「動く百貨店」演出 ポーラ、バスで地方営業へ ![]() 百貨店の閉店も相次ぐ地方での消費掘り起こしを狙おうと、「動く百貨店」がお目見えした。 化粧品の訪問販売大手ポーラ・オルビスホールディングスが 5 日から、車内を店にしたユニークなバスで営業を始める。 来年度にかけて全国 250 カ所を訪れる計画だ。 総額 7,500 万円をかけ全長 12 メートルの大型バスを 1 台改造。 車内に大きなソファや鏡、広めのトイレも付け、店舗のつくりにした。 (asahi = 10-3-11) 日清紡、欧州のブレーキ部品大手買収 ユーロ安追い風 日清紡ホールディングスは 26 日、自動車用ブレーキの摩擦材で世界 2 位の TMD 社(本社・ルクセンブルク)を 4 億 4 千万ユーロ(1 ユーロ = 102 円換算で約 448 億円)で買収すると発表した。 円高ユーロ安の進行を受け、欧州の有力企業を安く買える好機と判断した。 日清紡は国内のほか米国やタイでブレーキ摩擦材などの部品をつくり、自動車業界に供給している。 買収で自動車向け摩擦材の世界シェアは計 15% を超え、首位に立つという。 欧州、南米、中国にも生産、販売などの拠点が広がる。 日清紡によると、買収を検討し始めたのは今年 7 月ごろ。 7 月上旬の為替相場が 1 ユーロ = 117 円付近だったのと比べると、買収額は 70 億円近く安くなった計算になる。 (asahi = 9-26-11) ユニクロ、1 万人に超軽量ダウンを試着プレゼント
記事コピー (3-24-10 〜 9-22-11) ミャンマー通貨が上昇、韓国繊維業界に打撃 ミャンマーの通貨チャットの相場が上昇し、韓国企業の連鎖倒産が懸念されている。 ミャンマーには現在、韓国企業約 100 社が進出しており、大半が繊維関連企業だ。 大韓貿易投資振興公社 (KOTRA) は 19 日に発表した報告書で「チャットが年初に比べ 30% も上昇し、現地に進出した企業が倒産の危機に追い込まれている」と指摘した。 現地通貨が上昇すれば、現地からの輸出価格が上昇するため、輸出時の価格競争力が低下する。 8 月 22 日現在、チャットの対ドル相場は 1 ドル = 685 チャットで、2001 年以来の最高値を付けた。 チャット高は、ドル資金の供給過剰とミャンマー政府の金融引き締め失敗が原因とみられる。 KOTRA はチャット高でミャンマーの輸出企業は採算性が低下し、事業規模の縮小や従業員の一部解雇など生き残り策を講じているとした。 その上で「チャット高が進行しても輸出価格を引き上げることはできず、チャット高が長期化すれば、下請け中心の韓国企業とミャンマー企業の多くが倒産する」と予測した。 - 全洙竜(チョン・スヨン)記者 (韓国・朝鮮日報 = 9-20-11) 速乾で形状安定、セシールがワイシャツ発売 セシールは、速乾性と形状安定性が特徴の男性向けワイシャツ「ハイスペックYシャツ」を発売する。 スポーツウエアに使う高機能素材を採用、夜に洗濯して部屋で干すと翌朝までに乾く。 出張に役立つワイシャツとして売り込む。 価格は 3,990 円。 M、L、LL の 3 サイズがある。 オンラインショップで 15 日から、紙のカタログで 10 月 3 日から販売する。 シワになりにくく、部屋干しして乾いた状態のままで着用できる。 (nikkei = 9-14-11) 表参道、東京ブランド出店ラッシュ 銀座は大型店 ![]() ファッションの秋を前に、東京では新ブティックや新規改装オープンが目白押しだ。 注目エリアは、人気の東京ブランドが一斉に出店する表参道周辺と、百貨店のリニューアル合戦が続く銀座。 ブランドの主張や個性が、ショップのかたちにも現れている。 ■ 表参道 「東京ブランド」直営で発信 表参道周辺では、日本の若手ブランドが次々と直営店を開く。 迷路のような内装や路地裏への立地、木々の緑や広い窓など「自然」の要素の活用が共通する。 海外でも評価が高いサカイ (sacai) は初の店を、南青山にある赤れんがのビルの 1、2 階に展開。 277 平方メートルの店内は、雰囲気を変えた小部屋が並び、迷路に迷い込んだようなわくわく感がある。 デビュー 13 年目。 デザイナーの阿部千登勢は「編み棒一本とユザワヤで買った毛糸十玉から始めて、やっとここまで来られた。 自分も、と思ってくれる人がいたらいい。」と話す。 商品はメンズを含めた自身の 3 ブランドを混ぜて置く。 「まとふ」の初の路面店は、住宅地の中の 2 階建ての建物の 1 階(約 53 平方メートル)。 周囲には緑が多く、樹齢百年以上のクスノキもそびえる。 創業は 05 年。 展示会での予約販売が中心だったが、固定客が増え、出店に踏み切った。 