富山以西の日本海でズワイガニ漁解禁 被災した石川・輪島でも水揚げ

富山県以西の日本海で今季のズワイガニ漁が 6 日、解禁された。 2024 年元日の能登半島地震で海底が隆起し、岸壁も損傷した石川県輪島市の輪島港はその影響が残り、今季も浮き桟橋に船をつけてベルトコンベヤーや重機で港にズワイガニを水揚げした。 漁期はメスが 12 月末まで、オスが 26 年 3 月 20 日まで。

沖に出ていた小型底引き網船 34 隻が 6 日午前から次々と輪島港に戻り、水揚げを始めた底引き網漁船「新寿丸」の加川久寿さん (34) は「初日から漁に出られてよかった。 海も荒くなかった。」 この日は、オス 50 箱、メス 80 箱の計 130 箱を出荷した。 「オスが去年より少し多かった。 去年のように、今年も最後まで安定的にとれたらいいな。」」と話した。 県漁業協同組合輪島支所によると、24 年度の輪島港のズワイガニの水揚げ量はオスが 69.6 トン(前年度比 259%)、メスが 44.6 トン(同 66.7%)。 総水揚げ金額は前年度比約 1.5 倍の 1 億 7,470 万円だった。 (近藤咲子、asahi = 11-6-25)


静岡・由比漁港でサクラエビ秋漁初競り 水揚げ昨年並み、価格は高騰

駿河湾特産のサクラエビの秋漁が始まり、県内で 5 日、初競りがあった。 由比漁港(静岡市清水区)と大井川港(焼津市)に昨年並みの計約 2.3 トンが水揚げされ、由比漁港の初競りでは、1 かご(約 15 キロ)あたりで昨年より 3,210 円上回る 8 万 5,110 円の最高値がついた。 平均値も 8 万 3,862 円と、昨年に比べて 8,312 円高かった。

サクラエビは、国内では唯一、駿河湾で漁が認められている。 資源保護のため、漁期は年 2 回で、3 月中旬 - 6 月初旬に春漁、10 月下旬 - 12 月下旬に秋漁が行われている。 秋の初漁は、悪天候と 3 連休を挟んで当初予定より 6 日遅れた 4 日夜に行われ、由比港漁業協同組合と大井川港漁業協同組合の計 118 隻が出漁した。 初競り後、由比港漁協の大石達也代表理事組合長 (54) は、「夏場の水温が影響したのか、魚体は少し小さいが、量的には昨年と大体同等。 今後、12 月までコンスタントに漁獲が上がっていけばと、期待している。」と述べた。 (戸村登、asahi = 11-5-25)

--------------------------------

鮮やかなイルミネーションが彩る 冬の風物詩「光の街・博多」始まる

冬の風物詩「光の街・博多」が 1 日、福岡市博多区で始まり、冬を迎える街を鮮やかなイルミネーションが彩った。 JR 博多駅前広場では点灯式が行われ、高さ 14.9 メートルのシンボルツリーや大屋根に星空をイメージしたイルミネーション「スターダストウェーブ」などが光を放ち、訪れた人たちが記念撮影をしていた。

12 月 25 日までクリスマス・マーケットが開かれ、伝統的なクリスマス雑貨や料理、ホットワインなどが楽しめる。 期間中は毎晩音楽ライブなどのイベントが開催される。 このほか、JR 博多駅周辺では、「博多まちづくり推進協議会」が各通りの街路樹を約 120 万球の LED 電球で手がけ、クリスマスシーズンを華やかに演出する。

点灯時間は午後 5 時 - 午前 0 時。 イルミネーションは来年1月12日まで。 (日吉健吾、asahi = 11-1-25)


田久保・伊東市長の失職決定 2 度目の不信任可決 市長選の見通しは

静岡県の伊東市議会(定数 20)は 31 日、臨時会を開き、学歴詐称が指摘されている田久保真紀市長に対する不信任決議案を賛成多数で可決した。 2 度目の不信任可決により、田久保氏は 31 日付で失職となる。 在職日数は 156 日だった。 出直し市長選は 12 月 14 日投開票となる見込みで、これまでに前市長や前市議ら 5 人が立候補の意思を固めている。 田久保氏はまだ態度を明らかにしていない。

9 月定例会の初日となる 9 月 1 日に最初の不信任決議が可決されたが、田久保氏は辞職・失職を選ばず、「議会改革で信を問いたい」として市議会を解散した。 10 月 19 日に投開票された市議選では、不信任決議に賛成した前市議 18 人が再選され、田久保氏の失職が確定的となった。

この日の臨時会では、田久保氏から「卒業証書」とされる文書を「チラ見せ」された中島弘道市議と青木敬博市議がそれぞれ議長と副議長に再び選出された。 このほか、市議会解散で市議が不在となっていた間に田久保氏が専決処分した案件の報告承認や、9 月の台風 15 号による復旧工事のための補正予算案が採決された後、不信任決議案が提出された。 賛成討論、反対討論の後にただちに採決され、賛成 19、反対 1 で可決された。

