税収、過去最高の 75 兆円台に 上ぶれ「2 万円給付」必要額に届かず 2024 年度の国の一般会計の税収が初めて 75 兆円台に乗り、5 年連続で過去最高を更新する見通しであることがわかった。 好調な企業業績などを背景に法人税や消費税収が伸び、昨年公表した見通しから 2 兆円ほど増えそうだという。 24 年度税収は、昨年 11 月時点で 73.4 兆円と見込んでいた。 石破茂首相(自民党総裁)は、その後の「上ぶれ」を還元するなどとして、国民 1 人あたり 2 万円などを給付すると表明。 参院選の公約に盛り込んだ。 ただ、公約の実現には「3 兆円台半ば」の財源が必要となる。「上ぶれ分」は、その水準に届かない見通しだが、石破氏は「赤字国債は発行しない」としている。 19 年度に 58.4 兆円だった国の税収は、消費税率の引き上げやコロナ禍後の好調な企業業績などに支えられ、22 年度に 70 兆円台に乗った。 その後も増加傾向は続き、25 年度は 77.8 兆円を見込んでいる。 毎年度の税収は、3 月期決算企業の法人税などが納付期限を迎える 5 月分の集計を加え、近く財務省が発表する。 (asahi = 6-30-25) 中小企業の価格転嫁「二極化」、発注側から説明ない例も 経産省調査 経済産業省は 20 日、中小企業の価格転嫁の実態について、3 月分の調査結果を公表した。 コスト上昇分の取引価格への転嫁率は 52.4% で、昨年 9 月の前回調査より 2.7 ポイント増加。 一方、16.9% の企業は全く転嫁できておらず、二極化の状態にあるという。 調査は 2021 年 9 月から年 2 回実施しており、今回が 8 回目。 中小企業 30 万社にアンケートを送り、約 6 万 5 千社が答えた(回収率 21.9%)。 価格交渉が行われたものの全額転嫁できなかった企業は、全体の 41.9% を占めた。 このうち「発注側企業から説明はあったが、納得できる内容ではなかった」、「発注側企業から説明はなかった」とする回答は 38.2% にのぼった。 来年 1 月に施行される改正下請法は、価格交渉に応じないことや、交渉で必要な説明をしないことを禁じている。 武藤容治経産相は 20 日の会見で「サプライチェーン(供給網)全体での取引適正化に向けた対応を粘り強く継続する」と語った。 (中島嘉克、asahi = 6-21-25) 街角の景況感、悪化やや落ち着く 5 月の景気ウォッチャー調査 内閣府が 9 日発表した 5 月の景気ウォッチャー調査の結果は、景気の現状判断を示す指数が前月より 1.8 ポイント高い 44.4 になり、5 カ月ぶりに上向いた。 先行き判断の指数も 6 カ月ぶりに上昇。 食品の物価高やトランプ関税による街角の景況感の悪化が、やや落ち着いてきたようだ。 調査期間は 5 月 25 - 31 日。 現状判断では、野菜の値下がりで「購買状況はある程度良好」になった(九州のスーパー)との見方や、トランプ関税の影響で様子見状態だった消費者が「ここにきて落ち着きを取り戻し、通常にもどっている(北関東の百貨店)」といった見方が示されている。 先行きについては、夏のボーナスへの期待がある一方、企業動向や雇用関連では、トランプ関税の影響による減産への不安や、不透明感を訴える声も引き続きみられる。 内閣府は景気ウォッチャーの見方のまとめとして「回復に弱さが見られる」との表現を維持した。 (石川尚文、asahi = 6-9-25) 3 メガ銀、ATM 相互開放検討 みずほが三菱 UFJ・三井住友と協議 三菱 UFJ 銀行と三井住友銀行による ATM の相互開放サービスに、みずほ銀行も加わる検討を始めたことが分かった。 ATM の設置や維持・管理にかかるコストを減らす狙いがある。 実現すれば、3 メガバンクの利用者は他行の ATM でも平日日中は現金引き出しなどが無料になる。 関係者によると、3 行の担当部署は共同運営の協議を始めたが、実現の時期など詳細は決まっていないという。 三菱 UFJ と三井住友の相互開放は 2019 年 9 月に始まり、店舗外にある約 2,800 拠点(三菱 UFJ 約 1,600 拠点、三井住友約 ,1200 拠点)の ATM が対象となった。 利用者は平日の日中、双方の ATM での現金引き出しや振込時にかかる「他行 ATM 手数料 108 円」が無料になり、時間外の手数料も安くなった。 相手行の ATM で現金の預け入れもできるようになった。 キャッシュレス決済が普及 背景には、キャッシュレス決済の普及に伴い、現金を引き出す利用者が減ったことがある。 近接する ATM を廃止・集約し、年数十億円の経費削減を見込むとしていた。 