時価総額トヨタ 1 位 ソフトバンクが 2 位に 東証

東京証券取引所は 30 日、今年の大納会の終値ベースでの時価総額の上位を発表した。 トップは昨年に続いてトヨタ自動車で、アベノミクスによる円安・株高傾向を受け、約 22 兆円になった。 2 位はソフトバンクで昨年の 9 位から大きく順位を上げた。 メガバンク 3 社も 10 位以内を確保した。 (asahi = 12-30-13)

順位社 名時価総額
1 位トヨタ自動車22 兆 1,361 億円
2 位ソフトバンク11 兆 0,460 億円
3 位三菱 UFJ フィナンシャル・グループ9 兆 8,296 億円
4 位ホンダ7 兆 8,434 億円
5 位三井住友フィナンシャルグループ7 兆 6,641 億円
6 位NTT ドコモ7 兆 5,296 億円
7 位KDDI5 兆 8,033 億円
8 位みずほフィナンシャルグループ5 兆 5,190 億円
9 位デンソー4 兆 9,065 億円
10 位ファナック4 兆 6,105 億円
11 位ファーストリテイリング4 兆 6,035 億円
12 位日本たばこ産業4 兆 5,599 億円
13 位キヤノン4 兆 4,414 億円
14 位三菱地所4 兆 3,727 億円
15 位日産自動車3 兆 9,963 億円
16 位NTT3 兆 9,938 億円
17 位日立製作所3 兆 8,474 億円
18 位武田薬品工業3 兆 8,102 億円
19 位セブン & アイ・ホールディングス3 兆 7,053 億円
20 位ヤフー3 兆 3,648 億円
21 位新日鉄住金3 兆 3,451 億円
22 位三井不動産3 兆 3,361 億円
23 位三菱商事3 兆 3,351 億円
24 位JR 東日本3 兆 3,101 億円
25 位ブリヂストン3 兆 2,361 億円
26 位野村ホールディングス3 兆 0,924 億円
27 位パナソニック3 兆 0,025 億円
28 位アステラス製薬2 兆 8,468 億円
29 位三菱電機2 兆 8,343 億円
30 位キーエンス2 兆 7,360 億円

円安定着でも国内回帰は少数

ことし、外国為替市場では大幅に円安が進みましたが、この水準が続いても、海外にある生産拠点などを国内に移すという企業はおよそ 8% にとどまるという調査結果がまとまりました。 この調査は、政府系金融機関の「国際協力銀行」が、海外に 3 社以上の現地法人を置く日本の製造業を対象に行い、59% に当たる 587 社から回答を得ました。

それによりますと、円相場はこの 1 年で 1 ドル = 88 円前後だったのが 1 ドル = 105 円台まで 17 円も値下がりしていますが、仮にこの水準の円安が定着した場合でも、海外にある生産の拠点や機能を国内に移すと答えた企業は、全体の 7.8% にとどまりました。 一方、生産拠点の見直しなどを行わないという企業は 56.2% に上りました。

これについて国際協力銀行は、日本は人件費や電気代などのコストが高いことや、国内の市場規模が縮小している業種が多いことが背景にあるとみています。 産業構造の問題に詳しい日本総合研究所の山田久チーフエコノミストは「為替が円安になっても、東南アジアなど市場のある海外でものづくりをする流れは変わらない。 しかし、日本には新しい産業の芽もあり、高齢化や環境の面で新たな雇用をうめるのではないか。」と話しています。 (NHK = 12-29-13)


国民 1 人あたりの名目 GDP、日本は 10 位に浮上 昨年度の国民経済計算確報

内閣府が 25 日発表した国民経済計算の確報によると、平成 24 年の日本の 1 人当たり名目国内総生産 (GDP) は前年比 0.7% 増の 371 万 4 千円だった。 2 年ぶりの増加で、前年の東日本大震災からの復興が進んだことを反映した。 ドル換算すると 4 万 6,537 ドルとなり、円高の影響を受け過去最高となった 22、23 年に続き 3 年連続で過去最高となった。 経済協力開発機構 (OECD) 加盟国中の順位は前年の 14 位から上昇し、10 位となった。

1 人あたりの名目 GDP の首位はルクセンブルグの 10 万 3,751 ドル。 米国は 5 万 1,689 ドルで 7 位、ドイツは 4 万 1,822 ドルで 16 位だった。 OECD 非加盟国の中国は 6,089 ドルだった。 一方、国全体の名目 GDP では、日本は 5 兆 9,359 億ドル。 米国の 16 兆 2,446 億ドル、中国の 8 兆 2,241 億ドルに次ぐ 3 位だったが、世界の GDP 総額に占める割合は 8.2% で前年より 0.1 ポイント低下した。 (sankei = 12-25-13)

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GDP 成長率、実質 1.4% 14 年度、名目は 3.3%

【末崎毅】 政府は 21 日、2014 年度の国内総生産 (GDP) の成長率を物価変動の影響をのぞいた実質で 1.4% とする見通しを閣議了解した。 来年 4 月の消費増税で景気は一時的に悪化するが、年度を通じては公共事業などを支えに景気の回復が続き、5 年連続でプラス成長になると見込んだ。