雪辱を期す前市長 3 位当選の前市議

地方自治法の規定で、定数 20 の 3 分の 2 以上の議員が出席して過半数が賛成したため、田久保氏は即日失職し、50 日以内に市長選が行われることになった。

5 月の市長選で初当選した田久保氏は、選挙前に報道機関に提出した「経歴調査票」や市の広報誌で「東洋大卒」としていた。 6 月初旬に差出人不明の文書が市議全員に送付されて詐称疑惑が浮上した。 その後、7 月初めに「除籍の事実が判明した。」と公表し、辞職して出直し市長選に立候補する意向をいったん示したが、7 月末にこれを撤回し、市長続投を表明した。 自身の経歴詐称疑惑に端を発し、辞職表明や撤回、市議会解散など市政の混乱が約 5 カ月続いてきた。

田久保氏は、市民や市議会などから公職選挙法違反や地方自治法違反など複数の容疑で刑事告発されている。 田久保氏の失職に伴う市長選には、前市長の小野達也氏 (62) と前市議の杉本憲也氏 (43) が立候補の意向を固めている。 小野氏は 3 選を目指した 5 月の市長選で田久保氏に 1,782 票差で敗れた。 杉本氏は 23 年の市議選で 1,417 票を集め、3 位で当選。 10 月 19 日投開票の市議選には立候補していなかった。 (南島信也、asahi = 10-31-25)


九電、純利益が 1.6 倍の 1,200 億円 通期業績予想も上方修正

九州電力が 31 日発表した 2025 年 9 月中間決算は、売上高が前年同期比 2.0% 減の 1 兆 1,277 億円、純利益が 65.9% 増の 1,232 億円だった。 火力発電の燃料に、比較的コストが安い石炭の使用割合が増えたことで利益を押し上げた。 26 年 3 月期決算の業績見通しは純利益を上方修正した。 年比 8.7% 増の 1,400 億円と、今年 4 月時点の予想から 200 億円引き上げた。 九電は同日、検討を進めている純粋持ち株会社制への移行後の体制を公表した。 新設する持ち株会社の下に九電や九州電力送配電、九電みらいエナジーなど六つの事業会社をぶら下げる予定で、移行時期は検討中だ。

また、玄海原発(佐賀県玄海町)で 7 月、ドローンの可能性があるとされる三つの光が目撃された問題をめぐって、佐賀県警の本部長が 9 月の県議会で「航空機の光をドローンによるものと勘違いした可能性が高い」との見方を示した。 見解を問われた九電の西山勝社長は「コメントは差し控える」としつつ、「モノがなんだったかよりも、これから皆さんに安心していただく取り組みを進めていかないといけない」と話した。 (松本真弥、asahi = 10-31-25)


姿を現した朱色の正殿 焼失から 6 年、ドローンで見た首里城

2019 年 10 月 31 日未明に起きた火災で焼失した那覇市の首里城(国営沖縄記念公園)の復元工事が進んでいる。 6 年ぶりに姿を現した正殿をドローンで撮影した。 上空から見ると、正殿を覆っていた「素屋根」がほぼ取り外され、色鮮やかな赤い外観が目を引いた。 屋根には、竜の装飾や獅子をかたどった鬼瓦が見られた。

首里城は創建以来 5 回の火災に見舞われた。 今回の工事では、正殿にスプリンクラーが導入されるほか、夜間でも鮮明な映像で状況を確認できる監視カメラを設置するなど、防災面の強化をはかった。

今後は、来秋の完成に向けて、内部の壁や柱に漆を塗り彩色する作業などが進められるという。 現在、正殿周辺は工事に伴う仮囲いがあり、その一部に設けられたアクリル板から復元された首里城を見ることができる。 (小宮路勝、吉本美奈子、asahi = 10-27-25)


「来年行くべき旅行先」に山形県 米メディア選定「別世界の静けさ」

来年行くべき旅行先は、YAMAGATA - -。 米国のメディアが選んだ「2026 年に行くべき世界の旅行先 25 選」に、国内で唯一、山形県が入った。 「古来の伝統があり、人混みなしで神秘的なアウトドア体験ができる」ことが行くべき理由だという。 ナショナル・ジオグラフィックが 21 日に「Best of the World 2026」として発表した。 「オーバーツーリズムになっている観光地もある中、東京から 320 キロの山形は、別世界のような静けさを保つ場所」と評価。 「忘れがたい目的地」として、蔵王のスキー場と温泉、フォトジェニックな温泉街・銀山温泉、山寺(立石寺)を挙げ、山岳信仰が息づく出羽三山の山歩きにも言及があった。

日本政府観光局(独立行政法人国際観光振興機構)によると、山形県は 9 月にあったアドベンチャートラベルの関連事業でも、海外の旅行会社から「自然と文化の融合による唯一無二の魅力がある」と絶賛されたという。 25 の旅行先はほかに、ハワイ・マウイ島やスペインのバスク地方、モロッコのラバトなどが選ばれた。 アジアでは、北京やマニラなどが入っている。 (斎藤徹、asahi = 10-24-25)