一方、みずほは 13 年 12 月、イオン銀行と、平日の日中に ATM から現金を引き出す手数料を無料にする相互開放を始めていた。 19 年当時は三菱 UFJ と三井住友の枠組みに加わらなかったが、将来的なコスト節減に向け、3 メガでの相互開放に参加する検討を始めた。 全国銀行協会によると、24 年 9 月末時点の ATM と現金自動支払い機 (CD) の設置台数(ゆうちょ銀行とコンビニは除く)は、8 万 3,619 台で、10 年前の 14 年 9 月末(11 万 0,061 台)から約 24% 減った。 (伊沢健司、asahi = 6-4-25) 日本経済、再び「需要不足」に 内閣府が 1 - 3 月期の推計値を公表 内閣府が 3 日に公表した 2025 年 1 - 3 月期の「需給ギャップ」の推計値が、マイナス 0.3% になった。 直前の 24 年 10 - 12 月期に 1 年半ぶりにプラスに転じていたが、1 - 3 月期のマイナス成長で再び低下した。 需給ギャップは国内総生産 (GDP) を用いて算出する。 推計には相当の幅があるとされるが、数字上は、経済全体の供給力に対し需要が年換算で約 2 兆円不足していることを意味する。 24 年 10 - 12 月期の推計値も 3 月時点の 0.2% から 0.0% (ほぼ横ばい)に引き下げるなど、過去の数字も下方修正された。 基礎的な統計の改定による影響という。 あわせて公表された 24 年度の需給ギャップはマイナス 0.3%。 コロナ禍をはさみ、6 年連続でマイナスになった。 政府は、需給ギャップをデフレ脱却の見極めのうえで重視する 4 指標の一つに位置づけている。 (石川尚文、asahi = 6-3-25) 日銀総裁、利上げ路線を維持 物価上昇率 2% 「芽は育ち続けている」 日本銀行の植田和男総裁が 3 日、東京都内で講演し、経済や物価が見通し通りに推移すれば「政策金利を引き上げる」と述べ、利上げ路線を維持する考えを強調した。 今月の金融政策決定会合で示す来年 4 月以降の国債買い入れ計画をめぐっては、市場参加者から「額を減らしていくことが適切との声が多く聞かれた」とし、減額を続ける姿勢をにじませた。 植田氏は、米国の関税政策や貿易摩擦の高まりは「わが国経済の下押し要因として作用する」と説明。 それでも、賃金と物価がともに緩やかに上がる流れは途切れないとの見方を示した。 背景として高水準の企業収益や家計の所得環境の底堅さを挙げた。 その上で、日銀の目標である物価上昇率 2% の達成に向け、「『芽』は育ち続けている」と強調した。 ただ、通商政策をめぐる「不確実性は極めて高い」とも指摘し、金融政策は「予断を持たずに判断していく」とした。 国債買い入れ減額、今月に中間評価 日銀は 16、17 日の決定会合で国債買い入れ減額計画の中間評価をする。 植田氏は先月の市場参加者との会合に触れ、「これまでの減額は市場の機能度回復という効果を発揮している」と指摘。 3 カ月ごとに 4 千億円を減額する、来年 3 月までの現行計画を維持する考えを示唆した。 日銀が今のペースで買い入れの減額を進めると、買い入れ予定額は来年 1 月に月間 2 兆 9 千億円まで減ることになる。 焦点となる来年 4 月以降の計画については、市場参加者から引き続き減額することが適切との見方が多いと紹介した。 一方で、減額のペースは「様々な意見があった」と述べるにとどめた。 30 年債や 40 年債など超長期国債の金利が急騰していることには「短期的な金利動向について具体的なコメントは差し控える。 市場動向については、引き続きよく注意してみていく。」とし、具体的な言及は避けた。 (西尾邦明、asahi = 6-3-25) インボイスで不利益あっても 97% が申告できず 取引先との関係懸念 消費税のインボイス制度を巡り、取引先から不利な契約を迫られる被害を受けたとする事業者の約 97% が公正取引委員会に申告していなかった - -。 こんな現状が制度廃止などを求める団体のアンケートで明らかになった。 申告しなかった理由 6 割は取引先との関係が悪化することを懸念したからだという。 制度の導入に伴って、公取委は不利な契約を一方的に強いる行為は独占禁止法に抵触する可能性があるとして警戒を強化。 相談窓口も設けている。 アンケートは「インボイス制度を考えるフリーランスの会」が 3 - 4 月にオンラインで実施。 フリーランスや個人事業主、経営者などが対象で、1 万 0,538 件の有効回答があった。 制度が始まった 2023 年以降、取引先から一方的な取引額の値下げや取引の打ち切りに遭ったと回答したのは 4,370 件。 このうち 97.2% が公取委への申し立てを「しなかった」と答え、「した」は 2.8% にとどまった。 