基準地価、全国平均 3 年連続の上昇 都市の影響が地方に波及 国土交通省は 17 日、土地取引の目安となる基準地価を発表した。 全国の住宅地、商業地などの全用途平均は前年より 1.4% 上がり、3 年連続で上昇した。 札幌、仙台、広島、福岡の地方 4 市を除く地方圏の全用途平均は 1992 年以来 32 年ぶりにプラスに転じるなど都市、地方部ともに上昇基調が強まった。 土地取引が低迷したコロナ禍からの回復傾向がより鮮明になった。 住宅需要は引き続き堅調で、大都市圏の中心部などで地価上昇が顕著だ。 東京、名古屋、大阪の三大都市圏の住宅地は 3 年、商業地は 12 年連続で値上がりし、上昇幅も拡大した。 地方 4 市は全用途平均、住宅地、商業地のいずれも 12 年連続の上昇となった。 こうした都市部での地価上昇の影響が波及し、4 市を除く地方圏の全用途平均は横ばいから 0.2% の上昇に転じた。 人気の高いリゾート地では別荘や移住者用の需要が増え、住宅地で最も上昇率が高かったのは沖縄県恩納村 (29%) だった。 同県宮古島市、長野県軽井沢町なども上昇率が高かった。 また、訪日外国人の増加で東京・浅草、山梨県富士河口湖町など、観光地の商業地の地価上昇も目立った。 大手半導体メーカーの工場が進出する北海道千歳市、熊本県菊陽町と周辺地域は住宅地、商業地、工業地ともに引き続き上昇した。 ただ、建築費の上昇などから、住宅の買い控えの動きも出始めており、札幌市や仙台市では住宅地の上昇幅は縮小した。 1 月の能登半島地震以降、初めて公表された基準地価で、被災地での地価下落が目立った。 住宅地の変動率下位 10 地点はいずれも石川県だった。 全国平均の上昇率は住宅地が 0.9% (前年 0.7%)、商業地が 2.4% (同1.5%)。 最高価格は 19 年連続で東京・銀座 2 丁目の明治屋銀座ビルで 1 平方メートルあたり 4,210 万円だった。 全国 2 万 1,436 の基準地 1 平方メートルあたりの価格(7 月 1 日時点)を都道府県が調査し、国交省がとりまとめて発表した。 (大和田武士、益田暢子、asahi = 9-17-24) ◇ ◇ ◇ 都内住宅地の地価上昇率トップは中央区 中央線や京王線沿線も人気 東京都は 17 日、土地取引の指標となる基準地価(7 月 1 日時点)を公表した。 都内全域の平均変動率は前年比 6.0% プラスで、12 年連続の上昇となった。 上昇率は前年を上回る傾向にあるほか、とくに都心部の上昇が際立っており、都の担当者は「ポストコロナへの移行とインバウンド(訪日外国人客)の回復で、都心回帰が続いている」としている。 都は都内 1,288 地点を調査し、地価を毎年公表している。 今年、前年比で上昇したのは 1,205 地点で、昨年(1,185 地点)を上回った。 下落地点は昨年は 23 地点だったが、今年は 16 地点。 全体の上昇率は、区部で 8.2%、多摩地区で 3.3% だった。 住宅地は都内全域で 4.6% (前年 3.0%)の上昇。 区部の上昇率は 6.7% (同 4.2%) で、最も高かったのは中央区の 12.4% だった。 臨海部の高層マンションが立ち並ぶ地点の高い上昇率が目立ち、都財務局は「バス高速輸送システム (BRT) やシェアサイクルなどの交通手段が整備され、大規模商業施設が開業したことなどで注目が高まった」と説明する。 多摩地区の住宅地は 3.0% (同 2.1%)の上昇。 都心への交通利便性が高い中央線や京王線沿線のエリアが上昇を支えた。 自治体別では国立市が 6.2% で最も高かった。 一方で、主に駅から離れた丘陵地では下落した地点もあった。 商業地は都内全域で 8.4% (同 4.5%)上昇した。 区部は 9.7% で、最も高かったのは渋谷区の 13.1%。 渋谷駅周辺の再開発によりオフィスビルへの入居が相次いだほか、国内外の観光客の増加で飲食や美容、ホテルの需要が高いことが要因とみられる。 これに続く台東区は 12.5% の上昇。 インバウンドを含む観光需要の回復が反映され、上昇率が高かった区部の上位 10 地点のうち 4 地点を浅草周辺が占めた。 学校が集まり、交通利便性も高い文京区は 11.7% 上昇し、区全体で中高層マンションの建設用地として需要が高まっている。 多摩地区の商業地は 4.4% の上昇で、最も高かったのが立川市の 7.8%。 府中市と国分寺市が 7.3% と続いた。 都心部へのアクセスが良い主要駅前の再開発で商業施設ができ、人の流れが増えている。 全体の傾向として、コロナ禍ではオフィスが集積する地点で下落していたが、オフィス需要が回復。 「交通利便性の高いエリアが住居に選ばれている(都財務局)」という。 (asahi = 9-17-24) 日本の需要不足「年 3 兆円」、内閣府推計 供給力を下回る状態続く 内閣府は 30 日、日本経済がもつ潜在的な供給力と実際の需要とを比べた需給ギャップ(GDP ギャップ)について、今年 4 - 6 月期はマイナス 0.6% とする推計を公表した。 4 四半期連続のマイナスで、1 年間でみた場合の需要の不足額は約 3 兆円。 製品やサービスが余って価格が下がりやすい状態を示し、政府が検討する「デフレ脱却宣言」は難しい情勢だ。 需給ギャップは、個人消費や設備投資といった需要の量が、製品やサービスの供給力を下回るとマイナスになる。 