中国沿岸部の工場、例年より早く旧正月休暇入り 受注低迷や賃金上昇で

[東莞/崑山(中国)] 中国では 1 月末から旧正月の連休が始まるが、沿岸部工業地帯では、例年よりも早く休暇に入る工場が目立つ。 欧米を中心に受注が低迷していることや、労働者不足による賃金上昇などが理由だ。 珠江デルタ地帯の東莞市にある工場で薄型テレビのフレームの製造作業にあたる労働者はほんの少数だ。 この工場を経営する Huang Peijiang 氏は、昨年のクリスマス時期の注文は 2012 年よりも 30% 少なかったとし「この地域にある 100 の工場のうち、80 近くは苦戦している」と述べた。

労働者不足が理由で製造を制限せざるを得ない工場もある。 内陸部の賃金上昇に伴い沿岸部の職を求める若い出稼ぎ労働者は減少している。 杭州市から南へ 100 キロメートルほど内陸に入ったところにある義烏市でプラスチック製のクリスマスツリーを製造する He Songping 氏は「受注はさほど大きな問題ではない。 最大の問題は労働者確保だ。 賃金は毎年 20 - 30% 上昇しているが、労働者の数は減っている。」と述べた。

珠江・揚子江デルタ地帯では、旧正月後に労働不足が一段と深刻化するとの見方もあり、一部の工場は受注に対応しきれない可能性がある、とアナリストは指摘する。 (Reuters = 1-16-14)


産科医が新生児 7 人売り飛ばし、猶予付き死刑 中国

中国国営新華社通信は 14 日、複数の新生児を人身売買業者に売り飛ばした罪に問われた陝西省の産科医が、執行猶予付きの死刑判決を受けたと伝えた。 同省渭南市の中級人民法院(地裁に相当)によると、この医師は 2011 年 11 月から昨年 7 月にかけ、計 7 人の新生児を両親から取り上げて業者に売り渡したとされる。 新生児のうち 1 人は、売られた後で死亡した。

昨年 7 月に母親の 1 人が警察に通報したことをきっかけに、業者の存在が明るみに出た。 新華社通信が父親の話として伝えたところによると、医師はこの母親が梅毒と肝炎に感染していて、生まれた男児にも先天的な異常があると語り、手放すべきだと説得した。 実際にはその夜、男児を約 36 万円で山西省の人物に売り渡し、この人物が約 100 万円で河南省の住民に売ったという。 男児は 8 月初めに保護され、両親の元へ帰った。

昨年 5 月、脳の損傷やまひを理由に約 50 万円で売られた双子の女児も、8 月に無事両親と再会した。 双子の母親は CNN とのインタビューで「医師とは家族ぐるみの付き合いで、疑ったことはなかった」と話した。 一連の事件で計 9 人が拘束され、医師の裁判は 12 月に始まった。 本人は罪を認め、反省していると述べた。 裁判所は執行猶予 2 年の死刑判決を言い渡した。 実際には、2 年間新たな罪を犯さなければ終身刑となる可能性が高い。 医師が上訴するかどうかは明らかになっていない。 (CNN = 1-14-14)

初 報 (8-5-13)


中国、張監督の違反金 1 億円超 一人っ子政策で当局通知

「紅いコーリャン」などの作品で知られる中国映画界の巨匠、張芸謀監督が、一人っ子政策に違反して 3 人の子どもがいる問題で、江蘇省無錫市の計画出産当局は 9 日、張氏夫婦に「社会扶養費」と称する違反金 748 万元(約 1 億 3 千万円)余りを支払うよう命じる通知を送付した。 中国メディアが伝えた。 違反金額は収入に応じて決定。 規定により張氏は通知を受け取ってから 30 日以内に全額を納めなければならない。 従わなければ、当局が強制執行を裁判所に申し立てる場合もあるという。

張氏をめぐっては、一人っ子政策に反して「7 人の子どもがいる」との疑惑が浮上、その後 3 人の子どもがいることを認めた。 当局の対応に高い関心が寄せられていた。 張氏には男児 2 人と女児 1 人がいる。 張氏が 2011 年に婚姻手続きを取るまで、3 人の子どもは無戸籍の状態だった。 (kyodo = 1-9-14)

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張監督「隠し子」調査応じる 一人っ子政策に反し 7 人?

【広州 = 小山謙太郎】 「紅いコーリャン」などの作品を手がけた中国の著名な映画監督、張芸謀(チャンイーモウ)氏 (62) が、「一人っ子政策」に違反し 7 人の子供をもうけていたとされる疑惑で、一貫して沈黙を守っていた張氏が当局への調査協力に応じたと、国営新華社通信などが 11 月 29 日伝えた。

報道やネット上で相次ぐ批判を無視できず、一部事実を認める方向とみられる。 夫妻の代理人が当局に関係資料を提出した。 張氏には妻との間に 3 人の子どもがいるほか、前妻や別の女性との間にも 4 人の子供がいると報道されている。 (asahi = 12-1-13)


