消えるオレンジ畑、生産量 15 分の 1 に 「商品欠乏」へと向かう世界

商品(コモディティー)にあふれた世界から、商品欠乏の時代へ - -。 2020 年代に入り加速する商品価格の高騰は、様々な事情が絡み合って供給が滞る世界経済の姿を映し出す。

オレンジ、カカオ、銅 … 「商品」が軒並み上昇 共通項は「供給制約」

フロリダを襲う病害とハリケーン

温暖な気候に恵まれ、オレンジの生産地として知られる米南部フロリダ州セブリング。 平坦な土地に、高さ数メートルのオレンジの木が立ち並ぶ。 ただ、ところどころ枯れた木や、葉が黄に変色した木が目立つ。 病害が蔓延しているのだ。 2005 年にフロリダで初めて見つかった「カンキツグリーニング病」は、感染すると葉が黄色になる。 実の収穫量が減り、品質も悪くなる。 効果の高い治療法は見つかっていない。 フロリダのほとんどのオレンジの木が感染したとされる。 そこに、頻発するハリケーンや、ロシアのウクライナ侵攻の影響による肥料代の値上がり、収穫時に雇う人件費の上昇などが重なり、農園の経営は悪化した。

近くで農園を営むトレバー・マーフィーさん (36) は「フロリダのオレンジ農家はどこも経済的に困難な時間を過ごしている」と話し、ある土地を指さした。 あそこはオレンジ農園だったが、最近、開発業者に売られた。 移住者向けの住宅が建つ予定だ。」 マーフィーさんが指さす先には、オレンジの木に囲まれた中にぽっかりと、数百メートル四方の更地が広がっている。 マーフィーさんは「病害やハリケーンで収穫量が減り、コストも上がった。 もう農業は続けられないと知り合いの農家は次々に農地を売っている。 特に小規模な農家は採算が取れず苦しい。 私も 2 年前から、一部の土地の売却を始めた.。」

フロリダのオレンジの耕作面積は 20 年前の半分に縮小し、生産量の減少に拍車がかかった。 オレンジ生産量は、20 年前と比べて約 15 分の 1 に激減している。 ディズニーワールドなどで知られるオーランドの南に位置するヘインズシティも、かつてオレンジ農園が広がっていた。 しかし、テーマパークや主要空港まで車で 1 時間以内という近さが人気で、幹線道路沿いに大型商業施設や移住者向け住宅の建設が相次ぐ。 わずかに残るオレンジの木も、放棄され枯れたものが目立つ。

近くで不動産会社を経営するディーン・サンダースさん(64)は「農業がうまくいかない一方で、温暖なフロリダは移住者に人気で、土地の価格は上昇している。 農家から土地を売りたいという問い合わせが後を絶たない。」と話す。 オレンジジュースは、米国では朝食の定番だ。 だが、主要産地フロリダでの生産量が激減したことで、米国は国内消費分をブラジルからの輸入に頼るようになった。 米国のブラジルからのオレンジ果汁の輸入量はこの 20 年で約 2 倍に増えた。

しかし、そのブラジルでも同じ病害が蔓延。天候不順も重なり、オレンジ果汁は世界的な供給不足に陥った。 「大手のバイヤーは、これまで取引のなかった小規模な事業者からもオレンジ果汁を買い取っている状況(英市場調査会社ミンテックのハリー・キャンベル氏)」という。 オレンジ果汁の市場価格は史上最高値を更新し、コロナ禍前の 4 倍超に。 影響は大半を輸入に頼る日本にも及び、オレンジジュースの販売休止や値上げにつながっている。

不足はオレンジに限らず

農産物の供給不足はオレンジに限らない。 カカオ豆は天候不順や病害により主要産地の西アフリカでの生産量が大きく減り、国際価格は一時、コロナ禍前の 4 倍超に急騰した。 コーヒー豆で代表的な「アラビカ種」は、気候変動のため、栽培に適した土地が 2050 年までに今の半分に減る - -。 国際的な業界団体はそう予測し、価格はすでに上昇傾向にある。 ロシアのウクライナ侵攻後には、両国が主な供給元である石油や天然ガス、そして小麦やトウモロコシなど一部の穀物価格が供給不安から急騰した。

ただ原油については、ロシア産を中国などが買い増し、欧州はロシアの代わりに米国や中東から確保。 供給不安が和らぎ、価格もいったん落ち着いた。 >金属では、銅が 5 月に史上最高値をつけた。 環境問題や外国企業が所有することへの反発を背景に、昨年末にパナマの大規模鉱山が閉鎖を決めた。 さらに今年 4 月に米英がロシア産の銅、ニッケル、アルミニウムの取引を禁じたことも価格を押し上げた。 インドネシアがニッケルやアルミ原料のボーキサイトなどの未加工鉱石の輸出禁止を打ち出すなど、「資源ナショナリズム」の高まりも値上がりを招く。

今年は世界で重要選挙が相次ぎ、「保護主義がさらに台頭するおそれがある(金融大手 HSBC のポール・ブロクサム氏)」との見方がある。 インフレ対策の高金利は、鉱山などへの投資にとっても重しになっている。 幅広い商品を網羅し、商品先物価格全体の代表的な指標として知られる「CRB 指数」は、コロナ禍前と比べ 50% ほど高い水準にある。

