検品せずに「不良品」として返品 鉄鋼大手「佐藤商事」が下請法違反

下請け業者に製造委託した金属製品などを検品せずに「不良品」として返品したとして、公正取引委員会は 21 日、鉄鋼商社の大手「佐藤商事(東京都千代田区)」の下請法違反(返品の禁止)を認定し、再発防止を勧告した。 返品は計約 1,435 万円分で、同社はすでに全額支払ったという。

下請法は、納品された製品を品質検査をせずに返品することを禁じている。 公取委によると、佐藤商事は 2023 年 2 月 - 24 年 4 月、自動車や建設機械の部品などの製造を委託した下請け業者 19 社に対し、納品時の品質検査をせずに、「傷がある」などとして代金計約 1,435 万円分を返品したという。 また同社は 23 年 3 月 - 24 年 2 月、81 の下請け事業者に対して支払代金の遅延があったとして、公取委は同法違反(支払い遅延の禁止)で行政指導も行った。 遅延の利息分は総額計約 3,277 万円で、同社はすでに全額支払ったという。 (高島曜介、asahi = 4-21-25)


合金 1 粒に 1 千倍の「グリーン水素」 新型タンク、温暖化対策下支え

産業技術総合研究所は清水建設と共同で、低コストで高い性能を持つ「水素吸蔵合金タンク」を開発した。 大量の水素を安全に貯蔵できるため、地球温暖化対策の下支えになると期待される。 水素は、燃やしても二酸化炭素 (CO2) を出さないクリーンなエネルギー源の一つだ。 太陽光や風力などの再生可能エネルギーによる電気で水を分解してつくる「グリーン水素」を、地域に熱を供給するボイラーなどに使えば CO2 の排出抑制につながる。

都市部で水素の利用を広げるには、安全に貯蔵することが欠かせない。 今回開発された水素吸蔵合金タンクは、内部にチタンと鉄などでできた特殊な合金の粒が入っており、水素を原子の状態で蓄える。 合金の体積の 1 千倍もの水素を長期間、安定的に貯蔵できるという。 課題はコストだった。

高圧ガス保安法の下、都市部に運ばれてきた高圧水素のタンクへの充?や放出は、準備・撤収作業などを含めて 2 時間以内に終えないといけない。 水素吸蔵合金タンクの場合、水素を合金に吸蔵させる際に大量の熱が発生するほか、水素を放出する際にも温度が低下するため効率が落ちる。 急速な充?・放出のためには高度な熱管理が必要になる。 これまでは専用の熱交換器を使っていたためコストがかかっていた。

今回、空調機器などで使われる一般的な熱交換器を活用し、水素の吸蔵・放出の性能を維持することに成功した。 タンク内の合金粒に効率よく水素を吸蔵させる仕組みを工夫したこともあわせて、従来に比べて大幅にコストを下げられたという。 産総研の遠藤成輝主任研究員は「都市部でのグリーン水素の利用拡大は CO2 の排出抑制に欠かせない。 高性能で低コストの水素吸蔵合金タンクが普及すれば水素の利用が加速するはずだ。」と話す。 この研究成果は3月、 に掲載された。 (村山知博、asahi = 4-19-25)


カルテル容疑の高級ホテル 15 社、一部が情報交換認め、「おわび」

価格カルテルにつながる非公開情報を交換していたとして、公正取引委員会の調査を受けた東京都内の高級ホテル 15 社に取材を申し込んだところ、一部が情報交換を認めた。 宿泊費高騰の中で不信を招いたとして、おわびの意を示したホテルもあった。 カルテルは、事業者などが互いに連絡を取り合い、自主的に決めるべき商品価格などを共同で決定し、公正な競争を制限する行為。 商品の価格が不当につり上げられる可能性があり、独占禁止法で禁じられている。

第一ホテル東京(港区)の運営会社によると、同ホテルの宿泊担当者は、「FR (フロント・リザベーション)会」と呼ばれる会合に参加し、他ホテルの担当者と客室の稼働率や平均単価といった非公開の情報を交換していた。 運営会社は「カルテルを意図したものではない」と説明する。 第一ホテル東京では、今年 2 月から公正取引委員会による調査が始まった。

