スカイマーク、ANA の支援受け再生へ 債権者集会可決

航空会社スカイマークの民事再生で、航空大手 ANA ホールディングス (HD) の支援を受ける再生計画案が 5 日午後、東京地裁で開かれた債権者集会で可決された。 最大債権者の米リース会社は反対したものの、欧州の航空機メーカーエアバスなど、ほかの大口債権者が賛成した。 ANA 支援案への賛成率は、投票者ベースで約 8 割、総債権額でも 60.25% の賛成を集めた。 約 38% の債権を持つ米リース会社イントレピッドをのぞく、すべての大口債権者が賛成した。 イントレピッドが提案していた米デルタ航空が支援する案は、否決された。

スカイマークは、投資ファンド・インテグラルが 50.1%、ANA が 16.5%、日本政策投資銀行と三井住友銀行がつくるファンドが 33.4% の比率で、計 180 億円の出資を受ける。 会長にはインテグラル代表の佐山展生氏が、社長には政投銀元常務の市江正彦氏が就く予定だ。 ANA は、共同運航するスカイマークの座席の販売や、整備面で再生を支援する方針だ。 (asahi = 8-5-15)


スカイマークに「アジア国際線」 デルタの支援戦略とは

スカイマーク支援に名乗りをあげた米デルタ航空の森本大・日本支社長が 21 日、朝日新聞などのインタビューに応じ、支援が決まれば、将来的にスカイマークにアジア路線を担ってもらうなどの戦略を語った。 支援企業に決まりかけていた日本の航空大手 ANA ホールディングスには戸惑いもみえる。 「グローバルエアラインになってほしい。」 森本氏はこう語り、デルタの支援が実現すれば、今は国内線のみのスカイマークを、将来的にアジアの国際線にデビューさせるなどして、デルタなどがつくる国際線ネットワークに組み込む戦略を披露した。

デルタは、スカイマークの大口債権者である米リース会社、イントレピッドの提案に乗るかたちで支援に名乗りを上げた。 その狙いは、デルタにとって長年の課題だった日本でのパートナー獲得だ。 デルタは現在、日本では成田空港を拠点にし、ニューヨークやアトランタ、シアトルなど米国の都市と、上海、バンコクなどアジアの都市を結んでいる。 ただ、米大手のアメリカン航空が日本航空と、ユナイテッド航空が ANA と提携しているのに対し、デルタには日本にパートナーがいない。 このため、日本の地方都市から乗客を集め、国際線に乗せる戦略がとりにくかった。

支援が決まれば、デルタは日本の規制に従って 2 割弱を出資する方針。 サービス面では、スカイマークにマイレージを導入したり、相互に発券できるようにしたりして利便性を高めていく。 デルタに代わり、アジア路線や成田 - 関空便を担わせる考えもあるという。 (大平要、野口陽、asahi = 7-22-15)


デルタ参画で最終調整、最大債権者側スカイマーク再生案 = 関係筋

[東京/ニューヨーク] 民事再生手続き中のスカイマークの再建をめぐり、同社の最大債権者で米航空リース会社のイントレピッド・アビエーションが策定した再生計画案のスポンサーとして、米デルタ航空が参画する方向で最終調整している。 複数の関係筋が 14 日、明らかにした。 イントレピッドはあす 15 日、独自の再生計画案について債権者向け説明会を都内で開く。 その際、選定中としていた航空会社による支援企業を紹介する方針で、関係筋によれば、デルタの協力が得られることを債権者に説明し、賛同を得たい考え。

具体的な支援内容は今後詰めるが、スカイマークへの出資や共同運航の実施などが想定されている。 出資する場合は羽田空港の発着枠の返上が生じない議決権ベースで 2 割未満になる見通し。 デルタの支援が決まれば、スカイマークは外資系として初めて羽田空港発着の国内線に就航することになる。 米航空大手 3 社のうちデルタだけが日本で国内線の運航面でのパートナーがおらず、同社がスカイマークと組めば、羽田からの乗り継ぎ利便性が高まり、ロサンゼルス便などへの需要拡大が見込める。

