは、原発稼働停止による燃料輸入の増加などで、輸入は同 8.4% 増とプラスに転じたことだ。 その結果、6 月としては過去最大の貿易赤字となり、2014 年上半期の貿易赤字は前年同期比で 57% 増えた。
<規模拡大より利益優先>
これらはすべて、日本の企業文化の変化を示唆しているのかもしれない。 人口減少と円高への備えとして生産拠点の海外移転を進めてきた日本企業の多くは、円安を単に思わぬ追い風ととらえている節がある。 企業は国内での投資を拡大して攻めに転じるよりも、円安を当たり前のこととは考えず、現在の相場環境が続く間は高い利益率を享受しようとしている。 1970 年代や 80 年代の楽観的な日本の経営者たちなら、円安を利益拡大のためだけでなく、自社の規模拡大にも使ったはずだ。
しかし、20 年に及ぶデフレと少子化傾向にくわえ、株主重視文化の輸入もあいまって、今の日本企業は、むしろ欧米企業に近い行動を取るようになっている。 つまり、円安による利益は規模拡大のために使うのではなく、ため込む方向にある。 長期的な視点に立てば、そうした行動は資本の配分の最適化を意味するのかもしれない。 しかし、短期的には、アベノミクスに不健全な現実を突きつけることになる。
もう 1 つ確かなのは、企業経営者も消費者も、アベノミクスの第3の矢である構造改革をまだ実感していないことだ。 構造改革はいずれは経済のパイ全体を拡大させるだろうが、一部は新たな競争にさらされることになり、それは労働者も感じることになるだろう。 多くの投資家がアベノミクスは脱線しつつあるかもしれないとの感覚を持っているのは、こうした理由からだ。 ただ、その考え方も恐らくは早計だろう。
安倍晋三首相の支持率は最近大きく下がったが、首相も日銀も政策に全面的にコミットしており、特に日銀は、景気やマーケットの悪化には、これまでと同じような政策で対応すると考えられている。 7 - 8 日の金融政策決定会合では、2015 年中の「物価目標 2%」達成に向けて多くの議論が交わされるだろう。 少なくとも今回の会合の結果は、政策そのものの変更ではなく、文言の変化にとどまる公算がかなり大きい。 ただ、各指標で経済の停滞傾向が示され続ければ、遠からず追加緩和策が打ち出される可能性はある。
そうなれば、金融市場は好ましい方向に動くだろう。 しかし、今の企業の動きを考えると、そもそもアベノミクスは、もはや存在していない過去の日本を念頭につくられたのではないかという疑問は残る。 (James Saft、Reuters = 8-6-14)
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アベノミクス「中期的リスクは重大」 IMF が警告
国際通貨基金 (IMF) は 31 日、日本に対する年に 1 度の審査報告書を公表した。 安倍政権の経済政策「アベノミクス」が「勢いを増している」と評価しながらも、「3 本の矢の進み具合はまだらで、中期的なリスクはいまだ重大だ」と警告した。 IMF はアベノミクスについて「物価が上がり、消費増税も実施され、民間主導の成長への転換がみられつつある」と評価した。 一方で、「景気回復とデフレ脱却が持続するか不透明感が高い」として、構造改革の実行を求めた。
具体策としては、保育施設の充実や退職年齢の引き上げで、女性や高齢者、外国人の雇用を増やすことを提案。 環太平洋経済連携協定 (TPP) も合意できれば恩恵は大きいとした。 法人減税は「成長への利点がある」としつつ、「税収減を補う政策と同調させるべきだ」と指摘し、財政健全化の徹底も求めた。 (ワシントン=五十嵐大介、asahi = 8-1-14)
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成長戦略と骨太方針を閣議決定「1億人を維持する」
安倍内閣は 24 日、経済政策の指針となる新たな成長戦略と「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」を閣議決定した。 国と地方を合わせた法人実効税率を来年度から数年かけて 20% 台に下げるほか、働いた時間より「成果」を重視する雇用制度を導入するなど、経済界が求めてきた政策を多く盛り込んだ。
この日夕、骨太の方針をまとめる経済財政諮問会議と、成長戦略をまとめる産業競争力会議を合同で開き、終了後の臨時閣議で正式に決めた。 安倍晋三首相は記者会見で「日本経済が持つ可能性を開花させるため、いかなる壁も打ち破っていく」と説明した。
