京都議定書を延長 15 年の「新体制」採択めざす

南アフリカで開かれている気候変動枠組み条約締約国会議 (COP17) は 11 日未明、2012 年末で期限切れとなる京都議定書の温室効果ガス削減義務の延長の決定と、すべての国が参加する法的義務のある新体制に向けた行程表を含む「ダーバン合意」を採択し、閉幕した。 温室効果ガスを義務的に削減する国際体制を継続、進展させる足がかりになる。 日本は議定書延長への参加を拒否し、一時的に削減義務の国際体制から離脱することになる。

京都議定書の延長期間は、5 年間か 8 年間とされ、選択の余地を残した。 延長は決定文書の中に位置づけられており、正式な改正手続きは来年末の COP18 (カタール)で完了させる。 日本はロシア、カナダと同じく削減義務の数値目標の設定を拒否する方針で、先進国に削減義務を課してきた地球温暖化対策の京都体制から離脱することになる。 京都議定書の批准国ではあり続ける。

一方、COP17 では、京都議定書で削減義務を負っていない中国や、同議定書を批准していない米国も義務を負う新体制づくりの行程表でも合意した。 新体制は、新議定書も視野に入れた「法的拘束力を持つ枠組み」とし、新しい作業部会を立ち上げて議論を開始する。 15 年の COP21 で採択し、20 年以降の発効を目指すことになった。

COP17 は、京都議定書の延長期間の長さや、新体制の発効時期などをめぐって各国の意見が対立。 最終日の 9 日を過ぎてもまとまらず、11 日未明にようやく合意にこぎつけた。 (asahi = 12-11-11)


COP17、最終日過ぎても紛糾 先送り論も浮上

気候変動枠組み条約締約国会議 (COP17) は、最終日の 9 日を過ぎても協議が難航し、10 日午後もまだ合意できていない。 議長国・南アフリカが最終合意の「たたき台」として出した議長提案をめぐって紛糾。 細野豪志環境相をはじめ、予定を変更できずに帰国する閣僚もいる異例の事態となり、会議をいったん閉じて数カ月後に再開すべきだという先送り論も出始めた。

COP17 では、2012 年末で期限が切れる京都議定書の温室効果ガス削減義務を延長するかや、米国や中国も義務を負う新体制づくりの行程表が議論されている。 議長提案は、京都議定書を 5 年間延長し、一方で新体制の枠組みを 15 年までに採択し、20 年以降の発効を目指すとされていた。

しかし、新体制の発効時期の目標を 20 年以降とすることに、欧州連合 (EU) などが「遅すぎる」と反発。 年限の削除を求めた。 こうした議論にともない、議定書の延長期間についても新体制発効の「20 年」という時期にあわせた 13 - 20 年の 8 年間とするか、提案通りの 5 年間とするかなどでも意見が分かれている。 (asahi = 12-11-11)


COP17、合意見通せず 意見噴出、議長提案修正続き

2013 年以降の地球温暖化対策が焦点の気候変動枠組み条約締約国会議 (COP17) は交渉が難航し、期日を延長して 10 日も議論が続いている。 9 日午後に議長国・南アフリカが最終合意に向けた議長提案を出したものの、各国から意見が噴出して、まだ合意が見通せない状況だ。

COP17 では、12 年末で期限が切れる京都議定書の温室効果ガス削減義務の延長問題や、米国や中国も義務を負う新体制について議論されている。 議長提案は京都議定書を延長し、その次に新体制に移る内容だったが、大詰めの協議で修正が繰り返されている。

来年の COP18 (カタール)で正式な延長手続きをすると明記された京都議定書は、延長期間が 5 年間とされた。 一方で先進国全体の 20 年の数値目標を「90 年比 25 - 40% 減」として盛り込む案も浮上。 先進各国が掲げる個別目標をより高い数値にしたい狙いで、インドなどの新興国が提案したとみられる。 先進国が受け入れられるかは不透明だ。 (asahi = 12-10-11)


京都議定書の延長案、議長が提示 COP17 最終日

気候変動枠組み条約締約国会議 (COP17) は最終日の 9 日、議長国・南アフリカが最終合意に向けた議長提案を各国に示した。 2012 年末で期限切れとなる京都議定書の温室効果ガス削減義務を延長し、その後、米国や中国なども一定の義務を負う新体制に移る、との内容だ。 各国は受け入れ可能か、最終検討に入った。

