電圧 2 万ボルトに耐える半導体、京大開発 節電に効果 京都大は世界最高の 2 万ボルトを超える電圧に耐える半導体をつくった。 電圧を下げる際などにエネルギーの損失を少なくでき、全国の高電圧設備に使うだけで、原発 1、2 基分の電力節約になるという。 ベルギーの国際会議で 7 日発表する。 材料に用いた炭化ケイ素は、半導体で現在主流のケイ素(シリコン)に比べ、電気抵抗が小さく熱になって失われる無駄が小さい。 電圧にも強いが、炭化ケイ素でも 1 万ボルト程度がこれまでの限界だった。 京都大の木本恒暢教授(半導体工学)らは、炭化ケイ素が理論上は 2 万ボルト以上に耐えられるのに、端の方で部分的に電圧が高くなるなどの理由で壊れることに着目。 高電圧が端に集中しないよう散らすなどの工夫で、2 万 1,700 ボルトまで耐えられるようにした。 電圧を下げたり、交流を直流にしたり、東日本と西日本で周波数を変えたりするときに、1 割の電力が失われているが、装置をケイ素から炭化ケイ素に置き換えれば、損失を 10 分の 1 程度に減らせる。 また、電柱の送電線の電圧を家庭用の 100 ボルトまで下げる装置は 2 万ボルト程度に耐える必要があるが、ケイ素では現在、4 段階程度に分けて下げている。 今回の半導体を使えば、これを一度にでき、高電圧の変圧設備を大幅に小型化、省エネ化できる。 これらの電力損失低減効果を合わせると国内だけで原発 1、2 基分になるという。 (鍛治信太郎、asahi = 6-7-12) 北極の「日傘」雲、10 年で 3 割減少 温暖化が影響 地球温暖化による影響で海氷や氷河が縮小している北極海で、海氷が減った結果、「日傘」の役目を持つ低い雲の割合がここ 10 年ほどで約 3 割減っていることが、海洋研究開発機構の調査でわかった。 低い雲が減ることで、さらに海氷が解けやすくなっているとみられる。 温暖化による雲の変化が確認されたのは初めてで、周辺気候の解明につなげたいという。 米国地球物理学連合の学会誌に掲載された。 海洋機構寒冷圏気候研究チームリーダーの猪上淳氏らは、1999 - 10 年の秋から夏にかけて 8 回行った航海で雲の分布を調査した。 98 年の米国の調査では、雲の約 90% が高さ約 500 メートルに集中していたが、調査の結果、500 メートルの雲は約 60% と約 3 割減り、98 年は 5% 以下だった高さ 1 キロの雲の割合は約 20% に増え、雲が高くなっていることが確認された。 雲の全体の量も減っていたという。 (asahi = 6-4-12) 風力発電か野鳥保護か 北海道、衝突相次ぎ議論に 風力発電所新設の是非について、北海道根室市で議論が起こっている。 建設が計画される大規模な風力発電所に対し、日本野鳥の会(東京)が「オジロワシなど絶滅が心配される野鳥への悪影響が懸念される」と待ったをかけたからだ。 人口減で税収不足に悩む一方で、野鳥観光にも力を入れる市のジレンマものぞく。 海に突き出した地形の根室市は高い山もなく、冬は猛烈な風が吹き抜ける。 この風を利用して、すでに 5 カ所で計 10 基の風力発電が稼働中だ。 一方、オジロワシやオオワシ、タンチョウなど絶滅危惧種を含む多くの鳥が飛来し、全国から観光客が訪れる野鳥観察の適地でもある。 電源開発(J パワー、東京)の計画では、太平洋に面した「フレシマ」と呼ばれる地域に最大で 15 基の風車を新設する。 出力は 3 万 4,500 キロワットで、道内の風力発電で 2 番目の規模に相当する。 (asahi = 5-31-12) 温室ガス、20 年は 6 - 12% 減どまり 5 シナリオ公表 東京電力福島第一原発事故後の温暖化対策を検討している環境省中央環境審議会の小委員会は 28 日、2030 年の温暖化対策の選択肢となる五つの原案(事務局案)を初めて示した。 30 年に想定する原発比率 0 - 35% の五つの場合ごとに、再生エネルギー導入や省エネの取り組みの度合いに応じて、温室効果ガス排出を 90 年比 20 - 27% 削減する、としている。 事務局が示した原案は、(1) 事故前に 26% (10 年)あった原発比率を 30 年に 0% とし、省エネや再生エネ導入に最大限まで取り組み(高位)、温室効果ガス排出を 90 年比 25% 減らす、(2) 稼働 40 年で廃炉を想定した原発比率 15% で、省エネ・再生エネ導入に従来以上に取り組む(中位)前提で、温室効果ガス 25% 減、(3) 原発比率を 20% で一定程度維持し、省エネ・再生エネの取り組みは中位で、温室効果ガスを最大 27% 減、(4) 原発 25% とする代わり、省エネ・再生エネは現状の努力水準を維持(低位)し、20% 減、(5) 原発比率を 35% に増やし、省エネ・再生エネは低位で 24% 減、の五つのシナリオ。 各シナリオに対応する 2020 年の温室効果ガス削減率は、90 年比で、(1) が 11%、(2) は 11%、(3) は 12%、(4) は 6%、(5) は 9% となり、日本が掲げる 25% 削減の目標達成は困難になった。 