14 年度の成長率は、8 月時点で実質 1.0% と試算していたが、上向きに直した。 増税にそなえた 5.5 兆円の経済対策が、14 年度の実質 GDP を 0.7% 押しあげる効果があると見込んだ。 ただ輸出や設備投資が思ったほど伸びておらず、成長率を押しさげる。

13 年度の実質成長率 (2.6%) からは減速する。 理由の一つが増税前の駆け込み需要だ。 13 年度の実質 GDP を 0.4% 押しあげる代わりに、反動が出る 14 年度は 0.4% さがる。 住宅投資は前年度より 3.2% 減。 個人消費の増加率も 13 年度の 2.5% から 14 年度は 0.4% に鈍る。

生活実感に近い名目の成長率は 3.3%。 消費増税でモノやサービスが値上がりし、実質を上回る。 モノが下がり続けるデフレで名目が実質の成長率を下回る「名実逆転」が続いてきたが、14 年度は消費税率が 5% に上がった 97 年度以来、17 年ぶりに解消しそうだ。 名目 GDP は金額で 500 兆 4 千億円。 07 年度以来、7 年ぶりに 500 兆円台を回復する見通しだ。 (asahi = 12-21-13)

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GDP を下方修正、前期比 1.1% 増に 7 - 9 月期

内閣府が 9 日発表した 2013 年 7 - 9 月期の国内総生産 (GDP) の 2 次速報は、物価の変動を除いた実質ベース(季節調整済み)で、前期より 0.3% 増、年率換算で 1.1% 増だった。 11 月の 1 次速報(前期比 0.5% 増、年率 1.9% 増)から大きく下方修正した。 12 月に入って発表された法人企業統計で、設備投資が前期比マイナスとなったのが響いた。 個人消費は上ぶれさせたが、企業在庫、住宅投資、政府支出も、見込みよりも小幅ながら伸びが鈍かった。

4 - 6 月期の実質 GDP は前期比年率換算で 3.6% 増に 0.2 ポイント下方修正した。 これと 7 - 9 月期を比べると、伸び率が 3 分の 1 以下に縮んでいる。 「アベノミクス」による景気拡大の勢いは鈍化しているようだ。 物価を加味した名目 GDP は、前期比 0.3% 増、年率換算で 1% 増となった。 1 次速報の 0.4% 増、年率 1.6% 増から同じく下方修正した。 (asahi = 12-9-13)

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7 - 9 月の日本の実質 GDP、前期比年率 1.9% 増 - 個人消費が減速

内閣府が 14 日発表した 2013 年 7 - 9 月期の国内総生産 (GDP) 速報値によると、物価の影響を除いた実質 GDP は前期比年率 1.9% 増(季節調整済み)となった。 内需と新興国からの需要が落ち込み、成長率は今年前半と比べると半減した。 ただ、ウォール・ストリート・ジャーナルが調べたエコノミストの予想した 1.7% 増は上回った。

急激な円安と株価上昇を背景に輸出と個人消費が伸び、1 - 3 月期の日本経済は 4.3% (改定値)、4 - 6 月期は 3.8% の成長となったが、ここにきて急減速したことになる。 この 2 つの成長の柱が、7 - 9 月期に大幅に失速した。 輸出は前期比 0.6% 減となり、民間消費支出はわずか 0.1% 増に減速した。 4 - 6 月期には、輸出は 2.9% 増、消費支出は 0.6% 増だった。

ただ、2014 年 4 月に消費税が 5% から 8% に引き上げられるにあたり、アナリストらは駆け込み需要を予想しており、3 月までの 13 年度後半における個人消費に対する懸念はあまり強くない。 それでも、15 年間続くデフレからの脱却を目指す安倍政権にとって、輸出の減速は大きな問題になりかねない。 米国からの自動車需要が減少し、輸出が落ち込んでいる。 一方、米連邦準備制度理事会 (FRB) が量的緩和の規模を縮小するとの観測を背景に、新興国での売り上げが損なわれている。

7 - 9 月期の成長は、公的需要に支えられた。 公的固定資本形成は前期比 6.5% 増となった。 その大半は今年初めに打ち出された 10 兆 3,000 億円規模の景気対策によるものだ。 来年 4 月の消費増税を控え、安倍首相は 5 兆円の追加対策をまとめている。 民間企業の設備投資は前期比 0.2% 増と堅調だった。 また、超低金利と消費増税前の駆け込み需要で住宅需要も強く 2.7% 増加した。

インフレ指標となる GDP デフレーターは前年同期比でマイナス 0.3% と、4 - 6 月期のマイナス 0.5% に続きマイナス水準にとどまった。 (The Wall Street Journal = 11-14-13)