米資産運用会社コーヘン & スティアーズは、高金利による設備投資の抑制、地政学リスクの増大、資源の枯渇、経済制裁などで「多くのコモディティーの供給は、今後も構造的な制約を受ける」と報告書で指摘する。 「世界は、商品が豊富な時代から、供給不足の時代へと移行しつつある。」(米フロリダ州・真海喬生)

日本の食卓にも打撃

東京・銀座のイタリアンレストラン「バッフォ」は 4 月、ランチを 1,100 円から 1,200 円に値上げした。 食材価格がこの1年で一気に上がったためだ。イタリア料理に必ずと言っていいほど用いるオリーブオイルは、1 年前の 2 倍程度に上がったという。 ただ、従来の価格に慣れた常連客も多く、原材料の値上がり分全部は転嫁できていない。 夜のメニューは価格を据え置いている。 代表取締役総料理長の黒川俊男さん (67) は「物価が上がり生活に影響があるのはお客さんも一緒。 値上げはぎりぎりのラインでしないといけない」と話す。

バブル期の「イタ飯」ブームを経て、日本の家庭でも日常的に使われるようになったオリーブ油の価格は世界で高騰している。 国際指標とされる英国での価格は 2022 年に 1 トン = 4,469 ドルだったが、今年 7 月には 8,856 ドルに急騰した。 主要産地の欧州で熱波や干ばつで記録的な不作が続き、世界的な在庫不足が価格を押し上げる。

日本は、そこに円安が重なる。 大手メーカーは 5 月、オリーブ油の価格を相次いで値上げした。 日清オイリオグループが 23 - 64%、J-オイルミルズが 32 - 66% 引き上げた。 日清オイリオがキャノーラ油とオリーブ油を配合した商品を発売するなど、価格の安い代替品を売り出す動きもある。 帝国データバンクが大手食品 195 社を対象にした調査によると、輸入小麦やカカオ豆の高騰を受け、パスタやチョコレート、菓子パンなど合計 642 品目が 8 月に値上げされた。 10 月も 2 千品目台の値上げが見込まれるという。 (明楽麻子、asahi = 8-27-24)


物価高ふたたび 上昇率 3 カ月連続で拡大、日銀目標 2% 上回る水準

7 月の消費者物価指数(2020 年 = 100)は、値動きの大きい生鮮食品をのぞく総合指数が 108.3 となり、前年同月より 2.7% 上がった。 これで上昇が  2 年 11 カ月続いたことになり、伸び率は 3 カ月連続で前月より拡大した。 日本銀行は物価上昇の目標を「2%」としているが、それを上回る水準の物価高になっている。  総務省が 23 日に発表した。

足元の物価高の主因は、電気・ガス代の値上がりだ。 電気代は、5 月に再生可能エネルギーの普及を促す賦課金が引き上げられた影響で前年同月より 15% 近く上昇。 6 月には政府の補助が縮小されて 13% 超上がった。 7 月はその補助がなくなって 22.3% アップした。 電気代の上昇率が 20% 台になるのは昨年 1 月以来だ。 第 2 次石油危機の影響が残る 1981 年 3 月は 40% 台だったが、その後では最も高い伸びとなった。 同様に補助がなくなった都市ガス代も 7 月は 10.8% 上がった。

7 月はコメの値上がりも目立った。 伸び率は、コシヒカリが 15.6%、それ以外のうるち米が 18.0%。 この影響でせんべいも 16.1% 上がった。 ただ、22 年春以降の物価高を牽引してきた食料全体(生鮮食品をのぞく)の値上がりは、落ちつきつつある。 7 月の伸び率は 2.6% で、23 年夏の 9% 超をピークに鈍化が続く。 政府は電気・ガス代の補助を 8 - 10 月使用分(9 - 11 月請求分)で復活する。 その影響もあり、物価上昇率は、日銀がめざす「2%」前後に一時的に収まる可能性がある。

とはいえ、その後は不透明だ。 為替相場が円安に振れれば、原材料の輸入コストが増えて菓子や調理食品などの値上げが加速し、物価高の再燃もあり得る。 一方、外食や通信といったサービスの価格に限ると、7 月は 1.4% の上昇にとどまった。 伸び率は前月より 0.3 ポイント小さく、2 カ月ぶりに鈍化。 食料などに比べて上昇の勢いは弱いままだ。 消費者の節約志向はまだ強く、値上げに慎重な企業もあるとみられる。 SMBC 日興証券の宮前耕也氏は「人手不足もあって賃上げは進んでいる。 そのコストが価格に転嫁され、来春以降には物価の伸びが再び拡大に向かう可能性が高い。」とみる。 (内藤尚志、asahi = 8-23-24)


市民プールで遊泳中止相次ぐ 18 日連続の猛暑で水温上昇 大分

猛暑が続く中、無料で開放している大分市の市民プールでは水温上昇に伴い、開場時間中に遊泳が中止となる事態が相次いでいる。 市スポーツ振興課などによると、同市横田の大在公園プールでは、17 日まで 18 日連続で午後 5 時の閉場前に遊泳を中止した。 強い日差しが照りつける 14 日午後 3 時半の同プール。 「本日の遊泳は中止とさせていただきます」とアナウンスされると、元気よく泳いでいた子どもたちは、残念そうな表情でプールから上がった。

