介護保険利用者に厳しい大改正 医療・介護改革法成立

高齢化がピークを迎える「2025 年問題」を見据え、医療・介護制度を一体で改革する「地域医療・介護推進法」が 18 日、成立した。 患者や要介護者の急増で制度がもたなくなる恐れがあり、サービスや負担を大きく見直す。 とりわけ介護保険は、高齢者の自己負担引き上げなど制度ができて以来の大改正で、「負担増・給付縮小」の厳しい中身が並ぶ。

人口減と高齢化が同時に進む日本。 医療・介護制度は、高齢者の急増、支え手世代の減少、財政難の「三重苦」に直面する。 厚生労働省によると、25 年には医療給付費がいまの 37 兆円から 54 兆円に、介護給付費は 10 兆円から 21 兆円に膨らむ。 病院にかかれない高齢患者があふれ、介護保険料は負担の限界を超えて高騰。 そんな近未来の予測が現実味を帯びている。 サービスを提供する人手の不足も深刻だ。

こうしたなかで保険財政立て直しを目指す介護保険分野は、利用者の痛みにつながるメニューが目立つ。 負担面では、一定の所得(年金収入なら年 280 万円以上)がある人の自己負担割合を 1 割から 2 割に上げる。 低所得者の保険料を軽減する一方、高所得者は上乗せする。高齢者にも支払い能力に応じて負担を求める方向が鮮明だ。

サービス面では、介護の必要度が比較的低い「要支援」向けの通所・訪問介護を介護保険から市町村事業に移す。 地域に合ったサービス提供でむだを減らし、給付費の伸びを抑える狙いだ。 入居を希望する待機者が約 52 万人もいる特別養護老人ホームは、新たな入居者を原則「要介護 3」以上に限る。

医療分野は、医療機関の役割分担の見直しが柱。 費用を抑えるため、高齢者の医療・介護サービスを「時々入院、ほぼ在宅」に近づける改革を進める。 病気になってまもない「急性期」向けの病院を減らす。 一方、症状が落ち着いた後の在宅医療や介護との連携を充実させる。

こうした改革に協力する医療機関には補助金を出す。 そのためのお金の手当てに、消費増税分の一部を投じた基金を都道府県ごとに作る。 都道府県は、医療ニーズの予測などを元に、目指すべき提供体制を「地域医療構想」としてまとめる。 構想と実際の病床数が食い違えば、知事は医療機関に直すよう要請・指示できるようになる。 財政支援と都道府県の権限強化による「アメとムチ」で、背中を押す。

一方、負担増などで必要な支援が受けられなくなったり、サービスの地域間格差が生じる恐れは残る。 改革の行方に対する懸念の声は根強くある。 (石松恒、asahi = 6-18-14)


「残業代ゼロ」対象は年収 1 千万円以上 政府が方針決定

働いた時間と関係なく成果で賃金が決まる新制度について、政府は 11 日、対象者を「少なくとも年収 1 千万円以上」の高年収者に限定する方針を決めた。 「残業代ゼロ」で長時間労働を強いられる恐れがある働き方が、管理職以外にも導入されることが固まり、「働き過ぎを助長する」との批判が高まりそうだ。

11 日夕、官邸で菅義偉官房長官ら関係大臣が集まり、大筋で合意した。 田村憲久厚生労働相は会合後、「少なくとも対象者が年収 1 千万円を割り込むことはなくなった」と述べた。 「職務範囲が明確」、「高度な職業能力を持つ」との条件もつける。

この制度をめぐっては、「全労働者の 10% は適用を受けられる制度に(経団連の榊原定征会長)」など経済界や経済産業省が年収を問わず働き手を幅広く対象にするよう主張してきた。 一方、労働規制を担当する厚労省は「働き手を守る規制がなくなる」と譲らず、平行線が続いてきた。 (山本知弘、asahi = 6-11-14)

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「残業代ゼロ」案修正へ 幹部候補に限定、年収は問わず

労働時間にかかわらず賃金が一定になる働き方をめぐり、政府の産業競争力会議が、対象となる働き手の範囲を見直すことがわかった。 当初案は対象に一般社員も加えていたが、「幹部候補」などに限定し、年収の条件を外す。 法律で決めた時間より長く働いても「残業代ゼロ」になるとの批判をかわすため対象を狭めるねらいだが、企業の運用次第で幅広い働き手が対象になるおそれがある。

28 日の産業競争力会議に、4 月に当初案を提案した民間議員の長谷川閑史(やすちか)・経済同友会代表幹事らが修正案を出す。 いまは従業員を一日 8 時間を超えて働かせたり、深夜や休日に出勤させたりすると、企業には賃金に上乗せしてお金を支払う義務がある。 当初案は、時間ではなく仕事の成果で賃金が決まる働き方を提案し、年収 1 千万円以上の社員のほか、一般社員も対象にするとしていた。

修正案は、中核・専門的な職種の「幹部候補」などを対象とする。 具体的には、新商品の企画開発や会社の事業計画策定の現場責任者を指す「担当リーダー」、IT や金融分野の専門職「コンサルタント」などだ。 一方、年収の条件を外し、高年収者でなくても導入できるようにした。 (asahi = 5-27-14)

