自動車 6 社が前年比減、トヨタは過去最高 25 年度上半期世界販売

国内の自動車大手 8 社の 2025 年度上半期(4 - 9 月)の世界販売台数が 27 日発表された。 トヨタ自動車、ダイハツ工業を除く 6 社は前年同期よりも減った。 電気自動車 (EV) の普及が加速する中国市場で苦戦が続いている社が目立った。 心配されたトランプ米政権による自動車関税の引き上げは、現地生産を増やすなどしたことで、販売台数に対する影響は一部にとどまった。 トヨタ(レクサスを含む)の世界販売は前年同期比 4.7% 増の 526 万 7,216 台で、上半期としては過去最高となった。 4 - 9 月の全ての月で前年の実績を超えた。

経営再建中の日産自動車の世界販売は同 3.1% 減の 153 万 6 千台。 国内での販売不振が深刻で、前年同期比 16.5% 減の 18 万 5 千台だった。 一方、米国での販売は同 0.9% 減にとどまった。 日本からの輸出を減らし、米国での生産比率を高めるなどの措置で、関税分の急激な価格転嫁を避けた模様だ。 だが、その分、利益を圧迫する可能性もあり、販売台数への影響に対して、業績に与える影響は大きいとみられる。

米国市場に軸足を置くマツダも米国での販売は同 1.9% 減と、大幅減は回避した。 日本からの輸出が中心となっているスバルの米国での販売は同 7.2% 減と、上半期としては 3 年ぶりに前年を割り込んだ。 (中村建太、asahi = 10-27-25)


JR 東日本ローカル線、71 区間で計 790 億円赤字 2024 年度

JR 東日本は 27 日、利用客が特に少ない 36 路線 71 区間の 2024 年度収支を公表した。 全ての線区が赤字で、赤字総額は約 790 億円だった。 前年度と比べると、24 区間は改善したが、47 区間は悪化し、赤字は約 33 億円増えた。 JR 東は「コロナ禍で先送りしていた施設整備などに着手するようになり、修繕費がかさんだ」としている。 収支が公表されたのは、1 日 1 キロあたりの平均利用者数(輸送密度)が 2 千人未満だった線区。 営業距離の合計は約 2,406 キロで、管内在来線の約 4 割を占めた。 区間別で最も赤字が多かったのは、羽越線村上(新潟県) - 鶴岡(山形県)で、約 55 億円だった。

営業費用に対して運輸収入がどれだけあるかを示す線区ごとの「収支率」は 0.4 - 21.2%。 最も低い陸羽東線鳴子温泉(宮城県) - 最上(山形県)の場合、100 円の収入を得るために、2 万 2,360 円かかった計算となった。 線区の将来のあり方についてJR 東が各県や沿線自治体と協議する検討会が設けられている津軽線(青森県)、米坂線(新潟、山形県)、久留里線(千葉県)、吾妻線(群馬県)の対象区間を含む線区の収支率は 0.9 - 2.9% だった。 (細沢礼輝、asahi = 10-27-25)


万博のレガシー「水素燃料電池船」が東京港で運航へ 開発した岩谷産業が無償提供

万博のレガシー、水素燃料電池船が東京へ。 国内初の水素燃料電池船「まほろば」は、大阪に本社を置く岩谷産業が開発しました。 13 日に閉幕した大阪・関西万博では、市内と会場を繋ぐアクセス手段として運航していました。 岩谷産業は「まほろば」を東京都に無償で提供し、東京港での運航に向け 16 日、都と協定を結びました。

「なお一層、東京都様と水素社会実現に向けまして、水素の社会実装を強力に推し進めて参りたい。(岩谷産業・牧野明次会長)」

「まほろば」は、全長 33 メートルで、二酸化炭素を排出せず音や振動が少ないのが特徴で、来年度内に東京港で運航を始める予定です。 (ABC = 10-17-25)

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日野と三菱ふそう統合、新会社名は「アーチオン」 中津工場は閉鎖へ

商用車大手の日野自動車と三菱ふそうトラック・バスは 9 日、来年 4 月の経営統合によって発足する新会社の社名を「ARCHION (アーチオン)」にすると発表した。 統合後、生産の効率化を図るために三菱ふそうの中津工場(神奈川県愛川町)を閉鎖する方針も明らかにした。 アーチオンは、英語で橋を意味する「ARCH」と、永遠を意味する「EON」を掛け合わせた造語。 「次世代のためによりよい未来をつくる」という思いを込めた。