今月中旬に公表された今年 4 - 6 月期の実質国内総生産(GDP、季節調整値)で、個人消費は直前の四半期より 1.0% 増え、5 四半期ぶりに改善した。 設備投資も 0.9% 増と、2 四半期ぶりに増加に転じた。 それでも直前の 1 - 3 月期の需要不足が約 7 兆円と大きかったため、マイナスの解消には至らなかった。 政府は物価が下がり続けるデフレが完全に終わり、安定した成長が続く経済に移行した象徴として、デフレ脱却の宣言をめざしてきた。 足元では物価は上がっているが、デフレに戻る可能性もあるとして、いまのところ宣言は見合わせている。 新藤義孝経済再生担当相は 29 日の記者会見で、「脱却宣言をするのが大前提のような質問をいただくが、そういったことは、政府として明示的に申し上げたことはないと思う」と話している。 (内藤尚志、asahi = 8-30-24) 4 - 6 月期の実質 GDP 「年 2.10% 増」 民間予測はプラス成長 15 日に公表される 2024 年 4 - 6 月期の国内総生産 (GDP) 1 次速報について、おもな民間エコノミストの予測が出そろった。 物価変動の影響をのぞいた実質 GDP の平均値は、直前の四半期と比べて年率換算で 2.10% 増となり、2 四半期ぶりのプラス成長を見込んでいる。 自動車の認証不正問題があったダイハツ工業などが出荷を再開したことで、個人消費や設備投資が上向いたとの見方が多い。 日本経済研究センターが集計し、13 日に発表した。 集計に応じた 37 人全員がプラス成長を予測したという。 GDP を構成する各項目の平均値は、個人消費が 0.57% 増、設備投資が 0.73% 増、輸出が2.14%増となった。 物価高で消費者の節約志向が強まり、個人消費は直前の 1 - 3 月期まで 4 四半期連続でマイナスとなっている。 これがプラスに転じると予測したのは、出荷が再開された自動車の販売増に加え、春闘で決まった賃上げの影響も重視したためとみられる。 (内藤尚志、asahi = 8-13-24) ◇ ◇ ◇ 1 - 3 月期の実質 GDP、年 1.8% 減 設備投資上ぶれで上方修正 内閣府が 10 日に発表した 2024 年 1 - 3 月期の国内総生産 (GDP) の 2 次速報は、物価変動の影響をのぞいた実質(季節調整値)で直前の四半期(23 年 10 - 12 月期)より 0.5% 減った。 この状態が1 年間続いた場合の年率換算は 1.8% 減となり、5 月発表の 1 次速報の 2.0% 減から上方修正した。 ただ、2 四半期ぶりのマイナス成長は変わらず、日本経済の停滞ぶりが再び示された。 最新のデータを取りこんで 1 次速報の各項目を見直した。 設備投資を 0.8% 減から 0.4% 減に改めたことが、全体の上方修正につながった。 個人消費は 0.7% 減のままで、リーマン・ショック時以来の 4 四半期連続のマイナスに変更はなかった。 物価高で消費が低迷しているところに、ダイハツ工業などの認証不正問題による出荷停止の影響が直撃した。 一方、物価を反映した名目(季節調整値)では、全体の年率換算は 0.1% 増の約 598 兆円となった。 在庫の評価を見直し、1 次速報の 0.4% 増、約 599 兆円を下方修正した。 内閣府は同日、5 月の景気ウォッチャー調査の結果も発表した。 いまの景気の実感を示す現状判断指数(季節調整値)は前月より 1.7 ポイント低い 45.7 となり、3 カ月連続で下がった。 電気料金の値上げや円安による物価高への懸念が強まっているという。 「生活必需品以外の販売量が減少(中国地方のコンビニ)」、「また原材料の値上げの話が来ている(甲信越地方の食料品製造業)」といったコメントも寄せられている。 (内藤尚志、asahi 6-10-24) ◇ ◇ ◇ 1 - 3 月の実質 GDP 成長率は 2 期ぶりマイナス、自動車減産が影響 日本経済は 1 - 3 月期に 2 四半期ぶりのマイナス成長となった。 認証不正が発覚した一部自動車メーカーが大幅な減産を強いられる中、個人消費や設備投資、輸出が停滞した。 内閣府が 16 日発表した同期の実質国内総生産 (GDP) 速報値は前期比年率 2.0% 減だった。 市場予想では 1.2% 減が見込まれていた。 前期比では 0.5% 減。 個人消費は 0.7% 減。 自動車や携帯電話機の販売が振るわず、2009 年 1 - 3 月期以来、15 年ぶりの 4 期連続マイナスとなった。 設備投資は 0.8% 減と 2 期ぶりのマイナス。 輸出は 5.0% 減と 4 期ぶりの減少。 自動車の減産に加え、前期の押し上げ要因となった知的財産権使用料の減少が響いた。 一方、サービス輸出に含まれるインバウンド(外国人訪日客)消費は 11.6% 増。 消費額は過去最高を更新した。 輸出から輸入を差し引いた外需寄与度はマイナス 0.3% と 2 期ぶりのマイナスとなった。 ダイハツ工業や豊田自動織機の生産・出荷停止による販売の減少が個人消費や自動車関連投資を押し下げる要因となったほか、輸出の減少につながるなど、幅広い需要項目に悪影響が及んだ。 自動車生産の段階的な再開に伴い GDP への影響は一時的とみられているが、賃金上昇が物価高に追いつかずに停滞が続く個人消費とともに、自動車の生産動向が成長軌道へ復帰する鍵となる。 