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残業代ゼロ、長時間労働の歯止めなし 抵抗できぬ働き手

政府が検討を始めた新しい労働時間制度は、「残業代ゼロ」と批判された第 1 次安倍政権の「ホワイトカラー・エグゼンプション (WE)」より対象を広げ、企業には使いやすい内容だ。 だが、働き手にとって大事な「働き過ぎ」に歯止めをかける有効な対策はどこにも見当たらない。

もともと、日本の労働時間の規制は弱い。 労働基準法は 1 日あたりの労働時間を 8 時間と定める。 ただ、労働組合などと合意すれば、8 時間を超えて働かせてもいい。 条件をつければ、過労死の認定ライン(月平均 80 時間)を超えて残業させても違法にならず、事実上は青天井だ。 その代わりに残業や休日、深夜に働かせた場合、企業に割増賃金を支払うよう義務づけた。 企業に負担させることで、長時間労働を抑える仕組みだ。

産業競争力会議で示された提案は、労働時間の長さではなく、成果により賃金を決めることで、その抑えを取っ払おうというものだ。 ただ、その場合は「働き過ぎ」、「過労死」を防ぐため、労働時間の上限を設けるなど具体策が欠かせない。 (編集委員・沢路毅彦、asahi = 4-25-14)

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「残業代ゼロ」一般社員も 産業競争力会議が提言へ

政府の産業競争力会議(議長・安倍晋三首相)は、労働時間にかかわらず賃金が一定になる働き方を一般社員に広げることを検討する。 仕事の成果などで賃金が決まる一方、法律で定める労働時間より働いても「残業代ゼロ」になったり、長時間労働の温床になったりするおそれがある。

民間議員の長谷川閑史(やすちか)・経済同友会代表幹事らがまとめ、22 日夕に開かれる経済財政諮問会議との合同会議に提言する方向で調整している。 6 月に改訂する安倍政権の成長戦略に盛り込むことを検討する。 労働基準法では 1 日の労働時間を原則 8 時間として、残業や休日・深夜の労働には企業が割増賃金を払うことを義務づけている。 一方、企業には人件費を抑えたり、もっと効率的な働かせ方を取り入れたりしたいという要求がある。 (asahi = 4-22-14)


実質賃金、10 カ月連続減少 4 月、消費増税響く

厚生労働省が 3 日発表した 4 月の毎月勤労統計調査(速報)で、働き手 1 人(パート含む)が受け取った現金給与総額は、前年同月より 0.9% 多い 27 万 4,761 円だった。 増加は 2 カ月連続だが、消費増税の影響で物価上昇分を除いた実質賃金指数は同 3.1% 減だった。 落ち込み幅は、リーマン・ショックの影響による 2009 年 12 月(4.3% 減)以来だ。

実質賃金が減るのは 10 カ月連続。 今回は消費増税でモノやサービスの値段が上がり、前年同月比 1.3% 減だった 3 月よりも家計収入の目減り幅が拡大した。 月々の基本給や残業代、ボーナスなどの手当を加えた現金給与総額は、残業代や手当が増え、名目の総額は前年より多くなった。 一方、基本給は春闘の賃上げにより増える企業もあったが、短時間勤務のパート労働者の比率が増えたことで、1 年前より 0.2% 少ない 24 万 3,989 円と、23 カ月連続の減少となった。

雇用形態別の現金給与総額は、正社員などフルタイムで働く一般労働者が 1 年前より 1.3% 多い 34 万 9,269 円、パートが 0.8% 多い 9 万 6,667 円だった。 また、この日発表された雇用保険統計データのプログラムミスの影響で、09 年 1 月から今年 3 月分までの増減率や、1952 年以降の指数データなど、発表済みの統計の一部を 0.1 ポイント程度、訂正した。(山本知弘、asahi = 6-3-14)

前 報 (2-19-14)


年金給付水準、30 年後に 2 割減 経済成長見込んでも

公的年金を持続させるには、経済成長を見込んでも、給付水準を少しずつ下げ、30 年後には今より 2 割ほど低くしなければならない。 厚生労働省は 3 日、そんな年金財政の見通しを公表した。 現役世代の収入の 50% 以上という政府が約束した給付水準はぎりぎり守れるとした。 だが一方、低成長なら 5 割を割る試算も示され、目減りする年金に対応した制度見直しの必要性が浮き彫りとなった。

検証は、100 年先までの年金財政の見通しを 5 年ごとに点検するものだ。 ポイントは将来も十分な年金がもらえるのかどうか。 インフレなどが進んだ場合、年金額そのものでは比べられない。 だから現役世代の手取り収入と、モデル夫婦(厚生年金に入る会社員と専業主婦)が 65 歳の受給開始時にもらえる年金額を比べた割合で、チェックする。