デザイナーの堀畑裕之と関口真希子は「来店客は予想外に若い男性が 4 割。 今後、メンズラインの充実を図る。」と語る。 06 年に創業したビューティフルピープルの店は、白が基調のシャープな内装。 白い造花で埋め尽くした壁が近未来的でロマンチック。 約 22 平方メートルと小規模だが、商品は 1 カ月ごとに入れ替える。 デザイナーの熊切秀典は、「卸先で完売した商品でも、定番品はいつも置いてある店にしたい」という。 若手ブランドが直営店を持ち始めたのは、地価の下落に加え、衣料消費の低迷で、卸先のセレクトショップが発注量の抑制や仕入れの値下げなどを求めるようになったことも背景にある。 南青山に店を出したオブジェスタンダールのデザイナー、森健は「卸をやめて自前で売っていくためには、ブランドの世界観をより強く発信していくことが必要」と語った。 メンズのホワイトマウンテニアリングなども開店。 モンクレールやコスチュームナショナルといった海外の人気ブランドも出店した。 (安部美香子、編集委員・高橋牧子) ■ 銀座 大型店、独自色を追求 ファッションビジネスの「表玄関」銀座では大型店舗の開店やリニューアルが続く。 注目は有楽町マリオン。 有楽町西武が「ルミネ有楽町店」に、有楽町阪急が「阪急 MEN'S TOKYO」に生まれ変わる。 阪急 MEN'S TOKYO は、各フロアでバッグを充実させるほか、フェンディ、ジミー・チュウなどのメンズトータルブティックを世界で初めて登場させる。 エイチ・ツー・オー リテイリングは「丸の内を後背地に持つ地域性に合ったメンズ展開はこれまで不十分」と、市場開拓に意欲的だ。 既存百貨店も手をこまぬいているわけではない。 松屋銀座は 2 階に、アレキサンダー・マックイーンやヘアアクセサリーのアレクサンドル・ドゥ・パリを投入。 「デザインの松屋」らしく、グッドデザインを 1955 年から紹介してきた、7 階の「デザインコレクション」、「デザインギャラリー 1953」もリニューアルした。 横関直樹・執行役員は「目指すのはファッションとデザインが交差する店。 ライフスタイルをトータルで提案していく。」と話す。 「デザインの松屋」として、服飾に加え、雑貨やリビングにも力を注ぐ。 (竹端直樹、asahi = 9-12-11) 被災水田産コットンでオリジナル商品 高島屋など各社 百貨店の高島屋は、東日本大震災で津波をかぶった水田で栽培した綿花でオリジナル商品を作って販売する計画を明らかにした。 震災から 1 年となる来年 3 月 11 日に発売する。 被災農家と消費者を結ぶ支援策として、アパレル各企業なども賛同している。 津波被害を受けた田は塩害のため数年間、稲作ができないとされるが、綿花は塩分が高くても栽培できるうえに、塩を取り除く効果があるという。 休耕する代わりに綿花を栽培してもらって買い取り、被災農家の雇用維持につなげる「東北コットンプロジェクト」を、靴下メーカーのタビオや綿糸製造の大正紡績が呼びかけた。 仙台市などの水田で綿花を栽培している。 プロジェクトに賛同した高島屋は、栽培した綿でつくった糸を材料にしたタオルやショールの製作を、取引先に依頼する。 「消費者が、じかに手に取って使える商品を開発することで支援につなげたい」と商品担当者。 来年 3 月 11 日に全国の高島屋で復興祈念商品として発売する。 (asahi = 9-3-11) 広島パルコ、19 テナント新規出店 今秋改装 広島パルコ(広島市)は今秋、店内の 30 区画を大規模改装する。 新たに 19 店が入居するほか、11 店で品ぞろえを大幅に入れ替える。 高価格帯の品ぞろえを強化するなど顧客の嗜好の変化に対応する。 2001 年に新館が開業し、本館・新館の 2 館体制になってから 10 年を迎えるのを機に店舗の魅力をさらに高める。 全テナントの約 1 割にあたる 19 店を新たに導入する。 このうち 11 店は中国・四国地方で初出店となる。 8 月 27 日にバックやアクセサリーを扱う「フルリール アネモネ」が出店するのを皮切りに、10 月 1 日にかけて改装を進める。 働く 20 代女性向けのファッション店「ビーラディエンス」や輸入靴やバッグを販売する「アグ オーストラリア」などを導入する。 男性向けのテナントも強化。 セレクトショップの「マインドブロウ」や「セッティングクラックス」などが入居する。 広島パルコの 2011 年 2 月期の売上高は 170 億円と前の期に比べ 5% 減少。 ただ、今年 3 - 7 月の客単価が前年同期比 4.8% 増で推移し「価格だけでなく、質やデザインを重視するお客の価値観の変化に対応する」としている。 (nikkei = 8-17-11) クロスカンパニー、短時間の正社員制 中途採用向け 衣料品製造販売のクロスカンパニー(岡山市、石川康晴社長)は 1 日の勤務時間が 4 時間または 6 時間の「短時間正社員制度」を導入した。 育児や家事、介護などとの両立を支援する仕組みが必要と判断した。 ワークライフバランス(仕事と生活の調和)に配慮することで、特に主婦層の雇用を増やす狙いもある。 制度は中途採用者が対象で、店ごとに募集を始めた。 基本給と賞与の算定方法はフルタイム勤務の正社員と同じで、不利にならないようにする。 また、休暇・休日の取得にも特に制限は設けないという。 現時点で 2 人の入社が決まった。 クロスカンパニーは 2,000 人超の従業員を正社員で雇用している。 パートやアルバイトの選択肢がないため、正社員の勤務形態を弾力化する必要があると判断した。 同社はこれまでも女性に働きやすい職場づくりに力を入れてきた。 子供の学校の行事に参加するために有休扱いで取得できる「キッズ休日」制度や、育児費を支給する制度などを取り入れた。 また女性 1 人で子育てをしている人に月額 1 万円を支給する「シングルマザー支援制度」もある。 (nikkei = 8-13-11) カジュアル衣料 H & M、日本に攻勢 2012 年出店倍増 手頃な価格で流行を採り入れるファストファッション世界 2 位の「H & M (ヘネス・アンド・マウリッツ、スウェーデン)」は 11 日、日本での店舗を現在の 12 から 2012 年に 30 に増やす考えを明らかにした。 12 年に一気に 15 店出して倍増し、日本市場の攻略を進める。 来日中のカール・ヨハン・パーション最高経営責任者 (CEO) が朝日新聞のインタビューに応じ、08 年に進出した日本での業績は「売り上げは順調で、グループでも高い方にある」と強調。 11 年は福岡などに新規出店して 15 店舗とし、地方都市への進出も検討していくという。 13 年以降も「同様かそれ以上」の出店ペースを保つ方針。 日本は経済成長が鈍り少子高齢化も進むが、パーション氏は「ファッションの費用対効果に厳しい日本の消費者は H & M によく合う。 成長のチャンスは大きい。」と語った。 (南日慶子、asahi = 8-11-11) ◇ ◇ ◇ H & M、11 月に大阪 2 号店 1 号店の真向かいに スウェーデンの衣料品大手「H & M」は 7 日、11 月に大阪・心斎橋に戎橋 2 号店を開業すると発表した。 昨年 3 月に開業した 1 号店の真向かいで、好調な 1 号店の売れ行きを追い風に、新たな出店で品ぞろえを充実させ、相乗効果を狙う。 2 号店の売り場面積は 1 千平方メートル。 1 号店の 900 平方メートルと合わせて、売り場面積は約 2 倍となる。 2 号店は 4 フロア構成で、カジュアルや男性向けの衣料品などをそろえる。 1 号店は改装して女性向けフォーマルウエアなどに特化する。 同社の売りは、流行を先取りして低価格の衣料や雑貨を扱うファストファッション。 海外では同じ通りに複数店舗を出し、多様な品ぞろえで販売力を強化している。 大阪でも 1 号店と 2 号店を差別化し、幅広い集客を目指す。 (asahi = 7-8-11) 例の臭い、森林浴の清涼感に シキボウ、新繊維開発 紡績大手のシキボウ(大阪市)は 3 日、うんちの臭いをいい香りに変える機能をもつ繊維「デオマジック」を開発したと発表した。 これまで汗のにおいや加齢臭を消す機能を持つ繊維はあったが、「消臭」ではなく、「香りを変える」という新しい発想で悪臭を絶つことに成功した。 大阪市の香料メーカー、山本香料と共同開発した。 香水で一般的とされる、悪臭成分を原料に加えてまろやかな香りにする手法に着目した。 デオマジックは、うんちの臭いと相性のいい香料を 100 マイクロメートル以下のカプセルに包んで繊維に付着させている。 繊維を使う際にカプセルが壊れることで香料がうんちの臭いを森林の中にいるような清涼感のある香りに変える。 尿の臭いにも対応でき、山本香料の山本芳邦社長は「大は小を兼ねる」と説明する。 洗濯を 10 回程度しても効果は続き、効果が薄れても、同じ素材の香料スプレーを使って効果を復活させることもできるという。 (asahi = 8-4-11) 「節電の冬」商戦が始動 あったか肌着、早くも販売 小売りやアパレル業界が、早くも冬の「ウオームビズ」商戦に動き出した。 電力不足で消費者の節電意識が高まったが、これが冬も続きそうだからだ。 早めのアピールで関心を集め、販売増につなげようとしている。 ユニクロは 7 月 25 日、全国で機能性肌着「ヒートテック」の販売を始めた。 昨年は、冷房による寒さ対策として夏でも着たいという声に押されて 8 月 16 日に発売した。 