骨太の方針では、「50 年後に 1 億人を維持する」という人口目標を政府として初めて掲げた。 いまの人手不足を解消し、将来の働き手を確保するため、子育て支援などを柱とした女性の就労支援策や、外国人に日本で働いて技術を学んでもらう「技能実習制度」の拡充なども打ち出した。 来年度の予算編成に反映したり、今後の国会で関連の法改正案を提出したりする。 (asahi = 6-24-14)
ローソンが新潟市特区でコメ生産 年内めどに農業法人設立
政府は 18 日、国家戦略特区に指定された新潟市で、規制緩和策を議論する「区域会議」を開き、事業計画案を示した。 大手コンビニのローソンが年内をめどに地元農家と農業生産法人を設立、ローソンの店舗で販売するコメを生産・加工する。新潟市で農地集約を進めるため、農業委員会が持つ農地貸借の認可権限を見直す方針も示された。
会議には新藤義孝・戦略特区担当相や新潟市の篠田昭市長、地元企業の代表者らが出席。 次回に具体策をまとめ、今秋以降に戦略特区を始動させる。 政府は成功事例を他地域にも導入し、全国規模の農業改革につなげる狙いだ。 新潟市の戦略特区は、農地集約や企業参入を通じて農業を大規模化することを目指している。 会議で篠田市長は、農業生産法人への企業の出資規制を緩和するよう求め、今後検討することになった。 農業関連のベンチャー企業を対象とした減税措置や外国人労働者の受け入れ策も議論する。
ローソンは既に農場を各地で運営し、収穫した野菜などを店舗で販売している。 新潟市では農業生産法人の役員要件が緩和される制度を活用して参入し、農業事業を強化する狙いだ。 区域会議は兵庫県養父市で今月 23 日に、東京都などの「東京圏」と沖縄県でも 8 月以降、順次開催される。 また、政府は 18 日、新たな戦略特区の指定に向け、全国の事業者や自治体などに規制緩和策の募集を始めた。 募集は昨年に続き 2 回目で、8 月 29 日まで受け付ける。 (sankei = 7-19-14)
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農業特区・兵庫県養父市の可能性は 東京でシンポ
安倍政権が成長戦略の柱に据える「国家戦略特区」のうち、農業特区に決まった兵庫県養父市をめぐるシンポジウムが 19 日午後 3 時半 - 5 時、東京都千代田区神田淡路町 2 丁目の「御茶ノ水ワテラスコモンホール」で開かれる。 知名度のない過疎自治体がなぜ特区に選ばれたのか、日本の農業にどんな変革をもたらすのかを、広瀬栄・養父市長や政府の特区諮問会議のメンバーを務める竹中平蔵・慶大教授らが議論する。 NPO 法人「万年野党」の主催で、参加無料。 (asahi = 4-11-14)
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国家戦略特区 6 地域を指定、安倍首相「岩盤規制打破の体制整った」
[東京] 政府は 28 日、国家戦略特区諮問会議(議長 : 安倍晋三首相)を開き、国家戦略特区の第一弾として、東京都を中心とした東京圏、大阪府を中心とした関西圏、沖縄県、新潟市、兵庫県養父市、福岡市の 6 区域を指定した。 安倍首相は会議の席で、国家戦略特区が決定したことについて、岩盤規制を打破する体制が整ったと指摘。 安倍政権の規制改革には終わりもなく聖域もない、と意気込みを語った。
指定された特区の具体的な改革方針としては、東京圏は東京都、神奈川県の全域または一部、千葉県成田市が対象区域とし、国際ビジネス、イノベーションの拠点とする。 関西圏は大阪府、兵庫県、京都府の全域または一部が対象区域で、医療などのイノベーション、チャレンジ人材支援の拠点とする。
新潟市は大規模農業の改革拠点、養父市は中山間地農業の改革拠点、福岡市は創業のための雇用改革拠点として指定する。 沖縄県は国際環境拠点とする。 今後はそれぞれの特区の中での地域範囲の指定や与党との調整などを行い、4 月下旬までに政令を定め、閣議決定する。 その後 5 月にも特区ごとの区域会議を開き、夏までに区域計画を定めていく。 区域会議には国家戦略特別区担当大臣のほか、関係自治体の長と民間事業者で構成される。
安倍首相は「発案から 1 年も経たずに、国家戦略特区という岩盤規制を打破するためのドリルを実際に動かせる体制が整った」と述べ、「スピート感をさらに加速させ、今後 2 年間で岩盤規制改革全般をテーブルに乗せ、突破口を開いていく」と決意を語った。 さらに「安倍政権の規制改革に終わりはない。 聖域もない。」と述べ、計画の深堀や新たな地域の指定にも柔軟に取り組む方針を示した。 (吉川裕子、石田仁志、Reuters = 3-28-14)
輸出の鈍さ、構造要因が想定以上に影響も = 日銀議事要旨
[東京] 日銀が 6 月 12 - 13 日に開いた金融政策決定会合では、複数の委員が、輸出の低迷が続いていることについて、日本企業の競争力低下や海外への生産拠点の移管など「構造的な要因」が想定以上に影響している可能性がある、との認識を示した。 18 日公表された議事要旨で明らかになった。