厚労省は今回、賃金の伸び率など経済状況が異なる 8 つのシナリオを置いた。 シナリオ A - E の 5 つは、女性や高齢者の働き手が増える「高成長ケース」。 F - H の 3 つは「低成長ケース」だ。 検証によると、現在のモデル夫婦の給付水準は、現役手取りの 62.7% (共済年金との一元化を見込む)。 財政を保つには「高成長ケース」でも 2043 -44 年には年金水準が 50.6 - 51.0% になり、2 割ほど下がる。 ただ、高成長ケースは前提が甘いのではという指摘は、社会保障審議会年金部会でも出た。

「低成長ケース」では、いずれも 5 割を切った。 近年の経済状況が長く続くと見込むシナリオ F でも、50 年度に 45.7% まで落ち込むとの結果だ。 最も悲観的なシナリオ H では、55 年度に国民年金の積立金がなくなり、現役収入に対して 35 - 37% の水準になるという厳しい見通しに。 ただルール上は 5 割を切れば制度を見直すことになる。 (中村靖三郎、asahi = 6-3-14)


学童保育、30 万人分拡充へ 「小 1 の壁」解消策

共働き家庭などの小学生を放課後に預かる「学童保育(放課後児童クラブ)」について、政府は、2015 - 19 年度の 5 年間で新たに 30 万人分の定員を増やす方向で調整に入った。 子育てする女性が働きやすい環境を整えるねらい。 6 月に決める成長戦略に盛り込む見通しだ。 学童保育は、昼間に保護者が家にいない小学生が放課後を過ごす場。 学校内や周辺で自治体や NPO などが運営する。

厚生労働省によると、13 年 5 月時点で全国に 2 万 1,482 カ所あり、低学年を中心に 88 万 9,205 人が登録する。 共働きの増加で利用者は年々増加。 整備が追いつかず、利用したくてもできない児童が 8,689 人いる。 子が小学生になると保育所に代わる預け先がなくなり、親が仕事を続けにくくなる問題は「小 1 の壁」といわれる。 政府は産業競争力会議などで解消策を話し合ってきた。 (畑山敦子、asahi = 5-20-14)


横浜市の待機児童、2 年連続ゼロはならず 注目され殺到

横浜市は 20 日、認可保育所に入れない待機児童数が 4 月 1 日現在で 20 人だったと発表した。 2010 年は全国最多の 1,552 人だったが、昨年 4 月に「ゼロ」を達成し、全国的に注目された。 それが呼び水となり、申込者が過去最多に。 供給が追いつかなかった。

市によると、認可保育所への申込者は 5 万 2,932 人で、前年同期を 4,114 人上回った。 増えた人数も過去最多だった。 特に 1 歳児の申し込みが 1,206 人増えた。 ゼロ達成が報じられて転入者が増えたほか、育児休業明けの申し込みが増加。 長く育児を続けてきた人も「預けられるなら働きたい」と申し込んだとみられる。

市は当初、この 1 年に認可保育所の定員を 1,525 人増やす計画だったが、2,390 人に変更。 31 カ所を新設し、4 月 1 日現在で計 611 カ所、5 万 1,306 人の定員を確保した。 それでも「予想以上の空前の申込者の伸び(市幹部)」でゼロ達成は続かなかった。 (及川綾子、木下こゆる、asahi = 5-20-14)

前 報 (12-10-13)

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国有地 14 カ所を保育所に活用 13 年度

財務省は 7 日、保育所の開設のために、2013 年度に 14 カ所の国有地が活用されることになったと発表した。 保育所の開設を希望する社会福祉法人などと土地の売却で 9 件、定期借地で 5 件の契約を結んだ。

財務省によると、今後、契約を結ぶ予定の案件が 20 件、協議中の案件が 17 件ある。 13 年度に契約した案件も含めて、計 51 件で保育所の開設ができれば、約 5,600 人分の保育の受け皿が確保できるという。 政府は昨年まとめた成長戦略で、待機児童を 17 年度までに解消する目標を掲げた。 国有地の情報を積極的に開示して、保育所の開設を進めるのも、この取り組みの一環だ。 土地の確保が難しい東京都などの首都圏を中心に国有地を活用する。 (nikkei = 5-7-14)

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「待機児童」は 44,000 人 3 年連続で減少

厚生労働省は 28 日、認可保育所に入れない「待機児童」が 2013 年 10 月 1 日時点で 4 万 4,118 人だったと発表した。 12 年 10 月より 2,009 人少なく、3 年連続で減少した。 4 月以降に生まれた乳児の親が申し込むなどの理由で、4 月時点の数よりも増える傾向にある。 13 年 4 月 1 日時点では 2 万 2,741 人だった。

市区町村別では、川崎市(1,534 人)、福岡市(1,046 人)、広島市(951 人)、東京都世田谷区(832 人)、札幌市(824 人)が多い。 4 月時点で待機児童が 0 人となった横浜市は 231 人だった。 一方、自治体から運営費の補助を受けた認可外施設に入っている子どもは 1 万 9,027 人だった。 こうした子どもは待機児童としてカウントされていない。 (asahi = 3-31-14)


障害者就職、4 年連続で過去最高 精神が身体を上回る

厚生労働省は 14 日、2013 年度にハローワークを通じて就職した障害者が 7 万 7,883 人で、4 年連続で過去最高を更新したと発表した。 うつ病や統合失調症など精神障害者の就職者数が、初めて身体障害の人を上回った。 企業に課される雇用義務が強まり、障害者の「人手不足」が続いていることが背景にある。

