「孤独死」 7 万 6 千人超 初の統計 うち 65 歳以上が 5.8 万人

昨年 1 年間に自宅で亡くなった一人暮らしの人は全国で 7 万 6,020 人で、このうち、死後 8 日以上経過して見つかった人は 2 万 1,856 人に上った。 警察庁が 11 日、初めて年間を通じての統計を発表した。 「孤独死・孤立死」の実態把握を進めてきた内閣府の作業部会は同日、最終報告を取りまとめ、「孤立死」者数を把握するための目安として、死後 8 日以上経って見つかったケースを扱うことが適当と指摘。 このケースは生前に社会的に孤立していたことが強く推認されるとした。

警察庁によると、昨年に警察が取り扱った死者 20 万 4,184 人のうち一人暮らしで自宅で亡くなった人は 4 割近くの 7 万 6,020 人だった。 年代別では、65 歳以上の高齢者が 5 万 8,044 人で、8 割近くを占めた。 10 代でも 62 人、20 代でも 780 人いた。 死亡してから数日以内に発見される人が目立ち、4 割近くが当日か翌日に発見され、7 割超は 1 週間以内に見つかっていた。 一方で、死後 8 日以上経過して発見された 2 万 1,856 人のうち、1 カ月以上は 6,945 人、1 年以上は 253 人いた。 死後 8 日以上経過したケースでは、男性が 8 割を占めた。 (板倉大地、山下裕志、asahi = 4-11-25)


旧統一教会への解散命令、教団側が即時抗告 東京高裁で再び審理へ

世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に解散を命じた 3 月 25 日の東京地裁決定は不当だとして、教団が 7 日、東京高裁に即時抗告した。 高裁が改めて、解散命令の是非を非公開で審理する。 教団の近藤徳茂・法務局副局長は即時抗告の書面提出後、報道陣の取材に「憲法に違反し、国連勧告を無視し、国際法に違反する結論ありきで不当だ。 信徒の信教の自由や生存権などが脅かされかねず、断固として闘っていく」と話した。

一方、全国統一教会被害対策弁護団の村越進団長は教団の即時抗告を受け、「速やかな被害者救済の実現のためにも、また、解散命令が確定するまでの間に財産隠匿・散逸が行われるのをできるだけ防ぐためにも、速やかに即時抗告が棄却され、解散命令が確定することが重要だ」とするコメントを発表した。 宗教法人法によると、高裁が再び解散を命令した場合、教団が最高裁に特別抗告したとしても命令の効力が生じ、二審の段階で解散の手続きが実際に始まる。

具体的には、教団は法人格を失い、裁判所が選ぶ清算人が、教団の資産を管理して債権者への支払いなどを行う。 税制上の優遇措置なども廃止される。 ただ、信者らの信仰は制約されず、宗教活動を続けられる。 解散命令の是非は最高裁まで争うことができ、最高裁が命令を覆せば、解散手続きは停止される。 2023 年 10 月の文部科学省による請求を受け非公開で審理していた地裁は今年 3 月の決定で、1980 年代以降の高額献金の被害額は約 204 億円に上ると認め「類例のない甚大な被害を生じさせた」と指摘。 組織体質などを変える対策を講じていないとして「解散はやむを得ない」と判断した。

教団は「誤った法解釈に基づいて出された結果で承服できない」と表明していた。 (米田優人、黒田早織、asahi = 4-7-25)

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旧統一教会、献金など年間収入 400 億円 総資産は 1,180 億円

解散決定が出た世界平和統一家庭連合(旧統一教会)について、東京地裁は、教団の献金などの収入が 2022 年度までの 8 年間の年平均で約 409 億円あり、同年度末時点の「総資産」が約 1,181 億円だったと認定した。 地裁の決定文書の記載でわかった。 東京地裁が、証拠や審問に基づき記した「認定事実」などによると、教団は 1964 年に設立された宗教法人で、主たる事務所は東京都渋谷区に置かれている。 教団の「収支及び財政規模等」についても言及しており、15 年度 - 22 年度の平均収入は年間約 409 億円で 99% 以上が信者からの献金だった。

一方、年間の平均支出は年間約 341 億円だった。 「布教費」、「教会運営費」、「海外宣教援助費等」などの「宗教活動支出」のほか、固定資産購入や寄付金などの「特別支出」だった。 収入は 21 年度まで増加傾向にあり、支出は、ほぼ横ばいで推移していた。 このため繰越金が毎年発生し、資産が積み上がっている状況だった。 21 年度末時点の総資産は約 1,136 億円で、このうち現預金が約 820 億円を占めた。 22 年 7 月に安倍晋三元首相の銃撃事件が起きた。 同年度の収入は約 354 億円で、前年度から約 29% 減っていた。 (小寺陽一郎、asahi = 3-25-25)

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旧統一教会の解散を決定 高額献金の勧誘めぐり 東京地裁

高額献金の勧誘などをめぐり、文部科学省が求めた世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への解散命令請求について、東京地裁(鈴木謙也裁判長)は 25 日、教団を解散するという決定を出した。 決定は、献金被害をめぐって教団に賠償を命じた判決や被害者との和解などで、2009 年までに生じた損害が 194 億円余りに上ったと認定。 「類例のない膨大な被害が生じた」と指摘した。