両社はすでに、スカイマークの国内線でデルタのマイレージが使えるなど一部で協力関係にある。 6 月にはデルタのエド・バスティアン社長がイントレピッドから打診を受けたことを認めていたが、デルタ広報は交渉状況に関して「コメントするのは時期尚早だ」としている。 スカイマークの再生計画案をめぐっては、同社はすでに全日本空輸を傘下に持つ ANA ホールディングスの支援を軸にした案を表明。 この案にイントレピッドが反発、対抗案を出した。 同社は ANA に代わるスポンサー候補を 2 社に絞り込んだとしつつも確定できていなかったため、対抗案の実現性が懸念されていた。

イントレピッドが ANA 案に反対する背景には、スカイマークの破綻でこうむったリース契約の損失を ANA に肩代わりしてもらうはずだったものの、その交渉が不調に終わったことがある。 イントレピッド側のこうした期待が、デルタ側にものしかかる可能性がある。 8 月 5 日に開く予定の債権者集会では、スカイマークとイントレピッドの 2 つの再生計画案が付議される異例の展開となっている。 書面による投票期限も 7 月 24 日に迫っており、両案とも支持集めが激しくなっている。 (白木真紀、Reuters = 7-14-15)


スカイマーク、100% 減資へ 大手 PR 会社も支援参加

スカイマークの民事再生手続きで、株式の価値をゼロにする「100% 減資」を行う見通しになったことが 28 日わかった。 株主の責任を明確にし、支援企業が出す資金をすべて負債の返済に回す。 また投資ファンドのインテグラルに加えて、大手 PR 会社のサニーサイドアップが支援企業になることも決まった。

スカイマーク株は最後の市場取引となった 2 月 27 日、14 円の終値を付けていた。 資本金で損失を穴埋めして負債をできるだけ減らし、債権者への返済を最優先する姿勢を示す。 それにより、最大 830 億円の違約金を求めているエアバスなどの債権者に再生手続きへの理解を求める。 サニーサイドアップは出資はせず、顧客サービスなどで支援する。 同社は中田英寿氏ら著名人のマネジメントや企業広報を手がけるほか、パンケーキが人気の飲食店「ビルズ」も運営している。 支援の第 1 弾として、所属する歌手の大黒摩季さんがスカイマークの応援歌をつくったという。

スカイマークは 28 日、社員とその家族向けの説明会を開いた。 約 200 人が参加し、インテグラルの佐山展生代表が「人員削減や給与カットはしない。 他の航空会社の支援は、スカイマークにとって非常にいい内容なら考えるが、なくてもいい。」と語った。 1 - 2 月の業績も明らかにした。 乗客数は民事再生申し立て前の 2 週間が 1 日平均 1 万 1 千 - 1 万 2 千人台だったのに対し、2 月中旬は 1 万 4,864 人に増加。 搭乗率は 50% 前後から 70.5% に回復した。 経営不安で利用を敬遠していた客が戻ったとみられる。 (上栗崇、asahi = 3-1-15)


スカイマーク再生支援、ANA とエアアジアが名乗り

ANA ホールディングス (HD) は 23 日、民事再生手続き中のスカイマークに出資を含めた包括的な支援策を提案した。 マレーシアの格安航空会社 (LCC) であるエアアジアも出資を伴わない事業面での支援に名乗りを上げた。 スカイマークは他の航空会社や事業会社からの提案内容と比較した上で、3 月上旬にも複数の共同スポンサーを選出する方針だ。

ANA HD は昨年末から共同運航に向けた提携交渉を始めるなど、スカイマークの経営問題に「一貫して大いに関心を持ってみてきた。(ANA HD の伊東信一郎社長)」出資を含めて再生を支援することで、スカイマークが保有する羽田発着枠を自社の運航戦略と連携させる狙いがあるとみられる。 エアアジアはスカイマークの業績不振の要因となった欧州エアバス製の中型機「A330」を新たな事業部門に切り出した上で国際線などに転用し、共同運航する案を示している。 エアバスから巨額の違約金を求められている超大型機「A380」については、売却先をあっせんする方針だ。

スカイマークはすでに投資ファンドのインテグラル(東京・千代田)とスポンサー契約を交わしている。 財務アドバイザーに選んだ GCA サヴィアンを通じてインテグラルとの共同スポンサーを募っていた。 19 日に募集を締め切った航空会社以外の業種については旅行大手のエイチ・アイ・エス (HIS) やオリックス、新生銀行など約 20 社が支援の意向を表明した。 航空会社の共同スポンサー候補については、今後の再生計画作りに大きな影響を及ぼす可能性があるため、別途 23 日を募集の期限としていた。 (nikkei = 2-23-15)


