外国人社員に「里帰り支援」 ステーキのあさくま、店長での活躍期待

東海や関東地方にステーキレストランを展開する「あさくま(本社・名古屋市)」が、外国人を店長候補として採用しはじめた。 人手不足に対応するためだ。 長く働けるよう在留資格の取得も支援し、里帰りのための費用を支給するしくみも検討している。 同社は全国に直営店を 62 店舗展開している。 昨年から外国人を積極的に採用。 外国人の正社員は、今年 2 月に新たに 6 人増やし、計 50 人になった。 このうち、およそ 10 人が店長になる見通しだという。

多くは特定技能(外食業)の資格で来日した。 仕事の技能についての試験や、「基本的な日本語を理解することができる」という水準の、日本語能力試験に合格している。

コロナ禍後「一気に人手不足に」

横浜市鶴見区の「ステーキのあさくま鶴見店」で働くキエ・トウエ・カイさん (23) は、昨年 10 月にミャンマーから来た。 ホールでの接客から始めて、年明けからは調理にも入っている。 農家の両親に月 15 万円相当の仕送りをしながら、自らの生計を立てている。 キエさんは、「将来はミャンマーに戻って、小さくてもいいから自分の店を持ちたい。 でもまずは、あさくまで頼りにされる存在になりたい。」

「コロナ禍が収束し、一気に人手不足になっている」という。 そこで注目したのが外国人だ。 「目的がはっきりしていて、やる気がある。 仕事を覚えるのが早く、1 - 2 年で店長に育つ」と広田陽一社長。 近い将来には、多くの店舗で外国人店長が仕切る形を描く。 特定技能 1 号での在留は 5 年が限度だが、2023 年秋に外食業の分野でも新たに設けられた同 2 号の資格を取ると、在留期間更新の回数に制限がなくなり、長く日本で働き続けることができる。 取得には 2 年以上の現場経験と、より高い実務の知識と日本語能力が求められる。

有給休暇を追加し、旅費を支給

広田社長は「いつまで働けるか分からないのは不安だと思う。 安心して働けるよう、採用直後から資格取得のための勉強会を開くなど、支援したい。」と話す。 さらに、目標を達成した場合に里帰りを支援する、外国人社員向けの制度を検討している。 あらかじめ設定した目標の達成度に応じ、旅費の全額または半額を支給。 同時に有給休暇を認める方向で、詳細を詰めている。 「海外から来た人たちが安心して働くには、時々は親と顔を合わせる機会も必要だ。 時間とお金がかかるのであれば、会社として配慮し、応援したいと考えている。」 (大平要、asahi = 4-13-25)


北朝鮮 IT 労働者に身分証など提供の疑い 日本人を書類送検 警視庁

北朝鮮出身を名乗る知人に運転免許証の画像などを提供し、インターネット上で仕事を受注する手助けをしたとして、警視庁公安部は 7 日、いずれも日本人の会社員の男 (32) = 大分市 = と個人事業主の男 (34) = 東京都北区 = を私電磁的記録不正作出・同供用の幇助容疑で書類送検した。 捜査関係者への取材でわかった。 同庁は、身分を偽って IT 関連の仕事をする「北朝鮮 IT 労働者」による不正な外貨獲得活動の一環の可能性があるとみて実態解明を進める。

2 人の送検容疑は、2020 年 9 - 10 月、それぞれ自身の運転免許証の画像と銀行口座番号について、海外で知り合った北朝鮮出身を名乗る知人にメッセージアプリで送信。 何者かが 2 人になりすまし、ネット上でクラウドソーシングの大手サイトのアカウントを不正取得する手助けをしたというもの。 クラウドソーシングは、仕事のマッチングを行うサービス。 アプリやホームページの作成などの仕事を発注する企業と、不特定多数の個人らとの仲介役となる。

捜査関係者によると、2 人になりすました人物は、このサイトを介して仕事を受注。 日本の企業が発注したもので、報酬は 2 人の名義の銀行口座にそれぞれ振り込まれた。 2 人は手数料として約 1 割を受け取り、残りを知人から指定された海外の銀行口座に振り込んだという。 ネット上の住所に当たる IP アドレスは国別に割り当てられており、クラウドソーシングのサイトには、北朝鮮側からアクセスした履歴が残っていた。 サイトに登録されたアカウントには、朝鮮語の変換ミスとみられる文言の記載もあったという。