障害者の就職者数は前年度と比べて 14.0% 増え、統計をさかのぼれる 1970 年度以降で最も多かった。 障害種別では「精神」が 2 万 9,404 人(前年度比 23.2% 増)で最も多く、「身体」は 2 万 8,307 人(同 6.5% 増)、「知的」は 1 万 7,649 人(同 10.1% 増)。 「精神」の人数が「身体」を上回るのは、比較可能な 95 年度以降では初めて。

増加の最大の要因は昨年、企業が達成すべき法定雇用率(従業員に占める障害者の割合)が 1.8% から 2.0% に引き上げられたため。 厚労省障害者雇用対策課は「企業がいままで以上に採用に目を向けている」と分析している。 (山本知弘、asahi = 5-14-14)


介護職員の月給、全産業平均を 9 万円下回る 全労連調査

介護施設などで働く人の月額の賃金が、全産業の平均と比べ約 9 万円低いことが、労働組合の中央組織・全国労働組合総連合(全労連)の調査で分かった。 サービス残業も、6 割が「ある」と答えるなど、「低賃金で長時間労働」の実態が浮かんだ。

調査は、昨年 11 月 - 今年 2 月、特別養護老人ホームなど介護の現場で働く人を対象に実施し、6,369 人から回答を得た。 調査によると、正職員の昨年 10 月の賃金は 20 万 7,795 円と、厚生労働省が調べた、全産業の平均の 29 万 5,700 円を約 8 万 8 千円下回った。 (豊岡亮、asahi = 5-7-14)


介護休業期間、主要企業 9 割が独自に延長 朝日新聞調査

年間 10 万人と言われる介護離職への危機感を背景に、主要企業の 9 割が介護休業の期間を法定日数より延長している。 朝日新聞が全国の主要 100 社を対象に実施した「仕事と介護」アンケートで、そんな現状がわかった。 ただ介護休業などの支援制度が十分活用されていない企業も多く、利用しやすい環境づくりが課題となっている。

育児・介護休業法は、要介護状態の家族 1 人につき、通算 93 日までの介護休業と年 5 日の介護休暇を認めている。 同法は、短時間・フレックス勤務などの支援策を講じることも企業に義務づけている。 各企業の支援状況を調べるため、朝日新聞が景気調査をしている 100 社にアンケートを送った。 メーカー、金融、運輸、流通など各業種の主要企業だ。 93 社から 3 月までに回答を得た。

その結果、介護休業の期間について、独自に延長している企業が 84 社 (90%) あった。 最長は 3 年でサントリーホールディングス、コマツ、三菱地所、東京ガスの 4 社だった。 2 年以上 3 年未満も 7 社あった。 最も多いのは休業期間 1 年とする企業で、3 分の 2 を占める 62 社あった。 (立松真文、沼田千賀子、asahi = 5-6-14)


警視庁幹部、女性同士の助言で育成 全国初の支援制度

幹部ポストを目指す女性職員を支援するため、警視庁が 30 日、女性幹部 15 人を「メンター(英語で助言者の意)」に指定した。 女性職員の仕事上の悩みや不安に対して助言をする。 男性と比べて圧倒的に少ない女性幹部の育成を図る狙いで、こうした支援制度を導入するのは全国の都道府県警察で初めて。

人事 1 課によると、署長や警視庁本部の課長などに就ける警視級約 1,160 人のうち、女性はわずか 20 人。 今回の取り組みでは、警視級の女性幹部がメンターとして、1 階級下の警部級の女性職員に 1 年間かけて、仕事と家庭の両立や男性職員を部下に持った経験などを伝えていく。

メンターに選ばれた 15 人は、女性幹部として豊富な知識や経験が評価された。 一方、支援を受ける女性職員は 16 人。 メンターに指定された人事 2 課の早乙女真由美警視 (55) は「『女性に何ができるのか』と思われ、悩んだ時期があった。 上司や同僚の支えへの恩を返すためにも経験や知識を伝えていきたい。」と話した。 (asahi = 4-30-14)


70 代の経営者の約半数、後継者なし 中小企業白書

政府が 25 日に閣議決定した 2014 年度版の中小企業白書で、高齢化が進む経営者の後継者不足が深刻になっている実態が明らかになった。 70 歳代の経営者の約半数で後継者がおらず、休廃業数の増加につながっていると指摘した。 親族以外に事業を引き継ぎやすくする仕組みづくりの重要性などを強調している。 白書では、全国の中小企業へのアンケートなどをもとに、後継者がいないなど、事業を引き継ぐ準備ができていない経営者は、60 歳代で約 6 割、70 歳代で約 5 割、80 歳代で約 4 割に上るとした。

ところが、自営業者の年齢構成をみると、60 - 64 歳が最も多く、70 歳以上の割合も過去最高になっていると指摘。 中小企業庁が昨年末に実施した調査によると、中小企業などが休業や廃業を決めた理由では、「経営者の高齢化や健康問題」が最も多く、全体のほぼ半分を占めた。 この結果、13 年に休廃業した企業は 2 万 8,943 社(東京商工リサーチ調べ)に上り、7 年前の約 1.4 倍に増えていた。