<生産の海外移転、さらなる加速は考え難い>
会合では、4 月以降も輸出が勢いを欠いた状態が続いていることについて議論が行われ、複数の委員が日本企業の競争力低下や海外への生産拠点の移管など「構造的な要因が思った以上に影響している可能性」を指摘した。 何人かの委員は、これまでの為替円安進行を踏まえれば、海外への生産移転が「今後さらに加速するとは考え難い」との見通しを示している。
一方、輸出の伸びが鈍い中でも設備投資は緩やかに増加しており、複数の委員は「ペント・アップ需要や省力化投資が設備投資をけん引している」と分析。 こうした中で「今回の景気回復は、輸出が設備投資を誘発するこれまでのパターンとは異なる姿となる可能性がある」との見方も示された。
個人消費は、4 月の消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動減の影響が見られているが、政策委員は「事前想定の範囲内との見方が多く聞かれている」とし、「5 月以降は持ち直しの動きもみられている」との認識で一致した。 もっとも、多くの委員は、消費増税による実質所得の減少について「やや長い目でみて消費に与える影響を注視していく必要がある」と指摘した。
<4 月 CPI 「やや強め」、地政学リスクに注意>
物価動向は、4 月の全国消費者物価(生鮮食品除く)の前年比が、消費増税の影響を除いたベースでプラス 1.5% に伸び率を高めたことを受け、「消費税率引き上げ以降も、物価の基調に変化ないことが確認された」との認識を共有。 ただ、4 月の実績は「やや強め」とし、エネルギー関連の物価押し上げ効果の減衰などを踏まえれば、今後はプラス幅が縮小する局面に入り、しばらく 1% 台前半での推移になるとの見方が共有された。
国際金融市場動向に関して、ウクライナやイラク情勢などを背景に市場で神経質な動きもみられているとし、「地政学リスクには引き続き注意が必要」との認識で一致した。 世界的な長期金利の低下基調についても言及があり、何人かの委員は緩和的な金融政策の長期化に加えて「市場参加者が中長期的な成長率見通しの下振れを意識している可能性も考えられる」と説明。 複数の委員が、こうした世界的な長期金利の低下が「投資家のリスクテイク姿勢に与える影響について留意する必要がある」と指摘している。
金融政策運営では、昨年 4 月に導入した「量的・質的金融緩和 (QQE)」の効果が「しっかりと働いており、金融環境の緩和度合いは着実に強まっている」との認識で一致した。 (伊藤純夫、Reuters = 7-18-14)
6 月企業物価指数は 4.6% 上昇、原油高で 08 年 9 月以来 = 日銀
[東京] 日銀が 10 日発表した 6 月の国内企業物価指数(速報、2010 年 = 100.0) は 106.3 と前年比 4.6% 上昇し、2008 年 9 月(同 6.9%) 以来の伸びとなった。 前月比でも 0.2% 上昇。 イラク情勢緊迫による原油高でガソリン価格が上昇したほか、昨年 6 月は為替が一時的に円高方向に進んだ反動も指数を押し上げた。
消費税の影響を除いた指数も前年比 1.7% 上昇し、プラス幅が 2 カ月連続で拡大。 前月比でも 0.1% 上昇した。 ロイターがまとめた民間調査機関の予測中央値は前年比 +4.5% だった。 調査対象の全 818 品目中、消費税を除いたベースで前年比 431 品目が上昇し 309 品目が下落した。 昨年 9 月以降上昇品目数が下落品目数を上回る状態が続いており、価格転嫁の動きが広がっている。
消費税の影響を除いたベースで前月比で上昇した主な品目は、ガソリンや軽油など。 米中の良好な経済指標やイラク情勢を受けた原油高が理由。 化学製品や豚肉、電力料金なども指数を押し上げた。 一方、鉄筋用小型棒鋼や木材・木製品など建材関連は人手不足による需要減で下落しつつあるという。 6 月の輸入物価指数は円建てで前年比 4.2% 上昇し 5 月の 0.6% から大幅にプラス幅が拡大した。 昨年 6 月に世界的な金融市場動揺で一時的に為替が円高方向に振れた反動で円安効果が大きく現れた。 (Reuters = 7-10-14)
5 月機械受注は前月比 -19.5%、過去最大の減少幅
[東京] 内閣府が 10 日発表した 5 月機械受注統計によると、設備投資の先行指標である船舶・電力を除いた民需の受注額(季節調整値)は、前月比 19.5% 減の 6,853 億円となった。 2 カ月連続の減少で、過去最大の減少幅だった。 ロイターの事前予測調査では 0.7% 増と予想されていたが、これを下回った。 前年比では 14.3% 減だった。