川をまたぐ水道管、7 割が耐震性不十分な橋に設置の恐れ 供給に懸念

橋桁部分に水道管が固定されている橋を会計検査院が調べたところ、調査した橋の約 7 割で耐震性が確保されていない恐れがあった。 医療機関や避難所に接続している管もあり、地震の際に水の供給などができなくなる恐れがあるという。 全国の自治体などは、河川を越えて上下水道管を通す場合、橋桁に金具で固定するなどの方法で管を通している。 地震で橋が壊れれば管も傷つく恐れがあり、耐震性が確保されていない橋に管を固定することを国土交通省は原則認めていない。 やむを得ない場合は、給水車を確保するなどの応急対策を求めている。

検査院は、41 自治体などが 2022 - 23 年度に管の工事契約を交わした 74 の橋を対象に、各自治体が橋の管理者に耐震性を確認しているかなどを調べた。 その結果、43 カ所は古い耐震基準で設計されていたり、築年数が不明だったりした。 別の 8 カ所では、事業主体の 6 市町は、橋の耐震性を確保できていない恐れがあることを把握していたのに、早期に通すことなどを優先して工事を行っていた。

これら計 51 カ所(28 自治体など)に関しては、いずれも給水車などの応急対策も取られておらず、地震の際に上下水道の機能が確保できない恐れがあった。 このうち 16 カ所に設置された管は病院や避難所、浄水施設などに接続しており、検査院は「上下水道システム全体が機能を失い、甚大な影響が生じる恐れがある」と指摘した。

国交省、管自体の耐震性だけ確認

国交省は 24 年、能登半島地震を踏まえて管など上下水道施設の耐震性について緊急点検を行い、同年 11 月に結果を公表した。 だが検査院によると、国交省は管自体の耐震性は確認したが、橋に固定されていた場合の橋の耐震性は把握していなかった。 国交省は取材に、「各自治体に対し、橋の耐震性の確認や、他のルートへの変更の検討などを実施するよう周知した」と答えた。 (根津弥、asahi = 10-21-25)


ブドウ界のトップ交代 シャインマスカットが「王様」巨峰を抜く

ブドウ界で「王様」と呼ばれる巨峰が栽培面積で首位の座を譲り渡した。 代わりにトップに躍り出たのは、市場を席巻しているシャインマスカットだ。 食べやすさや、栽培のしやすさが背景にあると見られる。 巨峰は 1940 年代に誕生した品種で、大粒で黒系の実で、甘みと果汁の多さが魅力。 見栄えもよく、贈答用などで親しまれ、生食用として栽培されるブドウの中では、長年日本一の栽培面積を誇ってきた。 農林水産省によると、統計がある 2001 年以降、巨峰の栽培面積は 03 年の 6,368.9 ヘクタールをピークに、最新の 22 年には 2,327.4 ヘクタールと、大きく落ち込んだ。

シャインマスカットは国立研究開発法人の農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)が開発。 強い甘さが特徴の白系のブドウで、種がなく皮ごと食べられる。 品種登録をした翌年の 07 年には 2 ヘクタールだった栽培面積は、22 年には 2,672.9 ヘクタールと 1,300 倍以上に急増している。 東京都中央卸売市場での巨峰の取扱量は約 2,146 トン(24 年)で、10 年前と比べて 6 割近く減少した。 一方、シャインマスカットは 4 倍近い、約 8,152 トンの取り扱いがあり、単価も 3 割ほど高い。

農水省によると、国内のブドウの生産者は高齢化し、負担が大きいブドウの栽培面積は減少している。 実の色づきの管理など栽培に手間がかかる巨峰に対し、シャインマスカットは比較的栽培がしやすく、単価も高いため、切り替えが進んでいるとみている。 (山田暢史、asahi = 10-19-25)


TSMC の熊本第 2 工場「建設開始」 CEO が決算説明会で明らかに

半導体受託製造の世界最大手、台湾積体電路製造 (TSMC) が熊本県に予定している第 2 工場について、魏哲家・最高経営責任者 (CEO) は 16 日の決算説明会で、「建設が始まった」と語った。 量産の開始時期については「顧客の需要と市場状況に基づく」と説明した。 TSMC は第 2 工場の着工について当初、2025 年第 1 四半期(1 - 3 月)としていたが、その後「25 年内」に修正。 魏氏は着工遅れの理由について、現地の交通事情などを指摘していた。 (台北・高田正幸、asahi = 10-15-25)


B リーグの業績が過去最高 千葉ジェッツは初の売上高 50 億円突破

バスケットボールの B リーグは 14 日、2024 - 25 年シーズンの決算概要を発表した。 B1、B2 (全 38 クラブ)の売上高合計は前年から 17.9% 増の 651 億円となり、過去最高を更新した。 クラブ別の売上高は、B1 千葉 J が最高で 51 億 7 千万円(前年比 69.1% 増)。 クラブ単体での 50 億円突破はリーグ史上初めて。 リーグ全体の入場料収入は前年比 33.0% 増と大きく伸び、スポンサー収入も同 9.9% 増と着実に増加した。 競技人気の持続に加え、新設アリーナの効果が寄与したという。