教団が「コンプライアンス宣言」を出した 09 年以降も、法令違反を受けた改善策など「組織体質や信者の行動のあり方を大きく変化させる根本的な対策が講じられたとはいえない」と判断。 献金被害は減ったものの、宣言後も途切れていないとして「解散を命じるのはやむを得ない」と結論づけた。 教団はこの決定に対し、不服申し立てを東京高裁にするとみられ、その場合は解散決定による効力は生じない。 解散命令の是非は、最高裁まで争える。 阿部俊子文部科学相は決定を受け、「私どもの主張が認められたものと受け止めている」とするコメントを出した。

教団はホームページに「到底、承服できるものではない」、「東京高裁への即時抗告を検討していく所存」などとするコメントを掲載した。 解散の決定が確定すると、宗教法人格が失われる。 宗教活動による所得であれば、法人税を支払わなくてよいなどの税制優遇がなくなるが、信仰や布教などの宗教活動そのものは禁止されない。 宗教法人法は「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為」などが宗教法人にあった場合、裁判所が解散を命じることができると定める。

文科省は 2023 年 10 月、地裁に解散命令を請求した。 教団が遅くとも 1980 年ごろ以降、教団の利得のために多くの人の不安をあおり、多額の献金をさせて損害を与え、平穏な生活を害したなどと主張。 約 5 千点の証拠資料を提出し、確認できた範囲で被害者約 1,550 人、計約 204 億円にのぼる民法上の不法行為があった、と訴えた。 これに対し教団側は、文科省が出した被害者の陳述書などは誤っていると反論した。 献金の受領は宗教活動の一環だとし、2009 年に「コンプライアンス宣言」をして以降、教団に対する献金をめぐる被害の訴えは大幅に減ったと主張してきた。

解散命令請求に対する審理は法律に基づき、非公開で進んだ。 主な争点は、高額献金の勧誘などについて、教団の「組織性、悪質性、継続性」が認められるかだった。 法令違反を理由とした裁判所の解散命令は、過去にオウム真理教(1996 年に最高裁で確定)と明覚寺(2002 年に最高裁で確定)の例があり、いずれも刑法違反が根拠とされた。 今回の請求は、刑法違反ではなく民法上の不法行為を理由としたが、最高裁は 3 月、解散命令の根拠に「民法上の不法行為も含まれる」との初判断を別の裁判で示していた。

教団によると、国内の教会数は約 280、信者は約 60 万人。 そのうち、毎週礼拝に参加する信者は約 10 万人という。 (米田優人、asahi = 3-25-25)


死者 29 万人超、全壊 235 万棟 南海トラフ地震で新たな被害想定

南海トラフ地震

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フジ第三者委、中居正広さんから女性への「性暴力があった」と認定

フジテレビのガバナンス不良

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東京都心で桜が満開 気象庁発表 平年より 1 日、昨年より 5 日早く

東京管区気象台は 30 日、東京都心で桜が満開になった、と発表した。 平年に比べて 1 日、昨年より 5 日それぞれ早い。 気象庁の職員が東京・九段の靖国神社の標本木で確認した。

気象庁によると、都心では今月下旬に入り、最高気温が 25 度以上の「夏日」が相次ぐなど暖かい日が続いた。 29 日は一転して前日より 10 度ほど低くなり、厳しい寒さとなっていた。 目黒川沿いの「五反田ふれあい水辺広場」では桜が見頃を迎え、多くの花見客でにぎわっていた。 (小川聡仁、asahi = 3-30-25)

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宮崎で 30.2 度、全国で今年初の真夏日 東京都心は 3 回目の夏日に

南西から日本付近に暖かい空気が流れ込んだ影響で、26 日は各地で気温が上がっている。 気象庁によると、午後 1 時すぎに宮崎県西都市で最高気温が 30.2 度、大分県佐伯市でも 30.0 度となり、全国で今年初めての「真夏日(30 度以上)」を観測した。 気候が異なる東京都の南鳥島を除けば、1993 年に鹿児島県名瀬で 30.4 度を観測したのと並び、最も早い真夏日となった。

気象庁によると、東京都心でも朝から気温が上がり、午前 10 時すぎに 25.9 度の「夏日(25 度以上)」になった。 今月、都心で夏日を観測したのは 3 回目。 宮崎県、鹿児島県、和歌山県などの沿岸部ではフェーン現象の影響で、局地的に 30 度前後となる地点もあった。 午後 2 時時点で、茨城県から沖縄県の 112 地点で、3 月としての最高気温の記録を更新した。 27 日以降も上空は暖気に覆われた状態が続くが、29 日には雨が降り、気温も平年並みか低くなるとこもあり、寒暖差に注意が必要だ。 (力丸祥子、asahi = 3-26-25)

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東京都心で桜開花 昨年より 5 日早く、平年と同じ 1 週間ほどで満開