製造業は前月比 18.6% 減、非製造業は同 17.8% 減となった。 外需は同 45.9% 減だった。 内閣府は、機械受注の判断を「増加傾向にある」から「増加傾向に足踏みがみられる」に変更した。 機械受注統計は機械メーカーの受注した設備用機械について毎月の受注実績を調査したもの。 設備投資の先行指標として注目されている。
機械受注は 1 - 3 月まで 4 四半期連続の増加を続けており、回復傾向が鮮明となっていたが、4 月は、3 月までの駆け込み需要の反動減となった。 企業からの聞き取りをもとに内閣府が発表している 4 - 6 月期の見通しも前期比 0.4% 増と、増税の影響が尾を引き弱めの結果が予想されていた。 4 月は国内民需以外の外需や官公需などの需要も非常に強く、機械受注総額は過去最高水準を記録していた。,/p>
野村証券チーフエコノミストの木下智夫氏は、大幅な下振れには失望感が隠せない、としたうえで「大きく伸びた 3 月分とならしてみれば、足元の水準は決して低いものではなく、消費増税の影響による一時的な足踏みといえる」としている。 日銀短観では 2014 年度の設備投資計画が前年比 7.4% 増と強めな内容となっており、企業の設備投資に対する意欲は明確になっているという。 同氏は先行きについても「消費増税の影響から抜け出す 7、8 月くらいには機械受注も堅調な数値に戻るだろう」とみている。 (Reuters = 7-10-14)
神戸ビーフ、敵は「KOBE」 海外産ブランド名に定着
高級和牛・神戸ビーフの欧州連合 (EU) への輸出が 8 日から始まる。 食の本場への進出に生産農家や流通業者の期待も高いが、懸念もある。 欧州ですでに「KOBE」のブランド名で定着している海外産の高級牛肉「WAGYU」の存在だ。 「本物の味」をどう根付かせるか、業界は頭を悩ませている。
■ 欧州では「最高産牛肉」の名前に
モナコ公国のステーキレストラン。 メニューに「アルゼンチン産アンガス種」などと並んで「KOBE STYLE」の文字があった。 100 グラム約 8 千円だ。 「チリ産で、和牛ではありません。 でも、欧州では最高級牛肉を『KOBE』と呼んできました。」 経営する食肉卸会社「ジラウディ」のアジア担当、滝谷敏美さん (31) は言う。
畜産農家を支援する業界団体「中央畜産会(東京都千代田区)」は 2 月、解禁に先立って欧州で市場調査をした。 参加した大分大の大呂興平准教授(経済地理学)によると、ロンドンやパリの高級百貨店の食品売り場には「KOBE BEEF」や「WAGYU」の看板があり、その下に豪州産やチリ産と表示された牛肉が売られていた。 価格は 100 グラム 3 千円台で、神戸ビーフの日本国内価格とあまり変わらなかった。
高級牛肉が「KOBE」と呼ばれるようになったのは、江戸末期に横浜の外国人居留地で、神戸から届いた牛肉のおいしさが評判となったためといわれる。 農林水産省畜産技術室などによると 1991 - 98 年、240 頭の和牛や精子が米国に輸出された。 その一部が豪州に渡り、アンガス種と交雑して「WAGYU」や「KOBE」として飼育されるようになったらしい。 大呂准教授によると 4 年前、豪州だけで約 14 万頭の「WAGYU」が飼育されていたという。
流通業者によると、育て方は広大な牧場で大量に飼う豪州式が基本。 長期肥育やエサの工夫など一部で日本流を採り入れているものの、生産コストは神戸ビーフの 3 割程度だ。 肉質も赤身が中心だが、「KOBE CUISINE」、「MASTER KOBE」などの名前で世界中で売られている。 「欧州では、神戸を地名ではなく牛肉の『品種』だと誤解している人が多い。」 独ミュンヘンで和食レストランを経営してきた大矢健治さん (41) は言う。 (三嶋伸一、asahi = 7-8-14)
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「食」の海外売上高 5 兆円目指す 農水省が倍増戦略
農林水産省は 6 日、農機具メーカーなども含めた「食」に関係する企業の海外売上高を 2020 年度に 5 兆円に倍増させる戦略を発表した。 海外の旺盛な需要を取り込んで国内産業の成長につなげるのが狙い。 安倍政権が今月中にまとめる成長戦略に盛り込む。
民間企業の間で進出先として関心が高く、政府開発援助 (ODA) をはじめ政府間の経済協力を活用できる中国やインド、アフリカなどを重点地域と定め、地域別に具体的な戦略を策定する。 官民による協議会を今月中に立ち上げ、議論を始める。 今回まとめた戦略では、日本食に用いる食材の輸出を拡大するほか、外食産業に海外進出を促す。 (kyodo = 6-6-14)