B1 では、千葉 J のほかに A 東京(36 億 2 千万円)、琉球(35 億 6 千万円)、宇都宮(31 億 9 千万円)が売上高 30 億円を超えた。 20 億円台が 7 クラブ、10 億円台が 13 クラブ。 12 億円の FE 名古屋が最も低かった。 収入が伸びた一方、費用もかさんだ。 B1 のトップチーム人件費は平均約 8 億 3 千万円となり、前年から 1 億円以上増えた。 赤字のクラブ数は、B1 が 2 から 8、B2 が 3 から 7 へ増加。 前年に引き続き、債務超過のクラブはなかった。 (asahi = 10-14-25)


津波からドローンが守る J アラート連動、自動離陸 沿岸部飛び警報

仙台市は、ドローンが被災状況の把握にとどまらず、避難誘導まで担う「世界初」の津波避難広報システムを 2022 年 10 月から運用している。 9 月中旬、タイやブルネイ、サモア、フィジーなど、アジア・太平洋地域の約 20 カ国から防災担当者らが仙台市を訪れ、沿岸部の浄化センター屋上にある基地局で試験飛行を視察した。 (mainichi = 10-12-25)


世界遺産・白川郷の合掌造り集落にクマ出没 スペイン人観光客が軽傷

岐阜県白川村によると、5 日午前 8 時 30 分ごろ、世界遺産・白川郷合掌造り集落内の城山展望台行きシャトルバスの乗り場付近にクマが現れ、付近にいたスペイン人観光客の男性 (40) が軽傷を負った。 村や県によると、男性は背後からツキノワグマに襲われ、右上腕をひっかかれた。 シャトルバスの乗り場は国の重要文化財「和田家住宅」の北側にあり、男性は近くの観光案内所まで行って、助けを求めたという。

クマは体長約 1 メートルとみられる。 村内では今年度、クマの目撃情報が 90 件以上あるが、人への被害は今回が初めてだという。 村は対策本部を設け、展望台遊歩道を通行止めにした。 また、村と県警、猟友会は、わなを仕掛け、観光客に注意を呼びかけるための看板を置くなどの対応を取ったという。 (堀内未希、asahi = 10-5-25)


キノコ日本一県の大祭が 10 周年へ 家計に優しいので「5 倍食べて」

キノコ生産量が日本一の長野県で開かれる「ナガノきのこ大祭」が 10 周年を迎える。 魅力を伝え、たくさん食べてもらう目標がある。 「きのこ毎日 50 グラム」が合言葉という。 きのこ大祭は、キノコに関わる企業、団体などが集って長野県内では 2016 年に始まった。 新型コロナ禍による中断もあったが、昨年 4 月の前回は約 6 千人が訪れた。 今年は 10 月 11 日、長野県千曲市の信州の幸(めぐみ)あんずホールで催される。 キノコづくしの内容だ。

10 周年を機に公式ソング「ハッピー de きのこっぴぃ」をつくった県出身の歌手・小林ひろさんとキノコのゆるキャラのショー。「きのこ汁」千人鍋の無料提供。 品評会で農林水産大臣賞などを獲得したキノコたちの展示。 キノコフィギュアをうまく釣ったらキノコのもぎ取りをできるコーナー。キノコを持参したら、食べられるか、どんな種類かを鑑定してくれるコーナー - - 。 林野庁によると、長野県の 24 年のきのこ類の生産量は約 14 万 5 千トン。 全国シェアが 3 割強でトップの「きのこ王国」だ。 マツタケは全国シェアの 7 割強を占める。

マツタケはともかくキノコの多くは家計に優しい。 だが、生産者の多くは原燃料価格の上昇に苦しむ。 価格転嫁の努力をするが競争が激しく、事業者からは「『物価の優等生』と言われると値上げをしづらい」という声も 。それならば販売量を増やそうと、イメージの強い秋だけでなく通年の消費拡大を訴える。

日本きのこマイスター協会(本部・長野県中野市)の前沢憲雄理事長が大祭実行委員会代表を務める。 1 日の記者会見で、一般の人が食べる量が 1 日10グラムといわれることを踏まえ、大祭の合言葉の「きのこ毎日50グラム」を強調し、いつもの5倍食べてと呼びかけた。「毎日食べれば、便通も肌の張りもよくなる。私は100グラム食べている」という。 (志村亮、asahi = 10-4-25)


羅臼昆布を生産する夫婦が始めた宿 世界中から料理人が集う魅力とは

世界自然遺産登録 20 年を迎えた北海道・知床で今年、1 日一組限定の小さな宿が誕生した。 「昆布の王様」と言われる羅臼昆布を生産する漁家の夫妻が始めた。 宿泊者の多くが国内外からの料理人だという。 その魅力とは - -。 羅臼町の加瀬基敏(もとはる)さん (46)、里紗さん (44) が経営する「KOBUSTAY (こぶすてい)」。 今年 2 月、築 40 年の 2 階建て昆布番屋(作業小屋)を改築して、2 階部分を宿泊施設にした。 最大 6 人泊まれる。 発案したのは里紗さんだという。