国債、過去最大の 180 兆円規模に 14 年度発行計画

【細見るい】 財務省は、来年度の国債発行計画の大枠を固めた。 新たな借金のための国債と、過去に出した国債の借り換えなどを合わせた発行総額は、過去最大の 180 兆円前後に達する見通しだ。 2008 年のリーマン・ショック後の景気対策のための借金などが借り換えの時期を迎えるためだ。 国債発行計画は、来年度の政府予算案に合わせて 24 日に決める。

来年度の新たな国債は、消費増税や景気回復による税収増を反映し、今年度の 42.9 兆円から微減とする見通し。 一方、借り換え債は、今年度の 112.2 兆円(当初計画)を大きく上回る 120 兆円超に膨らむ。 このため、全体の国債発行額は 2 年ぶりに増え、過去最大だった 12 年度の 174.2 兆円を超える。 (asahi = 12-20-13)


12 月日銀短観は大企業 4 四半期連続改善、中小もプラス浮上

[東京] 日銀が 16 日発表した 12 月日銀短観では、大企業からか中小企業まで幅広く業況が改善、製造業・非製造業ともにプラスとなった。 大企業は製造業・非製造業とも 4 四半期連続の改善。

注目されるのは、中小企業非製造業の景況感がバブル期の 1992 年以来のプラス浮上となり、景気回復が末端まで浸透しつつある点。 円安が再び進行しており輸出企業を中心に業績が上方修正されたほか、公共事業や個人消費の好調などが背景。 先行き 3 月にかけてはやや悪化が見込まれている。 デフレ脱却を占う企業の販売価格判断は景況感改善の割りにやや足踏み感が出ている。

マインド改善末端まで浸透

業況判断 DI は、大企業製造業で 4 ポイント改善し、プラス 16 となった。 リーマン・ショック前の 07 年 12 月以来の水準にまで回復した。 大企業非製造業は 6 ポイントの大幅改善。 中小企業も製造業、非製造業ともにプラスに浮上。 全規模で改善に広がりが出ている。 特に中小企業非製造業は建設や小売などを中心に改善し、バブル期以来のプラスとなった。

為替の前提、下期は 2 円近い円安シフト

企業が事業計画を立てる際の前提為替レート前回調査と比較し、上期が 3 円近く、下期は 2 円近い円安修正となり、輸出企業を中心に売り上げ・収益を上押しした。 輸出売上高は年度計画で 4% 上方修正された。 この結果、経常利益は、全規模全産業で 7.5% の上方修正となった。

物価上昇、販売価格・仕入れ価格とも足踏み感

物価の上昇を占う販売価格判断は、上昇傾向が足踏みとなった。 製造業は 2 ポイント下落超過となり、前回の改善分がはく落した。 非製造業も改善が止まり、横ばいとなった。 仕入れ価格判断は円安による輸入財や建設資材などの高騰で大幅に上昇してきたため、判断 DI の水準自体は高水準となっている。 ただ製造業に加え、今回非製造業でも上昇傾向は頭打ちとなり、下落超過となった。

設備投資計画は大企業が下方修正、中小企業に勢い

13 年度の設備投資計画は大企業全産業で前回から 0.5% ポイント下方修正となった。 前年度比 4.6% 増。 12 月短観の季節パターンでは通常、横ばいないし下方修正となるものの、昨年度 12 月調査よりも伸び率は低い。 他方、中小企業は全産業で 8.6% のしっかりとした上方修正となった。 06 年度以降の 12 月調査で最も高い伸びとなっている。 (中川泉、Reuters = 12-16-13)

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機械受注 10 月は 3 カ月連続で 8,000 億円台乗せ、増加業種に広がり

[東京] 内閣府が 11 日に発表した 10 月機械受注統計によると、設備投資の先行指標である船舶・電力を除いた民需の受注額(季節調整値)は、前月比 0.6% 増の 8,072 億円となり、3 カ月連続で 8,000 億円台と好調な推移を続けている。 製造業は微減となったが、反動減の割に小幅減にとどまったほか、非製造業は 2 桁の伸び。 増加業種が多く、増加傾向に広がりが見られる。 内閣府では機械受注の判断を「緩やかな増加傾向が見られる」と上方修正した。

10 月の民需の伸びはロイターの事前予測調査の 0.6% 増と同じだった。 前年比では 17.8% 増だった。 製造業は前月比 0.2% 減と 6 カ月ぶりの減少となった。 もっとも 5 カ月連続の増加の後にしては減少幅はごく小さく、減少要因も反動減によるものがほとんど。 内閣府では、製造業の受注額が 3,300 億円を確保したことについて、高めの水準と判断している。

非製造業は同 11.5% 増と 2 桁増となった。 受注額も 5 月以来の 5,000 億円台に乗せた。 金融業・保険業からの受注がコンピュターなどを中心に高い伸びとなった。 金融取引の活発化が背景とみられる。 また建設業からの受注も建設機械や運搬機械が寄与、復興需要や公共投資の伸びによるものとみられる。

外需は同 16.0% 減、官公需も同 26% 減。 いずれも先月、大型案件が相次いだ反動。 内閣府が基調判断を上方修正した理由について、民需が 8,000 億円の高水準の受注額を続けていること、製造業で 15 業種中 11 業種、非製造業でも 12 業種中 9 業種が増加し、増加業種に広がりが出ていることなどをあげた。