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神戸ビーフ、来月ヨーロッパ上陸へ EU が和牛輸入解禁
欧州連合 (EU) が、6 月 9 日にも和牛の輸入を解禁することがわかった。 EU が日本政府などに告知した。 高級和牛として注目を浴びている「神戸ビーフ」については同 24 日をめどに解禁。 流通業者らは、新たに年間約 300 頭分の神戸ビーフを欧州に輸出する方向で調整を始めた。
農林水産省や厚生労働省によると日本は 2005 年から EU と牛肉輸出の交渉を開始。 昨年 2 月に EU 側が承認した。 これを受け、群馬、鹿児島両県内の計 3 カ所の食肉処理施設が EU の衛生基準を満たすよう設備を改修。 EU 側の審査を経て、輸出が認められた。 関係者によると、施設ごとに 6 月 9 日から順次輸出が可能となり、神戸ビーフを扱う鹿児島県内の施設は 24 日から解禁される。 国内や欧州で異論が出なければ今月末に正式決定する。 (三嶋伸一、asahi = 5-17-14)
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JA 全農、米国で和牛の店 富裕層狙いビバリーヒルズに
米ロサンゼルスの高級住宅街ビバリーヒルズに 4 月、和食料理店「シキ・ビバリーヒルズ」が出店する。 直営するのは、全国農業協同組合連合会(JA 全農)。 米国の富裕層に本物の「ワギュウ」の味に親しんでもらい、高級和牛の消費を増やすのが狙いだ。
JA 全農の 6 日の発表によると、新店は有名料理店が軒を連ねるキャノン・ドライブに面する。 目玉は高級和牛のステーキや日本の国産米。 小原良教常務理事は「米国産などのワギュウも高級品として知られるが、サシの入り方など国産の方が明らかに質が高い」と自信を見せる。 飲み物を除く客単価がランチで約 6 千円、ディナーで約 1 万円程度を想定している。
国内の景気低迷を受けて日本の畜産農家では手取りを増やすため、高級和牛へのシフトが加速している。 最近は国内で出回る牛肉の約半分が高級品になったため、だぶつきが目立つ。 今回の出店は高級和牛の海外需要を増やすのが狙いで、JA 全農は 2012 年度に 114 トンだった和牛の輸出量を 15 年に 250 トンに増やす計画だ。 ユネスコ無形文化遺産への「和食」の登録も追い風と見て、JA 全農は海外営業に力を入れている。 ロンドンやシンガポールにも販売拠点を作る予定だ。 (古谷祐伸、asahi = 3-8-14)
短観 : 景況感 1 年半ぶり悪化、増税反動で予想超 - 設備投資堅調
日本銀行の企業短期経済観測調査(短観、6 月調査)は、消費税率引き上げ前の駆け込み需要の反動により、大企業の景況感 が 1 年半ぶりに悪化した。 一方で、設備投資計画は大きく上方修正された。 日銀が 1 日発表した。
大企業・製造業の業況判断指数 (DI) はプラス 12 と 3 月の前回調査から 5 ポイント悪化。 非製造業もプラス 19 と 5 ポイント悪化した。 いずれも昨年 9 月調査以来の水準に悪化した。 駆け込み需要により昨年度下期に大きく改善した分を帳消しにした格好だ。 DI は景気が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた割合を引いた数値。
3 カ月先の見通しは製造業がプラス 15 と改善、非製造業がプラス 19 と横ばいを見込んでいる。 黒田東彦日銀総裁は前月 20 日の講演で景気の先行きについて「駆け込み需要の反動の影響を受けつつも、生産・所得・支出の好循環が働き続ける下で、基調的には緩やかな回復を続けていく」との見通しを示した。
ブルームバーグ・ニュースの事前予想は大企業・製造業がプラス 15、同・非製造業がプラス 19 だった。 製造業は市場予想を下回ったが、前回調査の 3 カ月先の見通しは製造業が 9 ポイント、非製造業が 11 ポイントの悪化を見込んでいたので、企業自身の予想ほど悪化しなかった。
景気後退は回避
ソシエテジェネラル証券の会田卓司チーフエコノミストは発表後のリポートで、大企業・製造業の「プラス 12 という数字は悪くない。 消費税率引き上げ後も景気後退を回避できる可能性が高い。」と指摘。 非製造業も「消費税率引き上げの影響は小売業やサービス業への影響が大きく、製造業より悪化幅が大きいとみられたが、製造業並みの悪化で踏みとどまり、内需が堅調であることを示した」とみる。
日銀は全国企業 1 万社以上を対象にした短観を 4 半期に 1 度発表している。 4 月の鉱工業生産(速報値)指数は前月比 2.5% 低下 した。 製造工業生産予測は 5 月が 17% 上昇、6 月は 2% 低下。 指標を発表した経済産業省は「総じてみれば、生産は横ばい傾向にある」との判断を示した。