東京管区気象台は 24 日、東京都心の桜の開花を発表した。 靖国神社(千代田区)にあるソメイヨシノの標本木が 6 輪咲いていることを職員が目視で確認した。 昨年と比べると 5 日早く、平年と同じで、1 週間ほどで満開になる見込み。 職員が午後 2 時ごろに開花を宣言すると、標本木を取り囲むよう見守っていた人たちから拍手が起きた。

気象庁によると、28 日ごろまでは南から湿った空気が入り込みやすく、東京都心でも気温が上がり順調に開花が進むとみられる。 今のところ、週末の 29 日は雨の可能性が高く、晴れ間が出る 30 日の方がお花見日和となりそうだ。 24 日は長崎と鹿児島でもソメイヨシノの開花宣言があり、23 日に全国に先駆けて発表された高知と熊本に続いた。 (力丸祥子、asahi = 3-24-25)

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ソメイヨシノ開花、高知と熊本が一番乗り 気象台が標本木で確認

高知、熊本の両地方気象台は 23 日、サクラの開花をそれぞれ発表した。 高知市と熊本市にあるソメイヨシノの標本木で、全国で最も早い開花が確認された。 気象台によると、高知市での開花は昨年と同じ日で、平年より 1 日遅い。 全国トップとなるのは 2 年連続。 熊本市は昨年より 3 日早い開花で、平年より 1 日遅い。 (asahi = 3-23-25)


黄砂、26 日も全国に飛来 洗濯物に注意 27 日午前まで一部地域で

26 日も全国的に黄砂が飛来し、観測地点の東京、大阪では、目視で観測された。 午前 9 時 40 分時点で、見通しがきく距離は東京が 10 キロ以上、大阪が 5 - 10 キロ。 いずれも風景がかすむ程度だが、25 日に引き続き、屋外に洗濯物を干す際には注意が必要になる。  気象庁によると、黄砂の飛来は、地域を狭めながら 27 日午前ごろまで続くとみられる。 (森下裕介、asahi = 3-26-25)


陥没事故受け、下水道管調査へ 全都道府県の約 5 千キロ 国交省

埼玉県八潮市の道路陥没事故を受け、国土交通省は 18 日、同様の事故を防ぐために、全国の古くて大きい下水道管を対象に「特別重点調査」を行うと発表した。 事故直後に 7 都府県で実施した緊急点検とは別で、全 47 都道府県の約 5 千キロが対象になる見込みだという。

調査は事故の再発防止策などを検討する有識者委員会の提言を踏まえたもの。 国交省によると、調査対象は直径 2 メートル以上で、設置から 30 年以上の下水道管。 約 500 の自治体や団体が管理しているといい、管路内を全線にわたって目視やテレビカメラで調べ、緊急度が高い場合は早急に対策を実施する。 事故現場と構造や地盤が似ていたり、腐食しやすかったりする約 1 千キロは優先的に調査し、夏ごろまでに報告するよう自治体側に求める。 それ以外は、1 年以内の報告を求める。

政府、調査や補修で財政支援

政府は 18 日、調査や補修などの対策を担う自治体側を財政支援するため、2024 年度予算の予備費から約 99 億円を支出することを閣議決定。 また、陥没事故が起きた埼玉県に、予備費から約 45 億円支出して早期復旧を支援する。 (東郷隆、asahi = 3-18-25)


広がる「財務省解体」のデモ SNS に流れる言説に駆り立てられて

普段の週末なら閑散とする東京・霞が関の官庁街。 段ボールの手作りプラカードを手にした数百人が「財務省はウソつきだ」と声をあげる。 2 月 15 日午後 3 時。 その数日前から、X (旧ツイッター)などでは、財務省の前で「財務省解体デモ」を開催する情報が流れていた。 「取材ですか。」 話しかけてきたのは、埼玉県在住の男性 (45)。 呼びかけた一人だという。 特定の団体に所属しているわけではない。 TikTok などで切り抜き動画を配信している。 以前、別のデモに参加。 SNS で知り合った男性と「自分たちもやろう」と盛り上がった。

「政府が大企業を優遇し、しわ寄せが弱者に来ている。 責任の一端が財務省にある。」と感じている。 就職氷河期に世に出た「ロスジェネ」の世代だ。 30 近くの非正規の職を経験し、3 年前にようやく正社員に。 「結婚も諦めた。 ホームレスと紙一重だった。」 SNS で政治について調べ、「オススメ」で流れてきたのが、「財務省解体論」だったという。 財務省前では月に数回、こうしたデモが開かれている。 いつ、どのように始まったのか。

「裏で財務省が操っていると知った。」

一昨年 9 月から 10 回以上続けてきたと話すのが、池戸万作さん (41) だ。 X には、「政治経済評論家」とある。

「若者や庶民の生活苦の元凶が緊縮財政を主導する財務省だ。」

主張に共感し、毎回数十人が集まった。 昨年末ごろから、様子が変わり、財務省解体という強い言葉が SNS で拡散し始めた。「『103 万円の壁』の議論を巡る財務省への反感も合わさり、参加者が急増した。」 様々な個人や団体が、SNS を通じて「入れ代わり立ち代わり」呼びかけているという。 神奈川県の 20 代の男性はユーチューブで知り、初めてデモに来たという。

なぜ、財務省解体?