白書では、親族に事業を引き継ぐ企業が毎年減っているため、「事業意欲のある人材を企業とマッチングさせる」などの支援策が必要だとしている。 (西尾邦明、asahi = 4-25-14)


地方の雇用、実は元気 実態映す就業地別で北陸が上位

首位東京 → 15 位、都市部は後退

全国 1 位の東京都が実は 15 位だった - -。 地域でどれだけ仕事を見つけやすいかを示す都道府県ごとの有効求人倍率。 政府の公表値と異なる実数を調べると、地方の健闘ぶりが目立つ。 公共投資に加え、外国人観光客が増えて関連産業が堅調なほか、医療や介護の人手も足りない。 「上京しないと職がない」という見方が変わりそうだ。

厚生労働省が公表するのは、本社所在地ごとの有効求人倍率。 東京都に本社があるスーパーが青森県内の店の求人を出すと、原則として東京都の求人として計算するため都市部が上昇しやすい。 これを就業地別に青森県の求人として数え直すと、地域雇用の実態がみえやすくなる。

2013 年の実績を本社地別でみると東京都が 1.33 倍で首位。 就業地別で計算すると 1.00 倍と大きく下がり、15 位にまで転落する。 「本社が集まる東京は公表値が実態以上に押し上げられている。(浜銀総合研究所の北田英治調査部長)」 企業は効率化のため、ますます事務部門を都市部に集めており、東京都の求人倍率の "かさ上げ幅" は比較できる過去 9 年で最大になった。

就業地別で見直すと東京都や愛知県、大阪府、福岡県といった都市圏の 9 都府県が下がり、37 府県が上がる。 北海道は横ばいだ。 最も大きく上がるのは福島県で、東日本大震災後の復興事業のため「県外の企業が人を集めて受注している(福島労働局)」という。 地方雇用が堅調な理由は、公共投資の効果に加え、医療・介護関連や観光業などの求人が膨らんでいるためだ。 例えば健闘が目立つ北陸。 就業地別の有効求人倍率では福井県が 3 位となり、富山県も 5 位に上がる。

北陸は 15 年春に新幹線が金沢まで開通するため、観光需要を見込んでアウトレットモールを新設するなど、流通・サービス業の雇用が堅調だ。 富山県の 2 月までの直近半年間の新規求人数は、本社地別で見ても前年同期比 13% 増えた。 福井県も半年間の製造業の新規求人数が 24% 伸びた。 高齢化によって後発薬市場などが広がっており、北陸では地場製薬業も雇用を増やしている。

大規模災害に備えて企業がデータセンターなどを地方に分散していることも、地方雇用の押し上げ要因になっている。 6 位の香川県には、13 年に NTT ドコモがスマートフォン向けのコールセンターを新設。 これまでは関東エリアにあったが、首都圏での災害時などを想定して分散を進めているという。

"職は地方にあり" ともいえ「上京すれば就職できる」というイメージは必ずしも実態を表さない。 ただ東京も 20 年の五輪開催で、今後は雇用の大きな受け皿となる。 全国的な人手不足感はさらに強まる可能性がある。 (山崎純、松尾洋平、nikkei = 4-21-14)


イケア、パート全員を無期雇用に 賃金体系も全面見直し

家具量販のイケア・ジャパンは、すべてのパートタイム従業員を雇用期間が決まっていない無期契約にする。 同時に、職務内容と賃金を見直して、同じような仕事をしている正社員と差がない「均等待遇」を目指す。 新しい制度は 9 月に導入する予定だ。 同社の従業員は約 3,400 人で、その 7 割をパートが占める。 パートの半分が 6 カ月契約の有期雇用。 新制度では、パート全員が無期雇用になる。

賃金体系も全面的に見直す。 正社員を含めた全従業員と面談し、職務内容や求められる能力を確認しながら、月給や時給を決める。 正社員とパートで分かれている就業規則は一本化する。 現在パートの時給は地域によって差があるが、新制度では全国同じ基準で決める。 新制度で増える人件費は未定。 ただし、「正社員の賃金は下げず、パートの時給を上げることになる(人事担当者)」という。 同社の店舗は全国に 7 店。 2020 年までに 14 店にする計画。 (編集委員・沢路毅彦、asahi = 4-16-14)

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正社員との格差禁止、範囲拡大 改正パート労働法成立へ

勤務時間が短いパートタイム労働者のうち、正社員との賃金格差を禁じる人の範囲を広げる改正パート労働法が 15 日、参院厚生労働委員会で可決された。 16 日の参院本会議で採決の見込みで、今国会で成立の見通しになった。

3 カ月や 6 カ月単位の約束で働く有期雇用の人でも、@ 正社員と職務内容が同じ、A 転勤や異動などの人材活用の仕組みが同じ - - の二つの条件を満たせば、正社員との間で賃金や研修機会に差をつけることを禁じる。 いまは雇用期間が決まっていない「無期雇用」も条件だったのを外す。