海外で削減した排出量クレジットをどれくらい購入するかなどが今後の焦点になりそうだ。 原案は今後、小委員会などでの議論を経て 6 月上旬に最終案を取りまとめ、新しいエネルギー政策を検討する政府のエネルギー・環境会議に提案する。 (小林哲、asahi = 5-28-12) ◇ ◇ ◇ 温室ガス削減「25%」に黄信号 原発停止で環境審試算 東京電力福島第一原発事故後の地球温暖化対策を検討している環境省中央環境審議会の小委員会は 23 日、電力に占める原発の割合ごとに、2020 年の温室効果ガス削減率の試算を公表した。 原発ゼロを前提とした場合、省エネと自然エネルギー導入に最大限取り組んでも、企業や家庭などの国内削減率は 1990 年と比べて 9 - 11%、原発 35% でも 16 - 19% にとどまった。 日本が目標に掲げる「20 年に 90 年比 25% 削減」の達成が厳しい状況が試算で示された。 「25% 削減」目標は、原発 9 基の増設を前提にしている。 今回の試算には、森林の二酸化炭素吸収量(現状 3.8%)や、海外から削減分を購入する排出量クレジットは含まれないが、温暖化対策や目標の見直しを政府が迫られる可能性が高まった。 将来の電力における原発割合を検討している経済産業省の委員会は現時点で、20 年の原発割合の選択肢を示していない。 そのため今回は、原発「0%」、「15%」、「20%」、「25%」、「35%」の五つの案をもとに暫定的に試算。 省エネなどに取り組む度合いを「高位」、「中位」、「低位」の 3 段階にわけ、経済成長シナリオを「慎重」と「成長」の二つに仮定し、国立環境研究所のプロジェクトチームが試算にあたった。 (asahi = 5-23-12) ラムサール条約に渡良瀬・大沼など 9 湿地 新たに登録へ 水鳥などの生息地として国際的に重要な湿地の保全を目的とするラムサール条約に、新たに国内 9 カ所が登録される見通しとなった。 7 月にルーマニアで開かれる条約の締約国会議にあわせ登録される。 環境省が 10 日、中央環境審議会野生生物部会に報告した。 新たに登録されるのは、大沼(北海道)、渡良瀬遊水地(茨城、栃木、群馬、埼玉)、立山弥陀ケ原・大日平(富山)、中池見湿地(福井)、東海丘陵湧水湿地群(愛知)、円山川下流域・周辺水田(兵庫)、宮島(広島)、荒尾干潟(熊本)、与那覇湾(沖縄)。 このうち、栃木など 4 県にまたがる渡良瀬遊水地はヨシが群生する本州最大級の湿地が広がる。 兵庫県豊岡市の円山川下流域・周辺水田は、絶滅危惧種のコウノトリの生息地となっているほか、ヒメシロアサザなど貴重な植物も生育している。 熊本県荒尾市の荒尾干潟は、絶滅危惧種のクロツラヘラサギやツクシガモなどの渡り鳥の中継地や越冬地となっているほか、貝類など多様な生物が生息している。 (asahi = 5-10-12) 大和ハウス工業、エコ型店舗の実証実験 名古屋市で 大和ハウス工業は 8 日、太陽光など自然エネルギーを活用した環境配慮型店舗の実証実験を名古屋市のドラッグストアで 11 日から始めると発表した。 従来店舗に比べ最大で約 4 割の省エネ効果が見込めるという。 エネルギーの使用状況を監視・表示するシステムを搭載。 今後、実証実験で効果を検証した技術を家電量販店などにも採用する。 太陽光を店内の照明の代わりに利用する工夫をしたほか、発光ダイオード (LED) 照明も導入。 屋上には 10 キロワットの太陽光発電システムも導入し、二酸化炭素 (CO2) 排出量も同程度削減できるという。 (nikkei = 5-8-12) ホンダが低炭素住宅実験 CO2 を 8 割減 ホンダは 23 日、自社製の太陽光発電パネルや蓄電池などを組み合わせて、家庭からの二酸化炭素 (CO2) 排出量を減らす次世代住宅の実証実験をさいたま市内で始めた。 2015 年の市販を目指す。 CO2実証実験用の住宅 2 棟を同市内に建設。 太陽光発電装置のほか、都市ガスでエンジンを動かして電気と温水をつくり出す装置、リチウムイオン蓄電池などを備える。 省エネ家電と組み合わせると、家庭からの CO2 排出量を 00 年に比べて 8 割減らせるという。 災害で電気やガスの供給が途絶える事態を想定し、家庭用に電気自動車や燃料電池車から電気を取り出す実験も行い、住宅の電源としても使える車載用電池の開発に役立てる。 (asahi = 4-23-12)◇ ◇ ◇ スマートハウス普及へ官民研究会 機器の規格統一議論 省エネルギー機能を高めた次世代型住宅「スマートハウス」を増やすため、官民合同の研究会が 7 日始まった。 いまはスマートハウスに置く関連機器の規格がばらばらなので、これを統一し、企業が開発しやすくしたり消費者が比べやすくしたりする。 研究会は「スマートハウス標準化検討会」。 電力会社や住宅メーカー、電機メーカーなど約 20 社が加わり、経済産業省が事務局を務める。 