半導体後工程最大手の台湾 ASE、北九州進出検討 TSMC と連携か 半導体を最終製品に仕上げる「後工程」の受託生産で世界最大手の台湾企業「日月光投資控股 (ASE)」が、北九州市への進出を検討していることがわかった。 熊本県に進出した台湾積体電路製造 (TSMC) の量産開始を前に、九州での一貫生産につながる動きとして注目を集めている。 ASE グループの日本法人「ASE ジャパン (山形県高畠町)」が 7 月 31 日、北九州市と約 16 ヘクタールの市有地を取得する仮契約を結んだ。 同市若松区の「北九州学術研究都市」の分譲地で、取得額は約 34 億円だという。 ASE は日本国内での生産能力拡大を検討中で、工場建設を視野に入れている。 ただ、ASE ジャパンは「まだ決まったことはなく、様々な条件を見極めるための時間が必要だ」としている。 工場建設には巨額の投資が必要で、経済安全保障や国内のサプライチェーン構築を目的とした日本政府の補助金が得られるかどうかも判断材料になるとみられる。 半導体製造の「後工程」は、電子回路を刻む「前工程」を終えたウェハーを細かく半導体チップにし、組み立てや検査をして完成品にする工程を指す。 前工程で進む回路幅の微細化は限界に近づいており、近年は後工程の工夫で性能を高める技術が注目されている。 前工程の受託生産で世界最大手の TSMC は、後工程の技術も持つ。 ただ、熊本県菊陽町で年内に量産を始める第 1 工場と建設準備が進む第 2 工場は前工程のみ。 日本に後工程の工場はなく、研究開発拠点が茨城県つくば市にあるだけだ。 このため現状では、TSMC は熊本で量産したウェハーを台湾に運んで最終製品に加工する必要があり、他社との連携を含めた後工程への対応が焦点となっている。 ASE は台湾で TSMC と協業関係にあり、TSMC が外注する形で後工程を担うこともあるとされる。 このため、ASE が北九州市に進出すると、TSMC が受託した製品の製造が九州で完結する体制が整う可能性がある。 九州では、ほかにも米アムコー・テクノロジーの子会社などが後工程の生産拠点を持つ。 年内の量産開始を控え、TSMC との連携を探る動きが活発化しそうだ。 ASE 側との交渉について、北九州市の武内和久市長は 8 月 1 日の記者会見で「誘致交渉を進める中で、関心を示していただいた。 市としても協議を精力的に進め、本契約に向けてしっかりと取り組んでいきたい。」と語った。 (江口悟、小島達也、asahi = 8-13-24) そこに必要とされるトイレがある 日本の 2 大メーカー、次は世界へ 戦後日本のトイレにとって、1958 年は大きな起点となる。 高度成長期の住宅難から、都市近郊などで建設が急ピッチで進んだ公団住宅に初めて、「洋風便器」が入った年だ。 下水道が普及して浄化槽が置かれる地域が広がり、水洗化と洋式化はほぼ一緒に進む。 「TOTO」と「INAX」の 2 大ブランドはその後、画期的な機能を次々に誕生させた。 座ったときの冷たさから解放される暖房便座や、おしりを洗う温水洗浄の機能は 60 年代後半に登場した。 82 年には、アーティストの戸川純さんが出演する TOTO の「ウォシュレット」のテレビ CM 「おしりだって、洗ってほしい。」が話題を呼ぶ。 女性向けのビデ機能もついて、温水洗浄便座の世帯普及率はいま、8 割を超えた。 都市部でたびたび起きた水不足に対応するため、少ない水でしっかり流せる節水型の開発も進んだ。 ふたの自動開閉や自動洗浄、空間を広く使えるタンクレス型のお目見えは 90 年代。 汚れがつきにくく落ちやすい、水を回しながら流す洗浄方式や便器内側の新素材も生まれ、ふち裏のくぼみはなだらかになる。 トイレ 2 大ブランドが機能を競ってきた 次にめざすのは、やはり世界だ。 TOTO 「INAX」ブランドの LIXIL も、国内の人口減を見越して、欧米や中国、アジアなどで温水洗浄便座や高級機種の販売に注力する。 TOTO は、2024 年 3 月期の海外売上比率が、浴槽などを含めて約 3 割。 節水型も成長の軸の一つと位置づける。 世界の半数が使えない「安全で衛生的なトイレ」 グローバル商品の開発を手がけた経験が長い LIXIL の水谷優孝トイレ空間事業部長 (59) は、海外展開の難しさをこう語る。 「宗教も食生活も美意識などの価値観も、地域によっていろいろなことが日本と違う。 食生活の分だけ必要とされるトイレがある。」 ただ、世界にはまだ下水道や電力インフラが未整備の地域は多い。 国連は 15 年に掲げた SDGs (持続可能な開発目標)の目標に「安全な水とトイレを世界中に」を盛り込んだ。 ユニセフ(国連児童基金)によると、安全で衛生的なトイレを使える人の割合は 22 年に 57% となり、15 年の 49% から増えた。 