同プールでは、開場の午前 10 時以降、スタッフが 1 時間おきに水温を測定。 水中にじっとしていても体温が下がらないとされる 34 4度を超えると、熱中症予防のために遊泳を中止している。 その他の市民プール 4 カ所でも、7 月 20 日のオープン以来、多いところで 10 日間前後、開場中に遊泳を中止した。 現場責任者の一人は「そもそも水道水の温度が高くなっている。 対策として、プールに入れる水の量を増やしている。」と話していた。 気象庁によると、市の最高気温は 8 月の 17 日間中、猛暑日となる 35 度以上が 12 日間、他 5 日間も 34 度台となった。

同課は「プールを利用する際は事前に電話などで開場状況を確認してほしい」と注意を呼び掛けている。 (山口泰輝、mainichi = 8-18-24)


ディズニー閉園前倒し、上野動物園は休業 台風 7 号で

暴風域を伴った、非常に強い勢力の台風 7 号の接近に伴い、影響が大きいと予想される東京都や千葉、茨城両県では 16 日の営業を取りやめたり、運営時間を短縮したりする施設が相次いでいる。 東京都は、所管する恩賜上野動物園(台東区)や多摩動物公園(日野市)、葛西臨海水族園(江戸川区)などを終日閉園すると発表。 都内では、このほか遊園地「浅草花やしき(台東区)」も臨時休園としている。

千葉県では、「東京ディズニーランド、東京ディズニーシー(浦安市)」が閉園を午後 3 時に前倒しする。 「そごう千葉店(千葉市中央区)」がホームページで臨時休業を発表。 「三井アウトレットパーク木更津(木更津市)」も臨時休業とした。 うどん店「丸亀製麺」はホームページで、県内の 30 店舗以上を臨時休業にすると公表した。 「鴨川シーワールド(鴨川市)」や「東京ドイツ村(袖ケ浦市)」、「マザー牧場(富津市)」、動物園「市原ぞうの国(市原市)」、「サユリワールド(同)」も営業をとりやめている。

茨城県では、国営ひたち海浜公園(ひたちなか市)が終日閉園。 17 日については、「天候の回復状況により改めてホームページでお知らせする」としている。 (asahi = 8-16-24)


台風 5 号、12 日ごろに東北に上陸見込み 気象庁「強い危機感」

台風 5 号(マリア)は、12 日ごろに本州に上陸しそうだ。 東北地方を横断するような進路が見込まれ、災害を引き起こすような大雨や暴風、高波となる可能性がある。 気象庁は「強い危機感を持っている」として厳重な警戒を呼びかけている。 10 日正午時点の気象庁の観測によると、台風は日本の東を北上中。 西よりに進路を変え、東北地方に上陸する見込み。 中心気圧は 985 ヘクトパスカル、中心付近の最大風速は 25 メートル、最大瞬間風速は 35 メートル。 台風の進むスピードが時速 15 キロと遅いため、影響も長く続く可能性がある。

気象庁によると、12 日正午までの 24 時間に予想される雨量が、いずれも多い所で東北 300 ミリ、北陸 120 ミリ、北海道と関東甲信で各 50 ミリ。 特に岩手県で雨量が多くなる可能性が高く、11 - 12 日の総雨量が 400 ミリと見込まれている。 気象庁と国土交通省は 10 日午後に台風の見通しに関する会見を開き、同庁の立原秀一・主任予報官は「東北でこれだけの雨量は珍しく、各地で観測史上最大を更新するような雨になる可能性が十分考えられる」と話した。 (大山稜、asahi = 8-10-24)


また「史上もっとも暑い」 7 月 国内の平均気温、2 年連続で記録更新

今年の 7 月は、7 月として日本の観測史上最も平均気温が高かったことが、気象庁のデータからわかった。 「地球沸騰」という言葉が注目された 2023 年の暑さを上回り、2 年続けて過去最高を更新した。 同庁によると、太平洋高気圧の勢力が強いことなどに加え、地球温暖化の影響もあるという。 都市化の影響が少なく、気象庁が日本の平均気温の基準としている 15 の観測所の気温を、朝日新聞が調べた。 山形市や千葉県銚子市、宮崎市などが含まれる。 データがある 1898 年以降の 7 月 1 - 31 日の平均気温から、各年について 7 月の平均気温を算出した。

今年は 26.22 度で、過去最高となった。 西日本を中心に雨が多かった中旬や、東北地方が豪雨に見舞われた下旬などをのぞけば、過去の同じ時期と比べて飛び抜けて暑い日が続いた。 2023 年7月も25.96度という暑さで、1978年の記録を45年ぶりに更新したが、今年はさらに暑くなった。 7 月の平均気温は、2022 年が 25.24 度で過去 7 番目の高さ、21 年が 25.15 度で 8 番目となるなど、際だった高温は近年に集中している。 年ごとの変動はあるが、これまでの 127 年で 1.6 度ほど上がった。