施行は遅くても来春で、今後、審議会で詰める。 厚労省によると、賃金格差の差別禁止対象となる人は全パート労働者の 1.3% (約 20 万人)から、2.1% (約 30 万人)に増える見込み。 また、@、A の条件にあてはまらないパートでも、福利厚生などで不合理な待遇差別を禁じる条文も新たに付け足された。 (山本知弘、asahi = 4-15-14)


中小企業の雇用管理制度導入を支援(厚生労働省)

厚生労働省はこのほど、「健康」、「環境」、「農林漁業」など重点分野の中小企業事業主の雇用管理制度づくりを支援する「中小企業労働環境向上助成金(個別中小企業助成コース)」の今年度の案内を開始した。 このうち介護関連事業主は、健康づくり制度や介護福祉機器の導入も助成対象。 雇用管理制度を整備した事業所には「評価・処遇制度」 40 万円、「研修体系制度」 30 万円、「健康づくり制度」 30 万円、など制度に応じて助成金が支給される。

詳細は、当該 厚労省サイト を参照。 (日本商工会議所 = 4-11-14)


「左官科」 5 年ぶり復活したが … 応募 2 人 仙台の専門校

復旧・復興を妨げる左官不足を解消しようと、県はこの春、5 年ぶりに仙台高等技術専門校(仙台市宮城野区)に左官科(定員 10 人)を復活させる。 しかし、応募締め切り前日の 3 日になっても、入学申し込みは 2 人。 県は募集を 17 日まで延ばすことにした。

同校の左官科は 1970 年にできた。 在学期間は半年。 建築基準法や工法などの学科と、壁の下地処理や上塗り、材料の調合やこね方などの実技を学ぶ。 最近の公共事業削減のあおりで、4 年前から募集を休止していた。 だが、震災後は復旧・復興工事が増えて左官が不足したため、業界から再開を求める声が強まっていた。 (茂木克信、asahi = 4-4-14)


15 年春、採用増 34 社 前年比 1.5 倍 100 社調査

朝日新聞社が主要 100 社を対象に実施した調査で、2015 年春に入社を予定する新卒採用数について、前年よりも「増やす」と答えた企業は 34 社にのぼり、「減らす」と答えた 9 社を大きく上回った。 「増やす」企業は前年の約 1.5 倍。 業績回復を背景に、幅広い業種の企業で採用を増やす動きが広がっている。

調査は 2 月中旬 - 3 月中旬に行った。 「横ばい」は 45 社、未定は 12 社。 「増やす」は前年より 12 社増え、「減らす」は 6 社減った。 採用計画数を固めた 72 社でみると、15 年春の採用数は計約 3 万 7 千人で、14 年春の採用実績(約 3 万 2,800 人)を 1 割強上回った。 業種別にみると、採用数を増やすのは鉄鋼業界や金融業界などだ。 (伊沢友之、asahi = 3-21-14)


日生が男性育休取得 100% 大企業では異例

日本生命保険で働く男性社員の育児休業取得率が 20 日、100% に達した。 1 年前は日本企業の平均並みの 1% 台だったが、今年度から社員に取得を促してきた。 厚生労働省によると、大企業で男性の育休取得率 100% は「聞いたことがない(雇用均等政策課)」という。

対象は、2011 年 10 月 - 12 年 9 月に子どもが生まれた男性社員 279 人で、育休の取得期限が今年度末までだった。 日生は全社員が約 7 万人、うち男性は約 7,700 人。 育児・介護休業法は、子どもが 1 歳半になるまで育休を取れるとしているが、日生は 1 歳半になった年度末までに延ばしている。

今年度から各部署に徹底を呼びかけた。 営業職など社員の 9 割を女性が占める職場で、男女ともに活躍しやすい環境をつくるのが狙い。 会社や社員の利点を書いたハンドブックを配り、社内のネットでは「不安だったが、周囲がフォローしてくれた」といった経験者の声も紹介した。

実際の取得期間は、1 日だけの人もいたが、多くは土日の休みも組み合わせて数日から 1 週間程度だったという。 厚労省が実施した 12 年度の雇用均等基本調査によると、全国 4,160 事業所のうち、女性の育休取得者は 83.6% だったが、男性は 1.89% と大幅に低い状況が続いている。 (西山明宏、asahi = 3-21-14)


高校生の内定率、20 年ぶり 9 割超 大学生も昨年上回る

今春卒業予定の大学生の就職内定率(2 月 1 日時点)は 82.9% で、前年同期を 1.2 ポイント上回った。 文部科学省と厚生労働省が 18 日発表した。 リーマン・ショック以後、最も低かった 2011 年の調査 (77.4%) 以降、3 年連続の上昇となった。 男子は 82.2% (昨年同期比 0.9 ポイント増)、女子は 83.7% (同 1.7 ポイント増)で、文系は 81.2% (0.8 ポイント増)、理系は 90.7% (3.2 ポイント増)。 最終の調査は 4 月 1 日に予定されており、昨年 (93.9%) を上回ることが見込まれる。