今年はさらに 3 週間早い。 担当者は「節電で暖房の使用を抑えれば寒い冬になってしまう。 機能性肌着の役割は例年以上に高まる。」と期待する。 カジュアル衣料のしまむらも 1 日、北海道内の店で昨年より 2 週間早く機能性肌着「ファイバーヒート」の販売を始めた。 前の冬は全国で約 3 千万枚を売ったが、今度の冬はさらに増やすという。 小売り大手のイトーヨーカ堂も 7 月 29 日、機能性肌着「ボディヒーター」を発売した。 今回は腹巻き付きのペチコートや、肩パッド付きの商品も追加。 前の冬の約 3.7 倍の 112 種類に増やす。 販売目標は 2.2 倍の 1 千万枚を見込んでいる。 クールビズに比べてこれまで影の薄かったウオームビズだが、業界は「夏よりも単価が高い商品が多い。 売り上げへの効果はより大きい(アパレル大手)」と定着に期待する。 販売計画は目白押しだ。 百貨店の高島屋は早ければ 8 月中に、保温性が高いビジネス靴などを売る計画だ。 アパレル大手の三陽商会は 9 月中旬から、保温効果の高い綿を入れたコートを売り出す計画だ。 中綿が薄く、軽いのに保温性が高い製品という。 肌着で注目された機能性素材を、コートの分野にも広げるねらいがあるという。 (南日慶子、asahi = 8-2-11) 紳士服「全品半額」 PR に改善命令 消費者庁が 5 社に すべての商品が半額にならないにもかかわらず、「全品半額」などとテレビコマーシャルや新聞折り込みチラシで PR したとして、消費者庁は 26 日、紳士服大手 5 社に対し、景品表示法違反(有利誤認)で改善と再発防止を命じた。 5 社は AOKI (横浜市)、青山商事(広島県福山市)、コナカ(横浜市)、はるやま商事(岡山市)、フタタ(福岡市)。 同庁によると、実際には、半額になる商品は一定額以上だったり、クーポン券が必要だったりするため全商品の 26 - 82%。 こうした条件も示されていたが、「全品半額」の表示に比べて著しく小さく、客を誤認させて来店を誘った、と判断した。 各社は「厳粛に受け止め、再発防止に取り組んでいきたい」などとしている。 (山田優、asahi = 7-26-11) ルミネ有楽町店、10 月下旬開業 衣料品など 107 店 ファッションビル大手のルミネは 25 日、JR 有楽町駅前の有楽町マリオン(東京都千代田区)に入る「ルミネ有楽町店」について、10 月下旬に開業すると発表した。 カジュアル衣料や雑貨など 107 店を集め、20 代後半から 30 代の男女を主要顧客に想定している。 昨年 12 月に閉店した西武有楽町店の後継テナントになる。 売り場面積は約 1 万 1,300 平方メートル。 地下 1 階地上 8 階の「ルミネ 1(約 8,440 平方メートル)」と、地下 2 階地上 4 階の「ルミネ 2(約 2,860 平方メートル)」で構成する。 セレクトショップなどの衣料品店が核となり、地下には菓子や総菜を集めた食品売り場もつくる計画だ。 店舗づくりは丸の内や銀座に来る人を意識したといい、20 代の来店が多い新宿店などと比べると、やや高めの顧客層に照準を置いた。 広報担当者は「ちょっと大人なルミネを楽しんで欲しい」と話している。 (asahi = 7-25-11) ◇ ◇ ◇ 松坂屋取り壊し、銀座最大級の商業施設計画 J フロント 大丸松坂屋百貨店を運営する J フロントリテイリングと森ビルなどが、東京・銀座で最大級の商業施設を計画していることがわかった。 今の松坂屋銀座店を 2013 年に閉じて取り壊し、オフィス・文化施設も入る商業ビルを 17 年にも開く。 新ビルは地上 12 階・地下 6 階(延べ床面積約 14.8 万平方メートル)。 店舗など商業施設は地下 2 階 - 地上 6 階に入る構想で、店舗面積は昨年秋に増床した三越銀座店(店舗面積約 3.6 万平方メートル)を上回って銀座最大になるとみられる。 J フロントなど地権者で作る準備組合が計画を固め、月内にも東京都へ提出する。 商業施設の形態は「(自前で店舗を運営する)百貨店にはこだわらずに検討する(J フロントの奥田務会長)」としている。 専門店が入る商業施設を選んだ場合、1924 年に開業した銀座最古の百貨店が消えることになる。 (asahi = 6-7-11) 東北の手仕事にエール 三宅一生と縁ある工房展 ![]() 東日本大震災で被害を受けた東北地方には、現代の「衣」の文化を支える多くの工房があり、職人たちがいる。 彼らにエールを送ろうとデザイナー三宅一生が、かかわりをもった織物業者らの手の技や物づくりの精神を紹介する特別企画「東北の底力、心と光。 『衣』、三宅一生。」を 26 日から、東京で開く。 