素泊まりのみだが、室内には広いキッチンとテーブルがあり、調理器具が充実する。 ワイングラスはオーストリアの名門ブランド品だ。 旬の魚や野菜、卵などの差し入れもあり、冷蔵庫には「羅臼昆布極上一番だし」が常備されている。 これを宿泊者は炊飯や鍋料理、みそ汁に使うのだという。 窓からは、手が届きそうな距離に根室海峡が見え、対岸には北方領土の国後島を望む。 目線を手前へ落とせば、そこは美しく小石が敷き詰められた浜、昆布の干し場(昆布浜)がある。 7 月中旬 - 8 月下旬、そこでは、加瀬夫妻らが昆布の生産作業をする。 知床の海辺で暮らす人々の営みが間近にある。

深呼吸する。 潮風に混じって昆布の薫りがかすかに漂っているのが分かる。 なぎさで波に巻かれる小石の音がリフレインしている。 里紗さんは札幌市出身。 25 歳のときの 2007 年、全国公募された知床羅臼町観光協会の事務局長に採用された。 それまでは道産食材の卸事業を自ら起業・経営し、道内外を飛び回っていた。 羅臼に飛び込んだ理由の一つは「風や水、空や海や山と一緒に地元の食材を味わってもらう。 それが本物じゃないか」と思ったからだった。

やがて昆布生産を営む基敏さんと出会い、退職、結婚。 3 人の子宝にも恵まれた。 羅臼に来たころは「よそ者」扱いもされたが、今はたくましい「浜の母ちゃん」だ。 しかし、不安もよぎるようになった。 「私たち家族の暮らしは、基(もと)くんの腕に完全にかかっている。 彼がけがをしたらどうしよう。」、「海の仕事は怖い。 浜にいて温暖化を肌で感じる。 いつまで昆布が採れるのだろうか。 燃料高も続く …。」 一方、ユネスコ無形文化遺産に登録された「和食」は、いまや世界中の料理人から注目される。 その基本は「だし」で、羅臼は「最高級のだし昆布」の生産地。 それをなりわいとするのは強みでもある。

羅臼昆布が商品になるまでには、「採る」、「干す」、「巻く」、「切る」、「選別」といった 20 を超える工程がある。 里紗さんは、その工程を体験でき、知ることができれば、より魅力を伝えられるのではと考えた。 そんな時、番屋の改築の話が持ちあがり、「KOBUSTAY」をつくることになった。 1 階の作業場所は、宿泊者限定で体験ができるようにした。 体験プランは、▽ ハサミを使って「ヒレ刈り」と呼ばれる昆布の整形作業、▽ 早朝に昆布を手で洗い、天日干しにした後、漁師飯の朝食を食べる、▽ 北海道各地の厳選した昆布のだしを比較する「利きだし」、など様々。

2 月の開業以来、デンマークのコペンハーゲンや、スペインのバルセロナなど国外約 15 カ国に東京などの国内を加え、延べ 465 人(9 月現在)が宿泊したといい、その多くが料理人だという。 神奈川県藤沢市の和食店「江ノ島小屋」の料理人らは 8 月 18 日から 4 泊 5 日で滞在した。 相沢規勝代表は「奥が深くて丹精がこもっていて、血と汗と涙と愛情で羅臼昆布ができていることが、ここでわかった。 何てすばらしい宿なんだ。」と加瀬夫妻の取り組みを感心していた。 基敏さんは「ゆったりと、ここで暮らすように利用してもらえたら」と話す。

 問い合わせは「KOBUSTAY」のホームページから。 (神村正史、asahi = 9-29-25)


サクランボ県ピンチ、2 年続けて不作 若手農家「踏ん張りたいが …」

温暖化や高齢化で、サクランボの栽培が難しくなっている。 2 年続けて深刻な不作が続き、生産量全国一の山形県では、栽培からの撤退を考える農家も出始めている。 山形市の西隣、山辺町は、サクランボやリンゴの栽培が盛んな町だ。 「お天道農園」を営む安孫子(あびこ)陽平さん(33)は山あいのサクランボ畑で「ここの木は今年、まったく実らなかった」とため息をついた。 65 アールのサクランボ畑で「佐藤錦」など 5 品種を育てている。 昨年は本来の収穫量の 6 割ほどにとどまり、今年は半分もとれなかった。 なかでも、栽培面積の 7 割を占める佐藤錦はほとんど実をつけなかった。

山形県は全国のサクランボ生産量の約 7 割を占める。 県によると、今年のサクランボの収穫量は 8,500 トンほどで、平成以降で最低の見通しだ。 平年の 1 万 2,700 トンを大きく下回った。 サクランボは、マメコバチやミツバチが花粉を運ぶことで実を結ぶ。 県は、佐藤錦の花が咲く 4 月に気温の低い日や雨、強風が続き、蜂が活動できなかったことが不作の原因と分析している。 安孫子さんは、人の手で花粉を付ける人工授粉を 7 回も繰り返したが、効果は乏しかった。

かさむ負債

佐藤錦よりも時期が後の「紅秀峰」や「やまがた紅王」は一定の収穫があった。 トウモロコシや小玉スイカなども栽培し、通信販売している。 ただ、サクランボの不作でもうけは出ず、この 2 年間の負債総額は 700 万円近くに膨れ上がった。