零下 20 度でも 1 千万人 中国で雪と氷の祭典開幕

中国黒竜江省のハルビンで 5 日、氷や雪の彫刻技術を競う「ハルビン国際氷雪祭」が始まった。 零下 20 度を下回る寒さのなか、防寒着を着込んだ国内外の観光客が、ライトアップされた作品群に歓声を上げた。 3 月 1 日までの期間中、1 千万人を超える来場者が見込まれている。

凍結した松花江に浮かぶ太陽島の 2 会場には、計 43 万立方メートルの氷雪を使った彫刻が並ぶ。 高さ数十メートルの塔や建築物に加え、習近平政権が唱える「中国の夢」をテーマに、中国の経済発展や力強さを表現した作品も目立っている。 (ハルビン = 石田耕一郎、asahi = 1-6-14)


中国で大型バス爆発、男女 3 人死亡 … 窓吹き飛ぶ

【北京 = 竹内誠一郎】 中国の華僑向け通信社「中国新聞社(電子版)」によると、陝西省渭南市蒲城県で 5 日午後 6 時 40 分(日本時間同 7 時 40 分)ごろ、同省西安からの乗客を乗せた大型バスが爆発し、男女 3 人が死亡、少なくとも 24 人が負傷した。 地元警察当局が車両爆発事故として、原因などを調べている。 中国中央テレビなどの中国版ツイッター・微博は、爆発の衝撃でガラス窓のほとんどが吹き飛んだバスの写真を掲載している。 (yomiuri = 1-5-14)


中国、研修と称した公費での観光旅行を禁止

[北京] 中国財政省の発表によると、政府は共産党員に対し、研修と称して観光旅行に公費を使用することを禁じた。 政府が進める浪費と汚職の取り締まり強化の一環。 声明によると、「娯楽と観光の抜け穴をふさぐ」ため党員は公費の使途を明確に記載するよう求められており、「高級なホテルのスイート」の使用を禁止されている。 こういった措置が 3 カ月未満の国内研修プログラムに適用されるのは初めてとなる。 (Reuters = 1-3-14)


中国「覚醒剤村」で 3 トン押収 広東省で 182 人拘束

【広州】 中国広東省の公安当局はこのほど、中国最大規模の覚醒剤の生産拠点として知られる同省陸豊市の博社村を一斉捜索し、182 人を拘束、覚醒剤約 3 トンを押収した。 3 日付の中国紙、南方都市報などが伝えた。

同紙などによると、2012 年に中国全土で押収された覚醒剤のうち、3 分の 1 が陸豊市産だった。 約 1 万 4 千人が住む博社村では、2 割以上の家庭が覚醒剤の販売や製造に関与していたという。 拘束者には同村の共産党支部書記ら幹部 14 人も含まれている。 捜索は昨年 12 月 29 日早朝に行われ、武装警察など約 3 千人を動員。 ヘリコプターや船も使って、陸海空から村を包囲、77 カ所の覚醒剤製造工場を摘発した。 (kyodo = 1-3-14)


一人っ子政策、来春から緩和 中国政府が決定

【北京 = 山田周平】 中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会は 28 日、人口抑制のため導入していた「一人っ子政策」の緩和を決めた。 地方政府が 2014 年春から順次、どちらか一方が一人っ子の夫婦に第 2 子出産を認めていく。 年間出生数は例年の 1 割超に当たる 200 万人ほど増えるとの見方が多く、いびつな人口構成の修正が動き出す。

全人代常務委は同日、人口行政を直接担う 31 省・自治区・直轄市が立法措置をとれば、それぞれが一人っ子政策を緩和できると決議。 共産党は 11 月に開いた中央委員会第 3 回全体会議(3 中全会)で緩和の方針を発表していたが、中央政府として正式に決めた。 これを受け、地方政府は第 2 子を認める。 晩婚化などで少子化が進む北京市政府は直ちに準備に入り、早ければ 14 年 3 月 1 日から新制度を適用。 上海市など他の地方政府も相次いで同年中に緩和する見通しだ。

専門家によると、新制度で第 2 子を持てるようになる夫婦は全国で 1,500 万 - 2,000 万組。 このうち第 2 子を産む意志があるのは約 5 割とされる。 中国の最近の出生数は年間約 1,600 万人だが、今後 5 年ほどは 200 万人前後上積みされる可能性がある。 200 万人は日本全体の年間の出生数の約 2 倍に当たる。すでに産婦人科のベッド不足が指摘されているほか、11 月以降はベビー用品を手がける地元企業の株価が上昇している。 育児関連ビジネスにはまとまった商機になりそうだ。

中国は食糧危機を避けるために 1979 年に一人っ子政策を導入し、「4 億人分の人口増を抑制できた。(担当官庁の国家衛生計画生育委員会)」 結果として人口構成がゆがみ、国連の推計では 65 歳以上の比率が 35 年に 19.5% と、現在の日本並みに高齢化する見通しとなっていた。 12 年には、「世界の工場」を支えてきた労働年齢人口(15 - 59 歳)が初めて減少に転じた。 ゆがみを解消するため、11 年までに全土で夫婦双方が一人っ子なら第 2 子を認めるまで制限を緩和してきたが、さらに踏み込むことにした。