参加工房のうち、3 カ所を訪ねた。 震災から 4 カ月、宮城県白石市のマンホールが何本も突き出た道を抜けた所に、白石ポリテックス工業はあった。 地震によって工場の片側壁面は、2 階分もろとも崩落。 数トンの機械が 20 センチも動いた。 3 月中に一部再開したものの、設備が何とか復旧したのは 7 月に入ってからだ。 イッセイミヤケの代表作の一つ、プリーツプリーズ。 同社はその独自の工程を手がけてきた。 布を縫製後にプリーツをかけ、何種もの特殊なひだを組み合わせるには、機械の絶え間ない改良や微妙な調整が必要になる。 服にしつけ糸を通したりねじったりなどきめ細かな手仕事も欠かせない。 試行錯誤を 1980 年代から三宅と共に重ねてきた。 訪問した時、技術者たちは、三宅事務所のスタッフと三宅らが企画した展示の内容について議論していた。 準備期間は通常の展覧会の 10 分の 1、予算も 4 分の 1 ほど。 だが気心の通じる仲。 内容は次々と決まっていく。 プリーツの技術者の一人は「被災者の心は複雑。 言葉ではなく、物を見て共に頑張ろうと思ってもらえれば。」と話した。 同じ市内の白石和紙工房は、82 年のパリ・コレクションで三宅が発表した紙衣(かみこ)を製作した。 87 歳の遠藤まし子さんが今も紙を漉(す)く。 自ら育て収穫した原料のコウゾを、煮て洗い、打って繊維をほぐすなどの手作業は根気が要る。 工房では、近所の 70 代の女性たちが、繊維の 1 本ずつを拾い、ゴミを除いていた。 そうして作るからこそ紙でも丈夫で暖かく軽い衣ができる。 遠藤さんは「一度手抜きをすると元に戻れない。 昔とは設備や人の手が変わっていくので、伝統を守るのは難しいけれど。」と笑う。 展示では、奈良・東大寺のお水取りで着るために漉いた紙衣やその製作工程などを見せる。 盛岡市の中村工房は、羊毛から手で糸を紡いで手織りしたホームスパンのスカーフや、真綿のベストなどイッセイミヤケのパリ・コレ作品などを展示に出す。 クルミや虫など天然染料で染めた布は穏やかで優しい。 「一生さんとの仕事は、グレーの色ひとつ取っても黄や赤なども微妙に入れないといけなくて、大変だった」と、代表の中村博行さん (62)。 まだ大きな余震にたびたび襲われる中で、中村さんは決意をした。 「これを機会に、誰にも媚を売らない物を作ってやる。」 長い不況で、自分の物作りが易(やす)きに流れているように思えたからだ。 そうして、コチニールという虫で染めた深紅のストールができた。 ちょうどその時、展示への出品依頼が届いたという。 展覧会には、木の皮などを使った山形県の原始布や麻、青森県の古着を利用した裂織(さきおり)や刺し子、ゼンマイの綿毛を使った秋田のぜんまい織、福島のからむし(苧麻)織も展示される。 「身近な自然素材をもとに、衣服を大事に着続けようとする人々の意識から生まれた、力強い『用の美』を見て欲しい」と、企画担当の川上典李子さんは語る。 苦境の中でも、人が生きていくには、心や精神を温かく照らす文化の力が必要だ。 そんな意味も込めて、企画展のシンボルに、岩手県陸前高田市で津波に耐えた「奇跡の一本松」を選んだ。 「この 40 年、東北の人々の力がなければ成り立たない仕事が多かった。 厳しい自然の中で 1 本の糸、1 枚の布を大切に知恵を絞り、根気強い手仕事で世界に誇る文化を生み出してきた東北の魂にエールを送りたい」と三宅は話す。 震災で、服飾に関する多くの人々が仕事を失った。 ある縫製会社の社長は、津波で工場と共に「手の技」を持った社員たちを失い、廃業を余儀なくされた苦しい胸の内を記者に語った。 今回の展覧会は、そうした人々や、その技の尊さに思いをはせることにもなるはずだ。 31 日まで、六本木の 2121 デザインサイトで。 期間中、出展者の講演や公開製作がある。 入場無料。 (高橋牧子、asahi = 7-22-11) 「節電」と「原発事故」影響で夏商戦明暗 浴衣に人気、水着は出遅れ ![]() 全国で梅雨明けし、百貨店などでは浴衣や水着の商戦がピークを迎えている。 浴衣は、花火大会の相次ぐ中止などでイベント需要は見込み薄だが、節電を追い風に、普段着としての人気が高い。 一方で、水着は、震災や原子力発電所事故による海水浴客の減少が売り上げに影を落としている。 三越日本橋本店は、13 日から浴衣フェアを本格スタートした。 6 月からフェアを実施している銀座店とともに、5 万 - 6 万円台の少し高めの価格帯の商品が売れ、売上高は前年を上回る水準で推移しているという。 高価格帯の商品を購入する人は、浴衣を数着持っており、三越伊勢丹日本橋呉服営業部の入野由起さんは「花火大会などのイベントがあるから買うというよりも、節電で浴衣を着て涼しく過ごそうと買い増しているようだ」と話す。 