しかしなお、4 億 1,900 万人が屋外での排泄を余儀なくされている。 下痢によって命を落とす 5 歳未満の子どもも、1 日 1 千人を超えているという。 世界にまだ残る、トイレの過酷な現実 中満泉・国連事務次長の思い 「Safe Toilet (安全なトイレ)。」 LIXIL は社会貢献事業として、「SATO」と名付けたプラスチックの簡易式トイレを 10 年以上、こうした地域に届けてきた。 少ない水で流せて簡単に弁が閉まる構造で、病原菌や臭いなどを抑えられる。 TOTO の山崎政男衛陶生産本部長 (61) も「海外のトイレをきれいにしたい」という思いが熱い。 ベトナム工場の責任者時代、都市部で自社製品の需要があっても、郊外に行けば屋外や川で用を済ませる人たちを見かけた。 「人々の生活文化の水準を上げるためにも、良いトイレをつくりたい。 ウイルス性の病気で亡くなる子どもたちを少しでも減らすことにも貢献できる。」と考える。 世界中どこででも、清潔で快適なトイレの実現を。 日本の 2 大メーカーの力が必要とされている。 (伊藤裕香子、asahi = 8-11-24) パナソニック、PB の製造受託に参入 低価格帯は自社ブランドも拡充 流通各社の手がけるプライべートブランド (PB) の白物家電について、ライバルのはずのパナソニックが製造を請け負う方針を明らかにした。 同社は近年、中国メーカーに押されて国内シェアが低下。 そこで、自社ブランド商品と競合するリスクを背負ってでも、低価格帯で出荷量を確保する策に出た。 6 月に開かれた同社の中期戦略説明会で、品田正弘社長は「PB の商品やサービスの提供について、流通法人と打ち合わせしている」と明らかにした。 イオンの「TOPVALU」、ビックカメラの「ORIGINAL BASIC」などに代表されるような、家電量販などの流通各社が手がける低価格帯の PB 白物家電を、パナソニックが受託製造する。 相手先や時期、家電の種類などは明らかにしていない。 国内の白物家電市場は、同事業を旧三洋電機から買収したハイアール、東芝から買収した美的集団などがシェアを伸ばしている。 PB の製造も中国企業に委託される例が多い。 中国勢の実質的なシェアはかなり拡大しているとみられる。 パナソニックによると、2021 年度の同社のドラム式洗濯機の国内シェアは約 50% あったが、23 年度には 1 割ほど減って中国勢に追いつかれた。 21 年度に 3 割弱あった冷蔵庫(400 リットル超)も減少し、23 年度には中国勢に抜かれたという。 価格を含めた商品競争力で負けているのが現状だ。 コストを下げるためには「規模の経済」を働かせる必要がある。 そこで、ボリュームゾーンの低価格帯で PB の製造を請け負い、出荷量を増やす戦略にかじを切る。 加えて、PB と重ならない形で自社ブランドの低価格商品も充実させる。 中国事業のコスト削減手法を持ち込み、不要な機能をそぎ落とす「引き算の商品企画」を進める。 中国大手メーカーが使う部品や材料も使い始めた。 6 月に報道各社の取材に応じた品田社長は「中国の工場は、ハイアールや美的との域内競争で踏ん張り、物作りのスピードや原価の面で社内の最善事例だ」と話した。 オーブンレンジの 24 年度の新製品は、材料費を前年度より 20% 減らせるなど、成果が出始めているという。 低価格帯を充実させて数を追う一方、高価格帯では別の戦略をとっている。 返品を受け付ける代わりに量販店に値引き販売をさせない「指定価格制度」を 20 年度に導入。 モデルチェンジのたびに大幅な値下げを強いられてきた慣行を改めた。 22 - 23 年で営業利益を 100 億円増やす効果があったという。 美容家電やレンジを中心に、23 年度時点で販売額で約 38% ほどの白物家電が対象だった。 今後は対象を 50% 程度まで増やす目標だ。 電機業界に詳しい早稲田大学大学院の長内厚教授によると、パナソニックは欧米市場に弱い。 韓国・サムスン電子などと比べて出荷台数が少なく、規模の経済を追えていない。 「低価格帯の商品にも力を入れていくのであれば、PB という形で数を追う戦略は妥当だ」と評価する。 (渡辺七海、asahi = 8-10-24) 注目の科学論文数、日本は過去最低の 13 位 1 位中国、2 位米国 トップ 10% 論文数ランキング 文部科学省は 9 日、日本の研究力を示す「科学技術指標 2024」を公表した。 注目度の高い論文数の国別順位は、過去最低となった昨年と同じ 13 位だった。 博士課程の入学者数が 4 年ぶりに増加に転じるなど、反転の基調も見られるという。 文科省の科学技術・学術政策研究所の報告によると、科学論文の総数(20 - 22年平均)は昨年と同じく 5 位だった。 