ただ、張徳江全人代委員長は 28 日、「産児制限は我が国の基本的な国策であり、長期にわたって堅持せねばならない」と演説した。 現在は約 13 億 5,000 万人の総人口を 33 年前後のピーク時でも 15 億人程度に抑える方針。 第 3 子を許可しないなど一定の制限は当面は続く見通しだ。 (nikkei = 12-28-13)

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中国、一人っ子政策の緩和を発表 労働教養所の廃止も

中国国営新華社通信によると、同国で 15 日、一人っ子政策の緩和と労働教養制度の廃止が発表された。 どちらの政策も非人道的との批判が強く、かねて見直しが伝えられていた。 一人っ子政策では家族計画法に基づき、都市部に住む夫婦は両方が一人っ子の場合を除いて 2 人以上の子どもを持つことが認められていなかった。 今後は夫婦のどちらかが一人っ子ならば、2 人目の子どもを産めることになる。

一人っ子政策は人口抑制に効果があるとされる一方、違反者には高額の罰金が課されるため人工妊娠中絶を強いられる女性が後を絶たず、人権団体などから批判を浴びていた。 人口高齢化に伴う経済上の問題も指摘されていた。

労働教養制度は毛沢東時代の 1950 年代に導入された。 反政府的な市民を裁判手続きなしで収容する手段として使われてきたが、この制度が廃止される。 司法当局から入手できる最新の統計によると、08 年の時点で 16 万人が全国 350 カ所の労働教養所に収容されていた。 国連は、収容者が 19 万人に上るとの見方を示している。 こうした政策変更の一環として、死刑を適用する犯罪の数を減らす方針も発表された。 (CNN = 11-16-13)


中国、深セン - アモイ間の高速鉄道開通

中国南部の広東省深セン市と福建省アモイ市を結ぶ高速鉄道が 28 日に開通した。 南部を代表する経済都市間の鉄道移動の時間が従来の 3 分の 1 の 3 時間半になる。 アモイと上海市を結ぶ開通済みの路線に接続し、中国の南東の沿海部全線を走る列車も運行する。 中国は国内各地の経済交流の活発化と建設工事による景気浮揚効果を狙って、新たな路線の建設を続ける。

新路線の運行速度は時速約 200 キロメートル。 「中国版新幹線」とも呼ばれる北京 - 上海間や北京 - 深セン間の路線の時速 300 キロメートルよりは遅い。 中国は今後、上海市と雲南省昆明市を結ぶ路線など沿海部と内陸部を結ぶ高速鉄道の建設を進める。(広州 = 桑原健、nikkei = 12-28-13)


中国、クリスマス祝祭を規制 牧師拘束抗議の信者弾圧か

【北京】 中国で住民の権利回復運動をしていた河南省濮陽市のキリスト教会の牧師、張少傑氏が当局に拘束されたことに反発する信者や弁護士を、警察当局などが弾圧し、各地の教会にクリスマス祝祭の規模縮小や、都市部での開催中止を要求していたことが分かった。 米政府系放送局ラジオ自由アジアが 24 日までに伝えた。

一方、張氏らの支援者は 24 日、共同通信の取材に対し、張氏の自宅が同日、100 人近くの「暴徒」に取り囲まれて多数のけが人が出たと話した。 信者らの抗議集会を当局が指示して力で抑え込んだ可能性がある。 (kyodo = 12-24-13)


米アップル、中国移動から iPhone 発売へ

香港 : 米アップルは 22 日、中国携帯電話最大手の中国移動通信集団との提携を発表した。 来年 1 月 17 日に同社からスマートフォン「iPhone (アイフォーン)5s」と「iPhone5c」を発売することで合意が成立した。 両社によると、予約の受け付けは今月 25 日から開始する。 中国移動の契約者数は世界トップの約 7 億人と、米国の人口の 2 倍を上回る規模。 アップルが中国の中間所得層のシェアを拡大するうえで、同社との提携は不可欠とされてきた。

アップルにとって中国は米国に次ぐ大市場だが、スマートフォンの販売台数はこれまで国内新興メーカー「小米(シャオミ)」や韓国のサムスン電子、フィンランドのノキアなどに後れを取ってきた。 中国移動との提携により、来年 1 年間で新たに iPhone 2,000 万 - 2,400 万台の販売が期待できるとの推計もある。 (CNN = 12-23-13)

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アップル、「iPhone」販売で China Mobile と合意か - WSJ 報道

Apple は、世界最大の無線通信キャリアである China Mobile (中国移動通信)を通じて「iPhone」を販売することを長い間望んでいた。 The Wall Street Journal (WSJ) によると、両社は iPhone の販売に関して、ようやく合意に達したという。

情報筋が WSJ に話したところによれば、約 7 億 6,000 万人の加入者を持つ China Mobile への iPhone 提供は現地時間 12 月 18 日頃に開始される予定だという。 現在、中国では China Unicom (中国聯合通信)と China Telecom (中国電信)が iPhone を提供しているが、Apple は China Mobile と提携し、膨大な数の新規顧客を獲得することを何年も前から望んでいた。 (Cnet = 12-6-13)