「税収は史上最高なのに能登は復興しない。 お金の流れが明らかにおかしい。 SNS のおかげで、裏で財務省が操っていると知った。」と話す。 「腐敗したメディア」など、メディア批判のプラカードも目立つ。 都内に住む 50 代の女性は、「オールドメディアは信じない。」 トランプ米大統領が標的にする米国際開発局 (USAID) に触れ、「USAID のお金、もらってるんでしょ?」と聞いてきた。 開発局は対外援助を担っているが、SNS では、「各国のメディアに USAID から金が流れている」という根拠不明の情報が出回る。

朝日新聞は公式に否定しているが、「ここにいる誰も信じませんよ。 財務省の問題も、癒着したメディアはどうせ報じられない。」 新型コロナの「ワクチン反対デモ」に参加するうち、参加するようになったという人もいた。 埼玉県の会社員男性 (50) は、「『真実』を報じるとあなたにも危険が及ぶでしょうから、気をつけて」と記者の身を案じた。 翌週 21 日のデモは、さらに人数がふくらんだ。 財務省の玄関からスーツ姿の男女が出てくるたびに、集まった群衆が「税金泥棒」、「恥を知れ」などと罵声を浴びせた。

ネオリベラリズムと福祉排外主義

東京都港区の職場からの帰りだという会社員男性 (44) は、「自分の子どもは年金がもらえそうにないのに、外国人に税金を使っているのが許せない。 外国人は日本に来なくてもいい。」と話した。 インターネット上の言論に詳しい伊藤昌亮成蹊大教授は、「財政への不満が、日本では珍しかった経済デモの形で表れている。 不満の矛先は大きく分けて、『取られるお金を減らすかわりに、もらえるお金も少なくていい』というネオリベラリズムと、『税金が外国人に使われるのが嫌だ』という福祉排外主義の二つの方向性があり、デモの一部にも垣間見える」と指摘する。

急拡大の理由については、「生活が苦しく、疎外感を抱える人たちが、SNS のショート動画などで流れる『黒幕は財務省』という分かりやすいナラティブ(物語)に共感し、その怒りが噴出している。 SNSで『自分で見つけた情報だ』という心理から、信念も強固になりやすい」と見る。 「一見奇抜な主張もあるが、彼らが駆り立てられていく背景や抱える現実に、社会は目を向けるべきだ。」 3 月 4 日の衆院財務金融委員会で、石破茂首相は野党議員の質問に、「国民の不満や怒りが体現されており、等閑視すべきではない」と答えた。

最近は、インフルエンサーも SNS で相次いで言及。 注目を集めるためか、さらに様々な人たちが足を運ぶようになった。 2 月 28 日午後には、千葉県知事選に立候補している政治団体「つばさの党」代表の黒川敦彦氏が選挙カーで乗りつけてデモ隊の前でマイクで大声をあげ、参加者と言い合いになる場面もあった。 (後藤遼太、御船紗子、asahi = 3-14-25)


週末、東京含む関東南部で雪か  週明けは春の陽気 気象庁

気圧の谷や湿った空気の影響を受ける影響で、週末の 8 - 9 日は東京都を含む関東南部の山地では雪、平地でも雨に雪が交じる可能性がある。 一方、10日以降は全国的に平年より高い気温が予想され、春の陽気となりそうだ。 気象庁によると、8 日は夕方から夜にかけ、雪や雨となる見込み。 都内では多摩地方を中心に降雪が見込まれる。 9 日朝には雨や雪が上がると予想されているという。 週明けは日本付近が暖かい空気に覆われるため、東京や大阪では 20 度に迫る気温が予想される日もある。 (力丸祥子、asahi = 3-7-25)

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週明けは南岸低気圧で雪雨予想 鉄道や道路への影響は

明日 3 日(月)から通過する前線と南岸低気圧の影響で広範囲で雨となり、週中頃にかけて東北南部山沿いや東北北部太平洋側、関東北部山沿い、甲信越では湿った雪で大雪となる可能性があります。高速道路や鉄道への影響が心配されます。

高速道路への影響

東日本では中央道や上信越道、長野道、また東海北陸道などで冬タイヤ規制や雪による速度規制の可能性があります。特に3日(月)の夜から4日(火)にかけて、東北の磐越道や山形道では5日(水)は通行止めなどの可能性が高まります。 車で移動をする予定のある方は冬タイヤ装着はもちろんのこと、高速バスなどのダイヤにも遅れが出る可能性があるため、ご利用の方は渋滞情報や運行情報をよくご確認ください。

鉄道への影響

新幹線は3日(月)と4日(火)に、上越新幹線と北陸新幹線では雪による遅延などの影響が一時あると見込まれています。 また5日(水)は北日本の新幹線を中心に、遅延の可能性があります。 在来線では、甲信や東北の各路線、関東の一部路線で遅延、北部や西部山沿いの路線では運休や運転見合わせの可能性があります。特に東北では5日(水)は一日を通して大きな影響が出る見込みです。 近畿の湖西線や中国地方の山陰線では強風により遅延などの影響が一時あると見込まれています。 運行情報をお確かめのうえ、念のため時間に余裕を持って移動することをおすすめします。