一方、厚生労働省が発表した高校生の就職内定率(1 月末時点)は前年同期より 2.4 ポイント高い 90.7% 。 改善は 4 年連続で、リーマン・ショック前の 08 年 3 月卒業生の同時期調査の数値 (89.4%) を上回り、20 年ぶりに 9 割を超えた。 求人数が前年と比べ 13.3% 増の約 25 万人と大きく増える一方、就職したい高校生は 1.6% 減の約 16 万 8 千人となり、相対的に「就職しやすい」環境になったことが内定率を押し上げた。 (asahi = 3-18-14)

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高卒就職内定率 85.3% = 95 年以降で最高 - 文科省

今春卒業予定の高校生の昨年 12 月末時点の就職内定率は、前年同期より 2.5 ポイント増の 85.3% だったことが 19 日、文部科学省の調査で分かった。 4 年連続の上昇で、リーマン・ショック前の 2007 年 12 月の水準 (83.8%) を上回り、1995 年以降では最高となった。 ただ、同省は「求人倍率はそれほど回復しておらず、依然として厳しさが残っている」と分析している。 (jiji = 2-19-14)


連合、賃上げ平均 6,491 円 非正規の時給も増加

2014 年春闘で連合は 14 日、同日午前 10 時現在で 491 の労働組合が回答を引き出し、ベースアップ(ベア)と定期昇給を合わせた全体の賃上げ額は、平均で 6,491 円だったとの集計結果を発表した。

昨年同期比で 1,218 円のアップ。 昨年はベアがなく、定期昇給を維持しただけの企業が多かった。 連合は「昨年からの増加分が今春闘でのベアの平均額に当たる」と説明している。 パートやアルバイトといった非正規労働者の時給については 89 労組が回答を引き出し、平均で 11.97 円の引き上げ。 流通では 20 円以上アップした企業が多かった。 (kyodo = 3-14-14)

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電機大手 6 社、いずれもベア 2 千円を回答

日立製作所やパナソニックなど電機大手 6 社は 12 日、今春闘で各社とも月額 2 千円のベースアップ(ベア)を実施すると労働組合に回答した。 業績が復調しつつあることや政府の賃上げ要請などを考慮し、従業員への還元をはかる。 賃金体系を底上げするベアの実施は各社とも 2008 年以来、6 年ぶり。 今春闘で労組側が足並みをそろえて要求した金額(4 千円)からみれば半分の水準になる。 (asahi = 3-12-14)

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三菱電機、ベア実施に前向き シャープ労組は要求見送り

三菱電機は春闘で、賃金水準を底上げするベースアップ(ベア)に応じる検討に入った。 三菱電機の労組は春闘で月額 4 千円のベアを要求しており、山西健一郎社長は 20 日の記者会見で「一時金とベアを含めた形で従業員にできるだけの回答をしたい」と前向きな考えを示した。

電機各社の労組でつくる電機連合は月額 4 千円以上のベアを求める統一方針を決め、大手労組の多くが 4 千円のベアを要求している。 これを受け、日立製作所も今年 3 月期の営業利益が過去最高になる見通しなどを踏まえ、「従業員に利益を還元する選択肢」としてベアに前向きだ。

ただ、電機業界は業績が回復傾向にありつつも、「業績の数字以上に(各社ごとの)差がある(電機連合の有野正治委員長)」という面もある。 電機連合の統一要求から離脱を決めたシャープ労働組合は 20 日、ベアを 5 年連続で見送る内容の春闘要求を会社側に提出した。 2014 年 3 月期決算は 3 年ぶりに純損益の黒字を達成する見込みだが、まだ厳しい経営状況は続いており、組合側はベアを求めても実現は難しいと判断したとみられる。 (稲田清英、西村宏治、asahi = 2-21-14)

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トヨタ、6 年ぶりにベア実施へ 中小企業に波及するか

春闘のリード役とされるトヨタ自動車が、賃金水準を底上げするベースアップ(ベア)を 6 年ぶりに実施する見通しとなった。 19 日には経営側と労組側が今春闘の交渉を開始。 今後は組合側が求める 4 千円に対して満額を認めるかどうかなど、水準をめぐる攻防となる。

この日は、愛知県豊田市の本社で労使の代表らが 1 回目の交渉に臨んだ。 交渉の後、トヨタの労務担当の宮崎直樹専務役員は記者団に、「デフレ脱却や個人消費の活性化、消費増税がある。 例年以上に(日本経済の再生を)重視しなければならない。」などと指摘した。 ベアを容認する考えを示したものだ。 一方、組合側が要求する 4 千円については、「大変高い水準(宮崎氏)」と述べ、今後、交渉のなかで議論をしていくとした。 (asahi = 2-20-14)

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日産・ホンダ・三菱、ベア実施へ 中小企業への影響注目

日産自動車は、賃金体系を底上げするベースアップ(ベア)に相当する賃金改善を 6 年ぶりに行う方針を固めた。 労働組合が要求している月 3,500 円の満額回答も視野に入れている。 ホンダも 6 年ぶり、三菱自動車も 14 年ぶりに、ベアを実施する見通しだ。 トヨタ自動車なども、円安の追い風を受けた好業績を背景にベアを認める公算が大きい。 大手の部品メーカーでも、ベア実施の検討を始めている。 自動車業界は裾野が広く、部品メーカーの多くは中小企業だ。 賃上げが、どこまで波及するか注目される。

