一時は廃止危機 … 「ひたちなか海浜鉄道」延伸を国が認可

茨城県ひたちなか市を走る「ひたちなか海浜鉄道」は 19 日、2030 年の開業を目指す新たな区間の延伸工事を国が認可したと発表しました。 現在は、JR 常磐線と接続する勝田駅から終点の阿字ケ浦駅までですが、人気の観光地である「国営ひたち海浜公園」までつながることになります。 かつては利用者が減少し、廃止も検討されていましたが、市ではバスとの乗り継ぎ環境を整えるなど集客アップに成功し、復活を果たしました。

「年間およそ 200 万人という、ひたち海浜公園の観光客の 1 割を取り込めれば採算は取れる。( ひたちなか海浜鉄道 担当者)」

新駅の完成後には、さらなる延伸も計画しています。 (テレ朝 = 11-23-24)


海外で高まる BONSAI 人気、EU 輸出解禁で輸出量は 4 年で 2 倍に

全国各地で盆栽の盗難が頻発している。 背景には、海外での「BONSAI」ブームがあるようだ。 日本盆栽協同組合によると、盆栽の盗難は昨年 3 月から今年 1 月までに約 30 件の被害が確認されており、その後も各地で相次いでいるという。 被害は関東 1 都 5 県や熊本、三重、奈良、愛知など計 12 都県に及ぶ。 盆栽は高い物で 1 鉢で数百万円に上る。 中には、昼間に客として下見をし、夜に価値の高い盆栽を盗み出したとみられるケースもあったという。 防犯カメラ映像などから、外国人らの関与が疑われる事例も目立つといい、被害品とみられる写真が、海外のSNSに掲載されていた例もあった。

同組合は対策として、不審者の侵入を検知するセンサーの導入を呼びかけるが、盆栽は屋外にあり限界があるという。 財務省の貿易統計では、2023 年の盆栽の輸出額は 9 億 1,700 万円で、19 年の約 2 倍になった。 富裕層の趣味として人気があるという中国がもっとも多く、イタリア、オランダと続く。 日本貿易振興機構 (JETRO) によると、害虫の持ち込みを懸念していた欧州連合 (EU) への「クロマツ」の輸出が、23 年から本格的に始まったことも背景にあるという。

最近の円安傾向も追い風で、海外の愛好家から「BONSAI」として支持されている。 国ごとに人気も異なり、中国では「サツキツツジ」が、ヨーロッパでは「マツ属」が人気だという。 (小川聡仁、asahi = 11-20-24)


市内 3 つの大規模商業店舗が相次ぎ閉店決定、離職者 210 人 … ハローワーク松本が 10 年ぶりの緊急会議招集

長野県松本市にある三つの大規模商業店舗が来年 1 - 3 月に相次いで閉店するのを受け、同市のハローワーク松本は 15 日、緊急雇用対策推進会議を招集し、3 店舗閉鎖による離職者が 210 人に上ることを明らかにした。 今後、入居テナント関連の離職者がさらに増える可能性がある。 緊急会議の招集は 10 年ぶりとなる。 (山口正雄、yomiuri = 11-18-24)


熊本県、路線バス・鉄道 5 社 全国交通系 IC カード運賃決済取りやめ

熊本県で路線バスや鉄道を運行する 5 社は、全国で初めて、16 日から全国交通系 IC カードでの運賃決済を取りやめました。バス停では戸惑う利用客の姿も見られました。 熊本県内で路線バスや鉄道を運行する九州産交バス、産交バス、熊本電鉄、熊本バス、熊本都市バスの 5 社は、11 月 16 日から、全国で初めて「Suica」などの全国交通系 IC カードでの運賃の決済を取りやめました。 JR 熊本駅前のバス停では、こうした IC カードが使えなくなったことを知らずに乗車しようとして、戸惑う人が相次ぎました。

急きょ現金で支払ったという兵庫県からの観光客は「荷物を持っている中で現金を準備しないといけないのが不便だと思いました」と話していました。 全国交通系 IC カードについては、機器の更新に、5 社で合わせて 12 億円余りがかかることから、利用者の減少が続く中で、更新は厳しいとして廃止を決めたということです。 各社は、2025 年 3 月上旬に、クレジットカードなどによるタッチ決済を導入するとしていて、それまでは、現金か、地域限定型の IC カードでの支払いに限られます。 (NHK = 11-16-24)

前 報 (6-13-24)


「美しく雑味少ない」 国産ナチュラルチーズ高まる評価 工房数 3 倍超

国産ナチュラルチーズの人気が定着してきました。 作り手が増え、消費量も増加傾向。 国際的に高評価を得るものも出ています。 歴史を振り返ると、日本で先に普及したのはプロセスチーズでした。 これはナチュラルチーズを加熱して溶かし再加工したものです。 10 月、国産ナチュラルチーズの魅力と楽しみ方を伝える催し「Cheese Fun! Fan! Fun!」が東京で開かれました。 生産者と対話し約 200 点のチーズを試食できる有料エリアはチケットが完売。 2 日間で約 4,500 人が訪れました。

チーズの品質を評価する「Japan Cheese Awards 2024」も同時開催。 同コンテストは 2014 年に始まり今回が 6 回目。 白カビ、モッツァレラなど 24 部門に、過去最多となる 34 都道府県 120 工房の 371 品が出品されました。 中には、桜の葉で包んだり、日本酒でチーズを洗ったりと、日本の食材を取り込んだチーズも。