スマートハウスでは、太陽光などで発電した電気を蓄電池にためて使える。 さらに発電量や電気の消費量が一目でわかり、節電できる工夫がされている。 (asahi = 11-7-11) 太陽光電力購入、42 円軸に 1KW 時、経産省調整 7 月から始まる自然エネルギーの固定価格買い取り制度で、住宅用と業務用の太陽光発電は 1 キロワット時あたり 42 円での買い取りを軸に調整していることが 23 日わかった。 発電事業者側の希望におおむね沿う水準で、経済産業省の「調達価格等算定委員会」が 25 日にも案を示す予定だ。 買い取り価格は太陽光、風力、地熱、中小型の水力、木材などを使ったバイオマスの計 5 種類で決める。 それぞれの発電にかかる費用と適正なもうけをもとに決めるため、同じ種類の発電方法でも規模別に価格を計算する。 7 月に施行される再生可能エネルギー特別措置法により、電力会社は定められた価格で一定期間、全量買い取ることが義務付けられる。 太陽光では、業界団体の太陽光発電協会が委員会の意見聴取に対し、42 円が適切とする希望を出していた。 一方で、太陽光のパネル価格は今後急速に下がる可能性があり、もう少し低い価格が適正だとの指摘もある。 (asahi = 4-23-12) 自然エネ比率、30 年代に 4 割を 民主作業チーム提言 電力に占める自然エネルギーの割合を、今の 1 割から 2030 年代初めに 4 割へ高めることを政府に求める提言案を、民主党の作業チームがまとめた。 目標達成のため、自然エネが豊かな東北をモデル地域に選び、地熱や風力発電の優遇策を設けることも求める。 今月中にチームとしての案を正式に決める。 提言案は、自然エネの目標について 20 年代初めに 2 割以上、30 年代初めに 4 割とした。 この割合は、政府が今夏に新しいエネルギー基本計画をつくるため設けた経済産業省の審議会でも話し合われている。 審議会では、30 年時点の自然エネ比率を 25%、30%、35% とする 3 案が出ており、民主党案は最も高い数字に近い。 東北での普及策では、補助金や特区の設定に加え、研究機関や自然エネの体験学習施設を設け、「数万人の雇用を新たに生み出し、東北の復興につなげるべきだ」と訴えている。 (asahi = 4-14-12) ◇ ◇ ◇ 風力 30 倍必要 … 自然エネの割合 35% なら 経産省試算 2030 年にどの程度の自然エネルギーの発電が必要になるかを経済産業省が試算し、11 日の「総合資源エネルギー調査会基本問題委員会」で示した。 30 年時点で発電量の 35% を自然エネでまかなうと考えた場合、風力発電の比率はいまの 30 倍必要としている。 委員会は今夏をめどに策定する「エネルギー基本計画」で、今後の自然エネや火力などの発電の比率を決める。 自然エネの比率は 35%、30%、25% の 3 通りの案がある。 それぞれの比率を達成するには、風力や太陽光の設備がどのくらい必要かをはじいた。 自然エネのなかで大きく伸ばす余地がある風力発電は現在、発電量の 0.4% を担っている。 自然エネ比率を 35% とみた場合、風力の発電量は今の 30 倍の 12% に高める必要がある。 30% だと今の 18 倍、25% だと今の 8 倍と試算された。 また、太陽光発電は 3 通りの案すべてで、今の 0.3% を 20 倍の6%にする必要があるとはじいた。 今は約 90 万戸の住宅の屋根に設置されているが、約 1 千万戸につける計算になる。 (asahi = 4-12-12) 風力発電 40 基増設へ 三重・青山高原 計 91 基に 三重県は 10 日、県内の津市と伊賀市にまたがる青山高原に風力発電施設を増設する計画を、自然公園法に基づく特例として許可した。 両市と中部電力の子会社シーテック(名古屋市)が出資する第三セクター「青山高原ウインドファーム(津市)」に風車 40 基が増設される。 青山高原にはウインドファームや津市の風車が 51 基あり、増設されれば計 91 基となる。 県によると、増設分 40 基の最大出力は約 8 万キロワットにのぼる。 一般家庭の約 5 万 5 千世帯分の電力を賄える計算で、担当者は「同一地域で一度にこれほどの増設許可が出るのは、国内では最大規模ではないか」としている。 計画では、青山高原の国定公園内に 22 基、国定公園外に 18 基の計 40 基を 2017 年 3 月末までに増設する。 森林法に基づく保安林の解除を農林水産大臣が許可した後、今年 7 月にも着工される見込み。 (asahi = 4-11-12) 地熱発電応援 NPO、手弁当で旗揚げ 前地熱学会長 九州大を 3 月末に定年退職した前日本地熱学会長の江原幸雄・九州大名誉教授 (64) が、地熱発電の普及を後押しする NPO を手弁当で立ち上げた。 日本は世界 3 位の地熱資源国なのに、発電量に占める割合は 1% に満たない。 「資源があるのに使われないのは、専門家の責任。」 そんな思いが頭を離れず、大学や企業への再就職の誘いを全て断って、市民向けの情報発信に専念する道を選んだ。 