警察庁などは昨年 3 月、北朝鮮の IT 労働者が日本人になりすまして日本企業から仕事を受注している疑いがあると注意喚起した。 国連安全保障理事会決議で、北朝鮮労働者による資金が北朝鮮の核・ミサイル開発に利用可能とならないようにしなければならないとされており、企業が北朝鮮 IT 労働者に業務を発注し報酬を払うのは外為法などに違反する恐れがあると指摘している。 (比嘉展玖、asahi = 4-7-25)


造船大手「今治造船」で技能実習の認定取り消し、過去最多の 2 千件

出入国在留管理庁は 25 日、造船大手の今治造船(愛媛県今治市)について、技能実習生を受け入れるための実習計画の認定を取り消したと発表した。 労働安全衛生法違反に問われて罰金刑が確定したことが、実習計画の取り消し事由にあたると判断した。 取り消された計画は 2,134 件で、1 事業者あたりの取り消し件数としては過去最多という。 同社は 25 日から 5 年間、技能実習生の受け入れができなくなる。 技能実習制度に代わって 2027 年までに始まる育成就労制度の労働者も受け入れられない。 入管庁は、同社が罰金刑を受けた違反の具体的な内容については明らかにしていない。

技能実習生を受け入れるには、実習生ごとに実習計画を作成し、外国人技能実習機構の認定を受ける必要がある。 技能実習法は、認定した計画の通りに実習が実施されていない場合や、出入国や労働に関する法令違反があった場合などに、計画の認定を取り消すことができると規定している。 同法に基づいて、事業者の実習計画が取り消された件数は 18 年度以降で計 9,346 件ある。 主要企業では、19 年に三菱自動車やパナソニックが認定の取り消しを受けている。 (久保田一道、asahi = 3-25-25)


急ぎすぎる外国人材の増加、共生のカギは 人口減社会の「痛み」現実に

「地方発の外国人政策が動き出した。」 国際労働移動に詳しい東海大学の万城目(まんじょうめ)正雄教授は、朝日新聞が実施した自治体アンケートから、人口減少社会に直面した自治体の姿勢や役割の変化を読み取る。 日本の総人口に占める外国人の割合が 2050 年ごろには 1 割になるという見方もあるなか、急激な変化にどう向き合えばいいのか。 現状と課題を聞いた。

朝日新聞が 47 都道府県と 20 政令指定都市を対象に行ったアンケート(24 年 10 月)では、地方自治体が外国人材の獲得にかなり積極的な様子が明らかになりました。

「海外の自治体や大学から人材を優先的に送ってもらう国際交流協定 (MOU) を取り付ける自治体が増えています。 アンケートによると、47 都道府県では半数以上の 24 道府県が締結していました。 コロナ禍が収まった 23 年以降は、大都市圏に入らない地方の自治体で急増しているのが特徴です。」

「MOU は連携・協力の枠組みです。 MOU をきっかけに、お互い訪ねたこともなければ聞いたこともない日本と海外の自治体が知り合い、その後のジョブマッチング開催といった人材獲得に向けた具体的な動きにつながっています。 国境を越えた労働市場のネットワーク化と言えます。」

過去最高の人手不足感

各自治体は外国人材を獲得するだけでなく、定着してもらおうと様々な支援策を打ち出しています。

「アンケートから、多くの自治体が外国人を雇用する事業主に対し、受け入れ環境整備のための補助金を出すなどしていることが分かりました。 日本語教育を実施している会社への補助や、留学生を対象とした就職合同説明会などもありました。 これらは外国人本人のサポートという側面もあり、自治体としては『外国人と企業の双方の支援になっている』ということでしょう。」

「外国人を地域の住民の一員として受け入れ、しっかりと行政サービスを提供する。 生活者として応援する - -。。 これが自治体が描く従来の『多文化共生』でした。 いま、自治体はその枠を超えて、外国人材を自ら積極的に確保し、活躍を支援する役割も担うようになっているのです。」

何が自治体を突き動かしているのでしょうか。

「歯止めがかからない人口減です。 08 年をピークに日本の総人口は減少に転じました。 そこから 15 年以上が経ち、少子高齢化に伴う人口減少社会の『痛み』がいよいよ現実のものとなっています。 働く女性や高齢者が増えましたが、コロナ禍後の景気の回復もあって、人手不足感は 1980 年代後半のバブル経済期以降で最高です。 特に地方ほど深刻です。 自治体は労働力がほしい企業の要請を受けて、外国人材の獲得に乗り出しているのです。」