議長提案は、京都議定書の延長について、来年の COP18 (カタール)で正式な改正手続きをとることを明示。 今回の COP17 では改正手続きはとらず、各国が自国に持ち帰って削減の数値目標などを精査する時間を確保する。 延長の期間は明示されていないが、5 - 8 年の間で、閣僚による政治判断を仰ぐことになる。 (asahi = 12-10-11)


京都議定書後の新体制、行程表の選択肢提示 COP17

南アフリカで開かれている気候変動枠組み条約締約国会議 (COP17) で、議長国の南アフリカが 8 日夕、2012 年末に期限が切れる京都議定書に続く新体制づくりの行程表についての議論を整理し、複数の選択肢案を示した。 ただ選択肢の内容には効力や合意時期をめぐってなお開きがある。 各国の閣僚は会議の最終日となる 9 日未明まで交渉を続けたが、合意の姿は見えないままだ。

議長が示した選択肢には「2015 年までのできるだけ早い時期に新議定書などの新体制に合意する」との案と、「何らかの年限を示し、それまでに議論の結果を出す」という漠然とした案がある。

欧州連合 (EU) や日本は「15 年までに合意」の案を支持して 20 年までに法的効力を持たせるよう手続きを進めたい考え。 一方で温室効果ガスの削減義務を負う時期を 20 年以降に遅らせたい米国や中国は、もう一方の新体制の法的効力や合意時期があいまいな案を支持する立場だ。 双方がどこまで歩み寄れるかが、最終盤の交渉の焦点だ。

COP17 では、この行程表の合意が得られるかが会議の成否を握る。 途上国を中心に、12 年末に先進国の削減義務が期限切れとなる京都議定書の「延長」を支持する声が大きい。 一方で EU が「延長の条件」としてこの行程表の合意を求めているためだ。 日本は議定書延長への参加は拒否する姿勢で、新体制の議論だけを進めようとしている。 (asahi = 12-9-11)


京都議定書、延長で 3 案 COP17 協議で議長国提示

南アフリカの国連気候変動枠組み条約締約国会議 (COP17) で、2012 年末で期限切れになる京都議定書を延長する場合の三つの選択肢案が明らかになった。 議長国・南アフリカが主催する非公開協議で 7 日、素案として各国に示された。 延長期間は 2013 年から 5 - 8 年間。 この案をもとに閣僚レベルでの最終調整に入る見通しだ。

京都議定書で先進国が温室効果ガスの削減義務を負う約束期間は 08 - 12 年。 これを延長するかどうかが COP17 の焦点の一つだ。 朝日新聞が入手した文書によると、(1) 延長期間を 5 年間(13 - 17 年)とする、(2) 8 年間(13 - 20 年)とする、(3) 8 年間の折り返しにあたる 4 年目で削減目標の達成度などを評価し、目標設定を見直す、の 3 案が選択肢として浮上している。

京都議定書の延長は、海面上昇や砂漠化など温暖化の被害に直撃される途上国などが強く求める。 欧州連合 (EU) も、京都議定書では削減義務がない中国、批准していない米国などが参加する新体制への行程表に合意する、という条件つきながら、議定書延長を認める方針だ。 (asahi = 12-8-11)


削減目標「今の 2 倍必要」 温暖化回避へ UNEP 分析

世界各国が掲げる温室効果ガスの削減目標を積み上げても、海面上昇など温暖化の被害を避けることは難しく、さらに倍以上の努力が必要 - - こんな最新の研究結果を国連環境計画 (UNEP) がまとめ、南アフリカの気候変動枠組み条約締約国会議 (COP17) で発表した。 「京都体制」の次を決める交渉にも影響を与えそうだ。

報告書は、日本を含む 86 カ国が自主的に掲げる削減目標などをふまえ、2020 年までのガス削減量を予測した。 15 カ国 55 人の専門家が分析に参加した。 温暖化対策が取られずにこのまま各国が経済成長を続けると、20 年の温室効果ガス排出は二酸化炭素 (CO2) 換算で、現在の 1.2 倍の約 560 億トンに達する。 世界の平均気温上昇を 2 度以内に抑えるとする国際目標の達成には、120 億トンの削減が必要になる。 (asahi = 12-5-11)