企業からの聞き取りをもとに内閣府がまとめた 10 - 12 月の見通しは前期比 2.1% 減となっているが、この数字の算出にあたり多少過小評価されていると内閣府はみており、仮に 11、12 月に減少が続いても 10 - 12 月は前期比横ばいを達成できるとしている。 機械受注統計は機械メーカーの受注した設備用機械について毎月の受注実績を調査したもの。 設備投資の先行指標として注目されている。 (中川泉、Reuters = 12-11-13)

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設備投資 1.5% 増 7 - 9 月期 2 期連続プラス

【末崎毅】 7 - 9 月期の国内企業の設備投資額は、前年同期より 1.5% 増えて 8 兆 9,424 億円だった。 プラスは 2 期連続で、微増だった 4 - 6 月期よりプラス幅を広げた。 景気の回復をうけて設備投資は上向きつつあるが改善しているのは非製造業が中心。 製造業は 4 期連続で前期を下回った。

財務省が 2 日、法人企業統計調査(金融・保険業を除き、ソフトウエア投資を含む)として発表した。 非製造業の設備投資額は同 6.6% 増の 5 兆 8,348 億円。 2 期連続で前年を上回った。 公共事業が好調な建設業で、大型の物流施設やメガソーラーの新設があり、同 75.6% 増えた。 運輸業でも航空機の購入や空港設備の建設で投資が増えた。 (asahi = 12-2-13)


軽減税率、導入は「10% 時」 与党税制大綱決定

自民、公明両党は 12 日、来年度の与党税制改正大綱を決定した。 焦点となった食料品などの消費税率を低く抑える軽減税率については「税率 10% 時」に導入することで合意した。 公明党は引き上げと同時の導入を求めたが、自民党が抵抗。 引き上げと同時か、それ以降なのかは、あいまいな表現で決着させた。

軽減税率については、公明党が低所得者対策として強く要求。 これに対し自民党は、対象品目の線引きが困難で税収も減るなどとして、導入に否定的だった。協議の結果、自民党が公明党に譲歩する形で、軽減税率は「導入する」とした。 軽減税率導入で減る税収を補う財源を確保することや、経済界などの理解を得ることを条件にした。

ただ、導入時期については、明記に難色を示した自民側が押し切る形で「税率 10% 時」で折り合った。 自民党税調幹部は「10% 引き上げ時には間に合わない」としたが、公明党の斉藤鉄夫税調会長は 12 日未明、朝日新聞の取材に「当然、我々は『引き上げ時に』という理解だ」と語った。 また、合意内容には、今後、詳細に検討すべき内容として、対象品目の選定や、税率の違う商品ごとに分ける「区分経理」のための制度や、具体的な安定財源などを列挙。 来年 12 月までに結論を得るとした。 (asahi = 12-12-13)

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年収 1 千万円以上に増税案 財務省が所得控除カット提示

政府・与党は 5 日、高収入のサラリーマンらの所得税増税の検討に入った。 年収 1 千万円以上を対象に、経費とみなす「給与所得控除」を削るなど複数案を検討し、来年度税制改正に盛るかどうか議論する。 来春の消費増税は収入が低い人の負担感が重く、不公平感を和らげる狙いだが、消費を冷やすおそれもある。

所得税は、もらった給料からいろいろな「控除」を引いた「課税所得」に税率をかけて決める。 給与所得控除はサラリーマンの必要経費との位置付けで、最大で 245 万円(年収 1,500 万円以上の場合)。 控除の圧縮は課税対象が膨らみ、増税となる。

財務省が自民党税制調査会に示したのは、(1) 控除額の上限を 220 万円に(年収 1 千万円超の人が増税に)、(2) 上限を 230 万円に(同 1,200 万円超は増税に)、(3) 年収 2 千万円以上の企業役員を対象に、現在 245 万円の控除額を最大 125 万円まで縮める - - 3 案。 (asahi = 12-6-13)


企業の景況判断、4 四半期連続プラス 10 - 12 月期

内閣府と財務省が 10 日発表した 10 - 12 月期の法人企業景気予測調査(政府短観)によると、大企業(全産業)の自社の景況判断を示す指数は 8.3 で、4 四半期続けてプラスだった。 7 - 9 月期の 12.0 よりも数値は低下。 製造業、非製造業ともプラスだった。 指数は、自社の景況が前期に比べて「上昇した」と答えた企業の割合から、「下降した」と答えた企業の割合を差し引いた値。 (asahi = 12-10-13)

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11 月貸出残高、2.4% 増 09 年 6 月以来の伸び

日本銀行が 9 日発表した 11 月の「貸出・預金動向(速報)」によると、大手銀行や地方銀行など銀行の月中平均の貸出残高は、前年同月に比べて 2.4% 増えて 407 兆 1,897 億円だった。 伸び率は 2009 年 6 月 (2.5%) 以来の高い水準だった。 前年同月を上回るのは 26 カ月連続。