分岐点に立つ日本

地方主導の「開国」は順調に進むのでしょうか。

「アンケートからは、外国人向けの相談窓口を設置したり、拡充したりする動きが広がっていることが分かりました。 外国人の生活や就労の悩み事などをつかむことで、対処のノウハウが蓄積されていきます。 人材派遣会社や日本語教育機関など、外国人雇用の関係者が集まってセミナーを開いている自治体もあります。 外国人材の受け入れのインフラができつつあると思います。」

「心配なのは、外国人の増え方が急だということです。 自治体は耐えられるのだろうか、と懸念しています。 受け入れ拡大のペースを緩めるなかで、定着支援をしっかりとしたものにしていくべきでしょう。 欧州のように移民が社会から孤立する問題を抱え込む国になるかどうか。 日本は分岐点に立っています。」

「外国人労働者を雇っているのは中小企業が大半で、後継者不在に悩んでいるところが少なくありません。 国からの地方交付税を活用し、外国人の居住費の負担などを軽減するための事業者支援を増やしていくことなどを考えてはどうでしょうか。 中小企業の振興策であり、外国人の定着支援策になると思います。」

アンケートでは、国や地方自治体、企業などの責務を明確にする「外国人基本法」を求める自治体もありました。

「これから外国人労働者はさらに増え、あわせて帯同の家族も増えていくでしょう。 教育や社会保障の面でもサポートが必要となる人たちです。 やはり、関係機関それぞれの責務、役割はどうあるべきか、きちんと基本方針を決めておくべきです。」

「90 年代に南米から多数の日系人を受け入れたとき、全国的に外国人定着の支援への関心は高くありませんでした。 日本の生産年齢人口が増えていたからです。 いまは違います。 外国人に来てもらい、住んでもらう『攻めの多文化共生』を、定着支援策とともにより進めていく必要があると思います。」 (聞き手・織田一、asahi = 3-23-25)


私有地を無断で造成、土地侵奪か 中国籍の夫妻逮捕 国史跡にキャンプ場設置し営業

福岡県警は 20 日、同県太宰府市の山中にある私有地を無断で造成し、キャンプ場を設置したとして不動産侵奪の疑いで、いずれも同県宇美町とびたけ、中国籍の会社役員、劉暁慶容疑者 (41) と、夫の会社員、李勇容疑者 (42) を逮捕した。 認否を明らかにしていない。 県警によると、土地は国の特別史跡「大野城跡」の一部。

逮捕容疑は令和 4 年 10 月ごろから 5 年 9 月下旬ごろ、福岡市の無職女性 (95) らが所有する計約 2,300 平方メートルの土地を無断で造成してキャンプ場を開設し、土地を侵奪したとしている。 県警によると、劉容疑者らは複数の小屋やトイレを設置。 「天満宮キャンプ場」などと称して営業していた。 (sankei = 3-20-25)


難民認定申請中の 17 人を強制送還、改正入管法運用 7 カ月で 入管庁

出入国在留管理庁は 14 日、昨年 6 月以降の約 7 カ月間に、難民認定の申請中だった 17 人を強制送還したと発表した。  難民申請中の送還を可能にする改正入管難民法の規定が、昨年 6 月 10 日に施行されたことに伴う措置で、この規定に基づく強制送還が明らかになるのは初めて。 17 人の国籍などの属性は「個人の特定につながりかねない」として非公表とした。

従来、難民申請中は強制送還を一律に停止する規定があった。 2023 年の通常国会で、3 回目以降の申請者については、難民と認定すべき「相当の理由」を示す資料を出した場合を除いて送還できるようにする改正入管法が成立した。 国会審議で政府は、送還を回避するために難民申請を繰り返す例があると説明。 これに対し、日本では難民認定の基準が厳しすぎるとして、「保護すべき人まで送還されかねない」と危惧する声があがっていた。

入管庁の担当者は「送還できない事情の有無を把握しつつ、順次送還している」と説明。 送還の方針を決めた後に対象者側から提出された資料に基づき、送還計画を停止したケースも 1 件あったという。 強制退去処分が決まったケースで、3 回目以降の難民認定を申請している人の数は把握していないとしている。 (久保田一道、asahi = 3-14-25)