楽天証券経済研究所の愛宕伸康チーフエコノミストは、今回は自動車や能登半島地震といった「一時的要因によるところも多いので、先行きはそんなに悲観してみていない」と指摘。 「鍵となるのは賃上げを受けて新年度からどのくらい消費が回復していくかどうか。 インバウンドも好調で、4 - 6 月期はプラス成長になっていく」とみている。 新藤義孝経済財政担当相は GDP 発表後の談話で、好調な企業部門に加え、家計部門では 33 年ぶり高水準の春闘の賃上げや 6 月から実施される定額減税などの効果が見込まれるなど、「雇用・所得環境が改善する下で、緩やかな回復が続くことが期待される」と説明。 政府としては、力強い賃上げの流れを定着させ、「家計所得の伸びが物価上昇を上回る状況を確実に作り出し、消費を下支えしていく」とした。 ブルームバーグの集計では、エコノミストは 4 - 6 月期に年率 1.6% のプラス成長を予想している。 ただ、足元の円安進行で物価高が再燃すれば、個人消費の下押し圧力となる可能性がある。 (占部絵美、Bloomberg = 5-16-24) ◇ ◇ ◇ 歴史的株高なのに GDP はマイナス 衰える国力、実感できぬ豊かさ 日本経済が再びマイナス成長に転落した。 大企業が歴史的な好業績をあげ、株価は 34 年ぶりの最高値をつけても、消費が振るわない。 認証不正で自動車の出荷が落ちたという一時的な要因はあるものの、日本経済の足腰は弱い。 内閣府が 16 日発表した国内総生産 (GDP) をみると、物価を反映した名目 GDP は拡大している。 1 - 3 月期は直前の四半期より 0.1% 増え、2 四半期連続のプラス成長となった。 年率換算では 0.4% 増え、過去最大の約 599 兆円を記録。 2015 年に自民党の安倍晋三首相(当時)が掲げた「600 兆円」の目標にあと一歩に迫った。 安倍氏は「戦後最大の経済と国民生活の豊かさ」を旗印に、この目標をアベノミクス「新 3 本の矢」の一つに据えた。 その後の首相もアベノミクスの中核だった異次元の金融緩和を続け、経済成長を追い求めてきた。 そして日本銀行は今年 3 月、賃金上昇を伴う物価上昇率「2%」の達成が見通せる状況に至ったとして、11 年に及んだ異次元の金融緩和を終えた。 副産物としてもたらされた円安も追い風にして、大手メーカーを中心に企業は収益を伸ばし、見かけ上の経済の規模はふくらんだ。 だが、足元では物価高で家計の収入が目減りし、多くの国民が「豊かさ」を実感できないままだ。 株高なのに GDP が減るワケ 海外との比較に目を転じると、名目値でも日本経済の停滞が浮き彫りになる。 円安が進んだことで、米ドル換算時の金額が縮んでいるからだ。 国際通貨基金 (IMF) が4 月に公表した推計では、25 年の日本の名目 GDP は 4.31 兆ドルとなり、インドの 4.34 兆ドルを下回って世界 5 位に転落する見込みだ。 昨年 10 月の推計では 26 年に抜かれる見通しだったが、円安で 1 年早まった。 日本は高度経済成長期の 1968 年に旧西ドイツを抜いて世界 2 位に浮上した。 それ以来、米国に次ぐ経済大国として国際的な注目を集めてきた。 だが 90 年代に入るとデフレに陥って経済の長期低迷に突入。 少子高齢化が加速し、国内の市 場規模が縮んだのも痛かった。 この間、経済のグローバル化の波に乗って「世界の工場」の地位を得た中国が台頭。 日本は 2010 年に追い抜かれた。 さらに昨年、ドイツにも逆転されて、世界 4 位に転落したばかりだ。 家電や半導体、液晶など日本企業が強かった分野では、復権した米国や、台湾、韓国、中国といったアジア勢に競り負けるようになった。 自動車は低燃費と高品質で日本勢がいまも優位に立つが、次世代の主流になりそうな電気自動車 (EV) での出遅れが指摘されている。 日本の GDP 世界ランキングの順位の低下は、「国力」の衰えも象徴している。 (内藤尚志、asahi = 5-16-24) 7 月の企業物価指数、前年比 3.0% 上昇 円安など影響 日本銀行が 13 日発表した 7 月の国内企業物価指数(2020 年平均 = 100、速報値)は 123.1 で、過去最高を更新した。 前年同月比 3.0% 上昇し、23 年 8 月以来の高い伸び率となった。 円安などの影響で、伸び率の上昇傾向が続いている。 企業物価指数は企業の間で取引されるモノの価格水準を示す。 品目別では、電力・都市ガス・水道が前年同月比 6.7% 上昇した。 政府による補助の終了で、電気・ガス代が値上がりしたことが影響した。 飲食料品は、原材料価格の値上がりなどで 2.6% 上昇した。 円相場は歴史的な円安水準が続く。 このため、円換算の輸入物価指数は 7 月、前年同月比 10.8% 上昇した。 輸入物価の上昇は、時間を置いて企業物価に影響する傾向がある。 (山本恭介、asahi = 8-13-24)