この NPO は「地熱情報研究所」。 研究者や技術者の有志を募り、地熱発電の意義やしくみを社会に広く知らせるネットワーク組織に育てる構想だ。 まずは解説サイトの作成や講演、出前授業などに取り組む。 地熱開発業界と一線を画すため、費用は全額自分の退職金や貯金をあて、退職後に転居した埼玉県狭山市の実家を拠点にする。 事務局長は元日本地熱学会長の野田徹郎・産業技術総合研究所顧問 (67) が引き受けた。 (asahi = 4-10-12) ◇ ◇ ◇ 福島で国内最大の地熱発電所開発へ 出光興産など 9 社 出光興産など 9 社は、福島県の磐梯朝日国立公園内に国内最大の地熱発電所をつくることを決めた。 発電量は最大で原発 1 基の約 4 分の 1 にあたる 27 万キロワット規模をめざす。 今年度から開発し、2020 年代初めに運転を始める。 地熱発電所は国内では 1999 年に東京・八丈島にできたのを最後につくられていない。 政府が原発を推進し、地熱支援に力を入れてこなかったためだ。 しかし、東京電力福島第一原発の事故を受け、政府は自然エネルギーの地熱発電を増やす方針に転じており、福島県を皮切りに開発の動きが広がるとみられる。 開発の予定地は福島市、郡山市、猪苗代町など 6 市町村にまたがる。 活火山の東吾妻山、安達太良山、磐梯山があり、周辺には温泉地もたくさんある。 このため、国内最大の約 27 万キロワットの地熱資源があると推定されている。 出光のほか、三菱商事や住友商事、石油資源開発、三井石油開発などが事業に参加する。 投資額は未定だが、数百億円になるとみられる。 経済産業省は今年度予算案で地熱発電の調査・開発向けに約90億円の補助を盛り込んでおり、9 社の開発も支援する見通しだ。 (asahi = 4-3-12) ◇ ◇ ◇ 環境省、地熱発電を後押し 設置の規制緩和へ 環境省は、国立公園内での地熱発電所の設置を限定してきた規制を見直し、一定の条件を満たせば開発を認める方針を固めた。 14 日にあった専門家による検討会で方針案が了承された。 脱原発依存を支える柱の一つと期待される地熱開発を後押しする。 方針案によると、国立・国定公園のなかでも、環境保全が特に必要な第 1 種特別地域などでの開発は引き続き認めない。 ただしそれ以外の区域では、地域外から地下に掘り進む「斜め掘り」など、景観や生態系保護に配慮した技術を使うことを条件に、地熱資源利用を認める。 地元での電力消費に充てる小規模地熱についても、公園内での開発を進めていく。 日本は火山が多く、世界有数の地熱資源がある。 だが、候補地の約 8 割が国立公園内に集中する。 発電施設が景観を損ねたり、熱水を取り出す井戸の掘削が環境に悪影響を及ぼしたりする恐れがある。 1974 年に出された国の通知では、国内 6 カ所以外の開発を原則として規制してきた。 その後一定の緩和があったが、国内の地熱発電はなお 18 カ所にとどまる。 そのため稼働中の地熱発電は原発半基分の計約 54 万キロワットにすぎず、開発業者などから規制緩和を求める声が高まっていた。 (asahi = 2-14-12) ◇ ◇ ◇ 地熱発電の開発支援 経産省、出資や債務保証へ法改正 経済産業省は、地熱発電の開発を促すため、独立行政法人「石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC、旧石油公団)」が、開発会社に資金支援することを決めた。 火山列島の日本は、世界 3 位の地熱資源国。 経産省は「脱原発依存」の観点からも、地熱の開発に力を入れている。 地熱の開発は、熱水が出る場所まで井戸を掘る。 ただ、多くの穴を掘る必要があり、投資しても失敗するリスクが高い。 このため、石油・天然ガスの開発と同じように、JOGMEC が開発の準備段階の会社に出資したり、開発資金を借りる際に債務保証したりできるよう、石油天然ガス・金属鉱物資源機構法を改正する。 経産省は、改正法案を今通常国会に提出する方針だ。 (asahi = 1-18-12) ◇ ◇ ◇ 別府で小型地熱発電の実験開始へ 地元企業 4 社 日本一の源泉数を誇る大分県別府市で、温泉の蒸気と熱水でタービンを回して発電する「小型地熱発電機」の実験を、発電機メーカー「ターボブレード(大分市)」など県内の中小企業 4 社が 4 月から始める。 既存の温泉施設の配管を活用するため、大規模な地熱発電所のように温泉の井戸を掘削する必要はなく、低コストの自然エネルギーとして注目を集めそうだ。 実験は、別府市内の一般家庭に温泉水を供給している温泉販売会社の給湯施設の配管に、小型発電機の試作機を接続。 配管から取り込んだ蒸気と 100 度近い熱水で二つの小型タービンを高速回転させて発電する仕組み。 (kyodo = 1-15-12) この 10 年、最も暑かった 1850 年以降の世界平均 世界気象機関 (WMO) は 23 日、2001 - 10 年の 10 年間の世界平均気温が 14.46 度で、記録のある 1850 年以降で最も暑い 10 年だったと発表した。 