ヒートアイランド現象の影響を受けやすい都市部はさらに暑くなっている。 東京都千代田区と名古屋市千種区、大阪市中央区、福岡市中央区の 4 観測所を調べると、今年 7 月の平均気温は 29.42 度となり、過去最高だった 1994 年の 29.18 度を上回った。 127 年で 2.4 度ほど上がっている。 気象庁によると、今夏の暑さは太平洋高気圧の勢力が強いことや、偏西風の蛇行で上空に暖かい空気が流れ込んでいることのほか、地球温暖化による長期的な気温の高まりも背景にある。 気候情報課の平井雅之・予報班長は「昨年と同じで、条件が重なって記録的な高温になった。 8 月以降も厳しい暑さが続く見込みだ。」と話す。

地球全体の平均気温も、今年 6 月まで、13 カ月連続で過去最高気温を更新している。 国連のグテーレス事務総長は「事実を直視しよう。 極端な気温はもはや 1 日、1 週間、1 カ月の現象ではない」、「地球はますます暑くなり、あらゆる場所の誰にとっても危険になっている」とコメントする。 (小宮山亮磨、asahi = 8-1-24)

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静岡市で気温 40 度超え、今年国内では初めて 各地で猛暑日見込み

7 日も西日本を中心に広い範囲で晴れ、厳しい暑さが続くと予想されている。 気象庁によると、静岡市で午後 1 時 18 分に最高気温が 40 度に達した。 国内で 40 度以上を観測するのは今年初めて。 熱中症への警戒を呼びかけている。

気象庁によると、最高気温は埼玉県秩父市で 39 度、名古屋市で 38 度、宮崎市で 37 度と予想され、多くの地域で 35 度以上の猛暑日や、30 度以上の真夏日となる見込み。 環境省と気象庁は、20 都県に熱中症警戒アラートを発表し、室内ではエアコンを使って涼しい環境で過ごすほか、こまめに水分補給をするよう呼びかけている。 一方、北陸や東北では、前線や湿った空気の影響で、7 日は雷を伴い雨が降る見通し。 8 日以降、雨の範囲は各地に広がり、気温も下がるとみられる。 (森下裕介、asahi - 7-7-24)


日本人の人口 1 億 2,156 万人、1 年で最多 86 万人減 総務省発表

総務省は24日、住民基本台帳に基づく今年1月1日時点の人口を発表した。日本人の人口は1億2156万1801人で、前年より 86 万 1,237 人 (0.70%) 減った。 減少数は、初めて 80 万人を超えた前年より約 6 万人増え、1968 年の調査開始以降で最多。 東京、関西、名古屋の3大都市圏でも減少が続いているが、東京都は 3 年ぶりに増加に転じた。 一方、日本に住む外国人の人口は 32 万 9,535 人増の 332 万 3,374 人。 2013 年の調査開始以降、初めて 300 万人を超えた。

日本人の人口は 2009 年をピークに 15 年連続で減少。 最大の要因である少子高齢化が加速している。 昨年 1 年間に生まれた子ども(出生数)は 72 万 9,367 人(前年比 4 万 2,434 人減)で過去最少だった。 一方、死亡数は 157 万 9,727 人(同 1 万 4,602 人増)と過去最多。 両者の差である「自然増減」は 85 万 0,360 人減で、1979 年の調査開始以降初めて 80 万人を超えた。 15 - 64 歳の生産年齢人口は 7,174 万 1,119 人(同 52 万 1,056 人減)で、減少傾向が続く。 65 歳以上の高齢者は 3,571 万 1,738 人(同 2 万 6,355 人増)となり、全人口に占める割合は 29.38% (同 0.23 ポイント増)と上昇が続く。

都道府県別でみると、東京都の人口が前年より 3,933 人 (0.03%) 増え、全国で唯一の人口増となった。 最大の要因は転出する人を転入する人が上回る「社会増」で、コロナ禍で一時的に減った東京への人口流入が再び加速している。 ただ、埼玉、千葉、神奈川を合わせた東京圏は 0.19% 減で、3 年連続の減少。 関西圏 (0.63% 減)、名古屋圏 (0.71% 減) も減少に歯止めがかかっていない。 人口減少率が最も大きかったのは、秋田県で 1.88% 減。 青森県 (1.72% 減)、岩手県 (1.61% 減) と続いた。 (千葉卓朗、asahi = 7-24-24)

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人口増加率トップは東京・台東区 上野周辺再開発で「イメージ変化」

総務省が 24 日に発表した人口動態で、都道府県別では東京都の人口が 3 年ぶりに増加した。 ただ、東京、関西、名古屋の 3 大都市圏でみるといずれも減少しており、都市部でも人口が減る流れは変わっていない。 昨年 1 年間の日本人の人口増加率が全国の市区でトップだったのは東京都台東区で、前年比 1.28% (2,450 人) 増えた。 浅草などがあり、古くからの住民が住む「下町」のイメージが強いが、ここ数年で上野駅周辺の再開発が急速に進み、高層マンションの建設も相次いでいる。