2014 年度の大企業・全産業の設備投資計画は前年度比 7.4% 増と、前回調査(0.1% 増)から上方修正された。 市場の事前予測(6.0% 増)も上回った。 みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは発表後のリポートで「今回の短観で示された企業の景況感の全般的な底堅さや、海外での製商品需給判断DIの改善、設備投資計画の順調な上方修正は、日本株にとってポジティブな材料」としている。
想定為替レートは 100 円台に
中小企業の業況判断 DI は、製造業がプラス 1 と 3 ポイント悪化、非製造業はプラス 2 と 6 ポイント悪化した。 先行きはそれぞれプラス 3、0 を見込んでいる。 (Bloomberg = 7-1-14)
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消費の判断、上方修正 = 「一部に持ち直し」 - 6 月の月例経済報告
甘利明経済財政担当相は 20 日、6 月の月例経済報告を関係閣僚会議に提出した。 消費税増税に伴う駆け込み需要の反動減が続いていることを踏まえ、4 月に引き下げた景気全体の基調判断を 2 カ月連続で据え置いた。 ただ、百貨店やスーパーなどで販売回復の動きが出ているとして、個人消費に関する判断を「引き続き弱めとなっているが、一部に持ち直しの動きもみられる」へ上方修正した。
消費の判断引き上げは 5 カ月ぶり。 甘利経財相は会議後の記者会見で、「百貨店、スーパー(の売り上げ)は戻りつつあるが、自動車販売は少し弱めで注視していかなければならない」と指摘。 景気全体については、企業収益の回復を受けた設備投資やボーナスの増加などにより「7 - 9 月期にはたくましく回復してくると期待できる」との認識を示した。 (jiji = 6-20-14)
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企業の景況感、4 - 6 月期はマイナス 6 四半期ぶり
内閣府と財務省は 11 日、今年 4 - 6 月期の法人企業景気予測調査(政府短観)を発表した。 4 月の消費増税前に駆け込み購入があった反動で、大企業の景況感を示す指数はマイナス 14.6 になり、2012 年 10 - 12 月期以来 6 四半期ぶりのマイナスになった。 自動車やその部品製造、卸・小売業などで大きく悪化した。
指数は、景況感が前期より「上昇した」と答えた企業の割合から「下降した」と答えた企業の割合を引いた数字で、四半期ごとに調べている。 マイナスは「景気が悪くなった」と判断する企業が多いことを示す。 4 - 6 月期は中小企業の指数もマイナス 21.5 で、2 四半期ぶりのマイナスだった。
一方、先行きの景況感を示す指数では、大企業、中小企業とも 10 - 12 月期にはプラスになった。 財務省は「駆け込みの反動減は一時的なものととらえている」と分析している。 一方、14 年度の設備投資は、全産業で前年度より 4.5% 増を見込む。 前期のマイナス 5.1% から大きく改善している。 (asahi = 6-11-14)
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4 月の街角景気、現状判断指数が 2 カ月ぶり悪化
内閣府が 12 日発表した 4 月の景気ウオッチャー調査(街角景気)によると、街角の景気実感を示す現状判断指数は 41.6 で、前月比 16.3 ポイント低下(悪化)した。 悪化は 2 カ月ぶり。消費増税後の駆け込み需要の反動減がみられたことから、小売関連を中心に低下したため。 2 - 3 カ月後を占う先行き判断指数は 50.3 で、15.6 ポイント上昇(改善)した。 改善は 5 カ月ぶり。 駆け込み需要の反動減やマインド低下の影響が薄れていくとの期待があるため。 (nikkei = 5-12-14)
都心のマンション人気高く 路線価、首都圏軒並み上昇
国税庁が 1 日発表した 2014 年分の路線価は首都圏が軒並み上昇に転じた。 景況感が回復していることに加え、20 年の東京五輪開催などもにらみ、都心のマンションの人気は高い。 建設費上昇など懸念材料もあるが、需要は堅調だ。 一方、東日本大震災の被災地では「土地が上がると復興の妨げになりかねない」との懸念もある。
「都心に近く、資産価値が落ちにくそう。」 大手通信会社に勤める男性 (42) は 6 月下旬、17 年に完成予定のタワーマンション(東京・中央)の 3LDK の購入契約を交わした。 同マンションは地上 53 階で全 1,420 戸と国内最大級。 5 千万 - 6 千万円台を中心に堅調な売れ行きという。