声明で「気候変動は今起こっており、遠い将来の脅威なのではない」と警告している。 世界の陸と海面の温度を平均すると、この 10 年間のうち 9 年は、過去最も暑かった 2010 年を筆頭に暑い年のトップ 10 に入った。 長期の傾向でみると、特に 1971 年以降の 40 年間の上昇が激しく、10 年ごとに 0.166 度上がった計算になる。 1881 年以降の 130 年間では、平均で 10 年ごとに 0.06 度の上昇なので、近年になって地球温暖化が加速したことになる。 2011 年は海面温度が低くなる「ラニーニャ現象」が起こった年だったにもかかわらず、14.40 度(暫定値)で過去 11 番目の高さ。 ラニーニャ現象の年としては過去最高だった。 (ジュネーブ = 前川浩之、asahi = 3-24-12) 関門海峡の潮流パワーで電力を 海底に発電実験機を設置 関門海峡の速い潮の流れを活用して発電する潮流発電の実験機が 17 日、北九州市門司区の海底に設置された。 市などが発電能力を調べ、実用可能性を探る。 実験機の高さは約 7 メートル。 海中の水車が潮流を受けて回転し、海上の発電機で発電する。 1 日平均で一般家庭が使う半分程度の電気を生み出すと見込む。 今月中に稼働を始め、近くの赤れんが倉庫のライトアップにも使われる予定だ。 自然エネルギーに注目が集まる中、先進的な実験が未来を照らすか。 (asahi = 3-19-12) 水素燃料、より安全に 日米チームが新技術 クリーンなエネルギー源として注目されているが、爆発性などで扱いにくい水素の貯蔵・運搬を容易にする技術を、産業技術総合研究所など日米の共同研究チームが開発した。 新しい触媒で水素を液体の「燃料」にし、石油と同じように扱えるようにする。 18 日付専門誌ネイチャー・ケミストリー(電子版)に発表された論文によると、チームは金属の一つ、イリジウムを含む触媒を開発。 この触媒を使うと、水素と二酸化炭素から「ギ酸」と呼ばれる物質を、常温に近い条件で比較的簡単に作れることを確かめた。 ギ酸は蟻(あり)や蜂などに含まれる液体。 気体の水素にある爆発性などがなく、タンクでの貯蔵や、タンクローリーやパイプラインといった既存のインフラでの運搬は容易だ。 目的地まで運んだあと、同じ触媒を条件を変えて使うと逆に水素を取り出せ、燃料電池やエコカーなどで利用できる。 (asahi = 3-19-12) 風力発電、5 年で原発を逆転? 海外で増加、国内は低迷 世界の風力発電の総出力は昨年末で約 2 億 3,800 万キロワットに上り、10 年間で 10 倍になったことが分かった。 横ばい状態の原発とは対照的で、今の伸びが続けば、5 年以内に逆転しそうな勢いだ。 世界風力エネルギー協会によると、世界全体でこの 1 年間に約 21%、4,100 万キロワット増えた。 10 年に米独を抜いてトップに立った中国がさらに大幅に増やして約 6,300 万キロワットに達した。 深刻な経済危機に見舞われた欧州も独英で各 100 万キロワット以上導入されるなど、欧州全体で前年より約 12% 伸びた。 世界の風力発電は 2001 年末時点では 2,390 万キロワットに過ぎなかったが、08 年には約 5 倍に増え、それから 3 年でさらに倍増した。 一方、11 年末の日本の総出力は、中国がこの 1 年に導入した量の約 7 分の 1 の約 250 万キロワット。 前年比 7% の伸びにとどまった。 (asahi = 2-21-12) 「卒原発」まず農村で 滋賀県がスマートビレッジ構想 滋賀県が 9 日発表した 2012 年度当初予算案に、農村地域で太陽光発電などの利用促進を図る「スマートビレッジ」構想実現に向けた調査費などが計上された。 嘉田由紀子知事が掲げる「卒原発」を具体化させる事業と位置づけ、エネルギーの地産地消を目指す。 スマートビレッジは、耕作放棄地に太陽光パネルを設置して発電したり、農業用水路で水車と連動した小水力発電をしたりしながら、地域にある集会所や防犯灯などの電気の自給自足を進めるもの。 予算案では、県内全域の水路やため池に太陽光パネルや水車が設置できるかや、どの施設で利用できるかを探るため、調査費約 1,800 万円を計上した。 (asahi = 2-10-12) 10 億円した「ごみ発電所」 1 万円で持ってって 鹿児島県いちき串木野市は 1 日、約 10 億円で建設したごみ発電施設「市来一般廃棄物利用エネルギーセンター(停止中)」の建物や設備などを最低売却価格 1 万円で売り出した。 20 日まで入札者を募っている。 合併前の旧市来町が 2004 年に国の補助金を受けて建設した。 一般ごみと食肉加工場の肉骨粉を混ぜたものを蒸し焼きにして発生したガスを使って発電し、余剰電力を九州電力に売電する計画だった。 だが、ガスに混ざる不純物が原因でほとんど発電できず、会計検査院から「施設の審査が不十分で、計画通りに稼働していない」との指摘を受け、08 年 12 月から稼働停止している。 (asahi = 2-2-12) 小型家電 96 品目リサイクル レアメタル回収 環境省案 環境省の中央環境審議会小委員会は 30 日、使用済みの小型家電を集め、レアメタルや貴金属などの有用金属を回収する新たなリサイクル制度案をまとめた。 対象として携帯電話やデジタルカメラなど 96 品目を盛り込んだ。 31 日に細野豪志環境相に答申する。 環境省は今国会に法案を提出、2014 年 4 月の導入を目指す。 制度案によると、市町村は、庁舎や駅などに専用の回収ボックスを置くなどの方法で小型家電を回収する。 スーパーなどの小売店にも協力を要請する。 消費者の費用負担はない。 集まった小型家電は国の認定を受けたリサイクル業者が回収。 分解後、レアメタルを取り出し、販売する。 自治体や業者の参加は任意だ。 ただし特に有用な金属の含有度が高いデジカメや携帯用ゲーム機など 16 品目については特定品目に指定し、全国規模の回収を促す方針という。 (asahi = 1-30-12) 環境基本法、放射能汚染も対象に 改正案提出へ 東京電力福島第一原発事故の後、大気や土壌、川などの放射能汚染に対処する法的根拠がなかった反省をふまえ、環境省は、将来の原発事故に備える法整備へ動き出す。 その第一歩として、環境基本法から、放射性物質を対象外としている条文を削除する。 次の通常国会に改正案を提出する方針だ。 環境基本法は、放射性物質による汚染防止策について「原子力基本法と関係法律による」と明記、除外している。 そのため、廃棄物処理法や大気汚染防止法、水質汚濁防止法などはいずれも、放射性物質を対象としていなかった。 一方、原子力基本法、原子炉等規制法は原則、原発そのものが対象だ。 住宅地や山林などの敷地外に放射性物質が広がる事態は想定していない。 そのため汚染土・廃棄物を規制したり、取り除いたりする法律根拠がなかった。 (asahi = 1-13-12) 高速道路、車内も大気汚染 外気導入モードで基準超す 高速道路を通行中、外気を取り入れるモードで車を運転していると、長いトンネルや渋滞、上り坂では、取り入れられた排ガスで車内の空気も環境基準よりかなり汚くなっていることがわかった。 東京大と交通安全環境研究所が 10 日発行の大気環境学会誌 1 月号に発表した。 同研究所の山田裕之主任研究員らは、昨年 4 - 7 月、二酸化窒素 (NO2) の計測器を車に載せて、東京都の調布インターチェンジ (IC) から静岡県御殿場 IC までを 5 往復して、車の内外の大気を調べた。 その結果、生活空間の大気環境基準(1 日平均値)である 0.06ppm をルート全域で上回り、外気を取り入れるモードだと、車内も外気と同程度だった。 渋滞や上り坂では、1 時間いても許容される濃度の目安の一つである 0.2ppm に近い値となり、長さ 10 キロ程度の交通量が多いトンネルでは 10 倍を超えた。 (asahi = 1-11-12) ヤマダ、エコな街づくり事業進出へ 5 千億円規模めざす 家電量販店のヤマダ電機は、地域全体で省エネに取り組むスマートシティー事業に乗り出す方針を明らかにした。 近い将来に、売上高で 5 千億円規模の事業に育てるのが目標だ。 山田昇会長が朝日新聞の取材に答えた。 ヤマダは昨年、住宅メーカー中堅のエス・バイ・エルを買収し、家電や太陽光パネル、蓄電池を、新築住宅とセットで売るスマートハウス事業に参入。 さらに広げて、街全体の電力を管理してエコな街づくりを進めるスマートシティーにも乗り出す。 スマートシティーには東芝など電機大手が相次いで参入している。 山田会長は「メーカーだと自社製品の使用に限られる。 我々なら消費者が自由に選べる強みがある。」と自信を見せる。 すでに電力管理システムの開発に向けて電機大手や IT 大手との話し合いに入っているという。 あわせて国内外で積極的に出店。 国内では、グループで計 3,306 店(昨年 11 月末現在)を持つ。 今後は、人口 20 万人以下の商圏を対象にした小型店を毎年、数百店規模で出す。 2013 年 3 月期以降は新事業とあわせ、売上高を毎年 2 千億円ずつ伸ばすことを目指す。 テレビ販売の不振などで、家電量販業界の売り上げは今期(11 年 4 月 - 12 年 3 月)、前期を下回る可能性も指摘されている。 (角田要、asahi = 1-7-12) 南米各地で洪水・干ばつ ラニーニャ影響か 南米各地で昨年後半から、大雨による洪水や干ばつなどの異常気象が続き、大きな被害が出ている。 AP 通信や地元メディアによると、ブラジル中部リオデジャネイロ州北部では 5 日、洪水のためダムが決壊し近くの町が水浸しになり、1 千家族以上が避難、ミナスジェライス州でも 3,400 戸の家屋が被害を受けた。 いずれの州でも死者が出ており、緊急事態宣言が出された。 隣国コロンビアでも大雨により過去 4 カ月で 182 人が死亡した。 