青や白など涼しげな色が人気で、部屋着として購入していく男性の姿もみられるという。 三越は、震災で家族の絆が深まったことに注目し、パンフレットや売り場は、家族で浴衣を楽しむイメージを強調した。 花火の需要も、開催が未定だった東京都内の隅田川花火大会が 8 月 27 日に行われるのを受けて、当初は 8 月 16 日までを予定していたフェアの会期を 31 日まで延ばす。 高島屋も首都圏の各店舗で、浴衣を着慣れた人が好む老舗ブランド「撫松庵(ぶしょうあん)」などの売り上げが 2 桁増と好調。 「花火大会中止の影響を心配したが、節電という今年ならではの需要が生まれている」と胸をなでおろす。 浴衣に対し、水着は震災による出遅れも。 首都圏のある大手百貨店では、6 月の水着の売上高が約 15% 減と大きく落ち込んだ。 震災で発生したがれきの影響で海開きが中止になったり、原発事故で海水浴を控える傾向があるためだ。 水着メーカー大手の三愛は、震災と原発事故を受けて、東北に夏季限定で開設する予定だった「三愛水着楽園」 6 店舗の出店を見送った。 宇都宮市に出店した同店の 6 月の売り上げも、2 割減にとどまるとしている。 ただ、震災の影響を受けない地域では、「節電でプールの利用が増えたり、海水浴場の懸命なキャンペーンが集客に効果を発揮している(水着事業部)」として、今後の気温上昇に期待をかける。 (金谷かおり、SankeiBz= 7-21-11) アディダスが看護・介護ウエア 秋にも発売 医療用ユニホーム大手のアプロングループとスポーツ用品大手のアディダス・ジャパンが今秋、機能性などを特徴とする看護・介護向けウエアを共同で発売する。 販売促進で支援する伊藤忠商事が 11 日発表した。 アディダスは医療分野に初参入。 仕入れや生産、新製品開発では、アプロンの技術も融合し、ロゴや模様などファッション性も取り入れる。 3 社は同事業で、5 年後に売上高 13 億円を目指すという。 (asahi = 7-17-11) 三越伊勢丹、都心 3 店で 8 月に定休日 百貨店最大手の三越伊勢丹ホールディングスは 20 日、伊勢丹新宿本店と三越日本橋本店、三越銀座店の 3 店で 8 月に定休日を設けると正式に発表した。 元日を除く定休日の復活は約 10 年ぶり。 減収となるが、経費削減の効果を重視した。 伊勢丹新宿店は 2、9、23、30 日の火曜日を休む(お盆の時期の 16 日は営業)。 三越は日本橋本店が 1、29 日、銀座店が 22 日、それぞれ月曜日に休む。 週前半の平日は客が少なく、節電効果も期待する。 利益改善の効果が大きければ、冬場の 2 月にも定休を他店に広げる。 百貨店各社は 90 年代以降、定休日を縮小・廃止してきた。 三越伊勢丹は「営業日の販売員を手厚くし、サービスの質を高める」としている。 (asahi = 6-20-11) 「世界の工場」広東苦境 - 原料高騰・労働者不足 記事コピー (asahi = 6-18-11) 「高島ちぢみ」のステテコ、女性向け節電ビズに 滋賀 滋賀県高島市の伝統産業「高島ちぢみ」の生産組合が、お父さんの肌着のイメージが強いステテコを女性向けの「節電ビズ」として売り出し始めた。 表面に凹凸のある独特の布は、さらりとした肌触りが特徴で、東日本大震災の影響で一層の節電が求められるこの夏、昔ながらの涼感が改めて注目されている。 クレープと呼ばれる綿素材の布を生産する高島晒(さらし)協業組合(坂尾實理事長)では昨夏、女性用ステテコを初めて作った。 きっかけは 1 本の電話だった。 「女性用のステテコはないんですか?」 大阪府警の女性警官からで、夏場の交通整理の際に父親から借りたステテコを制服の下に着用したところ、汗でべとつかず快適だったという。 ただ、男物では着替える際に恥ずかしい。 そうした声を受け、同組合営業部の清水洋子さん (54) は倉庫から余った布を持ち出し、柄の入った女性用のステテコを考案。 1 着 900 円で販売したところ、「売れて売れて、生産が追いつかないほど(同組合幹部)」という。 「ステテコ復権」は女性に限らない。 繊維メーカー「アズ(大阪府箕面市)」では、若者向けの新ブランド「ステテコドットコム」を 2008 年に立ち上げ、ネット販売も手がける。 商品はすべて同組合で加工された高島ちぢみを使い、はいたまま外出できるおしゃれなデザインが人気を呼ぶ。 「売り上げは右肩上がり」と担当者は話す。 同組合によると、昨年度は夏場商品用に約 7 千キロメートル分の反物を加工したが、今年度は 7% 増の生産を見込んでいる。 同組合ではさらなる売り上げ増を目指し、今年 5 月から、ステテコやキャミソールを「節電ビズ」として売り出した。 また、知名度アップのため、特許庁の「地域団体商標(地域ブランド)」に「高島ちぢみ」の登録を申請中だ。 営業管理本部長の一井正治さん (62) は「伝統の高島ちぢみの良さを幅広く知ってもらい、地場産業の発展につなげたい」と話し、ステテコ人気に期待を寄せている。 (三輪千尋、asahi = 6-11-11)