◇ ◇ ◇ 企業物価、23 年度 2.3% 上昇 電気・ガス代高騰対策で伸び鈍化 日本銀行は 10 日、2023 年度の国内企業物価指数(20 年平均 = 100、速報値)が前年度より 2.3% 上昇したと発表した。 過去最高の上昇率となった昨年度 (9.5%) から上げ幅を大きく縮小した。 原材料やエネルギーの価格上昇が一服したことが影響した。 企業物価指数は企業の間で取引されるモノの価格水準を示す。 22 年度はロシアのウクライナ侵攻や円安の加速を受け、資源価格や輸入資材が高騰。 それを転嫁する動きが企業で広がった。 23 年度も飲食料品や輸送用機器で転嫁の動きが続いた一方、資源価格の落ち着きや政府による電気・ガス代の高騰対策が押し下げ要因となった。 同日発表された、今年 3 月の国内企業物価指数の前年同月比の伸びは 0.8%。 上昇は 37 カ月連続で、伸び率は 2 月 (0.7%) から小幅に広がった。 電気・ガス代の高騰対策の押し下げ効果が一巡したため。 ドルなど契約通貨ベースの輸入物価指数は前年同月比で 6.9% 下落し、12 カ月連続で下がった。 ただ、円ベースでは円安の進行を受けて1.4%上昇した。 (山本恭介、asahi = 4-10-24) 3 メガ銀、マイナス金利解除で追い風 追加利上げでさらなる利益増も 3 メガバンクグループの 2024 年 4 - 6 月期決算が 2 日、出そろった。 3 月に日本銀行がマイナス金利政策を解除した影響で、3 社とも収益の増加につながった。 日銀が 7 月末に追加利上げを決めたことで、今後はさらに収益が改善しそうだ。 「金利のある世界」が大手銀行に追い風となっている。 日銀の利上げに伴って、銀行でも貸出金利を引き上げる動きが広がった。 それに比べて預金金利の引き上げ幅はわずかで、その差である「利ざや」が大きくなる。 三菱 UFJ フィナンシャル・グループ (MUFG) は、その効果が約 150 億円分あった。 みずほ FG は 110 億 - 120 億円、三井住友 FG (SMFG) は 100 億円程度のプラス効果が出た。 3 社とも、本業のもうけを示す業務純益が過去最高となり、MUFG が 6,781 億円、三井住友 FG が 4,688 億円、みずほ FG が 3,287 億円だった。 3 社の試算では、マイナス金利解除で 25 年 3 月期の収益は 400 億 - 500 億円押し上げられるとしていた。 それも日銀の追加利上げでさらに増え、MUFG は 600 億 - 800 億円、SMFG も 700 億円程度となる見込みだ。 みずほは財務への影響を検証するとした。 日銀は、物価と経済が見通し通りに進めば、さらなる利上げを検討するとしており、銀行には追い風が続く可能性がある。 SMFG の場合、金利全体が 0.1% 上がるごとに 400 億円ほどのプラス効果があるという。 一方、貸出金利の上昇は、住宅ローンを抱える個人や、財務基盤の弱い中小企業にとっては負担増につながる。 2 日には、MUFG に続き、SMFG とみずほ FG が、住宅ローンの変動型金利の指標となる「短期プライムレート」を年 1.475% から 1.625% に引き上げると発表した。 メガバンク関係者は「顧客に還元するべく、預金金利も上げていく」と話す。 (杉山歩、柴田秀並、山本恭介、asahi = 8-3-24) ◇ ◇ ◇ 3 メガ銀、過去最高の純利益 3 兆円超え 貸し出し好調、円安も追い風 3 メガ銀行グループは 15 日、2024 年 3 月期決算を発表した。 純利益は計 3 兆 1,327 億円で、過去最高となった。 国内企業の資金需要が好調だったことに加え、欧米での金利の高止まりと円安の加速で、海外事業の収益が膨らんだ。 25 年 3 月期も 3 社は増益を見込んでおり、日本銀行が追加の利上げに動けば、さらなる追い風となる。 三菱 UFJ フィナンシャル・グループ (MUFG) は、純利益が過去最高の 1 兆 4,907 億円となった。 国内外で融資の預貸金利の差(利ざや)が改善するなか、設備投資への需要などから貸し出しが伸びた。 亀沢宏規社長は「極めて力強い決算だった。 構造改革が実を結び、環境要因もプラスに作用した。」と手応えを語った。 その環境要因は複数ある。 米欧では物価高を抑えるために急速な利上げが進み、銀行の貸出金利も上昇。 3 社とも利ざやが改善した。 さらに、歴史的な円安の進行により海外事業の円換算での収益が膨らんだ。 日本と米国の株価上昇で投資収益も増えた。 「若干、げたを履いた数字というふうに受け止めるべきだろう。」 純利益が過去最高の 9,629 億円となった三井住友 FG (SMFG) の中島達社長は、こう振り返った。 企業の脱炭素やデジタル関連の投資が活発で、経営者の前向きな姿勢が続いているとして、25 年 3 月期には純利益が初めて 1 兆円を超えることを見込む。 みずほ FG も国内貸し出しが好調で、純利益は過去 2 番目の高水準となった。 25 年 3 月期は過去最高益を見込むが、懸念材料もくすぶる。 木原正裕社長は「米国の物価が下がらず金利が高止まると(経済への)ショックが大きい。 世界に影響が出る可能性がある」と語った。 「金利のある世界」 3 メガはどう臨む? 日銀は 3 月、17 年ぶりの利上げとなるマイナス金利の解除に動いた。 3 メガ銀行は「金利のある世界」にどう臨むのか。 日銀の利上げについて、SMFG の中島社長は「銀行収益にはプラスだ」と歓迎した。 政策金利の引き上げは、銀行にとって利ざやの拡大などにつながる。 3 メガの試算では、マイナス金利の解除で 25 年 3 月期の収益は 400 億円 - 500 億円押し上げられる。 