公取委は FR 会で直接的に価格を引き上げるやりとりは認められなかったものの、交換された情報の中に経営戦略に関わる重要なデータが含まれていたと判断した模様だ。 運営会社は、他社から得たデータについて「営業施策の検討に使っていた」とし、ホテル価格に反映させたことは否定。 「今後はこのようなことがないように周知を徹底したい」と話した。

「価格つり上げの意図ない」、「カルテル目的でない」 他のホテルは

ハイアットリージェンシー東京(新宿区)の運営会社は、15 社の多くが集まる千代田区・港区周辺から離れ、独自の価格決定方法を持っているとし、「他社の情報は価格に反映されなかったと言える」と主張。 ただ、「価格に影響が出たのではないかと不信感を与えてしまったことについては、お客さまにおわびを申し上げたい」と話した。

パレスホテル東京(千代田区)の運営会社は FR 会への参加を認め、「価格設定を目的としたものではない」とした。 セルリアンタワー東急ホテル(渋谷区)の運営会社も「価格をつり上げる意図はなかったが、こうした報道につながったことは厳粛に受け止める」と述べた。 15 社は他に、The Okura TOKYO (港区)や帝国ホテル東京(千代田区)、ホテルニューオータニ(同)など。 取材に「今の段階で伝えられることはないが、カルテル目的でやったわけではない」、「不当な取引制限を意図して行ったものではない」、「公取委の調査には協力していく」などと回答した。

公取委は 15 社に対し、独禁法違反(不当な取引制限)で再発防止を求める警告を出す方針を固めている。 (真田嶺、根津弥、小寺陽一郎、中野浩至、asahi = 4-19-25)


「日本を科学大国に」課題は資金配分 ネイチャー誌で 138 人が警鐘

「日本を再び科学大国に - -。」 そんな論考が 科学誌ネイチャー に掲載された。 ノーベル賞受賞者を含む国内の科学者 138 人が、日本の科学技術予算の分配に危機感を抱いて執筆。 人に寄り添った資金提供や「選択と集中」からの脱却がカギだとしている。 論考は、近年ノーベル賞が贈られたゲノム編集や AI (人工知能)によるたんぱく質構造予測などを挙げ、医学や工学などの領域をまたぐ学際的な研究がますます重要になるとの見方を示す。

ところが日本の科学研究資金は「工学」、「化学」など従来の領域におさまる研究に優先して供給される傾向が強いと指摘。 「革新的な発見(ブレークスルー)の機を逸している」として、政府や、資金を分配する科学技術振興機構などの努力が必要だとしている。 そのうえで五つの処方箋を示す。 ▽ 年度をまたぐ持続的な研究資金、▽ 物価や光熱費上昇に苦しむ研究室への資金提供の改善、▽ 学際的でリスクの高い研究への支援強化が不可欠とする。 さらに、配分を決める機関の役員や責任研究者のジェンダーの偏りを減らし、多様性への配慮の拡大も必要だとした。

最も強調したのが、研究計画への投資ではなく、人としての研究者の視点に立った資金提供へと考え方を変えることの必要性だ。 現状は、トップダウンで流行に沿った研究テーマが選ばれることが多く、個々の研究者の独創的なアイデアが見落とされる恐れがあると指摘する。 共著者でノーベル物理学賞受賞者の梶田隆章・東京大卓越教授は「研究資金の配分では『選択と集中』だけではうまくいかないことは明らかなのに、改善されないことに危機感を覚える」と言う。

国のお金である以上、技術開発の目標があることは理解できるとしつつ「基礎科学は科学者の探究心に基づかなければ進まない面がある。 基礎科学なくして技術やイノベーションが進まないことを政府には理解してもらいたい。」とも話す。 論考では、研究者が柔軟に研究に打ち込めるような基盤的な研究資金を支援することの重要性を強調。 一方、現状の基盤的研究資金は危機的で、今回の論考をまとめた合田圭介・東京大教授の研究室には「電気代だけでなくなる額しか配分がない」という。

質の高い論文の世界シェアは、低下の一途をたどる。 米中の大学で非常勤教授を務める合田さんによると、日本の科学が危機的な状況に陥りつつあるという懸念は、ネイチャー誌編集部でも共有されているという。 「再び科学の大国になるには、硬直的な研究資金を真剣に考え直すことが欠かせない」と訴える。 (竹野内崇宏、asahi = 4-11-25)