ちょっと肌寒いアロハシャツ 環境省、超クールビズ開始 多くの学校や仕事場で「衣替え」となる 1 日、東京・霞が関の環境省では、ジーパンやポロシャツなど軽装での勤務を認める「スーパークールビズ」が始まった。 多くの職員がポロシャツ姿で机に向かい、色鮮やかな沖縄の正装「かりゆしウエア」やアロハシャツを着た職員も見られた。 福島第一原発の事故による電力不足で節電が求められる今年、同省はノーネクタイで勤務できるクールビズの期間を、例年より 1 カ月早めて 5 月に開始。 さらに夏場に冷房の設定温度を 28 度にするのを徹底するため、「だらしないものを除く」といった条件付きでジーパンや T シャツ、スニーカーなどの解禁に踏み切った。 企業や他の官庁にも、朝方勤務やうちわ、ブラインドの活用などとあわせて協力を呼びかけていく。 この日の東京は曇り空。 気象庁によると、午前 9 時現在の気温は 14.3 度で、平年よりも約 3 度低い。 無地の T シャツ姿の職員は「さすがに今日はちょっと肌寒いね」と苦笑い。 (平井良和、asahi = 6-1-11) ◇ ◇ ◇ クールビズの定番、かりゆし販売会 東京・霞が関 ![]() 6 月 1 日から官公庁で実施されるクールビズに向け、東京・霞が関の中央合同庁舎 4 号館で「かりゆしウエア展示販売会」が開かれ、枝野幸男官房長官が視察に訪れた。 80 種類、250 着以上が並べられた。 東日本大震災の影響で、例年以上に節電が求められる中、公務員らが多く立ち寄り、購入していった。 枝野長官も「いろんな柄がありますね。 どれが定番ですか?」と聞きながら見て回った。 (asahi = 5-31-11) 服との新しい出会い方 寅さん流やネット投稿 服との新しい出会い方が広がっている。 最新デザインを「行商」で地方に届けるブランド。 インターネット上を行き交う参加者のコーディネートをネットショップに結びつけるサイト。 等身大の視線で、時代の感性を巧みに取り込む。 「コレはどうですか?」 「あ、意外と良いかも。」 ゴールデンウイークの最終日、高松市内の一軒家を改装した畳敷きのギャラリーで、國時(くにとき)誠、里織(さおり)夫妻が来客と談笑していた。 話し合っているのは T シャツの色の組み合わせ方だ。 見方によって壺にも人の横顔にも見える絵柄の「ルビンの壺」がモチーフ。 組み合わせが決まったら、その場でミシンで縫製、完成させる。 國時夫妻は東京・西荻窪にブランド「STORE (ストア)」の店を持つ。 だが年十数回、車に服や材料、ミシンを積み込み、日本各地で「服の行商」を続けている。 ◆ 日本各地を行商 「STORE」は誠が美大時代に仲間 7 人と始めたブランドだ。 展示会を何度も開いたがバイヤーは来ない。 卒業後、誠だけが残った。 誠はデザインしたシャツをトランクに詰め込み、「寅さん行商」と称して売り歩き始める。 2005 年のことだ。 「お客さんと個人的に話すと共感が広がり、響き合えた。 その "化学反応" がうれしかった。」 08 年から、里織と 2 人で全国を回る。 「頑張って足を延ばすと、それなりに結果がついてくる」という。 「ルビン T シャツ」をはじめ、シンプルなデザインが多い。 「服の趣味が多様化し過ぎて、強烈な服は逆に売れない」からだ。 "旅情派ファッションブランド" を自任する「STORE」が提供するのは、「服との出会い。」 知らない土地に自ら出向く。 「今の時代、何を売るかだけでなく、どう売るかも大事です。」 高松では隣県からも人が集まった。 「ルビン T シャツ」を買った徳島県の女性は「生地選びの過程も楽しい思い出。 着る度に思い出すし、服も大切にします。」 ◆ リアルなコーデ 大観衆の前で、自らコーディネートした服でポーズを決める。 先月 29 日、ファッションイベント「ガールズアワード 2011」内で、一般の人たちが服のコーディネートを競うコンテストが行われた。 主催したのは、一般ユーザーが日々のコーディネートを公開できるインターネットサイト「fukulog (フクログ)」。 究極のリアルクローズが日々、更新されている。 気に入ったコーディネートを選び、その服をネットショップで買うことも可能だ。 09 年に開始。 多い時は、月間ユーザー数が 70 万人を超す。 「ファッション好きの自分が街ですれ違う人を見て『カッコイイな』と思うことが増えたのがきっかけです。」 