グランプリはチーズ工房タカラ(北海道喜茂別町)の「タカラのタカラ」が獲得。 フランスのコンテというチーズの手法を用いたハードタイプで、審査員から「滋味深い味がダイナミックに広がる」などと評価されました。 同工房の斉藤愛三(なるみつ)さん (41) は兄が営む放牧酪農牧場の生乳を使って、土地の乳酸菌で発酵させ作ります。 「全国的にチーズという発酵文化を育てる機運が高まっています」と斉藤さん。 大手乳業メーカーを除くチーズ工房の数は、06 年に 106 カ所でしたが、昨年は 351 カ所。 20 年たらずで 3 倍以上に増えました。

日本のナチュラルチーズ

NPO 法人チーズプロフェッショナル協会の坂上あき会長は「牛乳の消費量が停滞する中、酪農家らが生産から加工、販売までを手がける『6 次化』で価値を生み出し、消費者に届けたいという動きの表れ」と背景を話します。 家庭でもナチュラルチーズを食べる機会が増えていることも後押しになっているといいます。 品質のレベルアップも著しく、海外のコンテストでも上位入選しています。

今年 3 月に米国で開かれた「ワールドチャンピオンシップチーズコンテスト」では、日本からの 34 品のうち金賞 3 品、銀賞 2 品、銅賞 1 品の結果を得ました。 「日本のチーズは『きれい』と言われます」と坂上会長。 丁寧に作るので見た目が美しく、また雑味が少ない味わいだそう。 「日本酒や漬物など日本の食材、特に発酵食品と合わせるのも面白い。」 (大村美香、asahi = 11-2-24)


広がる「コメのない水田」 工場周辺で異変「すべて TSMC のため」

世界最大の半導体受託製造会社、台湾積体電路製造 (TSMC) が進出した熊本県北部の菊陽町や大津町周辺の水田で、異変が起きている。 そう聞いて取材をはじめたのは 6 月、この地域の田植えが最盛期を迎えた頃だった。 近く本格稼働を始める第 1 工場に、用地の造成がはじまったばかりの第 2 工場も含めて、総投資額 3 兆円とされる巨大工場から数百メートル。 工場の白い外壁を見上げる水田地帯を歩くと、「異変」はすぐに目に入った。 時期が来ているのに、田植えがはじまる様子がない。 水を張ったまま、ため池のようになった水田が広がっていた。

農家「本当はコメ作りたいけど …」

なぜ田植えをしないのか。 大津町の農家の男性 (65) に聞くと、こんな答えが返ってきた。 「本当はコメを作りたいけどね。 収入にならないんです。 水張りに切り替えて、協力金をもらったほうがいい。」 この水田が実は、半導体の量産を担う上で欠かせない特殊な機能を果たしていることを後に知った。 それはコメではなく、水をつくることだ。 コメを作らず水張りをした農家には、企業が拠出する協力金がでる。

熊本は「日本一の地下水都市」と呼ばれる。 阿蘇山の西側に広がる地下水盆に蓄えられた水は、100 万人が使う水道水というだけでなく、地域の戦略資源としての側面も持つ。 医薬品や電子部品、飲料メーカーなど様々な企業が水を求めてこの地に進出しているからだ。 生活と経済を支える「宝」である地下水の枯渇を防ごうと、官民が取り組んできたのが、田に水を張って地中に浸透させるこの取り組みだ。 地下水の「人工涵養」とも言う。 地下水を事業に使う企業が資金を出して、協力農家に協力金を払う熊本独自の仕組みで、はじまってから 20 年になる。

行政がつくった財団や農業者の協議会など複数の枠組みを通じて、企業は、地下水を涵養したという証明を「買う」ことで資金を出している。 企業は敷地内に井戸を設置すれば、基本的に無料で水をくみ上げることができる。 一方、企業は自主的な取り組みとして人工涵養に資金を出してきた。 さらに、近年は県の条例改正で、企業が一定規模以上の取水許可を得るには、証明を「買う」といった地下水涵養に取り組むことが条件になった。 それでも、証明を「買う」相場は 1 トンあたり 3 - 4 円前後。 国内の平均的な工業用水に比べると、価格は 10 分の 1 ほどだ。

二酸化炭素 (CO2) の排出量取引にも似た「水資源の涵養クレジット」の取引が、企業による取水を支えている。 「使用量以上の水を地下水に返す」ことを宣言している TSMC 工場も、こうした仕組みを活用して涵養に取り組む方針だ。

田んぼがあってもコメは「よそで買うのが当たり前に」

農家の男性が、この「人工涵養」に参加するようになったのは 15 年ほど前。 父親から受け継いだ 2 町(約 2 万平方メートル)ほどの田んぼで、春夏はコメ、秋冬は大麦や小麦をつくっていたが、周囲の農家と相談してコメをやめた。 いまは 6 月に水を張り、7 月から大豆、秋から春は麦をつくる。 1 カ月間の水張りで得られる協力金は 10 反(1 万平方メートル)あたり 11 万円にすぎない。 それでも、コメを育てて収穫し、出荷するまでの手間を考えると悪い話ではなかった。 「コメはもう、よそで買ってくるのが当たり前になりました。 田んぼがあるのにね。」