大手不動産会社の営業担当者は「都心の大型マンションの販売は昨年からの好調が続く。」 1 億円超の高級物件も需要は根強いという。 来秋完成予定の港区の高級マンションの購入を考えている弁護士の男性 (36) は「不動産価格はまだ上がると思う。 今が買い時。」と話した。
投資用の中古マンション取引も活発だ。 業界大手、日本財託(東京・新宿)が販売・管理する物件数は 2 年で約 3 割増。 担当者は「副業的に不動産投資を始める 30 - 40 歳代の会社員が増えた」という。 不動産市場には将来的な人口減など不安要素もある。 だが 6 月末に約 1 千万円のワンルームマンションを購入した会社員の男性 (38) は「会社や年金もどうなるかわからない。 リスクを取っても投資し、賃貸料など利益を生む資産を持っておきたい。」と話す。
海外からの買い手も目立つ。 台湾の不動産大手の日本法人「信義房屋不動産(東京・渋谷)」が 13 年、台湾の投資家に仲介した都内のマンションの売買高は約 300 億円で前年の約 4 倍。 何偉宏社長は「五輪も控えて値上がりを見込み、東京の不動産人気が上昇中」と話す。 不動産市場の活況に沸く東京とは対照的に、東日本大震災の被災地では「復興の妨げになりかねない」と地価上昇を心配する声が上がる。
宮城県気仙沼市の仮設商店街で飲食店を営む菊地正男さん (64) は、店の本格的な再建を目指して市中心部の土地を探したが断念した。 土地単価が震災前の 5 倍以上に値上がりした地区もあり、「中心部は土地代も賃料も高くなりすぎてとても手が出ない」と嘆く。 昨夏、地価が比較的安い気仙沼湾に浮かぶ大島に自宅兼店舗用として民家を買った。 しかし、住宅資材や人件費が高騰し、改築費用のメドが立たない。 「大きな借金は抱えられない。」 仮設商店街からはいずれ退去しなければならないが、その後の生活設計は描けていない。 (nikkei = 7-1-14)
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住宅着工、前年比 15% 減 相続税対策で賃貸は増加
国土交通省が 30 日発表した 5 月の新設住宅着工戸数は前年同月比 15.0% 減の 6 万 7,791 戸で、下落幅が 4 月 (3.3%) より拡大した。 消費増税による駆け込み需要の反動でマンション建設が落ち込んだ。 一方、賃貸用物件の着工は、相続税対策のため活況が続き、15 カ月連続で前年同月を上回った。
特に分譲マンションの着工戸数が落ち込み、同 43.3% 少ない 7,307 戸だった。 人件費や資材の高騰が進み、販売価格を値上げしたくないマンション販売業者と、コスト増に見合う受注額を求める建設業者の間で価格交渉が折り合わず、着工できない例などが相次いでいるためだ。
一方、賃貸アパートなどの「貸家」は、前年同月比 3.1% 増の 2 万 7,434 戸だった。 背景にあるのは、来年 1 月から課税が強化される相続税だ。 例えば親 1 人から子 1 人が相続する場合、現在は 6 千万円以下の遺産は課税されないが、3,600 万円を超えると課税されるようになる。 土地に貸家が建っていれば、自分の家として使う場合よりも建物の価値を 3 割低く抑えられる。 住宅最大手の大和ハウスは、2013 年度の貸家の受注が前年度比 24% 増えた。 (山下龍一、asahi = 6-30-14)
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地価、4 月も 79% の地点で上昇 投資意欲の高まり反映
国土交通省は 30 日、全国の主な商業地と住宅地の四半期ごとの地価動向報告(4 月 1 日時点)を公表した。 調査した 150 地点のうち、79.3% に当たる 119 地点で地価が上昇した。 上昇地点が 6 年ぶりに 80% を超えた 1 月の前回調査からは微減したが、ほぼ同じ傾向。 国交省は「不動産投資への意欲の高まりから、上昇基調が継続している」と分析している。
地価に変動がなかった横ばいは 27 地点 (18.0%) で、下落は 4 地点 (2.7%) だった。 三大都市圏では、東京圏が上昇 49、横ばい 14、下落 2。 大阪圏は上昇 34、横ばい 5 で下落はなかった。 名古屋圏は 4 回連続で全 14 地点が上昇。 (kyodo = 5-30-14)
首相「全中、法定の形は廃止」 農協改革で方針示す
安倍晋三首相は 24 日夜、農協 (JA) 改革で焦点の全国農業協同組合中央会(全中)について「今までのような法定の形の中央会のありかたは廃止していく」と述べ、農業協同組合法に基づく今の組織では存続させない方針を示した。 首相の発言は、農協法に基づく指導や監査の権限をなくし、任意団体などに移行することを念頭に置いたものとみられる。 テレビ東京の番組で語った。