一方、「注目度の高い論文」として引用された回数が上位 10% に入る論文数(トップ 10%)では 13 位。 トップ 10% 論文数は質の高い研究の指標とされ、日本は過去最高の 3 位から下落傾向が続く。 総論文数、トップ 10% 論文数とも、1 位は中国、2 位は米国だった。 総数で 3 位のインドはトップ 10% で昨年より二つ順位を上げて 4 位に。 総数 6 位の英国はトップ 10% で 3 位につけるなど、論文の総数が多い国は質の高い論文数も多い傾向にあるなか、日本のトップ 10% での凋落が目立つ。 トップ 10% で 12 位のイランや 15 位のサウジアラビアなど、中国や自国、グローバルサウスと呼ばれる国同士での引用数が多い国が近年、トップ 10% 順位を上げており、研究力の指標について再検討が必要になる可能性もあるという。 日本の順位が伸び悩む理由について、研究所の担当者は「日本も研究開発費を増やしているが、他国はもっと増やしており、その差が大きい。 研究者が研究に集中できる時間が長期的に減少していることも影響している可能性がある」と分析する。 一方、博士号取得者数は、10 年代の横ばいを経て、近年は微増に転じている。 減少傾向にある博士課程への入学者も 23 年度は 4 年ぶりに増加するなど「変化の兆しは現れつつある」としている。 (竹野内崇宏、asahi = 8-9-24) 謎多きブラックホール発見か 天の川銀河の星団内に「直接的な証拠」 謎多き「中くらいのブラックホール」がついに発見されたのか。 地球から 1 万 8 千光年離れた球状星団の中に、質量が太陽の 8,200 倍ある中間質量ブラックホールが存在する証拠を得たと、ドイツなどの研究チームが 10 日、英科学誌 ネイチャー に発表した。 ブラックホールは、太陽の 10 万倍以上の質量を持つ巨大な「超大質量ブラックホール」と、太陽の 100 倍程度の軽めの「恒星質量ブラックホール」が見つかっている。 その両極の間に、中くらいの質量を持つ中間質量ブラックホールが存在するとされる。 ただ存在は非常にまれで、候補もいくつか見つかっているが、確証は得られていない。 独マックスプランク天文学研究所のマクシミリアン・ヘーベルレ研究員らは、ケンタウルス座の方角にあり、1 千万個の星が集まったオメガ星団に注目した。 ハッブル宇宙望遠鏡が 20 年間撮りためた画像を元に、140 万個の星の軌道をたどったところ、七つの星が秒速 100 キロほどの猛スピードで動いていることがわかった。 このスピードで星団から飛び出さずにいるのは、太陽の 8,200 倍以上重い重力源で引きつけられていないと説明がつかず、研究チームは「中間質量ブラックホールが存在する最も直接的な証拠だ」としている。 巨大なブラックホールの「種」に? オメガ星団はかつて小さな銀河だったが、私たちのいる天の川銀河にのみ込まれ、中心部が星団として残ったと考えられている。 ブラックホールの強い重力により、星が散らばらずに済んでいるようだ。 地球から 2 万 7 千光年離れた天の川銀河の中心には、太陽の 400 万倍の質量を持つブラックホールが存在する。こうした巨大なブラックホールは、銀河が小さな銀河をのみ込み、ブラックホールの合体を繰り返して成長していったとも考えられており、中間質量ブラックホールがその「種」になったかもしれないという。 一方、中間質量ブラックホールがどの程度存在するのか、どのようにつくられたのかはっきりしていない。 研究チームは、他の星団でも中間質量ブラックホールを発見できる可能性を示している。 (石倉徹也、asahi = 8-4-24) 女子高校生ら 5 人スイスで素粒子実験へ 世界的機関で日本から初選出 素粒子物理学研究で世界的に知られる「欧州原子核研究機関 (CERN、スイス)」の施設で、日本の女子高校生ら 5 人のチームが今年 9 月、素粒子実験を行うことになった。 CERN が世界の高校生を対象に公募した実験提案で、日本チームとして初めて採択された。 幼いころの興味を探究活動につなげて後押ししたのは、仙台市の会社だった。 ノーベル賞につながる実験も行われる CERN は、次世代の研究者を育てるため、世界の高校生らを対象に実験提案を募集する事業「Beamline for Schools」を、毎年実施している。 今年は過去最高の 461 件の応募があり、日本チームを含む 3 件が採択された。 選ばれたチーム「Sakura Particle (サクラパーティクル)」は、女子学院高校(東京)や大阪府立北野高校、神奈川県立川和高校などに通う女子高校生ら 5 人で構成される。 宇宙や素粒子に関心がある中高生の探究活動を支援する合同会社加速キッチン(仙台市)で出会ったメンバーだ。 