こうした地下水を育てる取り組みは成果をあげている。 県などによると、農家の協力で涵養した地下水の推定量は昨年、2 千万トンほどに達した。 熊本市を含む 11 市町村(熊本地域)の水道給水量の約 2 カ月分にあたる。 さらに今年度は、涵養量が例年の 2 倍近くに増える見込みだ。 地元自治体や土地改良区でつくる協議会が企業と交渉し、農家に支払う協力金の単価を 2 倍近く値上げしたこともあり、参加する農家や面積が急拡大した。

本来の農業の形、ゆがめる懸念も

それにしても、なぜここまで急ぐのか。 「すべては TSMC のためですよ。」 地下水涵養に取り組むある団体の関係者は取材に対し、背景事情を自嘲気味に語った。 半導体は微細化すればするほど、洗浄工程に多量の水を使う。 もし TSMC の工場による莫大な取水で地下水位が低下するような事態になれば、木村敬知事が掲げる第 3 工場の誘致どころではなくなる。 1 兆円を超える補助金を出して進める政府の経済安全保障政策も絵に描いた餅になる。 そんな事態を防ごうと、TSMC が熊本進出を表明した 2021 年以降、県や町の関係者が地下水保全活動のてこ入れに奔走した様子が取材でみえてきた。

知事自身、TSMC 側が「地元の理解」を第 3 工場建設の条件に挙げていることに触れて、「地元が『第 3 工場はいらない』という空気では、(誘致は)難しい。 県の皆さんに、渋滞問題や地下水の保全、排水対策が進んでいくことを見せていく」と記者会見で強調する。 しかし、農地を利用した地下水対策の強化は、本来の農業の形をゆがめる危険をはらむ。 「水張り」がビジネスの色合いを強めれば、ただでさえ担い手不足が深刻化する農業、とくにコメ作りの意欲をそぐことになりはしないか。 県内では、問題を指摘する声があがりはじめていた。(渡辺淳基、asahi = 11-2-24)


補正予算で地方創生交付金の積み増し検討 自民・森山幹事長

自民党の森山裕幹事長は 13 日、政府が衆院選後に編成する予定の今年度補正予算案に、地方創生交付金の積み増し分を計上することを検討する考えを示した。 鹿児島県鹿屋市で記者団に語った。

石破茂首相は、現在 1 千億円の地方創生交付金を当初予算ベースで倍増する目標を掲げており、自民党も衆院選の公約に盛り込んでいる。 森山氏は「来年度予算の執行までどうつなぐかが大事だ」とし、今年度の補正予算での前倒し実施を「検討したい」と述べた。 補正予算案の編成をめぐっては、10 月末で終了する電気・ガス料金の補助を継続するかどうかも焦点になっており、森山氏は「為替や輸入原料の価格の状況を見極める」と述べた。 (鈴木春香、asahi = 10-13-24)


オスプレイの低空飛行 「九州が沖縄化」 背景に米軍の戦術変更か

宮崎県延岡市で今夏、米軍輸送機オスプレイが複数の日にわたって飛行した。 「電柱近くを飛んでいた」、「家が揺れるぐらいの低さだった」といった証言が市に寄せられ、かなりの低空で飛行していた可能性がある。 なぜ米軍オスプレイが繰り返し延岡市上空に現れたのか。 背景として、有事を見据えた米軍の作戦変更を挙げる声もある。

米軍オスプレイは 2012 年に国内で初めて米軍普天間飛行場に海兵隊機 MV22 が配備された。 日米両政府は当時、低空飛行訓練を実施する場合の高度は 500 フィート(約 150 メートル)以上とし、人口密集地などは避けるとした。 米軍は操縦士の技量維持のために高度 200 フィート(約 60 メートル)の飛行訓練を義務としているが、そうした訓練は国外で実施してきた。

だが、日米両政府は 23 年 7 月、米軍の要望を受け、MV22 の効率的な運用に必要として、沖縄県を除く山岳地帯での低空飛行訓練時の高度を 200 フィートに下げることで合意したと発表した。 訓練は住宅地などの上空では実施せず、人や物から 150 メートル以上の距離を保つとしている。 延岡市では住宅地上空で MV22 の飛行が目撃されているが、当時の詳細な高度や訓練の内容は不明だ。

日米両政府が MV22 の訓練高度を見直した背景の一つに、中国の軍事力強化に対する米軍の戦術変更を挙げる声もある。 MV22 を運用する海兵隊は近年、前線の島しょ部に小規模部隊を分散展開し、ミサイルでけん制して自軍の活動範囲を広げる「遠征前方基地作戦 (EABO)」の訓練を進める。 MV22 は前線へ兵士を輸送する役割を担う。 沖縄国際大の野添文彬教授(国際政治学)は「敵のレーダー網をかいくぐって MV22 を前線に展開させるためには低空飛行訓練が必要。 米軍にとって、海と山に近い場所が多く、南西諸島に近接した九州は離島を想定した訓練の適地となるだろう」と指摘する。

九州では日米共同訓練などで米軍機が飛来する機会が増えている。 野添さんは「九州の沖縄化が進んでいる」とし、「オスプレイの低空飛行は沖縄では日常的になってしまっているが、九州でも今後増える可能性がある。 住民の安全を守るためにも、沖縄と九州の人たちが一緒にオスプレイの運用のあり方を考えていくべきだ」と語る。 (中里顕、mainichi = 10-12-24)