イオン 4 年ぶり減益 物価高など対応遅れ 売上高は初の 10 兆円超

イオンが 11 日発表した 2025 年 2 月期決算は、最終的なもうけを示す純利益が、前年比 35.6% 減の 287 億円で 4 年ぶりの減益となった。 原材料費の高騰のほか、クレジットカードの不正利用の対応で特別損失を計上したことが響いた。 売上高にあたる営業収益は同 6.1% 増の 10 兆 1,348 億円となり、国内小売りではセブン & アイ・ホールディングスに次ぐ 2 社目となる 10 兆円の大台を超えた。

本業のもうけを示す営業利益は同 5.2% 減の 2,377 億円で、コロナ禍の 21 年 2 月期以来 4 年ぶりの減益となった。 原材料費高騰のほか、物価高で消費者の節約志向が高まるなか、価格戦略やコスト削減の取り組みが遅れたことも影響した。 また、グループが手がけるクレジットカードの不正利用を受けた被害補償や、中国の不採算店の閉鎖などで、計 963 億円の特別損失を計上したことも痛手となった。

26 年 2 月期の業績予想は、営業収益が同 3.6% 増の 10 兆 5 千億円、純利益は同 39.0% 増の 400 億円と増収増益を見込む。 昨秋以降、利幅が大きいプライベートブランド (PB) 「トップバリュ」の強化を進めており、利益は回復傾向にある。 会見で吉田昭夫社長は「PB の過渡期だと思っている。 買っておけば間違いないというレベルに引き上げておきたい。」と語った。 (井東礁、asahi = 4-11-25)


世界最大のアンモニア工場、米国に建設へ JERA と三井物産

東京電力グループと中部電力が出資する発電会社JERA と三井物産は 9 日、米ルイジアナ州に世界最大規模のアンモニア製造工場を建設すると発表した。 燃やしても二酸化炭素 (CO2) が出ないアンモニアは、発電や船舶などの次世代燃料としての利用拡大が見こまれている。 メキシコ湾で産出される天然ガスを原料に年 140 万トンのアンモニアを生産する。 生産時に出る CO2 は 95% 回収し、米国内で地下に貯留する。 総事業費は 40 億ドル(約 6 千億円)で、2029 年に生産を始める計画だ。 米肥料大手と共同で出資し、比率は JERA が 35%、三井物産が 25%。 それぞれ出資比率に応じてアンモニアを受け取る。 JERA は 20 年代後半に碧南火力発電所(愛知県碧南市)で石炭にアンモニアを 2 割混ぜて発電し始める計画だ。 米国でつくったアンモニアは同発電所で使うことや、アジアや欧州での販売を検討している。 (新田哲史、asahi = 4-9-25)


科学冷遇のトランプ政権「1 時間で退去せよ」 日本にも予算減の余波

米国のトランプ政権が進める政府機関の人員や予算削減が、科学研究に影響を及ぼしている。 米海洋大気局 (NOAA) や米航空宇宙局 (NASA) など、科学力の礎となる機関が対象となっており、感染症や災害の対策に支障が出るとの懸念も出ている。 余波は日本にも広がりかねない。 2 月末の午後 4 時前。 NOAA で試用期間中の職員として、広報対応を担っていた気象学者のトム・ディリベルトさんは上司から一通のメールを受け取った。 「あなたの能力は現在の NOAA のニーズに合わない。」 その日の午後 5 時までに職場の退去を求められた。 その後も交渉を続けているが、現在も働くことを許されていないという。

トランプ政権では起業家のイーロン・マスク氏が率いる「政府効率化省 (DOGE)」を中心に、大胆な歳出削減が進む。 政府の赤字がふくらむ状況に、マスク氏は「このままでは破産」だとし、政府が運営する研究機関の人員削減や政府から大学への補助金停止などを求めた。

批判は国内外から 研究者デモも

NOAA ではすでに試用職員を中心に約 1,300 人が解雇。 さらに約 1 千人の削減も報道されており、職員全体の 2 割に達する見込みだ。 しかし、NOAA の研究データは、天気予報などだけでなく、災害対策や気候変動対策にも重要で、民間企業なども活用している。 米気象学会は 3 月、NOAA の事業を含む気象データは米国経済に年 1 千億ドル(約 15 兆円)超の価値を生んでいるとし、人員削減は「取り返しのつかない損害を引き起こす」と指摘。 データは国際的に活用されるため、国外からもオーストラリア気象海洋学会が「世界中の安全と経済に影響を及ぼす」と懸念の声明を出した。