航空への影響

週明けから仙台や福島など太平洋側でも雪による遅延などの影響が予想されています。 また、成田空港や羽田空港、4日(火)夜の便で一時的に雪や強風などの影響で、到着遅れや条件付き運航となる可能性があります。 ご利用予定の方は各航空会社の運航情報をご確認ください。 (ウェザーニュース = 3-2-25)


食品の値上げラッシュ再び 今年は「2 万品目前後」に達する可能性

帝国データバンクは 28 日、これまでに今年値上げすると公表された食品(予定を含む)は計 11万 797 品目と、前年の同時期の調査の約 1.8 倍にのぼると発表した。 背景には人件費や物流費の増加などがあり、最終的には 2 万品目前後に達する可能性があるという。 同社が主要食品会社 195 社について調べた。 値上げした品目数は 2022 年が約 2 万 6 千、23 年が約 3 万 2 千に達した後、24 年は約 1 万 3 千まで減って「値上げラッシュ」に一服感がみられていたが、今年は再び増加に転じる見込みだ。

今年の値上げ品目数は昨年の 2 倍のペースだ

分野別にみると、調味料が 3,240 品目と最も多く、加工食品が 2,947 品目、酒類・飲料が 2,077 品目、パンが 1,227 品目と続く。 値上げの要因(複数回答)は、原材料高が 98.0% と依然トップだが、昨年に比べ、賃上げに伴う人件費の増加 (43.5%) や、「2024 年問題」に関連した物流費の増加 (80.9%) を挙げる企業が増えた。 担当者は「去年は、相次ぐ値上げへの消費者の拒絶反応を意識して値上げを差し控える動きがあったが、企業側のコスト吸収も限界に近づいている」と話す。

月別の値上げ品目数は、今のところ 4 月が最も多い。 各社の発表によると、テーブルマークはコメ高騰などを受けてパックご飯 22 品の希望小売価格を 11 - 36%、ビール大手 4 社は酒類の出荷価格や店頭想定価格を 1 - 17%、日清オイリオグループは家庭用食用油の出荷価格を 7 - 11% 引き上げる。 (新田哲史、asahi = 2-28-25)

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3 月の電気・ガス料金、大手全社で値上がり 政府の補助金縮小で

大手電力 10 社と大手都市ガス 4 社は 27 日、3 月使用分(4 月請求分)の電気・ガス料金を発表した。 燃料価格の上昇に加え、政府の補助金が縮小したため、全社で前月よりも値上がりする。 電気料金(国の認可が必要な規制料金)は、平均的な家庭でみると、10 社で 294 - 411 円上がる。 ガスは 4 社で 179 - 233 円上昇する。 政府の補助は 3 月使用分が前月からほぼ半減し、電気が 1 キロワット時あたり 1.3 円、ガスが 1 立方メートルあたり 5 円だった。 補助は 3 月で終わる予定。 (長橋亮文、asahi = 2-27-25)


新築マンションの平均価格、初の 6 千万円超え 8 年連続で最高値更新

不動産経済研究所は 26 日、2024 年に全国で売り出された新築マンションの平均価格が前年比 2.9% 増の 6,082 万円だったと発表した。 8 年連続で最高値を更新し、1973 年の調査開始以来、初めて 6 千万円を超えた。 建設費や人件費の高騰で、マンションの平均価格は全国で上がっている。 地方の主要都市では、札幌市が同 3.3% 増の 5,145 万円、仙台市が同 27.2% 増の 5,890 万円、名古屋市が同 8.3% 増の 4,448 万円、広島市が同 31.8% 増の 5,372 万円、福岡市が同 40.1% 増の 5,598 万円だった。

地方でも駅に近い好立地などで価格が 1 億円を超える「億ション」が売り出されるなど、首都圏以外でも高額物件が売れている。 松田忠司・上席主任研究員は「一部の高価格帯物件が平均価格を押し上げる動きはしばらく変わらないだろう。 ただ、所得が伸びないと価格が頭打ちになることもありえる。」と話した。 全国の 24 年の発売戸数は前年比 8.6% 減の 5 万 9,467 戸。 供給戸数が最も多かった事業主は野村不動産だった。 (益田暢子、asahi = 2-26-25)


23 日も日本海側や近畿北部で大雪 24 日は近畿中部でも大雪か

上空に流れ込む強い寒気の影響で、23 日も日本海側を中心に大雪になった。 24 日も冬型の気圧配置が続く見通しで、気象庁は大雪による交通障害や落雪被害などへの警戒を呼びかけている。