日野、三菱ふそうのそれぞれの親会社であるトヨタ自動車と独ダイムラートラックが 25% ずつ出資する。 最高経営責任者 (CEO) には、三菱ふそうのカール・デッペン社長が就く。 2026 年 4 月から事業を始める。 日野と三菱ふそうは新会社の完全子会社となるが、日野と三菱ふそうの各ブランドでの販売は続ける。

中津工場は 2028 年までに閉鎖し、川崎製作所(川崎市)に集約する。 約 250 人の従業員について、デッペン氏は、「グループ内で雇用を確保する」と説明した。 生産拠点の再編は、既に日野の羽村工場(東京都羽村市)を 26 年にトヨタに移す計画を示していた。 中津工場を閉鎖すると、トラックの国内生産拠点は 5 カ所から 3 カ所に減る。 両社は、統合を機にトラックの車台の統合や、次世代技術の開発の強化にも取り組む。 トヨタやダイムラーの支援も受け、燃料電池車 (FCV) や、自動運転の開発も強化する。 (三浦惇平、asahi = 10-9-25)

前 報 (6-10-25)


エヴァ初号機デザインの機体就航 劇場版のモデル地「静岡に来て」

フジドリームエアラインズ(FDA、静岡市)は 6 日、エヴァンゲリオン初号機の「ラッピング」を施した機体の運航を始めた。 16 の路線で順次利用し、静岡県への誘客を PR する。 来年 2 月末まで。 FDA は 15 色の機体を持つ。 浜松市内が映画のモデルとなった縁を生かす「浜松エヴァンゲリオンを活用した誘客促進実行委員会」が、エヴァの初号機と同じ紫の FDA 6 号機にラッピングを要請し、実現した。 幅 4 メートル、高さ 1.77 メートルの巨大シールを利用。 エヴァの初号機のほか、「シン・ハママツ計画」と「富士山静岡空港」のロゴマークがデザインされている。

6 日、富士山静岡空港発、福岡行きの FDA 143 便で運航が始まり、座席のヘッドレストにかけられたカバーや機体後方のラッピングが、報道陣に披露された。 FDA の吉英樹・営業企画部長 (58) は「東海地方、浜松の魅力をより広く知らせるため、チームの一員として協力させていただいた」と話した。 同空港の旅客ターミナルビルにも来年 2 月まで、様々な装飾が施されている。 (戸村登、asahi = 10-6-25)


トランプ政権、トヨタ・ホンダなどへの関税軽減措置を決定へ 米報道

ロイター通信は 3 日、トランプ米政権が米国で自動車を生産する大手企業に対し、更なる関税負担の軽減措置を近く決定する見通しだと報じた。 米国内に工場を置くトヨタ自動車やホンダなどが対象で、関税コストの多くを相殺できる制度になり得るという。 共和党上院議員と業界関係者の話として伝えた。

ロイターによると、議員は軽減措置の対象企業としてトヨタとホンダのほか、米自動車大手のフォード・モーターとゼネラル・モーターズ (GM)、電気自動車 (EV) 大手テスラを挙げた。 いずれも米国での生産比率上位の完成車メーカーだ。 米国内での生産で地元の経済や雇用を支える企業を優遇することで、米国での生産を後押しする狙いがある。

トランプ政権は 5 月、自動車部品に対して 25% の関税を発動した。 その一方で、自動車業界の関税負担軽減を目的に、米国で組み立てた車両の小売価格の一定割合を免除する制度を導入した。 免除割合は 2026 年 4 月まで 3.75%、同 5 月から 27 年 4 月まで 2.5% に縮小する予定だった。 トランプ大統領は免除割合を 3.75% に据え置いたうえで、負担軽減の期間を 5 年間に延長し、自動車だけでなくエンジンへの適用対象拡大を検討しているという。

ロイター通信に対し、共和党上院議員は一連の措置が決まれば、自動車メーカーにのしかかる関税コストの大部分を相殺できる可能性があると主張するが、実際にどの程度の負担軽減につながるかは不透明だ。 トランプ政権による自動車への関税は 4 月、従来の税率に上乗せされる形で発動した。 乗用車の関税は 2.5% から 27.5% に引き上げられた。 日本と欧州連合 (EU) に対しては 9 月、関税交渉を経て、8 月にさかのぼって 15% への引き下げを適用する形で発効している。 (ワシントン・浅川大樹、mainichi = 10-4-25)