不動産調査会社「東京カンテイ」の高橋雅之・主任研究員によると、台東区は不動産価格が東京都心部では相対的に安く、坪単価は隣接する中央区や千代田区に比べ「半値以下」という。 高橋氏は「丸の内や品川といったオフィス街に近いうえ、再開発で街のイメージが変化し、若いファミリー層が割安感のあるマンションを購入している」と分析する。 人口増加率の 2 位は東京都港区 (1.1%)、3 位は東京都中央区 (1.041%)。 超高価格帯のマンション建設が相次ぐエリアだが、富裕層を中心に次々と売れているという。 前年 1 位だった千葉県印西市は 0.89% 増で 10 位、2 位だった同県流山市は 0.997% 増で 8 位になった。 手厚い子育て支援策をアピールして人口増は続いているが、順位を落とした。

地方の人口減は加速している。 都道府県別の人口減少率がトップだった秋田県は、この 5 年で約 7 万 7 千人 (7.72%) も減った。 死亡数が出生数を上回る「自然減」が大きな要因だが、県外への転出が転入を上回る「社会減」にも歯止めがかからない。 人口減少率が高い他の道県も同様の傾向が続いている。 一方、人手不足を背景に外国人の人口が増えた自治体もある。 スキーリゾート地として知られる北海道赤井川村は、外国人を含む人口増加率が全国の町村でトップの 22.33% だった。 村によると、地元のリゾートホテルが冬季の繁忙期に外国人従業員を一時的に 200 人以上増やしたことが影響した。 定住人口の確保が課題だという。

地方の人口減を食い止めようと、第 2 次安倍政権が 2014 年に「地方創生」を打ち出して以降、政府は都市部から地方への移住を推進してきた。 これまで自治体に約 1.3 兆円を配ったが、政府は 6 月に「大きな流れを変えるには至っていない」とする報告書を出した。 自治体の人口減少対策に詳しい関東学院大の牧瀬稔教授(行政学)は、「1,700 を超える自治体が人口を奪い合うような施策の効果は非常に低い。 多岐にわたる業種の雇用があり、交通の利便性も高い都市部への集中は、基本的には今後も続く。」と指摘する。

牧瀬氏が着目するのは、実際に地域に住む「定住人口」ではなく、都市に住みながら地方に関わる「関係人口」を重視する自治体の取り組みだ。 「季節のイベントや休暇でたびたび訪れたり、その地域に友達がいたりする都市部の住民は、いわばその自治体の『ファン』のような存在だ。 そんな人々とのつながりを広げることで、長期的には地域の活性化や新たなビジネスチャンスにつながる」と話す。(千葉卓朗)

「一票の格差」 2 倍超は衆院 8 選挙区

総務省が発表した今年 1 月 1 日時点の住民基本台帳人口をもとに、朝日新聞社は衆院小選挙区の「一票の格差」を試算した。 「違憲」、「違憲状態」の目安とされる格差 2 倍を超えたのは 8 選挙区で、昨年の 4 選挙区から倍増した。 選挙区の人口が最も少ない鳥取 1 区と比べ、格差が最大となったのは福岡 5 区の 2.080 倍。 福岡 3 区 (2.048)、茨城 6 区 (2.038)、京都 6 区 (2.038)、福岡 2 区 (2.023)、北海道 2 区 (2.010)、宮城 2 区 (2.002)、愛知 12 区 (2.000) が続いた。 衆院小選挙区は 2022 年に成立した改正公職選挙法にもとづき、15 都県で選挙区を「10 増 10 減」し、25 都道府県の 140 選挙区で区割りの見直しが行われた。 20 年の国勢調査に基づく「一票の格差」は最大 1.999 倍となったが、2 倍を超える選挙区が増える傾向にある。 (笹川翔平、asahi = 7-24-24)


旧統一教会に「賠償求めない」念書は無効 高額献金、最高裁が初判断

世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に、母親(故人)が高額献金をした 60 代女性が、教団側に賠償を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第一小法廷(堺徹裁判長)は 11 日、母親が「教団に賠償を一切求めない」と書いた念書を「公序良俗に反し、無効」と判断した。

【判決要旨】 「訴え提起しない」念書は無効 最高裁の判断理由は

教団の献金をめぐる最高裁の判断は初。 念書の有効性と、宗教団体の献金勧誘が違法となるかを判断する枠組みも初めて示した。 その上で、念書を「有効」として女性を敗訴とした一、二審判決を破棄し、献金の勧誘をした教団信者の行為の違法性を再び検討させるため、審理を東京高裁に差し戻した。 ただ、今回の献金の経緯を「異例」と評価し、違法性があることも示唆した。 裁判官 5 人全員一致の結論。

第一小法廷は判決でまず、「賠償を求めない」との合意は憲法が保障する「裁判を受ける権利」を制約するため、有効性は「慎重に判断すべきだ」と指摘。  当事者の属性や相互の関係、合意の経緯や目的、当事者が受ける不利益などを総合考慮し、「公序良俗に反する場合は無効」と述べた。 また、女性の母親が、念書を書いた約半年後に認知症で成年後見相当と診断されたことや、教団の儀式に参加するなど熱心な信者で教団の心理的な影響下にあったこと、念書が最初から教団信者側の主導で作成されたことなどを踏まえ、「合理的判断が困難な母親に一方的な不利益を与えた」と指摘。 念書は公序良俗に反して無効だと判断した。