気象庁によると、23 日午後 4 時現在の 24 時間降雪量は、福島県只見町で 35 センチ、島根県浜田市で 32 センチ、福島県金山町で 30 センチだった。 24 日午後 6 時までに予想される 24 時間降雪量は、新潟県の山沿いで 60 センチ、近畿北部と山陰・山陽の山地で 40 センチ、石川県、福井県の平地で 30 センチなどとなっている。 24 日は、普段は雪の少ない近畿中部や四国の平地でも大雪になるところがあり、交通機関に影響が出るおそれがある。 北陸や山口県では、同じ地点で降雪が続けば、警報級の大雪となる可能性もあるとしている。

JR 西、一部列車を運休へ

JR 西日本は、強い冬型の気圧配置による大雪に備え、24 日に一部列車を運休すると発表した(23 日午後 5 時現在)。 25 日以降も運休や遅れが生じる可能性がある。 JR 西近畿統括本部によると、山陰線の浜坂 - 米子間の運転を 24 日の始発から昼ごろまで取りやめる。 北陸線の米原 - 敦賀間は始発から午前 8 時ごろまで数本を取りやめ、湖西線は近江今津 - 近江塩津間で始発から午前 9 時ごろまで 7 割、午後 5 時ごろから終日 3 割程度での運行とする。

特急列車は「スーパーはくと号」の上下線計 8 本と「はまかぜ号」(浜坂 - 鳥取間)の上下線計 2 本を運休する。 そのほかの列車も遅れや取りやめが生じる可能性がある。 最新の運転状況は、JR 西の ホームページ で確認できる。 (遠藤隆史、渡辺七海、asahi = 2-23-25)

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強い寒気、日本海側で大雪 23、24 日も注意 連休明けは気温上昇

強い寒気の影響で日本海側を中心に大雪が続いている。 3 連休は冬型の気圧配置が続く見込みで、気象庁は大雪による交通障害や積雪による家屋の倒壊に注意を呼びかけている。 気象庁によると、24 時間降雪量は 22 日午後 3 時現在、新潟県長岡市で 39 センチ、山形県小国町で 33 センチ、石川県輪島市で 29 センチなどとなっている。

東北北部では 23 日にかけて大雪になる所がある見込み。 九州北部では 23 日夜から 24 日午前にかけて、山地を中心に大雪のおそれがある。 北陸地方や近畿北部では 24 日にかけて大雪となる所がありそうだ。 26 日ごろからは平年と比べ気温が高い日が多くなり、28 日以降はかなり高くなる所もあるという。

輪島市で 6 時間に 26 センチ 1 人けが

輪島市では、22 日午前 5 時までの6時間に 26 センチの降雪が観測され、金沢地方気象台は「顕著な大雪に関する情報」を発表した。 県の 15 時現在のまとめでは、この大雪で、宝達志水町内で除雪作業中の 70 代男性がはしごから転落し、胸に軽傷を負った。

県は 22 日午前 7 時から災害対策本部員会議を開催し、除雪などに万全の態勢をとることを確認した。 馳浩知事は、21 日に続いての県内への顕著な大雪に関する情報の発表に、「今回も最大限の警戒が必要だ。 能登半島地震や奥能登豪雨で損傷を受けた家屋では、積雪の重みによる倒壊にも注意してほしい」とし、「被災地のインフラは脆弱(ぜいじゃく)な状況。 除雪態勢を万全に。」と指示した。 県民には不要不急の外出を控えることや、道路の凍結への注意、除雪は 2 人以上で行うことなど安全確保を呼びかけた。

23 日夜の特急サンダーバードなど 4 本運休

JR 西日本は 22 日、23 日夜から 24 日昼にかけて大雪が見込まれるため、23 日夜の特急サンダーバード(大阪 -―敦賀間)上下 2 本、特急しらさぎ(米原 - 敦賀間)上下 2 本の計 4 本を運休すると発表した。 また、北陸線の長浜 - 敦賀間、湖西線の近江舞子 - 近江塩津間については、特急のサンダーバードとしらさぎを含め、23 日夕方から 24 日昼ごろまで運転を見合わせる可能性があるとしている。 (河崎優子、久保智祥, asahi = 2-22-25)

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「今季一番の寒気」襲来 大雪で車が一時立ち往生、新幹線にも影響

日本付近に居座っている「この冬一番の寒気」は 8 日、鉄道や交通に影響を及ぼしている。 記録的な大雪となっている北海道や本州の日本海側の地域では、さらに積雪が増えるおそれがある。 気象庁は 8 日昼、北日本、西日本の日本海側を中心に、9 日にかけて引き続き大雪や強風の大荒れの天気となると発表した。 総務省消防庁などによると、8 日午前 10 時現在、4 日以降の一連の大雪で新潟県十日町市で 70 代男性が死亡し、北海道や福井県など計 8 道県で 26 人が重軽傷を負った。

山口河川国道事務所によると 8 日未明、山口県山陽小野田市の国道2号で、大雪によって車がスタックし、数十台以上の立ち往生が発生。 午前 1 時半から、山口市江崎 - 同県下関市松屋東町で上下線とも通行止めになった。 山陽小野田市山野井を先頭に下り線で 5 キロメートルの渋滞が起きたが、同事務所の委託業者が立ち往生した車にチェーンを巻いたり、路面に凍結防止剤を散布したりして車を移動させ、午前 9 時に立ち往生は解消。 通行止めも午前 9 時 45 分に解除となった。