日銀金融機構局によると、業種別では大口の電力会社向けや不動産、建設業、医療・福祉向けの貸し出しが増えており、最近は自動車や小売りも好調だという。 一方、企業や個人が銀行に預けた預金の月中平均残高は、前年同月比 4.0% 増えて、591 兆 7,332 億円だった。 地銀・第二地銀は前年同月比 4.4% 増で、1991 年 7 月の公表開始以来最高の伸び率だった。 (asahi = 12-9-13)

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11 月街角景気、2 カ月ぶり改善 = 「緩やかに回復」に引き上げ

内閣府が 9 日発表した 11 月の景気ウオッチャー調査によると、3 カ月前と比べた街角の景況感を示す現状判断 DI (指数)は前月比 1.7 ポイント上昇の 53.5 となり、2 カ月ぶりに改善した。 来春の消費税増税を控えた駆け込み需要は、住宅では一服したものの、自動車や家電では継続し、製造業の受注も増加した。 好不況の分かれ目の 50 を 10 カ月連続で上回った。

2、3 カ月先の見通しを示す先行き判断指数も、年末年始商戦やボーナスの増加見通しを背景に 3 カ月連続で改善し、0.3 ポイント上昇の 54.8。 内閣府は基調判断を、10 月までの「景気は着実に持ち直している」から「景気は緩やかに回復しつつある」へ 2 カ月ぶりに上方修正した。 判断に「回復」の表現が用いられるのは 2008 年 6 月以来。 (jiji = 12-9-13)


5.5 兆円の経済対策、正式決定 GDP 1% 増見込む

安倍政権は 5 日夕の臨時閣議で、消費増税による景気の落ち込みを防ぐ経済対策を決めた。 低所得者対策や公共事業などに 5.5 兆円を充てる。 地方自治体や民間の負担を含めた事業規模は 18.6 兆円。 経済対策は消費増税後の来年度前半に集中的に執行し、来年度の国内総生産 (GDP) を 1% 程度押し上げ、25 万人の雇用を生み出す効果を見込む。

今年度の税収の上ぶれ分や剰余金などを財源とし、新たな国債発行はしない。 経済対策を柱とする今年度補正予算は、12 日にも決める。 (asahi = 12-5-13)


日経平均終値 1 万 5,727 円 約 6 年ぶりの高値

28 日の東京株式市場は、日経平均株価が 3 日ぶりに大きく値上がりし、終値は前日より 277 円 49 銭 (1.80%) 高い 1 万 5,727 円 12 銭と、今年の終値での最高値だった 5 月 22 日の 1 万 5,627 円 26 銭を塗りかえ、2007 年 12 月 12 日以来、約 6 年ぶりの高値をつけた。

東京証券取引所第 1 部全体の値動きを示す TOPIX (東証株価指数)は、同 13.96 ポイント (1.12%) 高い 1,261.04。 出来高は 22 億 7 千万株。 一時 1 ドル = 102 円台前半と約半年ぶりの水準まで進んだ円安や、前日の米株高を受け、取引開始直後から輸出関連株などを中心に買い注文が優勢だった。 (asahi = 11-28-13)

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ドルは 102 円付近で利食いが重し、年内 105 円との予想も

[東京] 正午のドル/円は、前日のニューヨーク市場午後 5 時時点に比べてわずかにドル安/円高の 102 円ちょうど付近。 早朝に 102.28 円まで上昇して半年ぶりの高値をつけたが、利益確定に押された。 ただ、株高の持続で先高観は根強く、年内に 105 円まで上昇するとの見方も出ている。

早朝のマーケットでは、日経平均株価の上昇を見込んで一段と円安が進行した。 ドル/円は 102.28 円まで上伸して 5 月 29 日以来の高値、ユーロ/円は 138.83 円まで上昇して 2009 年 6 月以来の 139 円回復に迫った。 その後はドル/円に利益確定売りが流入して上値が重くなり、102 円ちょうど付近で一進一退となった。 日経平均の上げ幅は一時 200 円を超えたが、為替市場の参加者の予想を大きく上回るものではなかった。 月末に絡んで国内勢の売買がみられたが、商いは全体的に閑散だという。

もっとも、市場ではドル/円の先高観が強い。 大手邦銀の関係者は、株高が続き、11 月米雇用統計が市場予想より良好であれば年内に 105 円まで上昇する可能性があるとみている。 中国による防空識別圏設定に絡む情勢変化には注意する必要があるものの、この問題を除けばマーケットにとっての大きなリスク要因はなく、過剰流動性が潤沢ななかで円安/株高傾向は今後も続くと予想している。 (和田崇彦、Reuters = 11-28-13)


全国の市街地、7 割超で地価上昇 リーマン以来 6 年ぶり

記事コピー (asahi = 7-1-13 & 11-26-13)