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中国も携帯 4G 時代へ 3 大キャリアに TD-LTE 免許

中国工業情報省は 4 日、「第 4 世代 (4G) 携帯電話」の免許を、中国移動、中国聯通、中国電信の 3 大携帯電話事業者に発行したと発表した。 中国企業も多く開発に加わったとされる規格「TD-LTE」の免許を 3 社に出した。 各社は年末から、対応する携帯電話などを投入すると見られる。 (asahi = 12-4-13)


不倫拒否で腹いせに事件でっちあげ逮捕、即懲役刑 "女子大学生" を襲ったゆがんだ司法

雇い主から関係を迫られ拒否したところ詐欺容疑で逮捕され、わずか 2 日後に有罪判決を受け収監されている女性の再審が今月、海南省で始まった。 逮捕から 3 日で結審し「神速」と評された 1 審の裁判には海南省の元副省長が関わっており、公正さからはほど遠いゆがんだ司法の姿を浮き彫りにしている。

「神速」裁判

中国共産党の機関紙、人民日報のサイト「人民網」が 16 日付で報じたところによると、海南省白沙リー族自治県法院(地裁)で最近、四川省成都出身の女性 (25) の詐欺事件の再審が始まった。

報道を総合すると、女性は 11 万元(約 188 万円)を同県の酒造会社代表からだまし取った容疑で、昨年 5 月 16 日に逮捕された。 県検察は翌 17 日に起訴。 さらに翌 18 日には同法院で裁判が開かれて即日結審し、懲役 2 年 6 月の判決が言い渡された。 この間、わずか 3 日。 女性は「神速」と評されたこの判決を不服として控訴し、海南省第 2 中級人民法院は今年 10 月、1 審の手続きは違法だとして審理を差し戻した。

奇想天外な告訴

実は、この女性にだまされたと告訴した酒造会社代表が、海南省の副省長を務めた人物だった。 この人物は海南省から湖北省の副省長に転じた後、賄賂を受け取って職務上の便宜を図ったとして党籍を剥奪され、1999 年 12 月から 10 年間、懲役刑に服していた。 出所後、影響力が残る海南省に戻り、酒造会社の代表に就いていた。

元副省長は昨年 4 月、告訴状を提出。 告訴や検察の起訴内容によると、女性が 2010 年、台湾のある政党の副主席を名乗って酒造会社の台湾進出を持ちかけ、進出に必要なある「組織」の入会費として 11 万元をだまし取ったというのだ。 この時、女性は大学を出たての 22 歳。 女性の弁護人は「長年、政治に携わった人生経験や知識レベルからして、一介の女の子が聞いたこともない台湾の政党の副主席だと信じるとは、常識に合わない」と反論している。

警察もグル?

だが、告訴状を受理した白沙県の公安当局は、「11 億元(約 118 億円)」の詐欺容疑者として女性を指名手配。 女性の両親によると、女性は指名手配を知って四川省成都市の派出所に事情を説明に行ったところ、"出頭" したことにされたという。 白沙県の公安当局はその後、あっさりと金額の「書き間違い」を認めた。

真相は?

今月 17 日付の人民網の記事によると、女性の父親は告訴自体が「謀略だ」と訴えている。 女性は大学卒業直前の 10 年後半、ネット上の求人情報を元にある組織の「総会長」の助手に応募。 就職後、妻子のいる総会長から関係を迫られたという。 この総会長は元副省長と長年の友人で、関係を拒否したことから「2 人が一緒になり彼女を陥れた」と主張している。

新聞各紙は「神速」裁判について、元副省長が司法当局に圧力をかけた可能性を疑っており、18 日付の新京報(電子版)は「再審だけでは不十分で、神速裁判に裏があるのかないのか徹底調査する必要がある」とする論評を掲載している。 (田中靖人、sankei = 12-23-13)


中国、都市化推進計画の原則発表

[上海] 中国国営メディアは 14 日、中国政府が都市化推進計画の詳細をまとめたと報じた。 中国政府は、経済成長を維持するため、約 14 億人いる人口の 60% を 2020 年までに都市住民としたい考えを示している。 中国では事実上、移住が制限されており、社会不安の源となっているが、都市への移住に伴うスラム化や失業問題が懸念されているほか、食料確保に支障を来すとの批判も出ており、政府は難しい対応を迫られている。

国営メディアによると、政府は都市化の質の向上を協議する会議を開催。 閉幕時に声明を発表したが、新たな政策や具体的な日程は盛り込まれなかった。 声明は、拙速な都市化は弊害をもたらすと指摘。 「人間中心の都市化」の質の改善を秩序立った方法で進めることが地方の貧困撲滅につながると表明した。

都市化に際して、環境保護や効率的な土地の活用をこれまで以上に重視する方針も示した。 新華社によると、政府は「(1) 出稼ぎ労働者の都市での差別を段階的になくす、(2) 町や小都市の戸口(戸籍)の規制を全廃する、(3) 中規模都市の規制を段階的に緩和する、(4) 巨大都市の人口を厳格に管理しつつ、大都市への定住に妥当な条件を設定する - - ため努力する」方針。 中国政府は都市化の推進を掲げているものの、実際の改革には消極的で、近い将来にどの程度積極的な改革が行われるかは不透明だ。 (Reuters = 12-16-13)