東海道新幹線は米原地区(滋賀県)での雪のため、三河安城 - 新大阪間の上下線で始発から通常より速度を落として運転。 山形新幹線は除雪作業が難航し、福島 - 新庄間の運転を終日見合わせる。 東北新幹線は線路点検のため、仙台 - 盛岡間で始発から午前 7 時過ぎまで運転を見合わせた。 気象庁によると、8 日午前 10 時までの 24 時間降雪量は、新潟市中央区で 50 センチ、群馬県みなかみ町で 48 センチ、広島県庄原市で 44 センチなどを観測した。

気象庁は 7 日夜、新潟市とその周辺、石川県七尾市を含む能登南部の平地に顕著な大雪に関する情報を発表した。 新潟市中央区では 8 日午前 2 時までの 12 時間に 1997 年の統計開始以来、最も多い 50 センチ、石川県加賀市でも午前 1 時までの 3 時間に 16 センチの大雪を観測し、今後も強い雪が続く見込みで あることから、大規模な交通障害の発生するおそれが高まっているとしている。

強弱を繰り返している「数年に 1 度の強い寒波」は 7 日夜から 8 日にかけて強まり、日本の広い範囲にまとまった雪を降らせた。 また、過去に大雪をもたらした、日本海上の「日本海寒帯気団収束帯 (JPCZ)」が流れこみ、日本海側ではさらに積雪が増えるおそれがある。 10 日には冬型の気圧配置は解消する見通し。 9 日午前 6 時までの 24 時間では多いところで、▽ 関東甲信で 80 センチ、▽ 東北・北陸・近畿で 70 センチ、▽ 東海・中国で 60 センチなどの降雪が予想されている。 (asahi = 2-8-25)

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この冬一番の寒気、8 日にかけて再びピークに 全国各地で大雪の恐れ

日本付近に居座っている「この冬一番の寒気」は 8 日にかけて、再びピークを迎えそうだ。 気象庁によると、普段は雪が少ない東海や四国、九州の太平洋側でも降雪となる地域があり、10 日には冬型の気圧配置は解消する見通し。 6 日午後 5 時までの 24 時間降雪量は、福島県金山町で 65 センチ、岐阜県白川村で 55 センチ、北海道赤井川村で 54 センチなど。 鹿児島市でも 2 センチを観測した。

強弱を繰り返している「数年に 1 度の強い寒波」は 7 日夜から 8 日にかけて強まり、日本の広い範囲にまとまった雪を降らせる可能性がある。 過去に大雪をもたらした、日本海上の「日本海寒帯気団収束帯 (JPCZ)」が流れこみ、日本海側ではさらに積雪が増えるおそれがある。 7 日午後 6 時までの 24 時間では多いところで、▽ 東北・北陸で 80 センチ、▽ 北海道・中国で 60 センチ、▽ 東海で 50 センチなどの降雪が予想されている。 8 日午後 6 時までの 24 時間に予想される降雪量は多いところで、東北・北陸・東海・近畿・中国でそれぞれ 70 センチの降雪が予想されている。

近畿地方は福井や兵庫、京都で警報級大雪

近畿地方の上空約 1,500 メートルには零下 12 度以下の強い寒気が流れ込み、8 日は福井県と兵庫県、京都府、滋賀県で警報級の大雪となる恐れがある。 大阪管区気象台は積雪や路面凍結による交通の乱れに警戒を呼びかけている。 同気象台は、7 日昼過ぎから 8 日にかけて、普段は雪が少ない近畿中部や南部も大雪となると予想。 大阪市で雪がうっすら積もる可能性があるという。

近畿地方の 7 日午後 6 時までの 24 時間の降雪量は北部の山地で 40 センチ、平地で 15 センチ、中部の山地で 30 センチ、平地で 2 センチ、南部の山地で 7 センチと予想。 8 日午後 6 時までの 24 時間では北部の山地で 70 センチ、平地で 40 センチ、中部の山地で 70 センチ、平地で 20 センチ、南部の山地で 20 センチ、平地で 1 センチと予想している。

北陸地方では、7 日午後 6 時までの 24 時間に、新潟県の平地で 50 センチ、山沿いで 80 センチ、富山県の平地で 30 センチ、山間部で 60 センチ、石川県の平地で 30 センチ、山地で 60 センチ、福井県の平地で 15 センチ、山地で 40 センチの降雪が予想されている。 近畿地方整備局などは 6 日、東名高速と名神高速の小牧 JCT - 京都東 IC、新名神高速・伊勢湾岸道のみえ川越 IC - 草津 JCT、北陸道の米原 JCT - 敦賀 IC などを 7 日午後 9 時以降、通行止めとする可能性が高いと発表した。