さらに、日銀の見通しに沿って経済の「好循環」が進めば、夏から秋にかけては追加の利上げも焦点となる。 SMFG の場合、金利全体が 0.1% 上がるごとに、400 億円ほどの増益効果があるという。 中島社長は「今後も金融政策の正常化に向けた動きが継続していくことを期待している」と語った。 一方で、貸出金利の上昇は、住宅ローンを抱える個人や、財務基盤の弱い中小企業にとっては負担増につながる。 中島社長は「非常に困難な状況を迎える方が出てくる可能性がある。 コンサルティングをしっかりしていきたい。」と話した。 3 行は貸し出しの原資となる預金にも力を入れる。 みずほ FG の木原社長は「(すぐに口座を変えないような)粘着性の高い個人の預金を集めてくることは非常に重要だ」とし、口座開設などのキャンペーンに力を入れるとした。 MUFG の亀沢社長は、「金利のある世界」では物価上昇も伴うため、資産の運用ニーズも増えると強調。 「ライフステージに対応したサービスが求められる」とし、金融商品の販売をグループで連携して強化していく考えを示した。 (山本恭介、柴田秀並、杉山歩、asahi = 5-15-24) 基礎的財政収支「25 年度は黒字」、政府が試算 実現なら 34 年ぶり 財政健全化の指標となる国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス = PB)について、政府は 29 日の経済財政諮問会議で、2025 年度に 0.8 兆円の小幅な黒字になるとの試算を示した。 企業の好業績などで税収が増え、収支が改善する。 実際に黒字化すれば 34 年ぶりだが、楽観的な前提を含むため、実現できるかは不透明だ。 PB は、国債など借金の影響をのぞいた財政の収支。 公共事業や社会保障、教育、防衛といった行政サービスの経費を、おもに税収でまかなえるかどうかを示す指標になる。 赤字だと新たに借金をする必要がある。 国と地方の PB は 1992 年度から赤字続きで、借金残高は国内総生産 (GDP) の 2 倍超にふくらんでいる。 政府は当初、10 年代初頭の黒字化をめざすとしたが、一度も実現できずに延期を繰り返した。 いまは 25 年度が期限だ。 試算は今後 10 年ほどの見通しを示すもので、毎年 1 月と 7 月ごろに最新のデータで算出する。 内閣府によると、目標期限に黒字化を見込むのは 07 年以来になる。 1 月に示した前回試算では、高めの経済成長率を想定したケースでも、25 年度は 1.1 兆円の赤字だった。 見通しが好転したのは、今月に判明した 23 年度の国の一般会計税収が想定を上回り、過去最高の 72 兆円だったからだ。 25 年度の名目成長率は前回と同じ 2.8% としつつ、税収を 1.6 兆円多く見積もった。支出についても、計画中の社会保障費の抑制策を半分ほど実現できて、物価高でふくらむ以上に削減できるとした。 その結果、前回までは 26 年度と見込んでいた黒字化が早まることになった。 ただし、試算では特殊な前提を置いている。 東日本大震災の復旧・復興費と GX (グリーントランスフォーメーション)対策費を、支出に含めていないのだ。 財源が手当てされているため、長期では収支が合うとし、財政健全化への悪影響はないと政府は説明する。 これらも加えた試算を算出すると、25 年度は 1.1 兆円の赤字になるという。 また、岸田文雄首相が今秋のとりまとめを表明した経済対策も、内容が定まっていないため支出に入れていない。 ここ数年と同様の大型補正予算が組まれて、執行が 25 年度にずれ込めば、黒字化は厳しくなりそうだ。 財政の健全化には、PB の単年度での黒字化だけではほぼ意味がなく、それを続けられるかが焦点になる。 政府の見通しには、もともと「甘すぎる」との批判が根強くある。 そこで今回は、アベノミクス下の目標だった名目 3%、実質 2% 程度の成長率を前提にする「高成長実現ケース」の詳細な算出をやめた。 かわりに出した実質 1% 台半ばの「成長移行ケース」では、26 年度以降は PB の黒字幅が拡大する見込み。 実質 0% 台半ばの低成長を見込む「過去投影ケース」でも、黒字を維持できるとした。 前回の試算では、低成長ケースだと赤字が続くとみていた。 とはいえ、過去には低成長ケースで想定した成長率さえも、結果的に実際より高くて甘すぎた例が多い。 足元の 24 年度も、政府が見込む実質 0.9% は、民間エコノミストの平均値の 0.4% と比べて楽観ぶりが際立つ。 岸田政権が 6 月にまとめた 30 年度までの新しい財政健全化計画で、PB の黒字化に向けた取り組みを「後戻りさせない」と盛りこんだ。 だが、具体的な数値目標は設けなかった。 自民党内に財政支出に積極的な議員が一定数いることに配慮したためだ。 今回の試算は、現状の経済運営を続ければ、大がかりな支出削減や増税がなくても、計画どおり財政を健全化できるという内容でもある。 政権にとってはアピールの材料になり得る。 一方、自民党内には、PB の黒字化を掲げること自体に批判的な議員もいる。 財政支出の不足につながり、経済の停滞によってかえって財政が悪化するとの見方もあり、今秋の自民党総裁選で争点になる可能性もある。 (内藤尚志、asahi = 7-29-24) 台湾当局、福島産などの食品輸入規制を追加緩和へ 日本流通の水準に 台湾の衛生当局は、2011 年の福島第一原発事故後に輸入規制を続けていた福島県など 5 県産の一部食品について、新たに規制を緩和する案を発表した。 22 年の規制緩和に続く措置で、実現すれば日本で流通する食品は全て台湾への輸入が認められることになる。 発表は 23 日付。 60 日間のパブリックコメントを経て正式決定する。 新たな規制緩和案の対象となっているのは、福島、茨城、栃木、群馬、千葉の 5 県産の野生鳥獣の肉やきのこ類などで、放射性物質の検査証の添付が条件となる。 台湾当局は福島原発事故後に 5 県産の食品の輸入を原則禁止にしたが、22 年に検査証の添付を条件に一部を除いて解禁した。 これまで輸入した食品の検査結果は、全て台湾の基準に適合しているという。(台北・高田正幸、asahi = 7-24-24) 昨年度の地方税収 45.7 兆円、3 年連続の過去最高 賃上げを反映 総務省は 12 日、2023 年度の地方税収の決算額が前年度より 5,197 億円 (1.2%) 多い 45 兆 7,064 億円となり、3 年連続で過去最高を更新する見込みだと発表した。 企業の賃上げによる給与所得増などの動きを反映した。 全体の約 3 割を占める個人住民税は前年度比 3,711 億円 (2.7%) 増の 13 兆 9,240 億円で過去最高だった。 住宅の建て替えなどが進んだ影響で、固定資産税は 2,300 億円 (2.4%) 増の 9 兆 7,711 億円だった。 企業が納める地方法人 2 税は 235 億円 (0.3%) 増の 9 兆 1,360 億円だった。 納税時期の関係で、好業績が目立った今年 3 月期決算分は反映されておらず、微増にとどまった。 企業の好業績や歴史的な賃上げは 24 年度以降の税収に反映されるため、今後、地方税収はさらに増える見通しだ。 (千葉卓朗、asahi = 7-12-24) ◇ ◇ ◇ 23 年度の税収 72 兆円超 4 年連続で過去最高、法人税が大幅増 財務省は 3 日、2023 年度の国の一般会計の税収は 72 兆 0,761 億円で、前年度を約 9 千億円上回ったと発表した。 企業の業績が好調で法人税収が伸び、4 年連続で過去最高を更新した。 ただ税収が増えたといっても巨額の歳出はカバーできず、国債(借金)でしのぐ状態は変わらない。 とはいえ、「増収」を奇貨に、与党から再び「還元」を求める声が出てきそうだ。 23 年度の税収は当初、企業グループの納税方法が変わった影響もあり、減る見込みだった。 だが歴史的な円安などで企業の業績が膨らみ、法人税は前年度より約 9 千億円多い 15 兆 8,606 億円だった。 過去最高だったバブル経済全盛期の 1,991 年度(16 兆 5,951 億円)に近づいた。 消費税は約 130 億円増の 23 兆 0,923 億円で、わずかながら過去最高を更新した。 一方、所得税は約 5 千億円少ない 22 兆 0,530 億円だった。 賃金上昇や配当収入の増加に伴う税収増よりも、課税方法の変更による下押し効果が大きかった。 財務省はこの日、23 年度の決算概要(見込み)も発表した。 決算剰余金は 8,517 円で、前年度の 3 分の 1 程度に減った。 この半分は財政法に基づいて国債の返済にあてるが、残り半分は防衛費増額の財源にまわす。 政府は 27 年度までは年平均で 0.7 兆円の剰余金を防衛財源にまわすことにしている。 一方で、安定財源となり得る増税の開始時期については決定を先送りしたままだ。 決算概要によると、予算計上したものの使わなかった「不用額」が 6 兆 8,910 億円あった。 新型コロナ対応の検査費や病床の確保料がいらなくなり、物価高騰対策の予備費も使わなかった。 税収の増加分と不用額をふまえ、新規の国債発行を 9 兆 5 千億円減らした。 税収が上ぶれした前年は「税収増を国民に還元する(岸田文雄首相)」として、定額減税の実施につながった。 今年も再び、減税などの「還元策」を求める声が出る可能性もある。 ただ、補正予算を含めた 23 年度の歳出は 127 兆 5,804 億円にのぼる。 税で 6 割弱ほどしかまかなえておらず、国債に頼る構図は続く。 (岡林佐和、笠井哲也、asahi - 7-3-24) 近畿・北陸「引き上げ」、北海道・四国「引き下げ」 日銀景気判断 日本銀行は 8 日、地域経済報告(さくらリポート)を公表し、全国 9 地域のうち、近畿と北陸を前回 4 月から引き上げ、北海道と四国は引き下げた。 ほか 5 地域は据え置いた。 日銀が追加利上げの判断材料に挙げる賃上げについては、多くの地域で中小企業にも広がっているとした。 近畿は、ダイハツ工業など自動車メーカーの認証不正で停止された自動車生産が再開され、悪影響が和らいだ。 北陸は、能登半島地震の生産拠点の再開などが後押しした。 一方、北海道と四国は個人消費の弱さを理由に引き下げた。 ただ、担当者は「消費は堅調で、腰折れしたとはみていない」とする。 日銀は今後想定される追加利上げの条件に、幅広く賃上げが進み、それがさらに価格へ転嫁されることを挙げる。 神山一成・大阪支店長は記者会見で、賃上げについて「中小企業も含めて、かなり広範囲に昨年以上の水準で上がってきている」と話した。 企業の価格転嫁についても「新規出店など先行きを見据えた値上げをした(本店管内のサービス業)」との声が出るなど、前向きな企業が増えているとみる。 