在留外国人上位 5 カ国に変化か 急増するネパール人とその背景

日本で暮らす外国人の人口上位 5 カ国は過去 10 年以上変化がなかったが、その顔ぶれが近々変わることになりそうだ。 新たに名を連ねようとしているのはネパールで、在留人口は最新の調査(2024 年 6 月時点)で 20 万 6,898 人まで急増。 近く 21 万人超で 5 番目に多いブラジルを抜く可能性が高まっている。

出入国在留管理庁の統計によると、ネパール人の在留人口は 22 年以降、年間 3 万 - 5 万人規模で増えている。 24 年 6 月に 21 万 2,325 人だったブラジルの増加は、年間 2,000 - 5,000 人程度。 両国とも同程度の増加が続いた場合、24 年下半期か 25 年上半期の調査でネパールがブラジルを抜くことになる。

24 年 6 月時点の在留人口トップは 84 万 4,187 人の中国で、ベトナム、韓国、フィリピンと続く。 ブラジルを含めた上位 5 カ国の顔ぶれは、12 年以降変わっていない。 在日ネパール大使館によると、在留ネパール人の居住地は全国各地に広がり、飲食店で働く人が多い。 さらに、顕著に増えているのが留学生だ。 日本学生支援機構の統計によると、13 年の 3,188 人から 23 年には 3 万 7,878 人と 11 倍以上に。 ベトナム(3 万 6,339 人)、韓国(1 万 4,946 人)を抜き、中国(11 万 5,493 人)に次いで日本国内で 2 番目に多い国となった。

ドゥルガ・バハドゥル・スベディ駐日大使は毎日新聞の取材に対し、在留人口増加の背景に、就職や教育の機会の充実、似通った文化を挙げ、「政府でも民間レベルでも両国の関係が素晴らしい」と述べた。 在日ネパール人の実情に詳しい日本経済大の太田智之准教授(国際協力論)によると、ネパール人の出稼ぎ先はマレーシアや中東が多いが、より高い給料を得られる日本を選ぶ人が新型コロナウイルス禍後に増加。 日本国内の日本語学校もネパールからの学生獲得に注力するようになり、九州の学校ではネパール人学生が大半を占めることもあるという。

太田准教授は、他国に比べ日本企業の正社員への志向が強い点も指摘。 「日本語学校の思惑とネパール人の思いが合致した。 今後も日本ではネパール人がどんどん増えていくだろう」と分析した。 (片野裕之、mainichi = 3-10-25)


組織的にモバイル Suica 不正チャージか 中国人留学生 2 人を逮捕

不正に入手した他人のクレジットカード情報を使って、JR 東日本の電子マネー「モバイル Suica (スイカ)」にチャージ(入金)してたばこを購入したとして、警視庁犯罪収益対策課は 27 日、いずれも中国籍で大学生の曹智宣 (25) = 東京都葛飾区 = と、張靖宇 (30) = 品川区 = の両容疑者を電子計算機使用詐欺容疑などで逮捕したと発表した。 モバイルスイカはカード情報に加え、名前や生年月日などを入力すれば会員登録できる。 架空の個人情報でも登録可能で、警視庁は中国系の犯罪グループが本人確認の甘さを悪用し、購入した大量のたばこを本国などに転売していたとみている。

事件の構図

逮捕容疑は、仲間と共謀して2024 年 8 月上旬、不正に入手したクレジットカード情報と架空の人物名義でモバイルスイカに登録。 約 8 万円をチャージしてだまし取り、東京都新宿区のコンビニで計 17 回にわたり、たばこ計 163 箱を購入したなどとしている。 警視庁は 2 人の認否を明らかにしていない。 このコンビニでは、24 年 2 月からの約 10 カ月間で、不正に登録したモバイルスイカを使って約 4,500 万円相当のたばこが購入されていた。 コンビニの元店長で中国籍の50 代女性も事件に関与した疑いがある。 女性は既に帰国しているという。 (mainichi = 2-27-25)


香川県の外国人労働者 1 万 4,428 人 昨年 10 月、3 年連続最多更新

香川労働局がまとめた県内の外国人雇用状況によると、昨年 10 月末時点の外国人労働者は 1 万 4,428 人で、前年同期に比べ 2,126 人 (17.3%) 増えた。 届け出が義務化された 2007 年以降では過去最高で、増加は 3 年連続。 国籍別では、ベトナムが最も多く 3,726 人(前年比 8.5% 増)で、全体の約 26%。 次いでインドネシア 2,951 人(同 43% 増)、フィリピン 2,191 人(同 14.5% 増)、中国 2,009 人(同 0.1% 減)、ミャンマー 1,068 人(同 47.1% 増)と続いた。