同社は、本人も素粒子の謎に挑む、田中香津生代表社員(早稲田大理工学術院総合研究所・研究院准教授)らが、宇宙や素粒子が好きな中高生が、自分たちの力で探究し、発表する世界をつくることをめざして、2020 年に、大学生や大学院生らと立ち上げた。宇宙・素粒子分野の探究活動を随時募集しており、審査に通れば、検出器の提供、中高生による検出器製作・探究サポートを無償で受けられる。 すでに 200 人近い中高生が支援を受けた。 そんな中、今回の 5 人が 1 年以上かけて開発を進めてきたのが、手作りの「宇宙線イメージング検出器」。 ミュー粒子の軌跡を測定することで、ピラミッドなど大きな建造物の内部を透視する技術「ミュオグラフィ」への応用をめざす。 通常、検出器は大型で高額だが、今回開発したものは、手の平に乗るほど小さく、材料費も 10 万円程度に抑えている。 今年 3 月には、高校生として初めて、高エネルギー加速器研究機構(つくば市)で、光速の電子ビームを使ったテストを行い、性能を実証。 その成果を踏まえて CERN に実験提案し、採択された。 (asahi = 8-2-24) オレンジジュース危機に投じる「一鉄」 トヨタ系鉄鋼メーカーの挑戦 世界的なオレンジの不作で、日本の店頭からもオレンジジュースが消えていく - -。 こんな状況に一石ならぬ「一鉄」を投じようと、トヨタ自動車系の特殊鋼メーカーが立ち上がる。 米フロリダ州のオレンジ畑での実験結果は上々で、近く試験販売に乗り出す。 愛知県東海市に本社を置く愛知製鋼は、スクラップを炉で溶かして鉄を作る「製鋼」から自動車部品用に金属を加工する「鍛造」まで、一貫生産している。 工場では鉄くずや鉄粉も大量に発生するため、その活用方法は、長年の課題になっている。 植物の成長に欠かせない鉄分を補給するための栄養材も、活用法を探る中で見つかった。 農業や家庭園芸用の商品は 2003 年に国内で販売を始め、農場を持つ食品メーカーなどでも活用されていった。 重金属を含まない安全な原料を選んで使っているという。 米フロリダ州での実験で成果 かつてオレンジの一大産地として知られていた米フロリダ州では、収穫量が 20 年前と比べ 6 分の 1 に減った。 「カンキツグリーニング (CG) 病」という感染症が一因とされている。 CG 病に感染すると、鉄欠乏の症状になりやく、成長の妨げになるという。 CG 病は世界各地に広がっている。 現在、日本で販売されるオレンジジュースの主な原産地となっていたブラジルも例外ではない。 昨年は天候不順も合わさって収穫量が前年比 2 割以上減る不作に。 オレンジジュースの品薄や値上がりに拍車をかけた。 愛知製鋼は 08 年ごろから CG 病の研究をはじめ、19 年度から米フロリダ州のミカン農家といっしょに実証実験を始めた。 CG 病に感染しているミカンの木に鉄由来の栄養材の濃度を調整して散布したところ、与えない木に比べて最大で 7 割多くの実が収穫できた。 26 年度までに試験販売へ 実験を進めた未来創生開発部ソサイエティ材料開発室の鈴木基史室長は、「病気は治せないが、鉄を与えることで少しでも元気な状態を保ちたいと考えた。 適切な濃度や配合を、引き続き検証している。」と話す。 同社は 26 年度までに、米国や東南アジアでの試験販売を始めたいとして、商流の開拓などに取り組む。 後藤尚英社長は「世界の農業の課題解決に貢献したい」としつつ、「製造能力は今の 100 倍になっても対応できる」としてビジネス的にも「一気に伸びる可能性がある」と期待する。(大平要、asahi = 7-27-24) 核融合「2030 代の発電実証めざす」国家戦略改訂へ 道は険しく 次世代のエネルギーとされる核融合について、高市早苗・科学技術担当相は 19 日の閣議後会見で、国として 2030 年代の発電実証をめざす方針を明らかにした。 「50 年ごろ」としてきた従来方針から大幅な前倒しとなる。 国家戦略を改訂し、工程や安全規制のあり方も含めて見直す。 30 年代の実証を掲げる民間企業もあり、国も目標として明確にした。 核融合は太陽の内部と似た反応で原子核の融合を起こす。 実現すれば、燃料 1 グラムで石油 8 トンを燃やしたのと同等のエネルギーが得られることから、米 IT 大手が相次いで投資するなど国際競争が激化している。 米国も 6 月に国家戦略をまとめた。 高市氏は「各国が技術や人材の囲い込みを強めている。 日本も負けるわけにはいかない。 長年培ってきた技術や人材の強みがある。」と述べた。 一方で、実現への道のりは険しい。 日本も参加する国際熱核融合実験炉 ITER (イーター)計画は、当初 18 年としていた実験開始の延期が繰り返されている。 今月 3 日にはさらに 9 年延びて 34 年にずれこむ見通しが発表された。 ITER の成果を踏まえて国内での建設を見込む核融合原型炉「JA DEMO (デモ)」の計画にも影響する可能性がある。 