秋告げる真っ赤な 500 万輪 埼玉の名所・巾着田でヒガンバナ見ごろ

埼玉県日高市の巾着田曼珠沙華公園で、約 500 万本のヒガンバナ(曼珠沙華)が見ごろを迎えている。 群生地の林の中は真っ赤に色づいた花で覆われ、多くの人が散策しながら訪れた秋を満喫していた。 巾着田管理事務所によると、今年は猛暑の影響で、例年よりも 1 週間ほど開花が遅れたという。 埼玉県川越市から夫婦で来園した女性 (65) は「初めて訪れたが、スケールの大きさに感動した」と話した。 園内では、9 日まで巾着田曼珠沙華まつりが行われている。 開花期間中は入園料 500 円、中学生以下は無料。 問い合わせは同管理事務所 (042・982・0268) へ。 (小宮健、asahi = 10-5-24)


シャインマスカットが巨峰を抜く日は近い? ブドウの王座めぐる攻防

秋の味覚・ブドウの代表銘柄シャインマスカットの作付面積が伸びている。 銘柄別で、長年首位を走り続けてきた「ブドウの王様」巨峰を逆転する勢いだ。 ブドウと言えば緑色 - -。 そんな日も近い? 東京都江東区のスーパー「たつみチェーン豊洲店」。 果物コーナーの目立つ場所にずらりと並ぶのは、巨峰ではなくシャインマスカットだ。 「スナック感覚で皮ごと食べられる手軽さ、サクッとした食感、甘みの強さで一番の売れ筋です」と村松義康店長は話す。 買い物に来た同区の主婦 (55) は、「ブドウのイメージカラーが、最近は紫色から緑色に変わってきています」と話す。

5 年で倍増に対し 4 割減 明暗くっきり

両者の作付面積は、明暗がくっきり分かれている。 農林水産省によると、シャインマスカットは最新の統計である 2021 年に 2,346 ヘクタールと、5 年間でほぼ倍増したのに対し、巨峰は 21 年に 2,528 ヘクタールと同じ期間で 4 割ほど落ち込んだ。 その差は、16 年には 3 千ヘクタールの開きがあったが、21 年は 200 ヘクタールと 5 年間で一気に縮小している。近年はシャインマスカットが毎年 100 - 200 ヘクタールずつ増えている一方、巨峰は毎年 100 - 600 ヘクタールずつ減っている。 このため、22 年の統計がまとまれば、シャインマスカットが王座を奪うとの見方も強い。

実際、日本園芸農業協同組合連合会(日園連)によると、ブドウの主な産地である山梨や長野など 14 県の 22 年の作付面積は、シャインマスカットが 1,740 ヘクタールと巨峰の 1,503 ヘクタールを上回った。 日園連の担当者は「主産地の会員農家は、23 年や 24 年もシャインマスカットの作付面積を増やしている。 各地のブドウ園が黒や赤から緑に切り替わっている」と話す。

高単価、リンゴから転作も

作り手にとって、シャインマスカットは巨峰よりも魅力が多い。 まず、単価が高い。 東京都中央卸売市場の 1 - 8 月の平均卸売価格は 1 キロあたり 2,742 円で、巨峰の 1,596 円より約 7 割高かった。 また、巨峰のような色づけが不要で、着色作業を省力化できる。 病気にも比較的強く、糖度や収量も上がりやすい。 このため、巨峰に頼ってきた産地も、シャインマスカットで攻勢をかけている。 ブドウの収穫量が全国 2 位の長野県で、急速に作付面積を伸ばしてきたのが JA 中野市だ。 かつては巨峰が主力だったが、人気の低迷で特売品として扱われるなど価格が下落。 2011 年のブドウ全体の販売額はピーク時の半分ほどの約 21 億円まで落ちこんだ。

「どん底」脱し、V 字回復

危機感を抱いたJA中野市は 09 年、シャインマスカットの産地化を目指すプロジェクトを立ち上げた。 栽培量を増やし続け、23 年の作付面積はシャインマスカットがブドウ全体の 6 割を占めるまでになった。 巨峰からの切り替えだけではなく、リンゴなど他の果樹をやめて転作する農家も出ているという。 23 年の販売額も低迷時の約 3 倍となる約 71 億円まで V 字回復し、今後は 100 億円を目標に掲げる。 JA 中野市園芸課の担当者は「毎年 10 人ずつ栽培者が増えている。 かつての『どん底』の時期を完全に脱し、生産者も盛り上がっている」と話す。 (渡辺洋介、asahi = 10-3-24)


宮崎市で竜巻か ビニールハウス損壊、気象台が調査へ

2 日午後 2 時すぎ、宮崎市で「竜巻のような激しい風が発生している」などと 119 番通報があった。 市消防局によると、同市小松でビニールハウスが壊れるなどの被害が確認された。 宮崎地方気象台は竜巻などの突風が起きた可能性があるとみて調査班を派遣し、詳しい事象の内容や原因を調べる。 市消防局によると、ビニールハウスが壊れるといった被害は 6 件ほどで、人的被害は確認されていない。 調査班は 3 日にも結果を発表する、としている。 (asahi = 10-2-24)