もう一つの争点だった献金勧誘の違法性についても、寄付者の適切な判断を妨げる事情があるか、献金によって生活の維持に支障が出たか、などを総合考慮し、「勧誘のあり方として社会通念を逸脱した場合は違法となる」との枠組みを示した。 その上で、母親が土地を売って 1 億円超を献金したことなどを、生活の維持に無視しがたい影響を及ぼす「異例のもの」と評価。 一連の事情を総合的・多角的に見ずに「信者の勧誘行為に違法性はなかった」とした高裁の検討は不十分で、最高裁が示した枠組みに沿って審理をやり直すべきだと判断した。

教団は判決を受け「差し戻しという結果になったことは残念でなりません。 今後も、当法人の主張の正しさを差し戻し審でも主張してまいる所存です。」との談話を出した。 女性の母親は 75 歳だった 2004 年以降、果樹園を売却したり、夫名義の金融資産を解約したりして 1 億円超を献金。 15 年に女性に献金の事実を明かしたが、その後、「献金は自由意思によるもので返還請求は行わない」などと書いた念書に署名押印した。 母親は、作成から約半年後に認知症で成年後見相当だと診断された。 女性と母親は 17 年に提訴したが、一審・東京地裁、二審・東京高裁はともに「念書は正常な判断能力のもと、自らの希望で作成された」として効力を認めた。 母親は一審判決後の 21 年に亡くなった。 (遠藤隆史、asahi = 7-11-24)


新紙幣発行始まる 渋沢栄一らの肖像、日銀から銀行へ続々配送

日本銀行は 3 日、20 年ぶりとなる新紙幣 3 種類の発行を始めた。 1 万円札は渋沢栄一、5 千円札は津田梅子、千円札は北里柴三郎の肖像が描かれている。 日銀によると、先月末までに前回新紙幣を刷新した 2004 年と同じ水準の約 52 億枚を準備し、来年 3 月末までに 74 億 8 千万枚を用意する予定だ。

日銀本店(東京都中央区)では午前 8 時ごろから、梱包(こんぽう)された新紙幣が金融機関に引き渡されていった。 大阪支店(大阪市北区)でも引き渡しが始まり、新紙幣の束が台車付きの網かごに次々に詰め込まれた。 ほかの各支店からも、各地の銀行に配送された。 ただ、3 日中に新紙幣を入手できる店舗は限られそうだ。 本店で引き渡し作業を見守った植田和男総裁は、「キャッシュレス化が進展しているが、現金は、誰でも、いつでも、どこでも、安心して使える決済手段であり、今後とも大きな役割を果たしていく」と話した。 (asahi = 7-3-24)


東京が負う「氷河期」のツケ 人口増でも少子化「結婚どころでは …」

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出生率 1.20、過去最低 2023 年、出生数は 72 万人台に

厚生労働省は 5 日、1 人の女性が生涯に産む子どもの数に相当する 2023 年の合計特殊出生率が前年から 0.06 ポイント下がり、過去最低となる 1.20 を記録したと発表した。 出生数は前年比 4 万 3,482 人減の 72 万 7,277 人で過去最少を更新。 都道府県別の合計特殊出生率は東京都が 0.99 で 1 を割って過去最低となった他、全都道府県で前年より低下した。 死亡数と差し引きした人口の「自然増減」は 84 万 8,659 人減で過去最大の減少となった。

23 年の合計特殊出生率は、国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口(中位推計)で「底」と推計された 1.23 を下回った。 出生数は推計における 33 年と同水準で、およそ 10 年早いペースで少子化が進んでいるといえる。 合計特殊出生率は今後わずかに上昇することが見込まれているが、人口を維持するために必要な 2.07 は大きく下回る。 合計特殊出生率は 05 年に当時過去最低の 1.26 を記録。 15 年に 1.45 まで持ち直したが、16 年以降は 8 年連続で低下している。 23 年の値を 5 歳ごとの年齢階級別にみると、40 歳以上は前年からわずかに上昇したが、40 歳未満はいずれも低下。 最も減り幅が大きかったのは 25 - 29 歳だった。

都道府県別で低いのは東京都に次いで▽ 北海道 (1.06)、)▽ 宮城県 (1.07) - -。 最も高いのは沖縄県 (1.60) で、次いで宮崎、長崎県(ともに 1.49) だった。 婚姻件数は、前年より 3 万 213 組減り、47 万 4,717 組で、戦後初めて 50 万組を割り込んだ。 離婚件数は前年比 4,709 組増の 18 万 3,808 組だった。 死亡数は前年比 6,886 人増の 157 万 5,936 人で過去最多を更新した。 死因別のトップ 3 は、がん 24.3% (38 万 2,492 人)、心疾患 14.7% (23 万 1,056 人)、老衰 12.1% (18 万 9,912 人)だった。 新型コロナウイルス感染症による死亡は 2.4% (3 万 8,080 人)で、前年の 4 万 7,683 人から減少した。

厚労省の担当者は「経済的な不安定さや仕事と子育ての両立の難しさなどさまざまな要因が絡み合って少子化につながっているのではないか」と推察した。 (塩田彩、mainichi = 6-5-24)