農協改革をめぐっては、政府の規制改革会議が全中を頂点とする中央会制度の「廃止」を提案したが、自民党農林族の反対で「新たな制度への移行」にとどめ、年末に具体策をまとめることになっている。 また、首相は来年度から数年で 20% 台への引き下げを目指すと決めた法人税について、「我々が目指しているのはまずはドイツ」と述べた。 国と地方を合わせた法人実効税率が 29.59% のドイツの水準を念頭に置いていることを明らかにした。 (asahi = 6-25-14)
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林農水相「今の全中、存続しない」 農協改革で反撃
林芳正農林水産相は 20 日、農協 (JA) 改革で焦点となる全国農業協同組合中央会(全中)について、政府の会合で「農業協同組合法に基づく現行の中央会制度が存続することはない」と語った。 政府の規制改革会議が全中の「廃止」を提案したが、自民党農林族の抵抗にあい、改革案から「廃止」の文字が削除された。 林氏の発言は、政府が反撃に出ることを示すものだ。
林氏は 20 日、政府の「農林水産業・地域の活力創造本部」の会合で、全中改革の具体的な内容について「政府が中心になり、今年中に結論を出すことをめざす」と語った。 政府は農協改革に関し、来年の通常国会に改正農協法案を提出する予定。 年末に向けて再び攻防が激しくなりそうだ。 これに関連し、菅義偉官房長官も同日の会見で「農水相の発言は極めて改革意欲に富む。 昭和 29 (1954) 年にできた法律が今まであること自体、おかしい。」と、語った。 (asahi = 6-21-14)
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JA 全中「新制度に移行」の改革案、3 閣僚で最終調整
安倍政権が進める農協改革をめぐって、自民党内で「JA 全中」を「新しい制度に移行」とする案で調整していることを受けて、政府は、林農林水産大臣ら関係する 3 閣僚の間で最終調整を進めていくことになりました。
農協をめぐっては、政府の規制改革会議が「JA 全中」を中心として地域の農協を指導する制度の廃止など抜本的な改革案を提言したことを受けて、自民党の農水関係議員の幹部は 8 日夜、非公式な会合を開き、「現行の制度から新しい自律的な制度に移行する」という表現を盛り込んだ改革案をまとめ、現在の JA 全中の制度を大幅に変更する方向となっています。
自民党内の調整を踏まえて政府では、菅官房長官と稲田規制改革担当大臣、林農水大臣という関係する 3 閣僚の間で最終調整を進めていくことになりました。 自民党は、9 日午後も農水関係の会合を開いて調整を進め、政府としては、今週中にも規制改革会議を開いて農協に関する改革案をまとめる見通しです。 (MBS = 6-9-14)
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農協「抜本見直し」 = 安倍首相、改革断行を指示 - 成長戦略に反映へ
政府の産業競争力会議(議長・安倍晋三首相)は 19 日、首相官邸で会合を開いた。 安倍首相は「農協の在り方を抜本的に見直す」と述べ、農業の成長産業化に向けた改革を加速するよう指示した。 関係省庁は今後、農協 (JA) の在り方や企業の農地保有規制の緩和、輸出拡大など農林水産業の競争力強化のための課題を早急に検討。 6 月に改定する成長戦略に反映させる。
首相は、農協改革や企業の農地保有規制、農地の売買・転用などを許可する農業委員会制度の見直しを「セットとして断行する」と強調。 意欲のある新たな農業の担い手が参入しやすい環境整備を推進する考えを示した。 (jiji = 5-19-14)
法人税率「数年で 20% 台めざす」 首相、引き下げ表明
安倍晋三首相は 13 日午後、首相官邸で記者団に対し、現在 30% 台半ばの法人税の実効税率(国税・地方税を合わせた税率)について「数年間で 20% 台に引き下げることを目指す」と表明した。 来年度から実施する。 月内に閣議決定する「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」に明記する。 首相は「日本の法人税は成長志向型に変わる。 雇用を確保し、国民生活の向上につなげていきたい。」と述べた。 国際的に高い法人税率を下げることで、日本への投資を呼び込む狙いがある。 (asahi = 6-13-14)
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