科学研究は、経済発展や安全保障、感染症対策など多岐にわたって恩恵をもたらす。 しかし、トランプ政権は、NASA で専門知識を持つ「チーフサイエンティスト(主任科学者)」の役職を廃止。 米疾病対策センター (CDC) や国立衛生研究所 (NIH) などの 13 の保健機関で計 2 万人の人員削減を進めるなど、大なたをふるう。 対外援助などに関する米国際開発局 (USAID) や DEI (多様性・公平性・包摂性)関連の予算縮小も、間接的に研究に悪影響を与えている。

政権の対応に、研究者らは 3 月上旬、全米の 30 を超える都市で一斉デモを行った。 解雇に対する訴訟も各地で起きている。 日本も含めた国内外の約 1,900 人の科学者らは政権に対し「国の科学事業は壊滅的になっている」と抗議する書簡も出した。 こうした状況にディリベルトさんは言う。 「『米国を再び偉大にする』にしてはおかしな方法だ。」

日本人研究者にも影響

トランプ政権による歳出削減策は研究環境を大きく変えかねない。 現地で活動する日本人研究者も頭を悩ませる。 米エモリー大学医学部の斧正一郎准教授は、国立衛生研究所 (NIH) からの研究費の審査が止まっていることを心配している。 NIH は米国中の医学研究に、年間 400 億ドル(6 兆円)以上という世界最大規模の資金を配分している。 斧さんが専門とする細胞生物学のような基礎研究は民間資金を集めにくく、NIH からの資金が頼りだ。 しかし、トランプ政権では NIH の審査手続きを担う職員の人員整理などを進めており、組織全体では約 1,200 人の削減が決定。 新たな審査の開始が滞っている状態だという。

米国の科学技術論文の共著国の割合

NIH をめぐっては、大学や研究機関が設備投資などにあてるための助成金の減額も決まった。 エモリー大でもこの減額分を穴埋めするため、3 月に新規の職員採用の凍結や運営費の削減方針を発表した。 こうした対応は全米の大学に広がっている。 「直接役立つかだけではなく、基礎研究にも資金を出せる寛容さがあるのが米国だった」と斧さん。 研究環境に魅力を感じたことが米国に移った理由の一つだった。 しかし、今後は予算も研究者の採用枠も絞られるおそれがあり、「日本から米国に来ようとする研究者にも影響が出かねない」と話す。

英科学誌ネイチャーによると、同誌の調査に応じた米国の研究者約 1,600 人のうち、4 分の 3 の約 1,200 人が研究拠点を米国から他国に移すことを検討していると答えた。 移動先はカナダや欧州が有力という。

流出人材獲得へ動き

米国から流出する研究人材の獲得を狙う動きも出ている。 「大西洋を越えてやってくる同僚たちに、ダイナミックな環境を提供します。」 仏の高等教育機関のひとつ「サントラル・スペレック」は 3 月 19 日、米国の研究者を迎え入れる声明をウェブサイトで公表した。 学術研究の自由と客観性が脅かされているとして、「科学の安全地帯」を提供すると提案。 日本円で 5 億円規模の基金を立ち上げ、教授クラスの職や研究環境も準備するとうたう。

日本でも 3 月 17 日にあった科学技術政策を話し合う政府会合で、有識者から「米国から科学技術者がどんどん流出しようとしている。 日本としてどれだけ受け入れられるのか、迅速に議論する必要がある。」 「研究者がマーケットに出ている時期。 積極的に受け入れて交流することが必要。」との声が相次いだ。 科学技術振興機構 (JST) の橋本和仁理事長も 14 日の会見で「米国を離れる優秀層をどうやって獲得するか、早急に検討しようと考えている。」と述べた。

研究開発に詳しい JST 研究開発戦略センターの辻真博さんは、「米国の研究環境が不安定だという認識が広がれば人材が集まりにくくなる」とみる。 日米の共同研究にとっても悪影響が出かねない一方、米国と競争する中国がさらに科学界で台頭する可能性もある。 日本でも苦しい予算事情の中で研究費削減を求める声はある。 ただ、辻さんは「米国で厳しい状況がみられる今こそ、米国から離れた人材を呼び込んだり、研究費を増額したりすることで、科学力で米国との差を縮めるチャンスにするべきだ。」と指摘する。 (サンフランシスコ・市野塊、竹野内崇宏、asahi = 4-8-25)