2022 年に U ターンして、祖父母のサクランボ畑を継いだ。 家族からは大反対されたが、経済合理性以上の価値があると考え、新規就農に踏み切った。 帰省するたび、広い空の下にサクランボ畑が広がる地元の風景に癒やされた。 高齢化で栽培をやめる農家が年々増え、サクランボの木が切り倒されていくのを寂しく感じていた。 一からのチャレンジだったが、農作物の成長を見るのは楽しく、何より消費者に「おいしい」と喜んでもらえることにやりがいを感じてきた。 引退した農家のサクランボ畑を借り、栽培面積を徐々に拡大した。

山形県のサクランボ

だが、「このままでは継続していくのは難しい」と感じている。 実を選別する摘果や収穫は多くが手作業で、猛暑の中の作業は時間との闘いだ。 不作を「潮時」と捉え引退するベテラン農家や、桃やブドウに転向する若手農家もいる。 栽培農家が減れば、大量生産で単価が抑えられている農薬や雨よけハウスなどの資材価格がさらに高騰する。 耕作放棄地が増えると雑草が生い茂り害虫が繁殖しやすくなり、病気の蔓延にもつながりかねない。 今年は収穫量が少ないわりには単価が上がらず、贈答用くだものとしての地位を保ってきたサクランボからの消費者離れも感じる。

それでも、可能性がある限りはサクランボ作りに挑戦したいと思っている。 佐藤錦から他品種への転換を進めたり、「マルハナバチ」や「ビーフライ」などの花粉を運ぶ新たな虫を導入したりと、できる対策は何でも試すつもりだ。 特産品を守るため、今回のような事態には行政からの財政的支援を求める。 「『さくらんぼ県』に貢献していることをモチベーションにしてきた。 もう少し踏ん張るための後押しをお願いできれば。」 県は、不作は一時的なものではなく長期的な地球温暖化の影響だとし、今後も厳しい状況が続くとみる。 安定的にとれる品種への転換や、高温に強い品種の開発に取り組む方針だ。 (斎藤徹、asahi = 9-27-25)

◇ ◇ ◇

不作続きで「さくらんぼ県」山形ピンチ 再生のカギは脱・佐藤錦

サクランボの収穫量が激減したことを受け、山形県は 8 日、初めてとなる「山形さくらんぼ産地再生会議」を開いた。 生産者や農協、産地の自治体の代表が、「さくらんぼ県」を将来も維持していくための方策を話し合った。 全国の生産量の 7 割を占める県産サクランボだが、今年の収穫量は 8,500 トン程度で平成以降で最低の見通し。 昨年(8,590 トン)に続く凶作となった。 特に主力品種の佐藤錦が不調だった。 開花期に強風や降雨、低温が続き、受粉に必要な蜂が飛べなかったため、実がつかなかった。 さらに、ついた実も雨で割れたり、高温でやわらかくなったりした。

この日の議論の中心になったのが「佐藤錦からの脱却」だ。 1988 年に品種別生産量で缶詰用のナポレオンを抜いて以来、「サクランボの王様」の地位を築いてきたが、高温や降雨に弱く、単独品種同士では結実に必要な受粉ができない。 参加者は「気候変動で今後も高温が予想される中、生産が不安定な佐藤錦からの品種転換を進める必要がある」との意見で一致した。 県は「紅秀峰」や「やまがた紅王」の栽培面積を増やし、10 年後の 2035 年には佐藤錦の割合を現在の 68% から 50% に減らす目標を掲げた。

紅秀峰は佐藤錦の子、やまがた紅王は紅秀峰の子。 味は佐藤錦と遜色なく、今年は収穫量、品質ともおおむね良好だった。 不作の要因として、花粉を運ぶ小型の蜂「マメコバチ」の減少も挙がった。 高温などの影響で県全域で激減しており、当面、養蜂業者から借りるミツバチの群れの数を増やすなどして対応する。 2 年連続の不作で、生産現場ではサクランボ栽培からの撤退が進むことが懸念されている。 05 年に 1 万戸を超えていたサクランボ農家は、24 年は推計で約 5,900 戸にまで減っている。

県は「さくらんぼ県山形」を維持するため、10 年後も年 1 万トンの収穫量を維持する目標を掲げた。 栽培面積も、現在より 800 ヘクタール減の 2 千ヘクタールにとどめるべく、技術的対策や財政支援を進めていくことにしている。 県農林水産部の高橋和博部長は「2 年連続の不作で生産者、消費者双方から『サクランボ離れ』が進みかねない。 産地再生のため、山形の総力を挙げてピンチを乗り越えていく必要がある。」と話した。 ( 斎藤徹、asahi = 9-10-25)


星野リゾート、旧奈良監獄にミュージアム開館へ 明日香村にホテルも

国内外で様々なブランドの宿泊施設を展開している星野リゾート(長野県)は 25 日、国重要文化財の旧奈良監獄(旧奈良少年刑務所、奈良市般若寺町)の保存活用事業について、建物群の一部を「奈良監獄ミュージアム」として来年 4 月 27 日に開館すると発表した。 敷地内では同年内に、最高級クラスのホテル「星のや奈良監獄(48 室)」も開業する予定だ。