企業の 9 割が「景気は拡大」 100 社アンケート

朝日新聞が実施した主要 100 社アンケート。 調査は年 2 回で、今回は 11 月 5 - 15 日、原則として経営トップに面談した。 経営者たちは、いまの景気をどう見ているのだろうか。 「景気はよくなっている」という感覚は、企業に広く浸透しているようだ。 いまの景況についてたずねたところ、「拡大」、「緩やかに拡大」は計 89 社。 前回調査(6 月)でも 78 社あったが、さらに 11 社増えた。 「後退」、「緩やかに後退」は、前回と同じゼロだ。

政権交代前の昨年 11 月の調査では、「緩やかに拡大」は 2 社だけ。 重苦しい空気だったが、1 年で状況は一変した。 JX ホールディングス (HD) の松下功夫社長は「景気の『気』は、気持ちの『気』。 アベノミクスで、マインドが短期間に変わった。」と話す。

死角は米中経済・国内消費・原料費

アンケートでは、景気の懸念材料も聞いている。 最も多かったのは「海外経済の先行き(56 社)」だ。 日本ガイシの加藤太郎社長は「うちの会社は海外への輸出で成り立っている。 原油、原材料価格の上昇や海外経済の先行きは影響が大きい」と話す。 旭化成の藤原健嗣社長も「日本経済は海外に負う所が大きく、外需の動向はよく見ておく必要がある。」 それでは、海外のどこが心配なのだろう。

回答が多かったのは米国と中国。 米国では政府機関の一時閉鎖を引き起こした財政問題がまだ解決には至らず、来年 1 月には暫定予算の期限、2 月には債務上限の引き上げの期限が迫る。 金融緩和の行方も気がかりだ。 中国は経済成長の鈍化に加え、政情不安も抱える。 「米国は債務上限、中国は過剰設備などの問題を抱え、懸念材料が残されている。(三井物産・飯島彰己社長)」 「中国経済の回復が当初の想定よりもだいぶ遅れている。(キヤノン・田中稔三副社長)」との声が上がる。

一方、欧州や新興国の見通しも必ずしも明るくない。 サントリー HD の下條泰利執行役員は「特に欧州の景気が気になる。」 「中国や東南アジア、インドの成長鈍化(三井住友 FG・宮田孝一社長)」が懸念材料との見方もある。

経済政策パッケージに高評価

アベノミクスの勢いがあればこそ、やるべきものがやれた - -。 主要 100 社のアンケートで、8% への消費増税は、企業重視の経済対策が打たれることで経営トップのほとんどが支持した。ただ、10% への増税は、景気の見極めが必要とする慎重派も多い。 先行きの明るさはまだ、確信には至っていないようだ。 安倍政権は 10 月、来春に 5% から 8% に消費税を引き上げることを表明。 あわせて 5 兆円規模の経済対策や減税などの「経済政策パッケージ」を打ち出した。 この対応に、経営トップは高い評価を与えた。

増税の判断は「評価できる」、「ある程度は評価できる」が計 88 社と、賛同が約 9 割を占めた。 理由の多くは「社会保障の安定や財政再建の道筋をつける第一歩(富士通・山本正已社長)」とするもの。 アルプス電気の栗山年弘社長は「人気取りにはならない政策。 アベノミクスで勢いがあるときだからこそ、やるべきものをやれた。」と政権の手腕をたたえた。

経済政策パッケージについても「評価できる」、「ある程度は評価できる」が計 86 社にのぼった。 設備投資減税など企業重視を色濃く打ち出したものだけに、「企業の成長を通じて経済を活性化させ、デフレ脱却を目指す政権の強い意向を反映したものだ(日産自動車・志賀俊之副会長)」と歓迎する声が多かった。

経済対策の検討項目とされる法人実効税率の引き下げについても、89 社が「実施するべきだ」とした。 清水建設の黒沢成吉副社長は「主要国と比べ高い法人実効税率を引き下げ、日本企業の競争力を強化する必要がある」と説明する。 一方、同じ検討項目でも、復興法人税の 1 年前倒し廃止については「復興は道半ば。 慎重に判断しなくてはいけない。(日本ハム・畑佳秀常務)」という声もあり、「実施するべきだ」はやや少ない 65 社となった。

ただ、経済対策に異論がないわけではない。 プレナスの塩井辰男社長は「税収がないといって増税するのに、5 兆円の税金を使う。 きちんと回収できるかを考えれば、やらないほうがいいのではないか。」と指摘する。 ミズノの水野明人社長も「具体的内容が良く見えない」とする。 企業減税についても「大企業はともかく、町工場や喫茶店などスモールビジネスの相続が大変な状況。 設備投資よりも、相続税の軽減の方が先だ。(DMG 森精機・森雅彦社長)」との声もあった。

経営トップの増税判断に対する評価

「増税は先送りできない。 日本が国際社会で認めてもらうためには、赤字国債を発行し続けるわけにはいかない。(京セラ・山口悟郎社長)」 「中小企業は大部分が法人税を払っておらず投資減税、法人減税の利益が無い。 ただ今回は投資の際の償却など、手を打っている印象だ。(コマツ・大橋徹二社長)」 「財政健全化は景気上昇期待感がある今のタイミング。(安川電機・津田純嗣会長兼社長)」