チリ南部では干ばつによる森林火災が相次ぎ、消防士ら 7 人が死亡する事故も起きている。 ブラジル南部やアルゼンチンでは、トウモロコシなど農作物の収穫にも影響が出ている。 専門家は海面温度が下がるラニーニャの影響を指摘している。 (サンパウロ = 平山亜理、asahi = 1-7-12) 再生可能エネだけで自給自足、全国に 52 市町村 千葉大 地域の暮らしに必要なエネルギーを、太陽光や風力、地熱、ダムを造らない小水力発電などの再生可能エネルギーで 100% まかなえる自治体は全国に 52 市町村あることが、千葉大と NPO による昨年 3 月時点の統計データの分析でわかった。 全国での再生可能エネルギーの供給量は一昨年に比べて 4.2% 増だった。 千葉大大学院の倉阪秀史教授らが 28 日、公表した。 倉阪教授らは、エネルギー需要を再生可能エネルギーで全てまかなえる地域を「エネルギー永続地帯」と名付け、2006 年から全国の市区町村の状況を調べて公表している。 地域でのエネルギー需要に対する、地域にある発電所や家庭の太陽光発電などからのエネルギー供給の割合を計算した。 再生可能エネルギー自給率が最も高かったのは、国内最大の地熱発電所がある大分県九重町の 1,284.8% だった。 第 2 位は地熱発電所がある福島県柳津町の 923.6%、第 3 位は小水力発電所がある熊本県水上村の 834.9% だった。 都道府県別で自給率が最も高かったのは大分県で 25.8%、2 位は秋田県の 23.3%、3 位は富山県の 18.2%。 最低は東京都の 0.3% だった。 日本全体では 3.6% だった。 再生可能エネルギーの供給量は 30 万テラジュール(バイオマス熱利用を除く)。 エネルギーの種類では、太陽光発電は、家庭などで発電して余った分の買い取りを電力会社に義務づける制度が 09 年 11 月から始まり、供給量が 36% 増えた。 風力も約 16% 増えた。 一方、全体の 4 割を占める小水力発電は前年並みだった。 東日本大震災を機に、再生可能エネルギーに注目が集まるが、導入のスピードは速いとは言えない。 倉阪教授は「この伸び率では供給量が倍増するまで 16 年ほどかかる。 来年から再生可能エネルギーの買い取り制度が始まるが、十分な買い取り価格などを望みたい。」と話している。 (桑原紀彦、asahi = 12-30-11) 家電や EV、つないで節電 メーカー各社が統一規格合意 家電、自動車、住宅メーカーが、家庭の省エネルギーのために家電や電気自動車などをネットワークでつなぐ仕組みをつくる。 各機器のメーカーが違っても、太陽光発電など自然エネルギーの電力を効率よく配分したり、自動的に節電したりできるようにする。 これは「家庭用エネルギー管理システム (HEMS)」という仕組み。 エアコンや太陽光パネル、蓄電池、電気自動車を無線などでつなぎ、自然エネルギーによる電力を効率よく使う。 東芝やパナソニック、トヨタ自動車、積水ハウスといった家電、住宅、自動車など約 680 社が、HEMS と各機器の間で基本的なデータを送受信する方式を統一することで合意した。 来年夏から、この方式を使った家電などが順々に発売される見通しだ。 東芝やパナソニックなどが一部の省エネ家電でこのシステムを始めているが、接続方式がメーカーごとに違っていた。 このため、東芝の HEMS では東芝の家電しかつなげないという課題があった。 そこで、経済産業省が接続方式の統一を進める検討会をつくり、話し合ってきた。 統一した接続方式は広く公開する予定。 中小企業やベンチャー企業でも HEMS 関連の事業に参入しやすくなり、消費者の選択肢も広がりそうだ。 (福間大介、asahi = 12-16-11) 京都議定書を延長 15 年の「新体制」採択めざす
記事コピー (asahi = 11-29-11 〜 12-11-11) 温暖化、紅葉が記録的遅さに 最遅日 16 カ所で更新 カエデとイチョウの紅葉(黄葉)が今年は、記録的に遅れた。 この秋が全国的に高温だったためで、長期的に見ると、地球温暖化や都市化などの影響もうかがえる。 各地の紅葉祭りも、12 月まで続くことが珍しくなくなりつつある。 気象庁は、カエデやイチョウに関しては、標本木の葉の大部分が色づいた日を「紅葉日」、「黄葉日」と定めている。 同庁が 12 月 7 日までの各気象台などの状況を調べたところ、紅葉日は 52 地点中 7 地点、黄葉日は 49 地点中 9 地点で遅い記録となっていた。 北は盛岡、山形から、南は奈良、熊本と、各地でみられた。 同庁によると、平年と今秋の気温差の平均は北日本で +0.9 度、東日本で +1.1 度、西日本は +1.0 度。 いずれも統計史上 5 位内に入る暑さだった。 紅葉・黄葉がまだの所もある。 気象庁の異常気象リポートでは、カエデはこの 50 年間で 15.6 日、イチョウは 10.7 日色づきが遅くなった。 一方で落葉時期の遅れは、カエデは 9.1 日、イチョウは 5.4 日にとどまっているため、観賞できる期間が実質減っている計算になる。 (asahi = 12-9-11) 温暖化責任銀行、三菱 UFJ 17 位 NGO がランク付け 南アフリカ・ダーバンで開かれている気候変動枠組み条約締約国会議 (COP17) に関連し、ドイツなどの環境 NGO が「温暖化に責任のある銀行」のランキングを発表した。 環境への負荷が大きい石炭火力発電所と関連事業に対する世界 93 行の融資額などを調べ、京都議定書が発効した 2005 年から 5 年分を積算した。 上位 20 行のうち JP モルガン・チェースを筆頭に欧米系銀行が 16 行を占めた。 邦銀は、三菱 UFJ フィナンシャル・グループが 17 位だった。 (asahi = 12-8-11) パリ・ルーヴル美術館、外壁を LED 照明に フランス・パリのルーヴル美術館で建物の外観を照らす照明を発光ダイオード (LED) に切り替える工事が一部完成、6 日に点灯式が開かれた。 照明器具は、東芝が同美術館専用に開発して提供。 従来のハロゲンランプなどに比べやや白みが強く、ライトアップ時に壁面装飾の陰影がより強調される。 2013 年までに切り替えを終了、消費電力は 73% 減るという。 今回 LED 照明を設置したのは、美術館入り口に当たるガラスのピラミッドと、その周りのナポレオン広場に面した壁面の一部。 13 年までには広場全体と中庭の照明が順次 LED に置き換わる。 照明器具が 4,500 台から 3,200 台に減り大幅な省エネとなるほか、電球が長持ちする長所もあるという。 式に出席した東芝の佐々木則夫社長は記者団に対し「明かりは文化の象徴。 東芝の創業事業でもある照明分野で欧州展開を進めたい。」と語った。 (パリ = 古谷茂久、nikkei = 12-7-11) 温室ガス「25% 削減」見直しも 政府、来春に選択肢 野田政権は、国際公約している温室効果ガスの「25% 削減」目標を達成できるか、再検証する方針を固めた。 来年春に目標や達成の道筋について複数の選択肢を示し、国民的議論を求める。 東京電力福島第一原発の事故を受け、達成の前提だった原発増設が難しくなっており、目標自体を見直す可能性もある。 再検証作業は、国家戦略会議の下に置かれたエネルギー・環境会議が担う。 環境政策の強化や節電などで原発分を補えるのか、必要な費用はいくらか、などを具体的に検討する。 2020 年までに温室効果ガスを 1990 年比で 25% 削減する目標は 09 年、当時の鳩山由紀夫首相が国連総会で公約した。 環境省がつくった行程表では、省エネルギーの取り組みに加え、火力発電より二酸化炭素 (CO2) の排出が少ない原発 9 基を新増設して達成することになっている。 環境省によると、この 9 基と福島第一原発の 6 基が廃炉となった分の電力を火力で補う場合には、25% のうち約 8% 分の削減が見込めなくなってしまう。 再生可能エネルギー利用、国内排出量取引制度、環境税の導入、節電などの組みあわせにより、埋め合わせる道筋が描けるか、などが論点になる見通しだ。 (asahi = 11-27-11) CO2 地中貯留実用化向け実験 来年度から北海道で 工場の排ガスなどから二酸化炭素 (CO2) を取り出し、地中に埋める貯留技術「CCS」の実験を、経済産業省が北海道苫小牧市で来年度から始める。 政府が地球温暖化対策として、2020 年度までの実用化をめざしている技術。 国内初の本格的な実験となり、安全性や環境への影響を調べる。 CCS は、欧米でも開発が進んでいる。 日本は北海道、福島県、福岡県を実験の候補地に考えてきた。 だが、福島県は東日本大震災の影響が大きく、福岡県は実験に必要なデータが不十分なため、まずは北海道で始める。 苫小牧市内で運転中の製油所に、排ガスから CO2 を取り出して圧縮する施設を建設。80 キロ離れた別の製油所と合わせ、年 15 万 ^ 25 万トン分を集める。 CO2 は製油所沖合の深さ約 1 千 - 3 千メートルの海底まで、2 本の穴を掘って埋める。 (asahi = 11-15-11) エコ製品関税引き下げ、決着せず APEC 閣僚会議 アジア太平洋経済協力会議 (APEC) の閣僚会議は 11 日、地域経済統合の強化や環境保全と経済成長を両立する「グリーン成長」を促す閣僚声明を採択し、閉幕した。 環境に配慮したエコ製品について、域内の関税削減をめざしたが、調整がつかず、12、13 日の首脳会議に決着を委ねた。 日米は、太陽光や風力発電機などのエコ製品の関税を 5% 以下に引き下げることを提案。 だが、環境技術で遅れる中国が反発し、税率や実施時期を声明に盛り込めなかった。 ただ、省エネルギー目標について、従来は 2005 年比で「25% 以上」改善としていたのを 2035 年までに「45% 以上」に上積みすることで合意。 スマートグリッド(次世代送電網)技術の普及のため、各国の次世代送電網の技術基準を共通化する試みも声明に盛られた。 (asahi = 11-12-11) |