温室ガス削減義務、中国が受け入れ示唆 「20 年以降」

南アフリカ共和国で開かれている国連気候変動枠組み条約締約国会議 (COP17) で、中国代表団長の解振華・国家発展改革委員会副主任は 4 日、京都議定書後の新たな地球温暖化対策の法的枠組みについて、「議論を受け入れる」と述べた。 世界最大の温室効果ガス排出国である中国が、将来的な削減義務受け入れを示唆したもので、交渉に影響を与えそうだ。

京都議定書に続く新たな国際体制については、欧州連合 (EU) が 2020 年の発効に向けた交渉日程を提示している。 解団長は取材に対し、「我々は 20 年以降についても議論することに同意する」と明言した。 ただし条件として京都議定書に基づく先進国の削減の達成度評価が必要だと主張。 20 年以降の枠組みは「より科学的で合理的なものでなければならない」と述べた。 (asahi = 12-4-11)


「京都」を殺すな COP17、議定書延長求める途上国

「京都」を殺すな - -。 南アフリカ共和国で開かれている気候変動枠組み条約締約国会議 (COP17) で、2012 年末で期限切れとなる京都議定書の「延長」を求める途上国の声が強まる一方だ。 190 を超す批准国中、13 年以降は新たな温室効果ガスの削減義務を負わないと断言しているのは日本、カナダ、ロシアの 3 カ国。 日本は苦しい立場に立たされている。

「アフリカの大地を『京都』の墓場にはさせない。」 会議冒頭で、コンゴ(旧ザイール)の交渉官がこう繰り返すと、大きな拍手がわき起こった。 日本を名指しこそしないが、「いくつかの先進国が延長を拒んでいる」との批判が渦巻く。 海面上昇の影響を受ける島国グループなども相次いで発言。 削減義務を先進国に課す「京都体制」の延長を強く求めた。 欧州連合 (EU) が条件つきで延長を受け入れる姿勢を打ち出したことも途上国の期待を高めている。

日本が目指すのは、京都議定書で削減義務を負っていない世界一の排出国・中国や、議定書を批准していない米国も含む新体制だ。 「京都体制」は不公平で効果も乏しいとして、議定書の枠組みには残るが、削減義務の延長には「サインしない」との姿勢だ。

日本などが延長を拒否した場合、国際的な排出量取引市場から閉め出そうという意見も一部から出てきた。 京都議定書には、途上国で削減したガスの排出枠を自国の削減量に充てるクリーン開発メカニズム (CDM) など、資金、技術支援の仕組みもある。 ベネズエラの交渉官は「削減義務を負わなければ CDM は何の意味もなさない。 延長しなければ利用は認めない。」と力を込めた。

COP17 に参加している日本の環境 NGO メンバーは「風当たりは相当強い。 会場の雰囲気が政府首脳にきちんと伝わっているのか疑問だ。」と話している。 日本は「世界低炭素成長ビジョン」として、13 年以降の CDM の活用を掲げる。 細野豪志環境相は 2 日の会見で「CDM は途上国にもメリットがあると理解してもらいたい」と述べた。 (ダーバン = 小林哲、asahi = 12-2-11)


「京都」延長なら離脱 COP17 政府方針を決定

野田政権は 29 日、地球温暖化問題に関する閣僚委員会(座長・野田佳彦首相)を開き、南アフリカで開会中の国連気候変動枠組み条約締約国会議 (COP17) の対応方針を決めた。 2012 年末で温室効果ガス削減の義務づけ期間が終わる京都議定書について、次の約束期間をつくる「延長」には加わらないことを確認。 仮に延長が決まった場合には参加を拒否し、先進国に削減義務を課す「京都体制」から離脱する姿勢を鮮明にした。

閣僚委員会には、野田首相のほか細野豪志環境相ら 11 閣僚が出席した。 対応方針では、世界一の排出国である中国に義務がなく、2 位の米国が批准していない京都議定書は世界の排出削減につながらないとして、米中も含めて削減義務を課す新体制を目指すとした。

記者会見した細野環境相は、議定書の削減義務国の排出量が世界全体の約 27% にとどまることを指摘。 「交渉では様々な判断があるが、(日本が)次の約束に参加しないことに変わりはない」と言い切った。 京都議定書のルールでは、新たな約束を設ける場合にはその国の同意が必要になる。 約束を拒否すれば、日本は削減義務国のリストから外れ、12 年までの削減義務や排出量算定のルールなどを含めた京都議定書の批准国としての位置づけだけが残る。 (asahi = 11-29-11)