産業別では、製造業が 6,338 人(全体の 43.9%)と最も多く、「卸売業、小売業」が 1,627 人(同 11.3%)と続いた。 事業所の規模別では「30 人未満」規模の事業所が 1,394 カ所(同 64.4%)と最多だった。 在留資格別で最も多かったのは「技能実習」の 6,357 人で、全体の 4 割超を占めた。 人手不足の分野で外国人労働者を受け入れる「特定技能」や、高度人材を含む「専門的・技術的分野」は前年同期と比べて 27% 増の 4,635 人。このうち「特定技能」は 3,470 人で、同 32.2% 増と大きく伸びた。

特定技能の産業分野別では、「造船・舶用工業」が 1,257 人と最も多く、「飲食料品製造業」 621 人、「工業製品製造業」 392 人と続いた。 同局の担当者は、「介護や建設など人手不足が顕著な分野で、外国人の活用に頼る状況が続いている」としている。 (和田翔太、asahi = 2-13-25)


在日クルド人ら「ヘイトスピーチ」禁止求めて提訴 街宣した男性に さいたま地裁

在日クルド人らで作る「日本クルド文化協会」(埼玉県川口市)は 12 日、協会の事務所周辺で行われたデモは「ヘイトスピーチ」にあたるとして、デモを実施した神奈川県海老名市の男性に対し、活動の禁止や 550 万円の損害賠償を求め、さいたま地裁に提訴したと明らかにした。

提訴は 2024 年 12 月 27 日付。 訴状によると、同年 2 - 9 月に男性らによる計 6 回のデモや街宣で、マイクを使って「クルド人を日本からたたき出せ」などと発言するヘイトスピーチがあったと主張。 地域住民らが事務所に集うのを敬遠するなど平穏に事業ができず、名誉毀損もあったとし、事務所の半径 600 メートル内でクルド人を著しく侮蔑する行為などの禁止を求めた。

在日クルド人へのヘイトスピーチを巡っては、同地裁が同年 11 月 21 日、男性に対し、協会事務所周辺でのデモを禁ずる仮処分決定を出した。 協会側弁護団によると、男性はデモが予定されていた同 24 日、仮処分決定が禁じた範囲外の JR 川口駅前で街宣をしていた。 協会側代理人の師岡康子弁護士は 12 日の会見で、「社会に蔓延するクルド人へのヘイトを止めることも含め、社会に訴えていきたい」と話した。 男性側は「ヘイトスピーチはしていない」などと主張しているという。 (浅田朋範、asahi = 2-13-25)

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クルド人団体事務所周辺のデモ さいたま地裁が実施禁じる仮処分決定

在日クルド人らで作る「日本クルド文化協会(埼玉県川口市)」が、協会の事務所周辺で 24 日に予定されているデモは「ヘイトスピーチ」だとして差し止めを求めた申し立てに対し、さいたま地裁は 21 日、デモを呼びかけた男性に実施を禁じる仮処分を決定した。 申し立てでは、JR 蕨駅近くの事務所の半径 600 メートル以内でのデモや、誹謗中傷する内容のビラ配りなどを禁止するよう求めていた。 決定はいずれも認めた。

申立書によると、神奈川県海老名市の男性らは今年 2 月から複数回、事務所周辺でデモを実施。 「自爆テロを支援するクルド協会は、日本にいらない!」、「根絶せよ!! クルド犯罪偽装難民」といった横断幕やプラカードを掲げたり、「クルド人は日本から出て行け」などと拡声機やマイクで訴えたりしたという。 協会側は、こうしたデモは明白な名誉毀損行為で、クルド人を排除するようあおるヘイトスピーチだと指摘。 今後も同様のデモが実施される可能性は高いと主張していた。

特定の人種や民族を標的に差別をあおるヘイトスピーチをめぐっては、横浜地裁川崎支部が 2016 年に、在日コリアンへのヘイトスピーチデモを禁じる仮処分決定を出したほか、16 - 19 年に大阪、東京両地裁でも同様の決定をしている。 仮処分は正式な裁判の判決を待っていては取り返しのつかない損害が生じたり、差し迫った危険があったりする場合に、裁判所が暫定的な措置を命じる仕組みで、法的な効力がある。 (浅田朋範、asahi = 11-21-24)


外国人労働者の育成就労、手数料「月給の 2 カ月分」まで 政府原案

外国人技能実習制度の終焉 新制度へ

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