計画によると、表門から入って右手(北側)の複数の建物などが展示棟やカフェ、オリジナルグッズのショップからなるミュージアム。 奈良監獄の歴史や建築的な特徴がわかるエリア、刑務所での生活やルールを紹介するエリア、監獄にまつわるアート作品などを展示するエリアなどがある。

コンセプトは「美しき監獄からの問いかけ」

監視所がある中央部の建物もミュージアムの一つで、元の状態を残す「保存エリア」となる。 コンセプトは「美しき監獄からの問いかけ。」 明治建築の美しさとともに、監獄という規律が支配していた空間で、自由について考えを巡らす体験を提供するねらいだ。 この日、大阪市であった発表会で、星野佳路代表は「文化財を観光に活用して得た収益で維持するという取り組みに意義がある。 ミュージアムは想像以上におもしろい。」などと話した。

ミュージアムの館長を務める同社の八十田(やそだ)香枝さんは「建物の圧倒的な美しさと空気感を感じていただける自信がある。 夜の観光の魅力づくりなど、地元の人たちと一緒に何かできれば。」と語った。 中央の建物から放射状に建てられた収容棟の独居房などが「星のや奈良監獄」として生まれ変わる。 ミュージアムの入館料などの詳細は 公式サイト で。

明日香村「待ちわびた施設」

星野リゾートは、明日香村でも 2027 年にホテル「星のや飛鳥 (35 室)」を開業すると発表した。 近鉄飛鳥駅から西に約 800 メートルの丘陵地を整備し、約 5 万平方メートルの敷地に低層の分棟型客室を配する。 棚田を思わせる庭もつくるという。 近くには、飛鳥時代の天皇陵に特徴的な八角形の墳丘で知られる牽牛子塚(けんごしづか)古墳もある。

同社と村は 16 年から協定を結び、飛鳥時代の重要な遺跡が点在し、古都保存法で歴史的風土特別保存地区に指定された村の特徴を踏まえ、地域に根差した宿泊施設の開発を進めてきた。 村などは、来年にも「飛鳥・藤原の宮都」の世界遺産登録を目指している。 森川裕一村長は「10 年越しでお願いしてきた待ちわびていた施設。 海外にも発信していただき、飛鳥の歴史文化を知ってもらえれば」と話した。 (伊藤誠、塚本和人、asahi = 9-27-25)


美食 x イノベーションで産業創出へ 山形大と慶大、研究組織を設立

豊かな食文化があり、先進的な研究拠点が集まる山形県鶴岡市に、美食とイノベーションを冠した研究所ができた。 多くの若い人たちが集い、学んだり働いたりできる環境づくりをめざす。 山形大と慶応義塾大が共同で設立した「山形大学鶴岡ガストロノミックイノベーション研究所(通称・鶴岡食文化創造研究所)」。 山形大農学部に拠点を置き、両大学の研究者各 10 人ほどが、兼任で食関連の共同研究を進める。

所長には冨田勝・慶応大名誉教授が就いた。  市内に 2001 年にできた慶応大先端生命科学研究所の所長(23 年 3 月末退任)としてバイオ研究に取り組み、ベンチャー企業を生み出した。 副所長には、関連分野の世界的権威であるカナダの大学教授を招いた。 ガストロノミーは、美食術や美食学と訳され、その土地の気候風土や歴史が育んだ食材、習慣、文化、食そのものを指す。 ガストロノミックイノベーションは、新しい食材や商品、技術などを生み出し、食文化や産業の進化を追究する試みだ。

「科学、文化を統合的に探究」

教育面では、バイオ関連授業や起業セミナーの新設、卒論・修論の共同研究指導などの改革も進める。 関連企業が参加する「鶴岡食文化創造コンソーシアム」も設け、連携研究やワークショップなどに取り組む。 研究所の設置は、市や両大学による「鶴岡ガストロノミックイノベーション計画」の一環。 今年度から 10 年間の計画で、地方大学や産業の振興などを支援する国の「地方大学・地域産業創生交付金事業」に採択された。 当初 5 年間の総事業費 22 億円のうち、約 14 億円の交付金を受けられる見通しだ。

5 日には、関連企業も参加したキックオフイベントが開かれた。 研究所の統括責任者を務める渡部徹・山形大農学部長は「両大学は強み、弱みを補い合える関係にある。 互いの強みを生かした連携で人材育成をめざす」と話した。 山形大は最新バイオ技術や起業マインドの習得、慶応大は農学や食品への応用力向上などを期待しているという。 冨田所長はこの取り組みについて「科学、文化を統合的に探究する学問で、世界初の学際新領域だと思う。 どう進めていくか、各企業や若い皆さんとも相談しながら決めたい。」と語った。 (清水康志、asahi = 9-20-25)


鹿児島・トカラ列島の諏訪之瀬島で震度 5 弱 7 月の悪石島以来の観測

トカラ列島地震

記事コピー (6-11-25 〜 9-17-25)