民間企業の計画や投資についても、研究者から「期待先行」、「過熱気味」と指摘されている。 高市氏は「スタートアップ企業も利用可能な施設を整備するなど、一つ一つしっかり取り組む」と強調。 内閣府や文部科学省が技術的な実現性についても検討するという。 (竹野内崇宏、asahi = 7-19-24) ◇ ◇ ◇ 二酸化炭素を排出しない「レーザー核融合発電」に注目集まる理由「海水の中に無尽蔵」 新たなエネルギーについてです。 二酸化炭素を排出しない「レーザー核融合発電」がいま注目されています。 実用化に向けた研究が始まっている静岡県の現場を取材しました。 美しく輝く緑色のレーザー。 浜松市の施設ではスタートアップ企業がレーザー核融合発電に向けた研究を進めています。 EX-Fusion 我妻一博さん
記者
EX-Fusion 我妻一博さん
EX-Fusion 松尾一輝 CEO
浜松の地で、レーザー核融合発電は確かな一歩を踏み出しています。 (TBS = 6-1-24) TDK、エネルギー密度 100 倍の全固体電池の材料開発に成功 TDK 株式会社は 17 日、従来品の約 100 倍のエネルギー密度となる、1,000 Wh/L の全固体電池用の材料開発に成功したと発表した。 酸化物固体電解質とリチウム合金負極を採用し、現在同社が量産している全固体電池「CeraCharge」よりもはるかに高いエネルギー密度を備えた材料設計開発となった。 使用用途として、酸化物固体電解質を採用しているため、既存の製品に比べて熱安定性が高いことから、身体に直接触れるウェアラブルデバイスでの使用を見込む。 また、EU の電池規則に伴い一次電池から二次電池への置き換えが必要とされるコイン型一次電池の代替用途も想定する。 同社は今後、新製品となる全固体電池の開発に向け、電池セル、パッケージの構造設計の開発を進め量産化を進める。 また、電子部品事業で蓄積した生産技術も適用し、積層・多層化による容量のさらなる拡大、動作温度範囲の拡大を展開する方針という。 (鈴木悠斗、PC Watch = 6-17-24) 低温でも OK 国内最大級バイナリー方式地熱発電所 函館で運転開始 再生可能エネルギーの地熱資源としては 200 度以下という低い温度の地下水を利用できる「バイナリー方式」の地熱発電所が、北海道函館市で商業運転を始めた。 開発したオリックス(東京)によると、この方式での出力は国内最大規模で、年間発電量は一般家庭の年間消費電力に換算すると 1 万 3,640 世帯分になるという。 「南茅部(みなみかやべ)地熱発電所」は太平洋に面した全国有数の昆布産地・函館市南茅部地区の道有林内にある。 5 月 29 日、発電所の設備が報道陣に初めて公開された。 深さ 400 メートル以上の地下にある約 180 度の熱水をくみ上げ、その熱で水より沸点が低い代替フロンを沸騰させた蒸気によってタービンを回して発電する仕組み。 発電に使った熱水は全量を地下に還元し、水資源の保全を図る。 代替フロンは冷やして液体に戻して何度も使う。 冷却装置は空冷式を採用し、周辺に水蒸気が飛散しないようにして樹木が枯れる原因になる樹氷の発生を防ぐ。 運転開始は 5 月 1 日。 出力は 6,500 キロワットで国内最大規模となり、年間発電量は最大 5,700 万キロワット時。 総事業費は非公表。発電した電気は、再生可能エネルギー固定価格買い取り制度 (FIT) を利用して北海道電力ネットワークに販売する。 これまで国内の地熱発電は、地下の 200 度以上の蒸気や熱水を直接利用してタービンを回す「フラッシュ方式」が主流だった。 バイナリー方式の主な発電所は九州地方に集中しており、北海道内では北海道電力などによる森バイナリー発電所(森町、2 千キロワット)がある。 オリックスは「温度が比較的に低い地熱資源の利用拡大につなげたい」としている。 (野田一郎、asahi = 6-2-24) 理論上は居住可能、地球サイズの系外惑星発見 日本などの研究チーム 二つの研究チームがこのほど、理論上は居住可能な惑星を発見した。 サイズは地球に比べ小さいが金星よりも大きく、地球から約 40 光年離れた小型恒星を周回しているという。 米科学誌アストロフィジカルジャーナル・レターズと英王立天文学会月報に 23 日発表された二つの研究によると、「グリーゼ 12b」と名付けられたこの惑星は、うお座の方向に位置する低温の赤色矮星を周回している。 赤色矮星のサイズは太陽の約 27%、温度は 60% にとどまる。 グリーゼ 12b の公転周期は 12.8 日だが、主星が太陽に比べかなり小さいことから、ハビタブルゾーン(恒星から理想的な距離にあり、液体の水が存在できる範囲)内に収まっている。 