九州・山口で 7 - 8 日も大雪の恐れ

九州・山口の各地で 7 日から 8 日にかけ、大雪になる恐れがあると福岡管区気象台が 6 日発表した。 上空に零下 12 度以下の強い寒気が流れ込むためで、強い風にも注意が必要という。 7 日正午からの 24 時間降雪量は多いところで、山間部が山口 40 センチ、九州北部 15 センチ、九州南部 5 センチ。 平野部は山口 15 センチ、九州北部 5 センチ、九州南部 1 センチと予想されるという。

気象台は 4 - 6 日にも警報級の大雪の可能性があると発表。 積雪は 5 日午前 9 時に、福岡県飯塚市で 3 センチ、山口市・徳佐で 29 センチ、大分県中津市 7 センチ、鹿児島県伊佐市・大口 6 センチ、長崎県五島市・福江空港 5 センチなどだったが、「想定より九州北部沿岸部の降雪が少なかった」と担当者。 雪雲が発達しにくく、平野部を中心に気温が零下まで下がらなかった影響などが考えられるという。 (力丸祥子、赤田康和、飯島健太、asahi = 2-6-25)


ビール復調、アサヒが中価格帯で 7 年ぶり新ブランド キリンも新商品

ビール大手 4 社の今年の事業方針が 21 日までに出そろった。 ビール系飲料の中でも、来年秋に税率が下がるビールに商機があるとみて、各社とも新商品を出すなど取り組みを強化する。 一方、健康意識が高まりお酒を飲まない人も増えるなか、成長が続くノンアルコール飲料にも力を入れる。

アサヒビールは同日、7 年ぶりとなる中価格帯ビールの新ブランド「ザ・ビタリスト」を 4 月に売り出すと発表した。 名前には「苦み愛好者」の意味をこめたといい、ビールを日常的に飲む人の多くが好む「苦み」を強調した味わいにした。 最近は複数の商品を日によって変えながら飲む人が多いといい、梶浦瑞穂マーケティング本部長は「新しいブランドでお客に新たな選択肢を提供したい」と話す。 旗艦ブランドの「スーパードライ」については、辛口やキレがより引き立つ 4 度未満で飲んでもらおうと、冷蔵庫でよく冷やすと缶の一部が青色に変わる「示温(しおん)インキ デザイン缶」を数量限定で発売する。

キリンビールは、ビールの間口を広げる戦略だ。 旗艦ブランドの新商品「一番搾り ホワイトビール」を 4 月に発売する。 ビールの苦みや味が苦手な人でも飲みやすい軽やかな味わいにしたという。 今村恵三マーケティング部長は「こんなビールだったら私も楽しんでみたいというきっかけを作っていきたい。」 昨年、中価格帯ビールの定番ブランドとして 17 年ぶりに発売した「晴れ風」は、4 月から飲食店への提供を始め、1 万 5 千店への展開をめざす。 高価格帯のクラフトビール「スプリングバレー」もデザインなどを刷新する。

「黒ラベル」が好調なサッポロビールは、キッチンカーでビールのおいしさを体験できるイベントを街中で開催してきたことが、若者を中心に支持拡大につながっていると分析。 今年は開催地を昨年の約 1.7 倍の 19 カ所に増やすほか、東京・銀座にあるブランド体験施設もリニューアルする。 サントリーは 2023 年に発売した「サントリー生ビール」を、昨年末に中身も含めてリニューアルした。

各社がビールの販売を強める背景には、消費者の「ビール回帰」がある。 90 年代後半以降、税率が低い発泡酒や第 3 のビールが市場を席巻し、ビールの販売数量は減り続けてきた。 だが、20 年と 23 年にビール系飲料の税率一本化に向けた酒税改正があったことで、ここ数年はビールの販売数量が増加に転じている。 23 年にはビール系飲料の中でのシェアが 6 年ぶりに 5 割を超えた。

伸びるノンアル市場

ただ、若者を中心に酒離れも広がり、酒類全体の消費量は減少傾向だ。 さらに各社は今年 4 月、原材料費や物流費の上昇を受け、ビールや缶チューハイなどの価格を 1 - 17% 値上げする。 それもあって今年のビール類の販売数量は前年比で 3 - 6% 減るとみる。 そんな中、各社が力を入れるのがノンアルコール飲料だ。 サントリーの推計では、国内のノンアル飲料の販売数量は増加が続き、24 年は 10 年前の 1.6 倍になった。 背景には健康志向の高まりや商品のおいしさの向上などがあるという。

同社は 1 月、社内に「ノンアル部」を創設し、今年のマーケティング費用を前年の約 1.3 倍に増やした。 ノンアル飲料を「アルコール 0.00% のお酒」と位置づけ、「清涼飲料ともお酒とも違う独自の価値がある(鳥井信宏社長)」とする。 「お酒を我慢するときの消極的な選択肢というイメージを変えたい(広報)」といい、取り組みの第 1 弾として 4 月に主力のノンアルビールブランド「オールフリー」から初めてサワー味の新商品を出す。 アサヒビールは昨年発売したノンアルビール「アサヒゼロ」が好調で、3 月から飲食店での提供を始める。 ノンアルサワーの新商品も 2 月、4 月と相次いで発売する。 (新田哲史、asahi = 2-21-25)