富士登山通行料、山梨県が来夏の引き上げ検討 週末と平日の差異化も

富士山の登山者の約 6 割が利用する吉田ルートで今夏から導入された 1 人 2 千円の通行料について、山梨県の長崎幸太郎知事は 1 日、来夏から引き上げを検討していることを明らかにした。 週末と平日の通行料に差をつけることも考える方針だ。 この日の県議会の代表質問で答弁した。 長崎知事は、富士登山の安全対策について、「受益者(である登山者)が負担することはあるべき姿」と強調。 今夏から通行料を徴収したことで「約 5 千万円の県民負担が軽減された」と財政的な効果を明らかにした。

そのうえで、来夏の通行料については富士登山の適正化に必要な費用を改めて算定した上で「引き上げを視野に見直す」と述べた。 さらに、平日に比べて登山者が多い週末には、安全対策の費用も多くかかるとして「週末と平日の通行料に差を設けることも研究する」と述べた。 県の担当者によると、通行料導入前の昨夏に富士登山の安全対策などにかかった費用は約 1 億 7 千万円。 このうち 1 億円は登山者からの任意の協力金(1 人 1 千円)で賄ったが、残りの約7千万円は県税から支出した。

これに対して通行料を導入した今夏は、5 合目のゲートの設置、警備態勢や巡回指導の強化などで、支出は 3 億 8 千万円程度に増えたが、そのうち 3 億 6 千万円は通行料と協力金で賄うことができ、県税からの支出は約2千万円に減らせたという。 県は、登山者の「受益者負担」をさらに進めることで、県民負担である県税の支出をできるだけ減らしたい考えだ。 シェルターの設置など、今後の安全対策に必要な資金の積み立ても通行料で賄いたいという。 一方、平日と週末の通行料に差をつけることについては、週末を高く設定することで、登山者数の集中を減らす狙いもある。

富士登山をめぐっては、静岡県も来夏から富士宮、御殿場、須走の 3 ルートで通行料を徴収する方針を表明している。 山梨県は両県の連携を深めて情報共有を進め、環境省、地元関係者の意見も聴きながら検討を進めたいとしている。 (豊平森、asahi = 10-1-24)

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富士山シーズン終了、弾丸登山が山梨県側で「激減」 通行規制が奏功

富士山は 10 日、登山シーズンを終えた。 登山者の約 6 割が利用する山梨県側の吉田ルートでは今季、「通行規制」が導入され、過度な混雑を招く原因となっていた「弾丸登山」が激減したとみられ、登山道の風景が大きく変わった。 「5、4、3、2、1、ゼロ。」 吉田ルート 5 合目では午後 4 時、係員のカウントダウンでゲートが閉鎖された。 日帰り登山者の通過は締め切られ、山小屋への宿泊予約を済ませた人のみを日付が替わるまで通す運用となった。 県は今季から、夜通しで一気に頂上を目指す「弾丸登山」を防ぐため、5 合目にゲートを設置。 午後 4 時 - 午前 3 時に閉鎖し、1 日 4 千人とする登山者の上限を設定。 通行料 2 千円の徴収も始めた。

5 合目の事業者「売り上げ減っても、長期的にはプラス」

6 合目で登山者を数えている地元の富士吉田市によると、今季の登山者数は 4 日現在で 11 万 3,452 人で、昨年同期(14 万 3,150 人)から約 2 割減った。 8 月中旬以降に相次いで接近した台風も影響したという。 ゲート閉鎖後の午後 5 時 - 午前 3 時に 6 合目を通過した人は 9 月 4 日までの累計で 6,082 人。 前年同期の 2 万 6,737 人から約 8 割減った。 弾丸登山者は大きく減ったとみている。 県によると、今季支払い手続きをしたのは 14 万 1,400 人(10 日午後 4 時現在)。 1 日の登山者数が 4 千人を超えた日はなく、通行料徴収も登山者の抑制につながったとみている。

現地で記者団の取材に応じた岩間勝宏・県富士山保全・観光エコシステム推進監は「大きなトラブルがなく、しっかり登山者数をコントロールできた」と語った。来季は静岡県と連携し、一体的に規制に取り組むことが重要との考えも示した。 登山者が宿泊する山小屋などの関係者は初の通行規制をどのように受け止めたのか。 吉田ルートの山小屋などでつくる「富士山吉田口旅館組合」の事務局長、井上義景さん (44) は「規制は大きな効果があった」と話す。

自身が勤務する山小屋「太子館」がある 8 合目では昨年まで、登山道で寝転ぶ人や、山小屋の前のベンチで横になる人が後を絶たず、ほかの登山者や営業の妨げとなっていた。 今年はそんな状況がほとんど見受けられず、登山者の夜間の滞留もほぼなかったという。 今季は夜間の雷が例年より多く、山小屋に登山者を避難させたことがあったという。 井上さんは「昨年までのように登山道が混雑する状態だと、スムーズな避難は難しかったと思う」と振り返る。

5 合目のゲートの手前にあるレストハウス「こみたけ」は通行規制を織り込み、今季の営業時間の終了を従来より 1 時間早い午後 6 時に変更した。 夕方の客足は鈍り、登山者の減少もあってレストランの売り上げは 1 割強ぐらい落ち込んだという。 それでも、社長の小佐野昇一さん (58) は規制の継続に肯定的だ。 「安全で安心な富士登山が担保されることが吉田ルートの魅力を高める。 長い目で見ると営業面にもプラスになると思う。」 (池田拓哉、asahi = 9-10-24)