申し立てをしなかった理由は「取引先との関係性を懸念した」が 61.9% で最多。 取引額の値下げなどが「制度によるものか明確な証拠がなかった」とするものが 24.3% あり、「相談窓口を知らなかった」という回答も 19.8% あった。 公取委は取材に対し、取引先との関係を懸念するとの声については「頂いた情報は情報提供者が特定されないよう、厳重に管理している」とコメント。 その上で相談窓口に関しては「より周知を図りたい」としている。 8 割が価格転嫁に難しさ アンケートでは、インボイスに登録した事業者を対象に、新たに生じた消費税額や事務コストについて価格転嫁できたかについても聞いた。「したくてもできなかった」が 49.6%、「しなかった」が 27.4% を占め、転嫁できない事業者が 8 割近くに達した。 増えた負担は「所得や貯蓄から補填した」とする回答が 4 割を超えた。 インボイスは取引先に正確な消費税率や税額を伝えるための文書で、適格請求書とも呼ばれる。 消費税はモノやサービスを売った時に得る消費税額から、仕入れ時に支払った税額を差し引いて(控除)納める仕組みだが、控除にはインボイスの保存が要件となっている。 インボイスがないと税負担が増すことになる。 特例延長を国に要請 年間売り上げが 1 千万円以下の「免税事業者」はインボイスが発行できないため、税負担の増える取引先から値下げを強要されたり、取引を打ち切られたりする可能性が指摘されている。 制度開始を受け、国は負担軽減策となる特例を設けたが、その一部は来年 9 月末で終了することが決まっている。 「インボイス制度を考えるフリーランスの会」は 28 日、こうした特例の延長などを求める請願書を国側に提出した。 (大下美倫、asahi = 5-28-25) 日本の対外純資産、34 年ぶり首位陥落 過去最高でもドイツに抜かれる
記事コピー (asahi = 7-25-12〜5-27-25) 三菱 UFJ、個人向け新サービス「エムット」発表 メガ銀の競争激化 三菱 UFJ フィナンシャル・グループ (FG) は 27 日、インターネット専業の新銀行の設立を含む、新たな個人向け金融サービスを発表した。 銀行や証券などグループの各サービスを一体で使いやすくし、ポイント還元も拡充する。 三井住友 FG はソフトバンクとポイント活用などで手を組んでおり、3 メガバンクで個人客の囲い込みを激しく競っている。 三菱 UFJ FG はこの日、個人向けの総合金融サービス「エムット」を公表。 新事業は 2 段階に分けて展開していく。 まず 6 月 2 日に三菱 UFJ銀行のアプリを刷新し、カードや証券などグループの各サービスの利用状況が分かるようにする。 三菱 UFJ カードを対象店舗で使えば最大 20% をポイント還元するほか、VISA 加盟店でタッチ決済が可能なアプリも導入する。 ネット専業の銀行も 26 年度中を予定する第 2 弾では、グループ共通で使える「エムットポイント」をつくり、グループ一体で顧客の取り込みを図る。 最大の柱はネット専業の銀行の立ち上げだ。 開業に合わせ、顧客の年齢や家族構成、資産状況といったデータを元に、AI (人工知能)が最適な資産運用を提案するサービスも始める。 「総合アドバイザリー・プラットフォーム (MAP)」と名付け、子会社のウェルスナビと開発を進めている。 データ収集などのため、家計簿アプリのマネーツリーを買収する方針も併せて発表した。 三菱UFJ FG の亀沢宏規社長は会見で「ようやく材料がそろった。 我々としては本格的にこの分野で攻勢をしかけていきたい。」と述べた。 出遅れた最大手 先行三井住友は PayPay とタッグ 個人向けサービスを競う 3 メガバンクで、先を行くのは三井住友 FG だ。 23 年に始めた「Olive (オリーブ)」は、カードとスマホアプリだけで、銀行やクレジットカード、証券、保険といった金融サービスをまとめて利用できる。 登録数は今年 3 月時点で 500 万を超えた。 今月 15 日には、傘下の三井住友カードがソフトバンクとの提携を発表。 PayPay のスマホ決済とポイントなどで連携する。 三井住友 FG の中島達社長は会見で「最大規模のポイント連合になる。 三井住友カードと PayPay を持っていればキャッシュレスは大丈夫という世界観を実現する。」と息巻いた。 みずほ FG も昨年 12 月、楽天カードと資本業務提携を結び、同社の株式 15% 弱を取得した。 「みずほ楽天カード」を発行し、「楽天経済圏」に接近している。 最大手の三菱 UFJ FG は、店舗や人員の削減など効率化の戦略が目立ち、出遅れが指摘されてきた。 