中国版ツイッター 13 億時代 指導部に世論の挑戦状

【北京】 中国版ツイッター「微博(ウェイボ)」のアカウント数が 14 日までに 13 億を突破した。 公の場での政府批判が事実上禁じられている人口約 13 億人の中国で、国民一人一人が発言権を持てる時代に突入したといえる。 しかし習近平指導部はネット空間を「イデオロギー闘争の主戦場(中国共産党機関紙)」と強く警戒し、世論という挑戦状に言論の引き締めを強めるばかりだ。 習指導部がネットを敵視しているのは、一党独裁体制の否定につながりかねない「西側の価値観」が氾濫しているからだ。 (kyodo = 12-14-13)


中国・天安門近くで 12 人が自殺図る 中国紙ネット報道

【北京】 中国紙・南方都市報は 12 日、北京市天安門広場に近い前門の路上で 10 日、湖北省武漢市から上京した男女 12 人が農薬を飲んで自殺を図ったと伝えた。 土地の強制収用に抗議するためとみられ、7 人が病院に運ばれ治療を受けているが、5 人は病院から逃亡するなどして行方が分かっていないという。

同紙が中国版ツイッター「微博」の公式アカウントで伝えた。 農薬を飲んだのは男性 3 人、女性 9 人で、地元当局に土地を強制収用された際の補償金が少ないとして、4 年前から繰り返し陳情を続けていた。 十分な対応をしてもらえず、収入もなくなり、集団自殺を図ったという。 庶民が過激な形で政府への不満を噴出させる事件が相次ぐ中、政府は陳情制度の改革などを打ち出している。 だが、庶民の絶望感は深く、改善は容易ではなさそうだ。 (asahi = 12-12-13)


陝西省の爆発は住民集会 … 16 人死傷、人間関係に不満か 手製の装置も

中国陝西省咸陽市旬邑県政府は 7 日、同県の村で 6 日午後 9 時(日本時間同 10 時)ごろ、住民集会の場で爆発があり、2 人が死亡、14 人が負傷したと発表した。 うち 3 人は重傷。 公安当局は死者のうち 1 人が爆発物を仕掛けた「重大な刑事事件」とみて捜査している。

中国メディアによると、同村に住む劉徳章容疑者 (50) が手製の爆破装置を爆発させた。 劉容疑者は家族や住民との関係が思い通りにならないことに不満を抱いており、これまでも住民らを食事に誘って爆破を試みたことがあったという。 同容疑者の性別や職業は明らかにされていない。 地元政府は事件発生後、早期解決を指示。 「現在、村民は精神的に落ち着いている」としている。 (kyodo = 12-7-13)


中国・新疆の暴力テロ、大幅増 … 経済発展したが

【北京 = 牧野田亨】 中国国営新華社通信発行の週刊誌「瞭望」の最新号(25 日発行)は、新疆ウイグル自治区公安庁の統計として、同自治区で 2012 年に発生した暴力テロ事件が約 190 件に上り、11 年に比べて大幅に増加したと伝えた。 中国政府は経済発展をテコに同自治区の安定を図ろうとしているが、難しい現状が浮き彫りになった。

同誌によると、区都ウルムチで少数民族ウイグル族による大規模暴動が発生した 09 年以降、「安全を脅かす」集団による事件が、年間 100 件を超えている。 関与しているのは大半が 1980 年代以降に生まれた若者で、学歴は中卒以下という。 同暴動発生後、党はウイグル族の不満を和らげようと、同自治区での経済振興策を推進した。 12 年の同自治区の 1 人当たり域内総生産は 3 万 3,800 元(約 56 万円)で、09 年の 1.7 倍に増えたが、治安は逆に悪化していることになる。 (yomiuri = 11-27-13)


油送管爆発事故の死者 55 人に 中国・青島、166 人負傷

中国の通信社、中国新聞社電によると、山東省青島市で22 日起きた油送管爆発事故の死者は、25 日までに 55 人となった。 ほかに 9 人が行方不明で、負傷者は 166 人に上っている。 現地で青島市長が明らかにした。 (kyodo = 11-25-13)

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中国・青島の爆発、死者 48 人に 石油大手へ批判広まる

【北京】 中国国営中央テレビは 23 日、山東省青島市で石油パイプラインの工事中に起きた爆発事故による死者が 48 人に達したと伝えた。 一帯では水や電気の供給が止まり、住民約 1 万 8 千人が避難。 事故を起こした石油大手や地元政府への批判が広がっている。

習近平(シーチンピン)国家主席が 22 日夜、「原因を究明し、同様の事故を根絶させよ」と指示するなど、中央政府は事態を重視。 事故を起こした石油最大手、中国石油化工の傅成玉会長が現場入りして住民に謝罪した。 しかし、工事前に住民に危険を知らせなかった点などについて、同社の管理責任を問う声がネット上で広がっている。 また、青島の地元メディアが事故を十分に伝えていないとして地元当局による報道規制を疑う声も強まっている。 (asahi = 11-23-13)