HIS とオリックス、スカイマーク支援の意向

[東京] エイチ・アイ・エスとオリックスは 19 日、民事再生手続き中のスカイマークの再建を支援する意向を表明した。 複数の関係者がロイターに対し、両社が支援意向表明の書類を提出したことを明らかにした。 スカイマークは、当時の HIS 社長だった澤田秀雄氏らの出資によって設立された経緯がある。 一方、オリックスは、リース、保険、投資事業などを手掛ける金融会社。

スカイマークの事業スポンサーについては、航空会社だけでなく業種を問わず幅広く募集しており、2 月中にも決める予定。 一般企業の募集期限は 19 日だった。 一方、航空会社は支援内容が多岐にわたるとして、募集期限は 23 日となっている。 すでに日本航空の植木義晴社長は 18 日、事業スポンサーに手を挙げない考えを明らかにしている。 (Reuters = 2-19-15)


スカイマーク、民事再生法適用を申請へ 運航は継続

国内航空 3 位で経営不振が続く東証 1 部上場のスカイマークが自力での経営再建を断念し、民事再生法を申請する方針を固めた。 今夜開く臨時取締役会で決議し、東京地裁に申請する。 当面の運航や燃油費などの支払いは継続する。 負債総額は欧州エアバスから求められている最大 7 億ドル(約 820 億円)の損害賠償など簿外の債務を加えると 1 千億円超になる見通し。 格安航空会社 (LCC) との競争などで業績が悪化し、足元の資金繰りに行き詰まった。

民事再生法の申請が受理されれば、裁判所が選任する弁護士とともにスポンサーの選定と再生計画作りに着手する。 再生計画がまとまるまでの運転資金について、投資ファンドであるインテグラル(東京・千代田)がつなぎ融資の実施に名のりをあげており、運航と営業活動を継続する考えだ。 臨時取締役会では西久保慎一社長は退任し、井手隆司会長が社長に就く人事も決議する方針。 (nikkei = 1-28-15)

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4 路線、スカイマークが 3 社共同運航 全日空・日航と

国内航空 3 位のスカイマークが、全日本空輸、日本航空と実施する共同運航の詳細がわかった。 羽田と神戸、札幌、福岡、鹿児島、那覇を結ぶ 5 路線(36 便)が対象で、神戸線は全日空と、残り 4 路線は 3 社で共同運航する。 3 社による共同運航は国内線では極めて異例だ。

全日空と日航が月内にも、国土交通省に共同運航を申請し、3 月 29 日から始める。 運航便の座席のうち 20% 弱を、神戸線は全日空が、それ以外は全日空と日航が半分ずつ買い取り、自社の便として客に売る。 全日空の客は羽田空港で普段と違うターミナルを使うことになるため、利用者が混乱しないよう空港での案内などを工夫する方針だ。

国交省は、公的資金で経営再建された日航が他社との競争で有利にならないよう 2016 年度までは新規路線を認めない方針。 このため、日航が就航していない羽田 - 神戸は全日空のみとの共同運航になる。 3 社による共同運航は国内線では異例だが、国際線では珍しくないという。 (上栗崇、土居新平、asahi = 1-23-15)


スカイマーク、ANA 傘下入り検討 自力再建を断念か

国内航空 3 位のスカイマークが、同首位の ANA ホールディングス傘下での経営再建を検討していることがわかった。 航空大手の出資を受けない形での再建にこだわってきたが、資金繰りの悪化で自力再建をあきらめる可能性が出てきた。 出資の条件として、ANA は「エアバスが求めている違約金などが何らかの形で整理されること(幹部)」としている。 関係者によると、西久保慎一社長が何らかの経営責任を取ることも条件の一つだという。 すでに担当者を派遣して出資の前提になる資産査定を始めており、国土交通省も出資を認める方針だ。

出資する場合、比率は 20% 弱とみられる。 他の航空会社に株の 20% 以上を握られると、羽田空港の発着枠を返上しなければならないためだ。 ANA が経営陣を送りこむなどしてリストラや効率化を進め、主要路線を持つ羽田発着便で着実に利益を出すねらいがある。

また、日本政策投資銀行や三井住友銀行も、支援要請があれば融資や出資に乗り出す可能性がある。 ANA を含めた 3 社の出資、融資を合わせると、数百億円規模の資金がスカイマークに入る見通しだ。 約 30% の株を握りワンマン経営を続けてきた西久保社長が経営の実権を失い、会社の形が大きく変わる可能性がある。 (asahi = 1-10-15)