ラピダス、命運かけた「試作」段階へ 顧客と資金の調達も左右

ラピダスの使命

記事コピー (9-29-23〜4-2-25)


九州にデータセンター 1 兆円規模投資へ、米投資会社 地方分散が加速

生成 AI (人工知能)の普及を背景に、データセンター (DC) の地方進出が相次いでいる。 九州北部では、米不動産投資会社が DC 開発に総額 1 兆円を目標に投資する考えを明らかにした。 政府も九州や北海道への地方分散の旗を振っており、広がりが注目される。 「九州で東京・大阪圏に次ぐ第 3 のデータセンターハブを担う。」 アジア・パシフィック・ランドグループの日本法人の高原義宣代表は、朝日新聞の取材にこう述べた。 DC はインターネット用サーバーなどの装置を設置・運用する施設だ。 大量のデータを学習させる生成 AI の開発や、その利用にも必要となる。

同社は北九州市、福岡県糸島市で大型 DC の開発を進めている。 先に稼働する北九州の DC は九州初となるハイパースケール (HS) DCになる予定だ。 HSDC に明確な定義はないが、従来よりも規模が大きく、生成AIサービスを提供する米 IT 大手の利用などが想定される。 2 件の開発規模は受電容量ベースで最大計420 メガワットを計画する。 IT 大手のインターネットイニシアティブによると、受電電力の 7 割ほどで稼働したと仮定すると、一般家庭約 50 万軒前後の電力消費量に相当するという。 DC の相次ぐ新設は、将来の電力消費の増加の要因にもなっている。

さらに 3、4 件目の開発地となる土地についても、所有者から優先交渉権を獲得している。同社は九州での DC 需要は 1 千メガワットを上回るとみており、遅くとも 2030 年代後半までには 1 千メガワット規模まで開発を進めたい考えで、5 件目以降の開発も検討している。 順調に進めば総投資額は「積算で 1兆円規模になる(高原氏)」という。 福岡県と韓国・釜山は海底ケーブルでつながっており、東アジアなどの海外需要も見込む。 高原氏は「米 IT 大手は、東アジアの一つの拠点という観点から九州北部をみている。 韓国でも盛んに投資をしており、九州北部もニーズに十分応えられる」と期待する。

また、九州は太陽光など再生可能エネルギーが普及、原発 4 基が稼働していて「カーボンフリー電源」が確保しやすいという。 他のエリアと比べ、電気代も割安だ。 DC をめぐっては、米 IT 大手も日本での大型投資を打ち出している。 アマゾングループでクラウド事業を手がける「AWS」は昨年、23 - 27 年に DC などに約 150 億ドル(約 2.2 兆円)を投資すると発表。 オラクルも 24 年からの 10 年間で 80 億ドル(約 1.2 兆円)以上を DC 設備や人員の増強などにあてるとした。 現在、DC は 8 割が関東・関西に集中している。 人口が集まり、データ通信の利用が多い都市部に近い立地が求められていることもある。

一方、政府は地方分散を促す。 南海トラフ地震や首都直下型地震などの災害対応のほか、電力消費の多い DC を分散させるためで、整備費用の一部を支援している。 新規進出は北海道でも。 ソフトバンクが苫小牧市、東急不動産などが石狩市で建設を進める。

三菱 UFJ リサーチ & コンサルティングの平山佳奈コンサルタントは「生成 AI の開発に必要な『学習』は『利用』とは違い、地方でも問題ない。 大規模な用地や電力を確保しやすく、30 年までに大型 DC を開発する計画の発表も相次いでいる」と指摘。 都市部での DC 建設の動きは依然強いが、「地方分散のスピードは上がってきている」と話す。 (松本真弥、asahi = 4-2-25)


"数学のノーベル賞" 「アーベル賞」に京大の柏原正樹特任教授
 「驚くべき定理を証明」 日本人の受賞は初 『D加群理論』確立

"数学のノーベル賞" と言われる「アーベル賞」に、京都大学数理解析研究所の柏原正樹特任教授 (78) が選ばれました。 日本人の受賞は初めてで、ノルウェー科学文学アカデミーが発表しました。 柏原さんは代数解析学で重要な「D 加群理論」を確立しました。 (日テレ = 3-27-25)