懸念は個人消費の弱さだ。 インバウンド(訪日客)の需要が旺盛な一方、物価高で消費者の節約志向が強まっている。 「購入点数の減少や安価なプライベートブランドへのシフトがみられる(福岡支店管内の小売り)」との声があった。 歴史的な水準が続く円安の影響についても、原材料価格の上昇を通じて「収益が下ぶれしている(本店管内の食料品)」との声があった。 (神山純一、杉山歩、asahi = 7-8-24) ◇ ◇ ◇ 街の景況感が 4 カ月ぶり改善 定額減税の効果は浸透せず、内閣府調査 内閣府が 8 日に発表した 6 月の景気ウォッチャー調査で、街の人の景況感を示す現状判断指数(季節調整値)が 47.0 となり、前月より 1.3 ポイント上がって 4 カ月ぶりに改善した。 だが上げ幅は小さく、指数の水準は 2 カ月前 (47.4) より低い。 6 月に始まった定額減税の効果も浸透せず、基調判断は「緩やかな回復基調が続いているものの、このところ弱さがみられる」から変えなかった。 調査は、景気の影響を受けやすい職場にいる約 2 千人にアンケートをして、指数を算出する。 6 月の景況感の判断理由に「減税」を挙げたのは、約 20 人にとどまった。 「地方では話題にもならない(甲信越地方の家電店)」、「効果は一時的で需要としては高まっていない(東海地方の金融業)」といった後ろ向きな意見も目立った。 内閣府は「定額減税は今回の現状判断指数の改善には影響していない」と分析している。 一方、訪日客の消費や観光業の活況に関しては、「高級ブランドの店には連日インバウンド(訪日客)が入場待ちの行列をつくっている(近畿地方の百貨店)」などの前向きなコメントが並んだ。 内閣府はこれらの好影響に加えて、値上げラッシュや電気代高騰への警戒感がやわらいだことが、指数の改善につながったとみている。 (内藤尚志、asahi = 7-8-24) ◇ ◇ ◇ じわり消費が弱含み「客離れ心配」 非製造業、円安・人件費が重し 日本銀行が発表した 6 月の全国企業短期経済観測調査(短観)は、大企業・非製造業の景況感が 4 年ぶりに悪化した。 好調が続く業界にも、歴史的な円安や長引く物価高により影が差している。 東京で真夏日を記録した 6 月下旬、浅草のたい焼き店「浅草浪花家」では、旬のフルーツやあんこを使ったかき氷を求めて行列ができていた。 国民的ヒット曲「およげ! たいやきくん」のモデルとされる老舗「浪花家総本店」からのれん分けし、2010 年に開業。 ところが本店ほどの売り上げが見込めず、夏場しのぎで始めたかき氷がいまや店の売り上げの半分超を支え、通年販売する名物となった。 「浅草寺から少し離れているが、観光客らで忙しくなった。 多い日は外国人客も 2 割くらい占める」と店主の安田亮介さん (49)。 都内のかき氷専門店では数千円という価格設定もめずらしくないなか、浪花家は 750 - 1,300 円ほどで提供して客を引きつけている。 だが足元では、食材などの価格高騰に苦しむ。 小豆こそ本店を通じた仕入れで影響は少ないものの、フルーツ類やナッツ、牛乳や卵といった価格は軒並み上昇した。 たい焼き用の包装材も値上がり、「全体の材料費は数年前に比べ 3 割近く上がった。」 このため、7 月 3 日にも、かき氷の定番メニューの一部を 30 円ほど上げる予定だ。 「値上げによる客離れも心配だが、忙しいわりに思った利益が出にくい状況」と、苦渋の選択だという。 短観で宿泊・飲食サービスや対個人サービスの業況判断指数 (DI) が悪化した背景には、原材料価格や人件費の高騰がある。 好調な業績が続く大手の外食チェーンにも警戒感が漂う。 ファミリーレストラン「ロイヤルホスト」などを展開するロイヤルホールディングスは、売り上げは堅調に伸びるものの、利益の伸びが鈍化する見込みだ。 円安の影響も受け、主要食材の米国産牛肉を含む原材料コストは、今年 1 - 3 月期に前年同期より 2 億円増え、4 - 6 月期以降には、さらに 8 億円コストが増えるという。 みずほリサーチ & テクノロジーズの中信達彦氏は「円安の進展などで、消費者の購買意欲が低下している」と指摘。 訪日外国人の需要の強さを、国内の個人消費の弱さが上回ってきたとみる。 「これまで非製造業は強い動きが続いてきたが、(景況感が)さらに上がるのは、難しくなってきているのではないか」と話す。 大企業の業種別の業況判断指数 一方、大企業・製造業は 2 期ぶりに小幅な改善となった。 素材関連で価格転嫁が進み、半導体市況の回復も寄与した。 ただ、自動車や関連する鉄鋼は悪化した。 6 月にはトヨタ自動車など 5 社で車の大量生産に必要な「型式指定」の手続きを巡る認証不正が判明。 出荷停止の車種が限られることなどから、影響は限定的との見方もあったが、不正の余波のほか、原材料価格の高騰がマイナスに働いたとみられる。 (宮崎健、西山明宏、杉山歩、asahi = 7-1-24) ◇ ◇ ◇ 政府、景気判断を維持「足踏みも、緩やかに回復」 個人消費は低迷 政府は 27 日に公表した 5 月の月例経済報告で、国内の景気について「このところ足踏みもみられるが、穏やかに回復している」とする総括判断を維持した。 今月発表された 1 - 3 月期の国内総生産 (GDP) 1 次速報は、個人消費の停滞などで 2 四半期ぶりのマイナス成長に転落。 