秋の訪れ告げる放生会 18 日まで延べ 100 万人 福岡市の筥崎宮

福岡に秋の訪れを告げる放生会(ほうじょうや)が、福岡市東区の筥崎宮(はこざきぐう)で始まり、家族連れや観光客など多くの人でにぎわっている。 放生会は「万物の生命をいつくしみ、秋の実りに感謝する」祭りで、博多どんたく、博多祇園山笠と並ぶ博多三大祭りの一つに数えられる。 800 メートルの参道には露店約 500 店が軒を連ね、12 - 18 日の期間中、延べ 100 万人の人出を見込んでいる。 (日吉健吾、asahi = 9-13-24)


地域の宝、守るのは非正規職員 高齢化と外部委託化で専門性どう継承

驚くほど広い博物館だった。 ホールつきの新館と元小学校の旧館で延べ床面積は約 3,300 平方メートル。 ちょうど来館者が玄関を入るところで、職員が「地元の歴史や館内を紹介するビデオがありますよ」と声をかけ、手動で展示室の照明をつけた。 「節約しませんと。 これだけでずいぶん違うんです。」と佐藤忠行館長。

青森市浪岡にある「青森市中世の館」は 1992 年開館。 南北朝時代に活躍した北畠顕家を祖とする浪岡氏の居城・浪岡城の歴史や郷土の民俗などを展示する博物館だ。 現在は市の指定管理者として NPO 婆娑羅凡人舎(ばさらぼんどしゃ)が委託を受け、事務室では 3 人が働く。 「でも、常設展示はいじれないんです。 私自身、しろうとですし、何かあると市の職員が来る。」と話す。 展示室は 2020 年にリニューアルされた時のままだ。

青森市文化遺産課によると、同課が管轄する「市中世の館」、「縄文の学び舎・小牧野館」、「あおもり北のまほろば歴史館」、「市森林博物館」の 4 館はすべて NPO などに指定管理者委託をしている。 「管理のみをお願いしており、展示に関わってもらうことはありません」と同課の児玉大成主幹 (51)。 唯一、定期的に企画展を行っているのは、NPO 法人あおもりみなとクラブに委託された「あおもり北のまほろば歴史館」だ。 前身にあたる「みちのく北方漁船博物館」の時代にも学芸員を務めた福士美香さん (48) が市所蔵の民俗資料などを借り出し、企画展示室で公開している。 「刺し子などの良い資料があるので …。 少しでも見てもらいたくて。」

合併が繰り返されてきた自治体の中には、複数の博物館・資料館を持つところが多い。 群馬県高崎市にある「高崎市歴史民俗資料館」、「高崎市観音塚考古資料館」、「高崎市吉井郷土資料館」、「高崎市榛名歴史民俗資料館」など 6 館のうち 4 館は旧群馬町、旧榛名町、旧吉井町の合併に伴って移管された。 このため、入場料も無料だったり有料だったり。 展示などを担当する学芸員などの職員数も 3 人から 16 人とばらばらで、全体の 9 割が 50 代以上(うち 4 割は 60 代以上)と高齢化が進む。 観音塚考古資料館では、1 年ごとに雇用される会計年度任用職員の学芸員の三浦茂三郎さん (69) がほぼ一人で展覧会を企画し、資料の集荷に駆け回る。

高崎市教育委員会の角田真也文化財保護課長 (51) は「文化財行政に習熟した元職員らに声をかけ、会計年度任用職員として長く働いてもらっている」と説明する。ちなみに同市の6館のうち、文化庁が推奨する「登録博物館」は「かみつけの里博物館」のみで「今のところ増やす予定はありません」。ある専門家は「登録博物館には、美術品が破損した時の補償制度や寄付をしてもらうときの税制上の優遇措置などがあるが、地方の小規模館にはあまり意味がない」と話す。

高齢化が進むのは都心部も同様だ。 東京都目黒区の「めぐろ歴史資料館」では、学芸員は文化財係長を兼ねる武田浩司館長 (59) 一人だけ。 展示などの業務を行う 5 人の研究員のうち 4 人が 20 代だが、すべて会計年度任用職員だ。 3 月まで地方博物館の学芸員を務めた、ある大学講師は「多くの自治体にとって、博物館学芸員は専門職ではなく事務職。 そのため、大学で資格をとっただけという職員が実務経験なしで配属されることも珍しくない。」と語る。

福岡県大野城市の「大野城心のふるさと館」の赤司善彦館長 (67) は「学芸員が一人前になるまでには 5 年は必要。 高齢の非正規職員だけで回している博物館は、彼らが辞めれば立ち行かなくなる。 年齢や正規・非正規のバランスに配慮し、仕事の引き継ぎを考えた雇用が必要」と指摘する。 業務の外部委託や正規職員の削減などで、日本各地の博物館はいま、危地に立たされている。 現場を歩いた。 (編集委員・宮代栄一、asahi = 9-9-24)