自然科学研究機構アストロバイオロジーセンターの葛原昌幸特任助教は声明で、これまで確認された中で最も近く、恒星の前を横切る、地球サイズの適温の世界を発見したと説明した。 葛原氏は東京大学の福井暁彦特任助教と共に研究チームの一つの共同リーダーを務めている。 ひとたび地球サイズの適温の惑星を発見した後は、大気にどの元素が含まれているか、生命を維持可能な水が存在するのかを判断する分析作業に移ることができる。 もう一つの研究で共同リーダーを務めた英エディンバラ大とロンドン大キングスカレッジの博士課程生、ラリッサ・ペールソープ氏は 24 日、CNN の取材に「その良い候補となる系外惑星は一握りしかない。 今回の惑星は我々が知る中で最も近く、非常に大きな発見だ。」と語った。 研究チームはグリーゼ 12b を発見するため、米航空宇宙局 (NASA) のトランジット系外惑星探索衛星 (TESS) が収集する一般公開データを使用した。 TESS は毎月数万個の恒星を観測している望遠鏡で、系外惑星の周回の証拠となる明るさの変化を追跡している。 系外惑星の大気を分析する次の段階では、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡を使用して分光法分析を実施したい考えだ。 この手法は系外惑星の大気を通過する恒星の光を捕捉して、どの波長の光が特定の分子によって吸収されているかを確認するもので、大気中の特定の分子の存在を明らかにすることができる。 (CNN = 5-25-24) 電機大手、自動車関連事業を再編 EV 開発重く、三菱電はトヨタ系と 三菱電機とトヨタ自動車系のアイシンは 24 日、電気自動車 (EV) 向け部品の開発と生産を手がける合弁会社を立ち上げることで合意した、と発表した。 業界を超えた連携によって伸びゆく市場で成長を狙う。 電機業界では自動車関連事業を本体から切り離す「クルマ離れ」が相次いでおり、再編機運が高まっている。 新会社には三菱電機とその子会社が計 66%、アイシンが 34% を出資し、1 年以内に事業を始める。 EV やプラグインハイブリッド車 (PHEV) に使われるモーターや、電力を変換し省エネ性能も高めるインバーターなどの開発・生産を手がける。 三菱電機は、昨年末に自動車機器事業を「三菱電機モビリティ」として分社化し、今年 4 月に事業を開始した。 分社化には他社との提携をしやすくする狙いもあり、事業拡大に向けて協業相手を探していた。 今回、同社から一部事業を新会社に移す。 「自前主義だけでは成長おぼつかない」 三菱電機にとって自動車機器業は、売上高全体の 2 割近くを占める「屋台骨」だった。 スターターなどエンジン回りの部品などに強みを持つが、近年、電動化など車の次世代技術の波が押し寄せるなか、インバーターや先進運転支援システムに力を入れ始めていた。 だが、同事業は、国内勢の EV 販売不振などから売上高の伸びに反して、2022 年度まで数百億円規模の赤字が続いていた。 国内部品メーカー 2 位のアイシンは、主力の自動変速機 (AT) は世界シェア首位。 だが、今後 EV が広がれば需要は減る見込みだ。 目下、「イーアクスル」というモーターとギア(減速機)、インバーターの三つが一体化した、EV の心臓部となる駆動システムを社運をかけて開発している。 新会社では、これに使うインバーターも生産する予定だ。 両社は新会社をつくることで技術的に得意な分野で補い合う一方、研究開発の負担を軽減させたい考え。 三菱電機の加賀邦彦専務は「自前主義だけでは成長がおぼつかないという危機感がある。 (アイシンから)車の知見をダイレクトに学び、技術的な課題を一緒に解決していく」とする。 相次ぐ再編「単独での更なる経営資源投入は困難」 急速に進化する車の電動化の技術開発には多額の投資が必要となっている。 デジタル事業など利益率の高い事業へのシフトを強める電機メーカーにとって、コスト削減や品質面の要求が厳しい自動車部品の事業は、採算が合わない事業となっている面もある。 今年 3 月、パナソニックホールディングス (HD) は自動車部品を手がける子会社「パナソニックオートモーティブシステムズ」の株式の 80% を米投資ファンドに売却することで合意したと発表した。 パナソニックの自動車部品事業は、ETC 車載器やオーディオ関連に強く、売上高は 1 兆円を超える。 津賀一宏・前 HD 社長が主導し、競争が激しく大きな成長が見込みにくい家電事業に代わる収益源として期待されてきた。 今や大黒柱と見込む EV 用電池事業を生み出すなど、一定の成果はあった。 しかし、近年は開発費が増加する半面、EV 向けの部品が不振で、赤字体質から抜け出せずにいた。 売上高に対する営業利益の割合は、デジタルや家電など他の事業を大きく下回っていた。 