「従業員に還元」増加、ベアは慎重

【清井聡、大畑滋生】 利益を従業員に還元することに積極的な企業が増えている。 ただ、多くはボーナスなど一時金を増やす考え。 安倍政権が期待するベースアップ(ベア)の検討を明言したのはわずか 4 社だった。

景気回復を受け、企業の利益は増えている。 2013 年 9 月中間決算でも東証 1 部上場企業の純利益は前年同期比の 2.1 倍。 企業はこの利益をどこに振り分けようとしているのか、9 項目から重視するものを三つまで、優先順位つきで選んでもらった。 回答が最多だったのは「設備投資(53 社)」。 これとほぼ並び、「従業員への還元(52 社)」がきた。 「株主への還元」、「研究開発」が続いた。

これとほぼ同じ質問をした、政府の今年 1 - 3 月の「法人企業景気予測調査」。 ここでは、大企業の回答で「内部留保」が 6 割超を占めて 9 項目中トップ。 設備投資は 2 番目だったが、従業員への還元は 6 番目と下位に沈んでいた。

直接の比較はできないが、今回は内部留保を選んだのは 11 社だけ。 「まずは会社の命運を握る従業員に報いて、次に株主(鹿島・中村満義社長)」との意見も出るなど、企業の意識が将来のリスクへの備えから、政権が求める景気の好循環をつくるための賃上げに変わってきた様子がうかがえる。 ただ、賃上げへの態度を聞いた質問に「ベアを検討する」と答えたのは 4 社のみ。 最多の回答は「その他」で、主には業績連動の仕組みで自動的に一時金があがるとするもの。 「一時金を上げることを検討する」も 12 社あった。

政権は後で減るかもしれない一時金だけでなく、賃金体系を底上げするベアを期待する。 労働組合の中央組織「連合」も来年の春闘でベアを求める方針だが、そのハードルは高い。

東レの日覚昭広社長は「現実は甘くなく、企業はコストを下げないと勝てない。 ベアをすれば後から雇用調整を迫られることになりかねない。」 また旭化成の藤原健嗣社長は「ベアは労使で交渉するもの。政権が要請するのは筋違い」、明治ホールディングス (HD) の浅野茂太郎社長も「一時金は業績連動の比率が 4 割以上ある。 冬のボーナスは決まっているが、来年の春闘では業績が良ければ当然上がる。 ベースアップは考えていない。」と指摘した。 (asahi = 11-24-13)


景気判断据え置き、企業物価「当面上昇幅縮小」 = 11 月日銀月報

[東京] 日銀は 22 日、11 月の金融経済月報を公表し、景気の現状について「緩やかに回復している」とし、これまでの判断を据え置いた。 企業物価については、商品市況を反映し当面、上昇幅が縮小するとの見通しを示した。 物価の動向を見る上で注目される賃金について新たな図表を掲載し、基本給などの所定内給与がパート比率の増加で下押しされる傾向をわかりやすく示した。

景気の現状や先行きについて、前回 10 月から変更された文言はわずかだ。 海外経済は全体として「緩やかに持ち直している」とし、10 月の「徐々に」から表現を半歩進めた。 国内企業物価の先行きについては、10 月は「緩やかな上昇を続ける」としていた。 表現を弱めたのは、原油価格の反落や穀物の豊作予測などで国際商品市況が上昇一服となり、横ばい圏内の動きとなっているため。 一方、消費者物価の上昇幅については「プラス幅を次第に拡大していく」との前回表現を据え置いた。

所定内給与についてはこれまで同様、「パート比率のすう勢的な上昇が押し下げ要因として働いている」と表現した。 ただ、パート比率がこれまでよりも拡大傾向にある現状などを踏まえ、所定内給与の要因分解など賃金の動向についてグラフで図示したページを新たに掲載した。

金融環境については「マネーストックの前年比が 4% 程度の伸びとなっている」と指摘、「ターム物金利は横ばい圏内の動き」、「株価は上昇している一方、円の対ドル相場は下落している」、「長期金利は前月概ね同じ水準」などとした。(竹本能文、Reuters = 11-22-13)

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日銀、14 年度の経済見通しを上方修正

日本銀行は 31 日、2013 - 15 年度の経済見通しをまとめた「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」を公表し、これまで 1.3% としていた 14 年度の経済見通しを 1.5% に引き上げた。 物価上昇率は、「2%」の目標を 15 年度中に達成するとの見通しを維持した。 (asahi = 10-31-13)

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日銀、全 9 地域で景気判断引き上げ

日本銀行が 21 日発表した、全国各地の景気の現状をまとめた 10 月の「地域経済報告(さくらリポート)」は、全 9 地域が景気判断を上方修正した。 すべての地域が景気判断を引き上げるのは、今年 4 月以来、2 期(6 カ月)ぶり。 9 地域のうち 8 地域が「回復」という文言を盛り込んだ。 公共投資や個人消費といった内需が堅調で、景気回復の動きが地方にも広がりつつあるという。 (asahi = 10-21-13)