台風 10 号の突風、農水産業を直撃 ウナギ 4 万匹死んだ業者も 宮崎

台風 10 号に伴う突風(竜巻)が発生した宮崎県の地域では、農業や水産業でもハウスの倒壊といった被害が相次いだ。 発生から間もなく1 週間。 復旧に動き出した生産者もいるが、見通しが立たない生産者もいる。 第 1 次産業の被害の全容把握には「もう少し時間がかかる(県担当者)」という。 「あと 10 メートル違えば、自分も(突風で)飛ばされていたかもしれない.。 宮崎市佐土原町下田島でキュウリ生産会社を経営する西岡征志郎さん (42) は、「あの日」をこう振り返った。

8 月 29 日午前 0 時ごろ、母親が住む近くの実家へ駆けつけ、車から降りた瞬間、轟音(ごうおん)と地響きを体で感じた。 気になって近くの会社の様子を見に行くと、「何か、鉄のかたまり」が敷地に入ってきているのに気づいた。暗くてよく見えなかったが、夜が明けて確認すると、隣の敷地から倒れ込んできたハウスだった。 近くにあった同社の農業用倉庫は、上から押しつぶされたように全壊。 10 月 1 日にキュウリの定植予定だったハウス 3 棟も損壊した。 「愕然、という言葉しか見つからなかった。」

自身は何とか復旧させて、今年の作付けに間に合わせたいと思っているが、同じ生産者からは農業を続けることをあきらめるという声が上がっているという。 「離農するという方の心境を考えると …。」 その先の言葉が続かなくなった。 西岡さんの被害を 9 月 3 日に現地視察した河野俊嗣知事は「改めて竜巻の猛威を実感し胸が痛む思い。 営農を後押しできるような対策を考えていきたい。」 西岡さんは「農家の個別の実情に合わせた支援が必要なのでは」と話していた。(奥正光)

「電柱が倒れ、ハウスがぐしゃっと」

台風 10 号に伴う突風の被害が多発した宮崎市佐土原町から新富町の一帯では、ウナギを養殖する水産業も被害を受けた。 新富町上富田の青木水産では 2 面の養鰻用の池(約 1,400 平方メートル)が空になっていた。 もともとは隣の池と同じようにハウスで覆われていた。 8 月 29 日未明の突風で連なった 7 棟が全壊。 同業者ら延べ 80 人がボランティアで手伝い、中にいた約 7 万匹のウナギを 31 日までにすべて別の池に移したという。 だが、社長の青木陽一さん (35) によると、9 月 3 日までに 4 万匹近くが死に、「ほかの移したウナギも死んでいっている。」

突風が吹いたのは 8 月 29 日午前 1 時より少し前。 「爆発音みたいな音がして、外を見ると電柱が倒れ、ハウスがぐしゃっとなっていた」と振り返る。 養鰻池のハウスは、水温管理のほか鳥や病原菌からウナギを守るために必要なものだ。 さらに影響が大きかったのが、酸素を送る水車が動かせなくなったことだった。 停電時のために自家発電装置を備えていたが、敷地内の電線が切れて電気が送れなかった。青木さんは、酸素が不足してウナギが弱ったとみている。 ハウスは 35 - 40 メートルの風速に耐えられる強化ハウスで、固定するための約 70キロの重しもつけてあったが、その重しが飛んで別のハウスも損壊した。 「ショックだった。 台風対策はしていたのに。」と青木さんは話す。 来年春に稚魚が入れられるよう、何とか復旧したいという。 (後藤たづ子、asahi = 9-4-24)


7 月の山形・秋田豪雨、温暖化で雨量 2 割増か 「東北でも降りやすく」

山形・秋田両県で甚大な被害が出た 7 月の豪雨について、文部科学省と気象庁は 2 日、地球温暖化によって雨量が 2 割以上多くなったとの分析結果を発表した。 48 時間雨量で 100 ミリ以上増えた可能性もあるという。 7 月 24 - 26 日の豪雨では梅雨前線が活発化し、線状降水帯も発生した。 総務省消防庁などによると、堤防の決壊や土砂崩れ、住宅の浸水被害が相次ぎ、山形県内で 3 人が死亡した。

気象研究所や京都大などのチームは、26 日午前 9 時までの 48 時間雨量について、気象現象に対する温暖化の影響をみる「イベントアトリビューション」という手法で解析。 山形県周辺の降雨量は、温暖化の影響がないと仮定した場合より 20% 以上多かったという。 気象庁によると、同県内では 48 時間雨量が 400 ミリ以上を観測した地点もあった。 温暖化の影響で、降雨量が 100 ミリ以上多くなった地域もあったとみられるという。

京大防災研究所の竹見哲也教授(気象学)は「東北地方や北海道など、これまで雨量が比較的少なかった地域でも、気候変動で極端な大雨が降りやすくなっている。 豪雨への備えと温暖化を防ぐ対策の両方を進めてほしい」と話す。 (竹野内崇宏、asahi = 9-3-24)


奄美大島のマングース、根絶を宣言 外来種対策では「世界的成果」

鹿児島県奄美大島で駆除を進めてきた特定外来生物マングースについて、環境省は 3 日、「根絶宣言」を発表した。 ハブ対策などの目的で持ち込まれて約半世紀。 いったん定着したマングースがこれほど大きな島で根絶されたことはなく、「世界的に前例のない、生物多様性保全上の重要な成果」としている。