1% を割り込むこともあった。 「単独での更なる経営資源の投入は難しい」との判断の末の売却だった。 日立製作所では 21 年、同社の自動車部品子会社がホンダの部品子会社 3 社と経営統合し、「日立アステモ」が生まれた。 日立はその株式の 66.6% を持つ親会社だったが、昨年 10 月、保有株の一部を売却し、出資比率を 40.0% に引き下げ、子会社から外した。 日立は、24 年度に生成 AI 分野に 3 千億円を投じる計画を打ち出すなど、「ものづくり」からデジタル事業に経営の比重を移している。 自動車部品については「研究開発の投資先としての優先順位が低い。(広報)」としている。 (高橋豪、江口英佑、asahi = 5-24-24) 米の大型加速器実験、日本チーム参画へ 質量が生まれる謎解明めざす 米国の大型加速器研究施設のプロジェクトに、東京大や理化学研究所などの研究チームが参画する見通しになった。 物質の成り立ちを知る原子核物理学の新発見のほか、量子コンピューターや核融合の実現にも貢献する可能性があるという。 文部科学省の有識者会議が 7 月ごろまでに結論を出す見通しだ。 新たな施設は、ニューヨーク州の米国立研究所に建設される「EIC (電子・イオン衝突型加速器)」。 全周 3.8km の既存の円形加速器を改修し、2032 年の稼働をめざす。 日本のチームを率いる郡司卓・東京大准教授(原子核物理学)によると、加速した高エネルギーの電子を原子核などに衝突させる世界初の実験装置となる。 衝突によって飛び出すπ中間子などの粒子を検出することで、陽子や原子核の詳しい構造や、質量が生じる仕組みを明らかにすることをめざす。 成果は、核融合によるエネルギー生成の仕組みの解明や、安定的に稼働する量子コンピューターの技術にもいかせる可能性があるという。 最大 28 億ドル(約 4,300 億円)と見込まれる本体の費用については日本の負担はない。 一方、日本チームが担う検出器や AI (人工知能)を使った解析システムの開発・研究費などに計約 90 億円かかり、日本の負担になる見通し。 文科省は 15 日に立ち上げた有識者会合で「米国の計画に協力するだけではなく、日本から新しい学問領域をつくれるか」などの観点で審議す る方針を示した。 郡司准教授は「まだ分かっていない原子核の内部構造や質量が生まれる仕組みに初めて挑むことができる。 実験装置の研究から理論まで日本の研究者育成にもつながるので、理解を得て研究を進めたい」と話している。 (竹野内崇宏、asahi = 5-17-24) 東芝、国内で最大 4 千人の人員削減実施へ 本社機能は川崎に移転
記事コピー (9-7-15 〜 5-16-24) シャープ、堺の液晶パネル工場の生産停止へ 赤字続きで経営判断 シャープがテレビ向けを中心とした大型液晶パネルをつくっている堺工場の生産を停止する方針を固めたことが 13 日、分かった。 赤字が続いており、継続は難しいと判断した模様。 14 日に発表する中期経営計画に盛り込む可能性が高い。 堺工場は、シャープの子会社「堺ディスプレイプロダクト(SDP、堺市)」が運営する。 SDPは中国メーカーなどとの価格競争で採算が悪化。 設備の減損などを迫られた結果、シャープは 2023 年 3 月期に 2,608 億円の純損益の赤字に転落した。 SDP は 23 年 12 月期決算でも 1,156 億円の純損失を計上しており、14 日に発表する 24 年 3 月期のシャープの決算も 2 年連続の純損益の赤字となる見通しだ。 堺工場はシャープが 09 年に約 4,300 億円を投じて建設。 シャープを買収した台湾・鴻海精密工業側が一時、SDP の過半を取得したが、その後に海外ファンドなどに売却。 これを 22 年にシャープが買い戻して完全子会社にしていた。 (福岡龍一郎、渡辺七海、asahi = 5-13-24) ◇ ◇ ◇ シャープ、液晶事業縮小へ 不振の堺工場、生産停止を視野 シャープが液晶ディスプレー事業を縮小する方向で検討していることが 21 日、関係者への取材で分かった。 不振が続いており、大型液晶パネルを製造する完全子会社の堺ディスプレイプロダクト(SDP、堺市)の生産停止を視野に入れている。 拠点を減らし、財務基盤の改善を急ぎたい考え。 親会社の台湾・鴻海精密工業の意向が焦点だ。 シャープは 2024 年 3 月期の連結純損益が 2 年連続で赤字となる見通し。 赤字の主因である SDP の売却先を模索してきた。 ただ、難航しており、生産停止が選択肢になる。 5 月にも発表する中期経営計画に盛り込む方針。 決定には鴻海との調整が必要で、曲折もありそうだ。 国内では SDP の他に白山工場、亀山工場、三重工場があり、車載やタブレット向けの中小型液晶パネルを製造している。 