スカイマーク、最大 25% 出資受け入れ ファンドと交渉

国内航空 3 位のスカイマークは 10 日、資金調達のため、来年 1 月にもファンドから最大 25% の出資を受ける方針を明らかにした。 調達額は 50 億円規模とみられ、国内外のファンド 4 社と交渉しているという。 日本航空や ANA ホールディングスとの業務提携と合わせて、当面の経営難を乗り切る考えだ。

西久保慎一社長が朝日新聞などの取材に明らかにした。 新株を発行して特定の相手に買い取ってもらう「第三者割当増資」を予定しているという。 25% の出資を受けた場合、今は議決権ベースで 30.56% の株を持つ西久保社長と同規模の株数をファンドが持つ計算だ。 日航や ANA から出資を受けて傘下に入ることなく、経営の独立性を保つねらいがある。 (asahi = 12-10-14)


スカイマーク、ANA と提携交渉 JAL から一転

国内航空 3 位のスカイマークが、同 2 位の日本航空と業務提携する方針から一転、首位の ANA ホールディングスとも提携に向けて交渉に入ることが 9 日わかった。 日航との提携交渉に難色を示していた国土交通省は、ANA とも提携させたい意向で、業績不振のスカイマークは受け入れざるを得ないと判断した。

提携交渉は羽田と札幌、福岡などを結ぶ 5 路線 36 往復を共同運航することを柱とする。 国交省は各路線を日航と ANA に割り振る案も検討する。 ただ、民主党政権が公的資金で再建した日航が事業を拡大することには自民党の反発が強く、ANA 幹部も「日航との提携は認めない」としているため、ANA のみとの提携になる可能性も高い。

ANA は共同運航するエア・ドゥなど国内 3 社に出資し、スカイマークとも資本提携に発展する可能性がある。 スカイマークは競争激化で業績が悪化。 航空機のキャンセルでエアバスから違約金も請求される。 西久保慎一社長は 11 月、「共同運航が認められなければ経営が立ちゆかない」と話していた。(上栗崇、土居新平、asahi = 12-10-14)


スカイマークと日航提携、国交相が難色 「厳しく判断」

スカイマークが打ち出した日本航空 (JAL) との業務提携について、太田昭宏国土交通相が 25 日、「厳しく判断する」と難色を示した。 国交省は ANA ホールディングス (HD) と提携させる案を検討している。 企業同士の構想を、国がひっくり返す異例の展開になる可能性もある。

太田国交相は閣議後会見で「健全な競争環境の確保の観点から、厳しく判断する」と述べた。 提携の柱は、スカイマークの羽田 - 札幌、福岡など 5 路線 1 日 36 往復を日航との共同運航にすること。 国交相の発言は、申請しても認めない可能性を示唆したものだ。 省内では、両社の提携は日航の業容拡大につながるため、「ANA HD などとの競争関係を崩す(幹部)」との声がある。 スカイマークを ANA HD と日航の両方と共同運航させるか、ANA HD だけと共同運航させる案が検討されているという。 (土居新平、上栗崇、asahi = 11-26-14)


スカイマーク、日航と提携へ 羽田 5 路線で共同運航方針

国内航空 3 位のスカイマークは 21 日、同 2 位の日本航空と業務提携する方針を明らかにした。 羽田空港を発着する 5 路線を日航と共同運航する方向で交渉しているという。 経営難のスカイマークには ANA ホールディングス (HD) も提携に興味を示していたが、日航が一歩先んじた形だ。 西久保慎一社長が朝日新聞などの取材に応じた。

スカイマークが羽田と福岡、札幌、那覇、神戸、鹿児島の間で運航している 1 日 36 便を両社の便名で運航し、2 割強ほどの座席を日本航空に提供する方向という。 空席が減り、売上高が年間 80 億円程度増える見込みという。 日航との今後については「資本提携の話は今は全くない」とした。 羽田の発着枠はすでに空きがなく、日航にとっても国内線の路線を強化できるメリットがある。 日航の広報は「スカイマークから業務提携の要請があり、前向きに検討している」とした。 スカイマークは月内にも国土交通省に認可を申請し、来年 2 月から共同運航を始めたい意向だ。 (土居新平、asahi = 11-21-14)

前 報 (8-6-14)