日産は労組から、毎月の賃金の原資を、1 人あたり 9,500 円増やすよう要求を受けている。 このうち 6 千円は今の制度を維持するための分(定期昇給)で、3,500 円分がベアに相当する。 日産幹部は、「デフレ脱却には、毎年変動する一時金(ボーナス)ではなく賃金で生活設計を支える必要がある」と話す。 アベノミクスの効果で物価が上がると、企業には恩恵があるが、社員には逆に負担になるためだ。 (asahi = 2-18-14)


基礎年金の保険料納付「64 歳まで」 厚労省が延長検討

厚生労働省は、全国民に共通する基礎年金(国民年金)の保険料納付期間を、現在の 20 - 59 歳の 40 年間から延長する方向で検討に入った。 60 歳を過ぎても働く人の増加にあわせ、64 歳までの 45 年間に延ばす案が軸だ。 納付期間が延びると、もらえる年金額も増える。 少子高齢化に連動した年金の減額をやわらげるねらいがある。 期間延長は義務にせず、任意で選べるようにする案もでている。

納付期間の延長は、年金制度が安定して続くかを 5 年ごとに点検する「年金財政検証」に合わせた制度改革の柱になる。 厚労省は、延長による年金額への影響などを検証のなかで試算。 その結果をふまえて 6 月以降に議論し、年内に具体策をまとめる方針だ。 (中村靖三郎、asahi = 3-13-14)


配偶者控除の縮小検討 政府、女性の社会進出促す狙い

政府は、夫婦のうち 1 人が働く世帯の税負担を軽くする「配偶者控除」を見直す検討に入った。 「夫が働き、妻は専業主婦」という家庭像を前提にした税制を改め、女性の社会進出を促すねらいだ。 年末の 2015 年度税制改正に向けて議論するが、自民党には慎重論も根強い。

配偶者控除は、夫が働き、妻が専業主婦の世帯の場合、夫の課税所得を 38 万円減らし、所得税を安くする制度(妻だけが働く場合は逆)で、減税額は年収によって異なる。 妻の年収が 103 万円以下なら 38 万円の控除を受けられる。 103 万円超 - 141 万円未満も控除を受けられるが、年収が増えるにつれて控除額は少なくなる。

専業主婦の中には、減税の恩恵を満額受けるために 103 万円を超えないよう仕事の量を調整する人もいる。 103 万円を境に、夫が企業から受け取る「扶養手当」を打ち切られるケースもあり、女性の社会進出を阻む「103 万円の壁」とも指摘されている。 (asahi = 3-8-14)


非正社員、遠い賃上げ 「ベア、まるで別世界の話」

「賃上げ春闘」といっても、もっぱら正社員の話だ。 契約社員やパートといった非正社員には厳しい交渉が待ち受ける。 多くは労働組合に入っておらず、春闘を縁遠く感じる人も。 働き手の 4 割を占める人たちが、賃上げの流れから取り残されかねない。

働き手の 4 割置き去り

千葉県のパンフレット編集の会社で働く契約社員の男性 (53) は「世間ではベアの言葉が躍るが、まるで別世界の話。 賃上げどころか雇用が心配だ。」と話す。 (asahi = 3-7-14)


基本給 22 カ月ぶりプラス 1 月勤労統計、0.1% 増

厚生労働省が 4 日発表した 1 月の毎月勤労統計調査(速報値)によると、基本給にあたる所定内給与は前年同月比 0.1% 増の 23 万 9,156 円と 1 年 10 カ月ぶりに前年を上回った。 残業代にあたる所定外給与は 4.3% 増と 10 カ月連続で増えた。 人手不足が広がり、残業を増やすだけでなく、基本給を引き上げて人材を囲い込む動きが進んでいる可能性がある。

労働者が受け取った現金給与総額は 0.2% 減と 3 カ月ぶりに減った。 基本給や残業代は増えたが、ボーナスにあたる特別給与が 14.6% 減ったため。 ボーナスの支給が 11 月と 12 月に前倒しになったことが主因で、2013 年 11 月 - 14 年 1 月の 3 カ月間の特別給与でみると前年同期と比べて 1.1% 増えた。

所定内給与を業種別に見ると製造業が 0.7% 増えたほか、不動産・物品賃貸業が 4.7%、運輸・郵便業が 2.7%、飲食サービス業が 1.7% それぞれ増えた。 労働者数は 4,631 万人と前年同月比 1.3% 増。 労働者数はフルタイムが 1.2%、パートタイムも同じ 1.2% 増えた。 経済対策で好調な建設業に加えて、高齢化で需要が増える医療・福祉の伸びが目立った。

月間実労働時間は 1.4% 増えた。 4 月の消費増税前の駆け込み消費に備え自動車や生活用品の生産が増加。 製造業の残業時間が 15.6% 増えた。 受注増で残業代が増えているほか、企業の業績改善を受けて基本給にも改善の動きが広がりつつある。 (nikkei = 3-4-14)