だがトヨタ自動車グループの認証不正などの一時的な要因が大きいとみて、判断の引き下げを見送った。 景気の総括判断は、2 月に個人消費の伸び悩みなどを理由に引き下げた後は変更していない。 一方、1 - 3 月期の実質 GDP (季節調整値)は、昨年 10 - 12 月期より年率換算で 2.0% 減った。 特に個人消費は 4 四半期連続で減少し、リーマン・ショック時以来の低迷となった。 政府は今回の報告で、個人消費についても「持ち直しに足踏みがみられる」として前月の判断を据え置いた。 担当する内閣府によると、トヨタ系のダイハツ工業などが出荷を止めたことで車の販売が減った影響が大きく、外食などサービスの消費は上向きだという。 公共投資、輸入、生産の判断に関しては、それぞれ前月から引き上げた。 景気の先行きについては、「緩やかな回復が続くことが期待される」とした。 おもな理由の一つは賃上げだ。 民間の給与計算代行サービスのデータを初めて分析したところ、昨年は 40 - 50 代で平均賃金(一部手当を含む)がわずかに減っていた。 だが今年 4 月は 40 代で 2.9%、50 代で 1.2% の賃上げを確認できたという。 月例経済報告は、景気に対する政府の公式見解。 物価が下がり続けるデフレ入りも、この中で認定してきた。 自民党の第 2 次安倍政権は発足から 1 年後の 2013 年 12 月に、「デフレ」の表現を 4 年 2 カ月ぶりに削除。 だが再び物価が下がるおそれもあるとして、「デフレ脱却」の認定は見合わせてきた。 岸田文雄首相は、物価と賃金がともに上がる経済の好循環をアピールするため、「デフレ脱却」宣言に意欲を示している。 (内藤尚志、asahi = 5-27-24) 5 月の輸出船契約、前年同月比 2.6 倍 4 カ月連続プラス 日本船舶輸出組合(東京・港)が 19 日発表した 5 月の輸出船契約実績(受注量)は、前年同月比 2.6 倍の 170 万総トンだった。 4 カ月連続で前年同月を上回った。 鉄鉱石や穀物などを運ぶばら積み船の受注が堅調だった。 受注隻数は 35 隻だった。 内訳はばら積み船が前年同月比 2 倍の 32 隻だった。 タンカーは 2 隻、貨物船は 1 隻受注した。 二酸化炭素 (CO2) 排出量の低減に向けて船主側も対応が必要とされる。 業界関係者は「重油を燃料とする船から CO2 の排出が少ないほかの燃料を使う船への移行が徐々に進むと考えられる」と話す。 造船各社の 5 月末の手持ち工事量(受注残)は約 2,888 万総トンだった。 約 3.3 年分の工事量に相当する高い水準が続いた。 (nikkei = 6-19-24) 長期金利が 1.025% に上昇 約 12 年ぶりの高水準に 27 日の東京債券市場で、長期金利の指標となる新発 10 年物国債の利回りが上昇(債券価格は下落)し一時、前週末より 0.020% 幅高い、1.025% をつけた。 2012 年 4 月以来、約 12 年ぶりの高水準となる。 市場では、日本銀行が金融政策の正常化を進めるとの見方から、長期金利の上昇傾向が続いている。 5 月初めからは 0.135% 幅上昇した。 27 日は午前中に日銀の内田真一副総裁が講演し、物価も賃金も上がらないという社会的なノルム(規範)は解消に向かっていると指摘。 3 月にはマイナス金利政策を含む大規模緩和を転換したことを挙げ、「デフレとゼロ金利制約との闘いの終焉は視野に入った」と述べた。 市場では、追加利上げなど政策修正に向けた地ならしと受け止められたようだ。 三井住友 DS アセットマネジメントの市川雅浩氏は「(発言の)ニュアンスは強くなかったが、マーケットが敏感になっており、長期金利の利回りも上がりやすくなっている」と話した。 (杉山歩、asahi = 5-27-24) ハワイに日本産米の精米拠点 クボタ、米国本土への進出も視野に クボタは現地時間 10 日、米ハワイ・オアフ島につくった日本産米の輸出拠点の開所式を行った。 日本から輸出した玄米を現地で精米してレストランなどに提供する拠点で、年 900 トン分の精米ができるという。 同社によると、ハワイは稲作が行われておらず、コメは米国本土などから輸入している。 現地で精米したコメの方がより新鮮で、味もよくなる。 日系人も多いハワイでの消費拡大を狙う。 将来的には米国本土への進出も視野に入れているという。 同社によるコメの輸出拠点は、2011 年設置の香港、13 年のシンガポールに続いて 3 カ所目。 輸出用のコメは全国 19 道県の生産者と契約して栽培しており、23 年には約 6 千トンを輸出した実績がある。 (清井聡、asahi = 5-11-24) インド GDP、2025 年に日本抜き 4 位 円安で IMF 推計前倒し 【ムンバイ = 花田亮輔】 インドの名目 GDP (国内総生産)が 2025 年に日本を上回る見通しとなった。 国際通貨基金 (IMF) の推計によると、インドの GDP は同年に 4 兆 3,398 億ドル(約 670 兆円)となり、4 兆 3,103 億ドルの日本を抜いて世界 4 位に浮上する。 円安でドル換算の日本の GDP が目減りし、従来予測より逆転時期が 1 年早まる。 (nikkei = 4-20-24) 初 報 (5-12-23) |