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東京都がマッチングアプリ、夏にも実用化 「独身」、「年収」証明必須

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子どもの数、続く減少 50 年でほぼ半減、15 歳未満 1,401 万人

総務省は 4 日、4 月 1 日時点の 15 歳未満の子どもの数が前年より 33 万人少ない 1,401 万人で、43 年連続で減ったと発表した。 総人口に占める割合も前年比 0.2 ポイント減の 11.3% で 50 年連続の減少。 いずれも比較可能な統計が残る 1950 年以降の過去最低を更新し、75 年に 2,723 万人で 24.33% を占めていた子どもの数は、50 年でほぼ半減した。

5 日の「こどもの日」にあわせ、総務省が人口推計から算出した。 男女別では、女子が 16 万人減の 683 万人。 男子は 17 万人減の 718 万人だった。 年齢層別では、中学生にあたる 12 - 14 歳が 317 万人だが、年齢が下がるほど少なくなり、0 - 2 歳は 235 万人だった。 (asahi = 5-4-24)

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日本人 83 万人減、過去最大 総人口は 13 年連続マイナス

総務省が 12 日公表した 2023 年 10 月 1 日時点の人口推計によると、外国人を含む総人口は 1 億 2,435 万 2 千人で、前年同月に比べ 59 万 5 千人減少した。 マイナスは 13 年連続。 日本人は 83 万 7 千人減の 1 億 2,119 万 3 千人で、比較可能な 1950 年以降で過去最大の落ち込みだった。 高齢化も進み、働き手の確保が重い課題だ。

総人口の年齢別で、後期高齢者となる 75 歳以上は、団塊の世代が 22 年から加わり始めたことで 71 万 3 千人増の 2,007 万 8 千人となり、初めて 2 千万人を超えた。 将来を担う 0 - 14 歳は 32 万 9 千人減の 1,417 万 3 千人で、全体に占める割合は 11.4% で過去最低を更新した。 主要な働き手となる 15 - 64 歳は 25 万 6 千人減の 7,395 万 2 千人。 割合は 59.5% で、過去最低だった前年から 0.1 ポイント上昇した。 65 歳以上は 9 千人減で、高齢化が進んだことによる多死社会を背景に初のマイナスだが、割合は 29.1% で過去最高。 総務省担当者は「急激な少子化の影響が大きい」と分析した。 (kyodo = 4-12-24)


「夏のエアコン我慢」4割超 パナソニック調査、節約志向強く

今年の夏はエアコンの利用を我慢しますか - -。 家電大手パナソニックがネット上の調査でそんな問いかけをしたところ、4 割を超える人が「我慢したい」と回答した。 電気代の値上げなどが影響した節約志向が背景にありそうだが、熱中症になるリスクも懸念される。 調査は 5 月、男女 555 人を対象に行われた。 「今年の夏はより節電に取り組みたいか」と聞いたところ、「積極的に取り組みたい」が 27%、「どちらかと言えば取り組みたい」が 50% だった。 そのうえでエアコンの利用を我慢するか尋ねたところ、10% が「かなり我慢したい」、33% が「やや我慢したい」と答えた。

同社は「電気代を取り巻く厳しい状況が続く中、高い節電意識とエアコンの我慢意向が明らかになった」としている。 一方、熱中症の初期症状が出た際のエアコンの使用を尋ねる 2021 年の調査では、「使っていなかった」は 20、30、40 代が 26.0 - 30.8% だったが、60 代以上は 41.4%。 高齢になるほどエアコンを使わない傾向が強かった。 熱中症に詳しい帝京大医学部付属病院の三宅康史・高度救命救急センター長は、高齢になるほど「熱中症に気づきにくい上に、なりやすい」と言い、「(熱中症から)命を守るためにもエアコンを利用してほしい」と呼びかける。 (中野浩至、大山稜、asahi = 6-25-24)


電気料金、1 キロワット時当たり 3.5 円程度補助へ 毎月約 1,400 円の負担軽減

政府が物価高対策として打ち出した電気料金の新たな負担軽減策を巡り、家庭向けでは 1 キロワット時当たり 3.5 円程度補助する方向で調整していることが分かった。 今年 4 月使用分までの補助額と同水準で、8 月から 3 カ月間行う。 複数の政府・与党関係者が 24 日、明らかにした。 補助が始まれば、標準世帯の電気料金で毎月約 1,400 円の減額となる見込み。 物価高に伴う家庭や企業の負担を緩和する狙いがあり、小売り事業者に原資を支給して補助する。 ガス料金の支援策と合わせて、年末までの消費者物価の押し下げ効果を月平均 0.5 ポイント以上とすることを目指す。

岸田文雄首相は 21 日の記者会見で、「酷暑乗り切り緊急支援」として、電気・ガス料金の補助を復活させると表明していた。 政府はロシアによるウクライナ侵攻や円安でエネルギー価格が上昇したことを受け、昨年 1 月の使用分から電気・ガス料金の補助を開始。 液化天然ガス (LNG) や石炭の輸入価格が低下したため、支援額を段階的に縮小していき、今年 5 月の使用分まででいったん終了していた。 自民党は 25 日の政調全体会議で、政府が示す電気・ガス料金支援策について議論する予定だ。 政府・与党内では補助額について異論も出ており、金額が変動する可能性もある。 (sankei = 6-24-24)