パナソニックが「特定小型原付き」に参入 国内の自転車大手で初めて

パナソニックサイクルテック(大阪府柏原市)は 25 日、免許不要で走行できる電動の「特定小型原動機付き自転車」を 12 月に発売すると発表した。 国内の自転車大手としては初の特定原付きへの参入といい、地方の高齢者の移動手段などとして売り込みを図る。 新製品の名称は「MU (エムユー)」で、車体の全長は 1.6 6メートル、重さ 24 キロ。 見た目は一般的な電動自転車だが、ペダルの代わりに足置き場を備えている。

最高速度 20 キロ(車道)と同 6 キロ(歩道)の 2 種類の走行モードがあり、充電 1 回あたりの走行距離は約 40 キロ。 加速度センサーによる制御で坂道発進をスムーズにする機能もある。 希望小売価格は税込み 23 万 4 千円。 同日、東京都内で記者会見した稲毛敏明社長は「路線バスの減便・廃止が相次ぐなど、地方では高齢者の足の確保も課題になっている。 移動の不安を解消する一助になれば。」と語った。 また、原付き免許で運転できる 50cc 以下の原付きバイクは今年 11 月からの排ガス規制の基準を満たさず、メーカー各社は生産をやめる見通し。 ここから移ってくる利用者の取り込みも狙う。

「特定原付き」は 2023 年 7 月施行の改正道路交通法でできた車両区分。 最高速度 20 キロ以下などの要件を満たすことで、16 歳以上なら免許がなくても運転できる。 ナンバープレートの取得や自賠責保険への加入は義務、ヘルメットの着用は努力義務だ。 国内では「Luup」などのシェアリング事業でキックボードタイプから利用が広がっている。 近年は自分で購入する人も増えてきた。 ネット通販で海外製品を買う例もある一方、国内では修理が難しいといった問題もあるという。

サイクルテック社はパナソニックホールディングス (HD) 傘下で、ブリヂストンサイクルやヤマハ発動機などと並ぶ国内大手。 グループ創業者の松下幸之助氏が 1952 年に設立した「ナショナル自転車工業」が源流で、全国に約 1 万店の提携販売店がある。 (清井聡、asahi = 9-25-25)


JR 東日本、横浜線 E233 系で自動運転 運転士は「出発ボタン」を押すだけ 数十 cm 精度で駅に

JR 東日本は、横浜線で使用している E233 系電車に自動列車運転装置 (ATO) を導入すると発表した。 対象となるのは、京浜東北線・根岸線の東神奈川駅 - 大船駅を走る横浜線からの直通列車で、11 月 22 日の始発から順次使用を始める。 横浜支社の管内で ATO が導入されるのは初めてとなる。 ATO は、乗務員が運転台の出発ボタンを押すと、自動で加速や減速、停車位置の制御を行う仕組み。 運転の安定性を高めるほか、省エネルギーや一定の乗り心地の確保にもつながるとしている。

対象となるのは横浜線の E233 系 8 両編成で、区間は京浜東北線・根岸線の東神奈川駅から大船駅まで。 9 月下旬からは一部の営業列車で ATO を使った走行訓練を行い、本格導入に備える。 ATO 運転では、まず地上設備から「出発可能」の信号が送られ、これを受けて乗務員が出発ボタンを押すと列車が動き出す。その後は ATO が勾配や曲線、制限速度に応じて自動で加減速し、駅では数十センチの精度で停車する。 停車後のドアの開閉は乗務員が行う。

今回導入する ATO の概要 今回導入する ATO の概要

今回導入される仕組みは、自動列車制御装置 (ATC) と ATO を組み合わせたもの。 ATC は線路の信号情報を基に制限速度を認識し、超えた場合は自動的にブレーキが作動する。 一方の ATO は、出発ボタン操作を受けて列車を動かし、次の駅まで加速や減速を自動で行い定位置に停める。

ドライバレス運転の実現へ

ATO はすでに常磐線各駅停車の一部区間に導入されている。 JR 東日本は今後、ATO の導入線区やワンマン運転の拡大を目指すほか、2028 年から 2031 年ごろには無線式列車制御システム (ATACS) と組み合わせた ATO の高性能化を目指す。 さらに将来的には、ドライバレス運転(無人運転の実現)を視野に入れる。 (Cnet = 9-23-25)