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中国の爆発、死者 35 人に 石油パイプライン亀裂か

【北京 = 林望】 中国国営新華社通信などによると、山東省青島市黄島区で 22 日午前 10 時半(日本時間同 11 時半)ごろ、大きな爆発が起き、少なくとも 35 人が死亡、160 人を超えるけが人が出た。 地下石油パイプラインの亀裂を修理する工事が行われており、漏れた原油が何らかの原因で引火したとみられる。 地元政府は公式ブログで「テロの可能性は排除された」としている。 習近平(シーチンピン)国家主席が速やかにけが人を救助するよう指示を出すなど、政府も事態を重くみている。 (asahi = 11-22-13)


DV 反対訴える中国の若者たち 5 都市で街頭活動

【上海 = 金順姫】 上海など中国の 5 都市で 24 日、家庭内暴力をなくそうと訴える若者たちが、街頭でパフォーマンスをした。 各地の有志が連絡を取り合って企画。 被害者に対する公的な保護の態勢が不十分だと主張した。 上海では大学生ら男女 5 人が「私は安全な家がほしい」などと書いたボードを掲げた。 参加者の 1 人が血を表す赤い模様が入った服を着て、被害者の苦しみを表現した。

参加した白菲さん (23) は「外から見えにくい家庭での暴力に、社会はもっと目を向けるべきだ」と語る。 大学 3 年生の男性 (20) は「女性にとって生きにくい社会は、男性にとってもいい社会ではない。 今後も活動を続けたい。」という。 24 日は上海のほか、杭州、鄭州、長沙、昆明でパフォーマンスがあった。 25 日には北京、広州でも計画されている。 (asahi = 11-24-13)


中国当局「ベトナムお見合いツアー」を捜査 詐欺・人身売買の疑い、背景に深刻な花嫁不足

【上海 = 河崎真澄】 ベトナムで花嫁を探す「お見合いツアー」の募集サイトに詐欺や人身売買の疑いがあるとして、中国公安当局が捜査に乗り出した。 地元紙によると、ベトナムで集団お見合いをした中国人男性が花嫁の候補を選んで多額の紹介料を払ったとたん、女性が逃げるなどの被害が出ている。 紹介業者は「女性に暴力を振るった」として返金を拒んだという。 ベトナム人女性を金銭で取引したケースも疑われている。

抽選で旅費を無料にすると宣伝した花嫁探しツアーのサイトには、11 月の募集で数時間に 4 千人以上の男性が殺到。 中国では 30 代の未婚者が男性約 1,200 万人に対し、女性は約 580 万人との調査もあり、深刻な花嫁不足が背景にありそうだ。

一人っ子政策が続いた中国で男の跡継ぎがほしい両親が、妊娠中に女の子と判明すると中絶するケースもあり、昨年の新生児は女の子 100 人に対し男の子は 118 人。 結婚の条件として、高収入の職業やマンション、乗用車を男性側に突きつける傾向も強い。 お見合いツアーの宣伝には、「ぜいたくな要求をしないベトナム花嫁を探しに行こう」との文句もあった。 (sankei = 11-18-13)


中国三中全会は福祉改革に重点、都市人口拡大で

[北京/香港] 中国の戸籍制度「戸口」においては、農村部から北京をはじめとする大都市に出稼ぎにきた人々は都市戸籍に登録されないため、故郷なら提供されていた年金や医療保険、公立学校に無償で通う権利などの公共サービスの恩恵から漏れている。 つまりこうした都市移住者は、子女に教育を施したいなら無認可学校を探すしかない。 例えば北京市の Pengying 校の授業料は年間 1,400 元(228 ドル)と、一部の移住者にとってはほぼ 1 カ月分の所得に相当する。

こうした学校は設備が劣悪なばかりか、より重大な問題として生徒は居住地域にある大学の入学試験を受けられないかもしれないのだ。 この戸口の規制を緩めて移住者への福祉を拡充すれば、これまで農村や小さな町村から大都市部に流入した 2 億人以上と、今後 7 年で流入が見込まれる約 1 億 1,000 万人の生活を楽にするのは間違いない。

中国政府はこうした都市への人口流入を、急速に上昇する製造業の賃金を抑えたり、都市部の消費を促進して経済における工業品輸出への依存度を下げるための都市化推進の要にしたいと考えている。 12 日に終わった共産党第 18 期中央委員会第三回全体会議(三中全会)でも、指導部は都市化の流れを維持する上での社会福祉改革の重要性を指摘した。 アナリストは、福祉改革が実行されればサービス負担の仕組みが様変わりして、最終的には全国的な社会福祉制度が生まれる可能性があるとしている。

新華社によると、指導部は「より公平で持続的な社会保障システム」をもたらすとともに、医療制度の改革も深化させると約束。 「社会福祉の改善に向けた取り組み強化とさらなる機構改革により、社会正義の実現を目指す」ことも合意した。