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大企業製造業の景況感、リーマン前水準を回復=日銀短観

[東京] 日銀が 1 日発表した 9 月全国企業短期経済観測調査(短観)では、大企業製造業の景況感が 2008 年 9 月のリーマンショック前の水準を回復し、内需好調や円安を背景に大きく改善した。 企業の価格転嫁も進み、非製造業では販売価格判断が上昇超過に転じるなどデフレ脱却への動きもうかがえる。

ただ、海外需要は改善が止まり、輸出企業の収益改善は円安による採算改善が主に寄与しているとみられる。 先行きの景況感も横ばいとなり、増税前の駆け込み需要が予想される割に企業は慎重だ。 設備投資は計画自体はしっかりしているものの、実施が遅れていることが課題となりそうだ。

市場予想大きく上回る改善、予想に反し先行きに慎重さ

大企業の業況判断 DI の改善は、製造業・非製造業ともに 3 四半期連続。 特に製造業はプラス 12 と前回 6 月調査から 8 ポイントの改善。 民間調査機関を対象にしたロイターの事前調査ではプラス 7 が見込まれていたが、結果は予測を大きく上回った。 水準は 2007 年 12 月調査のプラス 19 以来の高さで、リーマンショック後の水準では最高となり、リーマン前の水準に戻った。

大企業非製造業や中小企業の DI も改善しており、景気回復や円安進行などを背景とした企業マインド改善が続いていることが確認された。 非製造業 DI もプラス 14 となり、同 2 ポイント改善。 ロイターの事前調査と同水準となった。 すでに景況感は過去と比較しても高水準となっている。

中堅・中小企業を含めた全規模全産業ベースの DI はプラス 2 で、2007 年 12 月調査以来のプラス圏に浮上。 円安進行や堅調な内需などを背景に、自動車や電機機械など輸出関連や、建設、小売など幅広い業種で改善がみられ、全 28 業種中、大企業で 19 業種、中小企業で 20 業種が改善した。

一方、気になるのは先行き改善幅が小幅にとどまった点だ。 事前予想では 12 月にかけて一層の改善が見込まれていたが、大企業製造業はプラス 11 と 7 四半期ぶりの悪化が予想されている。 非製造業も横ばい。 本来であれば、12 月にかけて増税前の駆け込み需要で内需が盛り上がると予想され、海外経済も持ち直しが見通されているにもかかわらず、企業はさほど楽観ししていない。 輸出売上げ見通しがさほど伸びていないことや、公共工事の下期はく落などが背景と見られる。

上期大幅増益も下期に弱気、設備投資は実行に焦点移る

13 年度の売上・収益計画は、全規模全産業ベースでも増収・増益が見込まれている。 このうち大企業全産業の 13 年度の売り上げ計画は前年比 3.9% 増、経常利益計画は同 13.9% 増と、それぞれ上方修正されている。 上期の増益拡大が主な要因。 他方で、下期について企業は慎重に見ている。 特に輸出売上高の上方修正幅は 0.4% 増と、国内売上高見通しの 1.1% 増を下回る。

背景にはアジア向け輸出の停滞など、これまで改善してきた外需の需給判断が前回の 5 ポイント改善からは横ばいにとどまった影響もありそうだ。 それでも為替の下期前提レートが 94 円台と前回から 3 円の円安修正となり、輸出企業の増益幅が拡大した。 足元の為替レートは 98 円台で推移しており、このまま推移すれば増益余地がありそうだ。

13 年度の設備投資計画は、大企業全産業で前年度比 5.1% 増、前回調査から 0.3% の下方修正となったが、これは 9 月短観の季節パターン通り。 中小企業は全産業で 8% のしっかりとした上方修正となった。 問題は、投資計画通りに実績がついてくるかどうかだ。 実績を確認できる法人企業統計では、4 - 6 月の設備投資が全体で前年比 0.01% 増と 3 四半期ぶりプラスとなったものの、投資計画に比較するとわずかな拡大にとどまっている。

市場に「意外感」、安部首相の消費増税判断を促す

9 月短観で大企業製造業の DI が予想を上回る改善を示したことを受け、1 日の東京市場は、日経平均が前日比 200 円を超えて上昇するなど短観結果を素直に好感する動き。 外為市場も円安方向の動きとなっている。 市場では、短観について「意外感があった(三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券・シニア債券ストラテジストの戸内修自氏)」との指摘が多い。 もっとも販売価格判断 DI が小幅の上昇になったことなどから「デフレ脱却に向けた歩みは相変わらずゆっくりとの印象だ(同)」との声も出ている。

安部晋三首相は 9 月短観を踏まえ、今夕にも来年 4 月の消費税率引き上げを決断する見通し。 市場では短観を踏まえて「アベノミクスが政策面で最も配慮する大企業が予想以上に改善したことで、短観は消費増税を促す結果になった(東海東京証券・チーフエコノミストの斎藤満氏)」とみられている。 (伊藤純夫、竹本能文、中川泉、編集 : 田巻一彦、Reuters = 10-1-13)