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5 月の電気代 14.7% 上昇、消費者物価を直撃 伸び率鈍化が反転

5 月の消費者物価指数(2020 年 = 100)は、値動きが大きい生鮮食品をのぞいた総合指数が前年同月より 2.5% 上がった。 上昇は 33 カ月連続で、伸び率は 3 カ月ぶりに前月よりも拡大した。 電気代の値上がりが直撃した。 総務省が 21 日に発表した。 5 月の電気代は 14.7% 上昇。 再生可能エネルギーの普及のため電気代に上乗せする賦課金が増えた影響が出た。 電気代の値上がりは 16 カ月ぶり。

資源高で都市ガス代の下落率も縮まり、エネルギー関連全体でも 7.2% の上昇となった。 6 月使用分の電気・ガス代は政府の補助がなくなるため、さらに上がる可能性がある。  消費者物価(生鮮食品をのぞく)全体では、伸び率は昨年 1 月の 4.2% をピークに鈍化する傾向が続いていた。 今年 4 月は 2.2% で、日本銀行が目標とする「2%」に接近していた。 食品の値上げラッシュが落ちつきつつあることが大きい。 (asahi = 6-22-24)

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政府、電気・ガス補助金の「復活」を検討 8 月から 3 カ月間

政府は、物価高対策として電気・ガス料金を引き下げる補助金を 8 月から 3 カ月間支給する方向で調整に入った。 また、秋に向けた新たな経済対策として年金受給者らへの支援金の給付を検討する。 岸田文雄首相が 21 日夕の記者会見で表明する。 政府関係者が明らかにした。 冷房の使用が多くなり電気代が増える夏の時期に合わせて、期間限定で「復活」する形だ。 金額などの詳細は与党と調整を進める。

電気・ガス料金の補助金制度は、ロシアのウクライナ侵攻で燃料価格が急騰し、料金が上昇したことを受け、家計の負担軽減策として 2023 年 2 月請求分から始まったが、今年の 6 月請求分をもって終了することを決めていた。 財源は、今年度予算の予備費を充てることを念頭に検討している。 首相にとっては、自民党の裏金問題などで内閣支持率の低迷が続くなか、家計の負担を軽減し、政権アピールにつなげる狙いがある。 (西村圭史、asahi = 6-21-24)


24 日朝中心に広範囲で雷伴う大雨恐れ 能登は「警報級」の可能性

梅雨前線の影響で、24 日朝を中心に西日本から東北地方にかけての広い範囲で、雷を伴い大雨となるおそれがある。 気象庁によると、これまでの大雨で地盤が緩んでいる所では土砂災害の危険度が高まっているという。 24 日正午までの 24 時間に予想される降雨量は、九州南部と東海地方で 150 ミリ、九州北部地方と北陸地方で 120 ミリ。 1 月に能登半島地震のあった石川県能登地方では、24 日午前中にかけて、警報級の大雨となる可能性があるという。 梅雨前線は 25 日以降も日本列島付近に停滞する見込みで、西日本を中心に雨の日が続くという。(asahi = 6-23-24)

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線状降水帯の 74% が夜 - 朝に 専門家「半日前予測の精度向上必要」

過去 15 年間に発生した約 500 回の線状降水帯のうち、約 74% は夜から朝にかけて発生していたことが、気象庁気象研究所の分析でわかった。 時期別では、7 月をピークに全体の 8 割超が 6 - 9 月に集中していることから、気象庁は特に警戒を呼びかけている。

分析では、▽ 3 時間降水量 80 ミリ以上の雨域が 500 平方キロメートル以上広がっている、▽ 5 時間以上ほぼ同じ場所に停滞している、▽ 強雨域の形が線状 - - などを線状降水帯発生の条件と設定。 2009 - 23 年に国内で計 496 回発生し、うち日中と比べ避難のリスクが高い午後 6 時 - 翌午前 9 時(15 時間)は 369 回 (74.3%) に及んだ。 時間別では、午前 5 時台が 36 回と最多で、午前 2 時台が 34 回と続き、午前 9 時 - 午後 6 時の日中は軒並み 20 回未満だった。 地域別では、九州地方の西側や四国地方の太平洋側での発生が目立ったという。 月別では、7 月が 157 回で最も多く、梅雨期から台風シーズンの 6 - 9 月が 416 回 (83.8%) と大半を占めた。

「半日前予測」の必要性

夜間は上空の雲が冷やされ、大気が不安定になりやすいと考えられている。 気象庁は 2022 年から夜間の集中豪雨に備えた「明るいうちの避難」のため、線状降水帯発生の半日前(12 - 6 時間前)時点での予測を発表している。

広がる安堵、真夜中に「一変」で予想できず 模索続く豪雨情報の発信

分析した気象研の広川康隆主任研究官は「線状降水帯が夜間に発生しやすくなる詳しい理由は分かっていないが、『半日前予測』の精度向上が防災上必要であることが示唆される結果だ」と話す。 (大山稜、asahi = 6-23-24)