転機は 24 年度に始まった中期経営計画で、個人向け分野を大きな柱に位置づけた。 「金利ある世界」が到来 背景には「金利のある世界」の到来がある。 日本銀行は昨年 3 月にマイナス金利を解除し、その後も 2 度利上げした。 銀行にとって金利の上昇は、預金金利と貸出金利の差である「利ざや」の拡大につながる。 預金を多く抱えるほど、「うまみ」が大きい。 中でも、クレジットカードの引き落としや住宅ローン、給与の振込口座など、個人のメイン口座を握ることが重要だ。 このため、3 メガバンクは若者ら新たな顧客の囲い込みを急ぐ。 三菱 UFJ FG の亀沢社長は会見で「お得なだけでなく、利便性もグループ全体のサービスを使う中で感じていただける」と強調した。 三菱 UFJ FG の強みは「自前主義」だ。 三井住友 FG が SBI 証券、みずほ FG が楽天カードと連携する中で、こうした中核サービスを自ら持つ。 グループ内で完結する「金融経済圏」をめざし、今年 1 月にはネット専業のじぶん銀行(現 au じぶん銀行)の全株式を手放し、au カブコム証券(現三菱UFJ eスマート証券)を完全子会社にした。 ネット銀も自ら立ち上げる。 その顧客は、三菱 UFJ 銀の店舗も利用できるようにする。 亀沢社長は「デジタルとリアルのいいとこ取りをする唯一の存在を目指す。」と語った。 (柴田秀並 = 5-27-25) 農林中金、最終赤字 1 兆 8,078 億円 25 年 3 月期、外債運用に失敗 農林中央金庫が 22 日発表した 2025 年 3 月期決算は、純損益が 1 兆 8,078 億円の赤字(前年は 636 億円の黒字)だった。 外国債券の運用に失敗し、巨額の損失を確定したことが響いた。 収支は改善傾向にあるといい、26 年 3 月期は 300 億 - 700 億円程度の最終黒字を見込む。 赤字額は農林中金として過去最大。 日本企業では、みずほフィナンシャルグループが不良債権処理などで 03 年 3 月期に計上した 2 兆 3,771 億円に次ぐ規模となった。 巨額赤字のきっかけは、保有する米欧債の市場金利が上がって債券価格が下落したことだ。 収益性の悪化を避けるために損切りを進め、25 年 3 月期で約 17 兆 3 千億円の外債などを売却した。 一方、約 1 兆 4 千億円の資本増強をし、自己資本比率は約 2 割を維持した。 「稼ぐ力を再構築」 4 月にトップを引き継いだ北林太郎理事長は会見で「非常に多額の赤字を計上することになったことを重く受け止めている。 稼ぐ力を再構築する。」と述べた。 今後の資産運用では、一時 6 割を占めていた債券の比率を下げ、株や社債、ローン担保証券などの投資に振り向ける。 リスク管理の強化に向け、執行を担う理事らの外部登用も進める方針だ。 農協などを通じて多くの預金を集める農林中金は、農林水産業の資金需要が乏しい中、債券などの運用で収益を確保してきた。 北林氏が「一丁目一番地」とする農林水産業の発展に向け、資金をどう振り向けるかも課題となる。 (西尾邦明、asahi = 5-22-25) PB 黒字化「25 - 26年度」 自民提言案、米関税の影響で見直しも 政府の「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」に対する自民党財政改革検討本部の提言案が 21 日、判明した。 財政健全化の指標となる基礎的財政収支(プライマリーバランス = PB)の黒字化目標について「2025 年度から 26 年度を通じて黒字化を目指す」と明記することを求める。 PB は公共事業や社会保障などの行政サービスを、主に税収でまかなえるかを示す指標。 赤字だと国債の発行などで補う。 政府はこれまで 25 年度の黒字化を掲げてきたが、達成は困難な見通しだ。 今回の提言案では、基本的な考え方として「経済あっての財政」の方向性は堅持し、経済成長を進めるなかで財政健全化を実現するとした。 PB 黒字化目標は「財政健全化の『旗』を降ろさない」と明記した一方、「米国の関税措置の影響が不透明」として、必要に応じて目標年度を再確認することも盛り込む。 また、黒字幅が一定水準を超えれば「政策の拡充を通じて経済社会に還元する」と明記。 国債についても「市場からの信認を確実なものとし、国債を安定的に発行できる環境を整えていく。」とした。 提言案は来週中にも党内で取りまとめ、政府に提言する。 党内で対立していた財政再建派と積極財政派を統合して作った本部としては初の提言となる。 PB の黒字化目標を明記しつつ、米国関税の影響による先送りも示唆するなど、「痛み分け」の内容になった形だ。 (笹山大志、asahi = 5-21-25) |