福祉改革のメリット

福祉改革の構想は多岐にわたり、指導部の胸の内は正確には読み取れない。 実行には数カ月、あるいは数年単位の時間を要するだろう。 しかしアナリストは、各地でばらばらの社会サービスが統合されれば、経済にとっては幅広い面でプラスが生まれるとみている。

医療や年金、教育のポータブル化は、中国の低調な生産性を再び向上させ、万が一に備えて消費よりも貯蓄に励む中国人の行動様式を変える可能性がある。 何よりも社会の安定を最重要課題とする指導部にとって頭痛の種である、所得格差や機会の不平等をめぐる不満も和らげるだろう。

中国投資有限公司 (CIC) のチーフエコノミスト、Peng Wensheng 氏は「中央政府がこの措置に予算をつければ、全国標準が構築されて人々は移動が可能になる。 移動可能性は技能活用の有効性が高まることを意味している。」と述べた。

社会福祉サービス関連のコスト負担が地方から中央に移ることで、歳入と歳出のミスマッチも解消する。 現在は地方政府は国の税収全体の半分強しか徴収していないのに、公共支出の 80% を背負っているのだ。 地方政府としても負担が軽減されるなら、破綻した米デトロイト市のような水準まで借り入れを膨らませる大義名分はなくなる、とエコノミストは主張する。

公平性

医療保険に関しては、中国政府は過去数年で各種制度を合わせて全人口の 95% をカバーする態勢にまで整備してきた。 それでも、家計の所得に占める医療費の割合はわずかにしか下がっていない。 またクレディ・スイスによると、医療保険コストのほぼすべては地方政府が負担している。 だがエコノミストは、もし全国的な医療保険制度を創設すると中国は世界最大級の医薬品の買い手となり、コストが低下して治療の品質向上にもつながると主張する。

年金は各省レベルで設けられているが、慢性的に資金不足の状態にある。 労働者から賃金の 8%、雇用主から支払い賃金の 20% を徴収する仕組みが出来たのは 1997 年になってからだった。 さらに労働者は同じ省で 15 年働いて初めて、雇用主の拠出部分を引き出すことが可能になる。 これにより労働者はより良い仕事を求めて移動する気をなくすばかりか、自分の貯蓄に一層精を出すようになって、公的な負担への圧力をますます高めてしまう。

医療や年金と比べれば、9 年の義務教育に予算をつけるのは簡単なように思われる。 クレディ・スイスの調べでは、中国において教育関連予算は国防費をしのぐ最大の歳出項目となっている。 ただ、実際に約 95% を負担しているのは地方政府だ。 またこうしたコストの陰には、Pengying 校のような無認可の学校に子どもたちを通わせるために必要な都市移住者の支払い費用が存在する。

米スタンフォード大学や中国の教育関係機関などで構成する調査グループは、北京市だけで 230 もの移住者向け学校があって、移住者の子女の約 70% が教育を受けている。 公的な教育システムから外れた場所にいる子どもが多数に上ることで、政府が彼らに故郷以外の地域の大学入試を受験できるようにするべきだとの声が広がっている。

Pengying 校の責任者は「政府が資金を出さなくても良いが、少なくともわれわれを平等に扱うことはできるだろう。 生徒はすべて中国人だ。 なぜ差別されなければならないのだろうか。」と疑問を投げ掛けている。 (Koh Gui Qing、Wayne Arnold、Reuters = 11-13-13)


中国新疆ウイグル自治区で工場が爆発、6 人死亡

12 日の新華社電によると、中国新疆ウイグル自治区の区都ウルムチの鉄鋼工場で 11 日夜、爆発があり、従業員ら少なくとも 6 人が死亡、6 人が負傷した。 当局が詳しい原因を調べている。 (kyodo = 11-12-13)


「時限式」置き、車で逃走 = 計画的犯行強まる - 中国山西省爆発

【太原(中国山西省)】 中国山西省の省都・太原市の共産党委員会庁舎前で起きた連続爆発事件で、7 日付の中国紙・第一財経日報は地元警察の情報として、容疑者は爆発直前の 6 日午前 7 時(日本時間同 8 時)ごろに爆弾を置き、独フォルクスワーゲン系の黒い「サンタナ」車で逃げ去ったと伝えた。 庁舎周辺の広範囲に複数の時限式爆発物を仕掛け、時間差で連続的に爆発させる計画的な犯行の疑いが強まっている。

同紙によれば、党委庁舎付近には高画質ビデオカメラが設置されており、事件直後の 6 日午前に開いた緊急会議で容疑者の使った車両と犯行時間帯を特定したという。 爆弾は、目抜き通りの迎沢大街に面する庁舎正面前歩道の植え込みなどに少なくとも 5 つ以上設置されたとみられる。 爆発は午前 7 時 10 分から 1 時間近くの間に 7、8 回発生し、場所は庁舎をくの字で囲むように数百メートルの広範囲に点在した。

現場はバスの停留所も近く、爆発当時は多くの通行人や車両が周辺を行き来していた。 容疑者は人通りが多い朝の通勤時間帯を狙っており、用意周到に準備していたとみられる。 また爆発物には殺傷力を高めるため、金属球やくぎなどが入れられていたとされる。 被害を拡大し、騒ぎを大きくしようとした意図がうかがえる。 事件では 1 人が死亡したほか、8 人が負傷。 20 台以上の車両が被害を受けた。 公安当局は、党・政府に不満を持つ人物が党庁舎を狙って実行した「テロ」とみて捜査を進めている。 (jiji = 11-7-13)