環境省などによると、奄美大島のマングースは、1979 年ごろに、先に導入されていた沖縄から持ち込まれた。 だが、島内で繁殖してアマミノクロウサギなど希少な野生動物を襲っていることがわかり、国が 2000 年度から駆除を本格化した。 外来生物法が施行された 05 年度にはフイリマングースを特定外来生物に指定。 捕獲のプロ集団「奄美マングースバスターズ」を結成するなど、対策を強化してきた。

記録に残る捕獲頭数は累計 3 万 2 千匹余り。 00 年代には年 2 千匹を超えたが、18 年 5 月以降はゼロが続き、わなや自動撮影カメラ、探索犬でのモニタリングでも生息情報は確認されていない。 一方、アマミノクロウサギなど在来の希少種の生息数は近年増加傾向にある。 3 日、奄美大島で開かれた専門家による検討会は、こうしたデータをもとに数理モデルで算出された根絶確率が 23 年度末時点で 98.9% - 99.7% に達したことを確認。 「根絶した可能性が極めて高い」と評価した。 これを踏まえ、環境省が「マングースが奄美大島から根絶された」と宣言した。

奄美大島は 21 年に、徳之島や沖縄島北部、沖縄県西表島とともに世界自然遺産に登録されている。 宣言は世界遺産という「人類共通の財産」への大きな脅威が一つ取り除かれたことも意味する。 マングースはハワイやカリブ海の島などにも持ち込まれたが、定着後に完全排除に成功したのは面積約 1 平方キロ以下の島だけ。 奄美大島は東京 23 区の合計よりひとまわり大きい 712 平方キロもある。

池田透・北海道大名誉教授(保全生態学)は「これほど大きな島で、侵略性の高いマングースを根絶できたという成果をまずは大いに評価したい。 四半世紀というと長くかかったように思うかもしれないが、これだけの年月で本当によく根絶に至ったと思う。」と話す。 (安田朋起、矢田文、asahi = 9-3-24)


樹齢 3 千年の屋久島「弥生杉」、台風で倒れる 身近な巨木「寂しい」

世界自然遺産の鹿児島県・屋久島で、推定樹齢 3 千年の弥生杉が台風 10 号の影響で倒れたことが確認された。 弥生杉は高さ約 26 メートル、幹回り約 8 メートル。 観光地の白谷雲水峡の近くにあり、観光客にも身近な巨木だという。 ガイドの渡辺太郎さん (47) らが 8 月 31 日、根元から 1.5 メートルほどを残して折れているのを確認した。

渡辺さんは「登山初心者でも会いやすい巨木だったのでさびしい。」 周辺の登山道も台風の被害で通れなくなっているという。 林野庁屋久島森林管理署の草野正揮次長は「弥生杉は屋久島の巨木の中でも著名な杉のひとつ」として状況を詳しく調べる。 縄文杉などほかの巨木の被害情報は入っていないという。 (asahi = 9-3-24)


300 年余の優美、調べに乗せて舞う 越中八尾おわら風の盆始まる

300 年あまり続く伝統行事「越中八尾(やつお)おわら風の盆」が 1 日、富山市八尾町で始まった。 収穫前の稲が、台風の風害に遭わないように豊作祈願したことが祭りの由来とされ、三味線や胡弓(こきゅう)の調べに乗せて、優美な町流しや輪踊りが演じられる。 台風 10 号の影響が心配されたが、予定通り 3 日間の日程となった。 初日は午後 4 時ごろから、徐々に街中に楽器の音や唄が流れ、おわら保存会の旧八尾町内の 11 町(支部)が演舞を披露し始めた。

周囲が暗くなるとさらに多くの観光客らでにぎわい、人々は踊り手たちの優雅な身のこなしに酔いしれていた。 期間中、約 20 万人の人出が予想されている。 会場の町中心部は夕方から深夜まで、交通規制される。 日程などの詳細は 越中八尾観光協会のサイト へ。 (前多健吾、asahi = 9-1-24)


「大曲の花火」 1 万 8 千発で観客を魅了 世界 3 位の花火師の作品も

日本一の花火師を決める「大曲の花火(正式名・全国花火競技大会)」が 31 日、秋田県大仙市の雄物川河畔で開かれた。 全国から選抜された 12 都県 28 業者が一堂に会し、1 万 8 千発の華麗な大輪を夜空に咲かせた。 大曲の花火は「昼花火」、「夜花火」の 2 部構成で 4 種目の競技が繰り広げられる。 合間に、速射連発の花火「スターマイン」を披露した。

ハイライトは、小松煙火工業、北日本花火興業、響屋大曲煙火、和火屋の地元 4 業者が共演する大会提供花火「THE GREATEST SHOW」。 4 業者は 7 月、世界最高峰と称されるカナダ・モントリオール国際花火競技大会に初出場し、世界 3 位に輝いた。 今回はカナダで発表した作品を拡充。 日本伝統の「芯入割物(しんいりわりもの)」、さまざまな形を描く「型物」、無数の花を咲かせる「千輪菊」、色が変化する「グラデーション」などで約 5 分の間に 2 千発を盛大に打ち上げた。

96 回大会の今年は、夜花火の競技前にドローン 1,500 機による光と音楽のショーが披露された。 最高額 5 万円の席(2 人分)が 2 分で完売、10 万人の観覧席が売り切れた。 (室矢英樹、asahi = 8-31-24)