姫路港を照らした 1 万発の花火 3 万 5 千人分の有料観覧席は完売

「姫路みなと祭海上花火大会」が 14 日夜、姫路市飾磨区の姫路港であり、多くの観客を魅了した。 打ち上げた花火は前年比 2 倍の約 1 万発にのぼった。 県内唯一の打ち上げ花火メーカー「三光煙火製造所(姫路市)」などが、港内に二つの台船を浮かべて打ち上げた。

放射線状に光線が広がる「八方咲(はっぽうざき)」、時間差で多色に変化する「グラデーション」などを交えた速射連発の花火「スターマイン」を披露。 東京タワーに匹敵する高さ約 330 メートルに上昇する真円の 10 号玉(尺玉)も連発し、会場は大きな拍手と歓声でわいた。

今大会は、会場内の観覧席が初めて全席有料になり、約 3 万 5 千人分の席が完売した。 昨年は一部の無料席に観客が殺到し、事務局の市は「安全面を考慮し、場内はすべて有料にした」と説明。 設営費や警備費などの高騰も影響したという。 関西では 1 万発を打ち上げる花火大会は少なく、県内でも最大規模になった。 市は「関西ナンバーワンの大会に育てていきたい」としている。 (室矢英樹、asahi = 9-14-25)

--------------------------------

日本一の芋煮フェス、巨大な鍋で 3 万食
 山形牛も入り「おいしい!」

巨大な鍋で芋煮を作る「日本一の芋煮会フェスティバル」が 14 日、山形市の馬見ケ崎川河川敷で開かれた。 山形産の食材をふんだんに使って用意されたのは 3 万食。 雨模様から青空が広がるなか、県内外から大勢の人が訪れ、秋の味覚に舌鼓を打った。 37 回目を迎える風物詩。 大鍋は 2018 年から活躍する直径 6・5 メートルの「3 代目鍋太郎」だ。 食材は里芋 3.2 トン、山形牛 1.2 トン、長ネギ 3,500 本、こんにゃく 4 千枚など。 明け方から鍋に入れ、しょうゆ味で煮込んだ。 できあがると、おたま代わりの重機バックホーで大鍋から小さな鍋へ。 長い列の来場者たちに次々に配られた。

子どもや孫らと計 11 人で訪れた山形県上山市の高橋数子さん (60) は「芋も肉もやわらかくておいしい」、次女の団体職員井上知里さん (33) は「ネギが甘い。 みんなで来られていい思い出になった。」と笑顔を見せた。 山形市に単身赴任中で、秋田市の妻と子ども 2 人を連れて初めて訪れた銀行員小笠原淳さん (47) は「牛肉の味が濃厚だった。 すごい人の数でびっくりした。」 この後、家族で観光するという。

昨年は雨に苦しめられたが、近年、警戒するのが熱中症対策だ。 川の両岸には約 200 人が日陰で休憩できるテントゾーンを設けた。 テントの下で芋煮などを味わった山形市の伊藤祐子さん (71) は「扇風機があると思わなかった。 とてもいい。」と話した。 会場にはサンマの炭火焼きや、3 メートルの大鍋による塩味の芋煮、特産のフルーツコーナーなどもあり、多くの観光客らでにぎわった。 実行委員会の五十嵐政治(まさはる)委員長は「山形には新米、新そば、フルーツ、紅葉など素晴らしい秋の味覚と風景がある。 多くの人に山形のすばらしさを知っていただきたい。」と話していた。 (黒川和久、asahi = 9-14-25)


ホームセンター「ニシムタ」、独禁法違反で調査 7 億 3 千万円返金へ

鹿児島県を中心にホームセンターなどを展開する「ニシムタ(鹿児島市)」が、納入業者に対する独占禁止法違反(優越的地位の乱用)の疑いで公正取引委員会の調査を受け、自主的に改善する計画を提出した。 納入業者 50 社から一方的に徴収するなどした計約 7 億 3 千万円を返金する内容も盛り込み、公取委は 5 日、計画の実効性を認定したと発表した。 公取委によると、ニシムタは遅くとも 2022 年 3 月以降、雑貨や食品の納入業者から、「商品管理費」や「物流支援費」などの名目で金銭を徴収していたという。 商品管理費は返金額の 9 割超を占め、使途や費用の算出根拠などを説明していなかった。

また、新規開店の際などに納入業者の従業員らを派遣させ、商品の搬入や陳列を手伝わせていたが、費用を支払っていなかったという。 ニシムタは鹿児島県内にホームセンターなど 23 店舗を展開する。 納入業者の中には、ニシムタとの取引に依存し、費用の支払いや無償の従業員派遣を受け入れざるをえなかった社があったという。 公取委は今年 4 月、「優越的な地位の乱用」にあたる疑いがあるとして、ニシムタに立ち入り検査をしていた。

07 年に排除措置命令

ニシムタは 07 年、売れない在庫商品を納入業者に買値で引き取らせたり、業者の従業員に業務を手伝わせたりしていたなどとして、公取委が独禁法違反(不公正な取引方法)で、一連の行為をやめるよう排除措置命令を出していた。 ニシムタは 5 日、ホームページで「確約計画を確実に履行するとともに、独占禁止法の遵守をはじめとするコンプライアンスの徹底に努める」とするコメントを出した。 (高島曜介、asahi = 9-5-25)