山西省の社会的背景 炭鉱業が盛んな山西省では、炭鉱経営や労働条件をめぐる住民と業者・当局間のトラブルが多く、暴力事件に発展するケースが後を絶たない。 許認可権を握る官僚の腐敗の温床にもなっている。

同省臨県では 2009 年 10 月、炭鉱の採掘権をめぐる争いを発端に暴力団員ら約 200 人が住民を襲撃、4 人が死亡した。 背後に当局者の関与が指摘された。 今年 9 月には同県の村幹部の自宅が爆破され、容疑者とみられる人物を含む 4 人が死亡する事件も起きた。 炭鉱事故で多数の作業員が死亡する事故や賃金未払いなども頻発。 利益優先で結託した当局と業者に対し、住民や労働者らは不信と不満を強めている。 (日刊スポーツ = 11-7-13)


中国席巻「スマートテレビ」 ネット動画で番組・映画見放題

中国で、ネットに接続して見る「スマートテレビ」市場が急成長している。 今年は、中国で売れる薄型テレビの半分以上に上る見通しで、メーカーなどの開発競争が激化している。 ただ、人気の背景には、著作権の規制がゆるく、無料で動画を簡単に見られるという中国特有の事情もあり、世界にそのまま広がっていくかどうかはわからない。

著作権の緩さ利用

「智能体験」、「智能内容」、「智能生活」 ・・・。 上海市中心部の家電量販店のテレビ売り場には、中国語で「スマート」を表す智能という言葉があふれる。 各社が主力をスマートテレビに切り替えているからだ。 中国では 2010 年ごろから、スマートテレビの発売が本格化。 地元大手の TCL 集団が力を入れ、11 年には韓国サムスン電子など外資勢も参入し、市場規模が一気に広がった。

日本勢も追い上げを急ぐ。 シャープは今年 7 - 8 月、グーグルの基本ソフト「アンドロイド」を使ったスマートテレビ 6 機種を投入。 シャープ中国の椋木康裕会長は「今後は、入門機種以外はすべてスマート対応にする」と話す。 ソニーが今年発売した商品は、スマートフォンやタブレットの映像などをテレビに簡単に映し出せるようにした。

中国でのスマートテレビ販売は、12 年には 800 万台となり、薄型テレビ全体の 3 割近かった。 今年は初めて、半分を超えると見られる。 日本の場合、12 年に売れたネット動画対応テレビは約 330 万台で、薄型テレビ全体の約 51%。 中国のスマートテレビ市場はすでに日本の倍以上だ。 普及を下支えしているのは、中国のネット文化だ。 中国では著作権の規制がゆるく、ネット上の動画サイトで、様々な動画を無料で見る人たちが多い。

中国では米動画サイト「ユーチューブ」は閲覧できない。 代わりに、国内の動画サイトでは、テレビ番組や映画が大量にアップされている。 国内放映の番組は放送直後からほとんどネット視聴でき、話題の映画でも公開から 3 - 4 カ月後には無料視聴できる。 国内コンテンツは権利者の許諾を得たものが主流だが、日本のドラマなど海外コンテンツは違法にアップされているものも少なくない。

中国のスマートテレビは、特定のサイトと提携して動画の提供を受けており、メーカーは「見られるのは合法なコンテンツだけだ」としている。 だが、中には改造を通じて、複数サイトを閲覧できるテレビ機器も登場している。

IT 参入で価格破壊

商機を見込み、中国では異業種の参入が相次ぐ。 パソコン世界最大手のレノボは昨年 5 月、スマートテレビに参入した。 中国の新興スマホメーカーとして注目を集める小米(シャオミー)も先月、自前のテレビ販売に乗り出した。 ネット業界も続く。 中国には世界中のメーカーからテレビを下請け生産する業者が多く、参入が簡単だからだ。

その象徴は、ネット動画サイト大手「楽視網」だ。 今年、60 インチで 6,999 元(約 11 万円)と他メーカーより 3 割程度安い「超級(スーパー)テレビ」を発売。 動画配信の有料会員になってもらい、価格を下げた。 ネット検索最大手の百度(バイドゥ)も、テレビと接続してネットを見られる機器で参入した。 中国 IT 大手は勢ぞろいだ。 メーカーに加え、ネット大手が激しく開発競争を繰り広げているだけに、中国の家電評論家、劉歩塵氏は、「中国のテレビが初めて、世界をリードする可能性がある」とみる。 (北京 = 斎藤徳彦、asahi = 11-3-13)

スマートテレビ> 地上波やケーブルなどの映像を受信する通常のテレビとしての機能に加え、ネット接続することでネット上の動画やオンラインゲームを楽しむ機能が加わっている。 テレビのリモコンを使って操作し、スマートフォンに似た画面から「アプリ」を選択して、ネット接続などの機能を使う機種が多い。