そう語るのはサイト運営会社の盧茂(ろしげる)社長。 ある時期から「雑誌の情報は参考にならない」と感じ始め、「だったらネット上に服と出会える場をつくろうと考えたんです。」 フクログの特徴は「リアルタイムとリアルコーデ」。 全国から毎日届くコーディネートを順位付けせず「"ダダ流し" する。(盧社長)」 旬の服を提案する雑誌とは対極だ。 「フクログ発信の編集や提案はしない。 上から目線はダメ。 『カッコイイ』という心の動きが起これば、自然と服は売れます。」 ◆ 啓蒙から共感へ コンテストの審査委員長を務めた、ファッション専門紙「WWD ジャパン」の山室一幸編集長は「今の若い世代は情報の洪水から必要な情報を瞬時に選び、コーディネートするのが上手」と語る。 一つのブランドへのこだわりは低く、ハイファッションもファストファッションや古着も同時に消化し、着こなす。 高級仕立て服のオートクチュールから、高級既製服であるプレタポルテへ。 さらにファストファッションや日本のリアルクローズに代表される「ファッションの民主化」へ。 山室編集長は言う。 「今やデザイナー不要論まで出るほど。 デザイナーが啓蒙する時代から、ファッションが共感の時代に移ってきたことだけは確かです。」 (竹端直樹、asahi = 5-30-11) 京友禅で水着 氷見市きときと魚大使のデザイナー 6 月に米で発表 ![]() 氷見市きときと魚大使で着物デザイナーの冨田伸明さん (48) = 京都市 = は 18 日までに、氷見市内の縫製会社の協力で京友禅を使った水着を制作した。 冨田さんらは同日、市役所に堂故茂市長を訪ね、水着を披露した。 着物文化を伝える新作は 6 月 26 日に米国・アナハイムのバワーズ美術館で開く着物ショーで発表される。 水着の縫製を請け負う縫製会社「ANC 企画(同市)」の福嶋正浩社長 (41) が協力した。 冨田さんは 2 年前の講演会で福嶋さんと知り合い、着物生地を使った水着の縫製を依頼した。 水着は表地に絹の京友禅、裏地に化学繊維を使った。 福嶋さんは、絹が海水に濡れて縮むのを目立たなくするため縁に特殊な縫製を施し、フリルを付けた。 柄は冨田さんが貝とキクモドキをデザインし、15 種類の型を重ねて一つの模様を作る「板場友禅」の技法で染めた。 市役所に訪問したモデルは、成安造形大 4 年(大津市)の名部綾矢香さん (21) が務めた。 市役所で冨田さんは、2 年後に氷見あいやまガーデンのバラを使った染料で着物を制作する考えも説明。 来月のショーに向け、「着物の文化と氷見の縫製技術の高さを米国で紹介したい」と意欲をみせた。 堂故市長は「成功を期待している」と激励した。 (富山新聞 = 5-19-11) 下着に世界からの応援メッセージ トリンプが公開 ![]() 下着メーカーのトリンプ・インターナショナル・ジャパンは 11 日、日本への応援メッセージを印刷した下着「サポートジャパンブラ」を公開した。 東日本大震災後、世界 36 カ国・地域の関係会社から届いた。 コルセット型のブラジャーと巻きスカートに印刷されたメッセージは「日本と共に前を向いていきます(オーストリア)」、「強さと勇気を持ち続けて!(南アフリカ)」など 54 通り。 同社広報室は「日本全体に少しでも勇気や元気を与えられれば」と話している。 非売品。 (asahi = 5-11-11) 繊維大手 5 社、アジア市場好調で全社増益 繊維大手 5 社の 2011 年 3 月期連結決算が 10 日、出そろい、全社で営業利益が増益となった。 中国や東南アジアなど新興国での自動車や家電の販売拡大が背景だ。 素材となる繊維や樹脂の販売が増え、円高や原料高のマイナス要因も吸収、利益を押し上げた。 帝人のポリエステル繊維事業は、自動車内装材向けの販売増などで 9 年ぶりに黒字に転換した。 クラレはアジアや欧州を中心に液晶テレビ向けフィルムが好調で、営業利益は過去最高となった。 東洋紡は、中国の需要が牽引し、電子部品向けの樹脂が伸びた。 最大手の東レは、炭素繊維事業が航空機向けなどの回復で黒字に転換。 ユニチカは食品用包装材が伸びた。 一方、東日本大震災による設備の損傷などで、東レが 19 億円、帝人が 29 億円、クラレが 10 億円の特別損失を計上した。 ただ純利益は全社で黒字を確保した。 12 年 3 月期の業績見通しは震災の影響が見えないとして、帝人が公表を見送った。 公表した 4 社中 3 社が増収を見込むが、エアバッグ向け繊維など自動車用途の取り扱いも多く、日本の自動車メーカーの生産落ち込みが不安材料だ。 東洋紡の坂元龍三社長は「自動車用は前年の 8 割程度にとどまりそう」とみる。 (田幸香純、asahi = 5-10-11) |