3 拠点は維持するとみられるが、詳細は今後詰める。 SDP はシャープが約 4,300 億円を投じて 09 年に完成させた巨大拠点。 好調だった液晶テレビの世界需要拡大を見込んだが、韓国勢が有機 EL テレビの量産化に成功し、市場を奪われた。 (kyodo = 3-21-24) 北海道でもオーロラ観測 大規模な太陽フレアの影響、世界各地で出現 太陽表面で大規模な爆発現象「太陽フレア」が発生したのを受け、北海道でも空が赤く染まるなど、世界各地でオーロラが観測された。 情報通信研究機構 (NICT) によると、地球の磁気が乱れる「磁気嵐」が発生しており、数日続く見込みという。 米航空宇宙局 (NASA) などの観測では、最大規模となる「X クラス」のフレアが 8 - 10 日に計 6 回発生した。 これに伴って高エネルギーの粒子が放出され、地球の磁場を激しくかき乱す磁気嵐が起きた。 オーロラも発達し、普段は見られない低緯度でも見られたという。 NICT によると、短期間にこれほどのフレアが発生するのは 18 年以上ぶりという。 北海道雄武町では 11 日午後 8 時ごろ、北北東の空がうっすらと赤黒く光っているのが肉眼でも確認できた。 オーロラが日本で見られたという記録は古くからあり、日本書紀は 620 年に「天に赤気(せっき)有り。 長さ一丈余なり。 形雉(きじ)尾に似れり」とある。 藤原定家も日記「明月記」に「赤気」があったと記した。 オーロラは緑色のイメージがあるが、国立極地研究所の片岡龍峰准教授(宇宙空間物理学)によると、オーロラは高度 250 - 400 キロの上の方は赤くなっており、日本のような低緯度の地域では緑色に光る下の方が地平線に隠れて見えず、上の方の赤い部分だけが見えることが多いという。 また、磁気嵐の規模が非常に大きいと、空の広い範囲が真っ赤に発光するまれな現象も同時に出現する可能性もあるという。 2003 年 11 月に発生した大規模な磁気嵐の時は、多数の人工衛星に障害が出たり、無線通信が乱れたりした。 片岡さんによると、今回の規模はそれに匹敵する可能性があるという。 NICT 宇宙環境研究室長の津川卓也さんは「地上や上空での人体被曝や、携帯電話の通信には影響はない」と指摘する。 約 11 年周期で活発化する太陽の次のピークは 2025 年ごろ。 今後も、大規模な太陽フレアが起こりやすい状態が続く可能性があるとした。 (石倉徹也、asahi = 5-11-24) ◇ ◇ ◇ 最大規模の太陽フレアが連続発生 通信障害やオーロラ観測の可能性も 太陽の表面で 8 - 10 日に「太陽フレア」と呼ばれる大きな爆発現象が連続して起きた。 国立研究開発法人「情報通信研究機構 (NICT)」によると、放出されたプラズマガスは 10 日夜 - 11 日早朝にも地球に届いて、無線通信が乱れたり、全地球測位システム (GPS) の誤差が大きくなったりする障害が数日間続く恐れがあるという。 太陽フレアは表面の「黒点」と呼ばれる場所で起きる。 NICT によると、5 段階評価で最大規模とされる「X クラス」の爆発が、8 日午前 11 時ごろを皮切りに、10 日午後 4 時ごろまで計 6 回発生した。 いずれも黒点がちょうど地球の方を向いているときに起きた。 X クラスの爆発が 48 時間以内に 5 回以上発生したのは 18 年 8 カ月ぶりでかなり珍しい。 放出されたプラズマガスは、早ければ10日夜に地球に次々と到達する見込み。 地球の磁場が乱れる「磁気嵐」によって、人工衛星の障害が起きたり、防災や消防などの無線通信や、航空機の管制のための短波通信が使えなくなったりする恐れもある。 米海洋大気局 (NOAA) も、同様の予報を発表している。 10 日午後 7 時に急きょオンラインで会見した NICT 宇宙環境研究室長の津川卓也さんは「磁気嵐の影響が強くなる見込み。 衛星運用など地球周辺の宇宙環境が数日間大きく乱れる可能性がある。」と指摘した。 太陽活動がもたらす「100 年に 1 回の最悪シナリオ(総務省)」では、大規模な停電のほか、携帯電話や防災無線などが断続的に途絶えるといった被害が予想されているが、その際の想定は「X10 クラスの太陽フレアが 2 週間にわたり発生」などというもの。 今回の太陽フレアは最大で X3.9。 爆発の規模は小さいため、大規模停電やスマホが使えなくなるなどの大きな被害がでる可能性は低いという。 津川さんは「地上や上空での人体被曝(ひばく)や、携帯電話の通信には影響はない」と話している。 一方、過去には、同程度の太陽フレア後に、低緯度の場所でもオーロラが観測された。 プラズマガスの到来によって今回も、北海道などでオーロラが見みられる可能性がある。 条件が良ければ、肉眼で数日間観測できるという。 (石倉徹也、asahi = 5-10-24) |